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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1213856 |
審判番号 | 不服2007-20716 |
総通号数 | 125 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-05-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-07-26 |
確定日 | 2010-03-26 |
事件の表示 | 特願2002-330758「画像ファイリング装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 6月10日出願公開、特開2004-166057〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 経緯等 1.手続 本件出願は、平成14年11月14日の出願(特願2002-330758号)であって、平成18年11月28日付けで拒絶の理由が通知され、これに対し、平成19年2月2日付けで意見書が提出されると同時に手続補正がなされ、更に平成19年2月27日付けで最後の拒絶の理由が通知され、これに対し、平成19年4月4日付けで意見書が提出されると同時に手続補正がなされた。平成19年4月4日付けの手続補正は平成19年6月27日付けで却下され、本件出願は、同平成19年6月27日付けで拒絶査定がなされた。 本件は、上記拒絶査定を不服として平成19年7月26日に請求された拒絶査定不服審判であり、平成19年7月26日付けで手続補正(明細書又は図面について請求の日から30日以内にする補正)がなされた。 2.査定 原審での査定の理由は、概略、以下のとおりである。 本願の各請求項に係る発明は、下記の刊行物に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 記 刊行物1:特開2000-13732号公報 刊行物2:特開平6-243022号公報 刊行物3:特開2001-197409号公報 第2 平成19年7月26日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成19年7月26日付けの手続補正を却下する。 [補正却下の決定の理由] 1.本件補正 平成19年7月26日付けの手続補正(以下、「本件補正」という)は、特許請求の範囲についてするものであり、補正前に 「【請求項1】 デジタルカメラで撮影された画像データを記憶するメモリーカードから前記画像データを取り込み、そのデータを保存用記憶メディアへ記録する画像ファイリング装置において、 前記デジタルカメラとデータ通信可能に接続され、前記デジタルカメラに前記メモリーカードを装填した状態で、前記メモリーカード内の前記画像データを前記デジタルカメラから装置本体へダイレクトに転送するための通信インタフェースと、 前記保存用記憶メディアに、複数のデジタルカメラから転送された各画像データを前記デジタルカメラ毎に分類して格納する複数のフォルダを作成するフォルダ作成手段と、 前記画像データが、それぞれのデジタルカメラに対応する前記フォルダに格納されるように、前記フォルダのアクセス制限を行うアクセス制限手段とを備えたことを特徴とする画像ファイリング装置。 【請求項2】 前記アクセス制限手段は、前記各デジタルカメラに対応する識別情報を前記各フォルダに関連付けて記憶して、その識別情報に基づいて前記フォルダのアクセス制限を行うことを特徴とする請求項1記載の画像ファイリング装置。 【請求項3】 前記通信インタフェースは、前記デジタルカメラと装置本体が接続されたことを検知する検知機能と、前記デジタルカメラとの通信制御の主導権を持つホスト機能と、前記デジタルカメラに対して通信ケーブルを通じて給電を行う給電機能とを備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の画像ファイリング装置。」 とあったものを、 「【請求項1】 デジタルカメラで撮影された画像データを記憶するメモリーカードから前記画像データを取り込み、そのデータを、前記装置本体に着脱自在にセットされた保存用記憶メディアへ記録する画像データファイリング機能を主要な機能とする画像ファイリング装置において、 前記デジタルカメラとデータ通信可能に接続され、前記デジタルカメラに前記メモリーカードを装填した状態で、前記メモリーカード内の前記画像データを前記デジタルカメラから装置本体へダイレクトに転送するための通信インタフェースと、 前記保存用記憶メディアに、複数のデジタルカメラから転送された各画像データを前記デジタルカメラ毎に分類して格納する複数のフォルダを作成するフォルダ作成手段と、 前記画像データが、それぞれのデジタルカメラに対応する前記フォルダに格納されるように、前記フォルダのアクセス制限を行うアクセス制限手段とを備えており、 前記通信インタフェースが前記デジタルカメラと装置本体が接続されたことを検知すると、前記デジタルカメラが前記装置本体に設けられた他のカードリーダよりも画像データ読み取り用ドライブとして優先され、前記通信インタフェースは、前記デジタルカメラとの通信制御の主導権を持つホスト機能により、前記デジタルカメラとのネゴシエーションを行うことを特徴とする画像ファイリング装置。 【請求項2】 前記アクセス制限手段は、前記各デジタルカメラに対応する識別情報を前記各フォルダに関連付けて記憶して、その識別情報に基づいて前記フォルダのアクセス制限を行うことを特徴とする請求項1記載の画像ファイリング装置。」 と補正しようとするものである。 2.補正の目的 本件補正は特許請求の範囲についてするものであり、このうち請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1において 「保存用記憶メディア」、 「画像ファイリング装置」、 「アクセス制限手段とを備えたことを特徴とする」 とあるものを、それぞれ、 「前記装置本体に着脱自在にセットされた保存用記憶メディア」、 「画像データファイリング機能を主要な機能とする画像ファイリング装置」、 「アクセス制限手段とを備えており、 前記通信インタフェースが前記デジタルカメラと装置本体が接続されたことを検知すると、前記デジタルカメラが前記装置本体に設けられた他のカードリーダよりも画像データ読み取り用ドライブとして優先され、前記通信インタフェースは、前記デジタルカメラとの通信制御の主導権を持つホスト機能により、前記デジタルカメラとのネゴシエーションを行うことを特徴とする」 と補正するものである。 (1)「保存用記憶メディア」を「前記装置本体に着脱自在にセットされた保存用記憶メディア」とする補正は、保存用記憶メディアを限定するものである。 (2)「画像ファイリング装置」を「画像データファイリング機能を主要な機能とする画像ファイリング装置」とする補正は、画像ファイリング装置の機能を限定するものである。 (3)「アクセス制限手段とを備えたことを特徴とする」を 「アクセス制限手段とを備えており、 前記通信インタフェースが前記デジタルカメラと装置本体が接続されたことを検知すると、前記デジタルカメラが前記装置本体に設けられた他のカードリーダよりも画像データ読み取り用ドライブとして優先され、前記通信インタフェースは、前記デジタルカメラとの通信制御の主導権を持つホスト機能により、前記デジタルカメラとのネゴシエーションを行うことを特徴とする」 と補正する点について検討する。 ア 「前記通信インタフェースが前記デジタルカメラと装置本体が接続されたことを検知すると」という事項は、本件補正前の請求項1の構成要件である「通信インタフェース」の機能を具体的に限定していると解することができる。 イ 「前記通信インタフェースは、前記デジタルカメラとの通信制御の主導権を持つホスト機能により、前記デジタルカメラとのネゴシエーションを行う」という事項も、通信インタフェースに関する補正であると解することができ、そうすると、本件補正前の請求項1の構成要件である「通信インタフェース」の機能を具体的に限定しているということができる。 ウ 「前記デジタルカメラが前記装置本体に設けられた他のカードリーダよりも画像データ読み取り用ドライブとして優先され」という事項に関して検討する。本件補正前の請求項1には、画像ファイリング装置本体と「デジタルカメラと」が「接続され」ると記載されてはいるものの、画像ファイル「装置本体」に「他のカードリーダ」が設けられているとは記載されていないし、デジタルカメラと他のカードリーダの優先関係についても記載がない。そのような本件補正前の請求項1に「前記デジタルカメラが前記装置本体に設けられた他のカードリーダよりも画像データ読み取り用ドライブとして優先され」という事項を含めることは、本件補正前の請求項1に含まれていなかった事項を追加することになるので、本件補正前の請求項1に係る発明の構成に欠くことのできない事項の全部又は一部を限定するものであるとは認められない。 エ 以上によれば、本件補正のうち請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる事項である特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるということはできない。 また、当該補正は、請求項の削除、誤記の訂正、又は、明りょうでない記載の釈明であるとも認められない。 オ なお、本件補正が、本件補正前の請求項1を削除し、本件補正前の請求項3を補正することにより、本件補正後の請求項1とするものと見るとしても、本件補正後の請求項1が本件補正前の請求項3を補正したものである以上、本件補正は、本件補正前の請求項1を削除するに留まらず、特許法第17条の2第4項第1号に掲げる事項である請求項の削除を目的とするものであるということはできない。 そして、本件補正前の請求項3を補正して、本件補正後の請求項1とすることについて、「前記デジタルカメラが前記装置本体に設けられた他のカードリーダよりも画像データ読み取り用ドライブとして優先され」という事項は、本件補正前の請求項3に係る発明の構成に欠くことのできない事項の全部又は一部を限定するものであるとは認められない。なぜなら、本件補正前の請求項3は本件補正前の請求項1を引用しているので、上記「ウ」で検討したとおり、画像ファイリング装置本体は「デジタルカメラと」「接続され」るとはしているものの、画像ファイル「装置本体」に「他のカードリーダ」が設けられているとはしていないし、デジタルカメラと他のカードリーダの優先関係についても記載がない。そのような本件補正前の請求項3に「前記デジタルカメラが前記装置本体に設けられた他のカードリーダよりも画像データ読み取り用ドライブとして優先され」という事項を含めることは、本件補正前の請求項3に含まれていなかった事項を追加することになるからである。 更に、本件補正前の請求項3の構成要件に含まれていた「前記デジタルカメラに対して通信ケーブルと通じて給電を行う給電機能」という事項を削除する本件補正は、本件補正前の請求項3に係る発明の構成要件である「通信インタフェース」の機能についての「前記デジタルカメラに対して通信ケーブルと通じて給電を行う給電機能」という特定を削除するものであり、本件補正前の請求項3に係る発明の構成に欠くことのできない事項の全部又は一部を限定するものであるとは認められない。 よって、本件補正が、本件補正前の請求項1を削除し、本件補正前の請求項3を補正することにより、本件補正後の請求項1とするものと見るとしても、本件補正後の請求項1に係る補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる事項である特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるということはできないし、特許法第17条の2第4項第1号に掲げる事項である請求項の削除であるということもできない。 また、当該補正は、誤記の訂正、又は、明りょうでない記載の釈明であるとも認められない。 3.本件補正についての結び したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、[補正却下の決定の結論]のとおり決定する。 第3.本願発明について 1.本願発明 平成19年7月26日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、平成19年2月2日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 デジタルカメラで撮影された画像データを記憶するメモリーカードから前記画像データを取り込み、そのデータを保存用記憶メディアへ記録する画像ファイリング装置において、 前記デジタルカメラとデータ通信可能に接続され、前記デジタルカメラに前記メモリーカードを装填した状態で、前記メモリーカード内の前記画像データを前記デジタルカメラから装置本体へダイレクトに転送するための通信インタフェースと、 前記保存用記憶メディアに、複数のデジタルカメラから転送された各画像データを前記デジタルカメラ毎に分類して格納する複数のフォルダを作成するフォルダ作成手段と、 前記画像データが、それぞれのデジタルカメラに対応する前記フォルダに格納されるように、前記フォルダのアクセス制限を行うアクセス制限手段とを備えたことを特徴とする画像ファイリング装置。」 2.引用刊行物の記載 原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-13732号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の記載がある。 (1) 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、画像データの格納技術に関し、特に電子カメラから得られた画像データの格納技術に関する。」 (2) 「【0015】 【発明の実施の形態】以下、本発明による実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態にかかる電子カメラの構成を示すブロック図である。図1において、撮影レンズ1により受光面に光学像を結像された、撮像手段としての光電変換手段2は、被写体の光学像を対応する電荷量に変換する、いわゆる光電変換を行うものであり、A/D変換装置3は、光電変換手段2から入力されたアナログ信号をディジタル信号に変換して出力するものである。かかるA/D変換回路3を介して得られた画像データは、一旦、画像用メモリ4に記憶される。 【0016】画像用メモリ4に記憶された画像データは、MPU5によって各種の画像処理が施され、最終的には画像毎に一つのファイルとして作成され、MPU5に接続されたメモリカードMCを含む記憶手段6に記憶される。尚、MPU5は、内蔵電池等の電源7から電力供給を受け、インタフェース手段8(232Cシリアルポート、USB、IrDA通信装置等)を介して外部のパソコンPに対し、メモリカード6に格納されたファイルを転送でき、また受信することもできるようになっている。また、メモリカードMC自体を、直接パソコンPに読み取らせても良い。かかるファイルに基づき画像は、パソコンPのディスプレイに表示され、あるいはパソコンPに接続されたプリンタPtによってプリントされる。」 (3) 「【0017】図2は、パソコンPにおけるディレクトリの例を示す図である。図2において、パソコンPは、ルートディレクトリROOTの下に、電子カメラにより撮像された画像専用ディレクトリIMGDRCTを設定している。ここで、2台の電子カメラより画像データを含むファイルが転送されてきた場合、そのファイルが形成されたディレクトリA01X0001、B05X0001毎、パソコンPは、画像専用ディレクトリIMGDRCTの下に格納するようになっている。尚、各ディレクトリA01X0001、B05X0001内には、個々の画像に対応する画像データを含むファイル(たとえばAAAA0001等)が設定されており、そのファイル内には、本画像用の画像データと、サムネール用の画像データとがそれぞれ含まれている(図3(b)参照)。 【0018】電子カメラ側では、あるルールに従ってディレクトリ名を決定している。より具体的には、ディレクトリ名に電子カメラの機種名に関する情報を含ませるようにしている。たとえばディレクトリA01X0001に格納されるファイルは、メーカーA社のモデル01という電子カメラにより撮像された画像にかかるデータを含んでいることを意味している。一方、ディレクトリB05X0001に格納されるファイルは、メーカーB社のモデル05という電子カメラにより撮像された画像にかかるデータを含んでいることを意味している。 【0019】パソコンP上でファイルの処理を行う場合、異なるメーカーの電子カメラや、同一メーカーであっても異なる機種の電子カメラにかかる画像データを含むファイルを取り扱う場合もある。かかる場合、ユーザーはディレクトリ名を見るだけで、どのような電子カメラで撮像された画像にかかるデータを含むファイルか直ちに把握でき、それにより画像の検索や再フォーマット等の処理が容易になる。 【0020】また、本実施の形態においては、電子カメラより転送されたファイルは、全て画像専用ディレクトリIMGDRCT内に格納されるようになっている。このように、画像専用ディレクトリ内に画像データを含むファイルを全て格納するようにしているので、ルートディレクトリROOTの下に設定された他のディレクトリ(AUTOEXEC又はDOC)と明確に区別がつき、それによりファイルの管理をより容易にしている。尚、このような処理を行うプログラムは、CD等の記録媒体を介してパソコンPにインストールできる他、電子カメラのMPU5にも予めあるいは新たにインストールすることも可能である。」 3. 刊行物1に記載された発明の認定 (1)刊行物1には、「画像データを含むファイル」を「格納する」「パソコン」が記載されており、このパソコンを刊行物1に記載された発明(以下「引用発明」という)として認定する。 (2) 電子カメラからパソコンへのファイル転送 上記「2.(2)」を踏まえれば、 「電子カメラ」において「撮影レンズ1により受光面に光学像を結像された、撮像手段としての光電変換手段2は、被写体の光学像を対応する電荷量に変換する、いわゆる光電変換を行うものであり、A/D変換装置3は、光電変換手段2から入力されたアナログ信号をディジタル信号に変換して出力するものであ」り、「かかるA/D変換回路3を介して得られた画像データは、一旦、画像用メモリ4に記憶され」、「画像用メモリ4に記憶された画像データは、MPU5によって各種の画像処理が施され、最終的には画像毎に一つのファイルとして作成され、MPU5に接続されたメモリカードMCを含む記憶手段6に記憶され」、「MPU5は、内蔵電池等の電源7から電力供給を受け、インタフェース手段8(232Cシリアルポート、USB、IrDA通信装置等)を介して外部のパソコンPに対し、メモリカード6に格納されたファイルを転送でき」るものであるから、刊行物1に記載のパソコンは、 「電子カメラにおいて撮影レンズ1により受光面に光学像を結像された、撮像手段としての光電変換手段2は、被写体の光学像を対応する電荷量に変換する、いわゆる光電変換を行うものであり、A/D変換装置3は、光電変換手段2から入力されたアナログ信号をディジタル信号に変換して出力するものであり、かかるA/D変換回路3を介して得られた画像データは、一旦、画像用メモリ4に記憶され、画像用メモリ4に記憶された画像データは、MPU5によって各種の画像処理が施され、最終的には画像毎に一つのファイルとして作成され、MPU5に接続されたメモリカードMCを含む記憶手段6に記憶され、MPU5は、内蔵電池等の電源7から電力供給を受け、インタフェース手段8(232Cシリアルポート、USB、IrDA通信装置等)を介して外部のパソコンPに対し、メモリカード6に格納されたファイルを転送でき」るパソコンであると認められる。 (3) パソコン上でのファイル格納 上記「2.(3)」を踏まえれば、 「パソコンPは、ルートディレクトリROOTの下に、電子カメラにより撮像された画像専用ディレクトリIMGDRCTを設定して」おり、「ここで、2台の電子カメラより画像データを含むファイルが転送されてきた場合、そのファイルが形成されたディレクトリA01X0001、B05X0001毎、パソコンPは、画像専用ディレクトリIMGDRCTの下に格納するようになって」おり、「各ディレクトリA01X0001、B05X0001内には、個々の画像に対応する画像データを含むファイル(たとえばAAAA0001等)が設定されており、」「パソコンP上でファイルの処理を行う場合、異なるメーカーの電子カメラや、同一メーカーであっても異なる機種の電子カメラにかかる画像データを含むファイルを取り扱う場合」、「ユーザーはディレクトリ名を見るだけで、どのような電子カメラで撮像された画像にかかるデータを含むファイルか直ちに把握でき、それにより画像の検索や再フォーマット等の処理が容易になる」ようにしており、 刊行物1に記載のパソコンは、 「ルートディレクトリROOTの下に、電子カメラにより撮像された画像専用ディレクトリIMGDRCTを設定しており、ここで、2台の電子カメラより画像データを含むファイルが転送されてきた場合、そのファイルが形成されたディレクトリA01X0001、B05X0001毎、パソコンPは、画像専用ディレクトリIMGDRCTの下に格納するようになっており、各ディレクトリA01X0001、B05X0001内には、個々の画像に対応する画像データを含むファイル(たとえばAAAA0001等)が設定されており、パソコンP上でファイルの処理を行う場合、異なるメーカーの電子カメラや、同一メーカーであっても異なる機種の電子カメラにかかる画像データを含むファイルを取り扱う場合、ユーザーはディレクトリ名を見るだけで、どのような電子カメラで撮像された画像にかかるデータを含むファイルか直ちに把握でき、それにより画像の検索や再フォーマット等の処理が容易になるように構成されて」いるものであると認められる。 (4) ディレクトリ名 上記「2.(3)」によれば、ファイルが格納されるディレクトリ名については 「電子カメラ側で」、「あるルールに従ってディレクトリ名」が「決定」され、「具体的には、ディレクトリ名に電子カメラの機種名に関する情報を含ませるようにして」おり、「ディレクトリA01X0001に格納されるファイルは、メーカーA社のモデル01という電子カメラにより撮像された画像にかかるデータを含んでいることを意味し」、「ディレクトリB05X0001に格納されるファイルは、メーカーB社のモデル05という電子カメラにより撮像された画像にかかるデータを含んでいることを意味している」ものであるので、 刊行物1に記載のパソコン上でのファイル格納に関するディレクトリ名は 「電子カメラ側で、あるルールに従ってディレクトリ名が決定され、具体的には、ディレクトリ名に電子カメラの機種名に関する情報を含ませるようにしており、ディレクトリA01X0001に格納されるファイルは、メーカーA社のモデル01という電子カメラにより撮像された画像にかかるデータを含んでいることを意味し、ディレクトリB05X0001に格納されるファイルは、メーカーB社のモデル05という電子カメラにより撮像された画像にかかるデータを含んでいることを意味している」ものであると認められる。 (5) 引用発明 以上を踏まえ、上記刊行物1記載事項及び図面を総合勘案すると、刊行物1に記載された発明(引用発明)として、次のものを認めることができる。 「電子カメラにおいて撮影レンズ1により受光面に光学像を結像された、撮像手段としての光電変換手段2は、被写体の光学像を対応する電荷量に変換する、いわゆる光電変換を行うものであり、A/D変換装置3は、光電変換手段2から入力されたアナログ信号をディジタル信号に変換して出力するものであり、かかるA/D変換回路3を介して得られた画像データは、一旦、画像用メモリ4に記憶され、画像用メモリ4に記憶された画像データは、MPU5によって各種の画像処理が施され、最終的には画像毎に一つのファイルとして作成され、MPU5に接続されたメモリカードMCを含む記憶手段6に記憶され、MPU5は、内蔵電池等の電源7から電力供給を受け、インタフェース手段8(232Cシリアルポート、USB、IrDA通信装置等)を介して外部のパソコンPに対し、メモリカード6に格納されたファイルを転送でき、 ルートディレクトリROOTの下に、電子カメラにより撮像された画像専用ディレクトリIMGDRCTを設定しており、ここで、2台の電子カメラより画像データを含むファイルが転送されてきた場合、そのファイルが形成されたディレクトリA01X0001、B05X0001毎、パソコンPは、画像専用ディレクトリIMGDRCTの下に格納するようになっており、各ディレクトリA01X0001、B05X0001内には、個々の画像に対応する画像データを含むファイル(たとえばAAAA0001等)が設定されており、パソコンP上でファイルの処理を行う場合、異なるメーカーの電子カメラや、同一メーカーであっても異なる機種の電子カメラにかかる画像データを含むファイルを取り扱う場合、ユーザーはディレクトリ名を見るだけで、どのような電子カメラで撮像された画像にかかるデータを含むファイルか直ちに把握でき、それにより画像の検索や再フォーマット等の処理が容易になるように構成されており、 前記ディレクトリ名は、電子カメラ側で、あるルールに従ってディレクトリ名が決定され、具体的には、ディレクトリ名に電子カメラの機種名に関する情報を含ませるようにしており、ディレクトリA01X0001に格納されるファイルは、メーカーA社のモデル01という電子カメラにより撮像された画像にかかるデータを含んでいることを意味し、ディレクトリB05X0001に格納されるファイルは、メーカーB社のモデル05という電子カメラにより撮像された画像にかかるデータを含んでいることを意味している、 ことを特徴とする画像データを含むファイルを格納するパソコン」 4.対比 本願発明を引用発明と比較する。 (1)「デジタルカメラで撮影された画像データを記憶するメモリーカードから前記画像データを取り込み、そのデータを保存用記憶メディアへ記録する画像ファイリング装置」について ア 「デジタルカメラ」について 引用発明でいう「電子カメラ」は、「撮像手段としての光電変換手段2」「から入力されたアナログ信号をディジタル信号に変換して出力する」「A/D変換回路3を介して得られた画像データ」を最終的に「メモリカードMCを含む記憶手段6」に記憶するものであり、画像情報をA/D変換してデジタル情報として扱うものであるから、「デジタルカメラ」であるといえる。 イ 「デジタルカメラで撮影された画像データを記憶するメモリーカードから前記画像データを取り込み、そのデータを保存用記憶メディアへ記録する」ことについて 上記「ア」で検討したとおり、引用発明でいう「電子カメラ」(デジタルカメラ)は、「撮像手段としての光電変換手段2」「から入力されたアナログ信号をディジタル信号に変換して出力する」「A/D変換回路3を介して得られた画像データ」を最終的に「メモリカードMCを含む記憶手段6」に記憶し、「インタフェース手段8(232Cシリアルポート、USB、IrDA通信装置等)を介して」「パソコンPに対し、メモリカード6に格納されたファイルを転送でき」るものであり、 パソコンは、「電子カメラより画像データを含むファイルが転送されてきた場合」、「画像専用ディレクトリIMGDRCTの下に格納する」ようにしており、 転送されてきた画像データを含むファイルを、パソコンの画像専用ディテクトリの下に格納するためには、パソコンは、当然に、画像データを含むファイルを電子カメラのメモリカードMCを含む記憶手段から「取り込み」、そのデータを格納していると認められる。 データを格納するためのディレクトリは、通常、ハードディスク、CD-ROMなどの「記憶媒体」上に設けられるものであり、引用発明においても、データを格納するための「画像専用ディレクトリIMGDRCT」も、「記憶媒体」上に設けられており、当該「記憶媒体」は、当然のことながら、パソコンが備えるものであるといえる。そして、本願発明の「保存用記憶メディア」も「記憶媒体」であるといえるから、引用発明のパソコンは、 「デジタルカメラで撮影された画像データを記憶するメモリーカードから前記画像データを取り込み、そのデータを記憶媒体に記録する」点で、本願発明と相違しない。 データを記録する記憶媒体に関しては、「ルートディレクトリROOTの下に、電子カメラにより撮像された画像専用ディレクトリIMGDRCTを設定しており」、「画像専用ディレクトリIMGDRCTの下に格納する」としており、上記「2.(3)」で示したとおり刊行物1に「ルートディレクトリROOTの下に設定された他のディレクトリ(AUTOEXEC又はDOC)と明確に区別がつき」とあることを踏まえれば、AUTOEXEC又はDOCといったディレクトリが存在する媒体上に、当該画像専用ディレクトリIMGDRCTは存在することになる。 ここで、AUTOEXEC又はDOCといったディレクトリが、CD-ROMなどの保存用記憶メディア一般に常に存在するものであるとまではいうことができないこと、これらAUTOEXEC又はDOCといったディレクトリはパソコンであれば、CD-ROMなどの保存用記憶メディアよりは内蔵のハードディスク上に存在する場合が多いということ、を踏まえれば、引用発明において、パソコン側でファイルが記録される記憶媒体は、本願発明でいうCD-Rなどの「保存用記憶メディア」であるとは必ずしも限らないと解することが適当であり、してみれば、引用発明は、パソコン側でファイルを記録する記憶媒体が、(本願発明でいうCD-Rなどの)「保存用記憶メディア」であるとはしていない点で、本願発明と相違するといえる。 ウ 「画像ファイリング装置」について 引用発明の「パソコン」も、「画像データを含むファイルを格納する」ものであり、「画像ファイリング装置」であるといえる。 エ まとめ 以上、ア?ウによれば、引用発明は、 「デジタルカメラで撮影された画像データを記憶するメモリーカードから前記画像データを取り込み、そのデータを記憶媒体へ記録する画像ファイリング装置」 である点で本願発明と一致し、 データを記録する記憶媒体が「保存用記憶メディア」であるとは必ずしも限らない点で相違する。 (2)「前記デジタルカメラとデータ通信可能に接続され、前記デジタルカメラに前記メモリーカードを装填した状態で、前記メモリーカード内の前記画像データを前記デジタルカメラから装置本体へダイレクトに転送するための通信インタフェース」について ア 「前記デジタルカメラとデータ通信可能に接続され」について 引用発明においても、「電子カメラ」(デジタルカメラ)と「パソコン」は、「インタフェース手段8(232Cシリアルポート、USB、IrDA通信装置等)を介して」接続されており、ファイルを転送することは「データ通信」の一形態であるといえるから、引用発明においても、本願発明同様「前記デジタルカメラとデータ通信可能に接続され」ているといえる。 イ 「前記デジタルカメラに前記メモリーカードを装填した状態で、前記メモリーカード内の前記画像データを前記デジタルカメラから装置本体へダイレクトに転送するための通信インタフェース」について 引用発明においても、「電子カメラ」(デジタルカメラ)と「パソコン」は、「インタフェース手段8(232Cシリアルポート、USB、IrDA通信装置等)を介して」接続されており、その際に「電子カメラ」(デジタルカメラ)の「MPU5は」、「電子カメラ」(デジタルカメラ)の「メモリカード6に格納されたファイルを」「パソコンPに対し」、「転送」しているのであるから、電子カメラ(デジタルカメラ)のMPUが電子カメラの外に存在するメモリカードに格納されたファイルを転送すると解することは不自然であり、当該メモリカード6は電子カメラに装着されていると解するのが自然である。また、上記「2.(3)」で示した刊行物1の「また、メモリカードMC自体を、直接パソコンPに読み取らせても良い。」なる記載からみても、引用発明が、メモリカード自体を、直接パソコンに読み取らせるものではなく、メモリカードが電子カメラ(デジタルカメラ)に装着されているものであると解することが適当であるといえる。 また、引用発明は、電子カメラ(デジタルカメラ)から「パソコン」に画像データを含むファイルを転送するものであり、これは「ダイレクトに転送」しているといえる。 そして、画像データを含むファイルは、「電子カメラ」(デジタルカメラ)から「インタフェース手段8(232Cシリアルポート、USB、IrDA通信装置等)を介して「パソコン」に転送されるものであり、パソコン側においても電子カメラからのファイルを受信するため通信インタフェースが必要であることは当然である。 ウ まとめ 上記ア、イから、引用発明のパソコンは、 「前記デジタルカメラとデータ通信可能に接続され、前記デジタルカメラに前記メモリーカードを装填した状態で、前記メモリーカード内の前記画像データを前記デジタルカメラから装置本体へダイレクトに転送するための通信インタフェース」を備える点で本願発明と相違しない。 (3) 「前記保存用記憶メディアに、複数のデジタルカメラから転送された各画像データを前記デジタルカメラ毎に分類して格納する複数のフォルダを作成するフォルダ作成手段」について 引用発明のパソコンは、 「2台の電子カメラより画像データを含むファイルが転送されてきた場合、そのファイルが形成されたディレクトリA01X0001、B05X0001毎、パソコンPは、画像専用ディレクトリIMGDRCTの下に格納するようになっており、各ディレクトリA01X0001、B05X0001内には、個々の画像に対応する画像データを含むファイル(たとえばAAAA0001等)が設定されており」、 「ディレクトリ名は」「ディレクトリ名に電子カメラの機種名に関する情報を含ませるようにしており」、 「ユーザーはディレクトリ名を見るだけで、どのような電子カメラで撮像された画像にかかるデータを含むファイルか直ちに把握でき、それにより画像の検索や再フォーマット等の処理が容易になるように構成されて」おり、 これらの各ディレクトリは「デジタルカメラ毎に分類して格納する複数のフォルダ」であるといえる。 これらにより、引用発明のパソコンはディレクトリ毎、ファイルを格納しているといえる。そして、このようにパソコンはディレクトリ毎、ファイルを格納できるのだから、パソコン側のシステムがこれらの各ディレクトリを作成する作成手段を備えていることは当然である。よって、 引用発明のパソコンは、 「前記記憶媒体に、複数のデジタルカメラから転送された各画像データを前記デジタルカメラ毎に分類して格納する複数のフォルダを作成するフォルダ作成手段」を備える点で本願発明と相違しないが、 上記「(1)」の対比と同様、記憶媒体が「保存用記憶メディア」であるとはしていない点で、本願発明と相違する。 (4) 「前記画像データが、それぞれのデジタルカメラに対応する前記フォルダに格納されるように、前記フォルダのアクセス制限を行うアクセス制限手段」について 引用発明のパソコンにおいては、 「2台の電子カメラより画像データを含むファイルが転送されてきた場合、そのファイルが形成されたディレクトリA01X0001、B05X0001毎、パソコンPは、画像専用ディレクトリIMGDRCTの下に格納するようになっており、各ディレクトリA01X0001、B05X0001内には、個々の画像に対応する画像データを含むファイル(たとえばAAAA0001等)が設定されて」おり、上記「(3)」で検討したとおり、各ディレクトリは本願発明でいう「デジタルカメラ毎に分類して格納する複数のフォルダ」であるといえるものであるから、「前記画像データが、それぞれのデジタルカメラに対応する前記フォルダに格納されるように」しているということができ、その意味において、「前記画像データが、それぞれのデジタルカメラに対応する前記フォルダに格納されるように、前記フォルダへのアクセスを行うアクセス手段」を有する点で本願発明と相違しないということができる。 アクセス「制限」を行う点に関して、本願発明は、「前記画像データが、それぞれのデジタルカメラに対応する前記フォルダに格納されるように、前記フォルダのアクセス制限を行うアクセス制限手段」を備えるように構成されており、 本願の明細書の詳細な説明の段落【0038】の「また、作成したフォルダにアクセス制限を設定することもできる。例えば、デジタルカメラ48を複数台持っているユーザーの場合には、各カメラ毎に画像ファイルを格納するフォルダを分けるという使い方をすることが考えられる。そのような場合には、CD-Rメディア19に、カメラの識別情報を、アクセス制限をしたいフォルダと関連づけて記憶させておき、他のカメラから転送された画像ファイルを当該フォルダに格納できないようにすることができる。こうすれば、ユーザーが誤って意図したフォルダとは異なるフォルダに画像ファイルが格納されてしまうことを防止することができる。」との記載も参照すれば、本願発明の「アクセス制限手段」は、「画像データが、それぞれのデジタルカメラに対応する」「フォルダに格納され」、他のカメラから転送された画像ファイルを当該フォルダに格納できないように、アクセス制限するものであると解することができる。 そこで、引用発明について検討するに、刊行物1には、他のカメラから転送された画像ファイルを当該フォルダに格納できないように、アクセス制限をする、との明示的記載はないことから、引用発明において、アクセスの制限を行っているとまでは認めることができない。 したがって、引用発明は、 「前記画像データが、それぞれのデジタルカメラに対応する前記フォルダに格納されるように、前記フォルダへのアクセスを行うアクセス手段」 を有する点で、本願発明と相違しないものの、 アクセス手段が、本願発明においては、アクセス制限を行っているのに対し、引用発明においては、アクセス制限をしていない点で、本願発明と相違する。 ウ 一致点、相違点 以上によれば、本願発明と引用発明の一致点、相違点は以下のとおりである。 <一致点> 「デジタルカメラで撮影された画像データを記憶するメモリーカードから前記画像データを取り込み、そのデータを記憶媒体へ記録する画像ファイリング装置において、 前記デジタルカメラとデータ通信可能に接続され、前記デジタルカメラに前記メモリーカードを装填した状態で、前記メモリーカード内の前記画像データを前記デジタルカメラから装置本体へダイレクトに転送するための通信インタフェースと、 前記記憶媒体に、複数のデジタルカメラから転送された各画像データを前記デジタルカメラ毎に分類して格納する複数のフォルダを作成するフォルダ作成手段と、 前記画像データが、それぞれのデジタルカメラに対応する前記フォルダに格納されるように、前記フォルダへのアクセスを行うアクセス手段 とを備えたことを特徴とする画像ファイリング装置」 <相違点> <相違点1> データを記録する記憶媒体が、本願発明は「保存用記憶メディア」であるのに対し、引用発明は「保存用記憶メディア」であるとはしていない点。 <相違点2> アクセス手段が、本願発明においては、アクセス制限を行っているのに対し、引用発明においては、アクセス制限をしていない点。 5.判断 (1) 相違点1について パソコンにおいて、データを記録する媒体として、パソコン本体に内蔵されるハードディスクのみならず、CD-ROM、DVD、MO(光磁気ディスク)などの着脱可能な保存用記憶メディアを扱うことはごく一般に行われており、本願発明の画像ファイリング装置のごとく、デジタルカメラで撮影された画像を記憶媒体に蓄積するに際して、「保存用記憶メディア」を用いることも、例えば、下記刊行物2に記載されるように、周知であり、ごく普通に行われていることであるから、引用発明のパソコンにおいて、データを記録する記憶媒体として、「保存用記憶メディア」とすることは、当業者であれば容易になし得たことと認められるし、そのようにすることに格別の困難性があるとも認められない。 記 (周知技術) 特開平2000-209535号公報 特開平2000-209535号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに次の記載がある。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、例えば電子カメラ装置により撮影された画像等を大容量の記録媒体に蓄積する電子アルバム装置に関する。」 「【0018】電子アルバム装置1は大きく分けてCPU4と、スイッチSW1,SW2と、フォトリフレクタPR1,PR2と、発光ダイオードD1,D2と、ドライブコントールIC5と、LCD(液晶表示装置)6とを有しており、メモリカード7及び大容量の記録媒体8を装着可能な構成である。」 「【0022】また図1の構成においては、電子カメラ装置2と電子アルバム装置1とを接続ケーブル3を介して接続し、電子カメラ装置2の画像を接続ケーブル3を介した通信によって受信し、電子アルバム装置1に取り込む(ダウンロード)ことも可能である。この場合、電子カメラ装置2が蓄積対象画像の供給元となる。なお、接続ケーブル3を介した有線通信ではなく、電子アルバム装置1と電子カメラ装置2との間で例えばIrDA(Infrared Data Association )規格に準拠の赤外線データ通信(無線通信)を行うように構成してもよい。」 「【0028】大容量の記録媒体8は、例えば光磁気(Magneto-Optical) ディスクから成り、図示しない光磁気ディスクドライブに、取り外し可能に装着されている。」 (2) 相違点2について 引用発明のパソコンも、 複数のデジタルカメラから転送された各画像データをデジタルカメラ毎に分類して格納する複数のフォルダを作成し、前記画像データを、それぞれのデジタルカメラに対応する前記フォルダに格納するようにしており、 これは、 パソコンP上でファイルの処理を行う場合、異なるメーカーの電子カメラや、同一メーカーであっても異なる機種の電子カメラにかかる画像データを含むファイルを取り扱う場合、ユーザーはディレクトリ名を見るだけで、どのような電子カメラで撮像された画像にかかるデータを含むファイルか直ちに把握でき、それにより画像の検索や再フォーマット等の処理が容易になるようにするものである、 ことを踏まえれば、 あるカメラから転送された画像ファイルをそのカメラとは別のカメラの画像ファイルが格納されたフォルダに格納してしまうことは、望ましくないことは当然に想到できたことであり、他のカメラから転送された画像ファイルが当該フォルダに格納されてしまうことを防止するように、アクセス制限を行うようにすることは、当業者であれば容易に想到し得たことであると認められ、また、そのようにすることに関して特段の困難な事情があるとも認められない。 (3) 判断についてのまとめ 上記のように、相違点1、2に係る本願発明の構成はいずれも当業者が容易に想到できたことであり、本願発明の効果も、その容易に想到できた構成から当業者が予測し得た範囲内のものであり、同範囲を超える格別顕著なものでもなく当業者が予測できたものといえるから、本願発明は、引用発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。 6.むすび 以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明、及び、周知技術に基づいて、本願発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項について言及するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-01-20 |
結審通知日 | 2010-01-27 |
審決日 | 2010-02-09 |
出願番号 | 特願2002-330758(P2002-330758) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 梅本 章子、新井 寛、豊島 洋介 |
特許庁審判長 |
奥村 元宏 |
特許庁審判官 |
志摩 兆一郎 夏目 健一郎 |
発明の名称 | 画像ファイリング装置 |
代理人 | 小林 和憲 |