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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1212268
審判番号 不服2008-19514  
総通号数 124 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-07-31 
確定日 2010-02-18 
事件の表示 特願2004-303578「原稿読取装置及び画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 4月27日出願公開、特開2006-115428〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成16年10月18日の出願であって、平成20年2月27日付け拒絶理由通知に対して平成20年4月23日付けで手続補正書が提出されたが、平成20年6月26日付けで拒絶査定がされ、これに対して平成20年7月31日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年9月1日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成20年9月1日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成20年9月1日付けの補正を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
当該補正書による補正後の特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりのものである。

【請求項1】
複数のサイズの原稿が載置される原稿トレイから原稿を原稿搬送経路に1枚ずつ搬送し、原稿搬送経路における画像読取位置で画像読取素子を介して搬送中の原稿から画像情報を読み取る原稿読取装置において、
前記画像読取手段は、前記原稿トレイに載置される最大サイズの原稿の原稿搬送方向に直交する方向の原稿幅に匹敵する長さのライン状のイメージセンサであり、
前記原稿搬送経路における前記原稿トレイと前記画像読取位置との間で、かつ、前記複数のサイズの原稿のうちの大小1組のサイズの原稿について原稿搬送方向に直交する方向における小サイズの原稿の端部と大サイズの原稿の端部との間の一方で原稿の有無を検出するセンサと、
該センサの検出結果に基づいて搬送中の原稿が前記小サイズの原稿であるか前記大サイズの原稿であるかの判別を行う判別部と、
異なるサイズの複数枚の複数枚の原稿からなる異型サイズ原稿についての画像情報の読取処理である異型サイズ原稿モードが設定された際に、前記原稿トレイに載置された複数枚の原稿の各原稿について前記イメージセンサの読取幅を前記判別部の判別結果に基づいて前記小サイズの原稿及び前記大サイズの原稿のそれぞれの原稿搬送方向に直交する方向の幅に応じた大小2種類の何れかに切り換える制御部と、を設けたことを特徴とする原稿読取装置。
(以下、「本願補正後発明」とする。)

当該補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記イメージセンサの読取幅を前記判別部の判別結果に基づいて前記小サイズの原稿及び前記大サイズの原稿のそれぞれの原稿搬送方向に直交する方向の幅に応じた大小2種類の何れかに切り換える制御部」について、「異なるサイズの複数枚の複数枚の原稿からなる異型サイズ原稿についての画像情報の読取処理である異型サイズ原稿モードが設定された際に、」とすることにより、その内容を限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項)の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(以下、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる特許法を、単に平成18年改正前特許法と記す。)

そこで、本願補正後発明が特許出願の際独立して特許を受けることができたものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用刊行物の記載

原査定の拒絶の理由で引用された刊行物3(特開平11-167229号公報)には、対応する図面と共に、以下の内容が記載されている。

(ア)
「 【請求項1】 原稿に光線を照射して走査する原稿走査手段と、
原稿蓄積部から上記原稿走査手段による原稿走査位置を介して原稿排出部まで連通する搬送路と、
該搬送路上の原稿を移動させる駆動手段と、
上記搬送路の原稿蓄積部と原稿走査位置との間の位置に設けられた原稿サイズ検出手段とを備え、
上記原稿蓄積部に蓄積された原稿を上記駆動手段により搬送路上を原稿蓄積部から原稿走査位置に向けて搬送しつつ、上記原稿サイズ検出手段により原稿サイズを検出した後、原稿排出部を介することなく原稿を原稿走査位置へ搬送し、上記原稿走査手段による原稿の走査を行う構成としていることを特徴とする原稿走査装置。 」

(イ)
「 【0030】
次に、図4のフローチャートを参照しつつ、第1実施形態の作動について説明すると、まず、ステップS1で、ピックアップローラ15が矢印Y1で示すように正転し、原稿トレイ5に積載された原稿4のうち一番上層の原稿4を主搬送路10の供給口6に送り出す。また、ステップS2で、捌きローラ16が正転し、ピックアップローラ15が2枚以上の原稿4を重ねた状態で送り出した場合には、捌きローラ16によって分離される。主搬送路10に投入された原稿4は矢印X1で示す正方向に搬送され、その先端は、まず、原稿幅検出センサ群23を通過し、続いて、原稿長さ検出センサ24を通過する。ステップS3では、原稿幅検出センサ群23からの出力信号に基づいて原稿4の幅の判定を行う。具体的には、まず、図5のステップS21で原稿幅検出センサ群23の各センサ25a?25eが原稿4を検出しているか否かを検査する。第1のセンサ25aのみがオンであれば、ステップS22に移行し、投入された原稿4の幅はA5版の短辺A5S(148mm)であると判定する。第1及び第2のセンサ25a,25bのみがオンであれば、ステップS23に移行し、原稿の幅はB5版の短辺B5S(180mm)であると判定する。第1から第3のセンサ25a?25cのみがオンであれば、ステップS24に移行し、原稿の幅はA4版の短辺A4S(210mm)であると判定する。第1から第4のセンサ25a?25dがオンであれば、ステップS25に移行し、原稿の幅はB5版の長辺B5L(257mm)であると判定する。さらに、第1から第5のセンサ25a?25eがすべてオンであれば、ステップS26に移行し、原稿の幅はA4版の長辺A4L(297mm)であると判定する。 」

(ウ)
「 【0035】
上記のようにステップS4で原稿サイズと原稿の向きを検出した後、ステップS5に移行し、原稿4の先端が原稿走査部7まで達しているか否かを判断する。具体的には、上記レジストセンサ26が原稿の存在を検出していれば、その先端が原稿走査部7まで達しているものと判断してステップS6に移行する。ステップS6では、上記上流搬送ローラ対17及び走査前ローラ対18を矢印Y2で示すように逆転駆動し、原稿4を矢印X2で示す逆方向に搬送し、先端を原稿走査部7より上流側に戻す。ステップS7ではレジストセンサ26が原稿を検出しているか否かを検査し、レジストセンサ26が原稿4を検知していなければ、原稿4は所定位置まで戻されたと判断してステップS8に移行する。
【0036】
(略)
【0037】
ステップS8では、原稿の走査を行う。具体的には、上流搬送ローラ対17、走査前ローラ対18、走査後ローラ対19及び排出ローラ対20を矢印Y1で示すように正転させ、原稿4を上記原稿サイズの検出時の1/2の速度で搬送する。走査位置7に到達した原稿4には光源37から光線が照射され、その反射光はミラー38及びレンズ39を介して読み取りセンサ40で結像し、画像データに変換される。読み取りセンサ40の出力する画像データは画像データ処理部66を介して画像形成部60の露光装置67に出力される。 」

(エ)
「 【0065】
ところで、原稿サイズは複写機本体の種々のモードでのコピー処理を迅速に制御するため、できるだけ早く確定することが好ましい。原稿サイズは原稿トレイ2101上で検出することが最も早い。しかし、種々のサイズの原稿が混載されているとき、それらを原稿トレイ2101上で検出することはできない。従って、捌きセンサSE6、センサSE7-1?SE7-5を給紙ローラ2103の直後に設けた場合に、最も早いタイミングで次にコピー処理される原稿のサイズを検出できることになる。
同一サイズの原稿がトレイ2101上にセットされている場合、1枚目の原稿の給紙動作開始直後にサイズを確定できる。異サイズ混載の場合には、各原稿の後端が捌きセンサSE6、センサSE7-1?SE-5を通過した時点でサイズを確定できる。そのため、榎写機本体の画像形成部60で用紙の給紙を開始するまでの待ち時間を最短にでき、ファストコピー時間を短くしたり、コピー生産性を高めることができる。
【0066】
さらに、複写機本体で画像データをメモリしておき、用紙のソーティング、あるいは2in1モード、4in1モード等の処理を行う場合、画像データの加工等のために処理できる画像枚数はメモリ容量に依存する。しかし、メモリは高価であるため、十分に余裕のあるメモリを搭載できない場合が多い。従って、原稿画像の走査前に原稿サイズを判別することで、コピー生産性を落とさずに、必要最小限のメモリ容量で画像データの処理が可能となる。 」
(オ)
「 【0071】
次に、CPU3000による原稿走査装置120の制御で使用されるパラメータについて説明する。
搬送モードはオペレータによって選択された動作モードに基づいて設定され、そのデータは複写機本体からCPU3000へ送信される。搬送モードは、以下の種類に分けられる。
“l”:片面高速モード
“2”:片面混載モード(AMSを除く)
“3”:両面高速モード
“4”:両面混載モード(AMSを除く)
“5”:片面混載AMSモード
“6”:両面混載AMSモード
【0072】
上記片面高速モード及びAMSを除く片面混載モードでは、給紙された原稿を搬送モータM2により搬送し、搬送開始から所定時間後に読み取りセンサ40をオンして走査を開始する。走査中中に原稿の後端が捌きセンサSE6を通過した時点で次原稿があれば給紙を開始する。走査終了後、次原稿の給紙が完了したら、直ちに搬送モータM2による走査のための搬送を開始する。原稿載置台2101上に原稿がなくなるまで動作を継続する。これらのモードでは給紙開始前に概略の原稿長を長さサイズセンサSE11,SE12により検出すると共に、給紙中にセンサSE7-1?SE7-5により幅サイズを検出し、これらの検出結果の組み合わせから原稿サイズを検出している。
片面高速モードにおいては、走査倍率は常に固定であるため、上記のように給紙中(走査開始前)に原稿サイズを確定することで画像形成部60における用紙の給紙が早く行えるため、生産性が向上する。
AMSを除く片面混載モードにおいては、長さサイズセンサSE11,SE12での原稿長検出が不可能であるため、走査開始後に原稿後端がセンサSE2を通過した時点での搬送モータM2の駆動パルスより原稿長さを算出する。 」

当該(ア)から(オ)及び図面の記載を総合すると、刊行物3には、次の(カ)なる発明が記載されている。(以下、「引用発明」とする。)

(カ)[引用発明]
複数のサイズの原稿が混載して載置される原稿トレイから原稿を原稿搬送経路に1枚ずつ搬送し、原稿搬送経路における画像読取位置で原稿走査手段の画像読取素子を介して搬送中の原稿から画像情報を読み取り、これに基づく画像を形成する画像形成装置において、
前記原稿搬送経路における前記原稿トレイと前記画像読取素子の位置との間において、搬送される各原稿の原稿搬送方向に直交する方向におけるサイズが、規定サイズであるA5版の短辺、B5版の短辺、A4版の短辺、B5版の長辺、A4版の長辺のうちの何れかであるかを判断するために、各規定サイズの一方の端部の間の位置における原稿の有無を検出する原稿幅検出センサ群23と、
混載モードが設定された際に、原稿幅検出センサ群23の個々のセンサにおける原稿の有無を示す出力信号に基づいて原稿のサイズの判別を行うことにより、コピー生産性を落とさずに、必要最小限のメモリ容量で画像データの処理を可能とする画像形成装置。

3.対比

本願補正後発明と当該引用発明(カ)とを対比する。

引用発明における「複数のサイズの原稿が混載して載置される原稿トレイから原稿を原稿搬送経路に1枚ずつ搬送し、原稿搬送経路における画像読取位置で原稿走査手段の画像読取素子を介して搬送中の原稿から画像情報を読み取り、これに基づく画像を形成する画像形成装置」は、本願補正後発明における「複数のサイズの原稿が載置される原稿トレイから原稿を原稿搬送経路に1枚ずつ搬送し、原稿搬送経路における画像読取位置で画像読取素子を介して搬送中の原稿から画像情報を読み取る原稿読取装置」に他ならない
引用発明における「混載モード」は本願補正後発明における「異なるサイズの複数枚の複数枚の原稿からなる異型サイズ原稿についての画像情報の読取処理である異型サイズ原稿モード」に相当する。
そして、引用発明における「画像読取素子」は、原稿を走査して読み取る素子であるから、本願補正後発明における「ライン状のイメージセンサ」に他ならない。
また、明記はされてはいないが、通常、原稿読取装置において、画像読取手段(「画像読取素子」、「ライン状のイメージセンサ」)の長さは、原稿トレイに載置される最大サイズの原稿の原稿搬送方向に直交する方向の原稿幅に匹敵する長さのものである。
(ライン状のイメージセンサの長さと原稿幅の最大値を異ならせることは、その差分の長さに意味がなく、通常の原稿読取装置においては、格別のことがない限り一致しているものであることは常識である。)

したがって、引用発明における構成要素を本願補正後発明において用いられている用語に置き換えれば、本願補正後発明と引用発明は以下の点で一致、あるいは相違する。

(キ)[一致点]
複数のサイズの原稿が載置される原稿トレイから原稿を原稿搬送経路に1枚ずつ搬送し、原稿搬送経路における画像読取位置で画像読取素子を介して搬送中の原稿から画像情報を読み取る原稿読取装置において、
前記画像読取手段は、前記原稿トレイに載置される最大サイズの原稿の原稿搬送方向に直交する方向の原稿幅に匹敵する長さのライン状のイメージセンサであり、
前記原稿搬送経路における前記原稿トレイと前記画像読取位置との間で、かつ、前記複数のサイズの原稿について原稿搬送方向に直交する方向における各サイズの原稿の端部との間の一方で原稿の有無を検出するセンサと、
該センサの検出結果に基づいて搬送中の原稿がどのサイズの原稿であるかの判別を行う判別部と、
異なるサイズの複数枚の複数枚の原稿からなる異型サイズ原稿についての画像情報の読取処理である異型サイズ原稿モードが設定された際に、前記原稿トレイに載置された複数枚の原稿の各原稿について前記イメージセンサの読取幅を前記判別部の判別結果に基づいて各サイズの原稿のそれぞれの原稿搬送方向に直交する方向の幅に応じた処理を行う制御部と、を設けたことを特徴とする原稿読取装置。

[相違点]
(ク)搬送中の原稿のサイズの判定が、本願補正後発明において「小サイズの原稿であるか大サイズの原稿であるか」の判別であるのに対し、引用発明は「規定サイズであるA5版の短辺、B5版の短辺、A4版の短辺、B5版の長辺、A4版」の判定を行うものであり、そのために、原稿の有無を検出するセンサが、本願補正後発明において「1つ」配設されているのに対し、引用発明では、複数個配置されている点。

(ケ)判別部の判別結果に基づいて実行する制御内容が、本願補正後発明において「イメージセンサの読取幅」であるのに対し、引用発明では「コピー生産性を落とさずに、必要最小限のメモリ容量で画像データの処理を可能とする」とされているのみで、具体的内容について言及されていない点。

4.相違点の判断

当該相違点(ク)について検討する。
搬送中の原稿のサイズの判定について、多サイズの判定をする必要がなく、単に大小の2サイズの判定で足りるか否かは単にニーズの問題であって、格別の技術思想ではない。
2サイズの判定で足りるならば、1つのセンサーを設けることで十分であって、これにより装置が簡略化されることは自明のことである。
よって、相違点(ク)は設計的事項にすぎない。

次に、相違点(ケ)について検討する。
引用発明において、「コピー生産性を落とさずに、必要最小限のメモリ容量で画像データの処理を可能とする」ということは、処理すべき入力情報を必要最小限にすること、すなわち、必要な情報を減ずることなく、不要な情報を減じてデータ容量を少なくすることと等価であり、そのための手法として、不要な情報を取り込まないようにすること、すなわち、「イメージセンサの読取幅」を必要最小限にすることは当業者が容易に想考し得ることである。
拒絶査定において示されているように、搬送中の原稿のサイズに応じてラインセンサによる主走査方向の読取幅を変更する技術は、例えば、特開2004-173161号公報(【0020】)、特開2003-319142号公報(【請求項4】)、特開2001-298588号公報(【0015】?【0029】)、特開平7-336522号公報(【0023】)、特開平2-67863号公報(第3頁右下欄第14行?第17行)などに記載されているように周知技術である。

なお、審判請求人は、平成21年11月30日付け提出の回答書において、刊行物3に記載の発明は、「スイッチバック搬送する必要」があるので、本願補正後発明と相違する旨を主張しているが、「スイッチバック搬送する必要」は原稿の搬送される方向における長さを検出するための動作であって、原稿の幅の判定については「スイッチバック搬送する必要」がないことは自明である。
刊行物3に記載の実施例は原稿の搬送される方向における長さの検出をしているものではあるが、刊行物3には、原稿の搬送される方向における長さの検出をしない技術思想の発明をも、すなわち上記した引用発明が記載されているのであって、審判請求人の当該主張は採用することができない。

してみれば、引用発明において、原稿サイズの判定を2種に限定し、判定されたサイズに応じて「イメージセンサの読取幅」の制御をすることすることは当業者であれば容易に想到できることである。

したがって、本願補正後発明は、引用刊行物3に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本願補正後発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができたものではない。

5.むすび

したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1.本願発明の認定

平成20年9月1日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の各請求項に係る発明は、平成20年4月23日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1から請求項4までに記載した事項により特定されるとおりのものと認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明は、下記のとおりである。

【請求項1】
複数のサイズの原稿が載置される原稿トレイから原稿を原稿搬送経路に1枚ずつ搬送し、原稿搬送経路における画像読取位置で画像読取素子を介して搬送中の原稿から画像情報を読み取る原稿読取装置において、
前記画像読取手段は、前記原稿トレイに載置される最大サイズの原稿の原稿搬送方向に直交する方向の原稿幅に匹敵する長さのライン状のイメージセンサであり、
前記原稿搬送経路における前記原稿トレイと前記画像読取位置との間で、かつ、前記複数のサイズの原稿のうちの大小1組のサイズの原稿について原稿搬送方向に直交する方向における小サイズの原稿の端部と大サイズの原稿の端部との間の一方で原稿の有無を検出するセンサと、
該センサの検出結果に基づいて搬送中の原稿が前記小サイズの原稿であるか前記大サイズの原稿であるかの判別を行う判別部と、
前記原稿トレイにサイズの異なる複数枚の原稿からなる異型サイズ原稿が載置された際に、異型サイズ原稿の各原稿について前記イメージセンサの読取幅を前記判別部の判別結果に基づいて前記小サイズの原稿及び前記大サイズの原稿のそれぞれの原稿搬送方向に直交する方向の幅に応じた大小2種類の何れかに切り換える制御部と、を設けたことを特徴とする原稿読取装置。

2.引用刊行物に記載の発明

原査定の拒絶理由に引用された刊行物3および、その記載事項は、前記「第2」における[理由]の「2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断

本願請求項1に係る発明は、前記「第2」における[理由]の「1.」で検討した本願補正後発明から、制御部が「制御部」について、「異なるサイズの複数枚の複数枚の原稿からなる異型サイズ原稿についての画像情報の読取処理である異型サイズ原稿モードが設定された際に、」という限定事項を省いたものである。
そうすると、本願請求項1に係る発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正後発明が、前記「第2」における[理由]の「4.」に記載したとおり、引用刊行物の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願請求項1に係る発明も、同様の理由により、引用刊行物の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび

以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、引用刊行物3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、残る請求項2から請求項4に係る各発明について特に検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。

第4 まとめ

審判請求の理由について審理した結果は上記のとおりであり、拒絶査定を取り消す理由は存在しないから、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-12-10 
結審通知日 2009-12-15 
審決日 2010-01-04 
出願番号 特願2004-303578(P2004-303578)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 征矢 崇  
特許庁審判長 板橋 通孝
特許庁審判官 千葉 輝久
廣川 浩
発明の名称 原稿読取装置及び画像形成装置  
代理人 特許業務法人 楓国際特許事務所  
代理人 小澤 壯夫  
代理人 小森 久夫  

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