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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1224252
審判番号 不服2009-8278  
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-04-16 
確定日 2010-09-30 
事件の表示 特願2004-305144「薄膜シリコン積層型太陽電池」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 5月11日出願公開、特開2006-120745〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成16年10月20日の出願であって、平成20年7月24日付けで手続補正がなされ、平成21年3月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月16日に拒絶査定不服審判が請求され、同年5月11日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成21年5月11日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成21年5月11日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容・目的
本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲(平成20年7月24日付け手続補正後のもの)の請求項2である、

「透明基板上に形成される第1導電層と、
前記第1導電層上に形成される第1太陽電池層と、
前記第1太陽電池層上に積層される第2太陽電池層と、
前記第1太陽電池層と前記第2太陽電池層との間に中間導電層とを具備し、
前記第1導電層は、太陽光進行方向面に凹凸部が形成され、該凹凸部は、ピッチが0.2?2.5μmで、高低差が前記ピッチの1/2?1/4であり、
前記第1太陽電池層の厚さが100?400nmであり、
前記第2太陽電池層の厚さが1?3μmであることを特徴とする薄膜シリコン積層型太陽電池。」

を、補正後の特許請求の範囲の請求項2として、

「透明基板上に形成される第1導電層と、
前記第1導電層上に形成される第1太陽電池層と、
前記第1太陽電池層上に積層される第2太陽電池層と、
前記第1太陽電池層と前記第2太陽電池層との間に中間導電層とを具備し、
前記第1導電層は、太陽光進行方向面に凹凸部が形成され、該凹凸部は、ピッチが0.2?2.5μmで、高低差が前記ピッチの1/2?1/4であり、
前記第1太陽電池層の厚さが100?400nmであり、
前記第2太陽電池層の厚さが1?3μmであり、
安定化効率が11%以上であることを特徴とする薄膜シリコン積層型太陽電池。」

に、補正する内容を含むものである。

上記補正内容は、本件補正前の請求項2に係る発明を特定するために必要な事項である、薄膜シリコン積層型太陽電池を「安定化効率が11%以上である」ものに限定するものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

2 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項2に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本願補正発明の薄膜シリコン積層型太陽電池が「安定化効率が11%以上である」との構成に関連して、本願明細書の発明の詳細な説明(以下、単に「発明の詳細な説明」という。)には、以下の記載がある(下線は、審決で付与した。以下同じ。)。

ア 「また、非晶質シリコン太陽電池では、光照射により劣化して発電量が低下する現象があるが、膜質向上、膜中の欠陥低減により光劣化率の低減(安定化効率の向上)が図られている。」(段落【0007】)

イ 「しかし、太陽電池の積層構成とそれらを構成する各層厚の最適化条件の決定など残された課題も多い。特に、太陽電池の光劣化率を低減して安定化効率を向上させるためには非晶質シリコン太陽電池の膜厚を薄くする必要がある。」(段落【0008】)

ウ 「本発明は、太陽電池の高効率化、および生産性の向上を目的としている。このために、太陽光が入射する第1透明電極に形成された凹凸部の凹凸のピッチおよび高低差の値を最適化した。これにより、太陽電池内における太陽光の入射経路を長くして安定化効率を向上させた。また、タンデム構造を有した太陽電池において、非晶質シリコン太陽電池および結晶質太陽電池の膜厚値の最適化を行った。
ここで、安定化効率を向上させるためには、非晶質シリコン太陽電池の膜厚はなるべく薄い方が良い。また、安定化効率の向上を目指しつつ、生産性を向上させるためには、結晶質シリコン太陽電池の膜厚は出来る限り薄くする必要がある。」(段落【0027】、【0028】)

エ 「図2に、本実施の形態1に係わるタンデム構造を有した薄膜シリコン積層型太陽電池の積層構造を示す。
本実施の形態に係わる薄膜シリコン積層型太陽電池は、順次積層された、透明絶縁基板10と、ピッチが0.6μmで、高低差が0.2μmである凹凸を有する第1透明電極20と、p型シリコン層(非晶質シリコン層)30、n型シリコン層(非晶質シリコン層)50およびi型シリコン層(非晶質シリコン層)40からなるpin構造またはnip構造の非晶質シリコン太陽電池150と、p型シリコン層(結晶質シリコン層)60、n型シリコン層(結晶質シリコン層)80およびi型シリコン層(結晶質シリコン層)70からなるpin構造またはnip構造の結晶質シリコン太陽電池200と、第2透明電極90と、裏面電極100とを備えている。
本実施の形態においては、第1透明電極20の太陽光進行方向面に、ピッチが0.6μmで、高低差が前記ピッチの0.2μmである凹凸部が形成されている。これにより、当該第1透明電極20の下層部(太陽光進行方向)に形成される層は全てこの凹凸部形状にあわせた形態で順次積層されていく。
本実施の形態において、非晶質シリコン太陽電池150の膜厚が300nm、結晶質シリコン太陽電池200の膜厚が2μmであるとき、AM(Air Mass)1.5の太陽光照射条件における安定化効率(1SUN;100mW/cm2、50℃、1000時間の光照射により光劣化させた後の効率、或いはそれと同等条件であることを確認後の加速光劣化条件により光劣化させた後の効率)は11.5%であった。
第1透明電極20の表面上に形成された凹凸部は、入射してきた太陽光を散乱させて発電層(非晶質シリコン太陽電池、結晶質シリコン太陽電池)内の光路長を延長する機能を有する。ここで、表面凹凸部のピッチおよび高低差は、散乱させたい光の波長と同程度のピッチ、および1/3程度の高低差であるとき(シリコンの屈折率が約3であることによる)に散乱率が最大になることが知られている。
本実施の形態の凹凸部のピッチおよび高低差の値の他に、比較例として凹凸部のピッチおよび高低差が(a)ピッチ0.2μm、高低差0.1μm、(b)ピッチ2.5μm、高低差0.8μm、(c)ピッチ4μm、高低差1μm(非晶質シリコン太陽電池150の膜厚が300nm、結晶質シリコン太陽電池200の膜厚が2μm)それぞれにおける、同等条件下での安定化効率を測定した。この結果によると、それぞれの安定化効率は、(a)10.7%、(b)10.7%、(c)10.2%であった。
本実施の形態において11.5%の安定化効率が実現されたのは、結晶質シリコン太陽電池200における発電電流に大きく寄与する波長700?900nmの太陽光を効率的に散乱し、結晶質シリコン太陽電池200での発電効率が向上した結果である。
本実施の形態においては、10.5%以上の安定化効率を得るために、第1透明電極20面上に凹凸部を形成する。そして、凹凸部のピッチとして0.2?2.5μm、高低差としてピッチの1/2?1/4を選択することにより、最大で11.5%の安定化効率を有する薄膜シリコン積層型太陽電池を実現することができる。」(段落【0030】?【0037】)

オ 「実施の形態3に係わる、薄膜シリコン積層型太陽電池の概略積層構成を図4に示す。本実施の形態の基本的な積層構成は、実施の形態1に係わる薄膜シリコン系積層型太陽電池と同じである。しかし本実施の形態においては、非晶質シリコン太陽電池150と結晶質シリコン太陽電池200との間に、さらに透明中間層300が積層されている。
本実施の形態に係わる薄膜シリコン積層型太陽電池は、順次積層された、透明絶縁基板10と、ピッチが0.6μmで、高低差が0.2μmである凹凸部を太陽光進行方向面上に有する第1透明電極20と、p型シリコン層(非晶質シリコン層)30、n型シリコン層(非晶質シリコン層)50およびi型シリコン層(非晶質シリコン層)40からなるpin構造またはnip構造の非晶質シリコン太陽電池(トップセル)150と、透明中間層300と、p型シリコン層(結晶質シリコン層)60、n型シリコン層(結晶質シリコン層)80およびi型シリコン層(結晶質シリコン層)70からなるpin構造またはnip構造の結晶質シリコン太陽電池(ボトムセル)200と、第2透明電極90と、裏面電極100とを備えている。
本実施の形態においては、透明中間層300がさらに積層されることにより、この透明中間層300で入射太陽光の一部が反射されて、非晶質シリコン太陽電池150に再度入射される。
これにより、トップセルにおける発電電流が増加する。そして、トップセルの膜厚を薄くしても、透明中間層300が積層されない場合と同等の発電電流を得ることができる。トップセルである非晶質シリコン太陽電池150の膜厚を薄くすることにより当該層における光劣化を抑制でき、電池全体としての安定化効率を向上させることができる。
本実施の形態に係わる薄膜シリコン積層型太陽電池(非晶質シリコン太陽電池150;250nm、結晶質シリコン太陽電池200;2μm)は、ZnOにより形成された厚さ60nmの透明中間層300を備えている。透明中間層300として用いたZnOには1.5%のGaがドープされている。また、透明中間層300は酸素含有雰囲気下でスパッタリングにより積層されたものである。そして、このときの安定化効率として12.4%が実現される。尚、透明中間層300は、ZnOを主成分とし、透明であれば良く、ドーパントとしてGa,Al等が入っていても、入っていなくても良い。
本実施の形態における薄膜シリコン積層型太陽電池においては、透明中間層300が、トップセルである非晶質シリコン太陽電池150とボトムセルである結晶質シリコン太陽電池200との間に積層される。これにより、非晶質シリコン太陽電池150における発電電流を増加させることができる。また、非晶質シリコン太陽電池150の薄膜化が実現される。そして、実施の形態1および2に比較して、さらに安定化効率の向上が実現される。」(段落【0045】?【0050】)

カ 「実施の形態4に係わる薄膜シリコン積層型太陽電池においては、実施の形態3に係わる薄膜シリコン積層型太陽電池の透明中間層300の膜厚の値が、安定化効率の向上のために最適化される。」(段落【0051】)

キ 「本実施の形態により、トップセルである非晶質シリコン太陽電池150とボトムセルである結晶質シリコン太陽電池200との発電電流バランスを考慮して、最適な透明中間層300の膜厚値が決定される。これにより、より高い安定化効率を有する薄膜シリコン積層型太陽電池が実現される。」(段落【0056】)

ク 「実施の形態5に係わる薄膜シリコン積層型太陽電池の基本的な積層構造は、実施の形態3の薄膜シリコン積層型太陽電池と同じである。但し、本実施の形態においては、安定化効率が最大になるように非晶質シリコン太陽電池150および結晶質シリコン太陽電池200の膜厚の値が最適化されている。」(段落【0057】)

ケ 「トップセルである非晶質シリコン太陽電池150の膜厚を厚くすると生産効率は低下する。また、トップセルである非晶質シリコン太陽電池150の膜厚を厚くすると光劣化率が増加して安定化効率が低下する。従って、非晶質シリコン太陽電池150の膜厚自身にも適正値が存在する。」(段落【0059】)

コ(ア)「図6に、測定(◆)およびシミュレーションにより求められた、本実施の形態に係わる薄膜シリコン積層型太陽電池の非晶質シリコン太陽電池150および結晶質シリコン太陽電池200それぞれの膜厚と、その膜厚構成における安定化効率との関係を示す。太陽電池の評価(測定)は、JIS C8934に基づき、AM1.5の条件で実施された。非晶質シリコン太陽電池を備える太陽電池は、使用中に光劣化することが知られている。光劣化後の安定化効率は、実施の形態1および2で実施されたのと同様に、1SUN、50℃、1000時間の光照射後、或いはそれと同等であることを確認済みの加速光劣化条件での光照射後の計測値とした。
図6に示されるように、安定化効率が11%以上の良好な効率と、良好な生産性(非晶質シリコン太陽電池150の膜厚が400nm以下、および結晶質シリコン太陽電池200の膜厚が3μm以下)が確保される範囲は、非晶質シリコン太陽電池150の膜厚が100?400nm、結晶質シリコン太陽電池200の膜厚が1?3μmの範囲(図6中におけるハッチ部)である。この範囲においては、最大13%程度の安定化効率が実現される。
本実施の形態においては、透明中間層300の形成された薄膜シリコン積層型太陽電池において、非晶質シリコン太陽電池150および結晶質シリコン太陽電池200の膜厚値が最適化される。これにより、実施の形態3と比較して、さらに高安定化効率および高生産性(より薄い膜厚の非晶質シリコン太陽電池150および結晶質シリコン太陽電池200で高安定化効率を得ることができる)の薄膜シリコン積層型太陽電池が実現される。
また、より薄い膜厚の非晶質シリコン太陽電池150および結晶質シリコン太陽電池200で高安定化効率を実現することができることにより、各積層における歪み応力が減少する。これにより、信頼性の高い薄膜シリコン積層型太陽電池が実現される。」(段落【0061】?【0064】)

(イ)なお、図6は次のとおりのものである。


サ 「実施の形態6に係わる薄膜シリコン積層型太陽電池においては、実施の形態3に係わる薄膜シリコン積層型太陽電池のボトムセルである結晶質シリコン太陽電池200と裏面電極100との間に積層されている第2透明電極90(ZnO)の膜厚が、安定化効率の向上のために最適化される。
第2透明電極90の膜厚が最適化されることにより、ボトムセルである結晶質シリコン太陽電池200に吸収されなかった長波長領域(波長800nm)の太陽光を、第2透明電極90および裏面電極100で効率良く反射させる。そして、結晶質シリコン太陽電池200層中に長波長領域の太陽光を効率良く再入射させる。これにより、ボトムセルである結晶質シリコン太陽電池200における発電電流が増大し、薄膜シリコン積層型太陽電池全体での安定化効率が向上する。
図7に、本実施の形態に係わる薄膜シリコン積層型太陽電池の第2透明電極90の膜厚と、それぞれの膜厚における安定化効率との関係を示す。第2透明電極90(ZnO)の波長600?1200nmに対する光学特性として、光吸収率は1%未満であり、この波長領域に対してはほぼ透明である。
図7によると、積層される第2透明電極90の膜厚を20?100nmとすることで、12%以上の安定化効率を維持した薄膜シリコン積層型太陽電池を実現することができる。
本実施の形態により、第2透明電極90の膜厚が最適化される。これにより、第2透明電極90および裏面電極100で反射されて、ボトムセルである結晶質シリコン太陽電池200に再入射される長波長領域の太陽光の反射率が向上する。そして、結晶質シリコン太陽電池200における発電電流が増大する。これにより、より高い安定化効率を有する薄膜シリコン積層型太陽電池が実現される。」(段落【0065】?【0069】)

(2)上記(1)から、本願補正発明の薄膜シリコン積層型太陽電池が「安定化効率が11%以上である」との構成に関連して、発明の詳細な説明には、以下の技術事項が記載されているものと認められる。
ア 太陽電池の光劣化率を低減して安定化効率を向上させるためには非晶質シリコン太陽電池の膜厚を薄くする必要があること。
イ 太陽光が入射する第1透明電極に形成された凹凸部の凹凸のピッチおよび高低差の値を最適化することにより、太陽電池内における太陽光の入射経路を長くして安定化効率を向上させること。
ウ 安定化効率の向上を目指しつつ生産性を向上させるためには、結晶質シリコン太陽電池の膜厚は出来る限り薄くする必要があること。
エ (本願補正発明とは、中間導電層を用いない点で対応しない実施の形態1において)第1透明電極の表面上に形成された凹凸部は、入射してきた太陽光を散乱させて発電層(非晶質シリコン太陽電池、結晶質シリコン太陽電池)内の光路長を延長する機能を有し、表面凹凸部のピッチおよび高低差は、散乱させたい光の波長と同程度のピッチ、および1/3程度の高低差であるときに散乱率が最大になることが知られており、凹凸部のピッチとして0.2?2.5μm、高低差としてピッチの1/2?1/4を選択することにより、最大で11.5%の安定化効率を有する薄膜シリコン積層型太陽電池を実現することができること。
オ (本願補正発明に対応する実施の形態3において)非晶質シリコン太陽電池と結晶質シリコン太陽電池との間に、さらに透明中間層が積層されており、ピッチが0.6μmで、高低差が0.2μmである凹凸部を太陽光進行方向面上に有する第1透明電極を有すること。
カ 上記オの条件において、薄膜シリコン積層型太陽電池の透明中間層により、入射太陽光の一部が反射され非晶質シリコン太陽電池に再度入射されトップセルにおける発電電流が増加し、該トップセルの膜厚を薄くしても透明中間層が積層されない場合と同等の発電電流を得ることができるから、前記トップセルである非晶質シリコン太陽電池の膜厚を薄くすることにより当該層における光劣化を抑制でき、電池全体としての安定化効率を向上させることができること。
キ 上記オの条件において、非晶質シリコン太陽電池を250nm、結晶質シリコン太陽電池を2μmとし、ZnOにより形成され厚さ60nmであり1.5%のGaがドープされ酸素含有雰囲気下でスパッタリングにより積層された透明中間層を備えるとき、安定化効率12.4%が実現されること。
ク 上記キの条件において、薄膜シリコン積層型太陽電池の透明中間層の膜厚の値が安定化効率の向上のために最適化され、トップセルである非晶質シリコン太陽電池とボトムセルである結晶質シリコン太陽電池との発電電流バランスを考慮して、最適な透明中間層の膜厚値が決定され、より高い安定化効率を有する薄膜シリコン積層型太陽電池が実現されること。
ケ 上記キの条件において、トップセルである非晶質シリコン太陽電池の膜厚を厚くすると光劣化率が増加して安定化効率が低下するから、非晶質シリコン太陽電池の膜厚自身にも適正値が存在すること。
コ 上記キの条件において、安定化効率が11%以上の良好な効率が確保される範囲は、非晶質シリコン太陽電池の膜厚が100?400nm、結晶質シリコン太陽電池の膜厚が1?3μmの範囲(図6中におけるハッチ部)であり、この範囲において最大13%程度の安定化効率が実現されること。
サ 上記キの条件において、薄い膜厚の非晶質シリコン太陽電池および結晶質シリコン太陽電池で高安定化効率を実現し、各積層における歪み応力が減少することにより、信頼性の高い薄膜シリコン積層型太陽電池が実現されること。
シ 上記キの条件において、第2透明電極の膜厚が最適化されることにより、ボトムセルである結晶質シリコン太陽電池に吸収されなかった長波長領域(波長800nm)の太陽光を、第2透明電極および裏面電極で効率良く反射させ、結晶質シリコン太陽電池層中に長波長領域の太陽光を効率良く再入射させることにより、ボトムセルである結晶質シリコン太陽電池における発電電流が増大し、薄膜シリコン積層型太陽電池全体での安定化効率が向上すること。
ス 上記キの条件において、第2透明電極(ZnO)の波長600?1200nmに対する光学特性として、光吸収率は1%未満であり、この波長領域に対してはほぼ透明であるとき、第2透明電極の膜厚を20?100nmとすることで、12%以上の安定化効率を維持した薄膜シリコン積層型太陽電池を実現することができること。

(3)上記(2)によれば、本願補正発明の薄膜シリコン積層型太陽電池が「安定化効率が11%以上である」との構成に関連して、発明の詳細な説明には、
ア 非晶質シリコン太陽電池の膜厚を薄くし、安定化効率を向上させる
イ 第1導電膜(第1透明電極)に形成された凹凸部の凹凸のピッチおよび高低差の値を最適化し、太陽電池内における太陽光の入射経路を長くして安定化効率を向上させる
ウ 中間導電層(透明中間層)を、非晶質シリコン太陽電池と結晶質シリコン太陽電池との間に両者の発電電流バランスを考慮して膜厚を決めて設けることにより、高い安定化効率を有する薄膜シリコン積層型太陽電池が実現される
エ 上記アないしウを満たす例として、以下の例が記載される
(ア)ピッチが0.6μmで、高低差が0.2μmである凹凸部を太陽光進行方向面上に有する第1導電層(第1透明電極)を有する
(イ)上記(ア)において、非晶質シリコン太陽電池を250nm、結晶質シリコン太陽電池を2μm、ZnOにより形成され厚さ60nmであり1.5%のGaがドープされ酸素含有雰囲気下でスパッタリングにより積層された中間導電層(透明中間層)を備えるとき、安定化効率12.4%が実現される
(ウ)上記(イ)において、安定化効率が11%以上の良好な効率が確保される範囲は、非晶質シリコン太陽電池の膜厚が100?400nm、結晶質シリコン太陽電池の膜厚が1?3μmの範囲(図6中におけるハッチ部)であり、この範囲において最大13%程度の安定化効率が実現される
(エ)上記(イ)において、中間導電層(第2透明電極(ZnO))の波長600?1200nmに対する光学特性として光吸収率は1%未満でありこの波長領域に対してはほぼ透明であるとき、中間導電層(第2透明電極)の膜厚を20?100nmとすることで、12%以上の安定化効率を維持した薄膜シリコン積層型太陽電池を実現する
との技術事項が開示されている。

(4)ア 他方、本願補正発明は、上記1のとおり、第1導電層の太陽光進行方向面に形成される凹凸部のピッチ、高低差、第1及び第2太陽電池層(非晶質あるいは結晶質に特定されないものである。)の厚さの範囲を特定しつつ、安定化効率が11%以上であることを特定するものであって、このうち安定化効率が11%以上であるとの特定事項は、薄膜シリコン積層型太陽電池の特性を規定するものと解されるところである。
イ ここで、上記(3)エ(ウ)のように、安定化効率が11%以上を確保できるとされる、図6のハッチ部に示される範囲のものは、上記凹凸部のピッチ、高低差、各太陽電池層の厚さが本願補正発明に特定される範囲に含まれるものであることが認められるものの、本願補正発明に特定される範囲の一部のものが安定化効率11%以上であることを示すにとどまり、「安定化効率が11%以上である」との特性が、薄膜シリコン積層型太陽電池のどのように特定される事項に基づいて得られるものであるかを示すものとはいえない。
ウ そうすると、発明の詳細な説明を参酌しても、本願補正発明における「安定化効率が11%以上である」との特性は、どのような事項により特定される薄膜シリコン積層型太陽電池において得られるものなのか明確でないから、本願補正発明は、明確でない。

(5)また、上記(3)エの例では、「安定化効率が11%以上である」との特性を得ることが理解できるものの、かかる技術事項の記載をもって、当該例に限定されない本願補正発明の範囲まで「安定化効率が11%以上である」ものとして一般化できないから、本願補正発明が、発明の詳細な説明に実質的に記載されているとはいえない。

(6)以上のとおり、本願補正発明が明確であるとはいえないから、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。また、本願補正発明は、発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえないから、特許請求の範囲の記載は、同第1号に規定する要件を満たしていない。よって、本願補正発明は、独立して特許を受けることができない。

3 むすび
以上の検討によれば、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成20年7月24日付け手続補正によって補正された特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項によって特定されるものであるところ、請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1で、本件補正前の請求項2として記載されたとおりのものである。

2 刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開2003-347572号公報(以下「引用例」という。)には、図とともに次の事項が記載されている。

(1)「【請求項1】 透明絶縁基板上に順次堆積された透明電極、複数の光電変換ユニット、および裏面電極を含み、
前記複数の光電変換ユニットの間の少なくとも1つの境界において光を部分的に反射しかつ部分的に透過する中間層が挿入されており、
前記中間層は10?90nmの範囲内の平均厚さを有し、
前記中間層の上面は10?50nmの範囲内にある第一の平均凹凸ピッチを有する第一の表面凹凸形状を含んでいることを特徴とするタンデム型薄膜光電変換装置。
【請求項2】 前記複数の光電変換ユニットは、1以上の非晶質光電変換ユニットと1以上の結晶質光電変換ユニットとを含んでいることを特徴とする請求項1に記載のタンデム型薄膜光電変換装置。
【請求項3】 前記中間層は、酸化亜鉛、酸化錫、またはインジウム錫酸化物を含む透明導電性酸化物を主要成分として含むことを特徴とする請求項1または2に記載のタンデム型薄膜光電変換装置。
【請求項4】 前記中間層の上面において、前記第一平均凹凸ピッチと異なる第二の平均凹凸ピッチを有する第二の表面凹凸形状が前記第一表面凹凸形状に重畳されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のタンデム型薄膜光電変換装置。
【請求項5】 前記中間層の上面における前記第二平均凹凸ピッチは、前記透明電極の上面に形成された表面凹凸形状に起因していることを特徴とする請求項4に記載のタンデム型薄膜光電変換装置。
【請求項6】 前記第二平均凹凸ピッチは、前記第一平均凹凸ピッチに比べて大きいことを特徴とする請求項4または5に記載のタンデム型薄膜光電変換装置。
【請求項7】 前記透明電極の上面は、200?900nmの範囲内の平均凹凸ピッチを有する表面凹凸形状を含んでいることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のタンデム型薄膜光電変換装置。」

(2)「【0049】(実施例1)実施例1として、図1に示されているようなハイブリッド型薄膜光電変換装置が作製された。厚さ1.1mmで一辺が127mmの正方形ガラス基板1上に、ピラミッド状の表面凹凸と800nmの平均厚さを有する酸化錫層が、透明電極2として熱CVD法にて形成された。得られた透明電極2のシート抵抗は、約9Ω/□であった。また、透明電極2が形成されたガラス基板1に対して特定の波長分布を有する標準光Cを照射して測定したヘイズ率は12%であり、透明電極2の上面における凹凸の平均高低差dは約100nmであった。この透明電極2の上に、厚さ15nmのp型非晶質シリコンカーバイド層111、厚さ0.25μmのi型非晶質シリコン光電変換層112、および厚さ15nmのn型微結晶シリコン層113からなる非晶質シリコン光電変換ユニット11がプラズマCVD法で形成された。
【0050】非晶質シリコン光電変換ユニット11の形成後にプラズマCVD室から大気中に基板を取り出し、その後にMOCVD室内にて150℃の基板温度で厚さ30nmの酸化亜鉛層が中間層3として形成された。このMOCVD法においては、ジエチルジンク、水、およびジボランが、気体の状態で成膜室内部に導入され、すなわちB2H6ガスが酸化亜鉛層のドーパントとして用いられた。
【0051】中間層3の形成後に基板はMOCVD室から大気中に取り出され、速やかに結晶質シリコン光電変換ユニット12を形成するためのプラズマCVD室内にその基板が導入された。そのプラズマCVD室内では、厚さ15nmのp型微結晶シリコン層121、厚さ2.3μmのi型結晶質シリコン光電変換層122、および厚さ15nmのn型微結晶シリコン層123からなる結晶質シリコン光電変換ユニット12が形成された。その後、裏面電極13として、Alドープされた厚さ90nmの酸化亜鉛層と厚さ300nmのAg層がスパッタ法にて順次形成された。
【0052】図2は本実施例1で形成された中間層3の上面における一辺1.5μmの正方形領域を観察した原子間力顕微鏡(AFM)像を示し、図3はそのAFM測定から得られた表面凹凸形状を示している。この図3のグラフにおいて、横軸の1目盛は0.1μmを表わし、縦軸の1目盛は10nmを表わしている。なお、このAMF測定には、nano-rシステム(Pacific Nanotechnology社製)のノンコンタクトモードが用いられた。
【0053】図3の表面凹凸形状中で、典型的な1つの小さな凸部の径に対応するAB間距離(隣接する2つの凹部間で基板に平行に測定されたピッチに相当)は28.8nmである。このような小さなピッチの凹凸(第一の表面凹凸形状)に加えて、図3において明瞭に見られるように、前面電極2の表面凹凸に由来する300?400nmの大きなピッチの凹凸(第二の表面凹凸形状)も存在している。この第二表面凹凸形状における高低差dは60nm程度であり、前面電極2の表面凹凸に比べて、非晶質シリコン光電変換ユニット11が介在していることによって小さくなっている。
【0054】図4の表面凹凸形状は、実施例1の中間層3と同様のMOCVD条件で平らなガラス板上に形成された酸化亜鉛膜のAFM測定結果を示している。なお、図4のグラフにおいて、横軸の1目盛は0.1μmを表わし、縦軸の1目盛は5nmを表わしている。この酸化亜鉛膜において、一辺1.5μmの正方形のAFM測定領域内では、算術平均粗さRaを面内で平均した平均面粗さSaが1.1nmであった。このことから、中間層3の第一表面凹凸形状における平均高低差は約2.2nmであることが分かる。なお、図4の表面凹凸形状中で、典型的な1つの小さな凸部の径に対応するCD間距離(隣接する2つの凹部間でガラス板に平行に測定されたピッチに相当)は23.4nmである。
【0055】図3と図4の比較から、実施例1における中間層3の表面凹凸形状は以下のように形成されると考えられる。すなわち、透明電極2の表面凹凸形状(本実施例では300?400nmピッチの凹凸)の上方に光電変換ユニット11を介して中間層3が形成されるので、透明電極2の表面凹凸が光電変換ユニット11を介して中間層3に伝わって大きなピッチの凹凸(第二表面凹凸形状)が形成され、さらに中間層3の成長自体に起因して生じる小さなピッチの凹凸(第一表面凹凸形状)が重畳されると考えられる。
【0056】以上のようにして得られた実施例1のハイブリッド型薄膜光電変換装置(受光面積1cm^(2))において、ソーラシミュレータからのAM1.5の光を100mW/cm^(2)の光量で照射して25℃で出力特性を測定したところ、開放端電圧(V_(oc))が1.36V、短絡電流密度(J_(sc))が11.9mA/cm^(2)、曲線因子(F.F.)が74.0%、そして変換効率(Eff.)が12.0%であった。」

(3)上記(2)に照らして図1をみると、透明電極2は、太陽光が進行する方向の面に表面凹凸を形成することがみてとれる。

(4)上記(2)及び(3)からみて、引用例には、
「正方形ガラス基板上に、太陽光が進行する方向の面に形成するピラミッド状の表面凹凸と800nmの平均厚さを有する酸化錫層が透明電極として形成され、該透明電極の上面における凹凸の平均高低差dが約100nmであり、該透明電極の表面凹凸が300?400nmピッチの凹凸であり、この透明電極の上に、厚さ15nmのp型非晶質シリコンカーバイド層、厚さ0.25μmのi型非晶質シリコン光電変換層および厚さ15nmのn型微結晶シリコン層からなる非晶質シリコン光電変換ユニットがプラズマCVD法で形成され、前記非晶質シリコン光電変換ユニットの形成後にプラズマCVD室から大気中に基板を取り出し、その後にMOCVD室内にて酸化亜鉛層が中間層として形成され、前記中間層の形成後に基板がMOCVD室から大気中に取り出され、速やかに結晶質シリコン光電変換ユニットを形成するためのプラズマCVD室内にその基板が導入され、そのプラズマCVD室内では、厚さ15nmのp型微結晶シリコン層、厚さ2.3μmのi型結晶質シリコン光電変換層および厚さ15nmのn型微結晶シリコン層からなる結晶質シリコン光電変換ユニットが形成され、その後、裏面電極として、Alドープされた酸化亜鉛層とAg層が順次形成される、ハイブリッド型薄膜光電変換装置。」

の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

3 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「正方形ガラス基板」、「透明電極」、「非晶質シリコン光電変換ユニット」、「結晶質シリコン光電変換ユニット」及び「ハイブリッド型薄膜光電変換装置」は、それぞれ、本願発明の「透明基板」、「第1導電層」、「第1太陽電池層」、「第2太陽電池層」及び「薄膜シリコン積層型太陽電池」に相当する。

(2)引用発明は、太陽光が進行する方向の面に形成するピラミッド状の表面凹凸を有する酸化錫層が透明電極として形成されるから、上記(1)に照らせば、引用発明は、本願発明の「第1導電層は、太陽光進行方向面に凹凸部が形成され」との事項を備えるとともに、引用発明の「透明電極」は、その上面における凹凸の平均高低差dが約100nmであり、表面凹凸が300?400nmピッチの凹凸であるから、引用発明の「透明電極」は、本願発明の「第1導電層」と、「凹凸部」の「ピッチが0.2?2.5μmで、高低差が前記ピッチの1/2?1/4」である点で一致するものといえる。

(3)引用発明の「非晶質シリコン光電変換ユニット」は、透明電極の上に形成するものであって、厚さ15nmのp型非晶質シリコンカーバイド層、厚さ0.25μmのi型非晶質シリコン光電変換層および厚さ15nmのn型微結晶シリコン層からなり、これら3層の厚さの合計は280nmであるから、上記(1)に照らせば、引用発明は、本願発明の「第1導電層上に形成される第1太陽電池層」、「第1太陽電池層の厚さが100?400nmであり」との事項を備える。

(4)引用発明は、酸化亜鉛層が中間層として形成されるところ、ハイブリッド型薄膜光電変換装置に用いられる酸化亜鉛層が導電性であることは当業者に自明であるから、引用発明の「中間層」は、本願発明の「中間導電層」に相当するとともに、引用発明は、非晶質シリコン光電変換ユニットの形成後に中間層が形成され、前記中間層の形成後に結晶質シリコン光電変換ユニットを形成するから、上記(1)に照らせば、引用発明は、本願発明の「第1太陽電池層上に積層される第2太陽電池層」、「第1太陽電池層と第2太陽電池層との間に中間導電層とを具備し」との事項を備える。

(5)引用発明の「結晶質シリコン光電変換ユニット」は、厚さ15nmのp型微結晶シリコン層、厚さ2.3μmのi型結晶質シリコン光電変換層および厚さ15nmのn型微結晶シリコン層からなり、これら3層の厚さの合計は2.33μmであるから、上記(1)に照らせば、引用発明は、本願発明の「第2太陽電池層の厚さが1?3μmである」との事項を備える。

(6)上記(1)ないし(5)から、本願発明と引用発明とは、
「透明基板上に形成される第1導電層と、
前記第1導電層上に形成される第1太陽電池層と、
前記第1太陽電池層上に積層される第2太陽電池層と、
前記第1太陽電池層と前記第2太陽電池層との間に中間導電層とを具備し、
前記第1導電層は、太陽光進行方向面に凹凸部が形成され、該凹凸部は、ピッチが0.2?2.5μmで、高低差が前記ピッチの1/2?1/4であり、
前記第1太陽電池層の厚さが100?400nmであり、
前記第2太陽電池層の厚さが1?3μmである、薄膜シリコン積層型太陽電池。」の点で一致し、相違する点はない。

(7)したがって、本願発明は、引用例に記載された発明である。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-07-27 
結審通知日 2010-08-03 
審決日 2010-08-16 
出願番号 特願2004-305144(P2004-305144)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H01L)
P 1 8・ 113- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加藤 万里子瀬川 勝久  
特許庁審判長 服部 秀男
特許庁審判官 右田 昌士
田部 元史
発明の名称 薄膜シリコン積層型太陽電池  
代理人 藤田 考晴  
代理人 上田 邦生  

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