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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服20057354 | 審決 | 特許 |
不服20078614 | 審決 | 特許 |
不服200722790 | 審決 | 特許 |
不服20064086 | 審決 | 特許 |
不服20078928 | 審決 | 特許 |
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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C12N 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C12N |
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管理番号 | 1220393 |
審判番号 | 不服2008-6549 |
総通号数 | 129 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-09-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-03-17 |
確定日 | 2010-07-23 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第542784号「多嚢胞性腎疾患遺伝子」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年11月27日国際公開、WO97/44457、平成14年 2月 5日国内公表、特表2002-503952〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯・本願発明 本願は,平成9年5月22日に(パリ条約による優先権主張外国庁受理,1996年5月24日 米国,1996年6月3日 米国)を国際出願日とするものであって,平成19年12月6日に拒絶査定がされ,平成20年3月17日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。そして,その請求項1?28に係る発明は,平成20年4月14日付手続補正書によって補正された特許請求の範囲の記載からみて,その請求項1?28に記載されたとおりのものと認められるところ,そのうちの請求項1及び15に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」,「本願発明15」という。)は次のとおりである。 「【請求項1】 ヒトPKD1ポリペプチドをコードしている単離された核酸であって,配列番号:2で示される配列を含むDNAである前記核酸。」 「【請求項15】 5'-AGGACCTGTCCAGGCATC-3' (配列番号:10)を含む単離された核酸。」 第2 原査定の理由 原査定の拒絶の理由となった,平成19年3月15日付拒絶理由通知書で通知した拒絶理由4及び5の概要は,次のとおりである。 理由4: 本願請求項1?45に係る発明は,引用文献1,2に記載されているから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない。 理由5: 本願請求項1?45に係る発明は,引用文献1,2から容易に想到し得るものである。例え,配列に若干の相違が認められたとしても,解析対象としているクローン(91.8B)等や解析手法が同一であることから,精緻な解析を行えば,真のヒトPKD1遺伝子の配列が得られるはずであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第3 当審の判断 1.引用例 原査定の拒絶の理由で引用文献2として引用された,本願の発明者でもあるクリンガー・キャサリンらを発明者とする先の国際特許出願に係る,本願優先日前に頒布された刊行物である「国際公開第96/12033号」(以下,「引用例1」という。)には,以下の事項が記載されている。 (ア)「PKD1遺伝子は染色体位置16p13.3に位置している。新規のマーカーの同定および制限酵素解析と共に大規模な連鎖解析を用いて、さらにこの遺伝子がマーカーであるATPL及びCMM65(D16S84)の間の約600kbの間に位置していることが分かった。」(第2頁第11?14行) (イ)「本発明はまた図1のPKD1 DNA,又は,図1のDNAによってコードされるPKD1タンパク質の全部又はその一部を含む,APKDの治療のための組成物も含む。」(第3頁末行?第4頁第2行) (ウ)「図1A?1EEは,正常なヒトPKD1遺伝子を含む53,577塩基のDNA配列を示す。」(第4頁第5?6行) (エ)「19.配列:5'-AGGACCTGTCCAGGCATC-3' を含む,単離された核酸。」(第28頁下から2行?末行) 2.本願発明1と引用例1に記載された事項との対比・判断 上記(ア)?(ウ)のとおり,引用例1の図1A?1EEに示された,正常なヒトPKD1遺伝子を含む53,577塩基長のDNA配列は,ヒト染色体位置16p13.3に由来するものであって,染色体マーカーATPL及びCMM65(D16S84)の間の約600kbの間に位置しているものである。そして,その5’末端側の配列は,「TGTAAACTTT・・・」で始まるものである。 一方,本願発明1における53,526塩基長の配列番号:2で示されるDNA配列も,正常ヒトPKD1遺伝子を含むものであり(明細書第4頁第12行),かつ,本願明細書の実施例1における「B.配列決定計画」及び図5に記載されているとおり,ヒトの第16染色体に由来するものであって,上記マーカーATPL及びCMM65(D16S84)の間に位置しているものである。さらに,その5’末端側の配列は,「TGTAAACTTT・・・」で始まるものである。 してみると,本願発明1と引用例1に記載されたものとは,「ヒトPKD1ポリペプチドをコードしている単離された核酸であって,正常なヒト第16染色体に由来し,染色体マーカーATPL及びCMM65(D16S84)の間に位置する配列を有するDNAであり,かつ,その5’末端側において,TGTAAACTTT・・・で始まる配列を有する前記核酸。」である点で一致する。 この一方,前者における上記DNAは,引用例1における図1A?1EEに示される53,577塩基長の配列を有するものであるのに対して,後者における上記DNAは,53,526塩基長の配列番号:2で示される配列を含むものであり,そして,配列番号:2で示される上記配列は,引用例1記載の53,577塩基長の上記配列における3’側末端の55塩基を欠いた53,522塩基長のものに対して,相同性にして99.9%以上と,そのほとんどの部分で一致するものの,配列中の数個の塩基につき,その欠失又は他の塩基への置換による相違が存在する点,で相違する。 上記相違点について判断する。 上記(ア)?(ウ)のとおり,引用例1の図1A?1EEには,正常なヒトPKD1遺伝子を含むDNAが,53,577塩基からなる配列情報と共に示されており,さらに,当該塩基配列を決定する手法についても引用例1中の実施例等において具体的に記載されている以上,当業者は必要に応じてそれを追試して,ヒトPKD1ポリペプチドをコードする核酸を含む,染色体マーカーATPL及びCMM65(D16S84)の間に位置する正常なヒトPKD1遺伝子座につき,さらに精緻にクローニング及び塩基配列決定を行うことで,その真正な塩基配列を決定できたのである。そして,引用例1のDNAに係る上記53,577塩基長の配列と,本願発明1のDNAに係る上記53,526塩基長の配列との間に認められる配列情報に係る上記相違の程度は,解析の際に生じ得る配列の読み間違いや解析対象の個体差等に基づくものであると解すべき程度のものであり,その相違に基づく顕著な効果も認められないから,進歩性を有すると言えるほどの差異には当たらない。 したがって,本願発明1は,引用例1の記載に基づき,当業者が容易に発明することができたものである。 3.本願発明15と引用例1に記載された事項との対比・判断 上記(エ)のとおり,引用例1には,配列:5'-AGGACCTGTCCAGGCATC-3' を含む,単離された核酸の発明が記載されており,上記配列は,本願発明15における配列番号:10のものと相違しない。 よって,本願発明15は,引用例1に記載された発明である。 第4 請求人の反論 請求人は,平成20年6月18日付手続補正書により補正がなされた審判請求書における請求の理由で, 「さらに,理由4と理由5の新規性または進歩性に関する指摘について,以下の通り反論する。 本願発明はヒトPKD1遺伝子に関し,該遺伝子は配列番号2あるいは配列番号4の配列を含むDNAであり,特に正常ヒトPKD1のcDNAの完全長配列は配列番号4で示され,これに対応するアミノ酸配列が配列番号5で示されるものであることを特徴とする。本願発明により,真のPKD1遺伝子に対応するcDNAの完全長配列が初めて提供され,これは,引用文献に基き当業者が容易に為し得ることではない。」 と主張する。 しかしながら,本願の特許請求の範囲における請求項1?28に係る発明は,53,526塩基長の配列番号:2で示されるものからすれば,その4分の1にも満たない14060塩基の長さの配列番号:4で示される正常ヒトPKD1のcDNAの完全長配列や,それに対応する4302個のアミノ酸からなるアミノ酸配列に係るもののみに限られるものではなく,本願発明1や15のように,PKD1遺伝子を含む長大な遺伝子座の配列や,増幅において使用されるオリゴヌクレオチドの発明をも含むものである。そして,上記cDNAではない,正常なヒトPKD1遺伝子を含む遺伝子座の配列番号:2に示されるDNA配列に係る本願発明1が,引用例1の記載より当業者が容易に想到し得たものであること,及び,配列:5'-AGGACCTGTCCAGGCATC-3' を含む単離された核酸である本願発明15が,引用例1に記載された発明であることは,上記第3 2.及び3.において述べたとおりである。 よって,請求人の上記主張は採用できない。 第5 むすび 以上のとおりであるから,本願発明1は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず,また,本願発明15は,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない。 したがって,本願に係る他の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-02-26 |
結審通知日 | 2010-03-01 |
審決日 | 2010-03-12 |
出願番号 | 特願平9-542784 |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(C12N)
P 1 8・ 121- Z (C12N) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 植原 克典 |
特許庁審判長 |
平田 和男 |
特許庁審判官 |
鵜飼 健 森井 隆信 |
発明の名称 | 多嚢胞性腎疾患遺伝子 |
代理人 | 小林 泰 |
代理人 | 増井 忠弐 |
代理人 | 社本 一夫 |
代理人 | 増井 忠弐 |
代理人 | 栗田 忠彦 |
代理人 | 社本 一夫 |
代理人 | 今井 庄亮 |
代理人 | 今井 庄亮 |
代理人 | 小林 泰 |
代理人 | 栗田 忠彦 |