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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65H |
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管理番号 | 1218960 |
審判番号 | 不服2008-27259 |
総通号数 | 128 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-08-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-10-27 |
確定日 | 2010-06-22 |
事件の表示 | 特願2000-512769「形付けした素材を自動的に切断し積み重ねる装置およびその使用方法」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 4月 1日国際公開、WO99/15451、平成13年10月 9日国内公表、特表2001-517593〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯、本願発明 本願は、1998年9月8日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1997年9月23日、欧州)を国際出願日とする出願であって、平成20年7月6日に拒絶査定がなされたもので、それに対して平成20年7月23日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。本願の請求項1に係る発明は、平成12年3月22日付け国内書面における特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下「本願発明」という。) 「(a)或る設定長さの円弧状に形付けしたフィルムを切断装置に送ることができる送りテーブル、(b)形付けしたフィルムを素材に切断する装置、および(c)付加スライド・プレートおよびベース・プレートを備えた割り出しテーブルを有する積み重ね装置を包含する、円弧状に形付けした素材を自動的に切断しそして積み重ねる装置。」 2.引用例の記載 これに対して,原査定の拒絶の理由に引用された,本願の出願前に頒布された特開平7-251991号公報」(以下「引用例1」という。)には,次の事項が記載されている。 a..ここで、図1は本発明に係る帯状可撓シートの搬送装置の全体平面図、図2は図1のA-A線断面図、図3は搬送テーブルの要部を示す平断面図、図4は搬送テーブルの連結部の拡大図、図5は幅出し搬送機構の部分を搬送方向から見た図、図6は幅出し搬送機構の部分の平面図である。帯状可撓シートSは一方の辺が他方の辺よりも長くなるように伸展せしめられており、この帯状可撓シートSを搬送する装置は上流側(図1の上方)から下流側(図1の下方)に向かって順に、第1送り機構1、第1搬送テーブル2、第2送り機構3、第2搬送テーブル4、幅出し搬送機構5及びカッタ6を配置している。 第1送り機構1及び第2送り機構3は図2にも示すように、メインローラ7とサブローラ8から構成され、メインローラ7は帯状可撓シートSの下面全面を支持すべくその長さは帯状可撓シートSの幅よりも長く設定され、またメインローラ7の軸7aは帯状可撓シートSの搬送方向Saと直交方向に配置され、更にメインローラ7の径は帯状可撓シートSの短い方の辺から長い方の辺に向かって徐々に大径となるようにすることで搬送速度に差をもたせ、湾曲した帯状可撓シートSに適合するようにしている。(第3欄第8行?第30行) b.尚、第1搬送テーブル2は前記同様のジョイント19、スクリューシャフト20及び筒状ナット部材21を介して更に上流側のテーブル22に連結され、第2搬送テーブル4はジョイント23、スクリューシャフト24及び筒状ナット部材25を介してカッタテーブル26に連結されている。 また、帯状可撓シートSをカッタ6で切断する際には予め帯状可撓シートSを幅方向に広げておくことが必要となる。このためにカッタ6の上流側に幅出し搬送機構5を配置している。尚、カッタ6はロッド状回転体の表面に螺旋状の刃6aを形成し、帯状可撓シートSを幅方向の一端から他端へ向かってロッド状回転体を回転させつつ切断する場合に、帯状可撓シートSの搬送速度とロッド状回転体の回転速度を調整することで、切断線が帯状可撓シートSの幅方向になるようにしている。(第4欄第15行?第30行) 上記の記載a、b及び図面によると、引用例1には以下の発明(以下、「引用発明1」とする。)が記載されていると認められる。 「或る設定長さの湾曲した帯状可撓シートSをカッタに送ることができる搬送テーブル、湾曲した帯状可撓シートSを素材に切断するカッタを包含し、湾曲した帯状可撓シートSを自動的に切断する装置」 同じく、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開昭60-167851号公報(以下「引用例2」とする。)には、以下の記載がある。 c.そのシート状物の積載方法には、第1図に示すように、シート状物Aを切断するカッタ1の前方に、複数のローラ2を並べた傾斜台3を配置し、その傾斜台3に沿ってシート状物Aを滑らせて積載台4に積み重ねる方法や、第2図に示すように、カッタ1の前方に、シート状物搬送用のベルトコンベヤ5を配置し、さらにその前方に積載台4を設け、上記コンベア5から積載台4上に送り出されるシート状物Aを下方に配置したノズル6からのエアの吹き付けで浮かしながら積載台4上まで転送するようにした積み重ね方法が従来から存在する。(第1頁右欄第10行?第2頁左上欄第2行) 上記cの記載及び第1図、第2図より、第1図に記載された積載台4の下に第2図と同じように、積載台4を支えるテーブルがあることは明らかである。 また、上記cの記載及び第1図、第2図より、シート状物Aを積み重ねる装置が記載されていることは明らかであり、カッタ1により切断をして、そして積み重ねる装置が示されていると認められる。 したがって、上記cの記載及び図面より、引用例2には以下の発明(以下、「引用発明2」とする。)が記載されていると認められる。 「傾斜台を備え、積載台を備えたテ-ブルを有する積み重ね装置を包含するシート状物Aを切断し、そして積み重ねる装置」 3.対比 本願発明と引用発明1を対比すると、引用発明1の「搬送テーブル」、「湾曲した帯状可撓シール」の構成は、それぞれ本願発明における「送りテーブル」、「円弧状に形付けしたフィルム」に相当する。 また、引用発明1の「カッタ」は、本願発明の「切断装置」及び「切断する装置」にそれぞれ相当する。 よって両者は、 「或る設定長さの円弧状に形付けしたフィルムを切断装置に送ることができる送りテーブル、形付けしたフィルムを素材に切断する装置、を包含する円弧状に形付けした素材を自動的に切断する装置」 の点で一致し、以下の点で相違している 相違点1 本願発明が、「付加スライド・プレートおよびベース・プレートを備えた割り出しテーブルを有する積み重ね装置を包含する積み重ねる装置。」の構成を有しているのに対して、引用発明1は、その構成を有していない点で相違している。 4.相違点の判断 相違点1について 引用発明2の「傾斜台」、「積載台を備えたテーブル」は、本願発明における「付加スライド・プレート」、「ベース・プレートを備えた割り出しテーブル」に相当する。 また、引用発明1と引用発明2は、シートを切断する装置という同一の技術分野に属していることから、引用発明1と引用発明2を組み合わせることは当業者が容易になし得たものであり、その際に、引用発明2のスライド台である「傾斜台」をプレート状物にして、スライド・プレートにすることは、当業者が状況に応じて適宜行う設計的事項と認められる。 そうすると、本願発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 5.まとめ 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-12-24 |
結審通知日 | 2010-01-05 |
審決日 | 2010-01-26 |
出願番号 | 特願2000-512769(P2000-512769) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B65H)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 高島 壮基 |
特許庁審判長 |
鈴木 由紀夫 |
特許庁審判官 |
熊倉 強 谷治 和文 |
発明の名称 | 形付けした素材を自動的に切断し積み重ねる装置およびその使用方法 |
代理人 | 高木 千嘉 |