• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G07D
管理番号 1219134
審判番号 不服2008-14902  
総通号数 128 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-06-12 
確定日 2010-06-24 
事件の表示 特願2002-225954号「金融営業店における貨幣取引処理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 3月 4日出願公開、特開2004- 70486号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明

本願は、平成14年 8月 2日を出願日とする特許出願であって、平成20年 5月 1日付けで拒絶査定がなされ、この拒絶査定を不服として、同年 6月12日に本件審判請求がなされるとともに、同年 7月11日付けで手続補正がなされた。
これに対し、当審において平成22年 2月12日付けで拒絶理由を通知したところ、指定された応答期間内である同年 3月30日付けで手続補正書が提出されたものである。
よって本願の請求項1乃至5に係る発明は、上記平成22年 3月30日付けの手続補正に係る特許請求の範囲の請求項1乃至5に記載された事項によって特定されるものと認められるところ、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。

【請求項1】
「取引に関する入力操作を行う取引入力操作手段と、
顧客が入金した多量のバラ状態の貨幣を受け入れて識別計数を行い、金種別にバラ貨幣収納部に収納するバラ貨幣入金手段と、
前記バラ貨幣収納部内にある前記バラ貨幣を繰り出して、所定枚数ごとに結束・包装等の包装処理を行う貨幣包装手段と、
前記貨幣包装手段で包装された包装貨幣を金種別に収納すると共に、投出することができる金種別包装貨幣収納投出部と、
前記バラ貨幣収納部から繰り出されたバラ貨幣、または前記金種別包装貨幣収納投出部から投出された包装状態の貨幣を搬送し取り出し可能にする取出口と、
前記顧客の入金取引の結果を出力するレシート発行部と、
を有する貨幣取引処理装置を備え、
前記貨幣取引処理装置は、金融営業店のロビーに所在する顧客とカウンター内に所在する行員とが自らの操作によって、営業時間内は顧客が、営業時間終了後は行員が取引を行うことができるよう、前記顧客又は前記行員が双方の所在場所から互いの所在場所を通らずにアクセス可能な位置に配設されたことを特徴とする金融営業店における貨幣取引処理システム。」

2.引用例及びその記載事項

(1)当審の拒絶の理由に引用文献1として引用した、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平03-256830号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。

A:(第1頁右欄第10?15行)
「(産業上の利用分野)
本発明は、硬貨をばら状態で受入れて所定枚数毎に包装して棒金を作成し、その作成した棒金を自動的に金種別に収納するとともに別途指示される棒金投出指令に基づいて必要な棒金の投出が可能な棒金収納投出システムに関する。」

B:(第1頁右欄第16行?第2頁左上欄第19行)
「(従来の技術)
従来、前述したように、硬貨をばら状態で受入れて所定枚数毎に包装して棒金を作成し、その作成した棒金を自動的に金種別に収納するとともに別途指示される棒金投出指令に基づいて必要な棒金の投出が可能な機能を有する機械は、1つのシステムとしては存在せず、個々の単体機としてしか存在しなかった。
すなわち、例えば実開昭61-123010号公報に示されるように、硬貨をばら状態で受入れて所定枚数毎に包装して棒金を作成する硬貨包装装置があり、また、例えば特開昭61-282985号公報に示されるように、別途指示される棒金投出指令に基づいて必要な棒金の投出が可能な棒金投出装置があり、それらの硬貨包装装置と棒金投出装置とはそれぞれ別の機械として存在していた。
そのため、硬貨をばら状態で受入れて所定枚数毎に包装して棒金を作成した後に、その棒金を金種別に自動的に収納することはできず、硬貨包装機でばら硬貨を所定枚数毎に包装して棒金を作成した後に、その作成された棒金を人が手作業によって棒金投出装置へ金種別に収納するしかなかった。」

C:(第2頁右下欄第1行?第3頁左上欄第4行)
「(課題を解決するための手段)
本発明は、硬貨をばら状態で受入れて所定枚数毎に包装して棒金を作成し、その作成した棒金を放出する棒金放出口17が側面に形成された硬貨包装装置1と、硬貨包装装置1の棒金放出口17が形成された側に並設配置可能とし、並設配置時に棒金放出口17(または30)から放出される棒金を受取る棒金受取口22を有するとともに、棒金を機外から取出可能とした棒金投出口38を有し、かつ、棒金受取口22で受取った棒金を金種別の棒金収納カセット41へ収納するとともにその棒金収納カセット41から必要な棒金を取出して棒金投出口38へ投出する棒金収納投出機構50を有する棒金収納投出装置19とを備え、前記硬貨包装装置1と棒金収納投出装置19との間に、・・・棒金収納装置18を選択的に並設配置可能としものである。」

D:(第3頁右上欄第4行?左下欄最下行)
「第1図は、本発明の棒金収納投出システムとして、硬貨包装装置の機能を有する硬貨入出金装置1に1台の棒金収納装置18と棒金収納投出装置19とを並設した実施例を示しており、まずは、この硬貨入出金装置1の構成作用を簡単に説明する。
入金処理時においては、入出金装置本体2の硬貨投入口3にばら状態で投入される入金硬貨を、硬貨繰出機構4により硬貨分類機構5に1枚ずつ送り込んでこの硬貨分類機構5で金種別に分類し、一時保留機構6を経て金種別硬貨収納繰出機構7に金種別に収納するようにしている。
また、出金時に硬貨を所定枚数積層して包装した棒金で投出できるようにするためにばら硬貨を予め包装して収納しておく包装処理時においては、金種別硬貨収納繰出機構7から繰出した包装を行う金種の硬貨を、コンベア8,9を通じて硬貨繰出機構10に送り込んでこの硬貨繰出機構10から包装機構11に1枚ずつ繰出し、この包装機構11で所定枚数集積させて棒状に包装紙で包装して棒金を作成するようにしている。そして、包装機構11で作成された棒金を、包装機構11から下方に放出し、棒金受渡し機構12で入出金装置本体2の右内側部に配設されたリフト機構13のバケット14に1本ずつ受渡し、このリフト機構13で上方へ搬送するとともにリフト機構13の上部でバケット14から棒金振分機構15に受渡し、この棒金振分機構15からシュート16に放出し、このシュート16で棒金積層方向に導いて入出金装置本体2の側面の棒金放出口17を通じて入出金装置本体2の右外側部に並設された棒金収納装置18または棒金収納投出装置19(詳細は後述する)に収納するようにしている。
また、出金処理時においては、金種別硬貨収納繰出機構7から繰出した出金硬貨を硬貨繰出機構10およびシュート20を通じてばら状態で出金するか、または、棒金収納投出装置19から棒金を出金するようにしている。」

E:(第8頁左下欄第4行?右下欄第4行)
「次に、棒金カセット41から棒金リフト111に取出された棒金の出金動作を説明する。
まず、棒金収納装置18の棒金リフト111に棒金が取出された場合には、棒金リフト111で上方へ搬送される棒金が放出位置Bでシュート29に放出され、このシュート29により棒金放出口30を通じて棒金収納投出装置19の棒金受取口22に導かれ、上述の収納動作時と同様に、棒金収納投出装置19内の棒金受取枠24などを通じて受取位置Aにて棒金リフト111の支持片115に載り移り、この棒金リフト111で上方へ搬送される。
また、棒金収納投出装置19の棒金カセット41から棒金リフト111に取出された棒金または棒金収納装置18から送り込まれてきた棒金は、棒金リフト111の放出位置Bでリジェクトレバー32に放出されて、硬貨投出口38を通じて棒金取出枠34に投出される。
そして、投出指令に応じた棒金が棒金取出枠34に投出された後、シャッタ37が開放されて棒金取出口35が開口され、棒金取出枠34に投出されている棒金を取出すことができる。」

F:(第9頁右上欄第2?5行)
「・・・逆に、棒金収納装置18の並設台数を複数台に多くすれば、棒金の出入れ回数は少なくても一度に大量の棒金が出入れされる大口の仕様に対応し、・・・」

第1図と共に、上記摘記事項A?Fを総合すると、引用例1には、

「ばら状態で受入れた硬貨を硬貨繰出機構4により硬貨分類機構5に1枚ずつ送り込んでこの硬貨分類機構5で金種別に分類し、金種別に金種別硬貨収納繰出機構7に収納する手段と、
前記金種別硬貨収納繰出機構7から繰出した包装を行う金種の硬貨を、所定枚数集積させて棒状に包装紙で包装して棒金を作成する包装機構11と、
前記包装機構11で包装された棒金を金種別に収納する棒金カセット41を有する棒金収納投出装置19と、
前記金種別硬貨収納繰出機構7から繰出した出金硬貨をばら状態で出金する硬貨繰出機構10およびシュート20と、前記棒金収納投出装置19から棒金を取出可能とした棒金投出口38と、
を有する硬貨包装装置1及び棒金収納投出装置19を備えた、棒金収納投出システム。」
に関する発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(2)当審の拒絶の理由に引用文献2として引用した、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平07-207960号公報(以下、「引用例2」という。)には、以下の事項が記載されている。

G:(第2頁右欄第11?16行)
「貨幣取扱機器設置スペース(1)は、ロビースペース(2)と区画せず、一体に構成するが該貨幣取扱機器設置スペース(1)は、店舗(無人又は小規模金融店舗の場合)或いは自動機器による預金の受入、払出もしくは振込等を扱う室(一般的金融業務店舗又は中規模金融店舗の場合)の最奥部に設ける。」

H:(第2頁右欄第30?48行)
「本発明に係る金融店舗の機器配置構造によれば、貨幣取扱機器設置スペース(1)に現金自動支払機、現金自動預金支払機等の貨幣取扱機器(3)を配置し、平常は貨幣取扱機器設置スペース(1)の奥部に後退させ、ロビースペース(2)をできるだけ広くして、顧客の機器操作を可能にさせ、・・・、ロビースペース(2)を広くして顧客に寛いだ雰囲気で来店させるようにし、・・・。貨幣取扱機器(3)の保守・点検をするときには、単数の貨幣取扱機器(3)を設置する場合には勿論該貨幣取扱機器(3)を必要な範囲で前進させ、複数を設置するときは保守・点検を要する貨幣取扱機器(3)のみを前進させ、他の貨幣取扱機器(3)は平常の位置に置くことにより、顧客にほとんど影響を与えることなくその目的を達することができる。」

I:第1?2図には、貨幣取扱機器設置スペース(1)が金融業務店舗のロビースペース(2)の最奥部であること、また、該ロビースペース(2)の貨幣取扱機器設置スペース(1)を挟んで反対側に区切られたスペースがあり、該区切られたスペースに扉がついていて、貨幣取扱機器設置スペース(1)のロビースペース(2)とは反対側に連通していること、が記載されている。

3.対比

本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「棒金収納投出システム」は本願発明における「貨幣取引処理システム」に相当し、以下同様に、「金種別硬貨収納繰出機構7」は「バラ貨幣収納部」に、「金種別硬貨収納繰出機構7から繰出した包装を行う金種の硬貨を、所定枚数集積させて棒状に包装紙で包装して棒金を作成する包装機構11」は「バラ貨幣収納部内にある前記バラ貨幣を繰り出して、所定枚数ごとに結束・包装等の包装処理を行う貨幣包装手段」に、「包装機構11で包装された棒金を金種別に収納する棒金カセット41を有する棒金収納投出装置19」は「貨幣包装手段で包装された包装貨幣を金種別に収納すると共に、投出することができる金種別包装貨幣収納投出部」に、及び「硬貨包装装置1及び棒金収納投出装置19」は「貨幣取引処理装置」に、それぞれ相当する。
また、上記2.(1)の摘記事項Bに記載された、従来技術としての特開昭61-282985号公報には、顧客の両替すべき要求金種と数量が投出指令として入力され、該投出指令に基づいて投出された棒金を顧客が受け取る装置が記載されている(必要があれば該公報の第3頁左下欄第16行?第4頁左上欄第5行等参照)から、引用発明における棒金収納投出システムは、硬貨包装装置と、「顧客が入金する」棒金投出装置の機能をあわせもつシステムであるといえ、さらに上記2.(1)の摘記事項Fの記載からみて、引用発明において、「多量」のばら状態の硬貨を受け入れ可能であることは明らかであるから、引用発明における「ばら状態で受入れた硬貨」は、本願発明における「顧客が入金した多量のバラ状態の貨幣」に相当する。
よって、引用発明における「ばら状態で受入れた硬貨を硬貨繰出機構4により硬貨分類機構5に1枚ずつ送り込んでこの硬貨分類機構5で金種別に分類し、金種別に金種別硬貨収納繰出機構7に収納する手段」は、本願発明における「顧客が入金した多量のバラ状態の貨幣を受け入れて識別計数を行い、金種別にバラ貨幣収納部に収納するバラ貨幣入金手段」と、「顧客が入金した多量のバラ状態の貨幣を受け入れて識別を行い、金種別にバラ貨幣収納部に収納するバラ貨幣入金手段」である限りにおいて一致する。
さらに、本願発明における「前記バラ貨幣収納部から繰り出されたバラ貨幣、または前記金種別包装貨幣収納投出部から投出された包装状態の貨幣を搬送し取り出し可能にする取出口」との記載は、「バラ貨幣収納部から繰り出されたバラ貨幣」を搬送し取り出し可能にする取出口と、「金種別包装貨幣収納投出部から投出された包装状態の貨幣」を搬送し取り出し可能にする取出口と、どちから一方があればよいように認められるが、本願明細書の記載を参酌すると、「バラ貨幣収納部から繰り出されたバラ貨幣」を搬送し取り出し可能にする取出口と、「前記金種別包装貨幣収納投出部から投出された包装状態の貨幣」を搬送し取り出し可能にする取出口を、それぞれ別に設けているものと認められる。
したがって、引用発明における「前記金種別硬貨収納繰出機構7から繰出した出金硬貨をばら状態で出金する硬貨繰出機構10およびシュート20と、前記棒金収納投出装置19から棒金を取出可能とした棒金投出口38」は、本願発明における「前記バラ貨幣収納部から繰り出されたバラ貨幣、または前記金種別包装貨幣収納投出部から投出された包装状態の貨幣を搬送し取り出し可能にする取出口」に相当する。
そうすると、本願発明と引用発明の一致点、相違点は以下のとおりであると認められる。

<一致点>
「顧客が入金した多量のバラ状態の貨幣を受け入れて識別を行い、金種別にバラ貨幣収納部に収納するバラ貨幣入金手段と、
前記バラ貨幣収納部内にある前記バラ貨幣を繰り出して、所定枚数ごとに結束・包装等の包装処理を行う貨幣包装手段と、
前記貨幣包装手段で包装された包装貨幣を金種別に収納すると共に、投出することができる金種別包装貨幣収納投出部と、
前記バラ貨幣収納部から繰り出されたバラ貨幣、または前記金種別包装貨幣収納投出部から投出された包装状態の貨幣を搬送し取り出し可能にする取出口と、
を有する貨幣取引処理装置を備えた、貨幣取引処理システム。」

<相違点1>
本願発明では、バラ貨幣入金手段が、バラ状態の貨幣を受け入れて「識別計数」を行うのに対し、引用発明では、バラ貨幣入金手段が、バラ状態の貨幣を受け入れて「識別」を行い、「計数」について記載がない点。

<相違点2>
本願発明では、貨幣取引処理装置が「取引に関する入力操作を行う取引入力操作手段」を有するのに対し、引用発明には、取引入力操作手段が明記されていない点。

<相違点3>
本願発明では、貨幣取引処理装置が「顧客の入金取引の結果を出力するレシート発行部」を有するのに対し、引用発明には、レシート発行部について記載がない点。

<相違点4>
本願発明では、貨幣取引処理装置が「金融営業店のロビーに所在する顧客とカウンター内に所在する行員とが自らの操作によって、営業時間内は顧客が、営業時間終了後は行員が取引を行うことができるよう、前記顧客又は前記行員が双方の所在場所から互いの所在場所を通らずにアクセス可能な位置に配設」されたものであるのに対し、引用発明には上記記載がない点。

4.相違点の検討

上記各相違点について検討する。

<相違点1>について
引用発明においては、ばら状態で受入れた硬貨を硬貨繰出機構4により硬貨分類機構5に「1枚ずつ」送り込んで、金種別に分類しているから、その際に硬貨の数を数えて、受け入れた硬貨を「計数」する程度のことは、当業者が適宜なし得たことである。

<相違点2>について
上記2.(1)の摘記事項A及びEには、棒金の投出指令が指示されることが記載されており、該「投出指令」を出す為に、「取引に関する入力操作を行う取引入力操作手段」を設ける程度のことは、当業者が適宜なし得たことである。

<相違点3>について
支払機能をもちレシート発行部を備える自動両替機、いわゆる自動両替支払機は周知(例えば特開昭62-287390号公報の第2頁左下欄等参照)であり、上記引用発明のシステムを構成する装置に支払機能をもたせ、顧客の入金取引の結果を出力するレシート発行部を備えることは、当業者が適宜なし得た設計変更にすぎない。

<相違点4>について
上記2.(1)の摘記事項Bに、従来の技術として記載された「硬貨包装装置」は、本願明細書中にも記載されているように、一般的に金融営業店のカウンター内に所在する行員が操作する装置であるから、引用発明のシステムを構成する装置(「硬貨包装装置1及び棒金収納投出装置19」)を、金融営業店のロビーに所在する顧客とカウンター内に所在する行員とが、それぞれ自らの操作によって取引を行うことができるものとすることは、当業者が容易になし得たことである。
また、引用例2には、上記2.(2)の摘記事項G?Iからみて、金融営業店のロビーの最奥部に貨幣取引処理装置を配置することが記載されており、その位置は、顧客又は行員が双方の所在場所から互いの所在場所を通らずにアクセス可能な位置であるものと認められる。
そして、引用発明のシステムを構成する装置を、顧客と行員とがそれぞれ取引を行うことができる装置とするにあたり、引用例2に記載の位置に設置する程度のことは、当業者が適宜なし得たことであり、その際に、営業時間内は顧客が、営業時間終了後は行員が取引を行うことは、各金融営業店において適宜設定すべき事項にすぎない。

そして、上記相違点1?4を併せ備える本願発明の作用・効果について検討しても、引用発明から当業者が予測し得る範囲を超えるものではない。

したがって、本願発明は引用発明、引用例2に記載の事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび

以上のとおりであるから、本願発明(請求項1に係る発明)は、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そうすると、このような特許を受けることができない発明を包含する本願は、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-04-21 
結審通知日 2010-04-27 
審決日 2010-05-10 
出願番号 特願2002-225954(P2002-225954)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G07D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 櫻井 康平村山 睦  
特許庁審判長 寺本 光生
特許庁審判官 中川 真一
植前 津子
発明の名称 金融営業店における貨幣取引処理システム  
代理人 中辻 史郎  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ