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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 F16M
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 F16M
審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 F16M
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16M
管理番号 1224033
審判番号 不服2009-19128  
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-10-07 
確定日 2010-09-22 
事件の表示 特願2004-521775号「隔離プラットホーム」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 1月22日国際公開、WO2004/007871、平成17年12月15日国内公表、特表2005-538314号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2003年(平成15年) 7月15日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2002年(平成14年) 7月15日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、原審において、平成20年 9月 9日付けの拒絶の理由により平成21年 6月 1日付けで拒絶査定がなされ、これを不服として同年10月 7日付けで本件審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正(前置補正)がなされたものである。

2.平成21年10月 7日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成21年10月 7日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
平成21年10月 7日付けの手続補正(以下「本件手続補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は以下のように補正された。
「【請求項1】
隔離プラットホームであって、
2以上の平らで平面状の第1のプレートセグメントを有し、これらの第1のプレートセグメントの各々は、第1の側部及びこの第1の側部の反対側に位置する第2の側部を備え、上記第1の側部は、少なくとも2つの上向きの凹部を備え、これらの上向きの凹部は、放射状で且つ直線状の支承面を備え、
上記隔離プラットホームは、2以上の平らで平面状の第2のプレートセグメントを更に有し、これらの第2のプレートセグメントの各々は、第1の側部及びこの第1の側部の反対側に位置する第2の側部を備え、この第2の側部は、少なくとも2つの下向きの凹部を備え、これらの下向きの凹部は、放射状で且つ直線状の支承面を備え、
上記隔離プラットホームは、上記2以上の第1のプレートセグメントを連結する2以上の横方向に取り付けられる第1の連結部材と、上記2以上の第2のプレートセグメントを連結する2以上の横方向に取り付けられる第2の連結部材と、を更に有し、上記第1の連結部材及び上記第2の連結部材は、互いに平行であり、
上記2以上の第1のプレートセグメントは、上記2以上の第2のプレートセグメントに対向しており、上記第1のプレートセグメントと上記第2のプレートセグメントの各々の間に形成される上記上向きの凹部と上記下向きの凹部は、少なくとも2つのキャビティを構成し、これらキャビティの各々は、少なくとも1つの剛性ボールを備え、
上記2以上の第1のプレートセグメントは、外部振動に応答して、上記2以上の第2のプレートセグメントに対して横方向に配置され、これらの第1のプレートセグメントと第2のプレートセグメントとの間にある上記剛性ボールは、上記第1のプレートセグメントの上記上向きの凹部の支承面と上記第2のプレートセグメントの上記下向きの凹部の支承面を転動することにより、上記剛性ボール及び/又は上記支承面がより高い所定の高さ位置まで上昇するように構成されていることを特徴とする隔離プラットホーム。」
(以下「本願補正発明」という。)

(2)補正の適否
本件手続補正は、「支承面」に関して補正前の請求項1に記載された「上記下向き及び上向き支承面は、上記球形ボールと同一の曲率を持つ中央頂点を有すると共に上記球形ボールと同一の曲率を持つ凹部周囲を有し、上記下向き及び上向き支承面は、上記中央頂点と凹部周囲を連続した勾配で連結し、上記球形ボール並びに上記下向き及び上向き支承面の曲率は更に、上記球形ボール並びに上側及び下側プレートが互いに対して横方向に変位すると、復元力が実質的に一定となり、上記上側プレート及び下側プレートの垂直方向変位がほぼゼロになるよう構成されており」という「支承面」に関する主要な発明特定事項を削除するとともに、「保持機構」に関して補正前の請求項1に記載された「上記下側プレートと上記上側プレートを互いに固定する」及び「上記上側プレートと上記下側プレートとを分離させずに上記上側プレートと上記下側プレートとの間の横方向の変位を可能にする」という発明特定事項を削除し、さらに「保持機構」という発明特定事項そのものを削除するものである。
してみると、当該補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮に該当しないことが明らかであり、同条第4項第1号(請求項の削除)、第3号(誤記の訂正)、第4号(明りょうでない記載の釈明)のいずれにも該当しない。

(3)むすび
以上のとおり、本件手続補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。


3.本願発明について
(1)本願発明
平成21年10月 7日付けの手続補正は上記のとおり却下されているので、本願の請求項に係る発明は、平成20年12月15日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1乃至9に記載された事項により特定されるものと認められるが、そのうちの請求項1に係る発明は、次のとおりである。
「【請求項1】
支持されるべき構造体の隔離プラットホームであって、
支持されるべき構造体が載せられる上側プレートを有し、上記上側プレートは、複数の下向きの円錐形剛性支承面を有し、
基礎に固定された下側プレートを有し、上記基礎は、隔離プラットホーム及び支持されるべき構造体を支持し、上記下側プレートは、上記下向きの円錐形剛性支承面と反対側に位置する複数の上向きの円錐形剛性支承面を有し、上記下向き及び上向き支承面は上記上側プレートと下側プレートとの間に複数の支承キャビティを構成し、
上記下向き支承面と上向き支承面との間に設けられた複数の剛性球形ボールを有し、
上記下向き及び上向き支承面は、上記球形ボールと同一の曲率を持つ中央頂点を有すると共に上記球形ボールと同一の曲率を持つ凹部周囲を有し、上記下向き及び上向き支承面は、上記中央頂点と凹部周囲を連続した勾配で連結し、上記球形ボール並びに上記下向き及び上向き支承面の曲率は更に、上記球形ボール並びに上側及び下側プレートが互いに対して横方向に変位すると、復元力が実質的に一定となり、上記上側プレート及び下側プレートの垂直方向変位がほぼゼロになるよう構成されており、
上記下側プレートと上記上側プレートを互いに固定する保持機構を有し、上記上側プレートと上記下側プレートとを分離させずに上記上側プレートと上記下側プレートとの間の横方向の変位を可能にすることを特徴とする隔離プラットホーム。」
(以下「本願発明」という。)

(2)引用例とその記載事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本件特許出願の優先権主張日前である平成 9年 8月 5日に頒布された刊行物である、特表平9-507701号公報(以下「引用例」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)「【特許請求の範囲】
1.第1の下向きの剛性表面を含む、支持される建築物に固定される上側ロードプレートと、
該第1の表面に対向して設けられてその間にベアリングキャビティを規定する第2の上向きの剛性ベアリング表面を含む、該建築物を支持する基礎に固定される第2のロードプレートと、
該第1及び第2の表面の間に挟持された剛性ボールと、
を備える、地震アイソレーションベアリングアセンブリ。」(第2頁第1-8行)
(イ)「本発明は、一般的に、建物、橋、及びその他の建築物の支持に用いられるアイソレーションベアリングに関する。より詳細には、本発明は、地震及びその他の地震性活動において有効な復原能力を有する地震アイソレーションベアリングに関する。」(第4頁第4-7行)
(ウ)「図1を参照すると、例示的なアイソレーションベアリングアセンブリ10は、上側ロードプレート11Aと、下側ロードプレート11Bと、構成されたアンカーボルト14を受容するように構成されたそれぞれのアンカーボルト孔13と、プレート11Aと11Bとの間の領域に受容されるように構成されたボール12と、を適切に備えている。
各々のプレート11は、例えば円形の縁や肩部などの凹部周辺部16によって境界づけられる凹部15を、適切に備えている。」(第7頁第19-25行)
(エ)「次に図2を参照すると、デュアルキャビティベアリング20は、上側ロードプレート21Aと下側ロードプレート21Bとを適切に備えている。これらのプレートは、頂点25によって特徴づけられる二つの凹状円錐23を、各々有している。ボール24は、キャビティ内領域に各々配置されている。本発明の好ましい実施態様によると、例えばゴムガスケット或いは発泡ガスケットである適切なガスケット22が、2つのプレートのうちの一つ或いは両方に接着(例えば、接着剤によって接着)され得る。ガスケットは、粉塵やその他の破片がキャビティ内領域に入るのを防ぐ。」(第8頁第19-26行)
(オ)「次に図3を参照すると、4つの円錐を有するシステム40は、各々のロードプレート21と、各々の円錐23と、各々のアンカーボルト孔26とを、適切に備えている。このような複数の円錐を用いる実施態様においては、片側にある2つの隣接するボール(簡単のために不図示)が、回転ベアリング応力が与えられている間に過負荷をかけられる傾向にあることが予期される。
複数の円錐を用いる実施態様のさらなる局面によると、本発明の発明者は、ベアリングシステムの支持力が、用いられるボール/円錐の組み合わせの数の倍数として増大することを観察した。例えば、同一材料及び同一寸法について、2つの円錐を用いる構成(図2)の支持力は、単一の円錐を用いる構成の支持力の適切に2倍の強さであり、4つの円錐を用いる構成(図3)の支持力は、単一の円錐を用いる構成の支持力の適切に4倍の強さである。」(第8頁第27行-第9頁第9行)
(カ)「次に図4を参照すると、表面15の半円錐形部分の基本的幾何学的構成が示されている。
標準位置では、ボール12は、円錐の頂点25に対応する点Cに適切に存在する。この位置において、(半径rを有する)ボール12と表面15との間の接触半径は距離aとして示され、弧αによって特徴づけられる。横方向の力がベアリングに加えられると、ボール12は、初期静止位置Jから、図4において最大変位位置として示される変位位置Kに移動する。最大変位位置において、ボール12と下側ロードプレートとの間の接触半径は、点Bから凹部周辺部上の点Dまで延びる。この動作の間に、水平方向の距離Iを移動するに従って、ボール12は距離hだけ上昇する。図4に示される実施態様において、点Aと点Bとの間の表面15の傾きは、適切に一定である。すなわち、表面15の高さは、頂点25からの半径方向の距離の一次関数である。従って、底面に対する傾きの第1次導関数は一定であり、実質的に一定の復原力が得られる。言い換えると、あらゆる変位に対する復原力は、変位の程度から適切に独立している。」(第9頁第13-26行)
(キ)「次に、図9を参照すると、対向配置されたロードプレート21のうちの一つ以上に、アコーディオン型のゴムリング27が接着剤によって適切に接着され得る。このようなゴムリングは、水、粉塵、破片、鳥及び虫がキャビティ内領域に入ることを有利に防止する。」(第11頁第12-15行)

上記記載事項においては、「剛性表面」、「剛性ベアリング表面」、「凹部15」、「凹状円錐23」、「円錐」なる構成が記載されているが、これらは実質的に同じものであるので、用語を統一して「凹状円錐の表面」と称することとする。
同様に、「ベアリングキャビティ」、「キャビティ」は「ベアリングキャビティ」と称し、「剛性ボール」、「ボール」は「剛性ボール」と称することとする。
次に、上記記載事項(カ)及び図4からみて、頂点25付近における表面15とボール12とが距離a(円弧CA)をもって接触しているのだから、頂点25付近における表面15の曲率とボール12の曲率が同一であることは明らかであるし、同様に、凹部周辺部上の点D付近における表面15とボール12とが距離(円弧BD)をもって接触しているのだから、凹部周辺部上の点D付近における表面15の曲率とボール12の曲率も同一であることが明らかである。
また、「点Aと点Bとの間の表面15の傾きは、適切に一定である」のだから、頂点25付近における表面15と凹部周辺部上の点D付近における表面15は、連続した勾配で連結されていることが明らかである。
さらに、横方向の力がベアリングに加えられると、ボール12並びに上側及び下側ロードプレートが互いに対して横方向に変位し、ボール12は距離hだけ上昇した後、実質的に一定の復原力によって標準位置である頂点25に戻る、すなわち復元力が実質的に一定となり上側及び下側ロードプレートの垂直方向変位がほぼゼロになるよう構成されていることは明らかである。
また、上記記載事項(エ)、(キ)及び図9からみて、アコーディオン型のゴムリング27は、下側ロードプレートと上側ロードプレートの両方に接着されていなければ水等の侵入を防止できないことは明らかであるし、ガスケットもアコーディオン型のゴムリングも、上側ロードプレートと下側ロードプレートとの間の横方向の変位を可能にしていることは、地震アイソレーションベアリングアセンブリの機能・動作からみて自明である。

してみると、上記記載事項や図面の記載等から引用例には、
「支持される建築物の地震アイソレーションベアリングアセンブリであって、
支持される建築物に固定される上側ロードプレートを有し、上記上側ロードプレートは、複数の下向きの凹状円錐の表面を有し、
基礎に固定される下側ロードプレートを有し、上記基礎は、地震アイソレーションベアリングアセンブリ及び支持される建築物を支持し、上記下側ロードプレートは、上記下向きの凹状円錐の表面と反対側に位置する複数の上向きの凹状円錐の表面を有し、上記下向き及び上向き凹状円錐の表面は上記上側ロードプレートと下側ロードプレートとの間に複数のベアリングキャビティを構成し、
上記下向き凹状円錐の表面と上向き凹状円錐の表面との間に設けられた複数の剛性ボールを有し、
上記下向き及び上向き凹状円錐の表面は、上記剛性ボールと同一の曲率を持つ頂点を有すると共に上記剛性ボールと同一の曲率を持つ凹部周辺部を有し、上記下向き及び上向き凹状円錐の表面は、上記頂点と凹部周辺部を連続した勾配で連結し、上記剛性ボール並びに上記下向き及び上向き凹状円錐の表面の曲率は更に、上記剛性ボール並びに上側及び下側ロードプレートが互いに対して横方向に変位すると、復元力が実質的に一定となり、上記上側ロードプレート及び下側ロードプレートの垂直方向変位がほぼゼロになるよう構成されており、
上記下側ロードプレートと上記上側ロードプレートに接着されたガスケットやアコーディオン型のゴムリングを有し、上記上側ロードプレートと上記下側ロードプレートとの間の横方向の変位を可能にする地震アイソレーションベアリングアセンブリ。」
の発明(以下「引用発明」という。)が開示されていると認められる。

(3)本願発明と引用発明の対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「支持される建築物」は、本願発明における「支持されるべき構造体」に相当し、以下同様に「地震アイソレーションベアリングアセンブリ」は「隔離プラットホーム」に、「支持される建築物に固定される上側ロードプレート」は「支持されるべき構造体が載せられる上側プレート」に、「凹状円錐の表面」は「円錐形剛性支承面」及び「支承面」に、「基礎に固定される下側ロードプレート」は「基礎に固定された下側プレート」に、「ベアリングキャビティ」は「支承キャビティ」に、「剛性ボール」は「剛性球形ボール」及び「球形ボール」に、「頂点」は「中央頂点」に、「凹部周辺部」は「凹部周囲」にそれぞれ相当する。
また、引用発明の「ガスケットやアコーディオン型のゴムリング」と本願発明の「保持機構」は、「下側プレートと上側プレートに接続された部品であって、上側プレートと下側プレートとの間の横方向の変位を可能にする」ものである限りにおいて共通するものである。
してみると、本願発明と引用発明の一致点、相違点は以下のとおり認定できる。

<一致点>
「支持されるべき構造体の隔離プラットホームであって、
支持されるべき構造体が載せられる上側プレートを有し、上記上側プレートは、複数の下向きの円錐形剛性支承面を有し、
基礎に固定された下側プレートを有し、上記基礎は、隔離プラットホーム及び支持されるべき構造体を支持し、上記下側プレートは、上記下向きの円錐形剛性支承面と反対側に位置する複数の上向きの円錐形剛性支承面を有し、上記下向き及び上向き支承面は上記上側プレートと下側プレートとの間に複数の支承キャビティを構成し、
上記下向き支承面と上向き支承面との間に設けられた複数の剛性球形ボールを有し、
上記下向き及び上向き支承面は、上記球形ボールと同一の曲率を持つ中央頂点を有すると共に上記球形ボールと同一の曲率を持つ凹部周囲を有し、上記下向き及び上向き支承面は、上記中央頂点と凹部周囲を連続した勾配で連結し、上記球形ボール並びに上記下向き及び上向き支承面の曲率は更に、上記球形ボール並びに上側及び下側プレートが互いに対して横方向に変位すると、復元力が実質的に一定となり、上記上側プレート及び下側プレートの垂直方向変位がほぼゼロになるよう構成されており、
上記下側プレートと上記上側プレートに接続された部品を有し、上記上側プレートと上記下側プレートとの間の横方向の変位を可能にすることを特徴とする隔離プラットホーム。」

<相違点>
下側プレートと上側プレートに接続された部品について、本願発明では「上記下側プレートと上記上側プレートを互いに固定する保持機構」であって、「上記上側プレートと上記下側プレートとを分離」させないものであるのに対して、引用発明ではそのような固定・保持の機能について記載されていない点。

そこで、上記相違点について以下に検討する。
まず、本願発明の「保持機構」は、「上記下側プレートと上記上側プレートを互いに固定」し「上記上側プレートと上記下側プレートとを分離」させないものとしているが、その固定強度は特定されておらず、大地震のような大きな力でも分離されない強度から、搬送や設置時等の作業時の利便性のために分離されない程度の強度までの広い範囲の強度を含むものである。
その上で、引用発明の「ガスケットやアコーディオン型のゴムリング」についてさらに詳細にみると、下側ロードプレートと上側ロードプレートの両方に接着されているのだから、接着強度及びガスケットやアコーディオン型のゴムリングの強度の範囲内ではあるにせよ、下側プレートと上側プレートを互いにある程度固定し、分離させないようにする機能を有していること、すなわち本願発明でいうところの保持機構の機能を有していることは明らかである。

仮にそうでないとしても、部品のセットが分離しないように、例えば可動範囲より若干長いワイヤーで連結する等の技術でもって保持することは、機械設計上きわめて一般的に行われているものであり、引用発明において下側ロードプレートと上側ロードプレートを一般的な保持機構で分離しないようにすることは、必要に応じて当業者が容易になし得るものである。

また、本願発明が奏する作用効果も、引用発明から予測される程度以上のものでもない。
したがって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そうすると、このような特許を受けることができない発明を包含する本願は、他の請求項について検討するまでもなく拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。


[付言]
審判請求人は、平成22年 3月 5日付け早期審理に関する事情説明書において、以下に示す請求項1の補正案を提示している。
「[請求項1]
それぞれ平らな矩形状の第1上セグメント、第3上セグメント、第2上セグメント、および第4上セグメントと、それぞれ前記第1上セグメント?前記第4上セグメントに上下対応して配置される平らな矩形状の第1下セグメント、第3下セグメント、第2下セグメント、および第4下セグメントとを有する隔離プラットホームであって、
前記第1上セグメント?前記第4上セグメントは、1つの大きな上仮想矩形の4隅に位置し、
前記第1下セグメント?前記第4下セグメントは、1つの大きな下仮想矩形の4隅に位置し、
前記第1上セグメント?前記第4上セグメントはそれぞれ下向きに開口する下向凹部を有し、前記第1下セグメント?前記第4下セグメントはそれぞれ上向きに開口する上向凹部を有し、それぞれ前記下向凹部と前記上向凹部の間には剛性ボール(50)が収容され、それぞれ前記剛性ボール(50)は前記上向凹部の上向支承面に対して前記下向凹部の下向支承面が横方向に移動するのを許容するように前記上向支承面に対して前記下向支承面を支承し、
前記第1上セグメントと前記第3上セグメントの互いに向い合う辺同士は、互いに平行で且つ互いに連結され、
前記第2上セグメントと前記第4上セグメントの互いに向い合う辺同士は、互いに平行で且つ互いに連結され、
前記第1上セグメントと前記第2上セグメントの互いに向い合う辺同士は、互いに平行で且つ互いに離間し、よって前記第1上セグメントと前記第2上セグメントの間に隙間領域(90)が存在し、
前記第3上セグメントと前記第4上セグメントの互いに向い合う辺同士は、互いに平行で且つ互いに離間し、よって前記第3上セグメントと前記第4上セグメントの間に隙間領域(90)が存在し、
前記第1上セグメントと前記第2上セグメントは、前記上仮想矩形の1辺に位置する第1連結部材(80)によって互いに連結され、 前記第3上セグメントと前記第4上セグメントは、前記上仮想矩形の前記1辺に平行な第3辺に位置する第3連結部材(80)によって互いに連結され、
前記第1下セグメントと前記第3下セグメントの互いに向い合う辺同士は、互いに平行で且つ互いに連結され、
前記第2下セグメントと前記第4下セグメントの互いに向い合う辺同士は、互いに平行で且つ互いに連結され、
前記第1下セグメントと前記第2下セグメントの互いに向い合う辺同士は、互いに平行で且つ互いに離間し、よって前記第1下セグメントと前記第2下セグメントの間に隙間領域(90)が存在し、
前記第3下セグメントと前記第4下セグメントの互いに向い合う辺同士は、互いに平行で且つ互いに離間し、よって前記第3下セグメントと前記第4下セグメントの間に隙間領域(90)が存在し、
前記第1下セグメントと前記第2下セグメントは、前記下仮想矩形の1辺に位置する第2連結部材(80)によって互いに連結され、
前記第3下セグメントと前記第4下セグメントは、前記下仮想矩形の前記第3辺に位置する第4連結部材(80)によって互いに連結されることを特徴とする、隔離プラットホーム。」

上記補正案は、上記「2.平成21年10月 7日付け手続補正についての補正却下の決定」を解消するものでないことは明らかであるし、例えば「仮想矩形」という出願当初の明細書に記載も示唆もされていない事項が記載されており適法な補正でないことも明らかであるから、上記補正案は、進歩性新規性について検討するまでもないものである。
よって、平成22年 3月 5日付け早期審理に関する事情説明書における審判請求人の主張は、採用することができない。
 
審理終結日 2010-04-20 
結審通知日 2010-04-27 
審決日 2010-05-10 
出願番号 特願2004-521775(P2004-521775)
審決分類 P 1 8・ 573- Z (F16M)
P 1 8・ 572- Z (F16M)
P 1 8・ 121- Z (F16M)
P 1 8・ 574- Z (F16M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 金丸 治之岸 智章  
特許庁審判長 川向 和実
特許庁審判官 藤井 昇
横溝 顕範
発明の名称 隔離プラットホーム  
代理人 本田 淳  
代理人 恩田 誠  
代理人 池上 美穂  
代理人 恩田 博宣  
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