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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61F |
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管理番号 | 1224251 |
審判番号 | 不服2009-6803 |
総通号数 | 131 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-11-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-04-01 |
確定日 | 2010-09-30 |
事件の表示 | 特願2003-329177「女性用失禁パッド」拒絶査定不服審判事件〔平成17年4月7日出願公開、特開2005-87655〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成15年9月19日の出願であって、平成21年2月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成21年4月1日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされ、平成21年4月30日付けで特許請求の範囲と明細書とを対象とする手続補正がなされたものである。 2.本願発明 平成21年4月30日付けで補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、本願の請求項1ないし4に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項によって特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1の記載は次のとおりである。 「液不透過性のバックシートと、吸収ポリマーを散在させた吸収体と、液透過性のトップシートとを下からこの順に重ねて形成し、前記吸収体側部に起立してポケットを形成する立体ギャザーを備えた女性用失禁パッドにおいて、 前記吸収体の前記立体ギャザー内側近傍、かつ前記吸収体の使用面側に前記立体ギャザーに沿ってエンボス加工が形成され、前記エンボス加工が前記立体ギャザーのポケットが形成されている部分よりも長く形成され、 前記トップシートと前記吸収体との間に液透過性のセカンドシートを備えることを特徴とする女性用失禁パッド。」(以下、請求項1に記載された事項によって特定される発明を「本願発明1」という。) 3.引用例の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用した、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2003-24376号公報(以下、「引用例」という。)には、次の記載がある。 「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、経血やおりものなどを吸収するための生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等の吸収性物品に係り、詳しくは瞬間的に多量の体液等が排出された場合でも、この体液を漏れないように保持・吸収するようにした吸収性物品およびその製造方法に関する。」 「【0019】〔第1形態例〕図1は本発明の第1形態例に係る生理用ナプキン1Aの展開図であり、図2は図1のII-II線矢視図、図3は図1のIII-III線矢視図、図4は図1のIV-IV線矢視図である。」 「【0020】前記生理用ナプキン1Aは、…不透液性バックシート2と、…透液性トップシート3と、これら両シート2,3間に介装された…吸収体4、6と、…前記吸収体4の略側縁部を起立基端とし、かつ少なくとも排血口対応部から前後方向に所定の区間内において表面側に突出して設けられた左右一対の立体ギャザーBS、BSとから主に構成され…」 「【0023】前記吸収体4としては、体液を吸収・保持し得るものであれば良く、通常はフラッフ状パルプ中に吸水性ポリマー粉末を混入したものが吸収機能および価格の点から好適に使用される。」 「【0025】透液性トップシート3面には、…中高部画成用エンボス13が透液性トップシート3の上面側から形成されている。前記中高部画成用エンボス13は、前端部半円弧状エンボス部13aと、この前端部半円弧状エンボス部13aの両端部から略長手方向に沿って後端側に延長されるサイドエンボス部13b、13bとからなり、図示例では前記サイドエンボス13b、13b同士が後端部側で閉合するようになっている。」 「【0026】また、吸収体4の前端部に馬蹄形状の前部側エンボス12が形成されているとともに、前記中高部画成用エンボス13の側部に内方側に向かって膨出する緩い弧状線を描く第2サイドエンボス14,14が形成されている。」 「【0027】…図2および図3の横断面図に示されるように…前記立体ギャザーBSは前記透液性トップシート3とは別のサイド不織布7…を用いて構成されている。」 「【0029】…前記サイド不織布7の内側部分はほぼ二重に折り返されるとともに、この二重シート内部には、その高さ方向中間部に両端または長手方向の適宜の位置が固定された糸状弾性伸縮部材19が配設されるとともに、前記糸状弾性伸縮部材19の上側部位に複数本の、図示例では2本の糸状弾性伸縮部材20,20が両端または長手方向の適宜の位置が固定された状態で配設されている。この二重シート部分は前後端部では図3に示されるように、断面Z状に折り畳んで積層された状態で吸収体4側に接着されることによって、前記糸状弾性伸縮部材19配設部位を屈曲点として、断面く字状に内側に開口を向けたポケットP、Pを形成しながら表面側に起立する立体ギャザーBS、BSが形成されている。」 これら記載及び図1?3からみて、引用例には、次の発明が記載されているといえる。(以下、「引用発明」という。) 「不透液性バックシート2と、透液性トップシート3と、これら両シート2,3間に介装された、吸水性ポリマー粉末を混入した吸収体4と、吸収体4の略側縁部を起立基端とし、かつ少なくとも排血口対応部から前後方向に所定の区間内において表面側に突出して設けられた左右一対の立体ギャザーBS、BSを備えた生理用ナプキン1Aにおいて、 透液性トップシート3の上面側に、中高部画成用エンボス13及び第2サイドエンボス14,14が形成されている生理用ナプキン。」 4.対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、引用発明の「不透液性バックシート2」、「吸水性ポリマー粉末を混入した吸収体4」及び「透液性トップシート3」は、それぞれ本願発明1の「液不透過性のバックシート」、「吸収ポリマーを散在させた吸収体」及び「液透過性のトップシート」に相当し、引用発明が、吸収体4を不透液性バックシート2と、透液性トップシート3との間に介装していることは、本願発明1が、バックシートと、吸収体と、トップシートを、下からこの順に重ねて形成していることに相当する。 また、引用発明の「吸収体4の略側縁部を起立基端とし、かつ少なくとも排血口対応部から前後方向に所定の区間内において表面側に突出して設けられた左右一対の立体ギャザーBS、BS」は、本願発明1の「吸収体側部に起立してポケットを形成する立体ギャザー」に相当し、引用発明の「生理用ナプキン1A」と本願発明1の「女性用失禁パッド」とは、女性用の体液吸収性物品である限りにおいて一致する。 さらに、引用例の図1、2から、中高部画成用エンボス13及び第2サイドエンボス14,14は、立体ギャザー内側近傍に、立体ギャザーに沿って形成されていることが見て取れるから、引用発明の「透液性トップシート3の上面側に、中高部画成用エンボス13及び第2サイドエンボス14,14が形成」されていることは、本願発明1の「吸収体の立体ギャザー内側近傍、かつ吸収体の使用面側に前記立体ギャザーに沿ってエンボス加工が形成」されていることに相当する。 したがって、本願発明1と引用発明とは、本願発明1の記載に倣うと、次の一致点で一致する。 《一致点》 「液不透過性のバックシートと、吸収ポリマーを散在させた吸収体と、液透過性のトップシートとを下からこの順に重ねて形成し、前記吸収体側部に起立してポケットを形成する立体ギャザーを備えた女性用の体液吸収性物品において、 前記吸収体の前記立体ギャザー内側近傍、かつ前記吸収体の使用面側に前記立体ギャザーに沿ってエンボス加工が形成されている女性用の体液吸収性物品。」 そして、本願発明1と引用発明とは、次の相違点1?3で相違する。 《相違点1》 本願発明1は、女性用失禁パッドであるのに対し、引用発明は、生理用ナプキンである点。 《相違点2》 本願発明1では、エンボス加工が立体ギャザーのポケットが形成されている部分よりも長く形成されているのに対し、引用発明では、これらの長さ関係が明瞭でない点。 《相違点3》 本願発明1は、トップシートと吸収体との間に液透過性のセカンドシートを備えるのに対し、引用発明は、セカンドシートを備えていない点。 5.相違点の検討 相違点1について検討すると、引用例は、段落0001に「本発明は…生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等の吸収性物品に係り」と記載されているように、生理用ナプキン及び失禁パッドを含む吸収性物品に係る発明を開示したものであり、段落0019以降に開示された生理用ナプキンは、そのような発明の一形態例であることが記載されている。 そうすると、引用発明の生理用ナプキンを、失禁パッドに転用又は変更することは、当業者が容易に推考し得たことである。 相違点2について検討すると、吸収性物品の立体ギャザー近傍で立体ギャザーに沿って設けるエンボス加工を、立体ギャザーのポケット形成部分より長くすることは、例えば特開2002-656号公報(図1参照)に記載されており、周知である。したがって、引用発明にこの周知の事項を適用して、相違点2に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に推考し得たことである。 相違点3について検討すると、吸収性物品のトップシートと吸収体との間に液透過性のセカンドシートを備えることは、例えば特開平8-164160号公報や特開2001-276126号公報に記載されており、周知である。したがって、引用発明にこの周知の事項を適用して、相違点3に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に推考し得たことである。 そして、本願発明1が奏する効果も、引用発明及び周知の事項から当業者が予測できたものであって、格別顕著なものとはいえない。 したがって、本願発明1は、引用発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 6.むすび 以上のとおり、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-07-27 |
結審通知日 | 2010-08-03 |
審決日 | 2010-08-18 |
出願番号 | 特願2003-329177(P2003-329177) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A61F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山口 直、渋谷 善弘 |
特許庁審判長 |
栗林 敏彦 |
特許庁審判官 |
熊倉 強 村上 聡 |
発明の名称 | 女性用失禁パッド |
代理人 | 舘野 千惠子 |