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審決分類 |
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G01B 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01B 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01B |
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管理番号 | 1224152 |
審判番号 | 不服2008-10630 |
総通号数 | 131 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-11-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-04-28 |
確定日 | 2010-09-24 |
事件の表示 | 特願2000- 36498「コンクリートの検査方法及び該方法に用いられる測定治具」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 8月24日出願公開、特開2001-227925〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成12年2月15日の出願であって、明細書又は図面について平成19年6月14日付けで補正がなされ(以下、「補正1」という。)、平成20年3月31日付け(送達:同年4月8日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月28日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで明細書又は図面についての手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。 2.本件補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由1]新規事項違反 (1)補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を補正前の 「コンクリート構造物に穿孔部を形成する工程と、 該穿孔部に屈曲自在の屈曲部を含む内視鏡を挿入する工程と、 前記内視鏡から穿孔部内に薬剤を付着させる工程と、 前記内視鏡を通してコンクリートの深さ方向の劣化を観測する工程とを含むコンクリート構造物の検査方法。」から、補正後の 「コンクリート構造物に穿孔部を形成する工程と、 該穿孔部に、屈曲自在の屈曲部を含み、内視鏡からの光をコンクリートに照射し、前記コンクリートからの反射光を内視鏡の像伝達手段へと導入するため移動可能に保持され、かつ前記内視鏡の前端からの距離が変化するミラーと、稼働に保持された測長手段と、薬剤注入手段とが挿通されたパイプを介して観察範囲が可変とされた内視鏡を挿入する工程と、 前記内視鏡から穿孔部内に薬剤を付着させる工程と、 前記内視鏡を通してコンクリートの深さ方向の劣化を観測する工程とを含むコンクリート構造物の検査方法。」に補正する補正事項を含むものである。 (2)判断 そこで、補正後の請求項1の記載のうち、「ミラーと、・・・測長手段と、薬剤注入手段とが挿通されたパイプ」との発明特定事項(以下、「本件補正に係る技術的事項」という。)について検討する。 本件補正に係る技術的事項のうち、「測長手段と、薬剤注入手段とが挿通されたパイプ」については、願書に最初に添付された明細書及び図面(以下、「当初明細書等」という。)に、「パイプ46の内側に内視鏡1と、クラックスケール47と、薬剤注入管48とが挿通されている。」(段落【0054】及び図13)と記載されていることから、当初明細書等に記載の範囲内のものと言える。 他方、ミラーについては、当初明細書等に「パイプ46のコンクリートに挿入される側の端部には、パイプ46の円筒部に可動に取付けられたミラー50が配設されていて、横方向へと内視鏡のライトガイドを通して照射される光をコンクリート面へと照射させると共に、コンクリート面からの反射を、図示しないマイクロイメージング装置へと画像を送ることができるようにされている。このミラー50は、手元の操作により、適切にコンクリート像を観測できるように移動可能とされている。」(段落【0055】)と記載されているように、「ミラーはパイプの端部に配設されている」ものとされており、このことは、円筒形パイプ46の端部にミラー50が配設されていることが見て取れる図13の記載とも合致する。 してみると、当初明細書等のすべての記載を総合しても、「ミラーはパイプの端部に配設されている」ものとはその技術内容が大きく異なる、「ミラーはパイプに挿通されている」、すなわち、「ミラーが挿通されたパイプ」との技術的事項を読み取ることはできないから、本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものと言える。 以上のように本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとは言えないから、特許法第17条の2第3項の規定に違反し、よって、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 [理由2]独立要件違反 (1)本願補正発明 上記[理由1]で説示したように、本件補正に係る技術的事項のうち、ミラーについて見るに、当初明細書等の記載からは、「ミラーが挿通されたパイプ」との技術的事項を読み取ることはできないものの、「端部にミラーが配設されたパイプ」との技術的事項は読み取ることができる。 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明のうち本件補正に係る技術的事項を、明細書の発明の詳細な説明や図面の記載から把握できる実施例に則して解釈して、本件補正を特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認めることとし、本件補正後の発明が独立して特許を受けることができるものであるかどうかについて、以下、検討することとする。 当審が、本件補正後の請求項1に記載の「ミラーが挿通されたパイプ」を「端部にミラーが配設されたパイプ」と読み替えることにより、改めて認定した本件補正後の請求項1に係る発明は、次のとおりである。 「コンクリート構造物に穿孔部を形成する工程と、 該穿孔部に、屈曲自在の屈曲部を含み、内視鏡からの光をコンクリートに照射し、前記コンクリートからの反射光を内視鏡の像伝達手段へと導入するため移動可能に保持され、かつ前記内視鏡の前端からの距離が変化するミラーが端部に配設されると共に、可動に保持された測長手段と、薬剤注入手段とが挿通されたパイプを介して観察範囲が可変とされた内視鏡を挿入する工程と、 前記内視鏡から穿孔部内に薬剤を付着させる工程と、 前記内視鏡を通してコンクリートの深さ方向の劣化を観測する工程とを含むコンクリート構造物の検査方法。」(以下、「本願補正発明」という。) ここで、本件補正後の請求項1に「稼働に保持された」とあるのは、「可動に保持された」の明らかな誤記と認められるから、誤記を訂正した上で上記のとおり認定した。 (2)引用例記載の事項・引用発明 原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開昭61-277774号公報(以下「引用例」という。)には、建造物の診断方法(発明の名称)に関し、次の事項(a)ないし(e)が図面とともに記載されている。 (a)「本発明は仕上げモルタル表面またはコンクリート表面を有する建造物のモルタル背面浮き等の補修工事の事前調査や工事管理上必要な諸調査を容易にしかも正確に実施可能な建造物の診断方法に関する。」(1頁右下欄8行?12行) (b)「第1図は本発明により診断を行なっている建造物の断面図である。同図においてこの建造物は、コンクリート躯体1上にモルタル2が施され、その上にタイル3が張り付けられた構造となっており、符号4はモルタル背面に生じたモルタル背面浮き亀裂を示している。 この実施例においては、まず外側内部に向けてドリル等により盲孔5が穿設される。」(2頁左下欄3行?11行) (c)「次にこの盲孔5内に、第3図に示すように一端にフランジ6aを形成した筒体に長手方向に窓部6bを形成するとともに、内面長手方向に目盛6cを表示したアダプタ6を、フランジ6aの内面と建造物の表面とがほぼぼ同一面となるまで挿入する。なお前記目盛6cはアダプタ6の内面に直接形成してもよく、また、たとえば第3図に示すような、公知のクラックスケール7を貼着するようにしてもよい。」(2頁左下欄下から2行?右下欄7行) (d)「しかる後このアダプタ6内に、内視鏡8を挿入して盲孔5内面を内視鏡撮影し、後述するような各種診断を行う。内視鏡8を挿入するに当たっては、その焦点調節を容易にしてレンズのピントが常に盲孔の内面に結ばれるようにするため、レンズ8aを盲孔5の側壁に対して同心的に上下動および回動可能とするアジャスタ9を、アダプタ6上喘に嵌着することが望ましい。 なお内視鏡8としては公知のボアスコープが使用され、直視型、側視型、前方斜視型等が適宜選択使用される。特に側視型のボアスコープが本発明には適している。また内視鏡8にセットされるカメラや光源装置も、公知のものからその目的や検査内容に応じて適宜選択使用される。」(2頁右下欄下から4行?3頁左上欄10行) (e)「(ハ)コンクリート躯体およびモルタルの中性化は、躯体老朽化、モルタル付着力と相関しているのでフェノールフタレイン1%のアルコール溶液を盲孔5内に流し込み、アルカリ反応による鮮紅色境界を深さ目盛7aとともに内視鏡撮影により記録する。」(3頁右上欄5行?10行、「盲孔8」は「盲孔5」の誤記なので、そのように訂正した。) ・前記記載(b)及び第1図より、 (イ)「コンクリート躯体1に盲孔5を穿設する工程」との技術的事項が読み取れる。 ・前記記載(d)より、 (ロ)「光源装置からの光を盲孔5内面に照射し、前記盲孔5内面からの反射光を内視鏡8の像伝達手段へと導入するためのミラーが内視鏡の端部に配設される」との技術的事項が読みとれる。 ・前記記載(c)より、 (ハ)「盲孔5に挿入されたアダプタ6に備えられたクラックスケール7」との技術的事項が読みとれる。 前記記載(e)において、「フェノールフタレイン1%のアルコール溶液を盲孔5内に流し込む」ためには、フェノールフタレイン1%のアルコール溶液を盲孔5内に注入する何らかの注入手段をアダプタ6に差し込む必要のあることから、 ・前記記載(c)(e)より、 (ニ)「フェノールフタレイン1%のアルコール溶液を注入する手段が差し込まれたアダプタ6」との技術的事項が読みとれる。 内視鏡が何らかの像伝達手段を内部に備えること、及び、側視型内視鏡がその先端部にミラーを有することは通例であることを考慮すると、 ・前記記載(d)より、 (ホ)「アダプタ6を介して、レンズ8aが同心的に上下動および回動可能とされた内視鏡8を挿入する工程」との技術的事項が読みとれる。 ・前記記載(e)より、 (ヘ)「盲孔5内にフェノールフタレイン1%のアルコール溶液を流し込む工程」との技術的事項が読みとれる。 ・前記記載(e)より、 (ト)「コンクリート躯体老朽化を示すアルカリ反応による鮮紅色境界を深さ目盛7aとともに内視鏡撮影する工程」との技術的事項が読みとれる。 ・前記記載(a)より、 (チ)「コンクリート建造物の診断方法」との技術的事項が読みとれる。 以上の技術的事項(イ)ないし(チ)を総合勘案すると、引用例には次の発明が記載されているものと認められる。 「コンクリート躯体1に盲孔5を穿設する工程と、 光源装置からの光を盲孔5内面に照射し前記盲孔5内面からの反射光を内視鏡8の像伝達手段へと導入するためのミラーが内視鏡の端部に配設されると共に、前記盲孔5に、クラックスケール7を備え、フェノールフタレイン1%のアルコール溶液を注入する手段が差し込まれたアダプタ6を介してレンズ8aが同心的に上下動および回動可能とされた内視鏡8を挿入する工程と、 前記盲孔5内にフェノールフタレイン1%のアルコール溶液を流し込む工程と、 コンクリート躯体老朽化を示すアルカリ反応による鮮紅色境界を深さ目盛7aとともに内視鏡撮影する工程とを含むコンクリート建造物の診断方法。」(以下、「引用発明」という。) (3)対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 a 引用発明における「コンクリート躯体1」、「盲孔5」、「穿設する」、「光源装置からの光」、「盲孔5内面」、「内視鏡8」、「クラックスケール7」、「フェノールフタレイン1%のアルコール溶液を注入する手段」、「差し込まれた」、「アダプタ6」、「流し込む」、「コンクリート躯体老朽化を示すアルカリ反応による鮮紅色境界を深さ目盛7aとともに内視鏡撮影する」及び「コンクリート建造物の診断方法」は、 本願補正発明の「コンクリート構造物」、「穿孔部」、「形成する」、「内視鏡からの光」、「コンクリート」、「内視鏡」、「測長手段」、「薬剤注入手段」、「挿通された」、「パイプ」、「付着させる」、「内視鏡を通してコンクリートの深さ方向の劣化を観測する」及び「コンクリート構造物の検査方法」にそれぞれ相当する。 b 引用発明における「レンズ8aが同心的に上下動および回動可能とされた内視鏡8」は、前記記載(d)に依れば、レンズ8aの焦点調節を容易にするためのものであるところ、「レンズ8aが同心的に上下動および回動可能とされ」ると、内視鏡の観察範囲も当然に変化すると考えるのが自然であるから、引用発明における「レンズ8aが同心的に上下動および回動可能とされた内視鏡8」は、本願補正発明における「観察範囲が可変とされた内視鏡」に相当すると言える。 c 引用発明における「クラックスケール7を備え、フェノールフタレイン1%のアルコール溶液を注入する手段が差し込まれたアダプタ6を介してレンズ8aが同心的に上下動および回動可能とされた内視鏡8を挿入する工程」も、本願補正発明における「可動に保持された測長手段と、薬剤注入手段とが挿通されたパイプを介して観察範囲が可変とされた内視鏡を挿入する工程」も、共に、「測長手段を備え、薬剤注入手段が挿通されたパイプを介して観察範囲が可変とされた内視鏡を挿入する工程」である点で共通する。 してみると、両者は (一致点) 「コンクリート構造物に穿孔部を形成する工程と、 該穿孔部に、内視鏡からの光をコンクリートに照射し、前記コンクリートからの反射光を内視鏡の像伝達手段へと導入するためのミラーが配設されると共に、測長手段を備え、薬剤注入手段が挿通されたパイプを介して観察範囲が可変とされた内視鏡を挿入する工程と、 前記穿孔部内に薬剤を付着させる工程と、 前記内視鏡を通してコンクリートの深さ方向の劣化を観測する工程とを含むコンクリート構造物の検査方法。」で一致し、以下の点で相違する。 (相違点) (イ)相違点1:「内視鏡」について 本願補正発明では、内視鏡は「屈曲自在の屈曲部を含」むものとしているのに対し、引用発明では、「内視鏡8」(内視鏡)がそのような構成を有するのかが必ずしも明らかではない点。 (ロ)相違点2:「ミラー」について 本願補正発明では、ミラーは、「移動可能に保持され」、「内視鏡の前端からの距離が変化する」ように、パイプの「端部に配設される」のに対し、引用発明におけるミラーは内視鏡の端部に配設されるとしているにとどまる点。 (ハ)相違点3:「測長手段」について 本願補正発明では、測長手段は「可動に保持され」、「パイプ」に「挿通され」ているのに対し、引用発明におけるクラックスケール7(測長手段)はアダプタ6(パイプ)に備えられている点。 (ニ)相違点4:「薬剤を付着させる工程」について 本願補正発明では、「内視鏡から」穿孔部内に薬剤を付着させるとしているのに対し、引用発明では、穿孔部内に薬剤を付着させているものの、どこから薬剤を付着させるのかが必ずしも明らかではない点。 (4)判断 前記相違点について検討する。 (イ)相違点1について 自在に屈曲できる屈曲部を備える内視鏡は、一般に、軟性内視鏡として広く知られており(例えば、下記周知文献1参照)、該周知の軟性内視鏡を引用発明の内視鏡として採用することに格別の創意を要したとは言えない。 (ロ)相違点2について 本件補正発明において、ミラーを移動可能に保持し、内視鏡の前端からの距離が変化するようにしたのは、観察範囲を任意に変化させるため(明細書の発明の詳細な説明の段落【0057】)であるが、このように、観察範囲を任意に変化させるために、測定光学系前端部に設けたミラーを、測定光学系の前端部からの距離が可変なように移動可能に保持するようにすることは周知である(例えば、下記周知文献2ないし4参照)。 さらに、一般に、内部にミラーを配設した筒状部材(「パイプ」に相当する)に内視鏡本体(撮像素子等)を挿入して観察することも周知である(例えば、下記周知文献7参照)。 そうしてみると、かかる周知技術を引用発明に適用し、引用発明におけるミラーを移動可能、かつ、内視鏡の前端からの距離が変化するように保持し、パイプの端部に配設する構成とすることも、当業者が容易に想到し得るところと言える。 (ハ)相違点3について 内視鏡と共に用いられる、測長具であって、挿入部の処置具挿通孔に挿通されて可動に保持するようにすることも周知である(例えば、下記周知文献5参照)から、該周知技術を引用発明に施して相違点3の構成とすることも、当業者が容易に想到し得るところと言える。 (ニ)相違点4について 一般に、観察対象物に対して内視鏡から薬液を注入することは周知である(例えば、下記周知文献6参照)から、該周知技術を引用発明に適用して内視鏡から薬剤を付着させるようにすることも、当業者が容易に想到し得るところと言える。 そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び上記各周知技術から当業者が予測可能なものであって格別のものではない。 したがって、本願補正発明は、引用発明及び上記各周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)むすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について 本件補正は前記のとおり、理由1及び理由2により却下されたので、本願の請求項1ないし6に係る発明は、補正1によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりである。 「コンクリート構造物に穿孔部を形成する工程と、 該穿孔部に屈曲自在の屈曲部を含む内視鏡を挿入する工程と、 前記内視鏡から穿孔部内に薬剤を付着させる工程と、 前記内視鏡を通してコンクリートの深さ方向の劣化を観測する工程とを含むコンクリート構造物の検査方法。」(以下、「本願発明」という。) (1)引用例記載の事項・引用発明 原査定の拒絶の理由に引用された引用例記載の事項・引用発明は、前記2.(2)引用例記載の事項・引用発明に記載したとおりである。 (2)対比 本願発明と引用発明とを対比すると、両者は、 (一致点) コンクリート構造物に穿孔部を形成する工程と、 該穿孔部に内視鏡を挿入する工程と、 穿孔部内に薬剤を付着させる工程と、 前記内視鏡を通してコンクリートの深さ方向の劣化を観測する工程とを含むコンクリート構造物の検査方法。」で一致し、以下の点で相違する。 (相違点) (イ)相違点5:「内視鏡」について 本願発明では、内視鏡は「屈曲自在の屈曲部を含」むものとしているのに対し、引用発明では、「内視鏡8」(内視鏡)がそのような構成を有するのかが必ずしも明らかではない点。 (ロ)相違点6:「薬剤を付着させる工程」について 本願発明では、「内視鏡から」穿孔部内に薬剤を付着させるとしているのに対し、引用発明では、穿孔部内に薬剤を付着させているものの、どこから薬剤を付着させるのかが必ずしも明らかではない点。 (3)判断 相違点5については、前記「2.(4)(イ)相違点1について」に記載したとおりである。 相違点6については、前記「2.(4)(ニ)相違点4について」に記載したとおりである。 そして、本願発明の作用効果も、引用発明及び上記各周知技術から当業者が予測可能なものであって格別のものではない。 したがって本願発明は、引用発明及び上記各周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 記 周知技術であることを示す文献一覧 周知文献1:特開昭59-29217号公報、4頁右上欄2行?8行 周知文献2:特開平4-313716号公報、段落【0014】 周知文献3:特開平11-281331号公報、段落【0016】、【0019】 周知文献4:特開平8-285781号公報、段落【0013】 周知文献5:実願昭60-174152号(実開昭62-81922号)のマイクロフィルム、3頁6行?14行、下から2行?4頁3行 周知文献6:特開平5-297289号公報、段落【0017】 周知文献7:登録実用新案第3021146号公報、段落【0025】 |
審理終結日 | 2010-07-15 |
結審通知日 | 2010-07-20 |
審決日 | 2010-08-09 |
出願番号 | 特願2000-36498(P2000-36498) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G01B)
P 1 8・ 121- Z (G01B) P 1 8・ 561- Z (G01B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小野寺 麻美子、櫻井 仁 |
特許庁審判長 |
飯野 茂 |
特許庁審判官 |
森 雅之 濱本 禎広 |
発明の名称 | コンクリートの検査方法及び該方法に用いられる測定治具 |
代理人 | 間山 進也 |