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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
管理番号 1219646
審判番号 不服2008-3618  
総通号数 128 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-02-14 
確定日 2010-07-08 
事件の表示 特願2002-128361「車両整備見積方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年11月14日出願公開、特開2003-323565〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,平成14年4月30日の出願であって,平成19年9月3日付け拒絶理由通知に対し,同年11月12日付けで手続補正がなされ,平成20年1月10日付けの拒絶査定に対し,同年2月14日に審判請求がされるとともに,同年3月17日付けで手続補正がなされた。そして,当審において,平成21年10月7日付け審尋に対し,同年12月14日付けで回答書が提出され,平成22年2月1日付け拒絶理由通知に対して,同年4月5日付けで手続補正がなされたものである。


第2 本件発明

本件の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は,平成22年4月5日付け手続補正により補正された請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。

「【請求項1】
記憶装置を備えるコンピュータによって,
車両に設けられてエンジンまたは駆動系を制御する電子制御ユニットに有線または無線接続され,車両整備の発注者によって用いられるユーザ端末によって取得された,該電子制御ユニットの情報と,前記発注者による車両整備に関する希望内容と,を含む車両整備情報であって,前記ユーザ端末によって送信された車両整備情報を受信して記憶装置に記憶させるステップと,
前記車両整備情報を前記記憶装置から読み出して業者端末に配信し,入札の受付を開始するステップと,
前記車両整備情報が配信された業者端末から送信された,入札情報を受信して前記記憶装置に記憶させるステップと,
前記入札の受付を終了した後,前記記憶装置に記憶された入札情報のうち最安値の入札情報に係る業者端末に対して,落札確認通知を送信するステップと,
が実行される,車両整備見積方法。」


第3 原査定の理由及び当審の拒絶の理由の概要

1.平成19年9月3日付け拒絶理由通知の概要
平成19年9月3日付け拒絶理由通知の概要は次のとおりである。

「A (省略)
B この出願の請求項1-3に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
自動車の修理,整備等の発注先の決定を入札により行うことは,例えば引用文献1及び2等に記載されているように周知である。
なお,自動車の状態を示す情報として,電子制御ユニットからの診断情報を採用することは単なる技術常識(必要ならば引用文献3及び4等参照)に過ぎない。

引 用 文 献 等 一 覧
1.特開2001-312614号公報(特に従来技術参照)
2.特開2002-092205号公報
3.特開2002-123891号公報
4.特開2002-024434号公報
(以下省略)」

2.平成20年1月10日付け拒絶査定の概要
平成20年1月10日付け拒絶査定の概要は次のとおりである。

「この出願については,平成19年 9月 3日付け拒絶理由通知書に記載した理由Bによって,拒絶をすべきものです。
なお,意見書及び手続補正書の内容を検討しましたが,拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。

(途中省略)

しかしながら,引用文献1及び2で示した周知技術のように,ユーザが自動車の修理や整備などの発注先を入札により決定する際には,そもそもユーザが入札システムに予め自動車の使用年数,損傷状況等の自動車の状態を登録しているのであって,また,自動車の状態を示す詳細情報として引用文献3及び4に記載のように電子制御ユニットの情報を使用可能であることも単なる技術常識でしかない。
よって,該電子制御ユニットの情報を上記入札システムに登録する自動車の状態として使用すること,またその際にはユーザが該電子制御ユニットから情報を取得してその他の情報と共に登録させる方がより単純であるから,当業者であれば容易に想到しえたことである。
(以下省略)」

3.当審の平成22年2月1日付け拒絶理由通知の概要
平成22年2月1日付け拒絶理由通知の概要は次のとおりである。

「[理由A]
本件出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

[理由B]
本件出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

[理由C]
本件出願は,発明の詳細な説明の記載が下記の点で,特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない。

(途中省略)

なお,平成21年12月14日付け回答書の補正案にも上記と同じ理由A?Cが存在する。

以上,理由A?Cのため,原査定の拒絶の理由である,特許法第29条第2項の判断を留保する。」


第4 審判請求人の主張の概要

1.平成20年3月17日付け手続補正書(方式)で主張する審判請求人の請求の理由の概要
平成20年3月17日付け手続補正書(方式)で主張する審判請求人の請求の理由の概要は次のとおりである。

「しかし,引用文献1及び2に記載された技術に記載されているのは,ユーザによる自動車の状態の「登録」であり,登録される情報は,ユーザが容易に「取得」できる類のものである。これに対して,引用文献3および4に記載のあるように,電子制御ユニットから情報を「取得」することは従来専門性の高いサービス提供者によって行われており,特に,引用文献3に開示された技術においては,電子制御ユニット等から得られた情報は,一旦サービス提供者によって取得されて情報通信センターに蓄積され,ユーザはこの情報を得るためにユーザ端末を用いて情報通信センターに接続することとなっている(段落0026を参照)。このことから,電子制御ユニットの情報は,従来ユーザによって入札システムに登録されていた類の情報とは性格を異にする情報であることが分かる。」
「即ち,従来,電子制御ユニットから得られる情報はサービス提供者によって直接「取得」され,ユーザに提供される際にも一旦サービス提供者を介して提供されている。このことから,引用文献1から4に基づいて当業者が容易にできる発明は,例えば,電子制御ユニットの情報をサービス提供者に取得させ,ユーザはサービス提供者によって取得された情報を入札システムに登録する,といったものとなる筈である。また,引用文献に開示された技術においては,情報取得のタイミングも,ユーザが判断するものではなく,故障や事故の際の通信時となっている。これに対して,本願発明は,従来サービス提供者によって行われていた電子制御ユニットからの情報取得を,任意のタイミングでユーザに行わせることとし,その他の情報と共にサーバ装置に送信させることで,見積システムの利便性を向上させたものである。」

2.平成21年12月14日付け回答書における審判請求人の主張の概要
平成21年12月14日付け回答書における審判請求人の主張の概要は次のとおりである(下線は審判請求人が付与した。)。

「引用文献1,2は車両整備の発注者(所謂エンドユーザであり,サービス提供者ではない者)側の利用に供される技術であり,これに対して引用文献3,4はサービス提供者(整備業者)側の利用に供される技術であります。より詳細には,引用文献1及び2に記載された技術に記載されているのは,ユーザによる自動車の状態の登録であり,登録される情報は,サービス提供者ではない者が容易に取得できる類のものであります。これに対して,引用文献3および4に記載のあるように,電子制御ユニットから情報を取得することは従来専門性の高いサービス提供者によって行われており,特に,引用文献3に開示された技術においては,電子制御ユニット等から得られた情報は,一旦サービス提供者によって取得されて情報通信センターに蓄積され,車両整備の発注者はこの情報を得るためにユーザ端末を用いて情報通信センターに接続することとなっております(段落0026を参照)。即ち,従来,電子制御ユニットから得られる情報は,サービス提供者によって直接取得され,車両整備の発注者に提供される際にも一旦サービス提供者を介して提供されているものであります。また,引用文献に開示された技術においては,情報取得のタイミングも,車両整備の発注者が判断するものではなく,故障や事故の際の通信時となっております。
上記検討結果から明らかなように,引用文献に記載された技術は,何れも,電子制御ユニットからの情報取得を車両整備の発注者に行わせる構成を採用する本願発明から,むしろ遠ざかる教示を与えるものであります。また,仮に当業者が引用文献1から4に開示された技術を組み合わせることとしたとしても,引用文献の組み合わせによって得られる発明は,電子制御ユニットの情報をサービス提供者に取得させ,車両整備の発注者はサービス提供者によって取得された情報を入札システムに登録する,といったものとなります。これに対して,本願発明は,従来サービス提供者によって行われていた電子制御ユニットからの情報取得を,任意のタイミングで車両整備の発注者に行わせることとし,その他の情報と共にサーバ装置に送信させることで,見積システムの利便性を向上させたものであります。」

3.平成22年4月5日付け意見書における審判請求人の主張の概要
平成22年4月5日付け意見書における審判請求人の主張の概要は次のとおりである。

「以上より,補正後の特許請求の範囲の記載は,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものであります。」
「以上より,補正後の特許請求の範囲の記載は,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たすものであります。」
「以上より,本件出願の発明の詳細な説明の記載は,特許法第36条第4項に規定する要件を満たすものであります。」
「原査定の拒絶の理由である特許法第29条第2項については,判断が留保されておりますが,出願人の意見は,平成21年12月14日付けで提出した回答書に記載した通りであります。」


第5 引用例

(1)引用例の記載事項と引用発明
ア 原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-312614号公報(以下,「引用例」という。)には,図面とともに,以下の記載がある。(下線は当審で付加した。)

(ア)「【0002】
【従来の技術】以下に,従来の応札処理方法について,中古車を修理してもらう場合を一例として図38を用いて説明する。管理サーバ91(入札ウエブサイト)は,インターネットを介して,依頼者端末92,複数の修理業者A?C端末93?95に接続している。
【0003】まず,中古車を修理してくれる修理業者を選定しようとする依頼者は,応札処理を管理する管理サーバ91に,所望の修理費用(以下,希望修理費用という)とともに,その中古車の情報を登録する。例えば,その中古車の使用年数,損傷状況等である。
【0004】次に,管理サーバ91は,その中古車の情報と希望修理費用を,複数の修理業者端末93?95に送信する。修理業者は,その中古車の情報と希望修理費用に基づいて,その修理を行うことができるか否か,いくらでその修理を行うことができるかを検討する。
【0005】次に,その修理業者のうち,希望修理費用内でその修理が可能な者は,修理費用の見積もりを端末に入力して,管理サーバ91に送信する。このようにして管理サーバ91には,複数の修理費用の見積もりが登録される。
【0006】次に,管理サーバ91は,その中から最も安い費用を提示した修理業者を選定し,その選定した修理業者と修理費用の見積もりを,依頼者端末92に送信する。そして,依頼者が,その修理業者と修理費用の見積もりを承認することにより,応札処理が終了する。
【0007】したがって,依頼者は,中古車の情報等を管理サーバ91に登録すれば,自動的に修理業者による入札が行われ,所望の費用で修理してくれる修理業者を見つけることができる。」

(a)上記摘記事項(ア)には,管理サーバ91に,使用年数,損傷状況等である中古車の情報や見積もりが登録されることが記載されているから,管理サーバ91が記憶装置を備えることは明らかである。

(b)上記摘記事項(ア)には,管理サーバ91から修理業者端末93?95に中古車の情報と希望修理費用を送信すると,修理業者端末93?95は見積もりを管理サーバ91に送信することが可能になることが記載されているから,管理サーバ91から修理業者端末93?95に中古車の情報と希望修理費用を送信し,管理サーバ91は見積もりの受付を開始することは明らかである。

(c)上記摘記事項(ア)には,「その修理業者のうち,希望修理費用内でその修理が可能な者は,修理費用の見積もりを端末に入力して,管理サーバ91に送信する。」,「管理サーバ91は,その中から最も安い費用を提示した修理業者を選定し」と記載されているから,管理サーバ91は,最も安い費用を提示した修理業者を選定するために,見積もりの受付を終了することは明らかである。

イ そうすると,引用例には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「記憶装置を備える管理サーバ91によって,
依頼者端末92によって送信された使用年数,損傷状況等である中古車の情報と希望修理費用を受信して記憶装置に記憶させるステップと,
前記使用年数,損傷状況等である中古車の情報と希望修理費用を前記記憶装置から読み出して修理業者端末93?95に送信し,見積もりの受付を開始するステップと,
前記使用年数,損傷状況等である中古車の情報と希望修理費用が送信された修理業者端末93?95から送信された,見積もりを受信して前記記憶装置に記憶させるステップと,
見積もりの受付を終了した後,前記記憶装置に記憶された見積もりの中で最も安い見積もり選定することで,前記依頼者に最適な見積もりを決定し,その選定した修理業者と修理費用の見積もりを依頼者端末92に送信するステップと,
が実行される,応札処理方法。」


第5 対比

次に,本件発明と引用発明とを比較する。
引用発明の「記憶装置を備える管理サーバ91」,「依頼者端末92」,「修理業者端末93?95」,「見積もり」,「応札処理方法」は,それぞれ,本件発明の「記憶装置を備えるコンピュータ」,「ユーザ端末」,「業者端末」,「入札」又は「入札情報」,「車両整備見積方法」に相当する。
引用発明の「希望修理費用」は,依頼者の修理に関する希望の1つであることは明らかであるから,本件発明の「車両整備に関する希望内容」に相当する。

引用発明の使用年数,損傷状況等である中古車の情報と希望修理費用を「修理業者端末93?95に送信し」は,管理サーバ91(入札ウェブサイト)にインターネットを介して接続された複数の業者A?C端末93?95に情報を提示するものであるから,本件発明の車両整備情報を「業者端末に配信し」に相当する。

引用発明の「使用年数,損傷状況等である中古車の情報」は,修理内容を修理業者が判断するために用いられる情報であるから,本件発明の「エンジンまたは駆動系を制御する電子制御ユニットに有線または無線接続されたユーザ端末によって取得された,該電子制御ユニットの情報」とは,「車両の情報」で共通する。

引用発明の「使用年数,損傷状況等である中古車の情報と希望修理費用」と,本件発明の「電子制御ユニットの情報と,ユーザによる車両整備に関する希望内容と,を含む車両整備情報」とは,「車両の情報と,ユーザによる車両整備に関する希望内容と,を含む車両整備情報」で共通する。

引用発明の「前記記憶装置に記憶された見積もりの中で最も安い見積もり」は,本件発明の「前記記憶装置に記憶された入札情報のうち最安値の入札情報」に相当する。

引用発明の「その選定した修理業者と修理費用の見積もり」は,依頼者が内容を承認するか否かの判断に用いるために送信される,誰がいくらの見積もりを提示したかを示す情報であるので,本件発明の「落札確認通知」に相当する。

引用発明の「見積もりの受付を終了した後,前記記憶装置に記憶された見積もりの中で最も安い見積もり選定することで,前記依頼者に最適な見積もりを決定し,その選定した修理業者と修理費用の見積もりを依頼者端末92に送信する」は,本件発明の「前記入札の受付を終了した後,前記記憶装置に記憶された入札情報のうち最安値の入札情報に係る業者端末に対して,落札確認通知を送信する」とは,「前記入札の受付を終了した後,前記記憶装置に記憶された入札情報のうち最安値の入札情報を落札確認通知として端末に送信する」で共通する。

そうすると,本件発明と引用発明との一致点及び相違点は次のとおりとなる。

[一致点]
「記憶装置を備えるコンピュータによって,
車両の情報と,ユーザによる車両整備に関する希望内容と,を含む車両整備情報であって,ユーザ端末によって送信された車両整備情報を受信して記憶装置に記憶させるステップと,
前記車両整備情報を前記記憶装置から読み出して業者端末に配信し,入札の受付を開始するステップと,
前記車両整備情報が配信された業者端末から送信された,入札情報を受信して前記記憶装置に記憶させるステップと,
前記入札の受付を終了した後,前記記憶装置に記憶された入札情報のうち最安値の入札情報を落札確認通知として端末に送信するステップと,
が実行される,車両整備見積方法。」

[相違点1]
車両の情報が,本件発明では,「車両に設けられてエンジンまたは駆動系を制御する電子制御ユニットに有線または無線接続され,車両整備の発注者によって用いられるユーザ端末によって取得された,該電子制御ユニットの情報」であるのに対し,引用発明では,エンジンまたは駆動系を制御する電子制御ユニットに有線または無線接続されたユーザ端末によって取得される電子制御ユニットの情報ではない点。

[相違点2]
落札確認通知を,本件発明では,「前記記憶装置に記憶された入札情報のうち最安値の入札情報に係る業者端末」に送信するのに対し,引用発明では,依頼者端末に送信する点。


第6 当審の判断

[相違点1]について
車両が駆動系を制御する電子制御ユニット(ECU)を備え,ユーザから詳しい説明がなくても,サービス工場の作業者等が,電子制御ユニット(ECU)から車両の整備等に必要な正確な情報を取得できることは,例えば,原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-123891号公報(【0014】,【0046】?【0047】,【0053】,【0067】?【0068】等の記載参照),特開2002-24434号公報(【0007】,【0028】?【0030】,【0046】等の記載参照)にあるように周知技術であり,このとき電子制御ユニット(ECU)の情報を電子制御ユニット(ECU)に有線接続された外部コンピュータを用いて取得することも前記特開2002-24434号公報(【0028】?【0030】,【図1】等の記載参照)にあるように周知技術である。
さらに,ユーザである車両の所有者が車両の状態を知るために,ユーザが使用可能な端末(パーソナルコンピュータ,携帯情報端末,携帯電話等)を用いて,電子制御ユニット(ECU)から情報通信センターに送られた車両の状態情報を取得することは,前記特開2002-123891号公報(【0065】?【0066】等の記載参照)にあるように周知技術である。
そうすると,車両の整備等に必要な情報を電子制御ユニット(ECU)から取得する構成とし,車両の所有者が電子制御ユニット(ECU)に有線接続された外部コンピュータを用いて電子制御ユニット(ECU)の情報を取得する構成とすることも当業者が適宜なし得たものであるから,引用発明において,車両の情報を「車両に設けられてエンジンまたは駆動系を制御する電子制御ユニットに有線または無線接続され,車両整備の発注者によって用いられるユーザ端末によって取得された,該電子制御ユニットの情報」とすることは,当業者が容易になし得たものである。
よって,相違点1に係る構成は,引用発明及び周知技術から,当業者が容易に想到し得た事項である。

[相違点2]について
競争入札において,落札者に落札したことを通知することは当然のことであるから,引用発明において,「前記記憶装置に記憶された入札情報のうち最安値の入札情報に係る業者端末」に送信する構成とすることは,当業者が容易になし得たものである。
よって,相違点2に係る構成は,引用発明から,当業者が容易に想到し得た事項である。

なお,上記「第4 審判請求人の主張の概要」で見た審判請求人の主張については,上記「[相違点1]について」で検討したとおり,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものであるから,審判請求人の主張は採用できない。
また,本件発明の効果も引用例1及び周知技術から,当業者の予測し得た範囲内のものである。

よって,本件発明は,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。


第7 むすび

以上のとおり,本件発明は,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-04-23 
結審通知日 2010-05-11 
審決日 2010-05-25 
出願番号 特願2002-128361(P2002-128361)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 金子 幸一  
特許庁審判長 手島 聖治
特許庁審判官 松田 直也
須田 勝巳
発明の名称 車両整備見積方法  
代理人 松倉 秀実  
代理人 高田 大輔  
代理人 和久田 純一  
代理人 川口 嘉之  
代理人 平川 明  
代理人 今堀 克彦  

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