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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1212058
審判番号 不服2008-2556  
総通号数 124 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-02-06 
確定日 2010-02-18 
事件の表示 平成 9年特許願第353698号「袋等に用いる蓋付き注出口」拒絶査定不服審判事件〔平成11年7月6日出願公開、特開平11-180462〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成9年12月22日の出願であって、平成19年12月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成20年2月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、平成20年3月6日付けで明細書を対象とする手続補正がなされたものである。

2 平成20年3月6日付けの明細書を対象とする手続補正(以下、「本件手続補正」という。)についての補正却下の決定
〔補正却下の決定の結論〕
本件手続補正を却下する。
〔理由〕
(1)補正後の本願発明
本件手続補正により、明細書の特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】袋等の辺縁部に挟着される接着基部と、蓋体が螺着される筒部を有する注出口本体と、該注出口本体の筒部に螺着する蓋体とで構成される袋等に用いる蓋付き注出口において、
前記蓋体の内天面に垂設された嵌入部材の外周面に設けた液漏れ防止手段と、
前記蓋体の内側面に設けた撓み防止手段との、
少なくとも1つの手段を前記蓋体に形成するとともに、
前記注出口本体の筒部の内周面に設けた環状突起からなる液漏れ防止手段と、
前記注出口本体の筒部の外周面に設けた環状突起からなる撓み防止手段との、
少なくとも1つの手段を前記注出口本体に形成した、袋等に用いる蓋付き注出口であって、前記注出口本体の筒部に蓋体を螺着したとき、前記撓み防止手段が、前記液漏れ防止手段と同じ位置か、それよりも上側に設けられることを特徴とする、袋等に用いる蓋付き注出口。」
と補正された。
上記補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定する事項である「液漏れ防止手段」及び「撓み防止手段」について、「前記注出口本体の筒部に蓋体を螺着したとき、前記撓み防止手段が、前記液漏れ防止手段と同じ位置か、それよりも上側に設けられる」との限定事項を付加するものであり、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が異なるものではない。
したがって、上記補正は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件手続補正後の上記請求項1に記載された事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(2)引用例の記載事項
本願の出願前に頒布された刊行物である実願昭59-7588号(実開昭60-120936号)のマイクロフィルム(以下、「引用例A」という。)には、次の記載がある。
a1「この考案は紙箱…カン、ビン等の容器の閉止装置に関する」(明細書1頁15及び16行)
a2「この考案を図面について述べると第2図?第5図において、装着部1に螺筒2を設け……前記螺筒2に、頂壁5に外筒6を有する外蓋7を螺合し、該外蓋7の、前記頂壁5と外筒6との間に下方が大径となる斜面8を設け、又前記螺筒2の上部に半径方向外方に突出する突起9を設け、該突起9の外径を前記斜面8の最少内径より大径に、最大内径より小径に形成したことを特徴とする容器の閉止装置である。…12はテーパーを有する凸部であり、その外径の最大部は、前記螺筒2の内径より大径に形成されている。…18は容器(第6図参照、)……前記突起9は第3図?第5図に示すように各種のものが実施例として形成された。……第6図に示す装着部1は接着剤により容器18に接着されている。…容器18を除く全体は合成樹脂により形成され、螺筒2を有する中蓋20は…比較的柔い合成樹脂により形成され、外蓋7は…比較的固い合成樹脂により形成された。」(同2頁10行ないし4頁4行)
a3「消費者等は外蓋7を外し…内容の液体等…を流出させる。そして外蓋7を再び螺合させて閉止する。なお上記閉止の際前記凸部12は螺筒2の上部の内面に圧接させられ、その部分は密閉させられる。外蓋7の螺筒2に対する締込み螺合が進むと前記突起9は斜面8に圧接し、その圧接は次第に強められ、密閉が行われる。」(同4頁5ないし14行)
そして、第2図には、頂壁5の内側に凸部12が垂設された外蓋7が図示されている。
以上の記載及び第2図ないし第7図によれば、引用例Aには、次の発明が記載されていると認められる。
「容器18に接着される装着部1と、外蓋7が螺合される螺筒2を有する中蓋20と、中蓋20の螺筒2に螺合する外蓋7とで構成される容器18の閉止装置において、
外蓋7の頂壁5の内側に凸部12を垂設し、凸部12の外径の最大部は、螺筒2の内径より大径に形成され、頂壁5と外筒6との間に下方が大径となる斜面8を設け、
中蓋20の螺筒2の上部に半径方向外方に突出する突起9を設け、突起9の外径は斜面8の最少内径より大径に、最大内径より小径に形成され、
外蓋7の螺筒2への螺合により、凸部12が螺筒2の上部の内面に圧接してその部分が密閉され、突起9が斜面8に圧接してその部分が密閉される、容器の閉止装置。」

(3)対比
本願補正発明と引用例A記載の発明とを対比すると、引用例A記載の発明の「外蓋」、「螺合」、「螺筒」、「中蓋」、「閉止装置」、「頂壁」、「凸部」及び「突起」は、それぞれ本願補正発明の「蓋体」、「螺着」、「筒部」、「注出口本体」、「蓋付き注出口」、「内天面」、「嵌入部材」及び「環状突起」に相当し、引用例A記載の発明の「容器」と本願補正発明の「袋等」とは、「容器」である限りにおいて相当する。
引用例A記載の発明では、凸部12の外径の最大部は、螺筒2の内径より大径に形成されており、外蓋の螺筒への螺合により、凸部が螺筒の上部の内面に圧接してその部分が密閉されるから、引用例A記載の発明は、本願補正発明の「蓋体の内天面に垂設された嵌入部材の外周面に設けた液漏れ防止手段」を備えているといえる。
また、引用例A記載の発明では、中蓋20の螺筒2の上部に半径方向外方に突出する突起9を設け、突起9の外径は斜面8の最少内径より大径に、最大内径より小径に形成され、外蓋7の螺筒2への螺合により、突起9が斜面8に圧接してその部分が密閉されており、外蓋7の斜面8と突起9との圧接により、螺筒2の外側への撓みが防止されることは、当業者にとって自明の事項であるので、引用例A記載の発明は、本願補正発明の「注出口本体の筒部の外周面に設けた環状突起からなる撓み防止手段」を備えているといえる。
さらに、引用例Aの第2図ないし第5図を参照すると、突起9が、凸部12の外周面と螺筒2の内周面との圧接・密閉個所と同じ位置か、それよりも上側に設けられていると認められるから、引用例A記載の発明は、本願補正発明の「注出口本体の筒部に蓋体を螺着したとき、前記撓み防止手段が、前記液漏れ防止手段と同じ位置か、それよりも上側に設けられる」との事項を備えているといえる。
そして、本願補正発明は、袋等の辺縁部に挟着される接着基部と、蓋体が螺着される筒部を有する注出口本体と、該注出口本体の筒部に螺着する蓋体とで構成される袋等に用いる蓋付き注出口において、前記蓋体の内天面に垂設された嵌入部材の外周面に設けた液漏れ防止手段を前記蓋体に形成するとともに、前記注出口本体の筒部の外周面に設けた環状突起からなる撓み防止手段を前記注出口本体に形成した、袋等に用いる蓋付き注出口であって、前記注出口本体の筒部に蓋体を螺着したとき、前記撓み防止手段が、前記液漏れ防止手段と同じ位置か、それよりも上側に設けられることを特徴とする、袋等に用いる蓋付き注出口、を含むから、本願補正発明の記載に倣えば、本願補正発明と引用例A記載の発明とは、
「蓋体が螺着される筒部を有する注出口本体と、該注出口本体の筒部に螺着する蓋体とで構成される容器に用いる蓋付き注出口において、
前記蓋体の内天面に垂設された嵌入部材の外周面に設けた液漏れ防止手段と、
前記蓋体の内側面に設けた撓み防止手段との、
少なくとも1つの手段を前記蓋体に形成するとともに、
前記注出口本体の筒部の内周面に設けた環状突起からなる液漏れ防止手段と、
前記注出口本体の筒部の外周面に設けた環状突起からなる撓み防止手段との、
少なくとも1つの手段を前記注出口本体に形成した、容器に用いる蓋付き注出口であって、前記注出口本体の筒部に蓋体を螺着したとき、前記撓み防止手段が、前記液漏れ防止手段と同じ位置か、それよりも上側に設けられる、容器に用いる蓋付き注出口。」
である点で一致し、次の点で相違する。
相違点
本願補正発明は、注出口本体が袋等の辺縁部に挟着される接着基部を有する、袋等に用いる蓋付き注出口であるのに対して、引用例A記載の発明は、注出口本体が容器に接着される装着部を有する、容器に用いる蓋付き注出口である点。

(4)相違点の検討
そこで、上記相違点について検討すると、容器に用いる蓋付き注出口において、注出口本体に袋等の辺縁部に挟着される接着基部を設け、袋等に用いる蓋付き注出口とすることは、本願の出願前に周知の技術(例えば、実願平3-76144号(実開平5-26845号)のCD-ROM、実願昭62-132866号(実開昭64-39253号)のマイクロフィルムを参照。)であるから、引用例A記載の発明に上記周知の技術を適用して、袋等に用いる蓋付き注出口とし、相違点に係る本願補正発明の事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

そして、本願補正発明が奏する効果も、引用例A記載の発明及び周知の技術から当業者が予測できたものであって、格別顕著なものとはいえない。
したがって、本願補正発明は、引用例A記載の発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)まとめ
以上のとおり、本件手続補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3 本願発明について
(1)本願発明
上記のとおり、本件手続補正は却下されたので、本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成19年6月18日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項1は次のとおり記載されている。
「【請求項1】袋等の辺縁部に挟着される接着基部と、蓋体が螺着される筒部を有する注出口本体と、該注出口本体の筒部に螺着する蓋体とで構成される袋等に用いる蓋付き注出口において、
前記蓋体の内天面に垂設された嵌入部材の外周面に設けた液漏れ防止手段と、
前記蓋体の内側面に設けた撓み防止手段との、
少なくとも1つの手段を前記蓋体に形成するとともに、
前記注出口本体の筒部の内周面に設けた環状突起からなる液漏れ防止手段と、
前記注出口本体の筒部の外周面に設けた環状突起からなる撓み防止手段との、
少なくとも1つの手段を前記注出口本体に形成したことを特徴とする、袋等に用いる蓋付き注出口。」
(以下、請求項1に係る発明を、「本願発明1」という。)

(2)引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である実願昭58-141814号(実開昭60-50147号)のマイクロフィルム(以下、「引用例B」という。)には、以下の記載がある。
b1「本考案は……液体容器に用いられるキャップ付き注出口に関する」(明細書1頁14ないし16行)
b2「本考案のキャップ付き注出口は、注出口本体(A)とこれに螺着するキャップ本体(B)よりなるもので、これらは合成樹脂にて射出成形されており、キャップ本体(B)の方が注出口本体(A)よりやや硬質のものである。注出口本体(A)は、…紙製の容器本体に取付ける取付座板(1)に対して、注出螺筒(a)が突設されており、……キャップ本体(B)には、内側に内環(b)が突設していて、この内環(b)と外筒(c)との間には間隙部(d)がある。」(同3頁下から2行ないし4頁14行)
b3「注出螺筒(a)の先端開口部(e)の内径m_(1)を、内環(b)の外径m_(2)よりわずかに小さく(m_(1)<m_(2))、注出螺筒(a)の先端開口部(e)の肉厚n_(1)を、内環(b)と外筒(c)との間隙部(d)の幅n_(2)よりわずかに大きく(n_(1)>n_(2))してある。」(同4頁下から2行ないし5頁3行)
b4「以上のような関係にある注出口本体(A)にキャップ本体(B)を螺着する際に、注出螺筒(a)に対するキャップ本体(B)の捻回による強力な螺入にて、……この注出螺筒(a)の先端開口部(e)の、内環(b)と外筒(c)との間隙部(d)に対する螺入は、先端開口部(e)の内径m_(1)が、内環(b)の外径m_(2)よりわずかに小さい(m_(1)<m_(2))ため、先端開口部(e)は内環(b)により押拡げられると同時に、先端開口部(e)の肉厚n_(1)が内環(b)と外筒(c)との間隙部(d)の幅n_(2)よりわずかに大きい(n_(1)>n_(2))ため、この先端開口部(e)は内環(b)と外筒(c)との間隙部(d)にて圧縮状態で押込まれる。この注出螺筒(a)の先端開口部(e)の外方への変形と同時に内外側よりの圧縮変形とにより、第4図に示すような矢印の強力な内部応力が生じ、注出螺筒(a)と間隙部(d)との間、すなわち、注出口本体(A)とキャップ本体(B)との間には、強力な密封状態ができる。」(同5頁7行ないし6頁7行)
そして、第2図には、キャップ本体(B)の天面内側に内環(b)が突設した態様が図示されている。
以上の記載及び第2図ないし第4図によれば、引用例Bには、次の発明が記載されていると認められる。
「紙製の液体容器に取付ける取付座板(1)と、キャップ本体(B)が螺着される注出螺筒(a)を有する注出口本体(A)と、注出口本体(A)の注出螺筒(a)に螺着するキャップ本体(B)とで構成される紙製の液体容器に用いるキャップ付き注出口において、
キャップ本体(B)の天面内側に内環(b)が突設し、内環(b)と外筒(c)との間には間隙部(d)があり、
注出螺筒(a)の先端開口部(e)の内径を、内環(b)の外径よりわずかに小さく、注出螺筒(a)の先端開口部(e)の肉厚を、内環(b)と外筒(c)との間隙部(d)の幅よりわずかに大きくしてあり、
注出螺筒(a)へのキャップ本体(B)の螺入により、注出螺筒(a)の先端開口部(e)が、内環(b)と外筒(c)との間隙部(d)に螺入し、先端開口部(e)が、内環(b)により押拡げられ外方へ変形すると同時に圧縮状態で押込まれ、先端開口部(e)の外方への変形と内外側よりの圧縮変形とにより強力な内部応力が生じ、注出螺筒(a)と間隙部(d)との間に強力な密封状態が形成される、紙製の液体容器に用いるキャップ付き注出口。」

(3)対比
本願発明1と引用例B記載の発明とを対比すると、引用例B記載の発明の「キャップ本体」、「注出螺筒」、「天面内側」、「内環」、「突設」及び「螺入」は、それぞれ本願発明1の「蓋体」、「筒部を有する注出口本体」、「内天面」、「嵌入部材」、「垂設」及び「螺着」に相当する。
引用例B記載の発明では、注出螺筒(a)の先端開口部(e)の内径を、内環(b)の外径よりわずかに小さく、注出螺筒(a)の先端開口部(e)の肉厚を、内環(b)と外筒(c)との間隙部(d)の幅よりわずかに大きくしてあり、注出螺筒(a)へのキャップ本体(B)の螺入により、注出螺筒(a)の先端開口部(e)が、内環(b)と外筒(c)との間隙部(d)に螺入し、先端開口部(e)が、内環(b)により押拡げられ外方へ変形すると同時に圧縮状態で押込まれ、先端開口部(e)の外方への変形と内外側よりの圧縮変形とにより強力な内部応力が生じ、注出螺筒(a)と間隙部(d)との間に強力な密封状態が形成されるから、引用例B記載の発明は、本願発明1の「蓋体の内側面に設けた撓み防止手段」と「注出口本体の筒部の内周面に設けた液漏れ防止手段」とを備えているといえる。
そして、本願発明1は、袋等の辺縁部に挟着される接着基部と、蓋体が螺着される筒部を有する注出口本体と、該注出口本体の筒部に螺着する蓋体とで構成される袋等に用いる蓋付き注出口において、前記蓋体の内側面に設けた撓み防止手段を前記蓋体に形成するとともに、前記注出口本体の筒部の内周面に設けた環状突起からなる液漏れ防止手段を前記注出口本体に形成したことを特徴とする、袋等に用いる蓋付き注出口、を含むから、本願発明1と引用例B記載の発明とは、
「蓋体が螺着される筒部を有する注出口本体と、該注出口本体の筒部に螺着する蓋体とで構成される容器に用いる蓋付き注出口において、
前記蓋体の内側面に設けた撓み防止手段を前記蓋体に形成するとともに、
前記注出口本体の筒部の内周面に設けた液漏れ防止手段を前記注出口本体に形成した容器に用いる蓋付き注出口」
である点で一致し、次の点で相違する。
相違点1
本願発明1は、注出口本体が袋等の辺縁部に挟着される接着基部を有する、袋等に用いる蓋付き注出口であるのに対して、引用例B記載の発明は、注出口本体が容器に取付けられる取付座部を有する、容器に用いる蓋付き注出口である点。
相違点2
本願発明1では、注出口本体の筒部の内周面に設けた液漏れ防止手段が
環状突起からなるのに対して、引用例B記載の発明では、注出口本体の筒部の内周面に設けた液漏れ防止手段が環状突起からなると特定されていない点。

(4)相違点の検討
そこで、上記各相違点について検討する。
《相違点1について》
容器に用いる蓋付き注出口において、注出口本体に袋等の辺縁部に挟着される接着基部を設け、袋等に用いる注出口とすることは、本願の出願前に周知の技術(例えば、実願平3-76144号(実開平5-26845号)のCD-ROM、実願昭62-132866号(実開昭64-39253号)のマイクロフィルムを参照。)であるから、引用例B記載の発明に上記周知の技術を適用して、袋等に用いる蓋付き注出口とし、相違点1に係る本願発明1の事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

《相違点2について》
容器の注出口と蓋との間の密閉個所に環状突起を設けることは、本願の出願前に周知の技術(例えば、特表平8-508700号公報、実願昭56-2522号(実開昭57-117341号)のマイクロフィルム、実願昭58-88941号(実開昭59-193145号)のマイクロフィルム等参照。)であるであるから、引用例B記載の発明において、注出口本体の筒部の内周面に設けた液漏れ防止手段に上記周知の技術を適用して、相違点2に係る本願発明1の事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

そして、本願発明1が奏する効果も、引用例B記載の発明及び周知の技術から当業者が予測できたものであって、格別顕著なものとはいえない。
したがって、本願発明1は、引用例B記載の発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである

(5)むすび
以上のとおり、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-12-18 
結審通知日 2009-12-22 
審決日 2010-01-06 
出願番号 特願平9-353698
審決分類 P 1 8・ 575- Z (B65D)
P 1 8・ 121- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 楠永 吉孝  
特許庁審判長 栗林 敏彦
特許庁審判官 鳥居 稔
村上 聡
発明の名称 袋等に用いる蓋付き注出口  
代理人 渡邊 敏  

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