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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N
管理番号 1217482
審判番号 不服2008-120  
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-01-04 
確定日 2010-06-15 
事件の表示 特願2007-101860「電子カメラ」拒絶査定不服審判事件〔平成19年10月11日出願公開、特開2007-267393、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由
第一 経緯

1 手続
本願は、平成8年6月12日に出願した特願平8-150756号の一部を平成19年4月9日に新たな特許出願としたものであって、平成19年9月10日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、平成19年11月9日付けで意見書が提出されると同時に手続補正がなされたが、平成19年11月30日付け(発送日同年12月4日)で拒絶査定がなされたものである。
本件は、本願についてなされた上記拒絶査定を不服として平成20年1月4日付けで請求された拒絶査定不服審判であって、平成20年2月4日付けで手続補正がなされたものである。

2 査定
原査定の理由は、概略、以下のとおりである。

[査定の理由]
本願の請求項1ないし4に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


刊行物1.特開平4-367171号公報
刊行物2.特開平7-250301号公報
刊行物3.特開昭57-44374号公報
刊行物4.特開平8-110911号公報

第二 補正却下の決定

平成20年2月4日付けの手続補正について、以下のとおり決定する。

[補正却下の決定の結論]
平成20年2月4日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成20年2月4日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし4を、補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし3に補正するものである。

(補正前の請求項1ないし4)
「【請求項1】
撮影光学系により結像された被写体像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段による被写体像の撮像を指示する指示手段と、
前記撮像手段により撮像された画像信号を記録する記録手段と、
カメラ本体に配置され、前記撮像手段により撮像された画像信号に基づく画像を表示する表示手段と、
前記指示手段による撮像指示に応じて撮像した第1の画像信号を前記記録手段により記録するとともに、前記第1の画像信号に基づく第1の画像を前記表示手段に表示するよう制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記第1の画像を前記表示手段に表示した状態において、前記指示手段により撮像指示がされると、前記第1の画像を前記表示手段に表示している状態から撮影モードに移行するよう制御する
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
請求項1に記載の電子カメラにおいて、
前記制御手段は、前記第1の画像を前記表示手段に表示している状態から前記撮影モードに移行した後、前記指示手段による撮像指示に応じて撮像した第2の画像信号を前記記録手段により記録するとともに、前記第2の画像信号に基づく第2の画像を前記表示手段に表示するよう制御する
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子カメラにおいて、
被写体像を観察可能なファインダをさらに備え、
前記表示手段と前記ファインダとは、前記撮影光学系の光軸に略垂直な平面となるように配置される
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電子カメラにおいて、
前記ファインダは、前記表示手段と略同一の平面上に配置される
ことを特徴とする電子カメラ。」

(補正後の請求項1ないし3)
「【請求項1】
撮影光学系により結像された被写体像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段による被写体像の撮像を指示する指示手段と、
前記撮像手段により撮像された画像信号を記録する記録手段と、
カメラ本体に配置され、前記撮像手段により撮像された画像信号に基づく画像を表示する表示手段と、
前記指示手段による撮像指示に応じて撮像した第1の画像信号を前記記録手段により記録するとともに、前記撮像指示に応じて撮像した直後に前記第1の画像信号に基づく第1の画像を前記表示手段に表示するよう制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記第1の画像を前記表示手段に表示した状態において、前記指示手段により撮像指示がされると、前記指示手段による撮像指示に応じて撮像した第2の画像信号を前記記録手段により記録するとともに、前記撮像指示に応じて撮像した直後に前記第2の画像信号に基づく第2の画像を前記表示手段に表示するよう制御する
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
請求項1に記載の電子カメラにおいて、
被写体像を観察可能なファインダをさらに備え、
前記表示手段と前記ファインダとは、前記撮影光学系の光軸に略垂直な平面となるように配置される
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項3】
請求項2に記載の電子カメラにおいて、
前記ファインダは、前記表示手段と略同一の平面上に配置される
ことを特徴とする電子カメラ。」

2 補正の適合性
補正前の請求項1は、「制御手段」について「前記指示手段により撮像指示がされると、前記第1の画像を前記表示手段に表示している状態から撮影モードに移行するよう制御する」という発明特定事項を有し、補正前の請求項2ないし4は、補正前の請求項1を引用するものであるから、補正前の全ての請求項は、「制御手段」について「前記指示手段により撮像指示がされると、前記第1の画像を前記表示手段に表示している状態から撮影モードに移行するよう制御する」という発明特定事項を有している。
ここで、補正後の請求項1は、「制御手段」について「前記指示手段により撮像指示がされると、前記指示手段による撮像指示に応じて撮像した第2の画像信号を前記記録手段により記録するとともに、前記撮像指示に応じて撮像した直後に前記第2の画像信号に基づく第2の画像を前記表示手段に表示するよう制御する」ものであり、補正前の全ての請求項で特定されていた「前記指示手段により撮像指示がされると、前記第1の画像を前記表示手段に表示している状態から撮影モードに移行する」という事項が特定されていない。
すなわち、本件補正は、補正後の請求項1において、補正前の全ての請求項に存在した「前記指示手段により撮像指示がされると、前記第1の画像を前記表示手段に表示している状態から撮影モードに移行するよう制御する」を削除する補正事項を含むものである。
そして、この補正事項は、補正前の請求項の発明特定事項を削除するものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号で規定された「特許請求の範囲の減縮」に該当するとはいえない。
また、本件補正が、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれかを目的とするものであるともいえない。
以上のことから、本件補正は、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明を目的とするものではない。

したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第三 本願発明について

平成20年2月4日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲は、平成19年11月9日付けの手続補正のとおりであるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
撮影光学系により結像された被写体像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段による被写体像の撮像を指示する指示手段と、
前記撮像手段により撮像された画像信号を記録する記録手段と、
カメラ本体に配置され、前記撮像手段により撮像された画像信号に基づく画像を表示する表示手段と、
前記指示手段による撮像指示に応じて撮像した第1の画像信号を前記記録手段により記録するとともに、前記第1の画像信号に基づく第1の画像を前記表示手段に表示するよう制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記第1の画像を前記表示手段に表示した状態において、前記指示手段により撮像指示がされると、前記第1の画像を前記表示手段に表示している状態から撮影モードに移行するよう制御する
ことを特徴とする電子カメラ。」

本願発明と査定に用いた刊行物1(特開平4-367171号公報)に記載された発明とを対比すると、
刊行物1には、制御手段が、「前記指示手段による撮像指示に応じて撮像した第1の画像信号を前記記録手段により記録するとともに、前記第1の画像信号に基づく第1の画像を前記表示手段に表示するよう制御する」ことが記載されていない点で、本願発明とは相違している。

ここで、査定に用いた刊行物3(特開昭57-44374号公報)に記載された発明は、指示手段による撮像指示に応じて撮像した第1の画像信号を記録手段により記録するとともに、前記第1の画像信号に基づく第1の画像を表示手段に表示するよう制御する制御手段を備える電子カメラといえる。

そして、刊行物1に記載された発明における「制御手段」もともに、電子カメラにおける「制御手段」であるから、刊行物1に記載された発明に刊行物3に記載された発明の「制御手段」を適用することに困難性はない。
しかしながら、刊行物1の図4の「再生モード中断処理手順」において、“第1の画像信号に基づく第1の画像を表示手段に表示する制御”は、「レリーズ処理」(SP25)の直後に行われるといえ、刊行物1に記載された発明は、そのまま「終了」(SP26)するものであることから、本願発明のような「前記第1の画像を前記表示手段に表示した状態において、前記指示手段により撮像指示がされると、前記第1の画像を前記表示手段に表示している状態から撮影モードに移行する」制御は行われないといえ、刊行物1に記載された発明に刊行物3に記載された発明を適用しても、本願発明とはならない。
査定に用いた刊行物2(特開平7-250301号公報)は、電子スチルカメラにおいて、連写記録モード時に記録媒体上の既に記録されている領域に新たな画像データを上書きする技術が記載されている(図2)が、上記相違点にかかる本願発明の構成を有しない。上書きする技術を刊行物1に記載された発明に適用しても、本願発明とはならない。
査定に用いた刊行物4(特開平8-110911号公報)は、撮影画像の管理、検索を行う情報機器において、画像と音声とを関連付けることが記載されている(段落【0009】)が、上記相違点に係る本願発明の構成を有しない。画像と音声とを関連付ける技術を刊行物1に記載された発明に適用しても、本願発明とはならない。
よって、本願発明は、刊行物1?4に基づいて当業者が容易になし得るものとはいえない。
さらに、本願請求項2ないし4は、本願請求項1を引用するものであるから、本願請求項1に係る発明と同様の理由により、当業者が容易になし得るものとはいえない。
したがって、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2010-06-03 
出願番号 特願2007-101860(P2007-101860)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 竹中 辰利  
特許庁審判長 奥村 元宏
特許庁審判官 佐藤 直樹
小池 正彦
発明の名称 電子カメラ  
代理人 稲本 義雄  

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