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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05B 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H05B |
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管理番号 | 1212468 |
審判番号 | 不服2007-22169 |
総通号数 | 124 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-04-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-08-09 |
確定日 | 2010-02-26 |
事件の表示 | 特願2004- 45816「ヒータユニット及びそれを搭載した装置」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 9月 2日出願公開、特開2005-235672〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成16年2月23日の出願であって、平成19年7月9日付けで拒絶査定(発送日:同年同月17日)がなされたところ、平成19年8月9日に拒絶査定不服審判が請求され、平成19年9月3日付けで手続補正がなされたものである。 第2 平成19年9月3日付け手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成19年9月3日付けの手続補正を却下する。 [理 由] 1. 補正後の請求項1に記載された発明 平成19年9月3日付け手続補正(以下「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおり補正された。 「被加熱物を搭載して加熱処理するためのヒータ基板と、該ヒータ基板を収容する容器とを備えたヒータユニットにおいて、該ヒータ基板と容器とを固定して支持する支持体によって、該ヒータユニットを搭載する装置と容器、容器とヒータ基板を互いに接触させること無く配置したことを特徴とするヒータユニット。」 本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「支持体」について、本件補正前の請求項1の「該ヒータ基板と容器とを支持する支持体」を「該ヒータ基板と容器とを固定して支持する支持体」と限定するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、当該事項は、本願の願書に最初に添付した明細書(以下「出願当初明細書」という。)の【0028】?【0030】に記載された事項に基づくものであるから、出願当初明細書の記載した事項の範囲内においてなされたものである。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。 2. 引用例に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-230174号公報(以下「引用例1」という。)には、以下の事項が図面と共に記載されている。 1a 「【発明の属する技術分野】本発明は、基板温度制御装置における半導体ウエハの加熱/冷却用プレートのような、基板を加熱/冷却する熱交換プレートの支持構造、及び熱交換プレートの温度分布解消構造に関する。」(段落【0001】) 1b「【発明が解決しようとする課題】ところで、熱交換プレートでは、半導体ウエハに対する加熱/冷却が繰り返されるので、その熱容量を小さく設定することによって応答性を良好にする必要があるため、上記熱交換プレートには、肉厚の薄いものが採用される。 しかし、熱交換プレートの肉厚が薄いので、熱交換プレートに、加熱による膨張や冷却による収縮等の機械的な歪みが生じ易い。しかも、上記装置では、熱交換プレートがボルト等の締結具により固定状態でチャンバに支持される構造になっているため、膨張や収縮に起因して熱交換プレートが変形する(撓む)という不具合を防止することができない。また、熱交換プレートの熱容量が小さいことにより、半導体ウエハに対する加熱/冷却に際し、若干の熱負荷及び放熱(熱の逃げ)によっても熱交換プレートの表面に場所による温度分布が発生するため、半導体ウエハの全面を全く同一の温度に制御するのが困難であるという問題もあった。」(段落【0003】?【0004】) 1c 「従って本発明の目的は、加熱による膨張や冷却による収縮に起因して熱交換プレートが変形するのを防止することができる熱交換プレートの支持構造を提供することにある。 また、本発明の別の目的は、熱交換プレートの表面に場所による温度分布が発生するのを防止することができる熱交換プレートの支持構造を提供することにある。 また、本発明の更に別の目的は、熱交換プレートに生じる温度分布を均一化することができる熱交換プレートの温度分布解消構造を提供することにある。」(段落【0005】?【0007】) 1d 「【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図面により詳細に説明する。 図1は、本発明の第1の実施形態に係る熱交換プレートの支持構造を備える基板温度制御装置の概要を示す図である。 上記装置は、半導体製造工程の1つである、半導体ウエハに加熱/冷却処理を施すフォトレジストベーキング工程に適用されるもので、半導体ウエハの上記装置内への搬入や上記装置外への搬出等の半導体ウエハの搬送作業が、ロボットにより行われるよう構成される。上記装置は、図1に示すように、チャンバ1と、チャンバ1内に収容される複数本(少なくとも3本以上)のプレート支持ピン3、5、7と、熱交換プレート9とを備える。」(段落【0016】?【0018】) 1e 「熱交換プレート9の直上方には、半導体ウエハ15が、複数の支持体、即ち、ウエハ昇降ピン(図1では記載を省略)により熱交換プレート9の上面から所定の隙間を隔てた状態で支持されている。各ウエハ昇降ピンは、チャンバ1の底部下方からチャンバ1の底面及び熱交換プレート9を夫々貫通して上下方向に移動可能に構成されている。」(段落【0021】) 1f 「図14は、本発明の第3の実施形態に係る熱交換プレートの温度分布解消構造を示す断面図である。 本実施形態では、図14に示すように、チャンバ1内にステンレス材から成る断面が略コ字状のヒートバランサ59を複数本の支持ピン61を介して設置すると共に、ヒートバランサ59内に複数個の固定ボス63と少なくとも1個以上の可動ボス65とを介して熱交換プレート9を収容した構造になっている。可動ボス65は、昇降自在な支持ピン67により上下方向に移動自在に支持される。 この構成によれば、熱交換プレート9が、上述したチャンバ1から独立して変位し得る構造になっているため、加熱による膨張や冷却による収縮に起因して熱交換プレート9が変形するのを防止することが可能である。また、熱交換プレート9の表面に温度分布が生じた場合には、支持ピン67を上下動させることで熱交換プレート9からの熱の逃げを調節できるので、それによって熱交換プレート9の表面に、場所による温度分布が発生するのを抑制できる。」(段落【0055】?【0057】) 3. 引用例に記載された発明 ところで、記載事項1a、1f及び図14からみて、半導体ウエハ15を搭載して加熱/冷却処理するための熱交換プレート9と、該熱交換プレート9を収容する断面略コ字状のヒートバランサ59とを備えた構成は、半導体製造工程における熱処理ユニットといえる。 したがって、記載事項1a、1c?1f及び図14の記載からみて、引用例1には次の発明(以下「引用例1の発明」という。)が記載されている。 「半導体ウエハ15を搭載して加熱/冷却処理するための熱交換プレート9と、該熱交換プレート9を収容する断面略コ字状のヒートバランサ59とを備えた熱処理ユニットにおいて、チャンバ1内でヒートバランサ59を支持する支持ピン61と、該ヒートバランサ59内で熱交換プレート9を支持する固定ボス63、可動ボス65によって、該熱処理ユニットを搭載するチャンバ1とヒートバランサ59、ヒートバランサ59と熱交換プレート9を互いに接触させることなく配置するようにした半導体製造工程における熱処理ユニット。」 4. 対比、一致点・相違点 本件補正発明と引用例1の発明とを対比すると、構成と作用からみて、引用例1の発明の「半導体ウエハ15」は、本件補正発明の「被加熱物」に相当し、以下同様に、「熱交換プレート9」は「ヒータ基板」に、「断面コ字状のヒートバランサ59」は「容器」に、「熱処理ユニット」は「ヒータユニット」に、「支持ピン61」、「固定ボス63、可動ボス65」は「支持体」に、「チャンバ1」は「装置」に、それぞれ相当する。 したがって、両発明は次の一致点と相違点を有する。 [一致点] 被加熱物を搭載して加熱処理するためのヒータ基板と、該ヒータ基板を収容する容器とを備えたヒータユニットにおいて、該ヒータ基板と容器とを支持する支持体によって、該ヒータユニットを搭載する装置と容器、容器とヒータ基板を互いに接触させること無く配置したヒータユニット。 [相違点1] ヒータ基板と容器とを、本件補正発明では、固定して支持するのに対して、引用例1の発明では、 固定して支持していない点。 5. 相違点についての検討 加熱装置において、ヒータ基板を容器等に固定して支持することは、引用例1に、従来技術の課題として示されている(前記「2.1b」参照。)ように、本件出願前周知(例えば、前審で引用した特開2002-198297号公報、特開2002-252270号公報参照。)の技術である。 引用例1の発明では、前記ヒータ基板に相当する前記熱交換プレートは、固定ボス63、可動ボス65によって支持され、変位可能とするものであるが、膨張や収縮による変形防止を特段意図しなければ、固定して支持するものとなる。 そうすると、ヒート基板と容器とを固定して支持するか、固定しないで支持するかは、必要に応じて、当業者が適宜、選択し得ることであるから、引用例1の発明において、ヒート基板と容器とを固定して支持するようにした点は、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本件補正発明の効果については、引用例1の発明及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものである。 したがって、本件補正発明は、引用例1の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 6. むすび 以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1. 本願の請求項1?7に係る発明 本件補正は前記のとおり却下されたので、本願の請求項1?7に係る発明は、平成17年1月13日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項7に係る発明は、次のとおりのものである(以下「本願発明」という。)。 「【請求項1】 被加熱物を搭載して加熱処理するためのヒータ基板と、該ヒータ基板を収容する容器とを備えたヒータユニットにおいて、該ヒータ基板と容器とを支持する支持体によって、該ヒータユニットを搭載する装置と容器、容器とヒータ基板を互いに接触させること無く配置したことを特徴とするヒータユニット。 【請求項2】 前記ヒータユニットにおいて、容器を支持する容器支持体と、容器に対してヒータ基板を支持するヒータ基板支持体とを別個に設け、なおかつ前記容器支持体とヒータ基板支持体とを互いに遠隔された位置に配置することを特徴とする請求項1に記載のヒータユニット。 【請求項3】 前記ヒータユニットにおいて、前記支持体の取付け部の少なくとも1箇所以上に、低熱伝導性部材を挿入することを特徴とする請求項1または2に記載のヒータユニット。 【請求項4】 前記セラミックスヒータの主成分が、窒化アルミニウム、炭化珪素、酸化アルミニウム、窒化珪素からなる群から選ばれた少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のヒータユニット。 ・・・(略)・・・ 【請求項7】 請求項1乃至4のいずれかに記載のヒータユニットを搭載したことを特徴とするフラットパネルディスプレイの製造検査装置。」 2. 引用例に記載された事項および発明 原査定の拒絶の理由に引用された引用例1、その記載事項及び発明は、前記「第2 2.、3.」に記載したとおりである。 また、原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-198297号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が図面と共に記載されている。 2a 「【発明の属する技術分野】本発明は、主にウエハを加熱する際に用いるウエハ加熱装置に関するものであり、例えば半導体ウエハや液晶装置あるいは回路基板等のウエハ上に薄膜を形成したり、前記ウエハ上に塗布されたレジスト液を乾燥焼き付けしてレジスト膜を形成する際に好適なウエハ加熱装置に関するものである。」(段落【0001】) 2b 「図1は本発明に係るウエハ加熱装置1の一例を示す断面図で、炭化珪素または窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスからなる均熱板2の一方の主面を、ウエハWを載せる載置面3とするとともに、他方の主面にガラス又は樹脂等からなる絶縁層4を介して発熱抵抗体5を形成したものである。 ・・・(中略)・・・ さらに、均熱板2と支持体7の外周にボルト16を貫通させ、均熱板2と支持体7が直接当たらないように、断熱部17を介在させ、支持体7側より弾性体18、座金19を介在させてナット20を螺着することにより弾性的に固定している。これにより、均熱板2の温度が変動した場合に支持体7が変形しても、上記弾性体19によってこれを吸収し、これにより均熱板2の反りを抑制し、ウエハ表面に、均熱板2の反りに起因する温度ばらつきが発生することを防止できるようになる。」(段落【0022】?【0025】) したがって、引用例2には、「液晶装置等の均一加熱を行う均熱板2を支持体7で支持した製造装置。」(以下「引用例2の発明」という。)が記載されている。 3. 対比・判断 本願の請求項1に係る発明は、前記「第2 1.」に記載した本件補正発明の発明特定事項「該ヒータ基板と容器とを固定して支持する支持体」を、「該ヒータ基板と容器とを支持する支持体」とする外は、本件補正発明と同一のものである。 したがって、「請求項1に記載のヒータユニットを搭載したフラットパネルディスプレイの製造検査装置」である本願発明と引用例1の発明を対比すると、両発明は、「第2. 4.」の[一致点]に記載された事項で一致し、前記ヒータユニットを、本願発明ではフラットパネルディスプレイの製造検査装置に搭載したのに対して、引用例1の発明では半導体製造工程に適用した点で相違する。 ここで、引用例2の発明をみると、引用例2の発明の「液晶装置」は、本願発明の「フラットパネルディスプレイ」に相当する。そして、当該技術分野において、製造装置と検査装置は、類似する装置、又は相当する装置として用いられることは周知であり(例えば、前審で用いられた特開2002-252270号公報参照。)、また、引用例2の2aに記載されているように、引用例2に記載された製造装置は、半導体ウエハや液晶装置に用いられるものである。 そうすると、引用例1の発明のものを、フラットパネルディスプレイの製造検査装置に搭載することは、引用例2の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到することができたものである。 また、本願発明の効果も、引用例1の発明、引用例2の発明及び周知技術から当業者が予測し得るものである。 したがって、本願発明は、引用例1の発明、引用例2の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 5. まとめ 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、本願の他の請求項に係る発明については検討するまでもなく、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-11-24 |
結審通知日 | 2009-12-01 |
審決日 | 2009-12-14 |
出願番号 | 特願2004-45816(P2004-45816) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H05B)
P 1 8・ 575- Z (H05B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 豊島 唯 |
特許庁審判長 |
岡本 昌直 |
特許庁審判官 |
長崎 洋一 稲垣 浩司 |
発明の名称 | ヒータユニット及びそれを搭載した装置 |
代理人 | 中野 稔 |
代理人 | 山口 幹雄 |
代理人 | 二島 英明 |