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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200520859 審決 特許

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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性  A23L
審判 一部無効 1項3号刊行物記載  A23L
管理番号 1224357
審判番号 無効2008-800246  
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-11-06 
確定日 2010-09-29 
事件の表示 上記当事者間の特許第3881494号発明「納豆菌培養エキス」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 請求の趣旨・手続の経緯
1 本件特許
本件特許第3881494号は、その出願が平成12年4月21日にされ、平成18年11月17日に特許権の設定登録がされた。

2 本件審判請求時の請求の趣旨及びその理由の概要
請求人は、平成20年11月6日に、本件特許第3881494号の特許請求の範囲の請求項1に係る発明についての特許(以下、「本件特許1」という。)が、下記(1)?(2)の理由により特許法第123条第1項第2号に該当し、無効である、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めて、本件審判を請求した。
(1)本件特許1は、請求項1に係る発明が本件特許の出願より前に頒布された刊行物である甲第1号証、甲第2号証又は甲第3号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。
(2)本件特許1は、請求項1に係る発明が本件特許の出願より前に頒布された刊行物である甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証又は甲第5号証に記載された発明及び甲第4号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

3 以降の手続の経緯
本件審判は、上記「2」の請求の趣旨及び理由により、平成20年11月6日に請求されたものであり、以降の手続の経緯は、以下のとおりである。
・平成20年11月27日付け 請求書副本の送付(答弁指令)
・平成21年 1月30日 答弁書及び訂正請求書
・平成21年 2月19日付け 答弁書副本の送付
・平成21年 4月16日 口頭審理陳述要領書(請求人)
・平成21年 4月16日 口頭審理陳述要領書(被請求人)
・平成21年 4月16日 口頭審理
・平成21年 4月24日 上申書(請求人)
・平成21年 5月 8日 上申書(請求人)
・平成21年 5月 8日 上申書(被請求人)
・平成21年 5月22日 上申書(請求人)
・平成21年 5月22日 上申書(被請求人)
(以下、両当事者が提出した各手続書類につき、書類名に提出者を括弧書きで付加し、「口頭審理陳述要領書(請求人)」のようにいうことがある。)

第2 本件特許発明について
本件特許第3881494号の請求項1?5に係る発明(以下、請求項1に係る発明を「本件特許発明1」といい、請求項1?5に係る発明を併せて「本件特許発明」という。)は、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、本件審判請求に係る本件特許発明1は、次のとおりのものである。

【請求項1】「ナットウキナーゼと1μg/g乾燥重量以下のビタミンK2とを含有する納豆菌培養液またはその濃縮物を含む、ペースト、粉末、顆粒、カプセル、ドリンクまたは錠剤の形態の食品。」

第3 無効審判請求人の主張する無効理由の概要
上記「第1 2」で述べたように、請求人の主張する無効理由は概略以下(1)?(2)のとおりである。
(1)本件特許発明1は、甲第1号証、甲第2号証又は甲第3号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。よって、本件特許1は、特許法第29条の規定に違反してなされたものであるから、同法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきである。
(2)本件特許発明1は、甲第1号証、甲第2号証,甲第3号証又は甲第5号証に記載された発明及び甲第4号証の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。よって、本件特許1は、特許法第29条の規定に違反してなされたものであるから、同法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきである。

しかしながら、平成21年4月16日の第1回口頭審理の調書のとおり、請求人は、下記a?bに係る無効理由を撤回している。

a 本件特許発明1は、甲第2号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、本件特許1は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである旨の無効理由

b 本件特許発明1は、甲第2号証に記載された発明及び甲第4号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許1は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである旨の無効理由

そうすると、請求人の主張する無効理由は、以下のとおりのものである。
1 本件特許発明1は、甲第1号証又は甲第3号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。よって、本件特許1は、特許法第29条の規定に違反してなされたものであるから、同法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきである。
2 本件特許発明1は、甲第1号証、甲第3号証又は甲第5号証に記載された発明及び甲第4号証の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。よって、本件特許1は、特許法第29条の規定に違反してなされたものであるから、同法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきである。
(以下、「無効理由1」及び「無効理由2」という。)

第4 証拠方法及び主な証拠方法の内容
1 請求人が提出したもの
(1)特開昭61-162184号公報(甲第1号証)
(2)特開平1-180834号公報(甲第2号証)
(3)特開平8-208512号公報(甲第3号証)
(4)特開平3-297358号公報(甲第4号証)
(5)特開平11-92414号公報(甲第5号証)
(6)特開2006-180790号公報(甲第6号証)
(7)平成18年6月15日付け意見書(甲第7号証)
(8)平成18年10月26日付け特許メモ(甲第8号証)
(9)化学大辞典、(株)東京化学同人、278頁「HLB」の項(1989年10月20日)(甲第9号証)
(10)理化学辞典、(株)岩波書店、1437頁「臨界ミセル濃度」の項(1985年2月15日)(甲第10号証)
(11)特公平8-13271号公報(甲第11号証)
(12)生化学辞典、(株)東京化学同人、730頁「疎水性アミノ酸」の項(1987年4月1日)(甲第12号証)
(13)生化学辞典、(株)東京化学同人、1225頁?1226頁「膜内在性タンパク質」の項(1987年4月1日)(甲第13号証)
(14)化学便覧 基礎編、丸善株式会社、I-140頁「塩化カリウム」の項(昭和63年11月20日)(甲第14号証の1)
化学便覧 基礎編、丸善株式会社、II-170頁「塩化カリウム」の項(昭和63年11月20日)(甲第14号証の2)
(15)タンパク質実験ノート(上)、(株)羊土社、109頁「イオン交換クロマトグラフィー」の項(2006年6月20日)(甲第15号証)
(16)タンパク質実験ノート(下)、(株)羊土社、29頁(2004年4月10日)(甲第16号証)
(17)生化学辞典、(株)東京化学同人、44頁?45頁「アフィニティークロマトグラフィー」の項(1987年4月1日)(甲第17号証)
(18)ACTA HAEMATOLOGICA JAPONICA, Vol.41, p. 766-770(1978)(甲第18号証)
(19)(株)日本生物科学研究所のHP、http://www.jbsl-net.com/products/index.htmlのプリントアウト(甲第19号証)
(20)健康産業新聞、(株)ホンダトレーディングの「ナットウキナーゼ」の広告(2006.03.01)(甲第20号証の1)
健康産業新聞、(株)ホンダトレーディングの「ナットウキナーゼ」の広告(2006.03.08)(甲第20号証の2)
健康産業新聞、(株)ホンダトレーディングの「ナットウキナーゼ」の広告(2006.03.15)(甲第20号証の3)
健康産業新聞、(株)ホンダトレーディングの「ナットウキナーゼ」の広告(2007.11.14)(甲第20号証の4)
(21)特許第3046303号公報(甲第21号証)
(22)特許第2519443号公報(甲第22号証)
(23)特開平11-18712号公報(甲第23号証)
(24)Eur. J. Biochem., Vol.192, p.219-224(1990)(甲第24号証)
(25)化学便覧 応用化学編、丸善株式会社、628頁「キチン・キトサン」の項(昭和63年11月15日)(甲第25号証)
(26)特開昭59-160509号公報(甲第26号証)
(27)生化学実験講座1 タンパク質の化学II 一次構造決定法、(株)東京化学同人、23頁?24頁(1979年3月30日)(甲第27号証)

2 被請求人が提出したもの
(1)化学大辞典、(株)東京化学同人、1873頁(1996年4月1日)(乙第1号証)
(2)生化学辞典 第3版、(株)東京化学同人、1374?1375頁頁(1998年10月8日)(乙第2号証)
(3)Journal of Food Biochemistry, Vol.29, p.267-277(2005)(乙第3号証)
(4)平成13年3月27日 厚生労働省医薬局長通達「医薬品の範囲に関する基準の改正について」(医薬発第243号)(参考資料)
(5)試験結果報告書(乙第4号証)
(6)健康補助食品規格基準集-その2-、財団法人 日本健康・栄養食品協会、19頁?24頁(平成15年5月1日)(乙第5号証)
(7)日本家政学会誌, Vol.43, No.7, p.643-648(1992)(乙第6号証)
(8)栄養・食糧学用語辞典、日本栄養・食糧学会編、建帛社、65頁(2007年10月25日)(乙第7号証)
(9)Experientia, Vol.43, p.1110-1111(1987)(乙第8号証)
(10)特許第4068103号公報(乙第9号証)

3 特開昭61-162184号公報(甲第1号証)について
その出願前頒布された刊行物であることが明らかな特開昭61-162184号公報(甲第1号証)には、以下の記載がある。

1-a「1)納豆、納豆菌およびその培養液から抽出され、下記の特性を有することを特徴とする新規な線溶酵素
分子量:約20,000(SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法およびセファデックスG-100によるゲル濾過で測定した。)
等電点:約8.6
性状:白色無定形粉末
紫外部吸収スペクトル:吸収極大は280nm付近に、吸収極小は250nm付近に存在する。
安定pHの範囲:pH6?11で安定(pH安定性は20℃で15分間放置した後の線溶活性を測定することによつて決定した。)

基質特異性:天然基質であるフィブリンに対する強い分解活性と共に、プラスミンの合成基質であるS-2251(カビ社)に対する分解活性を示した。…
3)納豆、納豆菌を慣用の増殖培地中で培養し、新規な線溶酵素を含有する培養液を回収し得られた液より精製する新規な線溶酵素の取得法。
4)得られた抽出液および培養液をそのまま、または適当な時間、適用な温度に保持した後、濃縮透析または乾燥した後、極性有機溶媒、塩折限外濾過、吸着剤、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過、アフィニティクロマトグラフィー、又は等電点電気泳動の操作を2種類以上組み合わせて精製する特許請求範囲第2項、第3項記載の方法。」(【特許請求の範囲】)

1-b「本発明の新規な線溶酵素は前記したように、納豆、納豆菌およびその培養液からはじめて得られた物質であり、従来より認められているヒト血漿中のプラスミンあるいはウロキナーゼよりも分子量が小さい。また基質特異性も特徴的でフィブリンに対し非常に強い分解活性を持つ。即ち本発明の新規線溶酵素は本発明者がはじめて納豆、納豆菌およびその培養液から得た物質であり、優れた線溶活性を持つことからマイクロカプセル化などして直接静注することにより、一般に線溶酵素が用いられている血栓症、寒栓症の治療への応用が期待される。また、ウロキナーゼで最近行なわれているように経口投与を行なうことによつて、特に長時間投与して害のないことから血栓症などの治療のみならず、その予防薬としても期待される。」(3頁左下欄3行?17行)

1-c「〔実施例2〕
300ml害フラスコ5個に各々200mlの培養基〔ヘンネベルク(Henneberg)液:グルコース6g、ペプトン2g、酒精8ml、肉エキス2gを含む〕を入れ、殺菌した後あらかじめ普通寒天培地に予備培養しておいた菌株である納豆菌(Bacillus natto)10?20mlを接種し、43-45℃で40時間振盪培養した。次に、培養液を集め、1,850×g10分間遠心し、この上清を使用するまで-20℃に保存した。培養液を合して攪拌しながら等量のアセトンを加え、ガーゼで濾過し得られた上清をエバポレーターで濃縮し、実施例1と同条件のゲル濾過にかけた。活性の主ピークに得られた蛋白量は約28mg、線溶活性は約80CU/mg蛋白であった。」(4頁左上欄6行?右上欄1行)

1-d「〔実施例4〕
実施例2により得た培養上清1.5lを限外濃縮して液量を約50mlとし、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)で24時間透析した後、同緩衝液にて平衡化した。Nアルファ・イプシロンアミノカプロイル-DL-ホモアルギニンヘキシルエステル-ヤファロースに吸着させた。この樹脂の調整およびカラム操作は須見らの方法〔アクタ・ヘマトロジカ・ジャポニカ(Acta Hcfm Jap.)41巻、766頁(1978年)〕に従つて行なった。吸着後2M NaClを含む同緩衝液でよく洗浄し、次いで6M 尿素および2M NaClを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)にて吸着分画を溶出し、溶出分画を0.15M重炭酸アンモニウムで透析後、限外濃縮し、さらにセファデックスG-100によるゲル濾過した。線溶酵素の溶出位置は分子量約20,000であつた。この分画を透析し、凍結乾燥することにより精製品約7.4mgを得た。この精製品の比活性は約47.5CU/mg蛋白であつた。」(4頁右上欄15行?左下欄15行)


4 特開平8-208512号公報(甲第3号証)について
その出願前頒布された刊行物であることが明らかな特開平8-208512号公報(甲第3号証)には、以下の記載がある。

3-a「納豆菌の生産する線溶酵素を有効成分としてなる血栓形成阻害剤」(【特許請求の範囲】の【請求項1】)

3-b「納豆菌の生産する線溶酵素についてはその抽出、精製法、性状、物性および用途が前記数種の文献に発表され、多くの場合ナットウキナーゼと呼ばれているので、本明細書においても以下この酵素をナットウキナーゼと略称する。」(【0009】)

3-c「本発明に用いるナットウキナーゼは粗製物でも精製物でもよい。
ナットウキナーゼは納豆または納豆菌の培養物に含まれ、中性もしくは弱塩基性の水または塩化ナトリウムや塩化カリウムなどを含む、リン酸緩衝液(pH6?8)、トリス緩衝液(pH7?9)を用いて抽出することができる。抽出液中のナットウキナーゼはメタノール、エタノールのような低級脂肪族アルコールを60?80v/v%となるように、または硫酸アンモニウムを40?60w/v%となるように、加えれば沈澱させることができる。この沈澱中のナットウキナーゼはブチルセファローズ^(R)、アルキルセファローズ^(R )(ファルマシア社)のような疏水性担体やモノーQ^(R) 、Qセファローズ・ファスト・フロウのような強塩性陽イオン交換体に吸着および溶出させるクロマトグラフィで精製することができ、あるいは陰イオン交換体に不純物を吸着、除去して精製できる。さらにセファクリルS-200^(R) やセファデックスQ^(R) (ファルマシア社)のような担体を用いるゲル濾過クロマトグラフィにより精製することができる。
これらのクロマトグラフィは前記の発表された方法またはそれに準じた方法の1または2以上を用いることができる。」(【0010】)

3-d「本発明の酵素剤は経口投与に適しているが胃酸によりナットウキナーゼが分解することを防ぐため、腸溶製剤の形で投与することが好ましい。腸溶製剤は、酵素含有粉末、顆粒または溶液を腸溶カプセルに充填し、あるいは顆粒や錠剤をエンテリックコーティングすることで調製しうる。」(【0014】)

3-e「参考例2(培養ナットウキナーゼ精製物の製造)
2%フラクトース、1.5%イソペプトン(Difco Lab.)、0.2%酵母エキス、0.1%リン酸二水素カリウム、0.3%リン酸水素二カリウム、0.05%硫酸マグネシウム・5水和物、0.02%塩化カルシウム・2水和物、pH7.0の組成に終濃度2%のマルトースを加えた培地100mlを500ml容三角フラスコに入れ、納豆菌であるバチルス・ズブチリスB-407株(微工研条寄4043号)を接種して、0℃で18時間種母培養した。種母培養液50ml(2%)を0.1%カラリンを含む同じ組成の培地2.5リットルの入った5リットル容発酵槽に加え、回転数800rpm、30℃で毎分2.5リットルの空気を送りながら、70時間通気攪拌培養した。その培養上清に終濃度1.5Mとなるように硫安を加え、あらかじめ1.5M硫安、10mMリン酸ナトリウムpH7.2で平衡化しておいたブチル・セファロース4ファーストフロー(ファルマシア)に吸着させた。同緩衝液で洗浄した後、0.5M硫安、10mMリン酸ナトリウム、pH7.2でナットウキナーゼを段階溶出させ、合成基質Suc-Ala-Ala-Pro-Phe-pNAに対する水解活性の画分を採取した。セファデックスG-25(ファルマシア)により、10mMリン酸ナトリウム、pH7.2に緩衝液を交換したのち、S-セファロース ファーストフロー(ファルマシア)に吸着させ、同緩衝液で洗浄後、0.1M塩化ナトリウム、10mMリン酸ナトリウム、pH7.2で段階溶出させ、同様に活性画分を採取した。
最後に、0.12M塩化ナトリウム、10mMリン酸ナトリウム、pH7.5で平衡化したセファクリルS-200HR(ファルマシアにてゲル濾過を行い単一のピークを示す活性画分として精製ナットウキナーゼを得た。」(【0018】)


5 特開平3-297358号公報(甲第4号証)について
特開平3-297358号公報(甲第4号証)には、以下の記載がある。

4-a「1.納豆を製造するに際して、ビタミンK低産生性である納豆菌変異株A-1(Bacillus sp.A-1)を使用することを特徴とするビタミンK含量の低い納豆の製造方法」(【特許請求の範囲】)

4-b「〔従来の技術〕
納豆菌は、枯草菌の一種で、ビタミンKの産生作用は非常に強く、一般にビタミンK産生作用が強いと言われている大腸菌の12?13倍にも達する。…それ故、栄養上の観点から納豆を食することは一般に推奨されている。」(1頁右下欄1行?9行)

4-c「〔発明が解決しようとする課題〕
ところがビタミンKは血液凝固因子でもあることから、例えば手術後血栓症の発生を予防する抗凝固療法を行っている患者や血栓症の危険性のある人は、納豆を食することを通常控えるのが望ましいとされている。
それ故、ビタミンKの含量が低い納豆を提供し得るならば、一般の消費者は無論このような症状に悩んでいる人も安心して食することができ、産業上益することは多大である。」(1頁右下欄10行?19行)


6 特開平11-92414号公報(甲第5号証)について
その出願前頒布された刊行物であることが明らかな特開平11-92414号公報(甲第5号証)には、以下の記載がある。

5-a「【請求項1】 枯草菌培養液中に存在するビタミンK_(2)含有水溶性ミセルを不溶性化した後、該水不溶物を分離、回収することを特徴とするビタミンK_(2)濃縮物の製造法。
【請求項2】 ビタミンK_(2)含有水溶性ミセルを不溶性化する方法が、培養液のpHを6.0以下に調整することである請求項第1項記載のビタミンK_(2)濃縮物の製造法。
【請求項3】 ビタミンK_(2)含有水溶性ミセルを不溶性化する方法が、培養液に塩類を添加することである請求項第1項記載のビタミンK_(2)濃縮物の製造法。
【請求項4】 ビタミンK_(2)含有水溶性ミセルを不溶性化する方法が、培養液に有機溶媒を添加することである請求項第1項記載のビタミンK_(2)濃縮物の製造法。」(【特許請求の範囲】)

5-b「【発明の属する技術分野】
本発明は、枯草菌培養液から、ビタミンKを効率的に回収することを目的としたビタミンK濃縮物の製造法に関する。」(【0001】)

5-c「本発明において、ビタミンK_(2)含有水溶性ミセルを不溶性化するために枯草菌培養液中に添加する塩類としては、前記塩類のほか、硫酸アンモニウムや硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等があり、これらは1種単独又は2種以上を組合わせて使用できる。
その際には、水溶性ミセルの沈殿を形成させるためには、10%飽和以上で効果が現れるが、好ましくは30%飽和以上、より好ましくは45%飽和以上添加すると良い。」(【0011】)

5-d「本発明において、ビタミンK_(2)含有水溶性ミセルを不溶性化するために枯草菌培養液中に添加する有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコールや、炭素数5?10の炭化水素あるいは、炭素数2?10のエーテル、エステル、ケトンの群から選ばれる有機溶媒があり、これらは1種単独又は2種以上を組合わせて使用できる。
その際には、水溶性ミセルの沈殿を形成させるためには、培養液100容量部に対して有機溶媒を10容量部以上、好ましくは50容量部以上、更に好ましくは70容量部以上添加すると良い。」(【0012】)

5-e「本発明に用いる培養液を製造するために使われる菌株は枯草菌(Bacillus subtilis) に属する菌種であればよく、汎用性という観点からは納豆の製造に使われる納豆菌が好ましい。また、枯草菌や納豆菌を変異処理などにより育種あるいは選抜した株により製造した培養液についても使用でき、発酵条件や培地条件などに制限はない。その中でも枯草菌培養液を得るために使用される培地としては、大豆粉、大豆煮汁、コーンスチープリカー、廃糖蜜、グルコース、シュークロースなど一般的に発酵工業で使用されている培地が良い。また、脱脂大豆、挽き割り大豆あるいは丸大豆など固形の培地を使って枯草菌を培養後、水や塩溶液などと混合して培養液を得ることもできる。」(【0015】)

第5 当審の判断
事案に鑑み、無効理由2から検討することとする。

1 無効理由2について
無効理由2には、以下の3つの理由がある。
○甲第1号証に記載された発明及び甲第4号証の記載に基づく理由(以下、「甲第1号証を主引用例とする理由」という。)
○甲第3号証に記載された発明及び甲第4号証の記載に基づく理由(以下、「甲第3号証を主引用例とする理由」という。)
○甲第5号証に記載された発明及び甲第4号証の記載に基づく理由 (以下、「甲第5号証を主引用例とする理由」という。)
そこで、上記の順に、各理由につき検討する。

(1)甲第1号証を主引用例とする理由について
ア 甲第1号証に記載された発明
甲第1号証は、「新規な線溶酵素」に関して記載するものである(摘記1-a)。甲第1号証には、「納豆、納豆菌およびその培養液から抽出された新規な線溶酵素」が、「分子量:約20,000」の「白色無定形粉末」であることが記載されている(摘記1-a)。ここで、納豆菌の産生する分子量約20,000の線溶酵素がナットウキナーゼであることは自明である(乙第8号証のSummary)。
よって、甲第1号証には、
「ナットウキナーゼを含む粉末」
の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

イ 対比
本件特許発明1と引用発明1とを対比すると、両者は、
「ナットウキナーゼを含有する粉末の形態の物品」
である点で一致し、以下の点(i)?(iii)で一応相違する。
(i)物品が、本件特許発明1においては、「1μg/g乾燥重量以下のビタミンK2」を含有するのに対して、引用発明1においては、ビタミンK2の含有量が明らかでない点
(ii)物品が、本件特許発明1においては、「納豆菌培養液またはその濃縮物を含む」のに対して、引用発明1においては、納豆菌培養液またはその濃縮物を含むのか否か明らかでない点
(iii)物品が、本件特許発明1においては、「食品」であるのに対して、引用発明1においては、用途が特定されていない(あるいは「医薬品」である)点
(以下、それぞれ「相違点(i)」、「相違点(ii)」、「相違点(iii)」という。)

ウ 相違点についての判断
(ア)特許法第29条第2項が定める要件の充足性について
特許法第29条第2項が定める要件の充足性、すなわち、特許発明について、当業者(その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者)が同条第1項各号に該当する発明(引用発明)に基づいて容易に発明することができたか否かは、通常、引用発明のうち、特許発明の構成とその骨格において共通するもの(以下、「主たる引用発明」という。)から出発して、主たる引用発明以外の引用発明(以下、「従たる引用発明」という。)及び技術常識ないし周知技術(その発明の属する技術分野における通常の知識)を考慮することにより、特許発明の主たる引用発明に対する特徴点(主たる引用発明と相違する構成)に到達することが容易であったか否かを基準として、判断されるべきものである。ところで、特許発明の特徴点は、特許発明が目的とした課題を解決するためのものであるから、容易想到性の有無を客観的に判断するためには、特許発明の特徴点を的確に把握すること、すなわち、特許発明が目的とする課題を的確に把握することが必要不可欠である(知的財産高等裁判所 平成20年(行ケ)第10096号事件 平成21年1月28日判決、及び、平成20年(行ケ)第10153号事件 平成21年3月25日判決参照)。
そこで、まず本件特許発明の課題について以下検討する。

(イ)本件特許発明1の課題について
a 本件特許明細書には、特許請求の範囲の請求項の記載のほか、次の記載がある。
a1「【0002】
【従来の技術】
納豆菌が血栓溶解酵素であるナットウキナーゼを生産することは、須見らによって発見され(Experientia 43巻、1110頁(1987))、納豆の栄養価はもちろん、健康食品としての価値が見直されている。ナットウキナーゼは、それ自身が線溶酵素として作用することが知られており、食品として摂取されると、血栓を溶解する。このナットウキナーゼは、半減期が長く、長時間効果が持続するという、極めて優れた特徴を有している。そして、同じ血栓溶解作用を有するウロキナーゼでは明確でなかった切迫期網膜中心静脈閉塞症の治療効果が、ナットウキナーゼで明確に現れたことが報告されている(西村ら、眼科臨床医報 第88巻、第9号 53?57頁(1994年))。
【0003】
そこで、ナットウキナーゼを多量に含む食品、例えば、納豆菌培養エキスを粉末あるいはカプセル化した商品が健康食品として販売されている。
【0004】
他方で、納豆菌は、培養によりビタミンK2を多く生産することが知られている。このビタミンK2は、血液凝固系の必須成分として知られている。ビタミンK2は、また、別の生理作用を有しており、その欠乏症としては、新生児の吸収障害、老人性骨粗鬆症を引き起こし、過剰症としては、溶血性貧血、脾腫、腎・肝などの障害を引き起こすといわれている。このように納豆菌培養エキスにはナットウキナーゼという血栓溶解系の作用因子とビタミンK2という血液凝固系の作用因子とが同時に含まれている。

【0006】
他方で、血栓予防のため、ビタミンK依存性凝固因子(例えば、プロトロンビンVII、IX、Xなど)の合成抑制剤を服用している患者が、血栓予防等を目的として血栓溶解酵素であるナットウキナーゼを含む納豆あるいは納豆菌培養エキスを摂取すると、ビタミンK2も同時に摂取することになり、そのビタミンK依存性凝固因子合成抑制剤の効果が打ち消されるという問題が生じる。」

a2「【0007】
そこで、血栓形成予防のため、ビタミンK2含量が低減された納豆菌培養エキス食品が望まれており、ビタミンK2を減少させる方法が試みられている。ビタミンK2を減少させる方法としては、ヘキサンなどの有機溶媒を用いて脂溶性のビタミンK2を抽出する方法がある。
【0008】
しかし、この方法では、ビタミンK2以外の脂溶性の栄養分も抽出されて除かれるという栄養学上の問題、ヘキサンなどの有機溶媒の除去が必要となるため、製造コストアップにつながるなどの製造技術面での問題、さらに、食品に有機溶媒が残留する可能性、有機溶媒の使用に対する消費者の抵抗感などの問題がある。」

a3「【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、有機溶媒などを用いることなく、簡便にビタミンK2を除去できる方法、およびその方法で生産される、ビタミンK2含量が低減された納豆菌培養エキスが求められている。」

a4「【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題点を解決することを目的として行われたものであり、ナットウキナーゼと、特定の量以下のビタミンK2とを含有する納豆菌培養エキス、およびその製造方法を提供する。本発明により、従来のナットウキナーゼを含有する食品が有していた問題点が解決され、栄養分に優れ、血液凝固因子であるビタミンK2がほとんどあるいは全く含まれないため、ビタミンK2の過剰摂取を心配することのないナットウキナーゼ活性が強化され、また、血液凝固系の疾患を有する患者にも最適な食品が提供される。」

a5「【0019】
本発明の納豆培養エキスに含まれるビタミンK2は、1μg/g乾燥重量以下であり、検出限界(0.001μg/g乾燥重量)以下の含量であり得る。ビタミンK2の除去は、キトサンを用いて行う。除去方法は、後述する。このキトサン処理により、ビタミンK2は、培養液から99%以上除去される。」

b 本件特許明細書の上記各記載によれば、本件特許発明1は、次のとおりのものと理解することができる。
(I)納豆菌は血栓溶解酵素であるナットウキナーゼ及び血液凝固系の必須成分であるビタミンK2を生産することから、納豆菌培養エキスには、ナットウキナーゼとビタミンK2が含まれているが、血栓予防のため、ビタミンK依存性凝固因子の合成抑制剤を服用している患者が、ナットウキナーゼを含む納豆菌培養エキスを摂取すると、ビタミンK依存性凝固因子の合成抑制剤の効果が打ち消されるという問題があったため、ビタミンK2含量が低減された納豆菌培養エキス食品が望まれていた(摘記a1)。
(II)そこで、納豆菌培養エキス中のビタミンK2を減少させる方法として、従来は、有機溶媒を用いて脂溶性のビタミンK2を抽出する方法が行われていたが、この方法では、ビタミンK2以外の脂溶性栄養分も除かれるという栄養学上の問題、有機溶媒の除去が必要となるため、製造コストアップにつながるなどの製造技術面での問題、さらに、食品に有機溶媒が残留する可能性、有機溶媒の使用に対する消費者の抵抗感などの問題があった(摘記a2)。
(III)本件特許発明1は、従来の納豆菌培養エキスの上記問題点を解決しようとするものであって(摘記a3)、納豆菌培養液の「キトサン処理により、ビタミンK2は、培養液から99%以上除去される」ことに着目し(摘記a5)、「ナットウキナーゼと1μg/g乾燥重量以下のビタミンK2とを含有する納豆菌培養液またはその濃縮物」を含む、請求項1に規定する構成を備えたものであり、このことにより、栄養分に優れ、血液凝固因子であるビタミンK2がほとんどあるいは全く含まれないため、ビタミンK2の過剰摂取を心配することなく、ナットウキナーゼ活性が強化され、また、血液凝固系の疾患を有する患者にも最適な食品を提供することを目的とする発明である(摘記a4)。

(ウ)本件特許発明1の「納豆菌培養液またはその濃縮物」について
a 本件特許発明1は、ナットウキナーゼと所定量以下のビタミンK2とを含有する「納豆菌培養液またはその濃縮物」を含むものであるところ、その納豆菌培養液またはその濃縮物は、納豆菌を培養した液について、さらに、少なくとも、ビタミンK2を所定量以下とする何らかの処理を行った後のものなのであるから、上記納豆菌を培養したままの液とは、ビタミンK2以外についても、組成が異なるものと認められる。
そこで、本件特許発明1でいう「納豆菌培養液またはその濃縮物」の組成について検討すると、上記(イ)で述べたように、本件特許発明1は、ビタミンK2以外の脂溶性栄養分も除かれるという栄養学上の問題を解決し、栄養分に優れ、血液凝固因子であるビタミンK2がほとんどあるいは全く含まれない食品を提供するというものであるから、本件特許発明1は「栄養分に優れている」ものであると認められる。
そして、その「栄養分」とは、納豆菌培養エキスに由来するもの、すなわち、納豆菌培養液に由来するものをいうものと解されるところ、一般に、納豆菌の培養液は、納豆菌から分泌されるナットウキナーゼやビタミンK2等の分泌物と培地成分の残渣からなるものと考えられる。
そうすると、本件特許発明1の「納豆菌培養液またはその濃縮物」に含まれる栄養分とは、少なくとも納豆菌からの分泌物及び培地成分の残渣からなる種々のものであるといえる。そして、本件特許発明1の「納豆菌培養液またはその濃縮物」は、ビタミンK2の除去工程を経ているとはいえ、その栄養分に「優れている」ものなのであるから、「少なくとも納豆菌からの分泌物及び培地成分の残渣からなる種々の栄養分が有意な量含まれているもの」であると認められる。

b 請求人の主張について
(a)請求人(株式会社ホンダトレーディング)は、平成21年5月22日付け上申書において、以下のような主張をしている。
「…明細書の発明の詳細な説明に、「本発明により、…栄養分に優れ、…食品が提供される。」と一文があるのみで請求項1の「納豆菌培養液またはその濃縮物」を栄養分にすぐれていることが必要であるとするのは、特許請求の範囲に記載されていない発明の構成要件を発明の詳細な説明の記載から不用に付加するものであり、許されない。
さらに、仮に、請求項1の「食品」が栄養分に優れているものであるとしても、請求項1の食品は「納豆菌培養液またはその濃縮物」のみからなるものではないから、「納豆菌培養液またはその濃縮物」が栄養分に優れているものである必要はない。この「食品」中に、「納豆菌培養液またはその濃縮物」と共に含まれる他の成分によって栄養分が優れたものになっていてもよいのである。
したがって、被請求人の主張する「納豆菌培養液又はその濃縮物」には栄養分が含まれていることが必要であると限定することはできず、「納豆菌培養液又はその濃縮物」とは納豆菌を培養した液体由来の成分(被請求人も培養液に含まれる成分については特定できないことを認めている。)が含まれていれば足りると解すべきである。」(2頁14行?3頁2行)
「…しかしながら、請求人は繰り返し述べているように、甲第1号証の精製品はビタミンK2は含んでいないか、またはその含量が著しく低減したものであるが、夾雑蛋白は含むものである。…以上により、本件特許の明細書に記載されている「濃縮液」が、請求項1の「納豆菌培養液またはその濃縮物」であるのだから、甲第1号証に記載の精製品も「納豆菌培養液またはその濃縮物」ということになる。」(3頁4行?4頁下から3行)
しかしながら、上記「a」で説示したように、本件特許発明1の「納豆菌培養液またはその濃縮物」は、納豆菌の培養液そのものとは異なるものであるから、どのようなものであるかを明細書の記載等を参酌して検討する必要があるものである。そして、その検討の結果、本件特許発明1の「納豆菌培養液またはその濃縮物」は「少なくとも納豆菌からの分泌物及び培地成分の残渣からなる種々の栄養分が有意な量含まれているもの」であるというべきであることは、上記のとおりである。
本件特許発明1の「納豆菌培養液またはその濃縮物」は、特定の「栄養分」が「有意な量」含まれているものであって、本件特許発明1の食品に含まれる「栄養分」とは、さらに何らかの他の栄養成分を加えた場合における、その加えた栄養分のみをいうものではない。
また、本件特許発明1の「納豆菌培養液またはその濃縮物」に含まれる栄養分は、上記のとおりの特定の「栄養分」であり、それを「有意な量」含むものであって、単に、納豆菌を培養した液体由来の一部の成分をごくわずかに含むというものではない。甲第1号証の精製品が他の蛋白質を含んでいるとしても、甲第1号証の精製品は、そこに含まれる蛋白質をもって、「納豆菌からの分泌物及び培地成分の残渣からなる種々の栄養分」であるということはできず、さらに、これらを「有意な量」含むものであるともいえないのであるから、「少なくとも納豆菌からの分泌物及び培地成分の残渣からなる種々の栄養分が有意な量含まれているもの」、すなわち、本件特許発明1の「納豆菌培養液またはその濃縮物」である、ということはできない。
よって、請求人の上記主張は採用できない。

(b)また、同日付け上申書において、「被請求人が乙第4号証として提出した「試験結果報告書」では…キトサン処理前の納豆菌培養液(試料1)とは、本来の納豆菌培養液ではなく、その上清であった。そのため、本来の納豆菌培養液にキトサン処理をして得られる「納豆菌培養液またはその濃縮物」は、本来の納豆菌培養液からビタミンK2だけがほぼ選択的に除去され、他の成分の変化はほとんどないものであるとの結論を、乙第4号証の試験結果に基づいて導くことはできない。…したがって、仮に、被請求人が乙第4号証の「試験結果報告書」に基づいて、請求項1でいう「納豆菌培養液またはその濃縮物」の意味を、納豆菌培養液の上清成分の意味であると読み替えようとしても、本件特許の明細書にはその根拠がなく、依然として上清の意味も曖昧のままである。」と主張する(5頁3行?6頁8行)。
そもそも、本件特許発明1の「納豆菌培養液またはその濃縮物」が、「少なくとも納豆菌からの分泌物及び培地成分の残渣からなる種々の栄養分が有意な量含まれているもの」であるとの認定は、上記「a」のとおり、乙第4号証の記載に基づくものではないから、上記主張は上記認定を左右するものではない。
そして、乙第4号証の記載は上記認定に沿うものである。すなわち、乙第4号証には、納豆菌の培養液の上清に対してキトサン処理したものにおいて、蛋白質のみならず、灰分、炭水化物及びポリアミンが残存していることが示されている。納豆菌の培養液の上清は、その培養液から沈殿した何らかの成分を除いたものであるが、その上清において、蛋白質のみならず、灰分、炭水化物及びポリアミンが残存しているのであれば、納豆菌の培養液についてキトサン処理したものにおいても、当然、灰分、炭水化物及びポリアミンが残存していると考えられる。
してみれば、本件特許発明1の「納豆菌培養液またはその濃縮物」は、納豆菌の培養液を処理したものであっても、上清を処理したものであっても、いずれにしても、「少なくとも納豆菌からの分泌物及び培地成分の残渣からなる種々の栄養分が有意な量含まれているもの」ということができるのである。

(エ)相違点(ii)について
まず、相違点(ii)について、引用発明1において、相違点(ii)に係る本件特許発明1の「納豆菌培養液またはその濃縮物を含む」との構成に当業者が到達することが容易であったかについて検討する。

a 甲第1号証について
甲第1号証には、新規な線溶酵素であるナットウキナーゼが、納豆菌の培養液を回収し、各種精製手段を付加することにより得られる旨が記載されており(摘記1-a)、納豆菌の培養液に各種精製手段を適用することによって、ナットウキナーゼ以外の不純物をできるだけ除去し、精製されたナットウキナーゼを得るという技術思想が開示されているといえる。
しかしながら、甲第1号証には、本件特許発明1の(I)及び(II)の問題(上記「(イ)b」)については記載も示唆もなく、本件特許発明1の「納豆菌培養液」を含ませる、すなわち、少なくとも納豆菌からの分泌物及び培地成分の残渣からなる種々の栄養分を有意な量含ませるという本件特許発明1の(III)の発想(上記「(イ)b」)についても、記載はもとより示唆もない。
そうすると、甲第1号証には、本件特許発明1と逆の方向の技術思想、すなわち、栄養分を含む不純物をできるだけ除去し、精製されたナットウキナーゼを得るという技術思想が開示されているのであるから、引用発明1において、「納豆菌培養液またはその濃縮物を含む」ようにすることは、当業者にとってむしろ考えがたいことである。
したがって、甲第1号証の記載によっては、引用発明1において、当業者が、相違点(ii)に係る本件特許発明1における構成(納豆菌培養液またはその濃縮物を含む)に想到することが容易であったということはできない。

b 甲第4号証について
甲第4号証には、摘記4-a?4-cによれば、ビタミンK含有量の高い納豆を、血栓症の予防を行っている患者や血栓症の危険性のある人に施すために、ビタミンKの含量が少ない納豆を提供しようという課題が開示されているといえる。
しかしながら、甲第4号証には、納豆において、血栓症の予防を行っている患者や血栓症の危険性のある人に施す際に、ビタミンK2を少なくするという課題は開示されているものの、納豆菌培養液に由来する栄養分を有意な量含ませるという本件特許発明1の(III)の発想(上記「(イ)b」)については、記載はもとより示唆もない。
そうすると、甲第4号証には、引用発明1において、「納豆菌培養液またはその濃縮物を含む」ようにすることの契機となるものは見あたらないといえる。
したがって、引用発明1において、当業者が相違点(ii)に係る本件特許発明1における構成(納豆菌培養液またはその濃縮物を含む)に想到することは困難であったというべきである。

(オ)相違点(ii)のまとめ
以上のとおり、相違点(ii)に関して、本件特許発明1と引用発明1とは互いに技術思想の異なる発明であると認められ、しかも引用発明1から本件特許発明1を導き出すことはできないものと認められる。

エ 甲第1号証を主引用例とする理由についてのまとめ
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明に記載された発明(引用発明1)及び甲第4号証の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

(2)甲第3号証を主引用例とする理由について
ア 甲第3号証に記載された発明
甲第3号証は、「納豆菌の生産する線溶酵素を有効成分としてなる血栓形成阻害剤」に関して記載するものである(摘記3-a)。甲第3号証には、納豆菌の生産する線溶酵素がナットウキナーゼであることが記載されているから(摘記3-b)、甲第3号証には、ナットウキナーゼを有効成分とする、すなわちナットウキナーゼを含有する血栓形成阻害剤が記載されているといえる。そして、この阻害剤は、粉末、顆粒またはカプセルとすることができる旨の記載がされている(摘記3-d)。
よって、甲第3号証には、
「ナットウキナーゼを含有する粉末、顆粒またはカプセルの形態の血栓形成阻害剤」
の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

イ 対比
本件特許発明1と引用発明2とを対比すると、両者は、
「ナットウキナーゼを含有する粉末、顆粒またはカプセルの形態の血栓形成阻害剤」
である点で一致し、以下の点(i’)?(iii’)で一応相違する。
(i’)物品が、本件特許発明1においては、「1μg/g乾燥重量以下のビタミンK2」を含有するのに対して、引用発明2においては、ビタミンK2の含有量が明らかでない点
(ii’)物品が、本件特許発明1においては、「納豆菌培養液またはその濃縮物を含む」のに対して、引用発明2においては、納豆菌培養液またはその濃縮物を含むのか否か明らかでない点
(iii’)物品が、本件特許発明1においては、「食品」であるのに対して、引用発明2においては、「血栓形成阻害剤」である点
(以下、それぞれ「相違点(i’)」、「相違点(ii’)」、「相違点(iii’)」という。)

ウ 相違点についての判断
(ア)特許法第29条第2項が定める要件の充足性について
上記「(1)ウ(ア)」で説示したとおりである。

(イ)本件特許発明1の課題について
上記「(1)ウ(イ)」で説示したとおりである。

(ウ)本件特許発明1の「納豆菌培養液またはその濃縮物」について
上記「(1)ウ(ウ)」で説示したとおりである。

(エ)相違点(ii’)について
まず、相違点(ii’)について、引用発明2において、相違点(ii’)に係る本件特許発明1の「納豆菌培養液またはその濃縮物を含む」との構成に当業者が到達することが容易であったかについて検討する。

a 甲第3号証について
甲第3号証には、納豆菌の生産する線溶酵素を有効成分としてなる血栓形成阻害剤が記載されており、(摘記3-a)、線溶酵素、すなわちナットウキナーゼが、納豆又は納豆菌の培養物から緩衝液によって抽出した抽出液に、低級脂肪族アルコール又は硫酸アンモニウムを添加して沈殿させ、クロマトグラフィーなどで精製することにより得られる旨が記載されている(摘記3-c)。そうすると、摘記3-cには、粗製物でも精製物でもいい旨の記載がされているものの、前述のように、納豆菌の培養物から抽出、沈殿、さらにクロマトグラフィーを行っていることから、甲第3号証には、ナットウキナーゼ以外の不純物をできるだけ除去し、精製されたナットウキナーゼを含む血栓形成阻害剤を得るという技術思想が開示されているといえる。
しかしながら、甲第3号証には、本件特許発明1の(I)及び(II)の問題(上記「(1)ウ(イ)b」)については記載も示唆もなく、本件特許発明1の「納豆菌培養液」を含ませる、すなわち、少なくとも納豆菌からの分泌物及び培地成分の残渣からなる種々の栄養分を有意な量含ませるという本件特許発明1の(III)の発想(上記「(1)ウ(イ)b」)についても、記載はもとより示唆もない。
そうすると、甲第3号証には、本件特許発明1と逆の方向の技術思想、すなわち、栄養分を含む不純物をできるだけ除去し、精製されたナットウキナーゼを含む血栓形成阻害剤を得るという技術思想が開示されているのであるから、引用発明2において、「納豆菌培養液またはその濃縮物を含む」ようにすることは、当業者にとってむしろ考えがたいことである。
したがって、甲第3号証の記載によっては、引用発明2において、当業者が、相違点(ii’)に係る本件特許発明1における構成(納豆菌培養液またはその濃縮物を含む)に想到することが容易であったということはできない。

b 甲第4号証について
上記「(1)ウ(エ)b」で説示したように、甲第4号証には、引用発明1において、「納豆菌培養液またはその濃縮物を含む」ようにすることの契機となるものは見あたらないといえる。
したがって、引用発明2において、当業者が相違点(ii’)に係る本件特許発明1における構成(納豆菌培養液またはその濃縮物を含む)に想到することは困難であったというべきである。

(オ)相違点(ii’)のまとめ
以上のとおり、相違点(ii’)に関して、本件特許発明1と引用発明2とは互いに技術思想の異なる発明であると認められ、しかも引用発明2から本件特許発明1を導き出すことはできないものと認められる。

エ 甲第3号証を主引用例とする理由についてのまとめ
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲第3号証に記載された発明に記載された発明(引用発明2)及び甲第4号証の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

(3)甲第5号証を主引用例とする理由について
ア 甲第5号証に記載された発明
甲第5号証は、「枯草菌培養液中に存在するビタミンK_(2)含有水溶性ミセルを不溶性化した後、該水不溶物を分離、回収することを特徴とするビタミンK_(2)濃縮物の製造法」に関して記載するものである(摘記5-aの【請求項1】)。甲第5号証には、枯草菌としては、納豆菌が好ましい旨記載されている(摘記5-e)。そして、納豆菌の培養液からビタミンK2を分離・回収した残りの液体は、ビタミンK2を低減させた納豆菌の培養液であるといえる。
してみると、甲第5号証には、
「納豆菌の培養液中に存在するビタミンK2含有水溶性ミセルを不溶性化した後、該水不溶物を分離、回収することにより得られる、ビタミンK2を低減させた液体」
の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。

イ 対比
本件特許発明1と引用発明3とを対比する。
引用発明3の「液体」は、納豆菌の培養液からビタミンK2を分離・回収した結果として、ビタミンK2を低減させたものであるから、少なくとも納豆菌からの分泌物及び培地成分の残渣からなる種々の栄養分を有意な量含んでいるといえるので、本件特許発明1の「納豆菌培養液」に相当する。
してみると、両者は、
「納豆菌培養液を含む液体の形態の物品」
である点で一致し、以下の点(iv)?(vii)で一応相違する。
(iv)物品が、本件特許発明1においては、「ナットウキナーゼ」を含有するのに対して、引用発明3においては、ナットウキナーゼを含有しているか否かが明らかでない点
(v)物品が、本件特許発明1においては、「1μg/g乾燥重量以下のビタミンK2」を含有するのに対して、引用発明3においては、ビタミンK2の含有量が明らかでない点
(vi)物品が、本件特許発明1においては、「ペースト、粉末、顆粒、カプセル、ドリンクまたは錠剤の形態」であるのに対して、引用発明1においては、「液体の形態」である点
(vii)物品が、本件特許発明1においては、「食品」であるのに対して、引用発明1においては、用途が特定されていない点
(以下、それぞれ「相違点(iv)」、「相違点(v)」、「相違点(vi)」、「相違点(vii)」という。)

ウ 相違点についての判断
(ア)特許法第29条第2項が定める要件の充足性について
上記「(1)ウ(ア)」で説示したとおりである。

(イ)本件特許発明の課題について
上記「(1)ウ(イ)」で説示したとおりである。

(ウ)相違点(vii)について
まず、相違点(vii)について、引用発明3において、相違点(vii)に係る本件特許発明1の「食品」の構成に当業者が到達することが容易であったかについて検討する。

a 甲第5号証について
甲第5号証には、納豆菌培養液中に存在するビタミンK2含有水溶性ミセルを不溶性化した後、該水不溶物を分離、回収することを特徴とするビタミンK2濃縮物の製造法(摘記5-aの【請求項1】)が記載されているが、水不溶物を分離、回収した後の残りの液体である引用発明3を食品とすることについては何ら記載されていない。
すなわち、甲第5号証の記載を精査しても、本件特許発明1の(I)及び(II)の問題(上記「(1)ウ(イ)b」)については記載も示唆もなく、栄養分に優れ、血液凝固因子であるビタミンK2がほとんどあるいは全く含まれないため、ビタミンK2の過剰摂取を心配することのなく、ナットウキナーゼ活性が強化され、また、血液凝固系の疾患を有する患者にも最適な食品を提供するという本件特許発明1の(III)の発想(上記「(1)ウ(イ)b」)についても、記載はもとより示唆もない。
ところで、甲第5号証には、ビタミンK2含有水溶性ミセルを不溶性化する方法として、培養液に塩類を添加する方法(摘記5-aの【請求項3】)や培養液に有機溶媒を添加する方法(摘記5-aの【請求項4】)が記載されており、添加する塩類の量は、「10%飽和以上で効果が現れるが、好ましくは30%飽和以上、より好ましくは45%飽和以上添加すると良い。」(摘記5-c)と記載され、添加する有機溶媒の量は、「培養液100容量部に対して有機溶媒を10容量部以上、好ましくは50容量部以上、更に好ましくは70容量部以上添加すると良い。」(摘記5-d)と記載されている。そうすると、これらの記載からみれば、納豆菌培養液中に存在するビタミンK2含有水溶性ミセルを不溶性化した後、該水不溶物を分離、回収することにより得られる、ビタミンK2を低減した液体は、高濃度の塩類あるいは有機溶媒を含むといえる。このような高濃度の塩類あるいは有機溶媒を含む引用発明3を「食品」とすることは、塩類による食味または食品機能の変性のおそれ、あるいは最終製品に塩類が残留し、人体に影響を及ぼすおそれがあり、また、食品に有機溶媒が残留する可能性や消費者の抵抗感などが問題となるのであるから、引用発明3を「食品」とすることは、当業者にとってむしろ考えがたいことである。
したがって、甲第5号証の記載によっては、引用発明3において、当業者が、相違点(vii)に係る本件特許発明1における構成(食品)に想到することが容易であったということはできない。

b 甲第4号証について
甲第4号証には、摘記4-a?4-cによれば、ビタミンK含有量の高い納豆を、血栓症の予防を行っている患者や血栓症の危険性のある人に施すために、ビタミンKの含量が少ない納豆を提供しようという課題が開示されているといえる。
しかしながら、甲第4号証には、納豆菌培養液から、栄養分に優れ、血液凝固因子であるビタミンK2がほとんどあるいは全く含まれないため、ビタミンK2の過剰摂取を心配することなく、ナットウキナーゼ活性が強化され、また、血液凝固系の疾患を有する患者にも最適な食品にするという本件特許発明1の(III)の発想(上記「(1)ウ(イ)b」)については、記載はもとより示唆もない。
そうすると、甲第4号証には、引用発明3を「食品」にすることの契機となるものは見あたらないといえる。
そして、既に「a」において検討したとおり、引用発明3を「食品」とすることは、当業者にとってむしろ考えがたいことであるところ、これを超えてまで上記構成を適用すべき理由は何ら見あたらない。
したがって、甲第4号証の記載によっても、引用発明3において、当業者が、相違点(vii)に係る本件特許発明1における構成(食品)に想到することは困難であったというべきである。

(エ)相違点(vii)のまとめ
以上のとおり、相違点(vii)に関して、本件特許発明1と引用発明3とは互いに技術思想の異なる発明であると認められ、しかも引用発明3から本件特許発明1を導き出すことはできないものと認められる。

エ 甲第5号証を主引用例とする理由についてのまとめ
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲第5号証に記載された発明(引用発明3)及び甲第4号証の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

(4)無効理由2についてのまとめ
よって、本件特許発明1は、本件特許の出願前に頒布された甲第1号証,甲第3号証又は甲第5号証に記載された発明及び甲第4号証の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえない。
したがって、本件特許1は、特許法第29条の規定に違反してなされたものとはいえないから、同法第123条第1項第2号に該当せず、無効とすべきものではない。

2 無効理由1について
無効理由1には、以下の2つの理由がある。
○甲第1号証に記載された発明に基づく理由
○甲第3号証に記載された発明に基づく理由
そこで、上記の順に、各理由につき検討する。

(1)甲第1号証に記載された発明に基づく理由
上記「1(1)」で示したように、本件特許発明1と引用発明1とは、相違点(ii)において実質的に相違するから、その他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。

(2)甲第3号証に記載された発明に基づく理由
上記「1(2)」で示したように、本件特許発明1と引用発明2とは、相違点(ii’)において実質的に相違するから、その他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は甲第3号証に記載された発明であるとはいえない。

(3)無効理由1についてのまとめ
本件特許発明1は、本件特許の出願前に頒布された甲第1号証又は甲第3号証に記載された発明であるとはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、特許を受けることができないとはいえない。
したがって、本件特許1は、特許法第29条の規定に違反してなされたものとはいえないから、同法第123条第1項第2号に該当せず、無効とすべきものではない。

第6 むすび
以上のとおり、本件特許1は、特許法第29条の規定に違反してなされたものとはいえないから、同法第123条第1項第2号に該当せず、無効とすべきものではない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-06-22 
結審通知日 2009-06-24 
審決日 2009-07-07 
出願番号 特願2000-120539(P2000-120539)
審決分類 P 1 123・ 121- Y (A23L)
P 1 123・ 113- Y (A23L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 光本 美奈子  
特許庁審判長 柳 和子
特許庁審判官 橋本 栄和
坂崎 恵美子
登録日 2006-11-17 
登録番号 特許第3881494号(P3881494)
発明の名称 納豆菌培養エキス  
代理人 服部 謙太朗  
代理人 木村 耕太郎  
代理人 特許業務法人田治米国際特許事務所  
代理人 竹田 稔  
代理人 南條 博道  

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