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審決分類 審判 全部無効 特29条の2  A63F
審判 全部無効 2項進歩性  A63F
管理番号 1213135
審判番号 無効2009-800052  
総通号数 125 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-05-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-03-04 
確定日 2010-02-15 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4037082号発明「遊技機」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯
本件の特許第4037082号に係る出願は、平成13年10月23日に特許出願され、その後の平成19年11月9日に、その請求項1乃至4に係る発明につき、特許の設定登録がなされたものである。
これに対し、請求人より平成21年3月4日付けで請求項1乃至4に係る発明についての特許に対し本件無効審判の請求がなされ、次いで、被請求人より平成21年5月22日付けで答弁書と訂正請求書が提出され、これに対し請求人より平成21年6月29日付けで弁駁書が提出された。
当審は、平成21年10月8日に口頭審理を行い、被請求人は、同日付け口頭審理陳述要領書のとおり陳述した。
その後、請求人より平成21年10月28日付けで上申書が提出され、被請求人より平成21年11月12日付けで上申書が提出された。

第2.当事者の主張
1.請求人の主張
請求人は、本件特許の請求項1乃至4に係る発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由として、次の点(無効理由1、2)を挙げ、証拠方法として甲第1号証乃至甲第12号証(但し、甲第12号証は、本件特許公報)を提出している。
[無効理由1]
本件特許の請求項1乃至4に係る発明、並びに訂正後の請求項1乃至4に係る発明は、本件の出願前の他の出願であって本件の出願後に公開された甲第4号証に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
[無効理由2]
本件特許の請求項1乃至4に係る発明、並びに訂正後の請求項1乃至4に係る発明は、本件の出願前に公開された甲第1乃至第3号証に記載された発明、及び、甲第5乃至第11号証に記載された周知の技術から、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

[証拠方法]
・審判請求書に添付されたもの
甲第1号証:特開平11?333060号公報
甲第2号証:特開平10?136478号公報
甲第3号証:実願平1-110799号(実開平3-50704号)のマイクロフィルム
甲第4号証:特開2002?35209号公報
甲第5号証:特開平5?219167号公報
甲第6号証:特開2000?245933号公報
甲第7号証:意匠登録第1077593号
甲第8号証:意匠登録第1078631号
甲第9号証:意匠登録第1078634号
甲第10号証:意匠登録第1094647号
甲第11号証:意匠登録第1101870号
甲第12号証:特許第4037082号(本件特許公報)

2.被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め、その理由として、[無効理由1]において、甲第4号証の認定に誤りがあり、それにともない相違点の認定相違点の判断も誤りであるから、訂正後の本件特許の請求項1乃至4に係る発明は、甲第4号証に記載の発明ではないので、特許法第29条の2に基づく無効理由は存在しない、と主張し、[無効理由2]において、明細書記載の顕著な作用効果を奏するもので、甲第1乃至3号証及び甲第5乃至11号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではなく、特許法第29条第2項に基づく無効理由は存在しない、と主張している。

第3.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
平成21年5月22日付けの訂正請求は、本件特許明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は次のとおりである。
(訂正事項a)
特許明細書の特許請求の範囲の請求項1中の「遊技状態に応じて発光する複数の発光体が配設された」を「遊技状態に応じて発光する複数の発光体が前記透音部の間に配設された」と訂正する。
(訂正事項b)
特許明細書の段落【0007】中の「遊技状態に応じて発光する複数の発光体が配設された」を「遊技状態に応じて発光する複数の発光体が前記透音部の間に配設された」と訂正する。

2.訂正の適否について
(訂正事項aについて)
上記訂正事項aは、請求項1の「発光体」の配設位置を限定するものであって、特許請求の範囲の減縮に当たる。また、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張、変更するものでもない。
(訂正事項bについて)
上記訂正事項bは、訂正事項aによって特許請求の範囲を減縮するのに伴い、明細書の記載を訂正後の請求項1に整合するように書き改めるものであるから、その目的は訂正事項1の目的に含まれる。

以上のとおり、上記訂正事項a、bは、いずれも、特許法第134条の2ただし書き、及び、同条第5項において準用する同法第126条第3項、4項の規定に適合するので、平成21年5月22日の訂正を認める。

第4.本件発明
上記第3に示したとおり、本件に係る訂正が認められるから、本件の請求項1乃至4に係る発明(以下、「本件発明1乃至4」という。)は、上記訂正請求書に添付した訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至4に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。

(本件発明1)
「遊技状態に応じて音を出音する円形状のスピーカと、
このスピーカより出音される音を通す正面視で横方向にスリット状に延設され、かつ縦方向に等間隔に配置された複数の透音孔を有し,前記スピーカを覆う透光性の材質からなる方形状のスピーカカバーと、
このスピーカカバーに形成された複数の前記透音孔と同一のスリット幅および配設間隔で形成された,前記スピーカより出音される音を複数の前記透音孔へ通す複数の透音部を有した基板に遊技状態に応じて発光する複数の発光体が前記透音部の間に配設された,前記スピーカと前記スピーカカバーとの間に設けられた光源と
により構成されるスピーカユニットを備えた遊技機であって
前記透音孔および透音部は、前記スピーカの放音部を開口する面積が少なくとも前記放音部の面積の半分を占めることを特徴とする遊技機。」
(本件発明2)
「前記スピーカカバーは前記光源が発する光に作用するレンズからなることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。」
(本件発明3)
「前記スピーカカバーは、機器の前面に設けられた電飾装置に連なるように配設されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。」
(本件発明4)
「前記遊技機はスロットマシンまたは弾球遊技機であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の遊技機。」

第5.無効理由1についての検討
1.甲第4号証に記載された発明
甲第4号証は、本件の出願の日前の平成12年7月21日に出願され、本件の出願後の平成14年2月5日に出願公開された、特願2000-221452号の願書に最初に添付された明細書及び図面の内容を記載したものであり、次の事項が記載、または、図示されている。

記載事項1
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遊技者の視認し得る位置にスピーカが設けられた遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】遊技者の視認し得る位置にスピーカが設けられた遊技機として、例えば、スロットマシンやパチンコ機を例に挙げることができる。通常、この種の遊技機では、その正面に各種効果音を発するスピーカが取り付けられている。より具体的に説明すると、スロットマシンでは、マシン本体内より排出されるメダルを受けるメダル受皿内にスピーカが埋め込まれている。また、パチンコ機では、前面パネルを形成する表枠の上方にスピーカが埋め込まれている。そして、これらスピーカからは、遊技の進行状況に応じた効果音が所定のタイミングにて発せられ遊技の雰囲気を盛り上げている。
【0003】ところで、この種の遊技機では上記したように音による演出も行われているが、主として電飾品を使用しての光による演出に力が注がれている。電飾品を用いた光の演出としては、例えば、電飾品となる複数の装飾LEDや装飾蛍光灯を遊技機前面に設け、これら装飾LEDや装飾蛍光灯を遊技の進行状況に応じて点灯点滅させて光の演出を行っている。」
記載事項2
「【0008】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記した技術的課題を解決するために以下のように構成した。すなわち、遊技者の視認し得る位置にスピーカが設けられた遊技機であって、そのスピーカの前方に、スピーカから所定の間隔をあけて発光体を設けていることを特徴とする。
【0009】このように本発明の遊技機では、スピーカの前方に発光体を備えているため、音の演出領域となるスピーカの前方をも光の演出領域として使用することができる。このため遊技機全体を使用しての光の演出が可能となる。また、電飾品による光の演出と交えた音の演出が可能となり、遊技における雰囲気をより一層高めることができる。なお、ここで前方とは、スピーカにおける振動板の正面側を意味する。
【0010】また、スピーカの前方に、発光体を支持する支持部材を設け、発光体は、該支持部材を介してスピーカの前方に支持されている構成としてもよい。また、発光体は、スピーカに対して着脱自在に設けてもよい。この場合、スピーカの前方に支持部材を介して発光体を配置しているため、スピーカそのものには加工を施す必要がなくなる。すなわち、汎用のスピーカを使用できる。なお、支持部材は、スピーカのフレームから延出されてスピーカの前方に発光体を支持する支持部材や、遊技機の前面から延出されてスピーカの前方に発光体を支持する支持部材など、支持部材の取付位置や形状は任意に変更可能である。
【0011】さらに、スピーカの前方に該スピーカの少なくとも一部を覆う被覆体を着脱自在に設け、発光体は、スピーカとこの被覆体との間に設けられている構成としてもよい。すなわち、発光体を衝撃等から保護する保護部材を設けている。また、被覆体の少なくとも一部は、透明又は半透明の部材によって形成するのが望ましい。この場合、発光体の光は透明又は半透明の部材を介して間接的に視認可能となる。
【0012】また、被覆体は、スピーカから発せられる音を外部に通す複数の透音孔を有し、その透音孔は、スピーカと被覆体との間に設けられる発光体の正面を避けて配置されている構成としてもよい。すなわち、被覆体に透音孔を設けることによって、スピーカから発せられる音を被覆体の前方に抜けやすくしている。また、透音孔は発光体の正面を避けて配置されているため、発光体の光は、透明又は半透明の被覆体を通過して間接的に視認可能となる。」
記載事項3
「【0027】電飾品20は、半透明の合成樹脂材料にて形成された樹脂製レンズ20aと、その樹脂製レンズ20a内に設けられた蛍光灯及びLED等にて構成され、遊技の進行状態に応じて点灯又は点滅される。すなわち、光の演出装置としての機能を備える。なお、電飾品20は演出制御回路基盤に接続されており、例えば、遊技の進行状態が特別遊技状態に移行したことを受けて点灯消灯を繰り返すように制御されている。ここで特別遊技状態とは、回転リール7aに付された図柄が入賞となる組み合わせにて停止しやすいように、回転リール7aの停止制御がなされている遊技状態を意味する。
【0028】そして、これら図柄表示窓10及び電飾品20が設けられる前面パネル5の上部に、照明機能を備えたスピーカユニット30が取り付けられている。スピーカユニット30は、図3?図9に示すように、スピーカ31、LED(発光体)40は、レンズカバー(被覆体)50等にて構成されている。以下、このスピーカユニット30についてより詳細に説明する。なお、説明の都合上、図4における左方をスピーカユニットの前方とし、右方を後方として説明を行う。
【0029】スピーカ31には、広く一般に普及している汎用のスピーカを使用している。本実施の形態では、汎用のスピーカ31として、その振動板(コーン紙)が真円をなすスピーカ31を使用しているが、勿論、振動板が楕円形をなすスピーカなどを採用してもよい。また、振動板がコーン紙にて形成されるスピーカのみならず振動板が金属繊維などにて形成されるスピーカなどその形状及び種類は任意に変更することができる。」
記載事項4
「【0032】スピーカ31の前方には、スピーカ31の口径と略同径に形成された円板状のプリント配線基板(支持部材)41が配置されている。プリント配線基板41は、スピーカ31の周囲に貼り付けられたゴムブッシュ35を介してスピーカ31の前面側に固定されており、スピーカ駆動時の振動がプリント配線基板41に直に伝達されないよう配慮がなされている。そして、このプリント配線基板41上には発光体となるLED(発光ダイオード)40が複数設けられている。
【0033】LED40は、プリント配線基板41の中央から放射状に所定間隔をあけて複数設けられ、各LED40はプリント配線基板41に設けられたターミナル42と結線されている。なお、ターミナル42は、制御装置8における演出制御回路基盤と接続されており、プリント配線基板41上に配置されるLED40は演出制御回路基盤からの電力供給を受けて点灯される。なお、ターミナル42からスピーカユニット30の外部に延びる配線42aは、上記したカバー体32の鍔部33に形成された切欠き部分33bとレンズカバー50との間を通り、演出制御回路基盤に接続されている。
【0034】なお、演出制御回路基盤では、スピーカ31の出力と同期させるようにLED40の明るさを変化させる制御がなされている。すなわち、スピーカ31から発せられる音が大きい時に、全てのLED40を同時に点灯させると共に、スピーカ31から発せられる音が小さい時には、点灯しているLED40の個数を減らして明るさの調節を行っている。このためあたかも音が光っているかのように遊技者に錯覚させることができる。
【0035】なお、LED40の発光動作は、上記した例にとどまらず、所定の組み合わせにて図柄7cが揃ったことを受けて一定時間点滅させる発光動作や、特別遊技状態に遊技が移行したことを受けて所定時間連続点灯させる発光動作など、その発光動作の制御は任意に変更できる。
【0036】また、プリント配線基板41には、LED40が配設される箇所を避けて複数の透音孔43(開口)が設けられ、プリント配線基板41の背後に設けられるスピーカ31の音が該プリント配線基板41によって遮られないよう配慮がなされている。そして、これらLED40が配設されたプリント配線基板41及びスピーカ31の前面を覆うようにレンズカバー50(被覆体)が設けられている。
【0037】レンズカバー50は、透明又は半透明の合成樹脂材料にて形成されており、その形状は有底筒状をなしている。そして、スピーカ31の後方に取り付けられたカバー体32と係合してスピーカ31の前面側を覆う構造となっている。なお、レンズカバー50の縁には、カバー体32の鍔部33と係合する爪51が複数設けられており、レンズカバー50は、この爪51によってカバー体32に着脱自在に固定されている。」
記載事項5
「【0040】また、有底筒状をなすレンズカバー50の底に相当するレンズ53には、その中心から同心円状に広がる複数のスリット53aが設けられている。また、このレンズ53は2層構造をなし、表面に露出したレンズ53の下層には第2層目となるレンズ54が所定の間隔をあけて設けられている。また、第2層目のレンズ54にも、表層のレンズ53と同様に、その中心から同心円状に広がる複数のスリット54aが形成されている。なお、この第2層目のレンズ54に形成されるスリット54aは、表層に形成されたスリット53aとその長さ及び幅とも同寸法に形成され、且つ表層のレンズ53に形成されたスリット53aと重ならないように配置されている。
【0041】すなわち、表層に形成されたスリット53aと第2層目に形成されたスリット54aは互い違いに設けられている。このためレンズカバー50内に収容されたLED40からの直接光は、これら互い違いに形成されたスリット53a、54aにて遮られ、レンズ部分53、54を介しての間接的な光となる。
【0042】また、スピーカ31から発せられる音は、これら表層及び下層に形成されたスリット53a、54a間を抜けてレンズカバー50外に導かれている。すなわち、このスリット53aとスリット54aとの間に形成される間隙がレンズカバー50における透音孔に相当する。なお、スリット53aとスリット54aはその切れ目にて互いに連結している。すなわち表層のレンズ53と第2層目のレンズ54は一体成形にて製作されている。」
記載事項6
「【0045】なお、本実施の形態では、スロットマシンを例に挙げ説明を行ったが、弾球を用いて遊技が行われるパチンコ機や、画像操作を主体として遊技が進行されるアーケードゲーム類、さらにはバーチャルリアリティーを体感できるアミューズメント機など、上記した照明機能付きスピーカユニットの取付対象となる遊技機は特に限定されない。なお、各種遊技機におけるスピーカの取付位置は任意であるが、パチンコ機では、表枠の側方などに設けるとよい。また、アーケードゲーム類及びアミューズメント機などにおいては、画面上方に設けるのが好ましい。」
記載事項7
「【0048】また、本実施の形態に説明したレンズカバー50では、その前方側(レンズ53側)からスピーカ31を直接視認できないよう2重構造をなすレンズカバー50を使用しているが、図12及び図13に示すように単に一層のレンズ58aにて形成されたレンズカバー58を採用してもよい。なお、このレンズカバー58に透音孔58bを設ける際には、スピーカ31とレンズカバー58との間に設けられるLED40の正面を避けて透音孔58bを配置するとよい。この場合、LED40の光がレンズ58aを通して間接的に視認可能となる。
【0049】また、LED40が設けられるプリント配線基板41に関しては、そのプリント配線基板41における透音孔(開口)の大きさを変更して音の透過率を変更してもよい。なお、図14は、開口率23%としたプリント配線基板41の実施例である。ここで開口率とは透音孔の面積がプリント配線基板41の表面積にしめる割合を意味しており、開口率が高いほど音の透過率が高くなる。また、図15は、開口率38%の基盤であり、図16は、開口率47%のプリント配線基板41の実施例である。」
記載事項8
「【図面の簡単な説明】
・・・【図12】本発明に係るスピーカユニットの他の実施例を示す正面図。」
記載事項9
図12には、正面視で円形状のレンズカバー58と、レンズカバー58に設けられ、レンズカバー58の中心から同心円状に広がるような間隔で配置された複数の略円形状の透音孔58bが図示されている。
記載事項10
図13は、本願実施の形態のレンズカバー58を一層のレンズ58aにて形成した変形例であり、同図には、図12におけるレンズカバー58、プリント配線基板41の断面形状が図示されている。
記載事項11
図4、図12?図16には複数のLED40が図示されている。

上記記載事項1乃至11の記載及び図示から、甲第4号証には以下の技術が開示されているものと認定できる。

a.記載事項3の段落【0029】の「汎用のスピーカ31として、その振動板(コーン紙)が真円をなすスピーカ31を使用している」との記載から、甲第4号証に記載の発明の実施形態には、円形状(真円)のスピーカ31が開示されているものと認められる。
さらに、記載事項4の段落【0035】の記載から、遊技状態に応じてLED40を発光動作させることが開示されており、記載事項4の段落【0034】の記載から、演出制御回路基板がスピーカ3の出力とLED40の発光動作とを同期させて、遊技者に、あたかも音が光っているかのような錯覚をさせることが開示されており、さらに、記載事項11から、図4、図12?図16には複数のLED40が図示されている。
以上のことから、甲第4号証には、「遊技状態に応じて音を出音する円形状のスピーカ31」及び、「遊技状態に応じて発光する複数のLED40」が開示されているものと認められる。
b.甲第4号証に記載の発明の実施形態における、「レンズカバー50」は、記載事項4の段落【0037】の記載から、スピーカ31の前面側を覆う透明性の材料が選択でき、記載事項5の段落【0040】、【0042】の記載から、レンズカバー50に形成されたスリット53a、54aは、スピーカ31より出音される音を通す機能を有しているものと認められる。
さらに、スリット53a、54a、及び、2重構造をなすレンズカバー50に代えて、記載事項7の段落【0048】の記載による、図12、図13に示された、透音孔58b、及び、一層のレンズにて形成されたレンズカバー58を採用した場合には、記載事項9における図12に図示された、レンズカバー58が正面視で円形状である点、及び、透音孔58bが略円形状である点も踏まえると、甲第4号証には、「スピーカ31より出音される音を通す正面視で略円形状に形成され、かつレンズカバー58の中心から同心円状に広がるような間隔で配置された複数の透音孔58bを有し、スピーカ31を覆う透光性の材料からなる正面視で円形状のレンズカバー58」が開示されているものと認められる。
c.図12については、甲第4号証明細書の【図面の簡単な説明】には、「本発明に係るスピーカユニットの他の実施例を示す正面図」との記載があるが、どの位置を視点とした正面図なのかが明確には記載がなく、例えば、図13におけるレンズカバー58の外側上面から見た図なのか、レンズカバー58とプリント配線基板41との間から見た図なのか記載がない。
また、図13については、プリント配線基板41に斜線のない空白部分と斜線部分とが交互に記載されているが、この空白部分、斜線部分について明細書及び図面には何ら説明がなされておらず、この空白部分が透音孔であるとの直接的な記載がない。
しかしながら、図12については、58bの記載があることから、レンズカバー58の外側上面から見た図と理解でき、図13については、斜線部分に対して空白部分を透音孔58bとして図示しているので、これにならって、プリント配線基板41の空白部分は透音孔43とし、そして、透音孔58bとプリント配線基板41の透音孔43が図13の断面状それぞれ対応した位置にあるものと認定できる。さらに、これ以外の、図12のE-E’を除いた透音孔58bがある位置については、透音孔58bに対応するように、プリント配線基板41に透音孔43が空いてあるかどうか不明であるが、E-E’のみに、スピーカ31からの音を通す透音孔43が透音孔58bに対応するように空いてあって、他の場所には透音孔43が空いていない、若しくは、空いていても透音孔58bに対応していないというのも、記載事項4の段落【0036】の「プリント配線基板41には、・・・複数の透音孔43(開口)が設けられ、プリント配線基板41の背後に設けられるスピーカ31の音が該プリント配線基板41によって遮られないよう配慮がなされている。」との記載からして不自然であるから、E-E’を除く透音孔58bの位置についても同様にプリント配線基板41には透音孔58bに対応する透音孔が空いているものと認定できる。
そして、上記認定をした場合において、レンズカバー58の外側上面側から見た際に、図12では、透音孔43が見えないことから、レンズカバー58に設けられた透音孔58bとプリント配線基板41に設けられた透音孔43とは、径、配置間隔が同一であるものと認定する。
さらに、図13には、レンズカバー58の透音孔58bの間に配設された複数のLED40が図示されており、上で認定したとおり、プリント配線基板41に設けられた透音孔43が、透音孔58bに対応する位置に透音孔58bと同一径で配置されているから、複数のLED40が透音孔43の間に配置されているものと認定する。
また、図12、図13におけるレンズカバー58とプリント配線基板41との配置関係及び、記載事項7の段落【0048】の「スピーカ31とレンズカバー58との間に設けられるLED40」の記載から、プリント配線基板41はスピーカ31とレンズカバー58との間に設けられているものと認められる。

以上の記載事項1乃至11、及び、a.?c.の認定事項から、甲第4号証には、以下の発明が記載されているものと認定する。
「遊技状態に応じて音を出音する円形状のスピーカ31と、
このスピーカ31より出音される音を通す正面視で略円形状に形成され、かつレンズカバー58の中心から同心円状に広がるような間隔で配置された複数の透音孔58bを有し、スピーカ31を覆う透光性の材料からなる正面視で円形状のレンズカバー58と、
このレンズカバー58に形成された複数の前記透音孔58bと同一の径および配設間隔で形成された、前記スピーカ31より出音される音を複数の前記透音孔58bへ通す複数の透音孔43を有したプリント配線基板41に遊技状態に応じて発光する複数のLED40が透音孔43の間に配設された、前記スピーカ31と前記レンズカバー58との間に設けられたプリント配線基板41と
により構成されるスピーカユニット30を備えた遊技機1。」(以下「甲4発明」という。)

3.当審の判断
(1)本件発明1について
(イ).本件発明1と甲4発明との対比
本件発明1と甲4発明とを対比すると、
甲4発明の「スピーカ31」は本件発明1の「スピーカ」に相当し、以下同様に、
「複数の透音孔58b」は「複数の透音孔」に、
「レンズカバー58」は「スピーカカバー」に、
「プリント配線基板41」は「基板」及び、「光源」に、
「LED40」は「発光体」に、
「複数の透音孔43」は「複数の透音部」に、
「スピーカユニット30」は「スピーカユニット」に、各々相当する。

そうすると、両者は、
「遊技状態に応じて音を出音する円形状のスピーカと、
このスピーカより出音される音を通す複数の透音孔を有し,前記スピーカを覆う透光性の材質からなるスピーカカバーと、
前記スピーカより出音される音を複数の前記透音孔へ通す複数の透音部を有した基板に遊技状態に応じて発光する複数の発光体が前記透音部の間に配設された,前記スピーカと前記スピーカカバーとの間に設けられた光源と
により構成されるスピーカユニットを備えた遊技機。」の点で一致し、以下の点(相違点1?3)で相違している。

[相違点1]
スピーカカバー設けられた「透音孔」が、本件発明1では、「正面視で横方向にスリット状に延設され、かつ縦方向に等間隔に配置され」ているのに対し、甲4発明では、「正面視で略円形状に形成され、かつレンズカバー58の中心から同心円状に広がるような間隔で配置され」ている点
[相違点2]
スピーカカバーの形状が、本件発明1では、「方形状」となっているのに対し、甲4発明では、レンズカバー58の形状が「円形状」となっている点
[相違点3]
本件発明1では、「前記透音孔および透音部は、前記スピーカの放音部を開口する面積が少なくとも前記放音部の面積の半分を占める」のに対し、甲4発明では、プリント配線基板41に設けられた「透音孔43」及びレンズカバー58に設けられた「透音孔58b」による「スピーカ31」の放音部を開口する面積について記載がない点

(ロ).相違点の判断
[相違点1について]
スピーカカバーに、スピーカより出音される音を通すために、正面視で横方向にスリット状に延設され、かつ縦方向に等間隔に複数の透音孔を配置する構成は、甲第5号証乃至甲第11号証に記載されているように、本願出願前に既に周知であり、また、本件発明1において、スピーカカバーに設けられた透音孔を相違点1に係る構成のようにすることに、格別な技術的意義を有するものはない。
よって、相違点1に係る構成は、甲4発明において、課題解決のための具体的手段における微差でしかない。
[相違点2について]
スピーカカバーをどのような形状とするかは、デザインなどの必要性に応じて設計されるものであり、また、本件発明1において、スピーカカバーの形状を相違点2に係る方形状とすることに、格別な技術的意義を有するものはない。
よって、スピーカカバーを方形状とするか、円形状とするかは、課題解決のための具体的手段における微差でしかない。
[相違点3について]
記載事項4の段落【0032】には「スピーカ31の前方には、スピーカ31の口径と略同径に形成された円板状のプリント配線基板(支持部材)41が配置されている。」との記載があり、スピーカ31の「振動板(コーン紙)」(以下、「コーン紙」という。)(甲第4号証の「振動板」若しくは「コーン紙」は本件発明1の「スピーカの放音部」に相当)とスピーカ31の口径とがどのような関係になっているのか記載がないが、仮に、コーン紙とスピーカの口径とが一致しているとしても、一実施例を図示する図12、図13に図示された透音孔58bは、プリント配線基板41に対して、50%よりも相当下回る開口面積を有することは明白であり、図12、図13から、プリント配線基板41やコーン紙に占める透音孔43,58bの面積を少なくとも半分占めることを想定していたものとは認められず、また、図12、図13に図示された発明の実施の形態を説明する段落【0048】には、透音孔58bを、プリント配線基板41に対して、少なくとも50%の開口面積を有するように改変するための動機付けとなる記載はない。
また、甲第4号証の段落【0048】(図12、図13参照)における、レンズカバー50を一層のレンズ58aにて形成した実施例(以下、「一実施例)という。)に対し、この一実施例とは別の実施例(以下、「別実施例」という。)として、段落【0049】(図14?図16参照)には、開口率を23%、38%、47%としたものが記載されており、さらに、同段落には「そのプリント配線基板41における透音孔(開口)の大きさを変更して音の透過率を変更してもよい。」、「開口率が高いほど音の透過率が高くなる」(段落【0049】)との記載がある。
しかしながら、別実施例は、一実施例を前提としたものではなく、一実施例と別実施例とを組み合わせたものまで開示されているものとは認められないが、仮に、このような組み合わせについても開示されているものと認定した場合について下記に検討する。
上記「c.」にて、甲第4号証の図12には、レンズカバー58に設けられた透音孔58bとプリント配線基板41に設けられた透音孔43の径、配置間隔が一致したものが図示されていると認定したが、一実施例を説明する段落【0048】には、これらの径、配置間隔を一致させたことが記載されておらず、さらに、この一実施例以外の実施の形態の説明においても、レンズカバーの透音孔とプリント配線基板41の透音孔43の径、配置間隔を一致することが記載されていないから、図12のレンズカバー58に設けられた透音孔58bとプリント配線基板41に設けられた透音孔43の径、配置間隔は、意図的に一致させたものではなく、たまたま、一致したものが図示されているものとみるのが自然である。
よって、段落【0049】に記載の開口率の定義から、開口率は、スピーカ31の放音部の面積に対するプリント配線基板41に設けられた透音孔43によるスピーカ31の放音部を開口する面積の割合とはいえないものの、「そのプリント配線基板41における透音孔(開口)の大きさを変更して音の透過率を変更してもよい。」、「開口率が高いほど音の透過率が高くなる」(段落【0049】)との記載から、プリント配線基板41に設けられた透音孔43によるスピーカ31の放音部を開口する面積が、少なくともスピーカ31の放音部の面積の半分を占めるように、プリント配線基板41に設けられた透音孔43を改変することが仮に想定できたとしても、レンズカバー58に設けられた透音孔58bの径および配置間隔においても同様に、プリント配線基板41に設けられた透音孔43の径及び配置間隔と同一となるように改変することまで想定できたものとは認められない。
したがって、相違点3に係る本件発明1の構成は、甲4発明において、課題解決のための具体的手段における微差であるとすることはできず、甲4発明は本件発明1と実質同一であるとは認められない。

(2)本件発明2乃至4について
本件発明2乃至4は、本件発明1乃至3のいずれかを引用するものであるから、本件発明1が、甲4発明と同一であるとすることができない以上、甲4発明と同一であるとすることができない。

第6 無効理由2についての検討
1.甲第1号証に記載された発明
甲第1号証(特開平11?333060号公報)は、本件出願日より前に出願公開された公開特許公報であり、次の事項が記載、または、図示されている。

記載事項1
「【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平8-23597号に開示される発明は、スピーカを構成する振動板(コーン)や該振動板の前面を覆うセンターキャップにEL表示層を積層して形成したものであるため、その製造コストが極めて高いという欠点があった。本発明は、上記した事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、スピーカの配置領域も光で装飾して装飾効果を高めることができる遊技機を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成するために本発明が採用した解決手段を図面を参照して説明すると、請求項1の発明においては、図1及び図16に示すように、遊技者の視認し得る前面にスピーカ308が設けられる遊技機1において、前記スピーカ308は、その前面を透音孔を有するスピーカ保護カバーとしてのパンチメタル315が一体的に取り付けられる透光性合成樹脂製のカバー体としてのレンズカバー312で被覆されると共に、そのレンズカバー312で覆われる領域のうち前記スピーカ308の配置位置を除く領域に発光部材としてのLED基板303を配置し、前記LED基板303から発せられる光が前記レンズカバー312及びパンチメタル315を介して遊技者から視認し得るようにしたことを特徴とするものである。このように構成することにより、遊技者から見て明らかにスピーカの前面を覆っていることが理解できるパンチメタル315やレンズカバー312を介してLED基板303のLEDから発せられる光を視認することができるので、装飾効果を高めることができると共に、スピーカ308自体も通常の構造のスピーカを使用すれば良いので、製造コストが高くなるということはない。」
記載事項2
「【0007】更に、請求項4の発明においては、図1に示すように、前記透明板保持枠4の前記スピーカ取付領域301を除く前記透視窓5に沿って光を透過するレンズカバー323を配置し、前記カバー体としてのレンズカバー312及びスピーカ保護カバーとしてのパンチメタル315と前記レンズカバー323とによって前記透視窓5に沿って光装飾領域を形成したことにより、遊技盤16の遊技領域を囲むように光装飾領域を形成することができ、より効果的に装飾効果を高めることができる。」
記載事項3
「【0095】まず、透明板保持部の構成について説明すると、その前面側上部左右にスピーカ308を配置する領域を規制するスピーカ取付リブ301が突設されている。このスピーカ取付リブ301は、ブーメラン形状をしており、そのほぼ中央にスピーカ308の後端部が収納される有底状のスピーカ収納凹部302が形成されている。また、このスピーカ収納凹部302を除くスピーカ取付リブ301内の領域には、多数のLEDが実装されたLED基板303が取り付けられるようになっている。LED基板303の取付は、スピーカ取付リブ301によって囲まれる領域(以下、この領域をスピーカ取付領域という)内に突設される基板取付ボス304にLED基板303に穿設される取付穴(符号なし)を一致させてビス305を止着することにより行う。また、スピーカ取付領域には、LED基板303にコネクタ接続されるLED配線306を透明板保持枠4の裏面側に導く配線通し穴307と、後述するレンズカバー312を裏面から止着するための止め穴319と、レンズカバー312に取り付けられるスピーカ308のスピーカ配線321を透明板保持枠4の裏面側に導く配線通し穴322と、が形成されている。
【0096】一方、上記したスピーカ取付リブ301に取り付けられるスピーカ308は、透光性合成樹脂によって成形されるレンズカバー312の裏面にスピーカ取付カバー309を介して取り付けられる。レンズカバー312は、前記スピーカ取付リブ301の外周形状とほぼ同じ外周形状をしており、透明板保持枠4に取りつけられた状態でスピーカ取付リブ301を内部に収納するようになっている。また、レンズカバー312は、その中心に円形状の開口313が開設されると共に、その裏面側の開口313の周囲に3つのスピーカ取付ボス314が突設され、このスピーカ取付ボス314にスピーカ取付カバー309がビスによって止着されるようになっている。スピーカ取付カバー309は、その内部にスピーカ308を収納するようにすり鉢状に形成され、その外周の適宜箇所に突設された取付片310を上記したスピーカ取付ボス314に一致させてビスで螺着する。そして、スピーカ取付カバー309をレンズカバー312に止着した状態においては、スピーカ308のスピーカコーンが前記開口313に対面すると共にスピーカ308の前端面が開口313の周囲に当接すると共にスピーカ308の後端面がスピーカ取付カバー309に当接した状態、即ちスピーカ308がレンズカバー312とスピーカ取付カバー309とに挟持された状態で保持されることになる。なお、スピーカ取付カバー309には、スピーカ308から延びるスピーカ配線321を引き出すための配線引き出し切欠311が形成されている。
【0097】上記のようにスピーカ308を裏面側から取り付けられるレンズカバー312には、その前面にブーメラン形状のパンチメタル315が止着されるようになっている。このパンチメタル315は、多数の透音孔が形成されており、その周囲に一体的に形成される止め片316をレンズカバー312に形成される嵌込溝317に表側から差し込んで裏側で折り曲げることにより装着することができるものである。このように、本実施形態においては、スピーカ308を保護するパンチメタル315をレンズカバー312の表側から取り付けると共に、スピーカ308を取り付けるスピーカ取付カバー309をレンズカバー312の裏側から取り付けてユニット化して構成しているものである。そして、このように予めユニット化されたレンズカバー312を透明板保持枠4に取り付けるには、レンズカバー312の裏面に突出される取付ボス318を前記止め穴319に対応させて透明板保持枠4の裏面側からビス320で止着することにより簡単に組み付けることができる。なお、スピーカ308を保護する部材としてパンチメタル315を例示したが、パンチメタル315でなくても透音孔が形成されるものであれば、合成樹脂や金網状のもので形成されたものでも良い。
【0098】以上、透明板保持枠4へのスピーカ308の取付構造について説明したが、本実施形態によれば、スピーカ308は、その前面を透音孔を有するパンチメタル315が一体的に取り付けられる透光性合成樹脂製のレンズカバー312で被覆されると共に、そのレンズカバー312で覆われる領域のうちスピーカ308の配置位置を除く領域に多数のLEDが実装されるLED基板303を配置し、該LED基板303から発せられる光がレンズカバー312及びパンチメタル315を介して遊技者から視認し得るようにしたことにより、遊技者から見て明らかにスピーカ308の前面を覆っていることが理解できるパンチメタル315やレンズカバー312を介してLED基板303のLEDから発せられる光を視認することができるので、装飾効果を高めることができると共に、スピーカ308自体も通常の構造のスピーカを使用すれば良いので、製造コストが高くなるということはない。
【0099】また、LED基板303は、透明板保持枠4の表側に形成されるスピーカ取付領域を構成するスピーカ取付リブ301の内側にビス305で着脱自在に取り付けられる一方、スピーカ308及びパンチメタル315が予めユニット化されたレンズカバー312をスピーカ取付リブ301を被覆するようにビス320で着脱自在に取り付けたことにより、遊技盤16の周囲である透明板保持枠4を発光器付きスピーカを配置するので装飾効果を高めることができると共に、スピーカ取付リブ301内にLED基板303を止着した後、ユニット化されたレンズカバー312を止着するだけであるため、簡単に組み付けることができ、更に、ユニット化されたレンズカバー312やLED基板303の交換も簡単に行うことができる。
【0100】また、パンチメタル315をレンズカバー312の表側から止め片316を嵌込溝317に差し込むことにより装着し、スピーカ308をレンズカバー312の裏側からスピーカ取付カバー309によって着脱自在に装着することによりユニット化したので、仮にスピーカ308の交換が必要になった場合でも、レンズカバー312を透明板保持枠4から外し、その後、スピーカ取付カバー309を外すことによって簡単に交換することができる。
【0101】また、透明板保持部には、上記したスピーカ308を内蔵したレンズカバー312の他に、円形透視窓5の外周に沿って前面枠3の前記ランプ基板89に対応する位置に光を透視し得る着色した合成樹脂で形成されるランプ用レンズカバー323が取り付けられている。このランプ用レンズカバー323は、透明板保持枠4に形成された開口に係止爪(ともに図示しない)によって前方から着脱自在に装着されるものである。そして、このようにランプ用レンズカバー323を配置することによって前記レンズカバー312及びパンチメタル315とレンズカバー323とによって円形透視窓5に沿って光装飾領域を形成することができるため、遊技盤16の遊技領域22を囲むように光装飾領域を形成することができ、より効果的に装飾効果を高めることができる。」
記載事項4
「【0123】更に、上記した実施形態の説明では、LED基板303、スピーカ308を駆動制御するものとして遊技制御基板ボックス33に収納される遊技制御基板であるとして説明したが、これらのLED基板303、スピーカ308を制御する装飾専用制御基板を設け、その装飾専用制御基板を遊技盤16の裏面に取り付けてもよい。また、本実施形態では、遊技制御基板と賞球払出制御基板73とを別体に構成し、それぞれ別々の基板ボックスに収納して取り付けたものを示したが、これらの基板を1つの基板ボックスに収納したものでも良い。また、遊技機として弾球遊技機1を例示したが、玉を弾発しないスロットマシンやテレビゲーム機等の遊技機であってもよい。」
記載事項5
図16には、開口313が1つ開設された「レンズカバー312」、及び、パンチメタル315に設けられた多数の透音孔が図示されている。

2.引用刊行物(甲第1号証)に記載される発明
平成21年10月8日に開催された口頭審理において、請求人は、「甲第1号証の図16中の「レンズカバー312」の部材のみが、請求項1に係る「スピーカカバー」に対応する」と主張したので、この主張に基づき下記のとおり甲1発明の認定及び対比を行う。

上記摘記した上記の記載や図面等によれば、甲第1号証には、
「スピーカ308と、
中心に円形状の開口313が1つ開設された透光性合成樹脂製のレンズカバー312と、スピーカ308のスピーカコーンが開口313に対面すると共にスピーカ308の前端面が開口313の周囲に当接し、
スピーカ収納凹部302を除く透明板保持部のスピーカ取付リブ301内の領域には、多数のLEDが実装されたLED基板303が取り付けられた透明板保持部を備えた弾球遊技機1。」
の発明(以下「甲1発明」という。)が開示されているものと認められる。

3.当審の判断
(1)本件発明1について
(イ).本件発明1と甲1発明との対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、
甲1発明の「スピーカ308」は本件発明1の「スピーカ」に相当し、以下同様に、
「レンズカバー312」は「スピーカカバー」に、
「LED基板303」は「基板」、及び、「光源」に、
「多数のLED」は「複数の発光体」に、
「実装された」は「配設された」に、
「透明板保持部」は「スピーカユニット」に、
「弾球遊技機1」は「遊技機」に、各々相当する。

さらに、甲第1号証の記載等からみて、以下のことが言える。
a.甲第1号証には、「スピーカ308」をどのようなときに、どのように出音するのかが記載されていないが、弾性遊技機に取り付けられたスピーカであれば、このスピーカは、弾性遊技機の遊技状態に応じて音を出音するものであることは、遊技機の分野において自明であるから、甲1発明の「スピーカ308」と、本件発明1「スピーカ」とは、「遊技状態に応じて発音するスピーカ」の点で共通する。
b.甲1発明の「レンズカバー312」の開口313は、スピーカ308のスピーカコーンが対面するように構成されており、「レンズカバー312」は透光性合成樹脂製からなるものであるから、甲1発明と本件発明1とは、「このスピーカより出音される音を通す透音孔を有し、透光性の材質からなるスピーカカバー」の点で共通する。
c.甲第1号証には、「多数のLED」をどのようなときに、どのように発光するのかが記載されていないが、甲第1号証の段落【0004】には、「遊技者から見て明らかにスピーカの前面を覆っていることが理解できるパンチメタル315やレンズカバー312を介してLED基板303のLEDから発せられる光を視認することができるので、装飾効果を高めることができる」との記載から、LEDから発せられる光が装飾効果を高める機能を有することが開示されているものと認められ、弾性遊技機に取り付けられた、装飾効果を高めるための発光体は、通常、遊技状態に応じて発光するものであることは、遊技機の分野において自明であるから、甲1発明の「多数のLED」と、本件発明1の「発光体」とは、「遊技状態に応じて発光する複数の発光体」の点で共通する。
そうすると両者は、
「遊技状態に応じて音を出音するスピーカと、
このスピーカより出音される音を通す透音孔を有し、透光性の材質からなるスピーカカバーと、
遊技状態に応じて発光する複数の発光体が配設された光源と
により構成されるスピーカユニットを備えた遊技機。」の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
本件発明1の「スピーカ」は「円形状」であるのに対し、甲1発明の「スピーカ308」が円形状であるか否かが不明な点
[相違点2]
本件発明1の「スピーカカバー」の「複数の透音孔」は、「このスピーカより出音される音を通す正面視で横方向にスリット状に延設され、かつ縦方向に等間隔に配置され」ているのに対し、甲1発明の「レンズカバー312」の「開口313」は、1つであり、その形状が円形状である点
[相違点3]
本件発明1の「スピーカカバー」は「スピーカ」を覆っているのに対し、甲1発明の「レンズカバー312」は、「スピーカ308のスピーカコーンが開口313に対面すると共にスピーカ308の前端面が開口313の周囲に当接し」ており、「スピーカ308」を覆っていない点
[相違点4]
本件発明1の「スピーカカバー」の形状が「方形状」であるのに対し、「レンズカバー312」の形状が方形状ではない点
[相違点5]
本件発明1の「基板」は、「このスピーカカバーに形成された複数の前記透音孔と同一のスリット幅および配設間隔で形成された,前記スピーカより出音される音を複数の前記透音孔へ通す複数の透音部」を有するのに対し、甲1発明では、「LED基板303」(本件発明の「基板」に相当)には、「透音部」が設けられていない点
[相違点6]
本件発明1の「複数の発光体」は、「前記透音部の間に配設され」ているのに対し、上記相違点5で述べたとおり、甲1発明では、「透音部」が設けられていない点
[相違点7]
本件発明1の「光源」は、「前記スピーカと前記スピーカカバーとの間に設けられ」ているのに対し、甲1発明では、「LED基板303」(本件発明の「光源」に相当)は、このような構成になっていない点

(ロ).相違点の判断
[相違点1について]
甲第1号証の段落【0098】には、「スピーカ308自体も通常の構造のスピーカを使用すれば良い」との記載があり、通常のスピーカとして円形状の構造のものがよく使用されていることは自明であるから、甲1発明のスピーカ308を円形状の構造とすることは、当業者にとって格別な困難性はない。
[相違点2、3について]
相違点2、3は、関連するのであわせて検討する。
甲第1号証の段落【0004】の記載及び段落【0098】の記載から、開口313は、透音孔を有するパンチメタル315にて覆われているものと認められ、この透音孔はスピーカ308より出音される音を通す機能を有するものと認められる。
よって、開口313を覆うパンチメタル315に、スピーカ308より出音される音を通す機能を備えていることから、あえて、レンズカバー312の開口313の形状を、「正面視で横方向にスリット状に延設され、かつ縦方向に等間隔に配置された複数の透音孔」に変える必要性及び動機付けはない。
よって、相違点2、3に係る構成を甲1発明の「レンズカバー312」に適用することは、当業者にとって容易に想到しうるものとは認められない。

なお、請求人は、甲第1号証の段落【0004】の記載から、「スピーカ308は、・・・レンズカバー312で被覆され」ているから、「レンズカバー」は「スピーカを覆う」ものである、と主張しているが、段落【0004】には、「前記スピーカ308は、その前面を透音孔を有するスピーカ保護カバーとしてのパンチメタル315が一体的に取り付けられる透光性合成樹脂製のカバー体としてのレンズカバー312で被覆される・・・このように構成することにより、遊技者から見て明らかにスピーカの前面を覆っていることが理解できるパンチメタル315」と記載されているので、同段落の記載によれば、「レンズカバー312」のみで「スピーカ」を覆っているのではなく、パンチメタル315を含めたレンズカバー312にてスピーカ308を覆っており、スピーカの前面を覆っているのは、パンチメタル315であることから、請求人の上記主張は誤りである。
[相違点4について]
スピーカカバーをどのような形状とするかは、デザインなどの必要性に応じて設計されるものであり、また、本件発明1において、スピーカカバーの形状を相違点4に係る方形状とすることに、格別な技術的意義を有するものはない。
よって、甲1発明の「レンズカバー312」を方形状とすることは、当業者にとって単なる設計上の変更にすぎない。
[相違点5、6、7について]
相違点5、6、7については、関連するのであわせて検討する。
甲第1号証の段落【0095】の記載から、スピーカ308は、スピーカ収納凹部302にスピーカ308の後端部が収納され、LED基板303は、スピーカ収納凹部302を除く領域に取り付けられたものであり、図16には、透光性合成樹脂からなるレンズカバー312のブーメラン形状に対応するように、LED基板303が配設されている点が図示されている。この構成によって、LED基板303に実装されたLEDの光は直接レンズカバー312に照射することで、スピーカの周囲を照明するようになっており、あえて、スピーカ308の前面にLED基板303を配置する必要性及び動機付けはない。
一方、請求人は、「スピーカカバー」、「スピーカ」、「光源」の配置関係について、甲第3号証に記載の構成は、「スピーカカバー」が「スピーカ」および「光源」を覆うという基本的な構成では、本件発明1と共通しており、この点が共通していれば取り付け方法等が多少相違するとしても発明の作用効果に影響を与えるものではなく、また、第3図(b)に示された複数の「取付基板5」を一枚の基板を分割したものであるとして見れば、それぞれの「取付基板5」の間隔を透音部と見ることができる、旨主張している。
しかしながら、仮に、甲第3号証に記載された構成に基づき、スピーカ308の前面に2つのLED基板303を配置することが当業者にとって容易に想到しうるものであったとしても、甲第3号証に記載の「取付基板5」は、スピーカカバー4aの内側に設けられた凸条4fの溝内に仕切られるように埋設しており、また、「スピーカカバー4a」は、図3に図示されているように、全体的に凸状に湾曲しており、この湾曲により、「取付基板5」は、異なる平面に配置され、さらに、「取付基板5」を一枚の基板とする示唆もないから、「取付基板5」を一枚の基板とし、その基板に開口する透音部を複数設けることは、当業者にとって想定できるものではない。
また、甲第2号証には(段落【0016】参照)、スピーカ13の発した音質等を変化させないようにするために、「磁気シールド部材」(本件発明1の「基板」に相当)に「スピーカカバー」の「多数の小孔」(本件発明1の「透音孔」に相当)の形状と同一に形成された「多数の挿通孔」が記載されており、この「磁気シールド部材」の「多数の小孔」を甲1発明に適用することも考えられるが、甲第2号証の「磁気シールド部材」は、「スピーカカバー」に直接ビスまたは、接着剤で取り付けられるのもの(段落【0016】参照)であるから、「磁気シールド部材」に発光素子等の何らかの部材を「磁気シールド部材」と「スピーカ308」との間に配置することは想定できず、甲第2号証の「磁気シールド部材」の「多数の小孔」を甲1発明に適用した場合には、甲1発明の「レンズカバー312」のスピーカ308側に、「磁気シールド部材」を直接取り付けて配置することを想定するにとどまり、相違点5、6、7に係る構成を甲1発明に適用したものとはならない。
また、甲第3号証の「取付基板5」の形状を甲第2号証の「磁気シールド部材」に変えて、甲1発明に適用する場合も考えられるが、一般に「基板」とは、「電子部品を組み込むプリント板。また、集積回路を組み込むシリコンの単結晶板。」[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]であり、甲第2号証の「磁気シールド部材」は「基板」とはいえず、さらに、甲第2号証の「磁気シールド部材」の形状を甲第3号証の「取付基板5」に適用するための動機付けもない。
よって、甲第3号証の「取付基板5」の形状を甲第2号証の「磁気シールド部材」に変えて、甲1発明に適用し、相違点5、6、7に係る構成を設けることは、当業者にとって容易に想到しうるものではない。

したがって、相違点2、3、5、6、7に係る本件発明1の構成によって、本件発明1は、甲第1号証乃至甲第3号証、及び甲第5号証乃至甲第11号証、及び、周知の技術から、当業者が容易に想到しうるものとすることができない。

なお、甲第1号証の「レンズカバー312」に代えて「パンチメタル315」が、本件発明1の「スピーカカバー」に相当するものとして、甲1発明を認定した場合について、以下に検討する。
甲第1号証の「パンチメタル315」は、段落【0097】の記載から多数の透音孔を有しており、この透音孔の形状、配置間隔について明細書には記載がないものの、段落【0097】?【0098】、図16から、「パンチメタル315」は、スピーカ308の前面に配置され、かつ、レンズカバー312の開口313を覆っているものと認められるから、「パンチメタル315」の「透音孔」は、「スピーカ308より出音される音を通す」機能を有するものと認められる。
そして、本件発明1と甲1発明とを対比すると、上記「(イ).本件発明1と甲1発明との対比」で述べた[相違点5]?[相違点7]及び次の点においても相違する。
[相違点A]
本件発明1の「スピーカカバー」の材質は「透光性の材質からなる」のに対し、甲1発明の「パンチメタル315」の材質が「透光性」を有することが記載されていない点
[相違点Aについての判断]
甲第1号証の段落【0095】の記載から、スピーカ308は、スピーカ収納凹部302にスピーカ308の後端部が収納され、LED基板303は、スピーカ収納凹部302を除く領域に取り付けられたものであり、図16には、透光性合成樹脂からなるレンズカバー312のブーメラン形状に対応するように、LED基板303が配設されており、また、パンチメタル315は、スピーカ308を覆うように、レンズカバー312の開口313を塞いで取り付けられ、パンチメタル315の形状及び取付位置もレンズカバー312をそのまま縮小した形状及び位置に配設されている点が図示されている。
よって、パンチメタル315を介することなく、LEDの光は、レンズカバー312を通して遊技者に視認可能となっているので、あえて、パンチメタル315を透明にする必要性、動機付けは見あたらない。
したがって、パンチメタル315を透明にすることは、当業者にとって容易に想到しうるものとは認められない。

さらに、「(イ).本件発明1と甲1発明との対比」で述べた[相違点5]?[相違点7]と同じ相違点の判断は、上記「(ロ).相違点の判断」の[相違点5、6、7について]で述べた理由のとおりである。

よって、このように甲第1号証の「パンチメタル315」が、本件発明1の「スピーカカバー」に相当するものとして認定しても、本件発明1は、甲第1号証乃至甲第3号証、及び甲第5号証乃至甲第11号証、及び、周知の技術から、当業者が容易に想到しうるものとすることができない。

(2)本件発明2乃至4について
本件発明2乃至4は、本件発明1乃至3のいずれかを引用するものであるから、本件発明1が、甲第1号証乃至甲第3号証、及び甲第5号証乃至甲第11号証、及び、周知の技術から、当業者が容易に想到しうるものとすることができない以上、本件発明2乃至4に係る発明は、当業者が容易に想到しうるものとすることができない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び証拠方法によっては、本件請求項1乃至4に係る発明についての特許を無効とすることはできない。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】遊技状態に応じて音を出音する円形状のスピーカと、
このスピーカより出音される音を通す正面視で横方向にスリット状に延設され、かつ縦方向に等間隔に配置された複数の透音孔を有し,前記スピーカを覆う透光性の材質からなる方形状のスピーカカバーと、
このスピーカカバーに形成された複数の前記透音孔と同一のスリット幅および配設間隔で形成された,前記スピーカより出音される音を複数の前記透音孔へ通す複数の透音部を有した基板に遊技状態に応じて発光する複数の発光体が前記透音部の間に配設された,前記スピーカと前記スピーカカバーとの間に設けられた光源と
により構成されるスピーカユニットを備えた遊技機であって
前記透音孔および透音部は、前記スピーカの放音部を開口する面積が少なくとも前記放音部の面積の半分を占めることを特徴とする遊技機。
【請求項2】前記スピーカカバーは前記光源が発する光に作用するレンズからなることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】前記スピーカカバーは、機器の前面に設けられた電飾装置に連なるように配設されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】前記遊技機はスロットマシンまたは弾球遊技機であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊技状態に応じて発音するスピーカを備えた遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の遊技機としては例えばスロットマシンがある。
【0003】
図1は、従来の一般的なスロットマシン1の外観を示す正面図である。スロットマシン1の正面中央のパネル2には、表示窓3,4,5が形成されており、これら各表示窓3,4,5の背後には外周に各種図柄が描かれた3個のリール6,7,8が設置されている。遊技者によってメダル投入口9にメダルが投入され、スタートレバー10が操作されると、各リール6?8が回転し、各表示窓3?5には高速に移動する図柄が観察される。その後、遊技者によってストップボタン11,12,13が押圧操作されると、その操作タイミングに応じて各リール3?5が停止制御される。全リール3?5の停止時に所定の図柄組み合わせが有効化された入賞ライン14上に揃うと入賞が発生し、所定枚数のメダルがメダル受け皿15へ払い出される。
【0004】
このような従来のスロットマシン1においては、遊技状態に応じて音と光とによる演出が行われている。例えば、スタートレバー10が操作されて各リール6?8が回転する際、スピーカユニット16,16よりスタート音が出音される。スピーカユニット16は、図示しないスピーカと、その前部を覆う透音孔16aを有するスピーカカバー16bとから構成されている。また、リール6?8の回転中には、各リール6?8の背後に設けられた図示しないリールバックランプが点灯され、その前部の図柄が照明される。また、入賞発生時には、リールバックランプの点灯と共に、前面パネル2の上方に設けられたフラッシュライト17が発光制御され、スピーカユニット16,16からは入賞音が出音される。
また、メダルの払い出しの際には、スピーカユニット16,16よりメダル払出音が出音される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のスロットマシン1における、光による装飾的な演出は、前面パネル2の上方に設けられたフラッシュライト17とリールバックランプとによって主に行われており、スロットマシン1全体を見渡したとき、発光量が十分ではなく、視覚的刺激に乏しいものであった。
【0006】
一方、スロットマシン1の機器前面には、様々なスイッチ類やランプ類等が設けられているため、機器前面に新たに電飾装置を設けるスペースを確保することは困難である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、遊技状態に応じて音を出音
する円形状のスピーカと、
このスピーカより出音される音を通す正面視で横方向にスリット状に延設され、かつ縦方向に等間隔に配置された複数の透音孔を有し,スピーカを覆う透光性の材質からなる方形状のスピーカカバーと、
このスピーカカバーに形成された複数の透音孔と同一のスリット幅および配設間隔で形成された,スピーカより出音される音を複数の透音孔へ通す複数の透音部を有した基板に遊技状態に応じて発光する複数の発光体が前記透音部の間に配設された,前記スピーカと前記スピーカカバーとの間に設けられた光源と
により構成されるスピーカユニットを備えた遊技機であって
透音孔および透音部は、スピーカの放音部を開口する面積が少なくとも放音部の面積の
半分を占めることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、スピーカより放音された音は、光源が有する透音部を通り、スピーカカバーの透音孔を介して遊技機の外部へ放音される。また、光源より発せられた光は、透光性の材質からなるスピーカカバーを通って遊技機の外部へ放射される。
【0010】
また、透音孔および透音部は、スピーカの放音部を開口する面積が少なくとも放音部の面積の半分を占めるため、スピーカより放音された音は、光源およびスピーカカバーに遮蔽されて隠ることなく、遊技機外部へ放音される。
【0011】
また、本発明は、スピーカカバーが、光源が発する光に作用するレンズからなることを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、光源から発せられた光は、レンズの作用を受けて遊技機外部へ放射される。
【0013】
また、本発明は、スピーカカバーが、機器の前面に設けられた電飾装置に連なるように配設されることを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、既存の電飾装置の発光と、スピーカカバーに覆われた光源の発光とが連なり、機器前面における電飾領域は連続的に拡大する。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による遊技機をスロットマシンに適用した一実施形態について説明する。
【0016】
図2は本実施形態によるスロットマシン20の正面図である。
【0017】
スロットマシン20の前面パネル2の背後には3個のリール6,7,8が回転自在に設けられている。各リール6,7,8の外周面には円周方向に沿って複数の図柄(以下、シンボルと言う)が描かれたリール帯が貼られており、これらシンボルは正面の表示窓3,4,5を通してそれぞれ3個ずつ観察される。
【0018】
表示窓3?5には、横3本(中央L1および上下L2A,L2B)および斜め2本(斜め右下がりL3A,斜め右上がりL3B)の入賞ラインが記されている。ゲーム開始に先立ち、遊技者が1枚のメダルを投入したときは、各リール6?8上にある中央の入賞ラインL1だけが有効化される。また、2枚のメダルを投入したときはこれに上下の入賞ラインL2A,L2Bが加わり、横3本の入賞ラインL1,L2AおよびL2Bが有効化される。また、3枚のメダルを投入したときは全ての入賞ラインL1,L2A,L2B,L3AおよびL3Bが有効化される。
【0019】
表示窓3?5の下方右側には、遊技者がメダルを入れるためのメダル投入口9が設けられており、下方左側には1BETスイッチ21、2BETスイッチ22およびマックスBETスイッチ23が設けられている。メダルがクレジットされている場合には、メダル投入口9へのメダル投入に代え、これら1BETスイッチ21、2BETスイッチ22およびマックスBETスイッチ23の各押ボタン操作により、1回のゲームにそれぞれ1枚,2枚および3枚のメダルが賭けられる。
【0020】
これらBETスイッチ21?23の下方にはクレジット/精算切換スイッチ(C/Pスイ開口する開口するッチ)24およびスタートレバー10が設けられており、スタートレバー10の右方の機器中央部にはストップボタン11,12,13が設けられている。C/Pスイッチ24の押しボタン操作により、メダルのクレジット/払い出し(PLAYCREDIT/PAYOUT)を切り換えることが出来る。
【0021】
スタートレバー10のレバー操作により、リール6,7,8は一斉に回転を開始する。ストップボタン11,12,13は、各リール6,7,8に対応して配置されており、これら各リール6?8の回転が一定速度に達したとき操作が有効化され、遊技者の押しボタン操作に応じて各リール6,7,8の回転を停止させる。また、スロットマシン20の正面下部にはメダル受皿15およびメダル払出口18が設けられている。メダル受皿15は、メダル払出口18から払い出されるメダルを貯めるものである。
【0022】
また、スロットマシン20の正面上部には、各入賞に対してどれだけのメダルが払い出されるかが示されている配当表示部25が設けられている。配当表示部25の上方には、遊技状態に応じて点灯制御されるフラッシュライト27が設けられている。フラッシュライト27は、遊技状態に応じて点灯制御されるランプと、このランプを覆ってランプから発せられる光を屈折させるフラッシュレンズとを備えて構成されている。また、配当表示部25の左右には、遊技状態に応じて出音制御されるステレオスピーカユニット26,26が設けられている。
【0023】
図3(a),(b)は、スピーカユニット26の構成要素を分解して示す斜視図である。
なお、本実施形態においては、スピーカユニット26,26は、配当表示部25の左右に対に設けられてステレオ音声を出力するが、いずれも同一構成をなすため、ここでは片側のスピーカユニット26について説明する。
【0024】
同図(a)に示すように、スピーカユニット26は、遊技状態に応じて発音するスピーカ28と、このスピーカ28を覆って設けられたフラッシュスピーカレンズ29とを備えている。フラッシュスピーカレンズ29はスピーカ28より発せられる音を通すスリット状の透音孔29aを有するスピーカカバーであり、透光性の材質からなる。
これらスピーカ28とフラッシュスピーカレンズ29との間には、スピーカ28より発せられる音を透音孔29aへ通す透音部30aを有した光源30が備えられている。
この光源30は、遊技状態に応じて発光し、透音部30aが形成された基板30bにLED(発光ダイオード)30cが配設されて構成されている。フラッシュスピーカレンズ29は、この光源30が発する光に作用するレンズを構成している。
【0025】
図4(a)に示すように、基板30bには、スリット状の透音部30aが等間隔に形成されており、これら透音部30aの間に複数のLED30cが整然と配設されている。
また、同図(b)に示すように、フラッシュスピーカレンズ29に形成された透音孔29aと基板30bに形成された透音部30aとは、スリット幅が同じであり、配設された間隔も同じである。
なお、同図において、図3と同一または相当する部分には同一符号を付している。各透音部30aおよび各透音孔29aは、スピーカ28の放音部28aを覆う同図(b)の斜線部に示す総面積が、少なくとも放音部28aの面積の半分を占めるように、スリットの大きさおよびスリットの間隔が設定されて形成されている。
【0026】
このようなスピーカユニット26は、図3(b)に示すように、基板30bの透音部30aとフラッシュスピーカレンズ29の透音孔29aとが揃うように組み立てられる。
【0027】
本実施形態においては、上記のスピーカユニット26,26は、図2に示すように、各フラッシュスピーカレンズ29,29がスロットマシン20の前面上部に設けられた電飾装置であるフラッシュライト27に連なるように配設されている。
【0028】
図5は、本実施形態によるスロットマシン20の遊技処理動作を制御する制御部と、これに電気的に接続された周辺装置(アクチュエータ)とを含む回路構成を示すブロック図である。
【0029】
制御部はマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)50を主な構成要素とし、これに乱数サンプリングのための回路を加えて構成されている。マイコン50は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPU(中央演算処理装置)51と、記憶手段であるROM(読み出し専用メモリ)52およびRAM(読み書き可能メモリ)53とを含んで構成されている。CPU51には、基準クロックパルスを発生するクロックパルス発生回路54および分周器55と、一定範囲の乱数を発生させる乱数発生器56および発生した乱数の中から任意の乱数を抽出する乱数サンプリング回路57とが接続されている。
【0030】
マイコン50からの制御信号により動作が制御される主要なアクチュエータとしては、リール6?8を回転駆動する各ステッピングモータ31、メダルを収納するホッパー58、スピーカ28、およびLED30cがある。これらはそれぞれモータ駆動回路60、ホッパー駆動回路61、スピーカ駆動回路62、およびLED駆動回路63によって駆動される。各ステッピングモ一タ31はモータ駆動回路60によって1-2相励磁されており、400パルスの駆動信号が供給されるとそれぞれ1回転する。
【0031】
また、マイコン50が制御信号を生成するために必要な入力信号を発生する主な入力信号発生手段としては、スタートレバー10の操作を検出するスタートスイッチ10Sと、メダル投入口9から投入されたメダルを検出するメダルセンサ9Sと、前述したC/Pスイッチ24とがある。また、各リール6?8毎に設けられたホトセンサ32からの出力パルス信号を受けて各リール6,7,8の回転位置を検出するリール位置検出回路64もある。
【0032】
ホトセンサ32は各リール6?8が一回転する毎にこれを検出してリセットパルスを発生する。このリセットパルスはリール位置検出回路64を介してCPU51に与えられる。
RAM53内には、各リール6?8について、一回転の範囲内における回転位置に対応した計数値が格納されており、CPU51はリセットパルスを受け取ると、RAM53内に形成されたこの計数値を“0”にクリアする。このクリア処理により、各シンボルの移動表示と各ステッピングモータ31の回転との間に生じるずれが、1回転毎に解消されている。
【0033】
さらに、上記の入力信号発生手段として、リール停止信号回路65と、払出し完了信号発生回路66とがある。リール停止信号回路65は、停止ボタン11,12,13が押された時に、対応するリール6,7,8を停止させる信号を発生する。また、メダル検出部67はホッパー58から払い出されるメダル数を計数し、払出し完了信号発生回路66は、このメダル検出部67から入力した実際に払い出しのあったメダル計数値が所定の配当枚数データに達した時に、メダル払い出しの完了を知らせる信号をCPU51へ出力する。
【0034】
ROM52には、このスロットマシン20で実行されるゲーム処理の手順がシーケンスプログラムとして記憶されている他、入賞確率テーブル、入賞シンボル組合せテーブル等がそれぞれ区分されて格納されている。
【0035】
次に、本実施形態においてマイコン50で制御されるスロットマシン20の遊技処理動作について説明する。図6は、この遊技処理の概略を示すフローチャートである。
【0036】
まず、CPU51により、メダルBETがなされたかどうかが判別される(図6,ステップ101参照)。この判別は、メダル投入口9にメダルが投入され、メダルセンサ9Sからの検出信号入力があった場合、あるいはBETスイッチ21?23の操作によってメダルが投入された場合に“YES”となる。次に、スタートレバー10の操作によりスタートスイッチ10Sからのスタート信号入力があったか否かが判別される(ステップ102)。スタートレバー10が操作されると、スピーカユニット26,26の各スピーカ28よりスタート音が出音される。この際、スピーカ28より発せられた音は、図3(b)の矢印に示すように、基板30bの透音部30aおよびフラッシュスピーカユニット29の透音孔29aを通って外部へ放音される。
【0037】
ステップ102の判別が“YES”の場合、次に、確率抽選処理が行われる(ステップ103)。確率抽選は、乱数発生器56で発生し、サンプリング回路57によって特定された1つの乱数値が、入賞確率テーブルにおいてどの入賞グループに属する値になっているか判断されることによって行われる。この確率抽選で決定された入賞態様は当選フラグの種類によって表され、BB、RBを初めとする複数種の中のいずれか1つの当選フラグがRAM53の所定領域にセットされる。
【0038】
ここで、RBはレギュラー・ボーナス・ゲームを意味しており、このRBゲームでは複数回の高配当ゲームが一組となったボーナスゲームが1回行える。また、BBはビッグ・ボーナス・ゲームを意味しており、このBBゲームでは一般遊技および上記のボーナスゲームのセットを複数回行うことが出来る。
【0039】
次に、第1リール6,第2リール7,第3リール8の回転処理が行われ(ステップ104)、これら各リール6,7,8は一斉に回転し出す。リール6?8の回転中には、各リール6?8の背後に設けられたリールバックランプが点灯され、その前部のシンボルが照明される。その後、遊技者による各ストップボタン11,12,13の操作に応じて各リール6,7,8の停止制御が行われる(ステップ105)。
【0040】
次に、全リール停止時の表示が所定の入賞シンボル組合せであるか否かが、入賞シンボル組合せテーブルを参照して判断される(ステップ106)。所定の入賞シンボル組合せが揃って停止されて入賞が得られた場合は、スピーカユニット26,26のスピーカ28より入賞音が出音され、
また、スピーカユニット26,26の光源30およびフラッシュライト27等が発光制御されて入賞が演出される。この際、スピーカユニット26,26は、LED30cの点灯によって発せられた光を、フラッシュスピーカレンズ29によって屈折させて、外部へ放射する。
【0041】
入賞が得られなかったときにはステップ106の判定は“NO”となり、処理は初めのステップ101に戻る。また、入賞判定の結果リプレイゲーム(再遊技)であるときは、処理はステップ102のスタートレバー10の操作待ち処理に戻る(ステップ107)。リプレイゲームでない入賞のときには、CPU51によってホッパー駆動回路61が制御され、所定枚数のメダルがホッパー58によってメダル受皿15へ払い出される(ステップ108)。このメダル払い出しの際にも、スピーカユニット26,26よりメダル払出音が出音され、入賞が演出される。
【0042】
次に、BBゲームが発生したか否かが判断され(ステップ109)、BBゲームが発生している場合にはBBゲームが実行される(ステップ110)。また、BBゲームが発生していない場合には、次にRBゲームが発生したか否かが判断され(ステップ111)、RBゲームが発生している場合にはRBゲームが実行される(ステップ112)。このBBゲームおよびRBゲーム中にも、スピーカユニット26,26より効果音が出音され、また、フラッシュライト27およびスピーカユニット26,26が発光制御されて各ボーナスゲームが演出される。その後、上述した処理が繰り返されてスロットマシン遊技が行われる。
【0043】
このような本実施形態によるスロットマシン20によれば、上述したように、スピーカ28より放音された音は、基板30bの透音部30aを通り、フラッシュスピーカレンズ29の透音孔29aを介して外部へ放音される。
また、LED30cより発せられた光は、フラッシュスピーカレンズ29によって屈折されて外部へ放射される。つまり、基板30bに配設されたLED30cおよびフラッシュスピーカレンズ29からなる電飾装置と、スピーカ28とが同位置に設置されるため、スピーカ28を設けた部分においても、光によってスロットマシン20を演出することが出来る。このため、スロットマシン20の限られた前面スペースを有効に使うことが可能になる。
【0044】
また、本実施形態では、透音部30aおよび透音孔29aは、スピーカ28の放音部28aを覆う面積が少なくとも放音部28aの面積の半分を占めているため、スピーカ28より放音された音は、光源30およびフラッシュスピーカレンズ29に遮蔽されてスピーカユニット26内部に隠ることはない。このため、スピーカユニット26,26から放音された音は、遊技者の聴覚に明瞭に伝達される。
【0045】
また、本実施形態では、スピーカカバーであるフラッシュスピーカレンズ29は、LED30cが発する光に作用するレンズであるため、LED30cから発せられた光は、フラッシュスピーカレンズ29によって屈折されて外部へ放射される。このため、遊技者の視覚には、フラッシュスピーカレンズ29の屈折作用に応じた発光態様で、LED30cから発せられた光が伝達される。
【0046】
また、本実施形態では、スピーカユニット26,26は、スロットマシン20の前面上部に設けられたフラッシュライト27にフラッシュスピーカレンズ29が連なるように配設されている。このため、既存のフラッシュライト27の発光と、フラッシュスピーカレンズ29に覆われたLED30cの発光とが連なり、スロットマシン20の前面における電飾領域は連続的に拡大する。このため、スロットマシン20の光による演出は、十分な光量で行われ、視覚的刺激に富むようになる。
【0047】
また、本実施形態では、一見するとスピーカ28のカバーに見えないフラッシュスピーカレンズ29は、スロットマシン20の前面上部を見た遊技者に、フラッシュライト27のフラッシュレンズと一体化したイメージでとらえられる。このため、電飾装置から音が出て、遊技者は意外性を感じる。
【0048】
なお、本実施形態においては、フラッシュスピーカレンズ29がフラッシュライト27に連なるようにスピーカユニット26,26を配設した場合について説明したが、フラッシュライト27以外の他の既存の電飾装置にフラッシュスピーカレンズ29が連なるようにスピーカユニット26,26を配設することもできる。また、本実施形態のように、フラッシュライト27に連なるようにスピーカユニット26,26を配設した場合においても、フラッシュライト27とスピーカユニット26,26との各発光態様を様々に組み合わせて各発光の連なり方を変えることが出来る。
このように、スピーカユニット26,26の配置やフラッシュライト27とスピーカユニット26,26との各発光態様を様々に設定することにより、既存の電飾装置の発光と、フラッシュスピーカレンズ29に覆われたLED30cの発光との連なり方が変わり、電飾装置全体の発光態様を多様化することが出来、遊技演出の幅は拡がる。
また、フラッシュスピーカレンズ29のレンズ構成を変えることによっても、LED30cから発せられた光をそれぞれのレンズの屈折作用に応じた多様な発光態様で遊技者の視覚に伝達させることが出来、遊技演出の幅はさらに拡がる。
【0049】
また、本実施形態においては、スピーカカバーとしてフラッシュスピーカレンズ29を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されることはない。スピーカカバーは、必ずしもレンズである必要はなく、LED30cが発する光を通す透光性の材質で形成されたものであれば適用することが出来る。
【0050】
また、本実施形態においては、スリット状の透音部30aを有する基板30bにLED30cを配設してスピーカユニット26の光源30を構成したが、本発明はこれに限定されることはない。例えば、スピーカ28の前部に細板状の基体を架け渡し、この基体にLED30cを配設する構成としてもよい。あるいは、スピーカ28の前部に細板状のエレクトロルミネセンスパネルを架け渡す構成としてもよい。また、発光体は、LED30cに限らず、ランプ等の他の発光体を適用してもよい。いずれの場合も、光源は、スピーカ28より発せられた音が通る透音部として十分な空間が確保されるように構成されればよい。
【0051】
また、本実施形態においては、本発明による遊技機をスロットマシン20に適用した場合について説明したが、パチンコ機をはじめとする弾球遊技機等の他の遊技機にも適用することが出来る。
【0052】
これら各場合においても、上記実施形態と同様な作用・効果が奏される。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、スピーカより放音された音は、光源が有する透音部を通り、スピーカカバーの透音孔を介して遊技機の外部へ放音される。また、光源より発せられた光は、透光性の材質からなるスピーカカバーを通って遊技機の外部へ放射される。つまり、電飾装置とスピーカとは同位置に設置されるため、スピーカを設けた部分においても、光によって遊技機を演出することが出来る。このため、遊技機の限られた機器前面スペースを有効に使うことが可能になる。
【0054】
また、透音孔および透音部のスピーカの放音部を開口する面積が、少なくとも放音部の
面積の半分を占める構成としたため、スピーカより放音された音は、光源およびスピーカ
カバーに遮蔽されて隠ることなく、遊技機外部へ放音される。このため、スピーカより放
音された音は、遊技者の聴覚に明瞭に伝達される。
【0055】
また、スピーカカバーを光源が発する光に作用するレンズで構成した場合、光源から発せられた光は、レンズの作用を受けて遊技機外部へ放射される。このため、遊技者の視覚には、レンズの作用に応じた多様な発光態様で、光源から発せられた光が伝達される。
【0056】
また、スピーカカバーを機器の前面に設けられた電飾装置に連なるように配設した場合、既存の電飾装置の発光と、スピーカカバーに覆われた光源の発光とが連なり、機器前面における電飾領域は連続的に拡大する。このため、光による演出は、十分な光量で行われ、視覚的刺激に富むようになる。また、既存の電飾装置の発光と、スピーカカバーに覆われた光源の発光との連なり方を変えることにより、発光態様を多様化することが出来、遊技演出の幅は拡がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のスロットマシンの正面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるスロットマシンの正面図である。
【図3】(a),(b)ともに、本発明の一実施形態によるスロットマシンに用いられているスピーカユニットの構成を分解して示す斜視図である。
【図4】(a)は本発明の一実施形態によるスロットマシンのスピーカユニットの光源を構成するLEDが配設された基板の構成を示す正面図であり、(b)はこの基板にスピー開口するカカバーを構成するフラッシュスピーカレンズがかぶされた構成を示す正面図である。
【図5】本発明の一実施形態によるスロットマシンの主要な制御回路構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
20…スロットマシン
2…前面パネル
3,4,5…表示窓
6,7,8…リール
9…メダル投入口
10…スタートレバー
11,12,13…ストップボタン
15…メダル受皿
18…メダル払出口
21,22,23…BETスイッチ
24…クレジット/精算切換スイッチ
25…配当表示部
26…スピーカユニット
27…フラッシュライト
28…スピーカ
29…フラッシュスピーカレンズ
29a…透音孔
30…光源
30a…透音部
30b…基板
30c…LED
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2009-12-15 
結審通知日 2009-12-18 
審決日 2010-01-04 
出願番号 特願2001-324364(P2001-324364)
審決分類 P 1 113・ 121- YA (A63F)
P 1 113・ 16- YA (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鉄 豊郎  
特許庁審判長 立川 功
特許庁審判官 井上 昌宏
吉村 尚
登録日 2007-11-09 
登録番号 特許第4037082号(P4037082)
発明の名称 遊技機  
代理人 鹿股 俊雄  
代理人 黒田 博道  
代理人 中島 健  
代理人 鹿股 俊雄  

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