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審決分類 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1214231
審判番号 不服2008-497  
総通号数 125 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-01-09 
確定日 2010-03-29 
事件の表示 特願2003-353597「遊技システム、並びにそのような遊技システムに用いられる遊技機、及び遊技方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 5月12日出願公開、特開2005-118104〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成15年(2003年)10月14日に出願した特願2003-353597号であって、平成19年11月9日付けで手続補正がなされ、同年12月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成20年1月9日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同年2月7日付けで手続補正がなされたものである。
その後、平成20年10月28日付けで当審から請求人に審尋を行い、期間を指定して回答書を提出する機会を与えたが、請求人からは何らの応答もない。

第2 平成20年2月7日付けの手続補正についての補正の却下の決定について

[補正の却下の決定の結論]
平成20年2月7日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正について
(1)本件補正により、特許請求の範囲については、平成19年11月9日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の、
「【請求項1】
予想の対象となる各種イベントのオッズを設定するオッズ設定用の端末と、
前記端末によって設定されたオッズ情報を、通信手段を介して受信する複数の遊技機とを備えた遊技システムであって、
各遊技機は、
前記イベント以外の遊技機本来の遊技を実行する遊技装置と、
前記遊技装置で行なわれる遊技の実行を制御すると共に、遊技媒体の受付/払出を制御する遊技制御手段と、
前記受信したオッズ情報について、そのオッズによるイベントに対する投票を受付けるブックゲーム制御手段と、
ブックゲームおよび遊技機本来の遊技の画像を表示する表示装置と、
前記表示装置におけるブックゲーム画像の表示と遊技機本来の遊技画像の表示との間での遊技者による双方向の切り換えを可能にする表示切換手段と、
を有し、
前記ブックゲーム制御手段は、前記遊技装置の遊技において払い出されるべき遊技媒体を利用して前記イベントに対する投票を可能にすることを特徴とする遊技システム。
【請求項2】
前記ブックゲーム制御手段が、前記イベントについて投票を受付けた場合、遊技者に対して前記イベントについての投票結果の情報を出力する投票結果出力手段を有することを特徴とする請求項1に記載の遊技システム。
【請求項3】
前記遊技機は、ブックゲームによる投票結果が当選していた場合、払い出された遊技媒体を用いて遊技装置で遊技可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技システム。
【請求項4】
遊技を実行する遊技装置と、
前記遊技装置で行なわれる遊技の実行を制御すると共に、遊技媒体の受付/払出を制御する遊技制御手段とを有する遊技機であって、
前記遊技機は、
予想の対象となる各種イベントについて、設定されたオッズ情報を受信する通信制御部と、
前記受信したオッズ情報について、そのオッズによるイベントに対する投票を受付けるブックゲーム制御手段と、
前記遊技の操作を行なうと共に、投票操作を行なう操作部と、
ブックゲームおよび前記遊技装置による遊技の画像を表示する画像表示装置と、
を有し、
前記操作部は、前記表示装置におけるブックゲーム画像の表示と遊技機本来の遊技画像の表示との間での遊技者による双方向の切り換えを可能にすることを特徴とする遊技機。
【請求項5】
前記ブックゲーム制御手段が、前記イベントについての投票を受付けた場合、遊技者に対して前記イベントについての投票結果の情報を出力する投票結果出力手段を有することを特徴とする請求項4に記載の遊技機。
【請求項6】
前記ブックゲーム制御手段は、前記通信制御部を介して受信した前記各種イベントに関連する情報、及びオッズ情報を、前記画像表示装置で表示させることを特徴とする請求項4又は5に記載の遊技機。」が、

「【請求項1】
対応する遊技媒体を用いた遊技を可能にする複数の遊技機と、
予想の対象となる各種イベントのオッズを設定するとともに、設定されたオッズ情報を通信手段を介して前記複数の遊技機へ配信する、前記複数の遊技機に共通のオッズ設定用の端末と、
を備えた遊技システムであって、
前記各遊技機は、
前記イベント以外の遊技機本来の遊技を実行する遊技装置と、
前記遊技装置で行なわれる遊技の実行を制御すると共に、遊技媒体の受付/払出を制御する遊技制御手段と、
前記受信したオッズ情報について、そのオッズによるイベントに対する投票を受付けるブックゲーム制御手段と、
ブックゲームおよび遊技機本来の遊技の画像を表示する表示装置と、
前記表示装置におけるブックゲーム画像の表示と遊技機本来の遊技画像の表示との間での遊技者による双方向の切り換えを可能にする表示切換手段と、
前記複数ある遊技機のそれぞれの本来の遊技で使用される遊技媒体を、全ての遊技機に共通のブックゲームにおいて受け付け且つ払い出すための受付/払出装置と、
を有し、
前記ブックゲーム制御手段は、前記受付/払出装置により、各遊技機本来の遊技において払い出されるべき遊技媒体を利用して前記イベントに対する投票を可能にすることを特徴とする遊技システム。
【請求項2】
前記ブックゲーム制御手段が、前記イベントについて投票を受付けた場合、遊技者に対して前記イベントについての投票結果の情報を出力する投票結果出力手段を有することを特徴とする請求項1に記載の遊技システム。
【請求項3】
前記遊技機は、ブックゲームによる投票結果が当選していた場合、払い出された遊技媒体を用いて遊技装置で遊技可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技システム。
【請求項4】
前記ブックゲーム制御手段は、前記通信手段を介して受信した前記各種イベントに関連する情報、及びオッズ情報を、前記表示装置で表示させることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の遊技システム。」と補正された。

(2)本件補正による特許請求の範囲の補正は、
ア 請求項1に係る発明において、「複数の遊技機」について「対応する遊技媒体を用いた遊技を可能にする」ものであることを明確にして限定する補正事項、
イ 請求項1に係る発明において、「予想の対象となる各種イベントのオッズを設定するオッズ設定用の端末」について、「予想の対象となる各種イベントのオッズを設定するとともに、設定されたオッズ情報を通信手段を介して前記複数の遊技機へ配信する、前記複数の遊技機に共通のオッズ設定用の端末」とさらに特定して限定する補正事項、
ウ 請求項1に係る発明において、遊技機が有する装置として「前記複数ある遊技機のそれぞれの本来の遊技で使用される遊技媒体を、全ての遊技機に共通のブックゲームにおいて受け付け且つ払い出すための受付/払出装置」を付加して限定する補正事項、
エ 請求項1に係る発明において、「前記遊技装置の遊技において払い出されるべき遊技媒体」について「前記受付/払出装置により、各遊技機本来の遊技において払い出されるべき遊技媒体」とさらに特定して限定する補正事項、
オ 補正前の請求項4ないし6を削除する補正事項、
カ 補正前の請求項6に直接記載された内容によって補正後の請求項1ないし3のいずれか1項に記載の遊技システムを限定して、補正後の新たな請求項4とする補正事項
からからなる。

(3)そして、上記ウの補正事項については、新たな特定事項(構成要件)を付加する補正であり、そして、当該付加された特定事項(構成要件)に関連する技術課題が加わったことになるから、ウの補正事項による補正の前後で発明が解決しようとする課題が同一であるということはできない。よって、本件補正による特許請求の範囲の請求項1の補正は、いわゆる限定的減縮を目的とするものということはできないから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に掲げる事項を目的とする補正ということはできない。また、本件補正における特許請求の範囲の請求項1の補正が、同法第17条の2第4項第1,3,4号に掲げる事項を目的とする補正ではないことは明らかである。

(4)また、上記カの補正事項については、新たに請求項を付加する、いわゆる増項補正であり、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第1ないし4号に掲げるいずれかの事項を目的とする補正でないことは明らかである。
なお、補正後の請求項4が、補正前の請求項4ないし6のいずれかの請求項をもとに補正されたものであるとした場合においても、「遊技機」の発明を「遊技システム」の発明に変更する補正事項、及び、補正前の請求項4において特定されていた「前記遊技の操作を行なうと共に、投票操作を行なう操作部」を削除する補正事項を含むことになるから、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第1ないし4号に掲げるいずれかの事項を目的とする補正ではないことは明らかである。

(5)以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定によって却下されるべきものである。

2 独立特許要件(特許法第29条第2項)についての検討
(1)上記のとおり、本件補正は平成18年改正前特許法第17条の2第4項の規定に違反し、却下されるべきものであるが、念のため、仮に、上記の本件補正が、全体として平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に掲げる事項を目的とする補正であって、同法第17条の2第4項の規定に違反する補正ではないとした場合に、本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に違反しないか)について検討する。

(2)本願補正発明について
本願補正発明は、平成20年2月7日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。(「1 本件補正について」の(1)の項の記載参照。)

(3)引用例
ア 引用例1
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2002-320752号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。(下記の「イ 引用例に記載された発明の認定」における引用に直接関連した箇所に下線を付した。)

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、事業者装置と複数の遊技台とがネットワークにより接続されたネットワークパチンコシステムに関する。」

「【0008】また、本発明の他の目的は、ユーザの好みに合わせた大当たり確率や出玉数を設定することができ、ユーザは移動することなく、現在遊技中の遊技台以外の他の各遊技台の大当たり情報や出玉データ等の情報を得ることができ、パチンコの遊技中に他の映像メディア、音声メディアを視聴することができるとともに、公営賭博等への投票を行うことができるネットワークパチンコシステムを提供することにある。」

「【0019】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】(第1の実施形態)図1は、本発明の第1の実施形態のネットワークパチンコシステムの構成を示すブロック図である。図1に示すネットワークパチンコシステムは、事業者装置3と、この事業者装置3とネットワークを介して接続されたパチンコ遊技台1(以降、遊技台1と略す。)とから構成されている。なお、図1では、遊技台1は1台のみ図示されているが、実際には複数の遊技台1がネットワークを介して事業者装置3に接続されているものである。また、事業者装置3は、各店舗に1づつ設置されても良いし、系列店舗全体をネットワークで結び、代表店舗もしくは独立して設置されてもよいものである。
【0021】遊技台1は、その表面に液晶表示装置等により構成されるパチンコ画面表示部51と、機種リスト要求手段11と、機種名選択入力手段13と、抽選要求手段15とから構成されている。
【0022】また、事業者装置3は、パチンコ機種リストデータベース(DB)41と、機種リスト出力手段12と、パチンコ機種情報データ(DB)42と、機種情報抽出手段14と、リーチ/大当たり抽選手段43と、抽選結果出力手段22と、通信手段31とから構成されている。
【0023】パチンコ機種情報DB42は、パチンコ機種を実現するための複数のプログラムが格納されている。パチンコ機種リストDB41は、パチンコ機種情報DB42に格納されているプログラムにより実現可能なパチンコ機種の機種名の一覧を機種リストとして格納している。
【0024】機種リスト要求手段11は、ユーザにより操作され、リスト要求を通信手段31を介して事業者装置3に送信する。機種リスト出力手段12は、機種リスト要求手段11からのリスト要求を入力すると、パチンコ機種リストDB41から機種リストを抽出し、その機種リストを通信手段31を介して遊技台1のパチンコ画面表示部51に出力する。
【0025】機種名選択入力手段13は、ユーザにより選択された機種を特定する情報を通信手段31を介して事業者装置3に送信する。機種情報抽出手段14は、機種名選択入力手段13から受信した情報により特定される機種に対応した機種情報をパチンコ機種情報DB42から抽出し、抽出されたその機種情報を遊技台1に対して送信する。
【0026】抽選要求手段15は、遊技台1上に設けられているアタッカーにパチンコ玉が入賞すると、抽選要求を通信手段31を介して事業者装置3に送信する。リーチ/大当たり抽選手段43は、抽選要求手段15からの抽選要求を入力すると、現在遊技台1が選択している機種の情報およびその選択されている機種に応じたリーチ/大当たりの確率をパチンコ機種情報DB42から読み出し、読み出したその確率に応じてリーチか否か又は大当たりか否かの抽選を行う。抽選結果出力手段16は、リーチ/大当たり抽選手段43における抽選結果を通信手段31を介して遊技台1のパチンコ画面表示部51に送信する。
【0027】パチンコ画面表示部51は、液晶表示装置等により構成され、遊技台1の盤面全体に設けられていて、事業者装置3から受信した機種リストを表示し、事業者装置3から機種情報を受信すると、その機種情報の表示を行い、抽選結果出力手段16からの抽選結果を受信するとその抽選結果の表示を行う。」

「【0036】(第2の実施形態)次に、図2を参照して、本発明の第2の実施形態に係るネットワークパチンコシステムについて説明する。
【0037】本実施形態のネットワークパチンコシステムは、事業者装置203と複数の遊技台1とがネットワークにより接続されたものである。図2に示す事業者装置203は、図1に示した第1の実施形態にける事業者装置3に対して、大当たり情報/出玉管理データベース(DB)61と、大当たり確率変動手段62とが新たに追加されたのみであり、他の構成要件は同一である。」

「【0053】(第4の実施形態)次に、図4を参照して、本発明の第4の実施形態に係るネットワークパチンコシステムについて説明する。本実施形態のネットワークパチンコシステムは、事業者装置403と、この事業者装置403とネットワークにより接続された1または複数の遊技台401とから構成されている。
【0054】図4に示す第4の実施形態は、図1に示した上記第1の実施形態のネットワークパチンコシステムにおける機能に加えて、事業者装置403が設けられている店舗内で遊技するユーザにビデオや放送などの映像メディアを送信するためのものである。
【0055】本実施形態における事業者装置403は、図1に示した第1の実施形態における事業者装置3に対して、ビデオ/放送データベース(DB)81と、放送手段72とが新たに設けられたものである。
【0056】また、本実施形態における遊技台401は、図1に示した遊技台1に対して、放送要求手段71が新たに設けられたものである。
【0057】なお、図4の構成は、図1の構成に対してビデオ/放送DB81、放送手段72、放送要求手段71を加えた関連部分のみを示し、その他の構成は省略しているが、この省略部分の構成は図1と同じである。」

「【0065】(第5の実施形態)最後に、図5を参照して、本発明の第5の実施形態に係るネットワークパチンコシステムについて説明する。
【0066】本実施形態のネットワークパチンコシステムは、事業者装置503と、遊技台501と、公営賭博主催者装置507とから構成されている。
【0067】本実施形態における事業者装置503は、図4に示した第4の実施形態における事業者装置403に対して、電子投票受付DB101と、入金手段92と、支払手段93とが新たに設けられたものである。さらに、本実施形態における遊技台501は、図4に示した台4の実施形態における遊技台401に対してカード読み取り/書き込み(R/W)部121と、投票手段91が新たに設けられたものである。
【0068】また、公営賭博主催主催者装置507は、電子投票受付データベース(DB)111と、レース結果データベース(DB)112と、配当金データベース(DB)113と、支払手段114と、通信手段32とから構成されている。
【0069】投票手段91は、ユーザにより操作され、投票を行う対象および金額からなる投票情報を入力し、その投票情報を事業者装置503に送信する。カードRW部121は、プリペイドカード等に対して金額情報の課金および加算を行うことができる機能を有している。
【0070】電子投票受付DB101は、遊技台501の投票手段91からの投票情報を通信手段31を介して受信すると、投票を行う金額の情報を入金手段92に送信し、入金手段92から正常に課金が行われた旨の通知を受信すると、投票を受付、公営賭博主催者装置507の電子投票受付DB111に通信手段32を介して受け付けた投票情報を送信する。
【0071】入金手段92は、投票手段91から通知された投票金額をカードRW部121に対して課金し、正常に課金が行われた旨を電子投票受付DB101に送信する。支払手段93は、公営賭博主催者装置507の支払い手段114からの配当金情報を受信すると、その配当金情報に応じた金額情報をカードRW部121へ加算する。
【0072】電子投票受付DB111は、事業者装置503からの投票情報を通信手段32を介して受信すると、その投票情報を格納する。レース結果DB112は、レースが終了すると、そのレース結果を格納する。配当金DB113は、電子投票受付DB111に格納されている投票情報およびレース結果DB112に格納されているレース結果に基づいて、当該ユーザの配当金を算出し、その配当金情報を支払い手段114に送信する。支払手段114は、配当金DB113からの配当金情報を受信すると、その配当金情報を通信手段32を介して事業者装置503の支払い手段93へ送信する。
【0073】なお、図5の構成は、図4の構成に対して投票手段91、入金手段92、支払手段93を加えた関連部分のみを示し、その他の構成は省略しているが、この省略部分の構成は図4と同じである。
【0074】図5では、ビデオ/放送DB81や電子投票受付DB101は、仲介事業者装置503内に構成されている場合を示しているが、事業者装置503とは独立して設置されてもよいものである。また、電子投票受付DB111、レース結果DB112、配当金DB113についても、公営賭博主催者装置507内に構成されている場合が示されているが、独立して設置されても良いものである。
【0075】次に、本実施形態のネットワークパチンコシステムの動作について図5を参照して詳細に説明する。
【0076】先ず、ユーザがパチンコ画面表示部51に表示された公営賭博放送を見ながら、投票を行うレース、金額等を決定し、投票を行う対象および金額を投票手段91に入力すると、投票手段91は入力された投票情報を事業者装置503に送信する。事業者装置503では、投票手段91からの投票情報は、電子投票受付DB101により受信され、投票を行う金額の情報が入金手段92に送信される。入金手段92は、投票手段91から通知された投票金額をカードRW部121に対して課金し、正常に課金が行われた旨を電子投票受付DB101に送信する。入金手段92から正常に課金が行われた旨の通知を受信した電子投票受付DB101は、その投票を正式に受け付け、公営賭博主催者装置507の電子投票受付DB111に対して通信手段32を介して受け付けた投票情報を送信する。
【0077】公営賭博主催者装置507の電子投票受付DB111は、事業者装置503からの投票情報を通信手段32を介して受信すると、その投票情報を格納する。また、レースが終了すると、レース結果DB112はそのレース結果を格納する。次に、配当金DB113は、電子投票受付DB111に格納されている投票情報およびレース結果DB112に格納されているレース結果に基づいて、当該ユーザの配当金を算出し、その配当金情報を支払い手段114に送信する。配当金DB113からの配当金情報を受信した支払手段114は、その配当金情報を通信手段32を介して事業者装置503の支払い手段93へ送信する。
【0078】事業者装置503の支払手段93は、公営賭博主催者装置507の支払い手段114からの配当金情報を受信すると、その配当金情報に応じた金額情報をカードRW部121へ加算する。
【0079】本実施形態のネットワークパチンコシステムによれば、パチンコを遊技するための電子マネーを利用し、ユーザがパチンコの遊技を行いながら、公営賭博等に投票する事が可能となる。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、下記のような効果を得ることができる。
(1)ユーザは、1つの遊技台において複数の機種の中から選択したパチンコ機種の遊技を行うことができるため、順番待ち等の手間を必要とせずに人気機種の遊技を行うことができる。また、店舗側では、機種情報の変更のみで機種の変更が可能であるため、遊技台の交換・廃棄費用を削減することができる。
(2)ユーザの好みに合わせた大当たり確率や出玉数を設定することができる。
(3)ユーザは、移動することなく、現在遊技中の遊技台以外の他の各遊技台の大当たり情報や出玉データ等の情報を得ることができる。
(4)パチンコの遊技中に他の映像メディア、音声メディアを視聴することができる。
(5)パチンコの遊技中に、公営賭博等への投票を行うことができる。」

イ 引用例1に記載された発明の認定
引用例1の第5の実施形態で示されたネットワークパチンコシステムにおける事業者装置及び遊技台は、第4の実施形態で示されたネットワークパチンコシステムにおける事業者装置及び遊技台の構造を含み(【0067】段落参照)、また、第4の実施形態で示されたネットワークパチンコシステムにおける事業者装置及び遊技台は、第1の実施形態で示されたネットワークパチンコシステムにおける事業者装置及び遊技台の構造を含む(【0055】【0056】段落参照)。また、第2の実施形態において、事業者装置203は、大当たり情報/出玉管理データベース(DB)61を備える(【0036】【0037】段落参照)ことから、第2の実施形態の遊技台、及び、第2の実施形態の遊技台と共通の構造を有する第1の実施形態の遊技台は抽選結果に応じて出玉を払い出す出玉払出し部を備えることは明らかである。よって、引用例1には、ネットワークパチンコシステムに関し、
「事業者装置503と、遊技台501と、公営賭博主催者装置507とから構成されているネットワークパチンコシステムであって、
遊技台501は、その表面に液晶表示装置等により構成されるパチンコ画面表示部51と、機種リスト要求手段11と、機種名選択入力手段13と、抽選要求手段15と、放送要求手段71と、カード読み取り/書き込み(R/W)部121と、投票手段91とから構成され、
事業者装置503は、パチンコ機種リストデータベース(DB)41と、機種リスト出力手段12と、パチンコ機種情報データ(DB)42と、機種情報抽出手段14と、リーチ/大当たり抽選手段43と、抽選結果出力手段22と、通信手段31と、ビデオ/放送データベース(DB)81と、放送手段72と、電子投票受付DB101と、入金手段92と、支払手段93とから構成され、
公営賭博主催者装置507は、電子投票受付データベース(DB)111と、レース結果データベース(DB)112と、配当金データベース(DB)113と、支払手段114と、通信手段32とから構成され、
複数の遊技台501がネットワークを介して事業者装置503に接続され、
遊技台501の抽選要求手段15は、遊技台501上に設けられているアタッカーにパチンコ玉が入賞すると、抽選要求を通信手段31を介して事業者装置503に送信し、
遊技台501のパチンコ画面表示部51は、液晶表示装置等により構成され、遊技台1の盤面全体に設けられていて、事業者装置503から受信した機種リストを表示し、事業者装置503から機種情報を受信すると、その機種情報の表示を行い、抽選結果出力手段16からの抽選結果を受信するとその抽選結果の表示を行い、
遊技台501の出玉払出し部において、抽選結果に応じた出玉が払い出され、
リーチ/大当たり抽選手段43は、抽選要求手段15からの抽選要求を入力すると、現在遊技台1が選択している機種の情報およびその選択されている機種に応じたリーチ/大当たりの確率をパチンコ機種情報DB42から読み出し、読み出したその確率に応じてリーチか否か又は大当たりか否かの抽選を行い、抽選結果出力手段16は、リーチ/大当たり抽選手段43における抽選結果を通信手段31を介して遊技台501のパチンコ画面表示部51に送信し、

ユーザが遊技台501のパチンコ画面表示部51に表示された公営賭博放送を見ながら、投票を行うレース、金額等を決定し、投票を行う対象および金額を遊技台501の投票手段91に入力すると、投票手段91は入力された投票情報を事業者装置503に送信し、
公営賭博主催者装置507の配当金DB113は、電子投票受付DB111に格納されている投票情報およびレース結果DB112に格納されているレース結果に基づいて、当該ユーザの配当金を算出し、その配当金情報を事業者装置503の支払い手段114に送信し、支払い手段114は、その配当金情報を通信手段32を介して事業者装置503の支払い手段93へ送信し、支払手段93は、その配当金情報に応じた金額情報を遊技台501のカード読み取り/書き込み(R/W)部121へ加算するネットワークパチンコシステム。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

ウ 引用例2
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2001-256327号公報(以下、「引用例2」という。)には、以下の事項が記載されている。(下記「(4)当審の判断」において直接参照する箇所に下線を付した。)

「【0013】
【発明の実施の形態】図1は本発明の通信回線に接続する端末機を使用した投票方法を説明するための図である。
【0014】ここで、1は端末機であり、例えば、パーソナルコンピュータ(パソコン)或は電話回線に接続可能なゲーム機などでよい。この実施例ではパーソナルコンピュータ(パソコン)の場合を示すが、ゲーム機、携帯型電話、モバイルコンピュータ、文字放送チューナー内蔵機などの場合は後述するマウスでなく、ゲーム機の操作ボタン、キーパット、通信コントローラなどで、操作、選択する。勿論、パソコンなどでは通常のキーボードから入力し、制御選択してもよい。
【0015】11は端末機1のデータ処理するマイクロプロセッサ、12は表示装置、13はFDドライブ、14は通信回線に接続させるためのインターフェースであり、例えば、この実施例ではNTTの電話回線網の端末とした。15はキー入力装置、16はマウスなどのポインティングデバイス、17は光ディスクドライブ、18はハードディスクドライブ、20は記録媒体であり、例えば、この実施例ではCD-ROMとした。ここで、端末機1はウィンドウ形式の市販のオペレーティングシステムOS19sで制御されている。そのOS19sはハードディスクドライブ18の記録領域に記憶されている。
【0016】CD-ROM20には本発明の投票方法のプログラム手順を記録したアプリケーション19aが収納されており、そのCD-ROM20を、端末機1の光ディスクドライブ17からハードディスクドライブ18の記録領域にインストールして、端末機1に対して本発明の投票方法による情報取得と勝馬投票の動作を行わせることができる。
【0017】そのアプリケーション19aは、端末機1と後述するホスト電算機3との間の通信手続手段19bと、投票要求及びその応答手段19cと、情報要求及びその応答手段19dとを備える。
【0018】次に、2は交換機、2aはそのNTTの電話回線網の通信回線、3はホスト電算機、3aは投票応答サブシステムであり、利用者の投票内容のチェック、端末機1と後述する計算センターの間にあり、データの中継を行い、3bは情報応答サブシステムであり、利用者の要求した情報を後述する情報センター5より検索し、そのデータを端末機1へ送るデータの中継を行う。
【0019】4は計算センターであり、競馬場内外の多くの地域にある発信端末群6から通信回線で集められる勝馬投票とその金額を逐次集計する。5は情報センターであり、開催案内、出馬表、オッズ等の情報を、その都度最新の情報に更新蓄積する。」

「【0028】次に、パドックボタン71bを選択したときのパドックウィンドウ画面90を図9に示す。その情報取得の流れ線図を図4に示す。ここで、まず場名項目欄91で場名を選択指定させる。次に、情報取得/表示欄92で取得ボタンを選択させる。次に、情報欄93の情報項目であるオッズ(単/複枠)、オッズ(馬/ワイド)、出馬表、馬体重、競走成績の各レース毎の取得したい情報欄を選択させる(S41)。次に通信ボタン94を選択させる(S42)。
【0029】その信号を受け情報要求及びその応答手段19dにより、情報応答サブシステム3bと交信し、情報センター5からの情報を取得し(S43)、その情報を端末機1へ返送する(S44)。次に、端末機1のパドックウィンドウ画面90で情報取得/表示欄92で情報表示ボタンを選択させ、それらの選択した情報を表示する(S45)。
【0030】尚、前記パドックウィンドウ画面90のオッズ表示ウィンドウ画面で、通常/人気順ボタンで人気順ボタンを選択させたときは、オッズ表示を上位順に並べて表示する機能がある。
【0031】また、前記パドックウィンドウ画面90のオッズ表示ウィンドウ画面で拡大ボタンを選択させれば、例えば1.3倍程度に内容の画面を拡大して表示する機能がある。」

(4)本願補正発明と引用発明の対比
ア 対比
ここで、本願補正発明と引用発明とを対比する。

引用発明の「遊技台501」が、対応する遊技媒体を用いた遊技を可能とするものであることはいうまでもないことである。したがって、引用発明のネットワークを介して事業者装置503に接続された「複数の遊技台501」が、本願補正発明の「対応する遊技媒体を用いた遊技を可能にする複数の遊技機」に相当する。

引用発明の「投票を行うレース」が、本願補正発明の「予想の対象となる各種イベント」に相当する。そして、引用発明の「公営賭博主催者装置507」は、「レース結果に基づいて、当該ユーザの配当金を算出」する「配当金DB113」を備えているから、「公営賭博主催者装置507」に投票を行うレースのオッズが設定されていること、及び、そのレースのオッズが「複数の遊技機(遊技台)に共通」であることは当然のことであるといえる。したがって、引用発明の「公営賭博主催者装置507」と、本願補正発明の「予想の対象となる各種イベントのオッズを設定するとともに、設定されたオッズ情報を通信手段を介して前記複数の遊技機へ配信する、前記複数の遊技機に共通のオッズ設定用の端末」とは、「予想の対象となる各種イベントのオッズを設定する前記複数の遊技機に共通のオッズ設定用の端末」である点一で致する。

引用発明の「ネットワークパチンコシステム」が、本願補正発明の「遊技システム」に相当する。

引用発明の「遊技台501のパチンコ画面表示部51は、液晶表示装置等により構成され、遊技台1の盤面全体に設けられていて、事業者装置3から受信した機種リストを表示し、事業者装置503から機種情報を受信すると、その機種情報の表示を行い、抽選結果出力手段16からの抽選結果を受信するとその抽選結果の表示を行」うことが、本願補正発明の「前記各遊技機は、前記イベント以外の遊技機本来の遊技を実行する遊技装置」を有することに相当する。

引用発明の、「抽選要求手段15からの抽選要求を入力すると、現在遊技台1が選択している機種の情報およびその選択されている機種に応じたリーチ/大当たりの確率をパチンコ機種情報DB42から読み出し、読み出したその確率に応じてリーチか否か又は大当たりか否かの抽選を行」う「リーチ/大当たり抽選手段43」を構成の一部とする「事業者装置503」を有することと、本願補正発明の、「各遊技機」が「前記遊技装置で行なわれる遊技の実行を制御する遊技制御手段」を有することとは、「遊技システム」が「前記遊技装置で行なわれる遊技の実行を制御する遊技制御手段」を有することで一致する。

引用発明の「遊技台501の抽選要求手段15は、遊技台501上に設けられているアタッカーにパチンコ玉が入賞すると、抽選要求を通信手段31を介して事業者装置503に送信」すること、及び、「遊技台501の出玉払出し部において、抽選結果に応じた出玉が払い出され」ることは、本願補正発明の「各遊技機」が「遊技媒体の受付/払出を制御する」ことに相当する。

引用発明の「公営賭博」は、本願補正発明の「オッズによるイベントに対する投票を受付けるブックゲーム」に相当する。
そして、引用発明の「遊技台501の投票手段91」は、「ユーザが遊技台501のパチンコ画面表示部51に表示された公営賭博放送を見ながら、投票を行うレース、金額等を決定し、投票を行う対象および金額を投票手段91に入力すると」、「入力された投票情報を事業者装置503に送信」するものであるから、本願補正発明の「各遊技機」の「前記受信したオッズ情報について、そのオッズによるイベントに対する投票を受付けるブックゲーム制御手段」に相当する。

引用発明の「遊技台501のパチンコ画面表示部51」は、「事業者装置503から機種情報を受信すると、その機種情報の表示を行い、抽選結果出力手段16からの抽選結果を受信するとその抽選結果の表示を行」うものであり、また、「公営賭博放送」が表示されるものでもでもあるから、本願補正発明の「ブックゲームおよび遊技機本来の遊技の画像を表示する表示装置」に相当する。

引用発明の「公営賭博」は、全ての遊技台(遊技機)において共通に実行できるものであることは当然であるから、引用発明の「公営賭博」が、本願補正発明の「全ての遊技機に共通のブックゲーム」に相当する。
そして、引用発明の「公営賭博」において「遊技台501の投票手段91に入力する」「金額」及び「遊技台501のカード読み取り/書き込み(R/W)部121へ加算する」「配当金情報に応じた金額」と、本願補正発明の「全ての遊技機に共通のブックゲームにおいて受け付け且つ払い出す」「複数ある遊技機のそれぞれの本来の遊技で使用される遊技媒体」とは、「全ての遊技機に共通のブックゲームにおいて受け付け且つ払い出す」「遊技機で用いられる価値を有する媒体(以下、「遊技機用価値媒体」という。)」である点で一致する。
よって、引用発明の「公営賭博」において「金額」を「入力する」「遊技台501の投票手段91」及び「配当金情報に応じた金額」を「加算する」「遊技台501のカードRW部121」と、本願補正発明の「各遊技機」の「前記複数ある遊技機のそれぞれの本来の遊技で使用される遊技媒体を、全ての遊技機に共通のブックゲームにおいて受け付け且つ払い出すための受付/払出装置」とは、「遊技機用価値媒体を、全ての遊技機に共通のブックゲームにおいて受け付け且つ払い出すための受付/払出装置」である点で一致する。

イ 本願補正発明と引用発明の一致点
したがって、本願補正発明と引用発明とは、
「対応する遊技媒体を用いた遊技を可能にする複数の遊技機と、
予想の対象となる各種イベントのオッズを設定する前記複数の遊技機に共通のオッズ設定用の端末と、
を備えた遊技システムであって、
前記各遊技機は、
前記イベント以外の遊技機本来の遊技を実行する遊技装置と、
遊技媒体の受付/払出を制御する手段と、
前記受信したオッズ情報について、そのオッズによるイベントに対する投票を受付けるブックゲーム制御手段と、
ブックゲームおよび遊技機本来の遊技の画像を表示する表示装置と、
遊技機用価値媒体を、全ての遊技機に共通のブックゲームにおいて受け付け且つ払い出すための受付/払出装置と、
を有し、
遊技システムが、前記遊技装置で行なわれる遊技の実行を制御する遊技制御手段を有する遊技システム。」の発明である点で一致し、次の各点で相違する。

ウ 本願補正発明と引用発明の相違点
(ア)相違点1
本願補正発明においては、「オッズ設定用端末」が「設定されたオッズ情報を通信手段を介して前記複数の遊技機へ配信する」のに対して、引用発明の「公営賭博主催者装置507」は、「設定されたオッズ情報を通信手段を介して前記複数の遊技機へ配信する」かどうかが明確でない点。

(イ)相違点2
「前記遊技装置で行なわれる遊技の実行を制御する」「遊技制御手段」が、本願補正発明においては「各遊技機」に備えられているのに対して、引用発明においては、そのような限定がなされていない点。

(ウ)相違点3
本願補正発明は、各遊技機において「前記表示装置におけるブックゲーム画像の表示と遊技機本来の遊技画像の表示との間での遊技者による双方向の切り換えを可能にする表示切換手段」を備えているのに対して、引用発明においては、その点が明確でない点。

(エ)相違点4
本願補正発明は、「全ての遊技機に共通のブックゲームにおいて受け付け且つ払い出すための受付/払出装置」で用いられる「遊技機用価値媒体」が、「前記複数ある遊技機のそれぞれの本来の遊技で使用される遊技媒体」であり、「各遊技機本来の遊技において払い出されるべき遊技媒体を利用して前記イベントに対する投票を可能にする」ものであるのに対して、引用発明においては、その点の限定がない点。

(5)当審の判断
ア 次に、上記相違点について検討する。
(ア)相違点1について
引用例2には、情報センター5からのオッズ情報を含む情報を、ゲーム機等の端末に送信することが記載されており、「オッズ設定用端末」が「設定されたオッズ情報を通信手段を介して前記複数の遊技機へ配信する」ことが記載されているといえる。
引用発明においても、引用例2に記載された技術を採用し、上記相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(イ)相違点2について
遊技の実行のための制御手段を遊技機自体に設けることは、例を挙げるまでもなく、周知の技術である。
そして、遊技の実行のための制御手段をどこに設けるかは、当業者が必要に応じて適宜設定し得ることであるから、引用発明においても、上記の周知の技術を採用して、「遊技装置で行なわれる遊技の実行を制御する」「遊技制御手段」を「遊技台(各遊技機)」に設けるとして、上記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(ウ)相違点3について
複数の遊技を行える遊戯機の表示装置において,表示手段の表示内容を遊技に応じて双方向に切り換える表示切換を設けることは、遊技機の技術分野において、例を挙げるまでもなく周知の技術である。
引用発明においても、「遊技台501のパチンコ画面表示部51」において、上記の周知の技術を採用し、パチンコに関する「機種情報」や「抽選結果」の表示と、「公営賭博放送」の表示とを切り換える切換手段を設け、上記相違点3に係る本願補正発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(エ)相違点4について
複数の遊技を行える遊戯機において、複数の遊技で遊技媒体を共通とし、1つの遊技で払い出される遊技媒体で他の遊技を行えるようにすることは、例を挙げるまでもなく、周知の技術である。
引用発明においても、上記の周知の技術を採用し、上記相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項を得ることは、技術的観点からは、当業者が容易に想到し得たことである。
なお、技術的観点から、発明の進歩性が否定される以上、引用発明において、「パチンコ」と「公営賭博」の遊技媒体を共通とすることに法律上の制約があったとしても、そのことが、発明の進歩性に影響を与えるものではない。

イ そして、本願補正発明によってもたらされる効果は、引用発明、引用例2に記載された発明、及び、上記の周知技術から当業者が予測し得る程度のものである。

ウ まとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明、引用例2に記載された発明、及び、上記の周知技術に基いて当業者が容易に発明することができたものである。

3 むすび
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明、引用例2に記載された発明、及び、周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、本件補正は、同法第53条第1項の規定によって却下されるべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成19年11月9日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである(「第2 平成20年2月7日付けの手続補正についての補正の却下の決定について」の「1 本件補正について」の記載参照)。

2 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物の記載事項及び引用発明については、上記「第2 平成20年2月7日付けの手続補正についての補正の却下の決定について」の「2 独立特許要件(特許法第29条第2項)についての検討」の「(3)引用例」に記載したとおりである。

3 対比・判断
上記「第2 平成20年2月7日付けの手続補正についての補正の却下の決定について」の「1 本件補正について」に記載したように、本願発明に対して、
ア 「複数の遊技機」について「対応する遊技媒体を用いた遊技を可能にする」ものであることを明確にして限定し、
イ 「予想の対象となる各種イベントのオッズを設定するオッズ設定用の端末」について、「予想の対象となる各種イベントのオッズを設定するとともに、設定されたオッズ情報を通信手段を介して前記複数の遊技機へ配信する、前記複数の遊技機に共通のオッズ設定用の端末」とさらに特定して限定し、
ウ 遊技機が有する装置として「前記複数ある遊技機のそれぞれの本来の遊技で使用される遊技媒体を、全ての遊技機に共通のブックゲームにおいて受け付け且つ払い出すための受付/払出装置」を付加して限定たものが本願補正発明である。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2 平成20年2月7日付けの手続補正についての補正の却下の決定について」の「2 独立特許要件(特許法第29条第2項)についての検討」の「(4)本願補正発明と引用発明との対比」及び「(5)当審の判断」において記載したとおり、引用発明、引用例2に記載された発明、及び、周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明、引用例2に記載された発明、及び、周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用例2に記載された発明、及び、周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-01-22 
結審通知日 2010-01-28 
審決日 2010-02-09 
出願番号 特願2003-353597(P2003-353597)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 57- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大山 栄成植野 孝郎  
特許庁審判長 北川 清伸
特許庁審判官 岡田 吉美
森林 克郎
発明の名称 遊技システム、並びにそのような遊技システムに用いられる遊技機、及び遊技方法  
代理人 水野 浩司  

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