ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 特29条特許要件(新規) 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F |
---|---|
管理番号 | 1223363 |
審判番号 | 不服2008-2069 |
総通号数 | 131 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-11-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-01-25 |
確定日 | 2010-09-08 |
事件の表示 | 特願2004-118758「評価装置、クラスタ生成装置、プログラム、記録媒体、評価方法、及びクラスタ生成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年10月27日出願公開、特開2005-301786〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成16年4月14日の出願であって、平成19年10月31日付けで手続補正がなされ、平成19年11月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成20年1月25日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成20年1月25日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成20年1月25日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1)本件補正についての請求人の主張 平成20年1月25日付けの審判請求書において、請求人は、同日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)について、以下のとおり主張している。 「出願人は、平成20年01月25日付の手続補正書により、上記の拒絶理由通知に対する以下の補正を行った。 ・請求項1 補正前の請求項1に補正前の請求項2の記載内容を加え、更に段落0038-0042の記載に基づいて補正した。これに伴い、請求項2は削除した。 (中略) ・請求項2 補正前の請求項3に対して請求項1と同様の補正を行い、請求項2とした。 ・請求項3 補正前の請求項4の請求項番号を付け替えた。 ・請求項4 補正前の請求項8を、段落0030および0055の記載に基づいて補正し、以下の請求項4とした。 (中略) ・請求項5-6 補正前の請求項6-7を、上記請求項4に従属させた。 以上に示した補正は、出願当初の明細書に基づくものであり、新規事項を追加するものではない。」 (2)補正前の各請求項に係る本件補正の内容について 補正前及び補正後の特許請求の範囲の記載、並びに上記主張からみて、補正前の各請求項に係る本件補正の内容は以下のとおりのものと認められる。 本件補正により、補正前の請求項1は、 「複数の要素の何れかを選択して生成したクラスタについて、そのクラスタに含まれるメンバ要素の選択の確信度を示す自己コンフィデンス値をコンピュータにより算出する評価装置であって、 互いに関連の強さが定められた複数の要素を格納するデータベースと、 前記データベースのうち予め定められた基準要素について、当該基準要素との関連がより強い基準個数の要素の集合である隣接要素集合を、前記コンピュータのCPUの制御により前記データベースから選択して、評価対象のクラスタとする評価対象クラスタ選択部と、 前記評価対象のクラスタに含まれる各々のメンバ要素について、当該メンバ要素との関連がより強い前記基準個数の要素の集合である隣接要素集合を、前記CPUの制御により前記データベースから選択する隣接要素集合選択部と、 前記評価対象のクラスタから選択可能な2つのメンバ要素の組み合わせについて、当該組み合わせの一方のメンバ要素の隣接要素集合及び他方のメンバ要素の隣接要素集合に共通して含まれる要素の数の、前記基準個数に対する割合を前記CPUの制御により算出し、全てのメンバ要素の組み合わせについての当該割合の合計に基づく値を前記CPUの制御により算出して前記自己コンフィデンス値として出力するコンフィデンス値算出部と を備え、 前記コンフィデンス値算出部は、 前記基準要素以外の各要素uについて当該要素uが選択された回数S(u)を0とし、 前記基準要素との関係がより強い前記基準個数の要素のそれぞれを順次中継要素として、当該中継要素との関係がより強い前記基準個数の要素のそれぞれを順次要素uとして選択する繰り返し処理を行い、前記繰り返し処理のそれぞれにおいて、要素uが既に選択された回数S(u)を集計しつつ回数S(u)をインクリメントしていくことにより、要素uに達するために選択可能な全ての中継要素のうち2つの中継要素の組み合わせの総数の合計を算出し、当該合計に基づく値を前記自己コンフィデンス値として出力する 評価装置。」 と補正され、補正後の請求項1とされた。 また、本件補正により、補正前の請求項2は削除された。 また、本件補正により、補正前の請求項3は、 「互いに関連の強さが定められた複数の要素からコンピュータにより何れかを選択してクラスタを生成するクラスタ生成装置であって、 互いに関連の強さが定められた複数の要素を格納するデータベースと、 前記データベースのうち予め定められた基準要素について、当該基準要素との関係がより強い基準個数の要素の集合である隣接要素集合を、前記コンピュータのCPUの制御により前記データベースから選択して、評価対象のクラスタとする評価対象クラスタ選択部と、 前記クラスタに含まれる各々のメンバ要素について、当該メンバ要素との関連がより強い前記基準個数の要素の集合である隣接要素集合を、前記CPUの制御により前記データベースから選択する隣接要素集合選択部と、 前記クラスタから選択可能な2つのメンバ要素の組の各々について、当該組の一方のメンバ要素の隣接要素集合及び他方のメンバ要素の隣接要素集合に共通して含まれる要素の数の、前記基準個数に対する割合を前記CPUの制御により算出し、全ての組について算出した当該割合の合計に基づく値を前記CPUの制御により算出して自己コンフィデンス値として出力するコンフィデンス値算出部と、 前記自己コンフィデンス値が予め定められた基準値より大きい場合に、前記CPUの制御により、評価対象の前記クラスタを、生成すべきクラスタと判断する要素クラスタ生成部と を備え、 前記コンフィデンス値算出部は、 前記基準要素以外の各要素uについて当該要素uが選択された回数S(u)を0とし、 前記基準要素との関係がより強い前記基準個数の要素のそれぞれを順次中継要素として、当該中継要素との関係がより強い前記基準個数の要素のそれぞれを順次要素uとして選択する繰り返し処理を行い、前記繰り返し処理のそれぞれにおいて、要素uが既に選択された回数S(u)を集計しつつ回数S(u)をインクリメントしていくことにより、要素uに達するために選択可能な全ての中継要素のうち2つの中継要素の組み合わせの総数の合計を算出し、当該合計に基づく値を前記自己コンフィデンス値として出力する クラスタ生成装置。」 と補正され、補正後の請求項2とされた。 また、本件補正により、補正前の請求項3を引用する補正前の請求項4は、補正後の請求項2を引用する補正後の請求項3とされた。 また、本件補正により、補正前の請求項8は、 「互いに関連の強さが定められた複数の要素からコンピュータにより何れかを選択してクラスタを生成するクラスタ生成装置であって、 互いに関連の強さが定められた複数の要素を格納するデータベースと、 前記データベースのうち予め定められた基準要素との関係がより強い予め定められた基準個数の要素の集合である隣接要素集合を、前記コンピュータのCPUの制御により前記データベースから選択して、評価対象のクラスタとする評価対象クラスタ選択部と、 前記クラスタに含まれる各々のメンバ要素について、当該メンバ要素との関連がより強い前記基準個数の要素の集合である隣接要素集合を、前記CPUの制御により前記データベースから選択する隣接要素集合選択部と、 前記隣接要素集合選択部により選択された前記隣接要素集合に基づいて、当該クラスタに含まれるメンバ要素の選択の確信度を示す自己コンフィデンス値を前記CPUの制御により算出するコンフィデンス値算出部と、 前記隣接要素集合選択部が、前記隣接要素集合に代えて、前記複数の要素から無作為に前記基準個数の要素の集合を選択したと仮定した場合における、前記コンフィデンス値算出部により算出される自己コンフィデンス値の理論値を前記CPUの制御により算出する理論値算出部と、 自己コンフィデンス値の前記理論値に対する自己コンフィデンス値のカイ2乗検定値を、前記CPUの制御により算出して評価値として出力する評価値算出部と、 前記CPUの制御により、前記基準個数を予め定められた範囲で変化させて、前記評価対象クラスタ選択部により前記基準個数の要素の集合である前記隣接要素集合を前記評価対象のクラスタとする繰り返し処理を行い、繰り返し処理のそれぞれについて、前記評価対象のクラスタについての前記評価値を前記評価値算出部により算出させていき、算出させた当該評価値を最大にするクラスタを選択して生成する要素クラスタ生成部と を備えるクラスタ生成装置。」 と補正され、補正後の請求項4とされた。 また、本件補正により、補正前の請求項5は削除された。 また、本件補正により、補正前の請求項5を引用する補正前の請求項6は、 「前記コンフィデンス値算出部は、複数の前記メンバ要素の各々について、前記クラスタに含まれる要素のうち当該メンバ要素の隣接要素集合に含まれる要素の割合を算出し、各メンバ要素について算出した前記割合の合計に基づく値を前記自己コンフィデンス値として出力する 請求項4記載のクラスタ生成装置。」 と補正され、補正後の請求項4を引用する補正後の請求項5とされた。 また、本件補正により、補正前の請求項5を引用する補正前の請求項7は、 「前記コンフィデンス値算出部は、複数の前記メンバ要素の各々について、前記クラスタに含まれる要素のうち当該メンバ要素の隣接要素集合に含まれる要素の割合を算出し、各メンバ要素について算出した前記割合の合計に基づく値を前記自己コンフィデンス値として出力する 請求項4記載のクラスタ生成装置。」 と補正され、補正後の請求項4を引用する補正後の請求項6とされた。 (3)補正の目的について 補正後の請求項5に係る本件補正は、補正後の請求項5が引用する補正後の請求項4が補正前の請求項8を補正したものであることを考慮すると、補正前の請求項5を引用する補正前の請求項6に記載された事項に「前記CPUの制御により、前記基準個数を予め定められた範囲で変化させて、前記評価対象クラスタ選択部により前記基準個数の要素の集合である前記隣接要素集合を前記評価対象のクラスタとする繰り返し処理を行い、繰り返し処理のそれぞれについて、前記評価対象のクラスタについての前記評価値を前記評価値算出部により算出させていき、算出させた当該評価値を最大にするクラスタを選択して生成する要素クラスタ生成部」との事項を追加して、「評価装置」を「クラスタ生成装置」に変更する補正事項を含むものである。 そして、「前記CPUの制御により、前記基準個数を予め定められた範囲で変化させて、前記評価対象クラスタ選択部により前記基準個数の要素の集合である前記隣接要素集合を前記評価対象のクラスタとする繰り返し処理を行い、繰り返し処理のそれぞれについて、前記評価対象のクラスタについての前記評価値を前記評価値算出部により算出させていき、算出させた当該評価値を最大にするクラスタを選択して生成する要素クラスタ生成部」は、補正前の請求項5及び請求項6に記載された各部の下位概念とは認められず、同位の概念と認められるので、補正前の請求項5を引用した補正前の請求項6を限定的に限縮するものとは認められない。 したがって、補正後の請求項5に係る本件補正は特許法第17条の2の第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の限縮を目的としたものには該当しない。 また、補正後の請求項5に係る本件補正が、特許法第17条の2第4項第1号に掲げられた「請求項の削除」を目的とするものにも、同項第3号に掲げられた「誤記の訂正」を目的とするものにも、同項第4号に掲げられた「明りょうでない記載の釈明」を目的とするものにも該当しないことは明らかである。 したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明 以上のとおり、本件補正は同日付けで却下されたので、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成19年10月31日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された通りの以下のものである。 「複数の要素の何れかを選択して生成したクラスタについて、そのクラスタに含まれるメンバ要素の選択の確信度を示す自己コンフィデンス値をコンピュータにより算出する評価装置であって、 互いに関連の強さが定められた複数の要素を格納するデータベースと、 前記データベースのうち予め定められた基準要素について、当該基準要素との関連がより強い基準個数の要素の集合である隣接要素集合を、前記コンピュータのCPUの制御により前記データベースから選択して、評価対象のクラスタとする評価対象クラスタ選択部と、 前記評価対象のクラスタに含まれる各々のメンバ要素について、当該メンバ要素との関連がより強い前記基準個数の要素の集合である隣接要素集合を、前記CPUの制御により前記データベースから選択する隣接要素集合選択部と、 前記評価対象のクラスタから選択可能な2つのメンバ要素の組み合わせについて、当該組み合わせの一方のメンバ要素の隣接要素集合及び他方のメンバ要素の隣接要素集合に共通して含まれる要素の数の、前記基準個数に対する割合を前記CPUの制御により算出し、全てのメンバ要素の組み合わせについての当該割合の合計に基づく値を前記CPUの制御により算出して前記自己コンフィデンス値として出力するコンフィデンス値算出部と を備える評価装置。」 4.原査定の拒絶の理由の概要について 原査定の拒絶の理由の概要は、平成19年8月8日付けの拒絶理由通知書に記載されたとおりの以下のものである。 「この出願の下記の請求項に係る発明は、下記の点で特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないので、特許を受けることができない。 記 ・請求項1?16 ・備考 請求項1?16に係る発明は、計算の内容に特徴があるだけで、ソフトウエアとハードウエア資源とが協働した具体的手段によって、使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の情報処理装置又はその動作方法が構築されるものとなっていないから、これらの請求項に係る発明は自然法則を利用した技術的思想の創作である発明には該当しない。」 5.請求人の主張 審判請求人は、平成19年10月31日付けの意見書において、以下の事項を主張している。 「3.本願発明が特許されるべき理由 以上の補正により、補正後の請求項1?15に係る発明は、CPUなどのハードウェア資源がソフトウェアと協働した具体的手段によって、相互に関連が密接な要素のクラスタを精度良く生成するという使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、クラスタ生成装置又はクラスタ生成方法といった、使用目的に応じた特有の情報処理装置又は動作方法を構築するものとなった。 従って、補正後の請求項1-15に記載した事項は、自然法則を利用した技術的思想の創作たる発明であるから、本願発明は特許法第29条第1項柱書に違反するものではない。」 なお、審判請求書においても、上記拒絶の理由に対して主張をしているが、審判請求書における主張は同日付けで却下された手続補正により補正された特許請求の範囲の記載に基づく主張であるので、検討の対象とすることはできない。 6.当審の判断 発明の詳細な説明の記載からみて、本願発明は実質的にコンピュータで構成されており、その発明の実施にソフトウエアを必要とする、いわゆるコンピュータ・ソフトウエア関連発明である。 そして、コンピュータ・ソフトウエア関連発明が「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるためには、発明はそもそもが一定の技術的問題の解決手段になっていなければならないことから、ソフトウエアとハードウエア資源とが協働した具体的手段によって、使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の情報処理装置が構築されるものとなっていることが具体的に提示されている必要がある。 そこで、請求項1の記載を便宜上、以下のとおりに分けて、ソフトウエアとハードウエア資源とが協働した具体的手段によって、使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の情報処理装置が構築されるものとなっているかどうか以下に検討する。 (a)「複数の要素の何れかを選択して生成したクラスタについて、そのクラスタに含まれるメンバ要素の選択の確信度を示す自己コンフィデンス値をコンピュータにより算出する評価装置であって、」 (b)「互いに関連の強さが定められた複数の要素を格納するデータベースと、」 (c)「前記データベースのうち予め定められた基準要素について、当該基準要素との関連がより強い基準個数の要素の集合である隣接要素集合を、前記コンピュータのCPUの制御により前記データベースから選択して、評価対象のクラスタとする評価対象クラスタ選択部と、」 (d)「前記評価対象のクラスタに含まれる各々のメンバ要素について、当該メンバ要素との関連がより強い前記基準個数の要素の集合である隣接要素集合を、前記CPUの制御により前記データベースから選択する隣接要素集合選択部と、」 (e)「前記評価対象のクラスタから選択可能な2つのメンバ要素の組み合わせについて、当該組み合わせの一方のメンバ要素の隣接要素集合及び他方のメンバ要素の隣接要素集合に共通して含まれる要素の数の、前記基準個数に対する割合を前記CPUの制御により算出し、全てのメンバ要素の組み合わせについての当該割合の合計に基づく値を前記CPUの制御により算出して前記自己コンフィデンス値として出力するコンフィデンス値算出部と」 (f)「を備える評価装置。」 上記(a)の記載について検討すると、上記(a)には、評価装置が備えるハードウエア資源として「コンピュータ」が記載されているものの、「コンピュータ」に関する記載は、処理動作の主体を「コンピュータ」に特定するにすぎず、また、どのように情報処理して、複数の要素の何れかを選択して生成したクラスタについて、そのクラスタに含まれるメンバ要素の選択の確信度を示す自己コンフィデンス値を算出するのか具体的に記載されていないので、上記(a)の記載は、評価装置の機能の概要を「複数の要素の何れかを選択して生成したクラスタについて、そのクラスタに含まれるメンバ要素の選択の確信度を示す自己コンフィデンス値をコンピュータにより算出する」ことに特定するに留まり、当該機能がハードウェア資源がどのように用いられて実現されるのか具体的に記載されておらず、また、上記(a)の記載から自明な事項とは認められない。 上記(b)の記載について検討すると、上記(b)の記載は、評価装置が備えるハードウエア資源を「互いに関連の強さが定められた複数の要素を格納するデータベース」に特定するに留まり、上記(b)には具体的な情報処理が記載されていない。 上記(c)の記載について検討すると、上記(c)には、評価装置が備えるハードウエア資源として「データベース」及び「コンピュータのCPU」が記載されているものの、「データベース」に関する記載は、選択される要素の格納場所を特定するにすぎず、「コンピュータのCPU」に関する記載は、制御の主体を「コンピュータのCPU」に特定するにすぎず、また、コンピュータのCPUがデータベースに格納された互いに関連の強さが定められた複数の要素のどのような情報をどのように情報処理して制御を行うことにより、評価対象のクラスタに含まれる各々のメンバ要素について、当該メンバ要素との関連がより強い前記基準個数の要素の集合である隣接要素集合をデータベースから選択するのか具体的に記載されていないので、上記(c)の記載は、評価装置の機能を「前記データベースのうち予め定められた基準要素について、当該基準要素との関連がより強い基準個数の要素の集合である隣接要素集合を、前記コンピュータのCPUの制御により前記データベースから選択して、評価対象のクラスタとする」ことに特定するに留まり、当該機能がハードウェア資源がどのように用いられて実現されるのか具体的に記載されておらず、また、上記(c)の記載から自明な事項とは認められない。 上記(d)の記載について検討すると、上記(d)には、評価装置が備えるハードウエア資源として「データベース」及び「CPU」が記載されているものの、「データベース」に関する記載は、選択される要素の格納場所を特定するにすぎず、「CPU」に関する記載は、制御の主体を「CPU」に特定するにすぎず、また、「CPU」がデータベースに格納された互いに関連の強さが定められた複数の要素のどのような情報をどのように情報処理して制御を行うことにより、評価対象のクラスタに含まれる各々のメンバ要素について、当該メンバ要素との関連がより強い前記基準個数の要素の集合である隣接要素集合をデータベースから選択するのか具体的に記載されていないので、上記(d)の記載は、評価装置の機能を「前記評価対象のクラスタに含まれる各々のメンバ要素について、当該メンバ要素との関連がより強い前記基準個数の要素の集合である隣接要素集合を、前記CPUの制御により前記データベースから選択する」ことに特定するに留まり、当該機能がハードウェア資源がどのように用いられて実現されるのか具体的に記載されておらず、また、上記(d)の記載から自明な事項とは認められない。 上記(e)の記載について検討すると、上記(e)には、評価装置が備えるハードウエア資源として「CPU」が記載されているものの、「CPU」に関する記載は、制御の主体を「CPU」に特定するにすぎず、また、「CPU」がデータベースに格納された互いに関連の強さが定められた複数の要素のどのような情報をどのように情報処理して制御を行うことにより、評価対象のクラスタから選択可能な2つのメンバ要素の組み合わせについて、当該組み合わせの一方のメンバ要素の隣接要素集合及び他方のメンバ要素の隣接要素集合に共通して含まれる要素の数を計算し、当該要素の数の基準個数に対する割合を算出し、全てのメンバ要素の組み合わせについての当該割合の合計に基づく値を算出して前記自己コンフィデンス値として出力するのか具体的に記載されていないので、上記(e)の記載は、評価装置の機能を「前記評価対象のクラスタから選択可能な2つのメンバ要素の組み合わせについて、当該組み合わせの一方のメンバ要素の隣接要素集合及び他方のメンバ要素の隣接要素集合に共通して含まれる要素の数の、前記基準個数に対する割合を前記CPUの制御により算出し、全てのメンバ要素の組み合わせについての当該割合の合計に基づく値を前記CPUの制御により算出して前記自己コンフィデンス値として出力する」ことに特定するに留まり、当該機能がハードウェア資源がどのように用いられて実現されるのか具体的に記載されておらず、また、上記(e)の記載から自明な事項とは認められない。 上記(f)の記載について検討すると、上記(f)は、評価装置が上記(b)?(e)に示された各部を備えることを特定するに留まり、上記(f)には、具体的な情報処理が記載されているとは認められない。 全体としても、評価装置が備えるハードウエア資源として「データベース」及び「コンピュータのCPU」が記載されているものの、「データベース」に関する記載は、要素の格納場所を特定するにすぎず、「コンピュータのCPU」に関する記載は、制御の主体を特定するにすぎず、また、コンピュータのCPUがデータベースに格納された互いに関連の強さが定められた複数の要素のどのような情報をどのように情報処理をして各制御を行っているのか具体的に記載されていないので、上記評価装置及びその各部に関する記載は、評価装置の機能をそれぞれ特定するに留まり、各機能が、ハードウェア資源がどのように用いられて実現されるのか具体的に記載されておらず、また、請求項1の記載から自明な事項とも認められない。 以上の検討によれば、請求項1の記載では、コンピュータが実行する処理が、ハードウエア資源を利用したソフトウエアによる情報処理によって、どのように実現されるのか、という点に関しては、何ら具体的に記載されておらず、かつ、それぞれの処理の具体的内容が、請求項1の記載から当業者にとって自明であると認められるものではないから、本願発明は、ソフトウエアとハードウエア資源とが協働した具体的手段によって、使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の情報処理装置が構築されるものとなっているとはいえないから、請求人の上記主張を採用することはできず、本願発明は、特許法第2条でいう特許法上の「発明」である「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当しない。 7.むすび 本願発明は、特許法第2条でいう特許法上の「発明」である「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当しないので、特許法第29条第1項柱書の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-04-01 |
結審通知日 | 2010-04-06 |
審決日 | 2010-04-19 |
出願番号 | 特願2004-118758(P2004-118758) |
審決分類 |
P
1
8・
1-
Z
(G06F)
P 1 8・ 572- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山下 達也 |
特許庁審判長 |
赤穂 隆雄 |
特許庁審判官 |
小林 義晴 須田 勝巳 |
発明の名称 | 評価装置、クラスタ生成装置、プログラム、記録媒体、評価方法、及びクラスタ生成方法 |
代理人 | 坂口 博 |
代理人 | 上野 剛史 |
復代理人 | 明石 英也 |
復代理人 | 龍華 明裕 |
代理人 | 市位 嘉宏 |
代理人 | 太佐 種一 |