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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1213853
審判番号 不服2007-10214  
総通号数 125 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-04-10 
確定日 2010-03-26 
事件の表示 特願2004-564068「電子書籍作成システム」拒絶査定不服審判事件〔平成17年10月27日国際公開、WO2005/101232〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成16年4月2日を国際出願日とする出願であって、平成18年10月6日付けで拒絶理由通知がなされ、同年12月12日付けで手続補正がなされたが、平成19年3月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成19年4月10日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「電子書籍データを作成する電子書籍作成システムであって、
前記電子書籍作成システムは、
前記電子書籍データを作成する為の一又は複数のコンテンツを取り込むコンテンツ取込手段と、
前記取り込んだコンテンツから選択された少なくとも一つのコンテンツを基本コンテンツとし、そこに前記取り込んだコンテンツを編集対象コンテンツとして貼り付ける領域を確保することで電子書籍データを作成し、前記領域の位置情報と前記編集対象コンテンツのファイル名とを、コンテンツ位置ファイルとして出力する電子書籍編集手段と、
前記電子書籍編集手段において作成した電子書籍データについて、該電子書籍データを構成する各コンテンツの幅と高さからなる大きさを縮小することにより、該電子書籍データよりも小さな大きさの電子書籍データを複数生成し、生成したうちの一つの電子書籍データを、閲覧者の端末において最初に表示させる標準電子書籍データと設定して、前記生成した複数の電子書籍データを出力する電子書籍サイズ変換手段と、を有しており、
前記標準電子書籍データが前記閲覧者の端末で表示されている状態において、閲覧者から拡大表示の選択を受け付けると、その拡大表示を受け付けた位置が、前記標準電子書籍データよりも大きな大きさの電子書籍データのどの位置に対応するかの位置情報を算出した上で、その算出した位置情報を中心として、前記標準電子書籍データよりも大きな大きさの電子書籍データを、前記閲覧者の端末において表示させる、
ことを特徴とする電子書籍作成システム。」

3.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-292949号公報(以下、「引用例1」という。)、及び特開平5-183757号公報(以下、「引用例2」という。)には、それぞれ、図面とともに次の事項が記載されている。

(引用例1)
A.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数の文書要素を合成して複合文書を作成する文書処理装置に関し、特に、文書要素の合成関係や表示関係を制御する文書処理装置に関する。」

B.「【0009】本発明は、上記従来の事情に鑑みなされたもので、あたかも紙媒体の文書を貼り合わせるが如く電子的な複合文書を作成し、作成された複合文書を紙媒体の文書の如く電子的に取り扱えるようにした文書処理装置を提供することを目的とする。また、本発明は電子的なデータの特徴を利用して複合文書の表示態様を選択可能とし、電子的な複合文書を紙媒体の文書よりも便利な取扱ができるようにした文書処理装置を提供することを目的とする。」

C.「【0020】
【実施例】本発明に係る文書処理装置の一実施例を図面を参照して説明する。本実施例の文書処理装置は、図1に示すように、複合文書に関するデータを保持する外部記憶装置1と、複合文書に関する種々な文書処理を行う編集部2と、複合文書を出力するための処理を行う表示部3と、画面への表示或いは紙媒体への印刷により複合文書を実際に表示出力させる表示装置4と、ユーザからの種々な要求を入力するための入力部5とを備えている。
【0021】記憶装置1には幾つかの文書作成アプリケーション7が格納されており、これらアプリケーション7によってテキスト、グラフ、表、図形等の種々な種類の文書要素が作成される。また、記憶装置1にはアプリケーション7によって作成された文書要素の文書データ(アプリケーションデータ)8が格納され、更に、複合文書に関するデータ9も格納されている。このアプリケーションデータ8は文書要素の作成に用いたアプリケーションに依存する文書データであり、当該アプリケーションを用いることによって後に編集処理を行うことができる。また、複合文書データ9は各文書要素を重畳して成る複合文書のデータであり、後述するように各文書要素の実データと文書要素間の互いの関係を規定する関係データとを含んでいる。
・・・(中略)・・・
【0026】編集部2は、各文書要素の実データを作成する実データ作成部11と、文書要素間の関係データを作成する関係データ作成部12と、複合文書に対する構成変更等の文書処理を関係データを用いて行う編集部13と、記憶装置1や表示部3更には入力部5に対するデータの入出力を行うデータ処理部14と、パラメータ台帳10に格納された合成条件に基づいて文書要素間の合成処理の可否を判断する判断部15とを備えている。
【0027】表示部3は文書作成領域において複数の文書要素の実データを関係データに基づいて重畳させる処理を行い、この処理結果によって表示装置4が複合文書を表示出力する。また、表示部3には、パラメータ台帳10に格納された表示条件に基づいて文書要素の表示出力処理の可否を判断する判断部16が備えられており、この判断結果によって表示部3による表示出力処理が制御される。
【0028】本実施例では図2に示すような複合文書21を作成し、更には編集等の処理を行っており、この複合文書21には文書要素A、B、C、D、Eが重畳して合成されている。文書要素Aは、ワードプロセッサを構成するテキスト作成アプリケーションで作成されたテキスト文書であり、複合文書の元となる種別”MP”の文書要素すなわち所謂親となる文書である。また、文書要素B、C、Dは文書要素Aに対して重畳される所謂子となる文書であり、文書要素Bは図表作成するアプリケーションで作成されたグラフ文書、文書要素C及びDは図形作成アプリケーションで作成された図形文書である。また、文書要素Eは文書要素Bに対して重畳される所謂孫となる文書であり、テキスト作成アプリケーションで作成されたテキスト文書である。これら文書要素B、C、D、Eはそれぞれ種別が”イメージ”、”付箋”、”認印”、”上書き”の文書要素である。
【0029】図3に示すように、各文書要素A乃至Eの実データはそれぞれ実データフレームとして作成され、文書要素Aと文書要素B乃至Dとの間及び文書要素Bと文書要素Eとの間の関係データはそれぞれ関係データフレームとして作成される。実データフレームは実質的なデータを含むデータ列と関係データフレームへのポインタを含む保持データ列とを有している。データ列には文書要素の作成者や作成日時等といった作成環境、文書要素の作成に用いた作成アプリケーション名、文書要素の文書データを作成アプリケーションに依存しない形式に変換した表示用データ、作成アプリケーションからの文書データであるアプリケーションデータ、文書要素の種別情報、等が含まれている。また、保持データ列には複数のポインタを含ませることができ、それぞれのポインタを介して重畳される他の文書要素の関係データフレームへ関連付けられている。
【0030】なお、表示用データは文書データを作成アプリケーションの印刷機能を用いてポストスクリプト言語(PostScript:登録商標)のような統一形式の表示用データに変換したものであり、作成アプリケーションを用いずとも表示用データで表示や印刷を行うことができる。本実施例では、この表示用データはビットマップデータであり、文書要素の出力は実現できるが文書要素の編集は実現できないものである。一方、アプリケーションデータは作成アプリケーションに依存する文書データであり、当該作成アプリケーションを起動することによりアプリケーションデータを用いて文書要素の編集を実現することができる。
【0031】関係データフレームも実質的なデータを含むデータ列と文書要素へのポインタを含む保持データ列とを有している。データ列には文書要素の貼付位置、貼付サイズ、複合文書において文書要素がどのような役割をもっているかの貼付役割、文書要素の重畳に際しての重なり順序、等が含まれている。また、保持データ列は単一のポインタを含んでおり、このポインタを介して対応する文書要素の実データフレームへ関連付けられている。
【0032】図4には本実施例の複合文書21の構成及び実データフレーム並びに関係データフレームの関係を示してある。概念的には、文書要素A乃至Eはそれぞれ仮想的な文書作成領域22上に形成され、これら文書作成領域22を重ね合わせることにより文書要素A乃至Eを重畳して複合文書21が作成されている。親となる文書要素Aの実データフレーム23は子となる文書要素B乃至Dの実データフレーム24乃至26とそれぞれ関係データフレーム27乃至29を介して関連付けられており、文書要素B上に重畳される文書要素Eの実データフレーム30は関係データフレーム31を介して文書要素Bの実データフレーム24と関連付けられている。
【0033】上記の実データフレームと関係データフレームとはポインタによって対応関係が付けられ、或る実データフレームからポインタを辿ることによって関係データフレームを介して重畳されている他の実データフレームへアクセスすることができる。ポインタで関連付けられた実データフレームと関係データフレームは全体として複合文書データ9を構成しており、これら実データフレームと関係データフレームのそれぞれはポインタで関連付けられた独立したデータ単位として記憶装置1に格納され、データ単位毎に読出及び書込可能となっている。
【0034】図5に示すように、文書要素A乃至Eの実データフレーム23乃至26及び30には、作成環境、表示用データ、アプリケーションデータとともに、文書要素の作成に用いた作成アプリケーション名が”テキスト”、”図表”、”図形”、”図形”、”テキスト”として含まれている。更に、実データフレーム23乃至26及び30には、各文書要素A乃至Eの種別情報が”MP”、”イメージ”、”付箋”、”認印”、”上書き”として含まれている。また、実データフレーム23と実データフレーム24乃至26との間の関係データフレーム27乃至29、及び実データフレーム24と実データフレーム30との間の関係データフレーム31には、貼付位置、貼付サイズ、重なり順序とともに貼付役割が含まれている。
【0035】すなわち、関係データフレーム27には文書要素Bは文書要素A上に重なり順序が2番目で貼り付けられ、文書要素Bの貼付位置を後に移動させることは禁止され、文書要素Bは複合文書21の本文を成す旨のデータが含まれている。また、関係データフレーム28には文書要素Cは文書要素A上に重なり順序が1番目で貼り付けられ、文書要素Cは複合文書21のコメントを成す旨のデータが含まれている。また、関係データフレーム29には文書要素Dは文書要素A上に重なり順序が最先の0番目で貼り付けられ、文書要素Dの内容を後に変更することは禁止され、文書要素Dは複合文書21の本文を成す旨のデータが含まれている。また、関係データフレーム31には文書要素Eは文書要素B上に重なり順序が最先の0番目で貼り付けられ、文書要素Eの貼付位置を後に移動させることは禁止され、文書要素Eは複合文書21の本文を成す旨のデータが含まれている。」

D.「【0037】次に、上記構成の文書処理装置で複合文書データ9を作成する処理を、文書要素Aと文書要素Dとを例にとって図1及び図5を参照して説明する。まず、実データ作成部11が文書要素Aのアプリケーションデータ8を読み出すとともに、文書要素Aを作成した文書作成アプリケーション7を起動させ、このアプリケーション7の印刷機能を用いてアプリケーションデータ8から表示用データを作成する。そして、実データ作成部11が実データフレームを用意し、このアプリケーションデータ8及び表示用データを作成環境や作成アプリケーション名”テキスト”、更には、文書要素Aの種別情報”MP”とともに実データフレームに付加し、文書要素Aの実データフレーム23を作成する。
【0038】次いで、文書要素Dについても同様に、実データ作成部11が文書要素Dの表示用データを作成し、文書要素Dのアプリケーションデータ8及び表示用データを作成環境や作成アプリケーション名”図形”、更には、文書要素Dの種別情報”認印”とともに用意した実データフレームに付加して、文書要素Dの実データフレーム26を作成する。次いで、関係データ作成部12が関係データフレームを用意し、入力部5からのユーザ指示に基づいた重畳関係(貼付位置、貼付サイズ、貼付役割等)をこの関係データフレームに付加する。更に、編集部12がこの関係データフレームを実データフレーム23及び26にポインタで接続して、文書要素Aと文書要素Dとの間の関係データフレーム29を作成する。この結果、文書要素Dが関係データフレーム29で規定された位置及びサイズで且つ、内容を変更することが禁止された本文を成す文書として文書要素A上に重畳されて合成されることとなる。」

E.「【0039】次に、上記構成の文書処理装置で複合文書21を表示出力する処理を図1、図4及び図7を参照して説明する。まず、入力部5から表示指示が入力されると、データ処理部14が記憶装置1から複合文書データ9を読み出して表示部3へ転送する。表示部3は複合文書データ9の中からデータフレームの関連系で最も下層にある実データフレーム23を抽出し、この実データフレーム23から表示用データを取り出して表示装置4に文書要素Aを表示させる(ステップS1)。
【0040】次いで、表示部3は関係データフレームの数を表す変数Kを初期値”1”に設定し(ステップS2)、実データフレーム23からポインタを辿って、受信した複合文書データ9に含まれている関係データフレームの数と変数Kとを比較する(ステップS3)。この結果、変数Kが受信した関係データフレームの個数を上回る場合には、処理対象のデータフレームが存在しないので処理を終了する一方、変数Kが関係データフレームの個数以下である場合には、表示部3はK番目の関係データフレームから関係情報を取り出し(ステップS4)、この関係情報中にコメントである旨の役割が記載されているか、及び、入力部5からコメント文書は表示しない旨の指定があるかを判断する(ステップS5)。
【0041】この結果、コメントの役割がある或いは非表示の指定がある場合には変数Kを1つ増加させて上記のステップS3以降の処理を繰り返し行う一方(ステップS6)、コメントの役割がなく且つ非表示の指定がない場合には、表示部3は文書作成領域22に関係情報に基づいた位置、サイズ、描画の透過状態等で文書要素を表示する領域を作成する(ステップS7)。次いで、表示部3は関係データフレームからポインタを辿って対応する実データフレームを取り出し(ステップS8)、この実データフレームから表示用データを取り出して表示装置4に文書要素を表示させる(ステップS9)。
【0042】すなわち上記の処理によって、まず文書要素Aが表示され、これに続いて文書要素B乃至Eがそれぞれの関係情報に基づいて順次表示される。そしてこの表示に際して、関係データフレームにコメントとしての役割が記載されている場合には、対応する文書要素は入力部5からのユーザ指示に応じて表示されるか否かが決定される。」

F.「【0047】次に、上記構成の文書処理装置で各文書要素A乃至Eの位置やサイズを変更する処理を図1、図5及び図9を参照して説明する。まず、文書要素を指定するとともに文書要素に関する変更する旨の指示が入力部5から入力されると、編集部13が入力された指示は文書要素の位置変更に関するものか(ステップS20)或いは文書要素のサイズ変更に関するものか(ステップS21)を判断する。次いで、編集部13が指定された文書要素の関係データフレームを複合文書データ9の中から調べ、位置変更の指示であった場合には移動禁止が設定されているかを判断し(ステップS22)、サイズ変更の指示であった場合にはサイズ変更禁止が設定されているかを判断する(ステップS23)。
【0048】この結果、ユーザからの要求指示があっても関係データフレームに禁止が設定されている場合にはそのまま処理を終了する。一方、位置変更の指示に対してこれを禁止する設定がなされていない場合には、関係データ作成部12が入力部5からのユーザ入力に基づいて関係データフレームの貼付位置情報を変更する(ステップS24)。また、サイズ変更の指示に対してこれを禁止する設定がなされていない場合には、関係データ作成部12が入力部5からのユーザ入力に基づいて関係データフレームの貼付サイズ情報を変更する(ステップS24)。
【0049】すなわち、上記の処理によって、文書要素B乃至Eの複合文書21中における大きさはユーザが任意に変更することができる。また、文書要素CとDの複合文書21中における位置はユーザが任意に変更することができるが、文書要素BとEについては関係データフレーム27及び31に移動禁止の設定がされていることから位置変更することができない。そして、これらの変更処理は実データフレームを解析することなく関係データフレームのみを変更することによって行えるため、容易且つ迅速に行われる。」

上記Cの段落【0032】には、「図4には本実施例の複合文書21の構成及び実データフレーム並びに関係データフレームの関係を示してある。概念的には、文書要素A乃至Eはそれぞれ仮想的な文書作成領域22上に形成され、これら文書作成領域22を重ね合わせることにより文書要素A乃至Eを重畳して複合文書21が作成されている。」と記載されており、「仮想的な文書作成領域22」上に、「親となる文書要素A」に対して「子となる文書要素B、C、D」を貼り付ける領域が、また、「子となる文書要素B」に対して「孫となる文書要素E」を貼り付ける領域が確保されているということができる。
また、上記Fにおいて、ユーザが文書要素のサイズ変更の指示を行った場合には、当然、表示装置には変更されたサイズの文書要素を含む電子的な複合文書が表示されるものと解される。

よって、上記A?Fの記載及び関連する図面を参照すると、引用例1には、実質的に、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用例1記載の発明」という。)
「電子的な複合文書を作成する文書処理装置であって、
前記文書処理装置は、
前記電子的な複合文書を作成する為の複数の文書要素を取り込む文書要素取込手段と、
前記取り込んだ文書要素のうちの一つの文書要素を親となる文書要素Aとし、該文書要素Aに前記取り込んだ文書要素のうちの三つを子となる文書要素B、C、Dとして貼り付ける領域を確保し、さらに前記子となる文書要素Bに前記取り込んだ文書要素のうちの一つを孫となる文書要素Eとして貼り付ける領域を確保することで電子的な複合文書を作成し、前記文書要素の実データを含むデータ列と関係データフレームへのポインタを含む保持データ列とを有する実データフレームと、前記文書要素の貼付位置及び貼付サイズを含むデータ列と前記文書要素へのポインタを含む保持データ列とを有する関係データフレームを作成する複合文書編集手段と、
ユーザからの文書要素のサイズ変更の指示に応じて、変更されたサイズの文書要素を含む電子的な複合文書を表示装置において表示させる、
文書処理装置。」

(引用例2)
G.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば階層的に符号化された画像データを蓄積し、該蓄積データを復号化して出力する画像処理方法及び装置に関するものである。」

H.「【0014】図1は、本実施例におけるシステム全体の構成を示す概略ブロック図である。図中、1はシステムに付属する各デバイスを接続するためのシステムバス、2は画像表示装置であり、例えばCRTで構成されている。3はCRT2に画像等を表示するためのビデオフレームメモリであり、書き込まれた画像等にD/A変換等の処理を施してCRT2へ出力する。4はCPU部であり、本システム全体を制御するためのCPUやプログラム等をロードするメモリ等で構成されている。5はエンコーダ/デコーダ部であり、JBIGのような階層的な符号化/復号化を行う。6はハードディスク等の蓄積デバイスであり、画像データ,プログラム等を格納する。ここで、蓄積デバイス6に格納されている2値画像データはエンコーダ/デコーダ部5で階層的に符号化されたビットストリームファイル7と詳細は後述するタグ情報ファイル8とから構成されている。そして、エンコーダ/デコーダ部5が、例えばCPU部4から指定されたビットストリームファイル7を読み込み、伸張した結果の画像データをビデオフレームメモリ3上の該当する位置に書き込むという動作を行う。」

I.「【0016】次に、階層符号化における解像度とストライプの概念を図2を参照して以下に説明する。
【0017】例えば、JBIG方式の場合、シングルデータベースで、かつプログレッシブにもシーケンシャルにもアクセスできるようにするためにストライプ処理という概念がある。図2は、この概念を示す図である。図中、解像度は、例えば原画を400dpiとすると、200dpi、100dpi、50dpi、25dpi、12.5dpiというように縦横共1/2にして行く、この例では、図中のDを「5」としたものである。また、ストライプ幅を“128”(400dpiで128ラインを1つのストライプにする)とし、原画のサイズを“Y”とすると、ストライプはY/128となる。例えば、Y=1951とすると、1951/128=15、余り31となり16コとなり、図中のSは「16」となる。
【0018】図示するように、C_(0、0)20,C_(1、0)21,…,C_(S-1、0)22は解像度R_(0)の各ストライプ毎のビットストリームを、C_(0、1)23,C_(1、1)24,…,C_(S-1、1)25は解像度R_(1)の各ストライプ毎のビットストリームを、C_(0、D)26,C_(1、D)27,…,C_(S-1、D)28は解像度R_(D)の各ストライプ毎のビットストリームをそれぞれ表わしている。そして、解像度R_(0)、R_(1)など解像度方向から見ることをレイヤと呼ぶ。これらのビットストリーム群を1つのビットストリームファイルにする場合、例えば解像度の低い方から順に、ストライプ番号の低い方から順に並べるとすると、次のようになり、これが1つのファイルとして図1に示す蓄積デバイス6に格納される。
【0019】C_(0、0)20,C_(1、0)21,…,C_(S-1、0)22,C_(0、1)23,C_(1、1)24,…,C_(S-1、1)25,C_(0、D)26,C_(1、D)27,…,C_(S-1、D)28次に、蓄積デバイス6内に格納されるタグ情報8の詳細なデータ形式について説明する。尚、本実施例では、このタグ情報8をレイヤ(解像度)毎に設定し、格納する場合を詳述する。まず、CPU部4のCPUはタグ情報として各レイヤ毎のビットストリームのバイト長、即ち図2の29内にあるC_(0、0)20,C_(1、0)21,…,C_(S-1、0)22までのビットストリームのバイト長の総和を求め、図3に示すTL032に、また図2の30内のバイト長の総和をTL133に、そして、31内の総和をTL_(D)34(審決注:原文に「TL_(S-1)34」とあるのは「TL_(D)34」の誤記であると認められる。)にそれぞれ格納する。
【0020】このように、レイヤ毎のバイト長(TL032,TL133,L_(D)34(審決注:原文に「TL_(S-1)34」とあるのは「TL_(D)34」の誤記であると認められる。))がタグ情報8として付加されたビットストリームファイル7を画像表示装置2に表示する画像表示方法について以下に説明する。
【0021】尚、原画像のサイズを400dpi,A4サイズ(3360×4752画素)とし、400dpiでのストライプ幅を128ライン、差分階層数を5とする。従って、この場合、各レイヤの解像度,画像サイズ,ストライプ幅は図5に示すようになる。また、本実施例での画像表示装置2の解像度は1024×1024画素とする。」

J.「【0022】以下、図4を参照しながら本実施例における表示動作について説明する。
【0023】まず、ユーザが画像全体を表示したい旨を不図示のキーボード,マウス等で指定すると、CPU部4のCPUは蓄積デバイス6内の該当するビットストリームファイル7を読み出し、エンコーダ/デコーダ部5にデコード開始を指示する。この指示により、画像全体を表示するため、画像表示装置2の解像度と各レイヤの画像サイズから図5に示す50dpiまで、即ち12.5dpi,25dpi,50dpiまでのビットストリームがデコードされる。つまり、図4に示すように、ビットストリームファイル7内のデータ構造40が低解像度から高解像度の順に格納されていれば、エンコーダ/デコーダ部5はビットストリームの先頭から順にデコードして行く。
【0024】次に、50dpiまでのビットストリームがデコードされると、エンコーダ/デコーダ部5は一旦止まるように動作する。ここで、エンコーダ/デコーダ部5は、デコードした画像データを図1のビデオフレームメモリ3の該当する位置に順次書き込む。例えば、50dpiまでデコードした画像が図4に示す画像41であれば、画像表示装置2にはその画像41が表示されている。
【0025】ここで、ユーザが不図示のキーボード、マウス等から図4に示す矩形領域42を拡大(更に高解像度の画像を表示)する旨を指定した場合を例に説明する。
【0026】図6は、本実施例における拡大処理の処理手順を示すフローチャートであり、CPU部4のCPUによって実行される。
【0027】まず、CPU部4のCPUは図6に示すフローチャートに従い、ユーザが指定した矩形領域42の画面上の位置、X,Yサイズを計算する(ステップS1)。例えば、位置のアドレスをXアドレス=200、Yアドレス=250、サイズをXサイズ=100、Yサイズ=100とする。次に、現在表示中の画像の解像度が最高の解像度か否かを判断する(ステップS2)。その結果、最高の解像度であれば処理を終了するが、最高解像度でなければステップS3へ処理を進める。つまり、本実施例では、現在表示中の画像の解像度が50dpiであり、最高の解像度が400dpiであるので、ステップS3へ進み、上述のステップS1で求めた値を1つ上のレイヤにおける指定領域の位置、サイズを計算する。ここでの処理は、解像度100dpiの画像データにおける位置のアドレス、サイズを求める処理で、具体的には、位置のアドレスがXアドレス=400、Yアドレス=500、サイズがXサイズ=200、Yサイズ=200となる。
【0028】次に、ステップS4において、ステップS3で求めた値から指定された矩形領域42の開始点、終了点をそれぞれ計算する。その結果、上述の例では、開始点アドレス=(400,500)、終了点アドレス=(600,700)となる。そして、ステップS5へ進み、タグ情報8から一連のビットストリームファイル7の中で100dpiのビットストリームが始まるバイト数を求める。この処理は、図3に示したように、各レイヤ毎のビットストリームのバイト長がタグ情報8として格納されているため、12.5dpiから50dpiまでのタグ情報(バイト数)を加算すれば良い。従って、ビットストリームファイル7の先頭からオフセット値が計算でき、直接100dpiのビットストリームを読み出すことが可能となる。
【0029】ここで、読み出されたビットストリームをデコードするエンコーダ/デコーダ部5の処理を説明する。
・・・(中略)・・・
【0034】以上の処理を繰り返し、最終ラインまで処理が終了すると、図4に示すように矩形領域42が2倍の解像度の矩形領域43として表示される。」

上記Jの段落【0024】に、「次に、50dpiまでのビットストリームがデコードされると、エンコーダ/デコーダ部5は一旦止まるように動作する。ここで、エンコーダ/デコーダ部5は、デコードした画像データを図1のビデオフレームメモリ3の該当する位置に順次書き込む。例えば、50dpiまでデコードした画像が図4に示す画像41であれば、画像表示装置2にはその画像41が表示されている。」と記載されており、図4の「画像41」は、解像度50dpiの画像であると解される。そして、該「画像41」のうちの一部の領域である「矩形領域42」を拡大する旨の指示をした場合に現われる「矩形領域43」は、解像度100dpiの画像のストライプ15?21に対応するものであると解される。
すなわち、図4に示される「ビットストリーム」のデータを画像表示装置に表示する場合には、解像度12.5dpiに対応する画像から、解像度400dpiに対応する画像までが表示されるものと解される。
そして、図4を見ると、特定の一部領域を拡大する場合に、拡大前の「矩形領域42」が、周りに広がるような形で、約2倍(面積比では約4倍)の大きさの「矩形領域43」に拡大されていることが見て取れる。
ここで、解像度50dpiの「矩形領域42」と解像度100dpiの「矩形領域43」とは、解像度の比が2倍であるから、画素数の比も2倍(面積比では4倍)となるので、図4では、解像度を上げるとともに画面表示サイズも解像度に応じた大きさで拡大されて表示されているものと認められる。

よって、上記G?Jの記載及び関連する図面を参照すると、引用例2には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用例2記載の発明」という。)
「画像処理装置において、低い解像度から高い解像度までの画像データよりなるビットストリームファイルを作成しておき、ユーザから画像表示装置上の画像の一部領域を拡大する旨の指定をされた場合に、当該一部領域を表す低い解像度のビットストリームファイル上の画像データに対応する高い解像度のビットストリームファイル上の画像データを、元の領域が周りに広がるような形で解像度に応じた画面表示サイズに拡大して画像表示装置上に表示すること。」

4.対比
本願発明と引用例1記載の発明とを対比すると、次のことがいえる。

(あ)引用例1記載の発明における「電子的な複合文書」は、本願発明における「電子書籍データ」に相当する。

(い)本願発明において、「一又は複数のコンテンツ」との記載は、「一のコンテンツ」と「複数のコンテンツ」の択一的記載であり、「複数のコンテンツ」である場合を含むものである。
よって、引用例1記載の発明における「複数の文書要素」は、本願発明における「一又は複数のコンテンツ」に相当する。

(う)引用例1記載の発明における「親となる文書要素A」、「子となる文書要素B、C、D」は、それぞれ、本願発明における「基本コンテンツ」、「編集対象コンテンツ」に相当する。
そして、引用例1記載の発明においては、「子となる文書要素B」に対して、さらに「孫となる文書要素E」を貼り付けているが、該「孫となる文書要素E」を貼り付けることを除いた電子的な複合文書の作成動作、すなわち、「前記取り込んだ文書要素のうちの一つの文書要素を親となる文書要素Aとし、該文書要素Aに前記取り込んだ文書要素のうちの三つを子となる文書要素B、C、Dとして貼り付ける領域を確保・・・することで電子的な複合文書を作成」する動作が、本願発明における「前記取り込んだコンテンツから選択された少なくとも一つのコンテンツを基本コンテンツとし、そこに前記取り込んだコンテンツを編集対象コンテンツとして貼り付ける領域を確保することで電子書籍データを作成」する動作に相当する。

(え)引用例1のものにおいては、「実データフレーム」と「関係データフレーム」を「ポインタ」で関連付け、該「関係データフレーム」の「貼付位置」と「貼付サイズ」により、「子となる文書要素B、C、D」の位置を特定しているのに対し、本願発明においては、「領域の位置情報と編集対象コンテンツのファイル名とを、コンテンツ位置ファイルとして出力する」ことにより、「編集対象コンテンツ」の位置を特定しているが、ともに、「子となる文書要素B、C、D」あるいは「編集対象コンテンツ」の位置を特定していることには変わりない。

(お)上記(う)、(え)の事項を踏まえると、本願発明と引用例1記載の発明とは、ともに、「前記取り込んだコンテンツのうちの一つのコンテンツを基本コンテンツとし、そこに前記取り込んだコンテンツを編集対象コンテンツとして貼り付ける領域を確保することで電子書籍データを作成するとともに、前記編集対象コンテンツの位置を特定する電子書籍編集手段」を有する点において、共通するものである。

(か)引用例1記載の発明における「文書処理装置」は、「電子書籍作成システム」とも呼び得るものである。

上記(あ)?(か)の事項を踏まえると、本願発明と引用例1記載の発明とは、次の点で一致し、また、相違するものと認められる。

(一致点)
本願発明と引用例1記載の発明とは、ともに、
「電子書籍データを作成する電子書籍作成システムであって、
前記電子書籍作成システムは、
前記電子書籍データを作成する為の一又は複数のコンテンツを取り込むコンテンツ取込手段と、
前記取り込んだコンテンツのうちの一つのコンテンツを基本コンテンツとし、そこに前記取り込んだコンテンツを編集対象コンテンツとして貼り付ける領域を確保することで電子書籍データを作成するとともに、前記編集対象コンテンツの位置を特定する電子書籍編集手段と、を有している、
電子書籍作成システム。」
である点。

(相違点)
相違点1:本願発明においては、「取り込んだコンテンツから選択された少なくとも一つのコンテンツを基本コンテンツとし」ているのに対し、引用例1記載の発明においては、「取り込んだ文書要素のうちの一つの文書要素を親となる文書要素Aとし」ているものの、「取り込んだ文書要素から選択された少なくとも一つの文書要素を親となる文書要素Aとし」ているとはされていない点。

相違点2:「電子書籍編集手段」が、本願発明においては、「領域の位置情報と編集対象コンテンツのファイル名とを、コンテンツ位置ファイルとして出力する」動作を行うものであるのに対し、引用例1記載の発明においては、「文書要素の実データを含むデータ列と関係データフレームへのポインタを含む保持データ列とを有する実データフレームと、前記文書要素の貼付位置及び貼付サイズを含むデータ列と前記文書要素へのポインタを含む保持データ列とを有する関係データフレームを作成する」動作を行うものである点。

相違点3:本願発明は、「電子書籍編集手段において作成した電子書籍データについて、該電子書籍データを構成する各コンテンツの幅と高さからなる大きさを縮小することにより、該電子書籍データよりも小さな大きさの電子書籍データを複数生成し、生成したうちの一つの電子書籍データを、閲覧者の端末において最初に表示させる標準電子書籍データと設定して、前記生成した複数の電子書籍データを出力する電子書籍サイズ変換手段」を有するのに対し、引用例1記載の発明は、そのような手段を有していない点。

相違点4:本願発明においては、「標準電子書籍データが閲覧者の端末で表示されている状態において、閲覧者から拡大表示の選択を受け付けると、その拡大表示を受け付けた位置が、前記標準電子書籍データよりも大きな大きさの電子書籍データのどの位置に対応するかの位置情報を算出した上で、その算出した位置情報を中心として、前記標準電子書籍データよりも大きな大きさの電子書籍データを、前記閲覧者の端末において表示させる」ようにしているのに対し、引用例1記載の発明においては、そのようにしていない点。

5.当審の判断
そこで、上記相違点1?4について検討する。

(相違点1について)
引用例1記載の発明においては、「文書要素A」を親となる文書要素としているが、複数の文書要素のうちの任意のものを選択して親となる文書要素とすることは、当業者が適宜になし得ることにすぎない。
よって、引用例1記載の発明において、取り込んだコンテンツから選択された少なくとも一つのコンテンツを基本コンテンツとするようにすることは、当業者が適宜になし得ることにすぎない。

(相違点2について)
一般に、データを特定するために「ファイル名」を用いることは、ごく普通に行われることにすぎないから、「ファイル名」に対応させて「領域の位置情報」を記録させた「コンテンツ位置ファイル」を作成するようにすることは、当業者が適宜になし得ることにすぎない。
よって、引用例1のものにおいて、「実データフレーム」と「関係データフレーム」を「ポインタ」で関連付けることにより、「子となる文書要素B、C、D」の位置を特定するようにする代わりに、「領域の位置情報と編集対象コンテンツのファイル名とを、コンテンツ位置ファイルとして出力する」ことにより、「編集対象コンテンツ」の位置を特定するようにすることは、当業者が適宜になし得ることにすぎない。

(相違点3について)
引用例2の上記Iの段落【0017】に、「・・・解像度は、例えば原画を400dpiとすると、200dpi、100dpi、50dpi、25dpi、12.5dpiというように縦横共1/2にして行く・・・」と記載されているように、引用例2には、解像度の一番高いものを「原画」とし、それよりも解像度の低いものを複数作成することが記載されている。
してみれば、引用例1記載の発明において、ユーザからの文書要素のサイズ変更の指示に応じて、文書要素のサイズを変更するにあたり、オリジナルのものと、該オリジナルのものを複数段階に縮小したものを予め用意しておくようにすることは、引用例2記載の発明を参酌すれば、当業者が容易に想到し得ることである。
そして、オリジナルのもの及び該オリジナルのものを複数段階に縮小したもののうち、どの段階のものを「標準」のものとして最初に表示させるかは、当業者が適宜に選択できる事項(引用例2の図4のものにおいては、「12.5dpiの解像度を有するデータ」から「400dpiの解像度を有するデータ」までのもののうち、「50dpiの解像度を有するデータ」を「画像41」として最初に表示している。)にすぎない。
さらに、一般に、ネットワークを介してユーザの「端末」に情報を表示するようにすることは、ごく普通に行われていることにすぎないから、引用例1記載の発明における文書処理装置を「端末」として構成することは、当業者が適宜になし得ることである。
以上の諸事項を参酌すると、引用例1記載の発明において、「電子書籍編集手段において作成した電子書籍データについて、該電子書籍データを構成する各コンテンツの幅と高さからなる大きさを縮小することにより、該電子書籍データよりも小さな大きさの電子書籍データを複数生成し、生成したうちの一つの電子書籍データを、閲覧者の端末において最初に表示させる標準電子書籍データと設定して、前記生成した複数の電子書籍データを出力する電子書籍サイズ変換手段」を設けるようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(相違点4について)
上記「相違点3について」で検討したように、文書要素のサイズを変更するにあたり、オリジナルのものと該オリジナルのものを複数段階に縮小したものを予め用意しておくようにすることは、当業者が容易に想到し得ることであり、また、オリジナルのもの及び該オリジナルのものを複数段階に縮小したもののうち、どの段階のものを「標準」のものとして最初に表示させるかは、当業者が適宜に選択できる事項にすぎない。
すなわち、引用例2の第4図のものにおいて、最初に表示される50dpiの「画像41」を「標準」のものとすることは、当業者が適宜になし得ることであり、その場合、「画像41」のうちの一部分である「矩形領域42」も「標準」のものとなる。
そして、引用例2のものにおいては、その「標準」の50dpiの「矩形領域42」が表示されている状態でその対応する部分の100dpiのデータがビットストリーム上でどこになるかを算出し、それに対応する100dpiの「矩形領域43」を解像度に合わせて拡大して表示させるようにしている。
よって、引用例1記載の発明において、引用例2記載の発明を参酌し、「標準電子書籍データが閲覧者の端末で表示されている状態において、閲覧者から拡大表示の選択を受け付けると、その拡大表示を受け付けた位置が、前記標準電子書籍データよりも大きな大きさの電子書籍データのどの位置に対応するかの位置情報を算出した上で、その算出した位置情報を中心として、前記標準電子書籍データよりも大きな大きさの電子書籍データを、前記閲覧者の端末において表示させる」ようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(本願発明の作用効果について)
そして、本願発明の構成によってもたらされる効果も、引用例1,2に記載の発明から当業者が容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1,2に記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-01-12 
結審通知日 2010-01-19 
審決日 2010-02-03 
出願番号 特願2004-564068(P2004-564068)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長 由紀子  
特許庁審判長 長島 孝志
特許庁審判官 池田 聡史
小曳 満昭
発明の名称 電子書籍作成システム  
代理人 吉浦 洋一  
代理人 名越 秀夫  

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