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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A61K
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1212752
審判番号 不服2006-18482  
総通号数 124 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-08-24 
確定日 2010-03-04 
事件の表示 平成10年特許願第 17627号「テストステロン-5α-レダクターゼ阻害剤、並びに、化粧料及び飲食品」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 7月27日出願公開、特開平11-199503〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成10年1月14日の出願であって、平成18年7月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対し平成18年8月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年9月25日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成18年9月25日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年9月25日付けの手続補正を却下する。

[理由]
本件補正は、補正前の請求項3に記載された「化粧料」を「老化防止用化粧料」とする補正事項を含むものであるが、願書に最初に添付した明細書には、「老化防止用」の化粧料について、全く記載するところがなく、本件補正は願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえない。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明
平成18年9月25日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項3に係る発明は、平成16年1月27日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項3に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。
「【請求項3】ヒマラヤユキノシタ属植物から抽出されるテストステロン-5α-レダクターゼ阻害物質を含むことを特徴とする化粧料。」

(1)引用例の主な記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布されたことが明らかな特開平6-329545号公報(以下、「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。
a-1.「【請求項1】マバンソウ(磨盤草)、モッカ(木荷)、サネカズラ(真葛)、・・・、およびBergenia ligulataからなる群より選ばれる少なくとも1つの生薬あるいは植物の抽出物を有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害剤。(特許請求の範囲の請求項1)
a-2.「【請求項5】請求項1・・・記載のヒアルロニダーゼ阻害剤を含有する化粧品」(特許請求の範囲の請求項5)
a-3.「【産業上の利用分野】本発明は、ギムネマ・シルベスタ、マバンソウ(磨盤草)、モッカ(木荷)、サネカズラ(真葛)、・・・、およびBergenia ligulataからなる群より選ばれる少なくとも1つの生薬あるいは植物の抽出物を有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害剤に関し、さらに詳細には、該ヒアルロニダーゼ阻害剤を有効成分とする抗炎症あるいは抗アレルギー剤ならびに該ヒアルロニダーゼを含有する食品および化粧品に関する。」(公報、段落番号【0001】)
a-4.「また、生体のヒアルロン酸含量を維持し、高める必要性については、皮膚だけの問題にとどまらない。大動脈や関節腔液などにおいても、ヒアルロン酸による保水構造は重要な働きをしている。老化が人体のヒアルロン酸含量の低下を伴う以上、高齢化社会に向けて、皮膚や血管などの、ヒアルロン酸により保持される水分含量ひいては柔軟性を維持する必要性は、ますます高まると予想される。現状では、化粧品用保湿剤として外用されるヒアルロン酸にのみ関心が向けられ、人体内のヒアルロン酸含量ひいては水分含量を維持しようとする試みは皆無に等しく、重要な課題として残されている。」(公報、段落番号【0005】)
a-5.「本発明の生薬の原植物は、マバンソウ(磨盤草)はアオイ科のシマイチビ(Abutilon indicum)、モッカ(木荷)はツバキ科のSchimawallichi、サネカズラ(真葛)はモクレン科のワタフジ(Kadsura japonica)、カシカ(蝦子花)はミソハギ科のWoodfordia fruticosaである。ギムネマ・シルベスタ(Gymnema sylvestre R.Br)はインド原産のガガイモ科植物で糖尿病治療の民間薬として2000年も前から使用されている。Bergenia ligulataはユキノシタ科に属し、生薬名はPashanbaedである。」(公報、段落番号【0009】)
a-6.「抽出に用いる溶剤は、水、メタノールもしくはエタノールなどのアルコール類またはアセトンなどのケトン類よりなる群から選ばれる単独または2種以上の任意の混合溶剤のいずれでもよい。・・・。これらの溶剤のうちでは、・・・、安全性の点で、水、エタノール、またはこれらの混合溶剤を用いるのが好ましい。」(公報、段落番号【0010】)
a-7.「前記ヒアルロニダーゼ阻害剤は化粧水、化粧クリーム、乳液、ファンデーション、口紅、整髪料、ヘアトニック、育毛料の他、歯磨き、洗口液、シャンプー、リンス、入浴剤等にも配合することができる。」(公報、段落番号【0017】)
a-8.「実施例 6:Bergenia ligulata抽出物の製造Bergenia ligulata 100gを、1000mlの50容量%エタノール中に室温にて7日間浸し、上澄み液を濾過して得た抽出液を減圧下濃縮乾固し、抽出物19.8gを得た。」(段落番号【0026】)
a-9.「実施例 11:エモリエントクリーム実施例6のBergenia ligulataの抽出物を用いて下記の組成のエモリエントクリームを製造した。
( 組 成) ( 配合% )
ミツロウ 2.0
ステアリルアルコール 5.0
ステアリン酸 8.0
スクアラン 10.0
自己乳化型プロピレングリ
コールモノステアレート 3.0
ポリオキシエチレンセチル
エーテル(20E.O.) 1.0
プロピレングリコール 7.8
グリセリン 4.0
ヒアルロン酸ナトリウム 0.1
トリエタノールアミン 1.0
実施例6のBergenia 0.1
ligulataの抽出物
香 料 0.3
精 製 水 57.7」(公報、段落番号【0033】)

(2)対比
引用例には.「Bergenia ligulataの抽出物を有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害剤」および当該ヒアルロニダーゼ阻害剤を含有する化粧品が記載されている。(上記(a-1)?(a-5))
したがって、引用例には、「Bergenia ligulataの抽出物を有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害剤を含有する化粧品」(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
そこで、本願発明と引用発明を対比する。
Bergenia ligulataはヒマラヤユキノシタ属植物であり、化粧料と化粧品は同じであるから、両者は、「ヒマラヤユキノシタ属植物から抽出される抽出物を含む化粧料」である点で一致し、以下の点で一応相違する。
(一応の相違点)
化粧料に含まれるヒマラヤユキノシタ属植物から抽出される抽出物が、前者では、テストステロン-5α-レダクターゼ阻害物質であるのに対して、
後者では、ヒアルロニダーゼ阻害剤である点。

(3)当審の判断
上記の一応の相違点について検討する。
本願明細書の記載によれば、ヒマラヤユキノシタ属植物の親水性有機溶媒による通常の方法による抽出物をそのまま化粧料に添加するものであり(本願明明細書段落【0012】?【0014】、【0019】、【0027】)、ヒマラヤユキノシタ属植物から抽出される抽出物からテストステロン-5α-レダクターゼ阻害活性を有する物質を分取したうえで化粧料に添加するものではない。
一方、引用発明においても、Bergenia liguataの親水性有機溶媒による通常の方法による抽出物をそのまま化粧料に添加しており(上記(a-6)?(a-9))、Bergenia liguataの抽出物からヒアルロニダーゼ阻害活性を有する物質を分取したうえで化粧料に添加するものではない。
そうすると、本願発明、引用発明のいずれも、化粧料に添加される成分は、ヒマラヤユキノシタ属植物の親水性有機溶媒による通常の方法による抽出物全体であり同じである。

(4)むすび
したがって、本願発明は、引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の該当し、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-12-25 
結審通知日 2010-01-05 
審決日 2010-01-19 
出願番号 特願平10-17627
審決分類 P 1 8・ 561- Z (A61K)
P 1 8・ 113- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 清野 千秋山田 靖  
特許庁審判長 塚中 哲雄
特許庁審判官 弘實 謙二
伊藤 幸司
発明の名称 テストステロン-5α-レダクターゼ阻害剤、並びに、化粧料及び飲食品  
代理人 廣田 浩一  

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