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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G05B 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G05B |
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管理番号 | 1221061 |
審判番号 | 不服2008-32191 |
総通号数 | 129 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-09-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-12-19 |
確定日 | 2010-08-06 |
事件の表示 | 特願2006- 75334「プログラマブル・コントローラ」拒絶査定不服審判事件〔平成18年11月 9日出願公開、特開2006-309727〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成18年3月17日(優先権主張、平成17年3月31日)の出願であって、同20年10月6日付けで手続補正がなされ、同年11月14日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年12月19日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、同21年1月14日に特許請求の範囲、明細書を対象とする手続補正(以下「本件補正」という。)がなされ、当審において、同22年3月11日付けで審尋がなされ、同年5月14日に回答書が提出されたものである。 第2.本件補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1.本願発明 本件補正は、特許請求の範囲と、関連する発明の詳細な説明を補正するもので、補正前後の請求項1は、以下のとおりである。 【補正前の請求項1】 「ハウジング(25)の外面には、端子台配置領域(a,e)と、前記端子台配置領域(a,e)に隣接した端子シンボル配置領域(b,d)とを設け、前記ハウジング(25)の内部には回路基板(26)が装着されたプログラマブル・コントローラ(1)であって、 前記端子台配置領域(a,e)には、 外部配線を結線するための端子を上段1列に配列してなる上段端子列(21,31)と、外部配線を結線するための端子を下段1列に配列してなる下段端子列(22,32)とが、互いに2分の1ピッチ幅方向にずらして配列された端子台(2,3)が配置され、 前記端子シンボル配置領域(b,d)には、 透明なシートの上に前記上段端子列(21,31)を構成する各端子を識別するための端子シンボルを描いた配線表が貼り付けられた上段端子シンボル列と、透明なシートの上に前記下段端子列(22,32)を構成する各端子を識別するための端子シンボルを描いた配線表が貼り付けられた下段端子シンボル列とが、前記上段端子シンボル列及び前記下段端子シンボル列の配列が、前記端子台(2,3)上の前記上段端子列及び前記下段端子列の配列に整合するように互いに2分の1ピッチ幅方向にずらして配列され、 前記回路基板(26)には、 前記上段端子列(21,31)を構成する各端子の信号状態に応じてそれぞれ点消灯する複数の表示灯を配列してなる上段表示灯列(26a,26c)と、前記下段端子列(22,32)を構成する各端子の信号状態に応じてそれぞれ点消灯する複数の表示灯を配列してなる下段表示灯列(26b,26d)とが、前記上段表示灯列及び前記下段表示灯列の配列が、前記端子台上の前記上段端子列及び前記下段端子列の配列に整合するように互いに2分の1ピッチ幅方向にずらして搭載され、かつ、 前記端子シンボル列(27,28)を構成する個々の端子シンボルと前記表示灯列(26a?26d)を構成する個々の表示灯とは、対応するもの同士において、位置的に重なるように配置され、 それにより、前記端子シンボル列(27,28)及び前記表示灯列(26a?26d)が、前記端子列(21,22,31,32)と同様に千鳥状に配列される、ことを特徴とするプログラマブル・コントローラ。」 【補正後の請求項1】 「ハウジング(25)の外面には、端子台配置領域(a,e)と、前記端子台配置領域(a,e)に隣接した端子シンボル配置領域(b,d)とを設け、前記ハウジング(25)の内部には回路基板(26)が装着されたプログラマブル・コントローラ(1)であって、 前記端子台配置領域(a,e)には、 外部配線を結線するための端子を上段1列に配列してなる上段端子列(21,31)と、外部配線を結線するための端子を下段1列に配列してなる下段端子列(22,32)とが、互いに2分の1ピッチ幅方向にずらして配列された端子台(2,3)が配置され、 前記端子シンボル配置領域(b,d)には、 透明なシートの上に前記上段端子列(21,31)を構成する各端子を識別するための端子シンボルを描いた配線表が貼り付けられた上段端子シンボル列と、透明なシートの上に前記下段端子列(22,32)を構成する各端子を識別するための端子シンボルを描いた配線表が貼り付けられた下段端子シンボル列の配列が、前記端子台(2,3)上の前記上段端子列(21,31)と前記下段端子列(22,32)の配列にそれぞれ対応して整合するように配列され、 前記回路基板(26)には、 主回路に相当するLSIと、 前記上段端子列(21,31)を構成する各端子の信号状態に応じてそれぞれ点消灯する複数の表示灯を配列してなる上段表示灯列(26a,26c)と、前記下段端子列(22,32)を構成する各端子の信号状態に応じてそれぞれ点消灯する複数の表示灯を配列してなる下段表示灯列(26b,26d)とが搭載され、 前記上段表示灯列及び下段表示灯列が、前記端子台(2,3)上の前記上段端子列(21,31)及び前記下段端子列(22,32)の配列にそれぞれ対応して整合するように配列され、かつ、 前記端子シンボル列(27,28)を構成する個々の端子シンボルと前記表示灯列(26a?26d)を構成する個々の表示灯とは、対応するもの同士において、位置的に重なるように配置され、 それにより、前記端子シンボル列(27,28)及び前記表示灯列(26a?26d)が、前記端子列(21,22,31,32)と同様に千鳥状に配列される、ことを特徴とするプログラマブル・コントローラ。」 上記補正のうち、「上段端子シンボル列及び下段端子シンボル列」について、「上段端子列及び下段端子列の配列に整合するように互いに2分の1ピッチ幅方向にずらして配列」を「上段端子列及び下段端子列の配列にそれぞれ対応して整合するように配列」とし、「上段表示灯列及び下段表示灯列」について、「上段端子列及び下段端子列の配列に整合するように互いに2分の1ピッチ幅方向にずらして搭載」を「上段端子列(21,31)及び前記下段端子列(22,32)の配列にそれぞれ対応して整合するように配列」とする補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例とされる改正前特許法(以下「改正前特許法」という。)第17条の2第4項第4号の明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。 また、「回路基板(26)」が「主回路に相当するLSI」を有することを特定する補正は、同第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか(いわゆる「独立特許要件」)について、検討する。 2.刊行物記載の発明 (1)刊行物1 原審の拒絶理由に引用され、本願優先日前に頒布された刊行物である実願昭59-169281号(実開昭61-84892号)のマイクロフイルム(以下「刊行物1」という。)には、以下が記載されている。 ア.明細書第2ページ第10?13行 「本考案は、例えばプログラマブルコントローラの如き電子機器において、入出力信号、指令信号等の状態を表示する信号表示装置に関するものである。」 イ.明細書第5ページ第13行?第6ページ末行 「第1図(a)は本考案実施例の平面図、(b)はそのA-A断面図である。図において、20は例えば合成樹脂を成型してなる端子台、21は多数の端子22を連続してなる第1の端子群、21aは同じく第2の端子群、23は前面板に固定するためのねじ穴である。24,24aは端子台20に一体に埋設された固定端子、25,25aは合成樹脂等からなる透明又は半透明(例えば乳白色)の透光性のビスで、第2の端子群21aのビス25aは第1の端子群21のビス25より短かく形成されている。26,26aは座金である。28,28aは端子台20のベース27に取付けられた表示素子で、固定端子24,24aと座金26,26aとの間に配線を取付けてビス25,25aで固定したとき、ビス25,25aの先端部がそれぞれ表示素子28,28aに接触するか、又はきわめて近接する位置に配置されている。なお、各固定端子24,24a及び各表示素子28,28aのリード線は、それぞれプリント基板17(第4図)の回路に接続されている。 上記のように構成した本実施例において、例えば外部機器から端子21に入力信号が加えられると、この信号は固定端子24、プリント基板17の回路を介してCPU等に加えられると共に、表示素子28の電源回路をONにして表示素子28を点灯する。表示素子28が点灯すると、その光はビス25を伝わつてその頭部を発光させるので、端子台20の前面又は側面から当該信号が入力したことを容易に知ることができる。」 ウ.明細書第7ページ第12行?第8ページ第1行 「第3図は本考案のさらに別の実施例を示すもので、本実施例においては黒色等の不透明の合成樹脂からなる端子台20の側面に設けた平坦部29に、透明又は半透明(例えば乳白色)の合成樹脂からなる透光性の表示窓31を2色モールドにより一体成型し、この表示窓31に表示素子28を取付けたもので、各端子22に信号が加えられると表示素子28が点灯し、当該表示窓31を発光させて外部から信号の状態を識別しうるようにしたものである。」 エ.第3図 端子群21は端子22が1列に配列していること、端子群21配置領域と表示窓31配置領域とが隣接していること、が看取できる。 これら記載を、図面を参照しつつ、技術常識を踏まえ、補正発明に照らして整理すると、刊行物1には、以下の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。 「端子群21配置領域と、前記端子群21配置領域に隣接した表示窓31配置領域とを設けた端子台20に、プリント基板が装着されたプログラマブルコントローラであって、 前記端子群21配置領域には、 外部配線を結線するための端子22を1列に配列してなる端子群21が配置され、 前記表示窓31配置領域には、 前記端子群21を構成する各端子22を識別するための表示窓31の配列が、前記1列に配列してなる端子群21にそれぞれ近接する位置に配列され、 前記端子台20には、 前記端子群21を構成する各端子22の信号状態に応じてそれぞれ点消灯する複数の表示素子28を配列してなる表示素子列とが搭載され、 前記表示素子列が、前記端子列21の配列にそれぞれ対応して整合するように配列され、かつ、 前記表示窓31の配列を構成する個々の表示窓31と前記表示素子列を構成する個々の表示素子28とは、対応するもの同士において、位置的に重なるように配置され、 それにより、前記表示窓31の配列及び前記表示素子列が、前記端子群21と同様に一列に配列される、プログラマブルコントローラ。」 (2)刊行物2 同じく特開平6-251817号公報(以下「刊行物2」という。)には、以下が記載されている。 ア.段落0001 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は工業用制御装置等でフィールド機器との信号線接続に用いられる端子台に係り、特に部品の共用化を推進して低コストで製造できる改良に関する。」 イ.段落0004?0007 「【0004】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発明は、信号線の接続される端子が複数列配置された端子台10と、この端子台の底面に設けられた各端子と接続されるパターンを有するバックボード20とを有する端子台において、前記端子台は端子配置の列方向にレディ表示室16と基板収容室18を有し、レディ表示室では、前記バックボードに搭載された当該端子台の動作状態を表示する発光素子22の放射する光を端子台上面に導き、当該端子台の各端子の信号状態を表示する場合は、前記各端子の信号状態に応じて点灯消灯する発光素子42が搭載された表示用基板40が収容されると共に、この発光素子の放射する光を端子台上面であって端子配置の列方向に各発光素子毎に分離して表示する分離導光部44を前記基板収容室に設け、当該端子台が熱電対入力の場合は、熱電対の接続される端子と熱的に接触して当該端子の温度を測定する温度補償ユニット60を前記基板収容室に設けることを特徴としている。 【0005】 【作用】レディ表示室は端子台の動作状態を表示するもので、何れの種類の端子台でも必要とされることから、予めバックボードに搭載してある発光素子の光を用いる。基板収容室は端子台の種類に応じて任意に利用される領域で、端子台の各端子の状態を表示する種類では表示用基板が収容され、熱電対入力の場合は温度補償ユニットが用いられ、一般のアナログ信号で各端子の状態を未表示とするときは空空間となる。 【0006】 【実施例】以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。図1は本発明の一実施例を示す構成図で、(A)は上面図、(B)は側面図である。図において、端子台10は樹脂等の絶縁材料で成形されたもので、下段端子11と上段端子12の各段にそれぞれ17個の端子が設けてある。レディ表示室16並びに4室に区分された基板収容室18は下段端子11や上段端子12と平行な列に配置されたもので、基板収容室18の各室は基板ガイド19により隔てられている。バックボード20は端子台10の底面に設けられたもので、各端子と接続される配線パターンを有している。コネクタ30はバックボード20の底面側に設けられたもので、外部機器と接続されるコネクタ(図示せず)により各端子に接続された信号線の信号を送る。表示用基板40は基板収容室18に収容されるもので、ここでは発光素子42が搭載されているものを示しているが、このほか温度補償ユニットなど各種の拡張機能を付す場合には、他のオプション基板が装着される。 【0007】図2は基板収容室に装着される拡張機能の説明図で、(A)は表示機能、(B)は温度補償ユニットの場合を表している。表示機能の場合には、表示用基板40が用いられる。表示用基板40には4室に区分された基板収容室18に対応して4組に纏められた発光素子42を有しており、各組の発光素子42の間には基板ガイド19に相当する間隙が設けられている。基板ガイド19は表示用基板40を所定位置に拘束する機能も兼用している。分離導光部44は遮光性の樹脂成形された部材で、基板ガイド19の上面に装着されて、導光孔45に各発光素子42を収容している。表示シート52は端子台上面に取り付けられるカバー50に貼付されるもので、導光孔45で点灯/消灯する各発光素子42に対応する端子番号の表示を行う。」 これら記載を、図面を参照しつつ、技術常識を踏まえ、整理すると、刊行物2には、以下の2つの事項が記載されていると認められる。 「各端子の信号状態に応じて点灯消灯する発光素子42と、端子台上面に取り付けられるカバー50に貼付され各発光素子42に対応する端子番号の表示を行う表示シート52とを有する端子台。」(以下、「刊行物2事項の1」という。) 「端子台の動作状態を表示する発光素子22をバックボード20に搭載し、その光を端子台上面に導くようにした端子台。」(以下、「刊行物2事項の2」という。) (3)刊行物3 審尋で引用した特開2004-38743号公報(以下「刊行物3」という。)には、以下が記載されている。 ア.段落0011 「【0011】 図47及び図48において、プログラマブルコントローラ90aは、CPU基板22a上に二列に配置された多数の出力表示LED24a、この出力表示LED24aに対向設置され、カバー20aの表面から点灯の確認ができるように配設された透明樹脂製の導光体24b、CPU基板22a上に二列に配置された多数の入力表示LED25a、及び、この入力表示LED25aに対向して配設され、上記カバー20aの表面から点灯の確認ができるように配設された透明樹脂製の導光体25bを有している。」 イ.段落0014 「【0014】 さらに、プログラマブルコントローラ90aは、上記出力端子台ブロック30aや入力端子台ブロック31aに設けられた感電防止用の透明樹脂製の端子カバー91aを有している。端子カバー91aには図示しないドライバ挿入穴や配線引出し切り溝等が設けられている。」 ウ.段落0016 「【0016】 図49はプログラマブルコントローラの所定の部位を除いた上面図である。図50はCPU基板の上面図である。図49及び図50において、プログラマブルコントローラ90aは、CPU基板22aに実装され、プログラマブルコントローラ90aの運転/停止状態やマイクロプロセッサの正常/異常状態、図示しない内蔵バッテリの正常/異常状態等を表示する状態表示LED26a、この状態表示LED26aに対向して配設され、カバー20aの表面から点灯の確認ができるように配設された透明樹脂製の導光体26b、図示しないプログラミングローディング装置を接続するためのプログラムコネクタ27、CPU基板22aに実装されたマイクロプロセッサ28を有している。また、不揮発システムメモリ、プログラムメモリ、演算処理用RAMメモリ、及び出力表示LED24a,入力表示LED25a,状態表示LED26aを駆動するためのラッチメモリ等の各種メモリ29を有している。この各種メモリ29は、CPU基板22aに実装されてマイクロプロセッサ28に対してバス接続されている。」 これら記載を、図面を参照しつつ、技術常識を踏まえ、整理すると、刊行物3には、以下の事項(以下、「刊行物3事項」という。)が記載されていると認められる。 「出力端子台ブロック30a、入力端子台ブロック31aを有し、マイクロプロセッサ28が実装されたCPU基板22aを有するプログラマブルコントローラ。」 3.対比 補正発明と刊行物1発明とを対比する。 刊行物1発明の「プリント基板」は補正発明の「回路基板(26)」に相当し、同様に「表示素子28」は「表示灯」に、相当する。 刊行物1発明の「端子群21」と、補正発明の「端子台(2,3)」とは、「端子群」である限りにおいて一致する。 刊行物1発明の「外部配線を結線するための端子22を1列に配列してなる端子群21が配置され」と、補正発明の「外部配線を結線するための端子を上段1列に配列してなる上段端子列(21,31)と、外部配線を結線するための端子を下段1列に配列してなる下段端子列(22,32)とが、互いに2分の1ピッチ幅方向にずらして配列された端子台(2,3)が配置され」とは、「外部配線を結線するための端子を列状に配列してなる端子群が配置され」である限りにおいて一致する。 刊行物1発明の「表示窓31」と、補正発明の「端子シンボル」とは、「表示部」である限りにおいて一致する。 刊行物1発明の「前記端子群21を構成する各端子22を識別するための表示窓31の配列が、前記1列に配列してなる端子群21にそれぞれ近接する位置に配列され」と、補正発明の「透明なシートの上に前記上段端子列(21,31)を構成する各端子を識別するための端子シンボルを描いた配線表が貼り付けられた上段端子シンボル列と、透明なシートの上に前記下段端子列(22,32)を構成する各端子を識別するための端子シンボルを描いた配線表が貼り付けられた下段端子シンボル列の配列が、前記端子台(2,3)上の前記上段端子列(21,31)と前記下段端子列(22,32)の配列にそれぞれ対応して整合するように配列され」とは、「前記端子群を構成する各端子を識別するための表示部の配列が、前記列状に配列してなる端子群にそれぞれ対応して整合するように配列され」である限りにおいて一致する。 刊行物1発明の「前記端子群21を構成する各端子22の信号状態に応じてそれぞれ点消灯する複数の表示素子28を配列してなる表示素子列とが搭載され、前記表示素子列が、前記端子列21の配列にそれぞれ対応して整合するように配列され」と、補正発明の「前記上段端子列(21,31)を構成する各端子の信号状態に応じてそれぞれ点消灯する複数の表示灯を配列してなる上段表示灯列(26a,26c)と、前記下段端子列(22,32)を構成する各端子の信号状態に応じてそれぞれ点消灯する複数の表示灯を配列してなる下段表示灯列(26b,26d)とが搭載され、前記上段表示灯列及び下段表示灯列が、前記端子台(2,3)上の前記上段端子列(21,31)及び前記下段端子列(22,32)の配列にそれぞれ対応して整合するように配列され」とは、「前記端子群を構成する各端子の信号状態に応じてそれぞれ点消灯する複数の表示灯を配列してなる表示灯列とがあり、前記表示灯列が、前記端子列の配列にそれぞれ対応して整合するように配列され」である限りにおいて一致する。 刊行物1発明の「それにより、前記表示窓31の配列及び前記表示素子列が、前記端子群21と同様に一列に配列される」と、補正発明の「それにより、前記端子シンボル列(27,28)及び前記表示灯列(26a?26d)が、前記端子列(21,22,31,32)と同様に千鳥状に配列される」とは、「それにより、前記表示部の配列及び前記表示灯列が、前記端子群と同様に列状に配列される」である限りにおいて一致する。 したがって、両者は、以下の点で一致する。 「端子群配置領域と、前記端子群配置領域に隣接した表示部配置領域とを設け、回路基板が装着されたプログラマブル・コントローラであって、 前記端子群配置領域には、 外部配線を結線するための端子を列状に配列してなる端子群が配置され、 前記表示部配置領域には、 前記端子群を構成する各端子を識別するための表示部の配列が、前記列状に配列してなる端子群にそれぞれ対応して整合するように配列され、 前記端子群を構成する各端子の信号状態に応じてそれぞれ点消灯する複数の表示灯を配列してなる表示灯列とがあり、前記表示灯列が、前記端子列の配列にそれぞれ対応して整合するように配列され、かつ、 前記表示部列を構成する個々の表示部と前記表示灯列を構成する個々の表示灯とは、対応するもの同士において、位置的に重なるように配置され、 それにより、前記表示部列及び前記表示灯列が、前記端子群と同様に列状に配列される、プログラマブル・コントローラ。」 そして、以下の点で相違する。 相違点1:「端子群配置領域」、「表示部配置領域」が、補正発明では「ハウジング(25)の外面に」設けられ、「回路基板」が「ハウジング(25)の内部に」設けられ、「端子群配置領域」に「端子台」が配置されるが、刊行物1発明は、ハウジングについて明らかでなく、「端子台20」が「端子群21」、「表示窓31の配列」を含むものである点。 相違点2:「端子群」、「表示部の配列」、「表示灯列」について、補正発明は「上段1列」、「下段1列」の「2列」で、「互いに2分の1ピッチ幅方向にずらして配列された」「千鳥状」配列であるが、刊行物1発明は「1列」である点。 相違点3:「表示部」が、補正発明では「透明なシートの上に端子列を構成する各端子を識別するための端子シンボルを描いた配線表が貼り付けられた」ものであるが、刊行物1発明では「表示窓31」である点。 相違点4:「表示灯列」が、「回路基板(26)」に搭載されるが、刊行物1発明では「端子台20」に搭載される点。 相違点5:「回路基板」が、補正発明では「主回路に相当するLSI」を有するが、刊行物1発明では明らかでない点。 4.判断 相違点1について検討する。 刊行物1発明の「プログラマブル・コントローラ」が「ハウジング」を有することは、明らかである。 各構成要素をハウジング内部、外部のいずれとするかは、製造上、使用上、保守上の利便性を踏まえ、適宜選択すべき設計的事項にすぎない。 また各構成要素を一体とするか、別体とするかは、製造上、保守上の利便性を踏まえ、適宜選択すべき設計的事項にすぎないから、刊行物1発明の「端子台20」の「端子群21」と「表示窓31の配列」を、別体として、「端子群配置領域」に「端子群」を配置し、「端子台」と呼称することに困難性は認められない。 相違点2について検討する。 「端子群」を「上段1列」、「下段1列」の「2列」で、「互いに2分の1ピッチ幅方向にずらして配列された」「千鳥状」配列とするものは、上記刊行物2の段落0013、図6、刊行物3の段落0011、図47にみられるごとく周知であり、これにより限られた面積で、端子数を増やすことができる。 よって、刊行物1発明において、端子数を増やすため、かかる周知技術を適用することは、必要に応じてなしうる設計的事項にすぎない。 刊行物1発明は、表示窓31の配列及び前記表示素子列が、端子群21と「同様に」一列に配列されるものであるから、刊行物1発明において、「端子群」を「2列」とする際に、「表示部の配列」、「表示灯列」を、同様に「2列」とすることに困難性は認められない。 よって、相違点2は格別なものではない。 相違点3について検討する。 刊行物2事項の1は、「各端子の信号状態に応じて点灯消灯する発光素子42と、端子台上面に取り付けられるカバー50に貼付され各発光素子42に対応する端子番号の表示を行う表示シート52とを有する端子台。」であり、これにより何が点灯したかが明確に把握できる。 よって、利便性向上の観点から、刊行物2事項の1を適用し、刊行物1発明の「表示窓31」を、端子番号の表示を行う表示シートを利用することに困難性は認められない。 そして、表示シートを貼付するにあたり、「表示窓31」を「透明」とし、その上に貼付することは、適宜なしうる事項である。 また、表示内容は、利便性向上の観点から、適宜選択しうるものであるから、「端子番号」に代え、「端子列を構成する各端子を識別するための端子シンボルを描いた配線表」とすることは、設計的事項にすぎない。 よって、相違点3は格別なものではない。 相違点4について検討する。 刊行物2事項の2は、「端子台の動作状態を表示する発光素子22をバックボード20に搭載し、その光を端子台上面に導くようにした端子台。」であり、発光素子を端子台に設けた刊行物1発明と同様、外部から認識可能なものである。 刊行物2事項の2を、補正発明に照らすと、「バックボード20」は「回路基板」に相当する。 刊行物1発明における「表示灯列」も、外部から認識可能であれば十分であることから、刊行物2事項の2を踏まえ、「回路基板」に設けることは、設計的事項にすぎない。 相違点5について検討する。 刊行物3事項は、「出力端子台ブロック30a、入力端子台ブロック31aを有し、マイクロプロセッサ28が実装されたCPU基板22aを有するプログラマブルコントローラ」であり、基板自体がマイクロプロセッサ28により、制御機能を有するものである。 よって、刊行物1発明において、制御機能の分散化の観点から、刊行物3事項を踏まえ、回路基板に制御機能を持たすこと、その際、具体的手段として、周知技術である「主回路に相当するLSI」とすることは、設計的事項にすぎない。 また、これら相違点を総合勘案しても、格別な技術的意義が生じるとは認められない。 したがって、補正発明は、刊行物1発明、刊行物2事項の1、刊行物2事項の2、刊行物3事項、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、出願の際独立して特許を受けることができない。 5.むすび 以上のとおり、本件補正は、改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に適合しないものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 1.本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2.の1.【補正前の請求項1】のとおりのものと認める。 2.刊行物記載の発明 原査定の拒絶の理由に引用され、本願優先日前に頒布された刊行物である刊行物1ないし2、及びその記載事項は、上記第2.の2.(1)、(2)のとおりである。 3.対比・判断 本件補正は、上記第2.の1.のとおり、明りょうでない記載の釈明、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そうすると、本願発明は、実質的に、上記第2.で検討した補正発明から、特許請求の範囲の減縮に係る「回路基板(26)」が「主回路に相当するLSI」を有するという特定事項を削除するものであり、かかる事項は、上記第2.の3.の相違点5に相当する。 よって、本願発明と刊行物1発明とを対比すると、実質的に、上記第2.の3.同様の一致点、及び相違点1ないし4を有する。 相違点1ないし4については、上記第2.の4.同様である。 したがって、本願発明は、刊行物1発明、刊行物2事項の1、刊行物2事項の2、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-06-07 |
結審通知日 | 2010-06-09 |
審決日 | 2010-06-24 |
出願番号 | 特願2006-75334(P2006-75334) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G05B)
P 1 8・ 575- Z (G05B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 星名 真幸、八木 誠 |
特許庁審判長 |
野村 亨 |
特許庁審判官 |
佐々木 一浩 千葉 成就 |
発明の名称 | プログラマブル・コントローラ |
代理人 | 飯塚 信市 |