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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
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管理番号 | 1213444 |
審判番号 | 不服2007-24962 |
総通号数 | 125 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-05-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-09-10 |
確定日 | 2010-03-08 |
事件の表示 | 特願2005-185186「画像処理装置及びその制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年12月15日出願公開、特開2005-346728〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯・本願発明 本願は、平成7年4月18日(優先日、平成6年4月19日)に出願した特願平7-92386号の一部を平成17年6月24日に新たな特許出願としたものであって、平成19年8月7日付けで拒絶査定がなされたところ、それに対して、平成19年9月10日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに同年10月10日に手続補正書が提出され、当審において平成21年9月14日付けで拒絶理由が通知されたものである。 本願請求項1に係る発明は、平成21年11月17日に提出された手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。) 「画像データを出力する出力手段を備えた複数の出力装置とネットワークを介して通信可能な画像処理装置であって、 画像データを入力する入力手段と、 前記複数の出力装置のうちの何れかに画像データを送信する送信手段と、 前記入力手段によって入力された画像データの出力に用いる出力装置の選択を自動で行うか、ユーザが選択するかを、ユーザの指定に従って判定する判定手段と、 前記入力手段によって入力された画像データの出力に用いる出力装置をユーザに選択させるために、前記複数の出力装置それぞれを表示する表示手段とを有し、 前記送信手段は、前記判定手段によって、出力装置をユーザが選択すると判定された場合には、前記表示手段によって表示された複数の出力装置の中からユーザに選択された出力装置に前記画像データを送信し、出力装置の選択を自動で行うと判定された場合には、ユーザに選択させることなく前記複数の出力装置の中から自動的に選択された出力装置に前記画像データを送信することを特徴とする画像処理装置。」 2.引用例 当審における、平成21年9月14日付けで通知した拒絶の理由に引用した特開平3-95655号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。 (イ)「第1図において、装置1は、処理を行うと共に通知された出力装置2の状態を記憶する内部DB1-2などを持つものであって、ネットワークに接続されたものである。 出力装置2は、装置1からの出力依頼に対応して出力処理を行うものであって、ネットワークに接続されたものである。 〔作用〕 本発明は、第1図に示すように、ネットワーク上に処理を行う装置1および出力依頼に対応して出力処理を行う出力装置2を複数接続し、装置1からの要求により、あるいは出力装置2の状態が変更したことにより、この出力装置2からネットワークを介して放送された当該出力装置2の状態(例えば動作状態、受け付けた処理量など)を各装置1の内部DB1-2に記憶しておき、装置1が出力依頼時にこの内部DB1-2を参照して最適な出力装置2を選択してネットワークを介して出力依頼するようにしている。 従って、ネットワーク上に接続された出力装置2の状態の通知を受けて装置1の内部DB1-2に保持し、使用者からの出力要求に対応してこれを参照して最適な出力先に出力依頼することにより、装置1からネットワーク上に接続された最適な出力装置2を自動選択して依頼することが可能となる。 〔実施例〕 次に、第1図から第4図を用いて本発明の1実施例の構戒および動作を順次詳細に説明する。 第1図(イ)において、装置1は、計算機などの装置であって、ユーザからの依頼に対応した業務処理を行うものである。装置1は、ネットワークを介して最適な出力装置2から印刷したり、磁気テープにセーブしたりする。 出力装置2は、プリンタ装置、磁気テープ装置などの出力装置であって、計算機などの装置1からの出力依頼に対応して出力(印刷、磁気テープにセーブなど)するものである。出力装置2は、ネットワークを介して計算機などの装置1から出力依頼を受けて出力する。 第1図(ロ)は、第1図(イ)装置1の詳細構成図を示す。 第1図(ロ)において、通信制御部1-1は、出力装置2からの状態を表すメッセージを受信したり、状態の問い合せメッセージや出力要求メッセージを出力装置2に送信したりなどするものである。 内部DB1-2は、全ての出力装置2の状態(動作状態、停止状態、エラー状態、キューイング量など)を記憶するデータベースである。 出力装置決定部1-3は、内部DB1-2を参照して最適な出力先(例えば動作中であって、かつキューイング量の最も少ないプリンタ装置)を決定するものである。 出力制御部1-4は、ユーザからの出力要求を受け付けたり、出力装置決定部1-3によって決定された出力先の出力装置2に印刷依頼を行ったりなどするものである。 データ収集部1-5は、内部DB1-2に記憶されている出力装置2の状態情報をユーザの見易い形に集計して表示するものである。」(第2頁右上欄第20行?第3頁右上欄第2行) (ロ)「第3図は、本発明に係る装置1の動作説明フローチャートを示す。 第3図において、O31は、電源onする。 O32は、内部DBを初期化し、更にO32-2で状態の問い合せをネットワークを介して全ての出力装置2に放送する。 O33は、入力待ちする。ここで、O34、O36、O38、O41のいずれかの事象に対応してこれらに続く処理を実行する。 O34は、通信メッセージを受信したことに対応して、O35で内部DB1-2の生成および更新を行う。これは、出力装置2からネットワークを介して動作状態のメッセージ、キューイング量のメッセージなどを受信したことに対応して、内部DB1-2の内容を生成、あるいは更新する。 O36は、ユーザからの終了要求に対応して、O37で後処理(データのセーブなど)を行い、終了する(END)。 O38は、ユーザからの出力要求に対応して、O39で内部DB1-2を参照して最適な出力装置2を選択し、O40でメッセージ(出力依頼、データ)をネットワークに送信する。そして、これを受信した該当出力装置2が出力を行う。 O41は、ユーザからの内部DB1-2の参照要求に対応して、O42で内部DB1-2を見易い形に集計を行い、O43で集計結果をディスプレイに表示する。これを見たユーザは、いずれの出力装置2が動作状態、停止状態、エラー状態であるか、更にそのキューイン量などを知ることができる。」(第4頁右上欄第11行?左下欄第19行(なお、丸数字はO数字で表している。)) 以上の記載によれば、この引用例には以下のような発明(以下、「引用例発明」という。)が開示されていると認められる。 「プリンタ装置などの複数の出力装置2とネットワークを介して接続された計算機などの装置1であって、 前記出力装置2にメッセージを送信する通信制御部1-1と、 ユーザからの出力要求に対応して、内部DB1-2を参照して、最適な出力装置2(例えば動作中であって、かつキューイング量の最も少ないプリンタ装置)を決定する出力装置決定部1-3と、 ユーザからの出力要求を受け付けたり、出力装置決定部1-3によって決定された出力先の出力装置2に印刷依頼を行う出力制御部1-4と、 ユーザからの内部DB1-2の参照要求に対応して、内部DB1-2を見易い形でディスプレイに表示して、いずれの出力装置2が動作状態、停止状態、エラー状態であるか、更にそのキューイング量を知ることができるデータ収集部1-5とを有し、 前記通信制御部1-1は、出力装置2の中から自動的に選択された出力装置2にメッセージ(出力依頼、データ)を送信することを特徴とする計算機などの装置。」 3.対 比 本願発明と引用例発明とを対比する。 引用例発明の「プリンタ装置などの複数の出力装置2」は、本願発明の「画像データを出力する出力手段を備えた複数の出力装置」に相当する。 引用例発明の「複数の出力装置2とネットワークを介して接続された計算機などの装置1」は、本願発明の「複数の出力装置とネットワークを介して通信可能な画像処理装置」と「複数の出力装置とネットワークを介して通信可能な情報処理装置」である点で一致する。 引用例発明の「出力装置2にメッセージを送信する通信制御部1-1」を有する点は、「前記複数の出力装置のうちのいずれかにデータを送信する手段」を有する点で本願発明と一致する。 引用例発明は、「ユーザからの内部DB1-2の参照要求に対応して、内部DB1-2を見易い形でディスプレイに表示して、いずれの出力装置2が動作状態、停止状態、エラー状態であるか、更にそのキューイング量を知ることができる」から、「前記複数の出力装置それぞれを表示する表示手段」を有する点で本願発明と一致するといえる。 引用例発明は、「前記通信制御部1-1は、出力装置2の中から自動的に選択された出力装置2にメッセージ(出力依頼、データ)を送信する」から、「前記送信手段は、ユーザに選択させることなく前記複数の出力装置の中から自動的に選択された出力装置にデータを送信する」点で本願発明と一致するといえる。 したがって、両者は、 「画像データを出力する出力手段を備えた複数の出力装置とネットワークを介して通信可能な情報処理装置であって、 前記複数の出力装置のうちの何れかにデータを送信する送信手段と、 前記複数の出力装置それぞれを表示する表示手段とを有し、 前記送信手段は、ユーザに選択させることなく前記複数の出力装置の中から自動的に選択された出力装置に前記データを送信することを特徴とする情報処理装置。」 で一致するものであり、次の(1)、(2)の点で相違している。 (1)本願発明は、「画像処理装置」であって、「画像データを入力する入力手段」を有しており、出力装置に「画像データ」を送信するのに対し、印用例発明は、計算機などの情報処理装置であって、「画像データを入力する入力手段」を有しているか明らかではなく、出力装置に送信する「データ」が入力手段によって入力された画像データであるか明らかではない点。 (2)本願発明は、「前記入力手段によって入力された画像データの出力に用いる出力装置の選択を自動で行うか、ユーザが選択するかを、ユーザの指定に従って判定する判定手段」を有しており、「前記判定手段によって、出力装置をユーザが選択すると判定された場合には、前記表示手段によって表示された複数の出力装置の中からユーザに選択された出力装置に前記画像データを送信し、出力装置の選択を自動で行うと判定された場合には、ユーザに選択させることなく前記複数の出力装置の中から自動的に選択された出力装置に前記画像データを送信する」のに対し、引用例発明は、出力装置の選択を自動で行うか、ユーザが選択するかを、ユーザの指定に従って判定する判定手段を有しておらず、判定手段によって、出力装置をユーザが選択すると判定された場合には、前記表示手段によって表示された複数の出力装置の中からユーザに選択された出力装置に前記画像データを送信するものではない点。 4.当審の判断 上記相違点について検討する。 ・相違点(1)について 情報処理システムにおいて、画像データを入力する入力手段を有し、入力手段によって入力された画像データを選択されたプリンタへ送信して出力することは、本出願前周知の技術(原査定の拒絶の理由に引用された特開平5-274096号公報段落【0010】、【0046】の記載、特開平3-122715号公報第2頁[従来の技術]の記載、特開昭62-281560号公報第2頁左上欄?右上欄の記載参照)である。 したがって、引用例発明において、「計算機などの情報処理装置」を「画像データを入力する入力手段」を有する「画像処理装置」とし、出力するデータを入力手段から入力した「画像データ」とすることは、当業者が必要に応じて適宜なし得る設計事項にすぎない。 ・相違点(2)について 表示手段によって表示された複数の出力装置の中からユーザに選択された出力装置にデータを送信して出力することは、本出願前周知の技術(特開平4-245525号公報段落【0004】、【0005】の記載、原査定の拒絶の理由に引用された特開平3-150614号公報第8頁右上欄?第9頁右上欄の記載参照)である。 また、プリンタ選択を自動的に実行する場合と、操作者が行う場合があることも本出願前周知(特開平5-204565号公報段落【0015】の記載、特開平5-284265号公報段落【0178】、【0197】、【0198】の記載参照。)である。 したがって、引用例発明において、入力手段によって入力された画像データの出力に用いる出力装置の選択を自動で行うか、ユーザが選択するかを、ユーザの指定に従って判定する判定手段を設けること、及び、前記判定手段によって、出力装置をユーザが選択すると判定された場合には、前記表示手段によって表示された複数の出力装置の中からユーザに選択された出力装置に前記画像データを送信し、出力装置の選択を自動で行うと判定された場合には、ユーザに選択させることなく前記複数の出力装置の中から自動的に選択された出力装置に前記画像データを送信するようにすることは当業者であれば容易になし得ることである。 また、本願発明により奏される効果は当業者であれば引用例発明及び上記周知技術から予想できる範囲内のものである。 5.むすび 以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、引用例発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-01-07 |
結審通知日 | 2010-01-12 |
審決日 | 2010-01-25 |
出願番号 | 特願2005-185186(P2005-185186) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田内 幸治 |
特許庁審判長 |
和田 志郎 |
特許庁審判官 |
清水 稔 圓道 浩史 |
発明の名称 | 画像処理装置及びその制御方法 |
代理人 | 大塚 康徳 |
代理人 | 大塚 康弘 |
代理人 | 木村 秀二 |
代理人 | 高柳 司郎 |
代理人 | 永川 行光 |
代理人 | 下山 治 |