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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01R
管理番号 1215363
審判番号 不服2008-11229  
総通号数 126 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-05-01 
確定日 2010-04-22 
事件の表示 平成11年特許願第 50669号「コネクター用ピン」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 9月14日出願公開、特開2000-251993〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成11年2月26日の出願であって、平成20年3月31日付けで拒絶査定がなされ(平成20年4月1日発送)、これに対し、平成20年5月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものであって、その請求項1に係る発明は、平成20年2月15日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下「本願発明」という)。

「複数個のバルジを有し、以下の特徴を有する、シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂又はその組成物を材料とするコネクター用の、ピン。(1)複数個のバルジについて、各々以下を満たしていること。
[i]20°≦θ_(1)≦45°,かつ 15°≦θ_(2)≦45°であること。(式中、θ_(1)は、バルジ進入角(即ち、バルジにおけるピン挿入方向斜面がピン本体側面となす角度)を示し、θ_(2)は、バルジ背面角(即ち、バルジにおけるピン挿入方向反対斜面がピン本体側面への垂直面となす角度)を示す。)[ii]ピン先端から数えて第n番目のバルジにおける頂点のピン本体側面からの高さAnと、第(n+1)番目のバルジにおける頂点のピン本体側面からの高さAn+1 について、An≦An+1の関係を満たしていること。
[iii]ピン先端から数えて最終番目のバルジにおける、その頂点のピン本体側面からの高さA_(X)について、ピン本体幅B_(1)と、コネクターにおけるピン挿入孔の幅B_(2)には次の関係があること。
A_(X)-(B_(2)-B_(1))/2≦0.07mm
(2)ピン本体幅B_(1)と、コネクターにおけるピン挿入孔の幅B_(2)には次の関係があること。
(B_(2)-B_(1))/2=0.02?0.09mm」

II.引用例の記載事項
これに対して、原査定の拒絶の理由で引用した、特開昭61-292871号公報(以下「引用例」という)には、次の事項が図面とともに記載されている。

ア「同様の従来形コネクタが回路基板に係合される場合、係合中に加えられる力は基板またはコネクタを変形させ、この力は接続状態を破損し得るものである。この問題点を解消することもまた所望されてきたものである。」(第2頁左下欄第7行?11行)

イ「第1図を参照すれば、プリント回路基板1を備えた回路部材の直線状縁部は断面(破線の仕上り線で示す)2を、参照番号3にて示される細長いモールドプラスチック本体部材に嵌合わせたものである。本体部材3は距離を距てた弾力性のある帯状導電性接触子要素4を収容し、その外方へ延びる部分6は曲げられてプリント回路基板1の、等しい距離に並んで配置された表面接点7と弾性的な接触を行っている。」(第2頁右下欄11行?19行)
ウ「さて第2図、第3図および第4図を参照すれば、モールドされた本体3は回路基板1の面に平行に伸びている複数の通しみぞ14を具備しており、これらは夫々接点部材4の幅を受入れるように設計されている。」(第3頁右上欄4行?8行)

エ「隣接部15は本体3の背面16に対し接合可能であり、部分15は上記みぞ14においてしまりばめを実施するためにギザギザの刻み目19と外側かえし(barb)18とを有する広い部分17の一部分である。」(第3頁右上欄18行?左下欄2行)

オ「多重接触子用の接触子要素4はすべて、各部分15が本体3の背面16に近接するまで、夫々のみぞ14を通る位置に圧入されることにより、一動作でコネクタ本体3に組込むことが可能である。刻み目19と外側かえし18とは夫々正のしまりばめと位置決めおよび本体内のストリップ4の非復帰位置を与えるものである。」(第3頁左下欄13行?19行)

そして、Fig.2には、3つの「接触子要素4」の平面図が示され、各「接触子要素4」は、「(幅の)広い部分17」に2対の頂点のある三角形状をした「外側かえし18」と2つの「刻み目19」を備えていることが示されている。

また、Fig.3には「接触子要素4」の「(幅の)広い部分17」が「コネクタ本体3」の「みぞ14」に圧入された状態の断面が図示されている。

上記記載について検討すると、記載イには、「帯状の導電性接触子要素4」を収容するモールドプラスチック製の本体部材3」が記載されており、「本体部材3」は、記載オを参照すると、コネクタ本体3であることが認められる。

記載ウには、「本体(コネクタ本体)3」の「みぞ14」は、「接点部材(接触子要素)4」の「幅を受入れるように設計されている」と記載されており、一方、記載エには、「接触子要素4」が、「みぞ14」に嵌合する部分に、「(幅の)広い部分17」を有することが記載されていることから、「みぞ14」の幅は、「接触子要素4」の「広い部分17」の幅より大きく設計されているといえる。

また、記載エに、「広い部分17」は、「みぞ14においてしまりばめを実施するためにギザギザの刻み目19と外側かえし(barb)18とを有する」と示されていることから、「みぞ14」と「外側かえし18」との間でしまりばめ、すなわち穴の幅よりも挿入部材の幅の方が若干大きく、しめしろにより挿入部材が穴に固定される形式のはめあいが構成されると認められるので、「外側かえし」の頂点部分の幅は「みぞ14」の幅より若干大きいことが明らかである。

また、「みぞ14」と「外側かえし18」との間でしまりばめが構成され、「コネクタ本体3」の「みぞ14」に圧入された「接触子要素4」が位置固定され、戻らなくなることは、記載オに「刻み目19と外側かえし18とは夫々正のしまりばめと位置決めおよび本体内のストリップ4の非復帰位置を与えるものである」とあることからも明らかである。

上記記載事項及び図示内容を総合し、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、引用例には次の発明(以下「引用発明」という)が記載されている。

「複数個の頂点のある三角形状の外側かえし18を有し、以下の特徴を有する、モールドプラスチック製のコネクタ本体3用の、接触子要素4。
a)コネクタ本体3のみぞ14の幅は、接触子要素4の広い部分17の幅より大きく、
b)外側かえし18の頂点部分の幅はみぞ14の幅より若干大きい。」

III.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、各文言の意味、機能または作用等からみて、引用発明の「外側かえし18」は、本願発明の「バルジ」に相当する。

また、引用発明の「モールドプラスチック製のコネクタ本体3」と、本願発明の「シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂又はその組成物を材料とするコネクター」とは、「成型可能な樹脂を材料とするコネクター」である点で共通する。

そして、引用発明の「みぞ14」は、本願発明の「ピン挿入孔」に相当し、同様に、「広い部分17」は「ピン本体」に、「接触子要素4」は、「ピン」にそれぞれ相当する。

さらに、引用発明の「a)コネクタ本体3のみぞ14の幅は、接触子要素4の広い部分17の幅より大きく」は、本願発明の「(2)ピン本体幅B_(1)と、コネクターにおけるピン挿入孔の幅B_(2)には次の関係があること。(B_(2)-B_(1))/2=0.02?0.09mm」と、ピン本体(接触子要素4)とピン挿入孔(みぞ14)との間に幅方向の隙間がある点、すなわち「ピン本体幅B_(1)と、コネクターにおけるピン挿入孔の幅B_(2)には次の関係があること。(B_(2)-B_(1))/2>0mm」である点で共通している。

加えて、引用発明の「b)外側かえし18の頂点部分の幅はみぞ14の幅より若干大きい」と、本願発明の「[iii]ピン先端から数えて最終番目のバルジにおける、その頂点のピン本体側面からの高さA_(X)について、ピン本体幅B_(1)と、コネクターにおけるピン挿入孔の幅B_(2)には次の関係があること。A_(X)-(B_(2)-B_(1))/2≦0.07mm」とは、バルジ(外側かえし18)のピン本体側面(広い部分17の側面)からの高さが、(B_(2)-B_(1))/2すなわちピン本体(接触子要素4)側面とピン挿入孔(みぞ14)との間の幅方向の隙間より大きい点、言い換えると、「バルジにおける、その頂点のピン本体側面からの高さA_(X)について、ピン本体幅B_(1)と、コネクターにおけるピン挿入孔の幅B_(2)には次の関係があること。0mm<A_(X)-(B_(2)-B_(1))/2」である点で共通している。

したがって、両者は、本願発明の用語を用いて表現すると、次の点で一致する。

(一致点)
「複数個のバルジを有し、以下の特徴を有する、成型可能な樹脂を材料とするコネクター用の、ピン。
・ピン本体幅B_(1)と、コネクターにおけるピン挿入孔の幅B_(2)には次の関係があること。
(B_(2)-B_(1))/2>0mm
・バルジにおける、その頂点のピン本体側面からの高さA_(X)について、ピン本体幅B_(1)と、コネクターにおけるピン挿入孔の幅B_(2)には次の関係があること。
0mm<A_(X)-(B_(2)-B_(1))/2」

そして、両者は、次の点で相違する(対応する引用発明(引用例記載)の用語を( )内に示す)。

(相違点a)
本願発明は、コネクターの材料である成形可能な樹脂が「シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂又はその組成物」であるのに対し、引用発明は、コネクター(コネクタ本体3)の材料である成形可能な樹脂が「モールドプラスチック」である点。

(相違点b)
本願発明のバルジは、その角度について、「[i]20°≦θ_(1)≦45°,かつ 15°≦θ_(2)≦45°であること。(式中、θ_(1)は、バルジ進入角(即ち、バルジにおけるピン挿入方向斜面がピン本体側面となす角度)を示し、θ_(2)は、バルジ背面角(即ち、バルジにおけるピン挿入方向反対斜面がピン本体側面への垂直面となす角度)を示す。)」であるのに対し、引用発明のバルジ(外側かえし18)は頂点のある三角形状をしており、バルジ進入角θ_(1)と、バルジ背面角θ_(2)にあたる角度を有するが、その大きさが不明な点。

(相違点c)
本願発明のバルジは、その頂点の高さについて「[ii]ピン先端から数えて第n番目のバルジにおける頂点のピン本体側面からの高さAnと、第(n+1)番目のバルジにおける頂点のピン本体側面からの高さAn+1 について、An≦An+1の関係を満たしている」のに対し、引用発明のバルジ(外側かえし18)は頂点のある三角形状をしているが、ピン先端から数えて第1番目のバルジ(一番目の外側かえし18)の頂点のピン本体(広い部分17)側面からの高さと、第2番目のバルジ(二番目の外側かえし18)の頂点の高さの関係が明らかでない点。

(相違点d)
本願発明のバルジは、「[iii]ピン先端から数えて最終番目のバルジにおける、その頂点のピン本体側面からの高さA_(X)について、ピン本体幅B_(1)と、コネクターにおけるピン挿入孔の幅B_(2)には次の関係があること。A_(X)-(B_(2)-B_(1))/2≦0.07mm」であるのに対し、引用発明のバルジ(外側かえし18)は、バルジ(外側かえし18)の頂点部分の幅がピン挿入孔(みぞ14)の幅より若干広い、すなわち、その頂点のピン本体(広い部分17)側面からの高さA_(X)が、(B_(2)-B_(1))/2、つまり、ピン本体(広い部分17)側面からピン挿入孔(みぞ14)側面までの間の幅(隙間)よりも高いものであるが、ピン先端から数えて最終番目のバルジ(二番目の外側かえし18)について、その差が0.07mm以下であるか明らかでない点。

(相違点e)
本願発明は、ピン本体幅B_(1)と、コネクターにおけるピン挿入孔の幅B_(2)に、「(B_(2)-B_(1))/2=0.02?0.09mm」の関係がある、すなわち、ピン本体側面とピン挿入孔側面との間に、0.02?0.09mmの幅(隙間)があるのに対し、引用発明は、ピン本体(広い部分17)側面とピン挿入孔(みぞ14)側面との間の隙間の大きさについて明らかでない点。

IV.判断
そこで、上記相違点について検討する。

(相違点aについて)
シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂又はその組成物は、コネクターの材料として、周知である(例えば、特開平6-93153号公報(段落【0065】:シンジオタクチックポリスチレン系樹脂組成物をコネクターの成形に用いる点参照)、特開平5-209098号公報(段落【0040】:シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を主成分とする熱可塑性樹脂組成物をコネクターの成形に用いる点参照)、特開平1-265588号公報(1頁左下欄請求項6等:シンジオタクチックポリスチレンからなる電気連結器用基材参照)参照。)ので、引用発明において、コネクター(コネクタ本体3)を成形するモールドプラスチックとしてシンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂又はその組成物を採用することは、当業者が適宜なし得たことにすぎない。

(相違点bについて)
引用発明において、バルジ(外側かえし18)とピン挿入孔(みぞ14)のとの間でしまりばめを構成するにあたり、ピン挿入孔(みぞ14)側面に食い込むバルジ(外側かえし18)の頂点部分の形状が鋭ければ、応力集中を生じやすくなり、この部分よりクラック等を生じやすくなることは、当業者が容易に予測し得た事項である。

そして、コネクタの接続に際し、変形や破損が生じるということは、一般的な課題であり、引用発明においてもその解消を課題として備えるものである(上記「II.記載事項ア」参照。)。

そうすると、その対策として、本願発明でいうバルジ進入角とバルジ背面角とを設定し、頂点の角度を適当に広くすることは、ピン挿入孔(みぞ14)に対するピン(接触子要素4)の圧入容易性、保持力、及び応力集中の程度等を勘案して当業者が適宜選定し得た設計的事項であるといえる。

なお、引用例のFig.2には、バルジ(外側かえし18)が略直角三角形(背面角θ_(2)がほぼ0°)に描かれているが、一般にバルジを0°でない背面角θ_(2)を有する三角形状とすることは、周知である(例えば、特開平2-46675号公報(第3図等:バルジ部12b参照。)、特開昭54-67693号公報(第2図、第5図:係止用突起13参照。)、実願平1-92376号(実開平3-32369号)のマイクロフィルム(第2図:従来のコネクタの分解組立図の固着部12における突起参照。)を参照。)ので、引用例のFig.2は、当業者が、引用発明において、バルジ背面角θ_(2)を0°でない適当な値に選定しようとすることを何ら妨げるものではない。

したがって、相違点bに係る本願発明の発明特定事項のようにすることは、当業者が適宜選定し得た設計的事項であるといえる。

(相違点cについて)
引用発明において、バルジ(外側かえし18)とピン挿入孔(みぞ14)のとの間でしまりばめを構成するにあたり、バルジ(外側かえし18)の頂点部分はピン挿入孔(みぞ14)の側面をしめしろの分だけ弾性あるいは塑性変形させてピン挿入孔(みぞ14)に圧入されることになるが、第1番目のバルジ(一番目の外側かえし18)が進入したとき、ピン挿入孔(みぞ14)の側面に塑性変形部分が生じると、みぞ幅は若干広くなるので、仮に第2番目のバルジ(二番目の外側かえし18)の頂点高さが第1番目のものより低ければ、第2番目のバルジ(二番目の外側かえし18)はしまりばめを構成することができなくなる虞があることは、当業者にとり明らかなことである。

そうすると、設計にあたり、ピン先端から数えて第2番目のバルジ(二番目の外側かえし18)の高さを、少なくとも第1番目のバルジ(一番面の外側かえし18)の高さと等しいか、あるいはこれより若干大きくすることは、当業者が当然考慮し得た事項であるといえる。

したがって、相違点cに係る本願発明の発明特定事項のようにすることは、当業者が適宜なし得た設計的事項、あるいは周知事項にすぎない。

(相違点dについて)
引用発明において、ピン挿入孔(みぞ14)の側面にバルジ(外側かえし18)の頂点部分を圧入してしまりばめを構成するように設計するにあたり、そのしめしろは、ピン(接触子要素4)をコネクター(コネクタ本体3)のピン挿入孔(みぞ14)に安定して保持させる応力を生じるに足りるわずかな大きさであれば十分であり、一方、しめしろが過大で、圧入により生じた歪みが大きすぎれば、ピン挿入孔(みぞ14)の当該部分にクラック等を生じる虞があることは、当業者が当然予測し得た事項である。

してみると、そのしめしろ(みぞ14に対する外側かえし18の食い込み幅:本願発明でいうA_(X)-(B_(2)-B_(1))/2の値)を最大でどの程度とするかは、当業者が適宜試験により格別困難なく見いだし得た事項にすぎないといえる。

また、例えば、実願平1-92376号(実開平3-32369号)のマイクロフィルム(明細書第10頁6?13行、第1図:側方に突起12aを伴ったコンタクトの固着部12の幅a’の圧入孔21の幅aに対する圧入代、すなわちしめしろを0.02?0.03mmとすることにより、圧入によるクラックが発生せず且つ良好な圧入固着を実現することができた旨の記載参照。)にあるように、本願発明に係るA_(X)-(B_(2)-B_(1))/2の値、すなわちしめしろの値は、この種のコネクターにおける周知のしめしろの値と格別異なるものでもないともいえる。

したがって、相違点dに係る本願発明の発明特定事項のようにすることは、当業者が適宜なし得た設計的事項、あるいは周知事項にすぎない。

(相違点eについて)
引用発明において、ピン(接触子要素4)のピン本体(広い部分17)の「幅を受入れるように」ピン挿入孔(みぞ14)の幅を設計するにあたり、幅方向の隙間の大きさをどの程度とするかは、組立時のコネクター(コネクタ本体3)のピン挿入孔(みぞ14)に対するピン(接触子要素4)の位置決めしやすさや、圧入後のピン(接触子要素4)の位置精度等を勘案して、当業者が適宜試験して容易に選定し得た程度の事項にすぎないといえる。

また、隙間の範囲を0.02?0.09mmとすることは、この種の隙間の値(例えば、実願平5-31934号(実開平7-1572号)のCD-ROM(段落【0012】:ハウジング2にバーブ84を圧入して保持されるタブ端子70の側縁86と端子受容溝6の内壁との隙間を0.05mmとした点参照)参照。)にあるように、従来のコネクターにおける周知の隙間の値と格別異なるものでもないともいえる。

したがって、相違点eに係る本願発明の発明特定事項のようにすることは、当業者が適宜選定し得た設計的事項、あるいは周知事項にすぎない。

そして、シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂又はその組成物を材料とするコネクターに限って、本願発明の発明特定事項に係る上記の各種数値限定事項を当業者が見いだすことが格別困難であったとするような特別な事情も認められず、また、本願発明による効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。
V.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2010-02-16 
結審通知日 2010-02-23 
審決日 2010-03-08 
出願番号 特願平11-50669
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井上 哲男  
特許庁審判長 岡本 昌直
特許庁審判官 長浜 義憲
豊島 唯
発明の名称 コネクター用ピン  
代理人 大谷 保  

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