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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61K
管理番号 1219468
審判番号 不服2007-9436  
総通号数 128 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-04-04 
確定日 2010-07-26 
事件の表示 特願2000- 32961「光学活性ピペリジン誘導体の酸付加塩及びその製法」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 7月18日出願公開、特開2000-198784、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 本願は、平成9年12月19日(優先権主張 平成8年12月26日)の出願である特願平9-350784号の一部を平成12年2月10日に新たな特許出願としたものであって、その請求項1?3に係る発明は、平成19年1月4日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。


なお、原審で引用された引用文献1について以下付言する。

本願の請求項1?3に係る発明は、(S)-4-〔4-〔(4-クロロフェニル)(2-ピリジル)メトキシ〕ピペリジノ〕ブタン酸(以下、単に「(S)体」という。)のベンゼンスルホン酸塩を有効成分とするのに対し、引用文献1では4-〔4-〔(4-クロロフェニル)(2-ピリジル)メトキシ〕ピペリジノ〕ブタン酸(不正炭素を1個有し二つの光学異性体を有するものであることはその化学構造から明らかであることから、(±)-4-〔4-〔(4-クロロフェニル)(2-ピリジル)メトキシ〕ピペリジノ〕ブタン酸、即ちラセミ体と認められる。以下、単に「ラセミ体」という。)のベンゼンスルホン酸塩の光学異性体、ならびに同光学異性体の製造方法について、特段の記載はないものの、引用文献1の「ラセミ体」を構成する二つの光学異性体を分割してそれぞれ光学純度の高い二つのエナンチオマーを得、両者の薬理活性等を確認した上でその一方のみを医薬成分とすることは、当業者にとり一応動機付けられていたこととも考えられる。
しかしながら、引用文献1に接した当業者が同文献記載の「ラセミ体」のベンゼンスルホン酸塩から「(S)体」のベンゼンスルホン酸塩を得ようとする場合、さし当たり既知の光学分割剤を用いて「ラセミ体」を直接光学分割することを通じ「(S)体」もしくはそのベンゼンスルホン酸塩を分離取得することを考えるのが通常であると判断されるところ、請求人が提出した意見書・審判請求理由補充書においては、「ラセミ体」に対し種々の既知の光学分割剤を用いた既知の方法による光学分割を行っても所望の「(S)体」を直接得ることが困難であった旨、そのことを示すデータと共に一応の合理的説明がなされており(上記意見書・理由補充書の各「実験成績証明書1」)、「ラセミ体」の中間体化合物である(±)-4-〔4-〔(4-クロロフェニル)(2-ピリジル)メトキシ〕ピペリジンに対して既知の光学分割剤を用いた一般的な光学分割処理方法(本願明細書中の参考例1で用いられている特定の処理方法以外)を適用しても(S)-4-〔4-〔(4-クロロフェニル)(2-ピリジル)メトキシ〕ピペリジン(「(S)体」の中間体)の分割取得ができなかったことが、やはりデータと共に示されている(各「実験成績証明書2」)。
そうすると、引用文献1の「ラセミ体」に係る記載のみに基づき、既知の方法を適宜採用して「(S)体」を得ること自体、本願出願当時の技術水準下では当業者にとり技術的に困難性を伴うことであったとするのが相当である。
また、本願明細書の段落【0036】では、「式(I)の(S)-ピペリジン誘導体」(上記「(S)体」に相当すると認められる。)が結晶性が悪く医薬品として高度な質を確保・維持することが困難であった旨記載されている一方、同【0038】?【0047】から、特に「(S)体」のベンゼンスルホン酸塩が安息香酸塩と同様、他の種々の「(S)体」酸付加塩と比較して類縁物質・(R)体量の顕著な増加もなく吸湿性も少ないこと等が理解でき、この点引用文献1から予想し得なかったことであるとも判断される。

以上述べた点からみて、引用文献1を引用例として本願発明の進歩性を否定することはできないものである。

以上



 
審決日 2010-07-14 
出願番号 特願2000-32961(P2000-32961)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A61K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 新留 素子  
特許庁審判長 星野 紹英
特許庁審判官 伊藤 幸司
大久保 元浩
発明の名称 光学活性ピペリジン誘導体の酸付加塩及びその製法  
復代理人 齋藤 房幸  
代理人 津国 肇  
復代理人 齋藤 房幸  
代理人 津国 肇  
復代理人 小澤 圭子  
復代理人 小澤 圭子  

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