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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1213855
審判番号 不服2007-16567  
総通号数 125 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-06-14 
確定日 2010-03-26 
事件の表示 特願2001-150283号「液処理装置および液処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年11月29日出願公開、特開2002-343759号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成13年5月21日の特許出願であって、平成19年4月18日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年5月15日)、これに対し、同年6月14日に審判請求がなされ、同年7月11日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成19年7月11日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成19年7月11日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、補正前に
「基板を略水平に保持する保持手段と、
前記保持手段に保持された基板の下方に略水平に設けられたステージと、
前記保持手段に保持された基板の裏面と前記ステージの表面との間隙に前記処理液を供給する処理液供給手段と、
を具備し、
前記保持手段に保持された基板の裏面と前記ステージの表面との間隙に前記処理液の層が形成されて前記基板が液処理される液処理装置であって、
前記ステージは、母体が金属材料からなり、かつ、処理液と接触する表面が、前記基板の裏面との間隙に前記処理液の層が安定して形成される程度の疎水性を有する樹脂からなることを特徴とする液処理装置。」
とあったものを、
「基板を略水平に保持する保持手段と、
前記保持手段に保持された基板の下方に略水平に設けられたステージと、
前記保持手段に保持された基板の裏面と前記ステージの表面との間隙に前記処理液を供給する処理液供給手段と、
を具備し、
前記保持手段に保持された基板の裏面と前記ステージの表面との間隙に前記処理液の層が形成されて前記基板が液処理される液処理装置であって、
前記ステージは、金属材料からなる母材の表面に疎水性を有する樹脂からなるコーティング層が形成されてなり、前記コーティング層の表面が前記処理液と接触し、 前記コーティング層は、基板の裏面との間隙に前記処理液の層が安定して形成される程度の疎水性を有することを特徴とする液処理装置。」(下線は、当審にて付与、以下同様。)と補正しようとするものである。

(2)補正の目的
上記補正は、「ステージは、母体が金属材料からなり、かつ、処理液と接触する表面が、前記基板の裏面との間隙に前記処理液の層が安定して形成される程度の疎水性を有する樹脂からなる」とあったところを「ステージは、金属材料からなる母材の表面に疎水性を有する樹脂からなるコーティング層が形成されてなり、前記コーティング層の表面が前記処理液と接触し、前記コーティング層は、基板の裏面との間隙に前記処理液の層が安定して形成される程度の疎水性を有する」と限定するものであり、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(3)独立特許要件
そこで、本件補正の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かについて検討する。
(3-1)刊行物
(3-1-1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平8-130202号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
a)「【産業上の利用分野】本発明は、被処理半導体基板を相対的に回転してその被処理面を処理液により処理する回転式半導体基板処理装置に関する。本発明は、例えば、半導体基板を洗浄処理液により洗浄処理する場合や、エッチング液によるエッチング処理する場合などの各種の液体による半導体基板処理の場合に適用することができる。」(段落【0001】)
b)「【発明の目的】本発明は、上記問題点を解決して、処理液が被処理面の全面に良好に行き渡る回転式半導体基板処理装置を提供することを目的とする。また、処理温度を均一とし、及び/または均一処理を可能とする構成にすることが可能な回転式半導体基板処理装置を提供することを目的とする。」(段落【0011】)
c)「実施例1
この実施例は、本発明を、基本的には半導体基板の洗浄処理装置として具体化したものであるが、同じ構造をエッチング用の処理装置としても用いることができる。
従来の洗浄処理技術は、一般的な枚葉式スピン洗浄機キャリアにセットされた半導体基板を一枚ずつ処理チャンバーに搬送し、半導体基板を水平に保ったまま回転させ、半導体基板の上部・下部もしくは、その両方から洗浄処理液を供給し洗浄を行い、洗浄が終了すると洗浄処理液と同様に純水リンス液等を供給する構成としてある。リンスが終了すると、半導体基板の乾燥を行うため半導体基板の回転数を高回転にして振りきり乾燥を行う。その後、処理室より取り出されキャリアに戻される。処理室は場合によって複数用意され、洗浄処理液の種類や乾燥などの処理により使い分けられる場合もある。更に、ひとつの処理室において複数の処理液による処理を連続して行う場合もある。
本実施例は、上記のような従来の構成に対して、半導体基板に洗浄処理液やリンス液等の処理液を効率良く供給して半導体基板にそれらの液体を効率良く接触させる構造で具体化したものである。
図1を参照する。図1に示すように、本実施例は、被処理半導体基板1を相対的に回転してその被処理面(ここでは基板1の上面及び下面の両面)を処理液(ここでは薬液や、純水等のリンス液である洗浄処理液)により処理する回転式半導体基板処理装置(洗浄装置)であって、回転する半導体基板1の上部や下部に処理液供給口(一カ所または複数)のある処理液ガイド2,3(上部処理液ガイド及び下部処理液ガイド)を配置して構成したものである。
このように本実施例は、半導体基板1の両面を被処理面とするものである。
また本実施例では、その処理液ガイド2,3から乾燥用ガスを流出し得る構成としたものである。
更に詳しくは、本実施例では、図1のように、ウエーハキャリアから搬送されてきた半導体基板1(ウエーハ)は洗浄処理室の半導体基板の保持具4(ウエーハ保持具)にセットされる。ここで、保持具4の保持方法や接触部分の形状及び数などは任意であり、特に規定するものではない。
この保持具4は、スピナーを兼ねており、これは半導体基板1を保持したまま水平に回転し始める。上部に置かれた上部洗浄処理液ガイド2と下部の下部洗浄処理液ガイド3も半導体基板1に対して平行に保たれ、更に間隔を一定に保ちながら同期して回転を始める。
ここでは、半導体基板1が水平に置かれ、水平を保ったまま回転するとしたが、半導体基板平面に垂直な軸で回転させるならば、その軸の方向は地面に対して傾いていても良く、その方向を規定するものではない。また、上部洗浄処理液ガイド2、下部洗浄処理液ガイド3の回転方向や回転数は半導体基板1の回転方向や回転数と異なっていても同じでもよく(停止していてもよい)、それぞれ必要に応じて独立に設定しても何ら支障はない。
更に、半導体基板1と不都合が起こるような接触が無い限りは、上部洗浄処理液ガイド2や下部洗浄処理液ガイド3と半導体基板1の間隔は自由に設定でき、必ずしも半導体基板1に対して完全に平行である必要はなく、間隔や角度は処理中に変化させても差支えない。また、上部洗浄処理液ガイド2、下部洗浄処理液ガイド3の形状や大きさは任意であり、特に限定はない。
必要な回転数まで達した後、洗浄用の処理液5,5′が上部洗浄処理液ガイド2及び下部薬液ガイド3の中心から供給されると洗浄処理液5,5′は半導体基板1と上部洗浄処理液ガイド2あるいは下部洗浄処理液ガイド3の間に満たされ、半導体基板1の洗浄が開始される。中心部より供給された洗浄処理液5,5′は、供給による圧力と半導体基板1及び上部洗浄処理液ガイド2もしくは下部洗浄処理液ガイド3と接触して回転することによる遠心力によって、半導体基板1の表面上を同径方向外側に流れて行く。更に流れて行くと、半導体基板1の端より排液される。
ここでは必要な回転数まで回転が達したときに洗浄処理液5,5′が供給される構成としたが、供給のタイミングには限定はない。また、処理液供給は、上部洗浄処理液ガイド2もしくは下部洗浄処理液ガイド3の中心一カ所に限定するものではなく、複数の部分から供給してもよい。処理中(洗浄中)の回転数は一定でなくてもよく、回転速度を規定するものではない。」(段落【0020】ないし【0031】)
d)「【発明の効果】上述したように、本発明によれば、処理液が被処理面の全面に良好に行き渡る回転式半導体基板処理装置を提供することができた。また、本発明は、処理温度を均一とし、及び/または均一処理を可能とする構成にできるものである。」(段落【0048】)
e)上記摘記事項cと【図1】との記載によると、処理液5′を下部洗浄処理液ガイド3の処理液供給口から供給する処理液供給手段を備え、下部洗浄処理液ガイド3は、上表面が洗浄用の処理液5′と接触していることが示されているといえる。
上記記載事項及び図面の記載事項を総合勘案すると、刊行物1には、次の発明が記載されている。
「半導体基板1を水平に保持する保持具4と、
保持具4に保持された半導体基板1の下部に配置された下部処理液ガイド3と、
保持具4に保持された半導体基板1と下部洗浄処理液ガイド3との間に洗浄処理液5’を下部処理液ガイド3の処理液供給口から供給する処理液供給手段とを備え、
保持具4に保持された半導体基板1と下部洗浄処理液ガイド3との間に洗浄処理液5’が満たされ、半導体基板1に処理液を接触させる半導体基板処理装置であって、
下部処理液ガイド3は、上表面が洗浄処理液5’と接触し、下部処理液ガイド3の上表面は、半導体基板1との間に洗浄処理液5’が満され、洗浄処理液5’が被処理面の全面に良好に行き渡る半導体基板処理装置。」
(3-1-2)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開昭61-98351号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
a)「本発明は、処理液による被洗浄基板の表面処理に関するものである。」(第1頁左下欄第15、16行)
b)「〔発明が解決しようとする問題点〕
上記のマスク板のごとき一枚毎に表面処理を行う方法では、個々の一枚ごとに被処理基板を治具に保持固定して、それを手動によって処理液に侵漬するとか、更に侵漬の条件を均一にするために、被処理基体を常に回転をしなければ成らないことや、防塵上の不利、取扱いが複雑性、及び自動化が出来ないという問題点があり、そのために防塵、作業管理、作業能率、自動化推進上で不具合を生ずる。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は上記問題点を解消した表面処理方法を提供するもので、その手段は、支持アームで両端を保持された被処理基板の両側面に平行に所定の間隙で耐薬品性板状体を配置し、上記耐薬品性板状体に設けた処理液注入孔から該間隙に所要の処理液を注入することにより、該間隙の処理液が該被処理基板と耐薬品性板状体間の表面張力で該被処理基板を濡らすことにより、上記被洗浄板の表面処理をするようにしたことを特徴とする表面処理方法によって達成できる。
〔作用〕
本発明は、被処理基板を処理液が表面張力で基板表面に拡散するように間隙を有するように、対向して平行に耐薬品性処理容器を配置して、その間隙に所定の処理液を注入することにより表面張力によって被処理基板の全面を処理液が濡らすことになるために、静止状態で処理することでき、防塵、能率化、更に自動化も可能にする表面処理方法を考慮したものである。」(第2頁左上欄第18行ないし同左下欄第7行)
c)「〔実施例〕
第1図は本発明の実施例を説明するための断面図である。
被処理基体1は例えばガラス製のフォトマスクの如きものでもよく、この被処理基体1はテフロンの如き耐薬品性の材料で形成された支持アーム2によって両端で保持されている。
被処理基体1の両面に対向して同じくテフロンの如き耐薬品性の材料で形成された耐薬品性板状体3、4が、被処理基体1に適切な間隙を有して近接して平行に配置され、この耐薬品性板状体3、4には、間隙に処理液が注出入できるように、導水パイプ5が設けられている。
実施例として、被処理基体1がフォトマスクである場合の製造処理工程として、アルカリ液による現像工程、硝酸の水溶液によるエッチング工程、苛性ソーダの水溶液による剥離工程、最後に硫酸の水溶液による洗浄工程を例にとると、被処理基体1のフォトマスクは、テフロンで形成された支持機構2によって保持され、フォトマスクの両面側に対向して配置された耐薬品性板状体3、4との間隙に、導水パイプ5から注入される上記のそれぞれの処理液が処理工程の手順に従って、間隙に注入され、注入された処理液は間隙の表面張力によって完全にフォトマスクlを濡らすように処理液6として間隙に拡散することになる。
具体例として、この間隙は約2?3mm程度が目安であるが、処理液の種類によって表面張力が異なるために、それぞれの処理液によって間隙を決定する必要がある。
このように処理液は注入されて自動的に表面張力で基板を濡らすために、外部から異物が混入することがなく、又自動注入と排水をするだけでよいので、フォトマスクを回転するとか、振動を与えたりする必要がなくなり作業操作が容易になるので、自動化が容易に行えるという利点があり、又処理工程中に被洗浄体を機械的に傷めるなどの欠点もなくなる。」(第2頁左下欄第8行ないし第3頁左上欄第5行)
d)「〔発明の効果〕
以上詳細に説明したように本発明の処理装置は効率的に洗浄が行えるのみ成らず、品質の向上、製造工程の自動化が可能となり、経済性のある生産に供し得るという効果大なるものがある。」(第3頁左上欄第6行ないし同第10行)
e)上記摘記事項cおよび第1図の記載によると、耐薬品性板状体4の表面が処理液と接触していることが示されている。
上記記載事項及び図面の記載事項を総合勘案すると、刊行物2には、次の発明が記載されている。
「被処理基体1の下面に対向して平行に配置された耐薬品性板状体4と、
支持機構2によって保持された被処理基体1の下面に対向して配置された耐薬品性板状体4との間隙に処理液を導水パイプ5から注入する手段と、
を備える表面処理装置であって、
耐薬品性板状体4は、テフロン(登録商標、以下同様。)で形成され、耐薬品性板状体4の表面が処理液と接触し、
耐薬品性板状体4と被処理基体1との2?3mm程度の間隙の処理液が表面張力によって完全に被処理基体1を濡らすように間隙に拡散する表面処理装置。」

(3-2)対比
本件補正発明と刊行物1に記載された発明とを対比する。
刊行物1に記載された発明の「半導体基板1」は、その構成および作用からみて本件補正発明の「基板」に相当し、以下同様に、
「保持具4」は「保持手段」に、
「下部処理液ガイド3」は、半導体基板1の下部に水平に配置されるものであることから、「基板の下方に略水平に設けられたステージ」に、
「洗浄処理液5’を下部処理液ガイド3の処理液供給口から供給する処理液供給手段」は「処理液供給手段」に、
「半導体基板1と下部処理液ガイド3との間に洗浄処理液5’が満たされ、」「半導体基板1に処理液を接触させる」「半導体基板処理装置」は「処理液の層が形成されて」「基板が液処理される」「液処理装置」に、
それぞれ相当する。
そして、刊行物1に記載された発明の「下部処理液ガイド3は、上表面が洗浄処理液5’と接触(すること)」と本件補正発明の「ステージは、金属材料からなる母材の表面に疎水性を有する樹脂からなるコーティング層が形成されてなり、コーティング層の表面が処理液と接触(すること)」とは、「ステージは、表面が処理液と接触(すること)」である点で共通する。
次に、刊行物1に記載された発明の「下部処理液ガイド3の上表面は、半導体基板1との間に洗浄処理液5’が満され、洗浄処理液5’が被処理面の全面に良好に行き渡る(こと)」と本件補正発明の「コーティング層は、基板の裏面との間隙に前記処理液の層が安定して形成される程度の疎水性を有する(こと)」とを比較する。
刊行物1に記載された発明においては、下部処理液ガイド3の上表面と半導体基板1との間に満たされた洗浄処理液5’の層は、被処理面の周辺部にまで良好に行き渡ることから、洗浄処理液5’は下部処理液ガイド3の上表面と半導体基板1との間に安定して満たされているものといえる。
したがって、両者は、「ステージの表面は、基板の裏面との間隙に処理液の層が安定して形成される(こと)」で共通する。
ゆえに、上記両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「基板を略水平に保持する保持手段と、
前記保持手段に保持された基板の下方に略水平に設けられたステージと、
前記保持手段に保持された基板の裏面と前記ステージの表面との間隙に前記処理液を供給する処理液供給手段と、
を具備し、
前記保持手段に保持された基板の裏面と前記ステージの表面との間隙に前記処理液の層が形成されて前記基板が液処理される液処理装置であって、
ステージは、表面が処理液と接触し、
ステージの表面と基板の裏面との間隙に処理液の層が安定して形成される液処理装置。」
[相違点]
ステージについて、本件補正発明では、金属材料からなる母材の表面に疎水性を有する樹脂からなるコーティング層が形成されてなり、コーティング層の表面が処理液と接触し、コーティング層は、基板の裏面との間隙に処理液の層が安定して形成される程度の疎水性を有するのに対して、刊行物1に記載された発明では、ステージは、表面が処理液と接触し、ステージの表面と基板の裏面との間隙に処理液の層が安定して形成される点。

(3-3)当審の判断
本件補正発明と刊行物2に記載された発明とを対比する。
刊行物2に記載された発明の「被処理基体1」は、その構成および作用からみて、本件補正発明の「基板」に相当し、以下同様に、
「下面に対向して平行に配置された」「耐薬品性板状体4」は「下方に略水平に設けられた」「ステージ」に、
「支持機構2」は「保持手段」に、
「被処理基体1の下面に対向して配置された耐薬品性板状体4との間隙に処理液を導水パイプ5から注入する手段」は「基板の裏面とステージの表面との間隙に処理液を供給する処理液供給手段」に、
「表面処理装置」は「液処理装置」に、
それぞれ相当する。
そして、刊行物2に記載された発明の「テフロンで形成され、耐薬品性板状体4の表面が処理液と接触(すること)」と本件補正発明の「金属材料からなる母材の表面に疎水性を有する樹脂からなるコーティング層が形成されてなり、前記コーティング層の表面が前記処理液と接触(すること)」とは、刊行物2に記載された発明の「テフロン」が「疎水性を有する樹脂」であることから、両者は、「疎水性を有する樹脂から形成され、表面が処理液と接触(すること)」で共通する。
また、刊行物2に記載された発明の「耐薬品性板状体4と被処理基体1との2?3mm程度の間隙の処理液が表面張力によって完全に被処理基体1を濡らすように間隙に拡散する(こと)」と本件補正発明の「コーティング層は、基板の裏面との間隙に処理液の層が安定して形成される程度の疎水性を有する(こと)」とは、刊行物2に記載された発明の「耐薬品性板状体4」は、耐薬品性板状体4と被処理基体1の2?3mm程度の間隙に形成される処理液の表面が被処理基体1を完全に濡らす程度の大きさの表面張力を有することから、表面張力の大きさに比例する耐薬品性板状体4表面の接触角の大きさも疎水性を示す程度のものといえ、また、本件補正発明のコーティング層は、ステージの一部を構成するものである。したがって、両者は、「ステージは、基板の裏面との間隙に処理液の層が安定して形成される程度の疎水性を有する(こと)」で共通する。
ゆえに、刊行物2に記載された発明は、
「基板の下方に略水平に設けられたステージと、
保持手段によって保持された
基板の裏面とステージの表面との間隙に処理液を供給する処理液供給手段と、
を備える液処理装置であって、
ステージは、疎水性を有する樹脂から形成され、表面が処理液と接触し、
基板の裏面との間隙に処理液の層が安定して形成される程度の疎水性を有する液処理装置。」
と言い換えることができる。
そして、刊行物1および2に記載された発明は、ステージの表面と基板の裏面との間隙に処理液の層が安定して形成される液処理装置という共通の技術分野に属する発明であるとともに、基板に処理液を全面に行き渡らせるという機能面においても共通するものである。
さらに、基板の液処理装置の技術分野において、金属であるステンレスからなる母材の表面に疎水性を有するフッ素樹脂からなるコーティング層が形成された部材を液処理装置内で用いることは、本願出願前周知の技術事項である(例えば、特開2000-70884号公報の段落【0002】、【0003】、【0034】や、特開2000-340540号公報の段落【0042】、【0043】に記載された基板保持部材20、抑え具49や、特開平9-162152号公報の段落【0055】参照。)。
したがって、刊行物1に記載された発明のステージに刊行物2に記載された発明および上記周知の技術事項を適用して、上記相違点における本件補正発明が具備する構成に到達することは、当業者が容易になし得たものである。
また、本件補正発明の奏する効果についてみても、刊行物1および2に記載された発明および周知の技術事項により奏される効果の範囲内のものである。
ゆえに、本件補正発明は、刊行物1および2に記載された発明および周知の技術事項に基いて当業者が容易に想到し得たものである。
よって、本件補正発明は、刊行物1および2に記載された発明および周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(3-4)むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する特許法第126条第5項の規定に違反するものであり、平成18年改正前特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成19年7月11日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成18年12月14日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであり、前記「2.[理由](1)」の補正前の請求項1に記載されたとおりのものである。

(2)刊行物
原査定の拒絶の理由に引用した刊行物1および2、刊行物1および2の記載事項、および、刊行物1および2に記載された発明は、前記「2.[理由](3)(3-1)刊行物」に記載したとおりである。

(3)対比および判断
本願発明は、前記「2.[理由]」で検討した本件補正発明において、「ステージは、金属材料からなる母材の表面に疎水性を有する樹脂からなるコーティング層が形成されてなり、前記コーティング層の表面が前記処理液と接触し、前記コーティング層は、基板の裏面との間隙に前記処理液の層が安定して形成される程度の疎水性を有する」とあったところ、「ステージは、母体が金属材料からなり、かつ、処理液と接触する表面が、前記基板の裏面との間隙に前記処理液の層が安定して形成される程度の疎水性を有する樹脂からなる」とその限定を省いたものである。
そうすると、実質的に本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記「2.[理由](3)(3-2)対比および(3-3)当審の判断」に記載したとおり、刊行物1および2に記載された発明および周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、刊行物1および2に記載された発明および周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、刊行物1および刊行物2に記載された発明および周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願のその他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-12-08 
結審通知日 2010-01-05 
審決日 2010-01-18 
出願番号 特願2001-150283(P2001-150283)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 金丸 治之  
特許庁審判長 森川 元嗣
特許庁審判官 長崎 洋一
稲垣 浩司
発明の名称 液処理装置および液処理方法  
代理人 高山 宏志  
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