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審決分類 |
審判 査定不服 特29条の2 特許、登録しない。 H04N 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1224561 |
審判番号 | 不服2008-13940 |
総通号数 | 131 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-11-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-06-04 |
確定日 | 2010-10-07 |
事件の表示 | 特願2002-282098「撮像装置付き携帯電話機およびその制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年10月31日出願公開、特開2003-309748〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 経緯 1 手続 本願は、平成14年9月27日(優先権主張平成14年2月13日)の出願であり、 平成19年11月20日付けで手続補正がなされたが、平成20年5月7日付けで拒絶査定された。 本件は、本願についてなされた上記拒絶査定を不服として平成20年6月4日付けで請求された拒絶査定不服審判であって、同日付けで手続補正がなされたものである。 2 査定 原査定の拒絶の理由は概略、以下のとおりである。 理 由 (1)この出願の請求項3、4、6、7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないか、若しくは、当該刊行物1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (2)この出願の請求項1、2、5に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物1ないし3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (3)この出願の請求項1ないし9に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の特許出願4の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。 記 刊行物1 :特開平9-331473号公報 刊行物2 :特表2000-515255号公報 刊行物3 :特開2001-128038号公報 特許出願4:特願2002-15505号(特開2003-219232号) 第2 補正却下の決定 平成20年6月4日付けの手続補正について、以下のとおり決定する。 [補正却下の決定の結論] 平成20年6月4日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 本件補正前の特許請求の範囲 拒絶査定の対象となった平成19年11月20日付け手続補正書の特許請求の範囲は以下のとおりである。 「【請求項1】 携帯電話機本体と柱体とを備え, 上記柱体が, 内部が空洞であり,光を入射する入射開口が側面に,光を出射する出射開口が底面にそれぞれ形成されており,上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導く第1の偏向器が内部に配置されており,かつ上記携帯電話機本体の長手方向と同じ方向の中心軸で回転自在であり, 上記携帯電話機本体が, 上記柱体の上記出射開口からの出射光の光路上であって,上記柱体から独立した位置であって,受光面が上記携帯電話機本体の内側の内壁の面と平行となるように配置され,かつ上記受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力する固体電子撮像素子, 上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2の偏向器,および 上記固体電子撮像素子から出力された映像信号を電話回線網に送信する送信回路, を備えた撮像装置付き携帯電話機。 【請求項2】 上記柱体の回転角度を検出する検出装置, 上記固体電子撮像素子から出力された映像信号によって表される被写体像を表示画面上に表示する表示装置,および 上記検出装置により検出された角度に応じて,表示される被写体像が正立して表示されるように上記表示装置を制御する表示制御装置, をさらに備えた請求項1に記載の撮像装置付き携帯電話機。 【請求項3】 撮像装置本体と柱体とを備え, 上記柱体が, 内部が空洞であり,光を入射する入射開口が側面に,光を出射する出射開口が底面にそれぞれ形成されており,上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導く第1の偏向器が内部に配置されており,かつ上記出射開口からの出射光の方向と同じ方向の中心軸で上記撮像装置本体に対して回転自在であり, 上記撮像装置本体が, 上記柱体の上記出射開口からの出射光の光路上であって,上記柱体から独立した位置であって,受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置され,かつ上記受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力する固体電子撮像素子,および 上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2の偏向器, を備えた撮像装置。 【請求項4】 ディジタル・カメラ本体と柱体とを備え, 上記柱体が, 内部が空洞であり,光を入射する入射開口が側面に,光を出射する出射開口が底面にそれぞれ形成されており,上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導く第1の偏向器が内部に配置されており,かつ上記出射開口からの出射光方向と同じ方向の中心軸で上記ディジタル・カメラ本体に対して回転自在であり, 上記ディジタル・カメラ本体が, 上記柱体の上記出射開口からの出射光の光路上であって,上記柱体から独立した位置であって,受光面が上記ディジタル・カメラ本体の内側の内壁の面と平行となるように配置され,かつ上記受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力する固体電子撮像素子, 上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2の偏向器,および 上記固体電子撮像素子から出力された映像信号を記録媒体に記録する記録制御手段, を備えたディジタル・カメラ装置。 【請求項5】 携帯電話機本体と柱体とを備えた撮像装置付き携帯電話機において, 上記柱体が,上記携帯電話機本体の長手方向と同じ方向の中心軸で回転自在であり,かつ内部が空洞であり,光が入射する入射開口を側面に,光が出射する出射開口を底面にそれぞれ形成しておき,上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導き, 上記携帯電話機本体内において,上記柱体の出射開口からの出射光の光路上であって,上記柱体から独立した位置であって,受光面が上記携帯電話本体の内側の内壁の面と平行となるように固体電子撮像素子を配置し, 上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2の偏向器を設け, 上記固体電子撮像素子の受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力し, 上記固体電子撮像素子から出力された映像信号を電話回線網に送信する, 映像信号の送信方法。 【請求項6】 撮像装置本体と柱体とを備えた撮像装置付き携帯電話機において, 上記柱体が,内部が空洞であり,光が入射する入射開口を側面に,光が出射する出射開口を底面にそれぞれ形成しておき,上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導き,かつ上記出射開口からの出射光の方向と同じ方向の中心軸で上記撮像装置本体に対して回転自在であり, 上記携帯電話機本体内において,上記柱体の出射開口からの出射光の光路上であって,上記柱体から独立した位置であって,受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように固体電子撮像素子を配置し,上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2の偏向器を設け,上記固体電子撮像素子の受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力することを特徴とする, 映像信号の出力方法。 【請求項7】 ディジタル・カメラ本体と柱体とを備えたディジタル・カメラ装置において, 上記柱体が,内部が空洞であり,光が入射する入射開口を側面に,光が出射する出射開口を底面にそれぞれ形成しておき,上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導き,かつ上記出射開口からの出射光の方向と同じ方向の中心軸で上記ディジタル・カメラ本体に対して回転自在であり, 上記ディジタル・カメラ本体内において,上記柱体の出射開口からの出射光の光路上であって,上記柱体から独立した位置であって,受光面が上記ディジタル・カメラ本体の内側の内壁の面と平行となるように固体電子撮像素子を配置し,上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2の偏向器を設け,上記固体電子撮像素子の受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力し, 上記固体電子撮像素子から出力された映像信号を記録媒体に記録する, 映像信号の記録方法。」 2 本件補正後の特許請求の範囲 これに対し、平成20年6月4日付け手続補正書(以下、「本件補正」ともいう。)の特許請求の範囲は以下のとおりである。 「【請求項1】 携帯電話機本体と柱体とを備え, 上記柱体が, 内部が空洞であり,光を入射する入射開口が側面に,光を出射する出射開口が底面にそれぞれ形成されており,上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導く第1のミラーが内部に配置されており,かつ上記携帯電話機本体の長手方向と同じ方向の中心軸で回転自在であり, 上記携帯電話機本体が, 上記柱体の上記出射開口からの出射光の光路上であって,上記柱体から独立した位置であって,受光面が上記携帯電話機本体の内側の内壁の面と平行となるように配置され,かつ上記受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力する固体電子撮像素子, 上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2のミラー,および 上記固体電子撮像素子から出力された映像信号を電話回線網に送信する送信回路, を備えた撮像装置付き携帯電話機。 【請求項2】 上記柱体の回転角度を検出する検出装置, 上記固体電子撮像素子から出力された映像信号によって表される被写体像を表示画面上に表示する表示装置,および 上記検出装置により検出された角度に応じて,表示される被写体像が正立して表示されるように上記表示装置を制御する表示制御装置, をさらに備えた請求項1に記載の撮像装置付き携帯電話機。 【請求項3】 撮像装置本体と柱体とを備え, 上記柱体が, 内部が空洞であり,光を入射する入射開口が側面に,光を出射する出射開口が底面にそれぞれ形成されており,上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導く第1のミラーが内部に配置されており,かつ上記出射開口からの出射光の方向と同じ方向の中心軸で上記撮像装置本体に対して回転自在であり, 上記撮像装置本体が, 上記柱体の上記出射開口からの出射光の光路上であって,上記柱体から独立した位置であって,受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置され,かつ上記受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力する固体電子撮像素子,および 上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2のミラー, を備えた撮像装置。 【請求項4】 ディジタル・カメラ本体と柱体とを備え, 上記柱体が, 内部が空洞であり,光を入射する入射開口が側面に,光を出射する出射開口が底面にそれぞれ形成されており,上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導く第1のミラーが内部に配置されており,かつ上記出射開口からの出射光方向と同じ方向の中心軸で上記ディジタル・カメラ本体に対して回転自在であり, 上記ディジタル・カメラ本体が, 上記柱体の上記出射開口からの出射光の光路上であって,上記柱体から独立した位置であって,受光面が上記ディジタル・カメラ本体の内側の内壁の面と平行となるように配置され,かつ上記受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力する固体電子撮像素子, 上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2のミラー,および 上記固体電子撮像素子から出力された映像信号を記録媒体に記録する記録制御手段, を備えたディジタル・カメラ装置。 【請求項5】 携帯電話機本体と柱体とを備えた撮像装置付き携帯電話機において, 上記柱体が,上記携帯電話機本体の長手方向と同じ方向の中心軸で回転自在であり,かつ内部が空洞であり,光が入射する入射開口を側面に,光が出射する出射開口を底面にそれぞれ形成しておき,上記入射開口から入射した光を第1のミラーによって上記出射開口に導き, 上記携帯電話機本体内において,上記柱体の出射開口からの出射光の光路上であって,上記柱体から独立した位置であって,受光面が上記携帯電話本体の内側の内壁の面と平行となるように固体電子撮像素子を配置し, 上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2のミラーを設け, 上記固体電子撮像素子の受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力し, 上記固体電子撮像素子から出力された映像信号を電話回線網に送信する, 映像信号の送信方法。 【請求項6】 撮像装置本体と柱体とを備えた撮像装置付き携帯電話機において, 上記柱体が,内部が空洞であり,光が入射する入射開口を側面に,光が出射する出射開口を底面にそれぞれ形成しておき,上記入射開口から入射した光を第1のミラーによって上記出射開口に導き,かつ上記出射開口からの出射光の方向と同じ方向の中心軸で上記撮像装置本体に対して回転自在であり, 上記携帯電話機本体内において,上記柱体の出射開口からの出射光の光路上であって,上記柱体から独立した位置であって,受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように固体電子撮像素子を配置し,上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2のミラーを設け,上記固体電子撮像素子の受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力することを特徴とする, 映像信号の出力方法。 【請求項7】 ディジタル・カメラ本体と柱体とを備えたディジタル・カメラ装置において, 上記柱体が,内部が空洞であり,光が入射する入射開口を側面に,光が出射する出射開口を底面にそれぞれ形成しておき,上記入射開口から入射した光を第1のミラーによって上記出射開口に導き,かつ上記出射開口からの出射光の方向と同じ方向の中心軸で上記ディジタル・カメラ本体に対して回転自在であり, 上記ディジタル・カメラ本体内において,上記柱体の出射開口からの出射光の光路上であって,上記柱体から独立した位置であって,受光面が上記ディジタル・カメラ本体の内側の内壁の面と平行となるように固体電子撮像素子を配置し,上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2のミラーを設け,上記固体電子撮像素子の受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力し, 上記固体電子撮像素子から出力された映像信号を記録媒体に記録する, 映像信号の記録方法。」 3 補正の内容 本件補正の特許請求の範囲についてする補正は、以下の補正事項を含む。 [補正事項1] 請求項1、3ないし7について、「偏向器」(本件補正前)とあるのを、「ミラー」(本件補正後)に補正する。 [補正事項2] 請求項5ないし7について、「上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導き」(本件補正前)とあるのを、「上記入射開口から入射した光を第1のミラーによって上記出射開口に導き」(本件補正後)に補正する。 4 補正の目的の適否 上記各補正事項が、特許法第17条の2第4項各号の何れを目的としているのか検討する。 (1)補正事項1 本件補正前の「偏向器」は、光の進行方向を変化させるためのものであり、光の進行方向を変化させるための手段としての「偏向器」には様々な態様が含まれているところ、本件補正後の「ミラー」は、光の進行方向を変化させるための一態様として、「偏向器」を限定するものといえる。 したがって、補正事項1は、請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものと認められるので、上記請求項1、3ないし7についてする補正は、特許法第17条の2第4項第2号で規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする。 (2)補正事項2について 本件補正前の「上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導き」は、入射開口から入射した光を出射開口に導くための具体的な構成を特定していないところ、本件補正後の「上記入射開口から入射した光を第1のミラーによって上記出射開口に導き」は、入射開口から入射した光を出射開口に導くための構成として、第1のミラーによることを特定するものであり、上記補正事項2は、入射開口から入射した光を出射開口に導くための態様を限定するものといえる。 したがって、補正事項2は、請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものと認められるので、上記請求項5ないし7についてする補正は、特許法第17条の2第4項第2号で規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする。 5 独立特許要件 本件補正は、上記のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そこで、本件補正後の請求項3に記載された発明(以下、「本件発明」ともいう。)が独立特許要件(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定)を満たすか否かについて、以下に検討する。 [理由1](特許法第29の2) (1)本件発明 本件の請求項1ないし7に係る発明は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるものであるところ、そのうち請求項3に係る発明(以下、「本件発明」ともいう。)は、以下のとおりのものである。 「撮像装置本体と柱体とを備え, 上記柱体が, 内部が空洞であり,光を入射する入射開口が側面に,光を出射する出射開口が底面にそれぞれ形成されており,上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導く第1のミラーが内部に配置されており,かつ上記出射開口からの出射光の方向と同じ方向の中心軸で上記撮像装置本体に対して回転自在であり, 上記撮像装置本体が, 上記柱体の上記出射開口からの出射光の光路上であって,上記柱体から独立した位置であって,受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置され,かつ上記受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力する固体電子撮像素子,および 上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2のミラー, を備えた撮像装置。」 (2)先願明細書の記載 原査定の拒絶の理由で引用された、特許出願(特願2002-15505号、以下、「先願」ともいう。)は、平成14年1月24日に出願され、平成15年7月31日に公開されたものであり、 その願書に最初に添付された明細書又は図面(以下、「先願明細書」ともいう、特開2003-219232号公報参照)には、以下の記載がある。 〈発明の属する技術分野〉 「【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、携帯情報端末、携帯電話機等の携帯端末に関し、特にカメラを内蔵したカメラ付き携帯端末に関する。」 〈発明が解決しようとする課題〉 「【0009】 【発明が解決しようとする課題】特開平10-164414号公報に記載された従来の携帯端末は、撮像素子を含むカメラの主要部材が回転可能な筒状筐体内に収容されており、この筒状筐体の壁を通して、カメラの主要部材と本体との電気的な接続が必要となる。このため、カメラの主要部材が取り付けられた筒状筐体からケーブル配線を引き出す必要があり、構成が複雑になり、組付作業も複雑になり、更には筒状筐体の繰り返し回転動作によるケーブル配線への負荷や磨耗によってケーブル配線に断線が生じることがあった。」 「【0011】この発明は、上記のような問題点を鑑みてなされたもので、マウント部内からケーブル配線を引き出す必要がなく、また、撮影方向を自由に回転調整でき、可動するマウント部及び撮像素子間の安定した配置関係を維持して安定した被写体の画像の撮影をすることができるカメラ付き携帯端末を得ることを目的としている。」 〈発明の実施の形態〉 「【0017】 【発明の実施の形態】実施の形態1.この発明の実施の形態1について、図に基づいて説明する。各図において、図9及び図10と同一符号は、同一又は相当部分を示すものとする。 【0018】 図1は、この発明の実施の形態1におけるカメラ付き携帯電話機の構成を示す図であって、図1(a)はカメラ付き携帯電話機の外観図、図1(b)はロータリーマウント部のレンズ中央における内部構成を示す断面図である。 【0019】 図1(a)において、300は例えば樹脂成形された円筒形状のケースで構成され、携帯電話機本体100の筐体101右上端部に、矢印Kの方向に回転可能に取り付けられたロータリーマウント部である。 【0020】 図1(b)において、300aはロータリーマウント部300の円筒底面に形成された円筒開口部、300bは円筒開口部300aの先端部に形成された爪部で、筐体101に設けられた開口穴101aにはめ込まれることで、ロータリーマウント部300を筐体101に回転可能に取り付けている。なお、ロータリーマウント部300及び筐体101間には部材間の回転による磨耗防止のため、例えばリング形状のゴム部材、ベアリング(図示せず)等が介在されている。301はロータリーマウント部300に形成された開口300cに、取り付けられたレンズである。305はロータリーマウント部300内に設けられ、レンズ301を介してロータリーマウント部300内へ入射した被写体の画像を偏向し、筐体101内へ出射する導光手段としてのプリズムで、直角二等辺三角柱の形状を成し、直角二等辺三角柱の直角をなす2辺の内の一方がレンズ301と対向して配置され、他方が筐体101内の撮像素子203と対向して配置されるように、取り付けられている。即ち、上記ロータリーマウント部300は、プリズム305から筐体101内の撮像素子203へ向けて出射する被写体の画像の出射方向を中心軸に回転可能となっている。撮像素子203は、従来例と同様にプリント基板203a上に実装され、このプリント基板203aは筐体101の上面側の開口穴101aと対向するように、筐体101に取り付けられている。 【0021】 次に、この発明におけるカメラ付き携帯電話機の回路構成について説明する。図2は、この発明の実施の形態1におけるカメラ付き携帯電話機の回路構成を示す構成図である。 【0022】 図2において、106は筐体101内に設けられ、高周波信号を送受するためのアンテナ、107は筐体101内に設けられ、アンテナ106に接続され、アンテナ106から送受信する音声信号及びデータを変調/復調する送受信部、108は表示部102に接続され、画像や情報等のデータを表示部102に表示するための処理をする表示制御部、109はスピーカ104へ出力する音声信号及びマイク105から入力する音声信号を処理する音声処理部、110はロータリーマウント部300の近傍に取り付けられ、ロータリーマウント部300の回転角度を検出する角度検出手段としての角度検出部、111は撮像素子203及び角度検出部110と接続され、撮像素子203で光電変換された画像データを入力し画像処理するとともに、角度検出部110の検出する回転角度に応じて反転又は回転処理等の角度調整処理をする画像処理部、112は操作部103、送受信部107、表示制御部108、音声処理部109、画像処理部111等と電気的に接続され、各部を制御するための信号を各部と送受する制御部である。」 「【0031】発明の実施の形態2.次に、この発明の実施の形態2について、図に基づいて説明する。各図において、図9及び図10と同一符号は、同一又は相当部分を示すものとする。 【0032】 図7は本発明の実施の形態2におけるカメラ付き携帯電話機の構成を示す図であって、図7(a)はカメラ付き携帯電話機の外観図、図7(b)はロータリーマウント部のレンズ中央における内部構成を示す断面図である。 【0033】 図7(a)において、ロータリーマウント部300は、携帯電話機の筐体101右上端部に、矢印L方向に回転可能に取り付けられている。発明の実施の形態2におけるロータリーマウント部300の筐体101への取り付けは、筐体101の側面側から回転可能である点で、上面側から回転可能な発明の実施の形態1と異なる。 【0034】 図7(b)において、撮像素子203は従来例と同様にプリント基板203a上に実装され、このプリント基板203aは筐体101上面側の背面に沿って取り付けられている。306は筐体101内に設けられ、直角二等辺三角柱の形状をなす第2のプリズムで、直角二等辺三角柱の直角をなす2辺の内の一方が撮像素子203に対向して配置され、他方が第1のプリズム305の直角二等辺三角柱の直角をなす2辺の内の一方に対向して配置されている。 【0035】 次に、本発明の実施の形態2におけるカメラ付き携帯電話機の動作説明をする。 【0036】 図8は本発明の実施の形態2におけるカメラ付き携帯電話機のカメラ部分の構成を示す図である。 【0037】 図8において、被写体の画像は、レンズ301を介して、矢印Cの方向に入射される。第1のプリズム305は、入射された被写体の画像を斜面305aで90度偏向して筐体101内の第2のプリズム306へ向けて出射する。次に、第2のプリズム306は、入射された被写体の画像を斜面306aで90度偏向して撮像素子203へ出射する。このとき、被写体の画像は、第1及び第2のプリズム305、306によって、左右方向に2回反転されて、撮像素子203に入光される。 【0038】 従って、画像処理部111は、角度調整処理として反転する処理をせず、表示部102に表示する画像データを得る。また、ロータリーマウント部300がθ度回転している場合には、画像処理部111は実施の形態1と同様に画像データをθ度逆方向へ回転させる処理を行なう必要がある。 【0039】 以上の通り、この実施の形態においても、ロータリーマウント部300は、ロータリーマウント部300内から撮像素子203が設けられた筐体101内へ向けて出射する被写体の画像の出射方向を中心軸として回転可能に筐体101に取り付けられているので、ロータリーマウント部300内からケーブル配線を引き出す必要とがなく、可動するロータリーマウント部300及び撮像素子203間の安定した配置関係を維持して安定した被写体の画像の撮影をすることができるカメラ付き携帯端末を得ることができる。また、ロータリーマウント部300内に取り付けられた第1のプリズム305及び筐体101内に取り付けられた第2のプリズム306の配置によって、レンズ301及び撮像素子203の配置に自由度を持たせることができる。」 〈発明の効果〉 「【0040】 【発明の効果】以上、本発明に係るカメラ付き携帯端末によれば、マウント部は、マウント部内から撮像素子が設けられた筐体内へ向けて出射する被写体の画像の出射方向を中心軸として回転可能に筐体へ取り付けられているので、ケーブル配線を引き出す必要がなく、また、撮影方向を自由に回転調整でき、マウント内から可動するマウント部及び撮像素子間の安定した配置関係を維持して安定した被写体の画像の撮影をすることができる。」 (先願明細書の記載、以上) (3)先願明細書に記載された発明 先願明細書には、「カメラ付き携帯端末」(発明の名称)の発明が記載されており、このうち、発明の実施の形態2.(段落【0031】?【0039】、図7、8)から、先願明細書に記載された発明(以下、「先願発明」ともいう。)を認定する。(なお、先願明細書において、発明の実施の形態1と発明の実施の形態2とで同一の態様を示す構成については、発明の実施の形態1の記載をも用いて認定している。) (a)カメラ付き携帯端末 「この発明は、携帯情報端末、携帯電話機等の携帯端末に関し、特にカメラを内蔵したカメラ付き携帯端末に関する。」(段落【0001】)によれば、 先願明細書には、『カメラ付き携帯端末』の発明が記載されていることは明らかである。 (b)筐体にロータリーマウント部が取り付けられているカメラ付き携帯端末 「この発明は、携帯情報端末、携帯電話機等の携帯端末に関し、特にカメラを内蔵したカメラ付き携帯端末に関する。」(段落【0001】)、 「図7は本発明の実施の形態2におけるカメラ付き携帯電話機の構成を示す図」(段落【0032】)、 「図7(a)において、ロータリーマウント部300は、携帯電話機の筐体101右上端部に、矢印L方向に回転可能に取り付けられている。」(段落【0032】)によれば、 「携帯端末」には、「携帯電話機」が含まれ、 「カメラ付き携帯電話機」には、「携帯電話機の筐体101」に「ロータリーマウント部300」が「取り付けられている」。 そうすると、先願明細書には、 『筐体101にロータリーマウント部300が取り付けられているカメラ付き携帯端末』 が記載されているといえる。 (c)ロータリーマウント部 先願明細書の図7(a)によると、「開口300c」に取り付けられた「レンズ301」は、「円筒」形状の「ロータリーマウント部300」の“側面”に設けられていることが理解できる。 上記摘記した、「図1(b)において、300aはロータリーマウント部300の円筒底面に形成された円筒開口部」(段落【0020】)、 「301はロータリーマウント部300に形成された開口300cに、取り付けられたレンズである。」(段落【0020】)、 「305はロータリーマウント部300内に設けられ、レンズ301を介してロータリーマウント部300内へ入射した被写体の画像を偏向し、筐体101内へ出射する導光手段としてのプリズムで、直角二等辺三角柱の形状を成し、直角二等辺三角柱の直角をなす2辺の内の一方がレンズ301と対向して配置され、他方が筐体101内の撮像素子203と対向して配置されるように、取り付けられている。」(段落【0020】)、 「図8において、被写体の画像は、レンズ301を介して、矢印Cの方向に入射される。第1のプリズム305は、入射された被写体の画像を斜面305aで90度偏向して筐体101内の第2のプリズム306へ向けて出射する。」(段落【0037】)、 「この実施の形態においても、ロータリーマウント部300は、ロータリーマウント部300内から撮像素子203が設けられた筐体101内へ向けて出射する被写体の画像の出射方向を中心軸として回転可能に筐体101に取り付けられている」(段落【0039】)によれば、 「ロータリーマウント部300の円筒底面に」「円筒開口部」「300a」が「形成され」、 「ロータリーマウント部300」の「開口300c」には、「レンズ」「301」が「取り付けられ」、 「ロータリーマウント部300内に」は、「導光手段としての」「第1のプリズム305」が「設けられ」、 「第1のプリズム305は」、「レンズ301を介して」「入射された被写体の画像を斜面305aで90度偏向して筐体101内の第2のプリズム306へ向けて出射」するものであって、 「ロータリーマウント部300は」、「ロータリーマウント部300内から」「出射する被写体の画像の出射方向を中心軸として回転可能に筐体101に取り付けられている」ものである。 以上によると、先願明細書には、 『ロータリーマウント部300は、 円筒底面に形成された円筒開口部300aと、 円筒側面に設けられた開口300cに取り付けられたレンズ301と、 内部に設けられ、レンズ301を介して入射された被写体の画像を斜面305aで90度偏向して筐体101内の第2のプリズム306へ向けて出射する、導光手段としての第1のプリズム305とを備え、 当該ロータリーマウント部300内から出射する被写体の画像の出射方向を中心軸として回転可能に筐体101に取り付けられている、 ロータリーマウント部300』 であることが記載されているといえる。 (d)筐体 「筐体101内の撮像素子203」(段落【0020】)、 「図7(b)において、撮像素子203は従来例と同様にプリント基板203a上に実装され、このプリント基板203aは筐体101上面側の背面に沿って取り付けられている。」(段落【0034】)、 「306は筐体101内に設けられ、直角二等辺三角柱の形状をなす第2のプリズムで、直角二等辺三角柱の直角をなす2辺の内の一方が撮像素子203に対向して配置され、他方が第1のプリズム305の直角二等辺三角柱の直角をなす2辺の内の一方に対向して配置されている。」(段落【0034】)、 「第2のプリズム306は、入射された被写体の画像を斜面306aで90度偏向して撮像素子203へ出射する。」(段落【0037】)、 「106は筐体101内に設けられ、高周波信号を送受するためのアンテナ、107は筐体101内に設けられ、アンテナ106に接続され、アンテナ106から送受信する音声信号及びデータを変調/復調する送受信部、108は表示部102に接続され、画像や情報等のデータを表示部102に表示するための処理をする表示制御部、109はスピーカ104へ出力する音声信号及びマイク105から入力する音声信号を処理する音声処理部、110はロータリーマウント部300の近傍に取り付けられ、ロータリーマウント部300の回転角度を検出する角度検出手段としての角度検出部、111は撮像素子203及び角度検出部110と接続され、撮像素子203で光電変換された画像データを入力し画像処理するとともに、角度検出部110の検出する回転角度に応じて反転又は回転処理等の角度調整処理をする画像処理部、112は操作部103、送受信部107、表示制御部108、音声処理部109、画像処理部111等と電気的に接続され、各部を制御するための信号を各部と送受する制御部である。」(段落【0022】)によれば、 「筐体101内」であって、「筐体101上面側の背面に沿って」「撮像素子203」を「実装」した「プリント基板203a」が「取り付けられ」、 「筐体101内に」、「直角二等辺三角柱の形状をなす第2のプリズム」が「設けられ」、 「第2のプリズム306」は、「直角二等辺三角柱の直角をなす2辺の内の一方が撮像素子203に対向して配置され」、「他方が第1のプリズム305」に「対向して配置され」、「入射された被写体の画像を斜面306aで90度偏向して撮像素子203へ出射する」ものであり、 「筐体101内に」は、「アンテナ106」、「送受信部107、表示制御部108、音声処理部109、画像処理部111等」も「設けられ」ている。 そうすると、先願明細書には、 『筐体101は、 内部の上面側の背面に沿って取り付けられたプリント基板203a上に実装された撮像素子203と、 内部に設けられ、直角二等辺三角柱の形状をなし、直角二等辺三角柱の直角をなす2辺の内の一方が撮像素子203に対向して配置され、他方が第1のプリズム305に対向して配置され、入射された被写体の画像を斜面306aで90度偏向して撮像素子203へ出射する、第2のプリズム306と 内部に設けられた、アンテナ106、送受信部107、表示制御部108、音声処理部109、画像処理部111と、 を備える筐体101』 であることが記載されているといえる。 (e)先願の出願時点における技術常識 上記(c)、(d)によると、先願明細書には、「第1のプリズム305」、「第2のプリズム306」が記載されている。 この「プリズム」は、入射光の進行方向を変化させるためのものであるところ、先願の出願時点において、撮像装置のレンズを介して入射された入射光の進行方向を変化させるために、ミラーを用いることは、例えば、特開平11-196303号公報(特に、段落【0017】)、特開平10-191130号公報(特に、段落【0079】)、実願昭62-65661号(実開昭63-173226号)のマイクロフィルム(特に、第3頁第3?5行)及び特表2000-515255号公報(特に、第27頁第3?4行)に記載されているように、技術常識に過ぎないものである。 そして、先願明細書には、摘記した段落【0011】に「この発明は、上記のような問題点を鑑みてなされたもので、マウント部内からケーブル配線を引き出す必要がなく、また、撮影方向を自由に回転調整でき、可動するマウント部及び撮像素子間の安定した配置関係を維持して安定した被写体の画像の撮影をすることができるカメラ付き携帯端末を得ることを目的としている。」と記載されているところ、先願明細書において「プリズム」に代えてミラーとすることが、その目的に反していないことは明らかであり、新たな効果を奏するものでもない。 そうすると、先願明細書には、入射光の進行方向を変化させるための構成として、「プリズム」が採用されているが、上述した先願の出願時点における技術常識を考慮することで、上記「プリズム」に代えてミラーとしたものを先願発明として認定することができる。 (f)先願発明 上記(a)?(e)によれば、先願明細書には、次の「先願発明」が記載されていると認められる。 「筐体101にロータリーマウント部300が取り付けられているカメラ付き携帯端末において、 ロータリーマウント部300は、 円筒底面に形成された円筒開口部300aと、 円筒側面に設けられた開口300cに取り付けられたレンズ301と、 内部に設けられ、レンズ301を介して入射された被写体の画像を斜面305aで90度偏向して筐体101内の第2のミラーへ向けて出射する、導光手段としての第1のミラーとを備え、 当該ロータリーマウント部300内から出射する被写体の画像の出射方向を中心軸として回転可能に筐体101に取り付けられている、 ロータリーマウント部300であり、 筐体101は、 内部の上面側の背面に沿って取り付けられたプリント基板203a上に実装された撮像素子203と、 内部に設けられ、直角二等辺三角柱の形状をなし、直角二等辺三角柱の直角をなす2辺の内の一方が撮像素子203に対向して配置され、他方が第1のミラーに対向して配置され、入射された被写体の画像を斜面306aで90度偏向して撮像素子203へ出射する、第2のミラーと 内部に設けられた、アンテナ106、送受信部107、表示制御部108、音声処理部109、画像処理部111と、 を備える筐体101である カメラ付き携帯端末。」 (4)対比 本件発明と先願発明とを対比する。 (a)「撮像装置」 先願発明の「カメラ付き携帯端末」は、「筐体101」の「内部」に「撮像素子203」が設けられており、「カメラ」として機能するものであるから、本件発明と同様に、“撮像装置”に関するものといえる。 (b)「撮像装置本体と柱体とを備え,」 先願発明の「カメラ付き携帯端末」は、「筐体101にロータリーマウント部300が取り付けられている」から、「カメラ付き携帯端末」は、「筐体101」と「ロータリーマウント部300」とを備えるといえる。 先願発明の「筐体101」は、「撮像素子203」「第2のミラー」の他に、「アンテナ106、送受信部107、表示制御部108、音声処理部109、画像処理部111」など「カメラ付き携帯端末」としての多くの構成要素を備えていることから、先願発明の「筐体101」は、「カメラ付き携帯端末」本体といっても差し支えなく、 上記(a)のとおり、「カメラ付き携帯端末」は、“撮像装置”といい得ることから、 先願発明の「筐体101」は、“撮像装置本体”ということもできる。 先願発明の「ロータリーマウント部300」は、「円筒」形状であることから、“柱体”といい替えることもできる。 以上によると、先願発明と本件発明は、撮像装置が、 『撮像装置本体と柱体とを備え、』る といい得る点で相違しない。 (c)「上記柱体が,内部が空洞であり,光を入射する入射開口が側面に,光を出射する出射開口が底面にそれぞれ形成されており,上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導く第1のミラーが内部に配置されており,かつ上記出射開口からの出射光の方向と同じ方向の中心軸で上記撮像装置本体に対して回転自在であり,」 (c-1)「上記柱体が,内部が空洞であり,光を入射する入射開口が側面に,光を出射する出射開口が底面にそれぞれ形成されており,」 先願発明の「ロータリーマウント部300」の「内部に」は、「第1のミラー」が設けられ、この「第1のミラー」を用いて、「レンズ301を介して入射された被写体の画像を」「筐体101内の第2のミラーへ向けて出射する」ものであり、「被写体の画像」である光の像を通過させていることから、「ロータリーマウント部300の内部」は“空洞”であるといえる。 先願発明の「開口300c」は、「レンズ301を介して」「被写体の画像」を「入射」する開口であって、ここでいう「被写体の画像」とは、“光の像”であるから、先願発明の「開口300c」は、“光を入射する入射開口”ということができ、 この「開口300c」は、「ロータリーマウント部300」の「円筒側面に設けられ」ている。 また、先願発明の「円筒開口部300a」は、「第1のミラー」で「被写体の画像を」「90度偏向して」から「出射する」開口であって、上述のとおり「被写体の画像」とは、“光の像”であるから、先願発明の「円筒開口部300a」は、“光を出射する出射開口”ということができ、 この「円筒開口部300a」は、「ロータリーマウント部300」の「円筒底面」に「形成され」ている。 これらのことから、「ロータリーマウント部300」には、“光を入射する入射開口が側面に、光を出射する出射開口が底面にそれぞれ形成されている”といえる。 また、「ロータリーマウント部300」が“柱体”といい得ることは、上記(b)のとおりである。 以上によると、先願発明と本件発明とは、 『上記柱体が、内部が空洞であり、光を入射する入射開口が側面に、光を出射する出射開口が底面にそれぞれ形成されており、』 といい得る点で相違しない。 (c-2)「上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導く第1のミラーが内部に配置されており,」 先願発明の「第1のミラー」は、「開口300cに取り付けられたレンズ301」「を介して入射された被写体の画像を」「90度偏向して」「円筒開口部300a」から「出射」するものであり、 「開口300c」、「円筒開口部300a」が、それぞれ“光を入射する入射開口”、“光を出射する出射開口”といい得ることは、上記(c-1)のとおりである。 そうすると、先願発明の「第1のミラー」は、“入射開口から入射した光を出射開口に導く”ものといえる。 また、先願発明の「ロータリーマウント部300」の「内部」には、「導光手段としての第1のミラー」が「設けられ」、 この「ロータリーマウント部300」は、“柱体”といい得ることは、上記(b)のとおりである。 そうすると、“柱体”には、“入射開口から入射した光を出射開口に導く”第1のミラーが内部に配置されているといえる。 以上によると、先願発明と本件発明とは、 『(柱体には、)上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導く第1のミラーが内部に配置されており、』 といい得る点で相違しない。 (c-3)「かつ上記出射開口からの出射光の方向と同じ方向の中心軸で上記撮像装置本体に対して回転自在であり,」 先願発明の「ロータリーマウント部300」は、「円筒開口部300a」から「出射する被写体の画像の出射方向を中心軸として回転可能に筐体101に取り付けられている」ものであり、 「円筒開口部300a」、「筐体101」が、“光を出射する出射開口”、“撮像装置本体”といい得ることは、上記(c-1)、(b)のとおりである。 そうすると、先願発明と本件発明とは、 『(柱体は、)かつ上記出射開口からの出射光の方向と同じ方向の中心軸で上記撮像装置本体に対して回転自在であり、』 といい得る点で相違しない。 (c-4)まとめ(柱体) 上記(c-1)?(c-3)によると、先願発明は、 『上記柱体が、内部が空洞であり、光を入射する入射開口が側面に、光を出射する出射開口が底面にそれぞれ形成されており、上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導く第1のミラーが内部に配置されており、かつ上記出射開口からの出射光の方向と同じ方向の中心軸で上記撮像装置本体に対して回転自在であり、』 という点で、本件発明とは相違しない。 (d)「上記撮像装置本体が,上記柱体の上記出射開口からの出射光の光路上であって,上記柱体から独立した位置であって,受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置され,かつ上記受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力する固体電子撮像素子,および上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2のミラー,を備えた」 (d-1)「上記撮像装置本体が,上記柱体の上記出射開口からの出射光の光路上であって,上記柱体から独立した位置であって,受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置され,かつ上記受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力する固体電子撮像素子,」 先願発明は、「ロータリーマウント部300」の「円筒開口部300a」から「出射」された「被写体の画像を」、「筐体101」の「内部に設けられ」た「第2のミラー」を用いて「90度偏向」して「撮像素子203」に向けて「出射」するものであり、先願発明の「撮像素子203」は、「被写体の画像」を受光するものである。 そうすると、先願発明の「撮像素子203」は、当然、「ロータリーマウント部300」の「円筒開口部300a」からの出射光の光路上に配置されているといえる。 先願発明の「撮像素子203」は、「筐体101」の「内部に設けられ」ており、「ロータリーマウント部300」は「回転可能に筐体101に取り付けられている」。 そうすると、先願発明の「撮像素子203」は、「ロータリーマウント部300」から独立した位置に配置されているといえる。 先願発明の「撮像素子203」が実装された「プリント基板203a」は、「筐体101の内部の上面側の背面に沿って取り付けられ」ていることから、先願発明の「撮像素子203」は、受光面が筐体101の内側の内壁の面と平行となるように配置されているといえる。 先願発明の「撮像素子203」が、受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力するものであることは、当然のことといえる。 先願発明の「筐体101」、「ロータリーマウント部300」、「円筒開口部300a」は、それぞれ“撮像装置本体”、“柱体”、“出射開口”といい得ることは、上記(b)、(c-1)のとおりである。 そうすると、先願発明は、『撮像装置本体が、柱体の出射開口からの出射光の光路上であって、柱体から独立した位置であって、受光面が撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置され、かつ受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力する撮像素子203を備え』ているといえる。 また、一般に、先願発明のようなカメラ付き携帯端末で使用されている「撮像素子」は、半導体化され集積化された“固体電子撮像素子”が用いられていることから、先願発明の「撮像素子203」も本件発明と同様に、“固体電子撮像素子”といい得るものである。 以上によると、先願発明と本件発明とは、 『上記撮像装置本体が、上記柱体の上記出射開口からの出射光の光路上であって、上記柱体から独立した位置であって、受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置され、かつ上記受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力する固体電子撮像素子、(を備えた)』 といい得る点で相違しない。 (d-2)「および上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2のミラー,を備えた」 先願発明の「第2のミラー」は、「円筒開口部300a」から「出射」された「被写体の画像を斜面306aで90度偏向して撮像素子203へ出射する」ものであり、 「撮像素子203」が、“固体電子撮像素子”といい得ることは、上記(d-1)のとおりである。 これらによると、先願発明の「第2のミラー」は、“出射光を固体電子撮像素子の受光面に導く”ものといえる。 また、先願発明の「筐体101」は、「第2のミラー」を備え、 この「筐体101」が、“撮像装置本体”といい得ることは、上記(b)のとおりである。 そうすると、“撮像装置本体”は、“出射光を固体電子撮像素子の受光面に導く”第2のミラーを備えているといえる。 以上によると、先願発明と本件発明とは、 『(上記撮像装置本体が、)および上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2のミラー、を備えた』 といい得る点で相違しない。 (d-3)まとめ(撮像装置本体) 上記(d-1)?(d-2)によると、先願発明は、 『上記撮像装置本体が、上記柱体の上記出射開口からの出射光の光路上であって、上記柱体から独立した位置であって、受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置され、かつ上記受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力する固体電子撮像素子、および上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2のミラー、を備えた』 とする点で、本件発明とは相違しない。 (5)一致点・相違点 以上によると、本件発明と先願発明とは、全て一致しており、両者は同一である。 (6)まとめ したがって、本件発明は、先願明細書に記載された発明と同一であり、しかも、本件発明の発明者が上記先願明細書に記載された発明の発明者と同一であるとも、また、本件の出願時に、その出願人が上記他の出願の出願人と同一であるとも認められないので、本件発明は、特許法第29条の2の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (7)むすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 [理由2](特許法第29条第2項) 上記[理由1]により、上記補正却下の決定のとおり結論すべきであるが、さらに、本件発明が、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下に検討する。 (1)本件発明 本件の請求項1ないし7に係る発明は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるものであるところ、そのうち請求項3に係る発明を「本件発明」として、上記「第2 5[理由1](1)」のとおり認定する。 (2)刊行物1の記載 原査定の拒絶の理由で引用された特開平9-331473号公報(以下、「刊行物1」ともいう。)には、「撮像装置」(発明の名称)に関して、図面と共に以下の記載がある。 〈発明の属する技術分野〉 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電子スチルカメラ、カメラ一体型VTR等の撮像装置に関し、特に前後の画像を違和感なく容易に撮影することを可能とした撮像装置に関するものである。」 〈発明が解決しようとする課題〉 「【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来の撮像装置においては、カメラユニット5を装置本体1に対して垂直方向に回転させているので、前方を撮影する場合と後方を撮影する場合とで撮影用レンズ2の高さ位置が異なり、カメラユニット5を回転させる度に撮像装置の高さ位置を調整する必要があり、撮影操作に手間と違和感が伴うという問題があった。 【0006】 また、カメラユニット5は撮影用レンズ2、反射鏡3、CCDセンサー4を一体化してなるので、前方を撮影する場合と後方を撮影する場合とで、CCDセンサー4より得られる画像は上下反転してしまい、使い勝手が悪いという問題があった。さらに、カメラユニット5は垂直方向に回転するので、水平方向に広範囲な画像を撮影することができないという問題があった。 【0007】 本発明は、上述したような点に鑑みてなされたものであり、撮像装置の高さ位置を変えることなく、前後の画像を違和感なく容易に撮影することができる撮像装置を提供することを目的とする。」 〈発明の実施の形態〉 「【0012】 【発明の実施の形態】本発明の撮像装置の第1の実施形態を、図1乃至図3とともに以下説明するが、上記従来例と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。ここで、図1は本実施形態の撮像装置における(a)前方撮影状態(b)後方撮影状態を示す正面外観図、図2は本実施形態の撮像装置における(a)前方撮影状態(b)後方撮影状態を示す側面説明図、図3は本実施形態の撮像装置における概略構成を示すブロック図である。 【0013】 本実施形態の撮像装置は、図1及び図2に示すように、被写体画像を取り込む撮影用レンズ2、該撮影用レンズ2から入射した画像光を反射する反射鏡3を有するレンズユニット11を、前記反射鏡3からの画像光を電気信号に変換するCCDセンサー4を有する装置本体1に対して、水平方向(横方向)に回転自在に連結して設けている。 【0014】 この撮影用レンズ2、反射鏡3を一体化してなるレンズユニット11を、装置本体1に対して水平方向に回転させることにより、撮影用レンズ2の高さ位置を同一とした状態のままで、前後の被写体画像を撮影用レンズ2より取り込み、反射鏡3を介して装置本体1側のCCDセンサー4へ入射させることができる。 【0015】 次に、本実施形態の撮像装置の動作について、図3とともに説明する。まず、操作キー12による指示に従ってレンズユニット11が水平方向に回転され、前後どちらかの方向に向けられ、被写体は映像光として撮影用レンズ2に入射された後、反射鏡3に集約される。反射鏡3より反射された映像光はCCDセンサー4に集約され、アナログの画像データに変換された後、A/D変換部13にてデジタル画像データに変換され、画像表示用メモリ14に蓄積される。 【0016】 一方、前記操作キー12よりシステム制御部15へは、前記レンズユニット11が前後どちらの方向を向いているのかを示す信号が送られる。システム制御部15では操作キー12からの信号に基づいて、画像データ表示用メモリ14に蓄えられている画像データを読み出す順序を判別し、その判別信号を検出回路16に出力する。 【0017】 検出回路16はシステム制御部15からの判別信号に基づいて、画像データ表示用メモリ14から画像データを読み出し、D/A変換部17へ出力する。D/A変換部17でD/A変換された画像データはモニタ18に表示されることとなる。 【0018】 また、画像データ表示用メモリ14から読み出された画像データは、システム制御部15の指示により画像処理部19へ送られ符号化された後、画像データメモリ20に蓄積される。ここで、この画像データメモリ20にはn枚の画像が蓄積可能である。 【0019】 すなわち、レンズユニット11の回転状態(撮影用レンズ2の向き)に応じて、画像データ表示用メモリ14からの画像データの読み出し順序を可変制御することによって、適宜画像の上下反転補正を行い、前方を撮影する場合と後方を撮影する場合とで、得られる撮影画像の上下を一致させている。 【0020】 さらに、操作キー12からの指示により、画像データメモリ20に蓄えられた画像データを、画像処理部19へ送って復号化した後、画像データ表示用メモリ14に蓄積して、検出回路16及びD/A変換部17を介してモニタ18に表示させることが可能である。また、システム制御部15の指示に従い、画像データ表示用メモリ14からの画像データを画像出力部21を介して外部機器へ出力することもできる。 【0021】 以上説明したとおり、本実施形態の撮像装置においては、レンズユニット11を水平方向に回転させるとともに、該レンズユニット11の回転状態に応じて、CCDセンサー4より得られる画像データに対して上下反転補正することによって、撮像装置の高さ位置を変えずに、違和感なく前方又は後方の画像を撮影することが可能である。」 〈発明の効果〉 「【0027】 【発明の効果】本願請求項1の発明に係る撮像装置は、上述したような構成としているので、撮影用レンズを水平方向に回転させるとともに、CCDセンサーより得られる画像データに対して上下反転補正することによって、撮像装置の高さ位置を変えずに、違和感なく前方又は後方の画像を撮影することが可能となる。」 (刊行物1の記載、以上) (3)刊行物1に記載された発明 刊行物1には、「撮像装置」の発明が記載されており、そのうち第1の実施形態(段落【0012】?【0021】,図1?3)から、刊行物1に記載された発明(以下、「刊行物1発明」ともいう。)を認定する。 (a)撮像装置 「本発明は、電子スチルカメラ、カメラ一体型VTR等の撮像装置に関し、特に前後の画像を違和感なく容易に撮影することを可能とした撮像装置に関するものである。」(段落【0001】)によれば、 刊行物1には、『撮像装置』の発明が記載されていることは、明らかである。 (b)レンズユニットを装置本体に連結して設けた撮像装置 「本実施形態の撮像装置は、図1及び図2に示すように、被写体画像を取り込む撮影用レンズ2、該撮影用レンズ2から入射した画像光を反射する反射鏡3を有するレンズユニット11を、前記反射鏡3からの画像光を電気信号に変換するCCDセンサー4を有する装置本体1に対して、水平方向(横方向)に回転自在に連結して設けている。」(段落【0013】)によれば、 「撮像装置」は、「レンズユニット11を」「装置本体1に対して、」「回転自在に連結して設けている」ものである。 そうすると、刊行物1には、 『レンズユニット11を装置本体1に連結して設けた撮像装置』 が記載されているといえる。 (c)レンズユニット11 刊行物1の図2によると、「レンズユニット11」において、「撮影用レンズ2から入射した画像光」が「反射鏡3」にて反射され、「CCDセンサー4」に向けて出射されている。 このことから、「画像光」は、「レンズユニット11」の“側面側”から入射され、「レンズユニット11」の“底面側”から出射され、「レンズユニット11」の内部は、“空洞”であることが理解できる。 上記摘記した、「被写体画像を取り込む撮影用レンズ2、該撮影用レンズ2から入射した画像光を反射する反射鏡3を有するレンズユニット11を、前記反射鏡3からの画像光を電気信号に変換するCCDセンサー4を有する装置本体1に対して、水平方向(横方向)に回転自在に連結して設けている。」(段落【0013】)、 「この撮影用レンズ2、反射鏡3を一体化してなるレンズユニット11を、装置本体1に対して水平方向に回転させることにより、撮影用レンズ2の高さ位置を同一とした状態のままで、前後の被写体画像を撮影用レンズ2より取り込み、反射鏡3を介して装置本体1側のCCDセンサー4へ入射させることができる。」(段落【0014】)、 「レンズユニット11が水平方向に回転され、前後どちらかの方向に向けられ、被写体は映像光として撮影用レンズ2に入射された後、反射鏡3に集約される。反射鏡3より反射された映像光はCCDセンサー4に集約され、」(段落【0015】)によれば、 「レンズユニット11」は、「被写体画像を取り込む撮影用レンズ2」と「該撮影用レンズ2から入射した画像光を反射する反射鏡3を有」し、 「レンズユニット11」は、「装置本体1に対して、水平方向(横方向)に回転自在」であり、 「被写体は映像光として撮影用レンズ2に入射され」、「入射され」た「映像光」は「反射鏡3に集約され」、「反射鏡3より反射された映像光は」「装置本体1側のCCDセンサー4」「に集約され」る。 そうすると、刊行物1には、 『レンズユニット11が、 内部は空洞であり、 被写体画像を取り込む撮影用レンズ2と該撮影用レンズ2から入射した画像光を反射する反射鏡3を有し、 装置本体1に対して、水平方向(横方向)に回転自在であり、 側面側から被写体が映像光として撮影用レンズ2に入射され、入射された映像光が反射鏡3に集約され、反射鏡3より反射された映像光は底面側から装置本体1のCCDセンサー4に集約される、 レンズユニット11』 であることが記載されているといえる。 (d)装置本体1 「反射鏡3からの画像光を電気信号に変換するCCDセンサー4を有する装置本体1」(段落【0013】)、 「被写体画像を撮影用レンズ2より取り込み、反射鏡3を介して装置本体1側のCCDセンサー4へ入射させることができる。」(段落【0014】)、 「反射鏡3より反射された映像光はCCDセンサー4に集約され、アナログの画像データに変換された後、A/D変換部13にてデジタル画像データに変換され、画像表示用メモリ14に蓄積される。」(段落【0015】)によれば、 「装置本体1」は、「反射鏡3からの画像光を電気信号に変換するCCDセンサー4を有」し、 「反射鏡3より反射された映像光」を「装置本体1側のCCDセンサー4へ入射させ」ている。 そうすると、刊行物1には、 『装置本体1が、 反射鏡3からの画像光を電気信号に変換するCCDセンサー4を有し、 反射鏡3より反射された映像光は装置本体1のCCDセンサー4に入射する、 装置本体1』 であることが記載されているといえる。 (e)刊行物1発明 上記(a)?(d)によれば、刊行物1には、次の「刊行物1発明」が記載されていると認められる。 「レンズユニット11を装置本体1に連結して設けた撮像装置において、 レンズユニット11が、 内部は空洞であり、 被写体画像を取り込む撮影用レンズ2と該撮影用レンズ2から入射した画像光を反射する反射鏡3を有し、 装置本体1に対して、水平方向(横方向)に回転自在であり、 側面側から被写体が映像光として撮影用レンズ2に入射され、入射された映像光が反射鏡3に集約され、反射鏡3より反射された映像光は底面側から装置本体1のCCDセンサー4に集約される、 レンズユニット11であり、 装置本体1が、 反射鏡3からの画像光を電気信号に変換するCCDセンサー4を有し、 反射鏡3より反射された映像光は装置本体1のCCDセンサー4に入射する、 装置本体1である 撮像装置。」 (4)対比 本件発明と刊行物1発明とを対比する。 (a)「撮像装置」 刊行物1発明の「撮像装置」は、「被写体画像を」「撮影用レンズ2」により「取り込」み、「CCDセンサー4に入射」して、「電気信号に変換する」ものであるから、本件発明と同様に、“撮像装置”に関するものといえる。 (b)「撮像装置本体と柱体とを備え,」 刊行物1発明の「撮像装置」は、「レンズユニット11を装置本体1に連結して設けた」ものであるから、「装置本体1」と「レンズユニット11」とを備えているといえる。 刊行物1発明の「装置本体1」とは、「撮像装置」の「装置本体1」のことであるから、“撮像装置本体”といえ、 刊行物1発明の「レンズユニット11」は、「装置本体1に対して」「回転自在」であることから、“回転体”といっても差しつかえない。 一方、本件発明の「柱体」も、「撮像装置本体に対して回転自在」であることから、“回転体”といって差し支えない。 以上によると、刊行物1発明と本件発明は、 『撮像装置本体と回転体とを備え、』る撮像装置、 といい得る点で相違しない。 もっとも、回転体が、 本件発明では、「柱体」であるのに対して、 刊行物1発明では、柱体ではない点、 では、相違が認められる。 (c)「上記柱体が,内部が空洞であり,光を入射する入射開口が側面に,光を出射する出射開口が底面にそれぞれ形成されており,上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導く第1のミラーが内部に配置されており,かつ上記出射開口からの出射光の方向と同じ方向の中心軸で上記撮像装置本体に対して回転自在であり,」 (c-1)「上記柱体が,内部が空洞であり,光を入射する入射開口が側面に,光を出射する出射開口が底面にそれぞれ形成されており,」 刊行物1発明の「レンズユニット11」は、「内部」が「空洞で」ある。 刊行物1発明の「レンズユニット11」は、「側面側から被写体が映像光として撮影用レンズ2に入射され」るものであり、当然、「映像光」を「入射」する“開口”があるといえる。 そうすると、刊行物1発明の「レンズユニット11」は、“光を入射する入射開口が側面に”形成されているといえる。 刊行物1発明の「レンズユニット11」は、「反射鏡3より反射された映像光は底面側から装置本体1のCCDセンサー4に集約される」ものであり、当然、「映像光」を「CCDセンサー4」へ「出射」する“開口”があるといえる。 そうすると、刊行物1発明の「レンズユニット11」は、“光を出射する出射開口が底面に”形成されているといえる。 また、刊行物1発明の「レンズユニット11」と本件発明の「柱体」とが、ともに“回転体”といい得ることは、上記(b)のとおりである。 以上によると、刊行物1発明と本件発明とは、 『上記回転体が、内部が空洞であり、光を入射する入射開口が側面に、光を出射する出射開口が底面にそれぞれ形成されており、』 といい得る点で相違しない。 もっとも、上記(b)と同様、回転体が、 本件発明では、「柱体」であるのに対して、 刊行物1発明では、柱体ではない点、 では、相違が認められる。 (c-2)「上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導く第1のミラーが内部に配置されており,」 刊行物1発明の「反射鏡3」は、「撮影用レンズ2から入射した画像光を」「装置本体1のCCDセンサー4に」向けて「反射する」ものであり、本件発明と同様に“ミラー”といっても差し支えなく、 その“ミラー”といい得る「反射鏡3」は、当然、「レンズユニット11」の内部に配置されており、 刊行物1発明の「レンズユニット11」には、“光を入射する入射開口”と“光を出射する出射開口”とが形成されるといい得ることは、上記(c-1)のとおりである。 以上によると、刊行物1発明と本件発明とは、 『(回転体には、)上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導くミラーが内部に配置されており、』 といい得る点で相違しない。 もっとも、ミラーが、 本件発明では、「第1のミラー」であるのに対して、 刊行物1発明では、「ミラー」である点、 では、相違が認められる。 (c-3)「かつ上記出射開口からの出射光の方向と同じ方向の中心軸で上記撮像装置本体に対して回転自在であり,」 刊行物1発明の「レンズユニット11」は、「装置本体1に対して、水平方向(横方向)に回転自在で」ある。 すなわち、刊行物1発明の「レンズユニット11」は、「装置本体1」の縦方向と同じ方向の中心軸で「装置本体1」に対して「回転自在」であるといえ、 この「装置本体1」の縦方向と同じ方向とは、「反射鏡3より反射された映像光」が「装置本体1のCCDセンサー4」に向けて出射される方向と同じ方向であることから、 刊行物1発明の「レンズユニット11」は、“出射開口からの出射光の方向と同じ方向の中心軸で装置本体1に対して回転自在である”といえる。 また、「装置本体1」が、“撮像装置本体”といい得ることは、上記(b)のとおりである。 そうすると、刊行物1発明と本件発明とは、 『(回転体は、)かつ上記出射開口からの出射光の方向と同じ方向の中心軸で上記撮像装置本体に対して回転自在であり、』 といい得る点で相違しない。 (c-4)まとめ(柱体) 上記(c-1)?(c-3)によると、刊行物1発明は、 『上記回転体が、内部が空洞であり、光を入射する入射開口が側面に、光を出射する出射開口が底面にそれぞれ形成されており、上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導くミラーが内部に配置されており、かつ上記出射開口からの出射光の方向と同じ方向の中心軸で上記撮像装置本体に対して回転自在であり、』 という点で、本件発明とは相違しない。 もっとも、ミラーが、 本件発明では、「第1のミラー」であるのに対して、 刊行物1発明では、「ミラー」である点、 では、相違が認められる。 また、上記(b)と同様、回転体が、 本件発明では、「柱体」であるのに対して、 刊行物1発明では、柱体ではない点、 では、相違が認められる。 (d)「上記撮像装置本体が,上記柱体の上記出射開口からの出射光の光路上であって,上記柱体から独立した位置であって,受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置され,かつ上記受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力する固体電子撮像素子,および上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2のミラー,を備えた」 (d-1)「上記撮像装置本体が,上記柱体の上記出射開口からの出射光の光路上であって,上記柱体から独立した位置であって,受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置され,かつ上記受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力する固体電子撮像素子,」 刊行物1発明の「CCDセンサー4」は、「装置本体1」に配置され、「反射鏡3より反射された映像光」が「装置本体1のCCDセンサー4に入射」されることから、刊行物1発明の「CCDセンサー4」は、「レンズユニット11」の“出射開口”からの出射光の光路上に配置されているといえ、 刊行物1発明の「CCDセンサー4」は、「装置本体1」に配置されているものであるから、「レンズユニット11」から独立した位置に配置されているといえ、 刊行物1発明の「CCDセンサー4」が、受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力するものであることは、当然の技術的事項であるといえ、 刊行物1発明の「装置本体1」、「レンズユニット11」は、それぞれ“撮像装置本体”、“回転体”といい得ることは、上記(b)のとおりである。 そうすると、刊行物1発明は、『撮像装置本体が、回転体の出射開口からの出射光の光路上であって、回転体から独立した位置に配置され、かつ受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力するCCDセンサー4を備え』ているといえる。 また、刊行物1発明の「CCDセンサー4」が、“固体電子撮像素子”といい替え得ることは、当業者にとって一般的な技術常識である。 一方、本件発明の「柱体」が、“回転体”といい得ることも、上記(b)のとおりである。 以上によると、刊行物1発明と本件発明とは、 『上記撮像装置本体が、上記回転体の上記出射開口からの出射光の光路上であって、上記回転体から独立した位置に配置され、かつ上記受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力する固体電子撮像素子、(を備えた)』 といい得る点で相違しない。 もっとも、上記(c-4)に関連して、固体電子撮像素子が、 本件発明では、「受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置され」ているのに対して、 刊行物1発明では、受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置されているとはいえない点、 では、相違が認められる。 また、上記(b)と同様、回転体が、 本件発明では、「柱体」であるのに対して、 刊行物1発明では、柱体ではない点、 では、相違が認められる。 (d-2)「および上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2のミラー,を備えた」 刊行物1発明の「装置本体1」は、本件発明の「第2のミラー」に対応する手段を備えておらず、この「装置本体1」が、“撮像装置本体”といい得ることは、上記(b)のとおりである。 そうすると、上記(c-4)に関連して、撮像装置本体が、 本件発明では、「上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2のミラー,を備えた」ものであるのに対して、 刊行物1発明は、第2のミラーを備えていない点、 では、相違が認められる。 (d-3)まとめ(撮像装置本体) 上記(d-1)?(d-2)によると、刊行物1発明は、 『上記撮像装置本体が、上記回転体の上記出射開口からの出射光の光路上であって、上記回転体から独立した位置に配置され、かつ上記受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力する固体電子撮像素子を備えた』 点で、本件発明とは相違しない。 もっとも、上述の(c-4)に関連して、 撮像装置本体が、 本件発明では、「上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2のミラー,を備えた」ものであるのに対して、 刊行物1発明は、第2のミラーを備えていないものであり、 固体電子撮像素子が、 本件発明では、「受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置され」ているのに対して、 刊行物1発明では、受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置されているとはいえない点、 では、相違が認められる。 また、上記(b)と同様、回転体が、 本件発明では、「柱体」であるのに対して、 刊行物1発明では、柱体ではない点、 では、相違が認められる。 (5)一致点・相違点 本件発明と刊行物1発明とは、 [一致点] 撮像装置本体と回転体とを備え、 上記回転体が、 内部が空洞であり、光を入射する入射開口が側面に、光を出射する出射開口が底面にそれぞれ形成されており、上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導くミラーが内部に配置されており、かつ上記出射開口からの出射光の方向と同じ方向の中心軸で上記撮像装置本体に対して回転自在であり、 上記撮像装置本体が、 上記回転体の上記出射開口からの出射光の光路上であって、上記回転体から独立した位置に配置され、かつ上記受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力する固体電子撮像素子、 を備えた撮像装置。 である点で一致し、 [相違点1] ミラーが、 本件発明では、「第1のミラー」であるのに対して、 刊行物1発明では、「ミラー」であり、 撮像装置本体が、 本件発明では、「上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2のミラー,を備えた」ものであるのに対して、 刊行物1発明は、第2のミラーを備えていないものであり、 固体電子撮像素子が、 本件発明では、「受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置され」ているのに対して、 刊行物1発明では、受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置されているとはいえない点。 [相違点2] 回転体が、 本件発明では、「柱体」であるのに対して、 刊行物1発明では、柱体ではない点。 で相違する。 (6)判断 a 相違点1について (a)刊行物2の記載 原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願日前である平成12年11月14日に頒布された特表2000-515255号公報(以下、「刊行物2」ともいう。)には、図面と共に以下の記載がある。 (ア:第6頁第3行?第4行) 「1.発明の背景 本発明は、光学式画像記録装置及び関連する処理装置に関する。」 (イ:第9頁第2行?第8行) 「2.発明の開示光学式画像記録装置 本発明の第1の観点においては、コンパクトで平坦な形態で収容することのできる、特に、財布の中、あるいは、クレジットカードを持ち運ぶように設計された小型のハンドバッグの中に保持することできるコンパクトで平坦なカメラの中に収容することのできる、光学情報を記録するための光学式画像記録装置を提供することが目的である。」 (ウ:第10頁第13行?第22行) 「レンズ系 本発明によれば、レンズ系は、第1の光学軸を有する前方レンズ群と、第2の光学軸を有する1又はそれ以上のレンズから成る後方レンズ群と、上記第1の光学軸を180°よりも小さい角度aで折り曲げて上記第2の光学軸と組み合わせる反射要素とを備えており、これにより、レンズ系を、上記ボディの内部に収容し、従って、従来技術のコンパクトで平坦なカメラの折り曲げられないレンズ系に比較して、有効レンズ高さを小さく維持することができる。」 (エ:第13頁第11行?第14頁第9行) 「反射要素 本発明によれば、レンズ系は、反射要素を備えており、この反射要素は、第1の光学軸を180°よりも小さい角度aで折り曲げて第2の光学軸と組み合わせ、これにより、前方レンズ群が受け取った光学情報(光束)を後方レンズ群へ伝達して画像記録装置に像を形成することができる。 反射要素は、当業者に周知の適宜な反射要素、例えば、プリズム又は鏡とすることができる。 好ましい実施の形態においては、反射要素を第1の平面鏡から構成し、これにより、光束を基材を通過させることなく反射させる。 上記第1の平面鏡の基材は、反射面と共に良好に機能するように選択されなければならない。そのような基材は、ガラス、特に、フロートガラス(float glass)の如き、剛性材料とすることができるが、プラスチック、あるいは、アルミニウムの如き金属を使用することもできる。特定の実施の形態においては、反射要素は、研磨された反射面を有するアルミニウム基材から構成される。 好ましい実施の形態においては、前方レンズ群及び反射要素は、1つのプリズムから構成される。 追加の反射要素 別の好ましい実施の形態においては、レンズ系は、追加の反射要素を備えており、この追加の反射要素は、上記第2の光学軸を折り曲げて画像記録装置の光学軸と組み合わせ、これにより、レンズ系の特にコンパクトな形態を得ることができる。 追加の反射要素は、上述の第1の反射要素に関して説明したように、選択することができる。 好ましい実施の形態においては、追加の反射要素は、1つのプリズムから構成される。」 (オ:第14頁第14行?第15頁第14行) 「光学軸の折り曲げ及び方向決め 本発明によれば、レンズ系は、反射要素を有する折り曲げ型のレンズ系であって、上記反射要素は、第1の光学軸を180°よりも小さい角度aで折り曲げて第2の光学軸と組み合わせ、これにより、レンズ系をコンパクトな形態に維持することができ、特に、従来技術の非折り曲げ型のレンズ系よりもかなりコンパクトな形態を得ることができる。 また、特に後方レンズ群に比較的厚いレンズを使用することができ、これにより、比較的壊れにくい寸法のレンズ、例えば、勾配屈折率レンズ(GRINレンズ)を用いることができ、特に、軸方向のGRINレンズを用いることができる。そのようなレンズは、Lightpath Technologies(米国アリゾナ州Tuscon)から入手可能である。 また、後方レンズ群を多数のレンズから構成して、少数のレンズから成る後方レンズ群に比較して、収差の調節すなわち制御を良好に行うことができる。この構成は、一般的には大きな直径を有する前方レンズ群を備える、高速のレンズ系を設計する場合に、特に重要である。 好ましい実施の形態においては、上記第1の光学軸及び上記第2の光学軸は、90°又はそれ未満の角度を形成し、これにより、特にコンパクトなレンズ系を得ることができる。 また、更に別の好ましい実施の形態においては、上記第2の光学軸及び上記画像記録装置の光学軸は、90°又はそれ未満の角度を形成し、これにより、画像記録装置の範囲に応じて、更にコンパクトなレンズ系を得ることができる。よくあるように、画像記録装置が大きい場合には、よりコンパクトな装置が得られる。 上記光学軸の方向決めは、適宜な目的に合わせて設計することができる。好ましい 実施の形態においては、上記第1の光学軸及び上記画像記録装置の光学軸は、実質的に同じ平面にある。 更に、上記第1の光学軸及び上記画像記録装置の光学軸は、実質的に平行である。」 (カ:第17頁第8行?第14行) 「画像記録装置 本発明によれば、ボディは、感光領域を有する画像記録装置を収容する。この画像記録装置は、レンズ系によって画像に形成された光学情報を画像処理装置で処理することのできる信号の形態として記録することのできる、適宜な装置から構成することができる。 画像記録装置は、感光性の電子装置、特に、電荷結合素子(CCD)、金属酸化膜半導体(MOS)等の如き、半導体画像センサであるのが好ましい。」 (キ:第19頁第18行?第20頁第7行) 「ボディ 本発明によれば、ボディは、成型プラスチック、ダイカストされた軽量金属合金又は成形された金属板の如き適宜な材料から成る薄い壁を有する剛性構造体から構成されている。上記壁は、また、炭素繊維強化されたプラスチック樹脂の如き複合材料から形成され、これにより、軽量で機械的に強い特に好ましいボディを得ることができる。 また、光学式画像記録装置を静電放電から保護し、電磁適合性を確保するために、ボディは、炭素繊維の如き導電材料から形成するか、あるいは、そのような導電材料を含むことができる。 一般的に、ボディの高さは、20mm未満であり、これにより、ボディは、画像処理装置に極めて一般的に使用されている寸法を有するスロットの中に収容することのできる、十分に平坦な形態を有する。 特に好ましい実施の形態においては、上記高さは、10.5mm以下であり、これにより、ボディの高さは、タイプIIIのPCMCIA規格に合致する。 上記高さは、5.0mm以下であるのが最も好ましく、これにより、ボディの高さは、タイプIIのPCMCIA規格に合致する。 財布に挿入することができるようにするために、最大7mmの高さが望ましい。」 (ク:第24頁第5行?第23行) 「本発明の好ましい実施の形態 図2Aは、本発明の光学式画像記録装置の好ましい実施の形態の断面図であり、また、図2Bは、上記好ましい実施の形態の平面図を示している。この光学式画像記録装置は、レンズ系を備えており、このレンズ系は、前方レンズ群21と、後方レンズ群22と、反射要素23と、追加の反射要素24と、開口絞り26と、選択的に採用されるフィルタ27とを備えている。直径Dの周円を有する光学画像28が、レンズ系によって形成され、画像記録装置25によって電気信号に変換される。 光学式画像記録装置は、更に、幅の広い面201、202及び低い高さbを有するボディ20を備えており、このボディは、上記レンズ系及び画像記録装置を収容している。 図1の従来技術とは対照的に、このレンズ系は、ボディ20の中に収容されており、これにより、光学式画像記録装置は常に、低い高さb及び堅固な構造を有している。光学装置の高さH、並びに、有効レンズ高さhは共に、ボディの高さbよりも低い。 光学情報は、光学軸211を有する前方レンズ群21を介して受け取られ、その後、反射要素23によって角度aで反射されて、後方レンズ群22の光学軸221に結合される。追加の反射要素24は、集束されていない画像すなわち未集束画像を、光学軸251を有する画像記録装置25の感光面に反射させる。」 (ケ:第27頁第3行?第4行) 「反射要素23、24は、この好ましい実施の形態においては、第1の表面鏡である。上記反射要素は、プリズムで置き換えることができる。」 (コ:第27頁第11行?第15行) 「本発明の好ましい実施の形態においては、画像記録装置25は、二次元的に配列されたCCD(電荷結合素子)から成る画像センサである。レンズ系によって形成された光学画像28は、画像記録装置25によって電気信号に変換される。これら電気信号を処理して、一般的には半導体メモリであるデータ記憶装置に記憶させることができる。」 (サ:第28頁第22行?第25行) 「図5は、一つの反射要素23しか持たない実施の形態における、レンズ系及び画像記録装置25を示している。本発明のこの実施の形態においては、第2の反射要素24が取り除かれており、これにより、構成要素の数が減少されていて、レンズ系が単純化されている。」 (刊行物2の記載、以上) (b)刊行物2に記載された発明 刊行物2の上記摘記事項によれば、刊行物2に記載された発明として、以下のようなものを認定できる。 「前方レンズ群21と、後方レンズ群22と、反射要素23と、追加の反射要素24と、開口絞り26と、選択的に採用されるフィルタ27とを備え」た「レンズ系を備え」、「直径Dの周円を有する光学画像28が、レンズ系によって形成され、画像記録装置25によって電気信号に変換される」「光学式画像記録装置」(ク)であって、 「コンパクトで平坦な形態で収容することのできる、特に、財布の中、あるいは、クレジットカードを持ち運ぶように設計された小型のハンドバッグの中に保持することできるコンパクトで平坦なカメラの中に収容することのできる、光学情報を記録するための光学式画像記録装置」(イ)において、 「反射要素は、第1の光学軸を180°よりも小さい角度aで折り曲げて第2の光学軸と組み合わせ、これにより、前方レンズ群が受け取った光学情報(光束)を後方レンズ群へ伝達して画像記録装置に像を形成することができ」、「追加の反射要素は、上記第2の光学軸を折り曲げて画像記録装置の光学軸と組み合わせ、これにより、レンズ系の特にコンパクトな形態を得ることができ」(エ)、 「反射要素23、24は、この好ましい実施の形態においては、第1の表面鏡であ」(ケ)り、 「上記第1の光学軸及び上記第2の光学軸は、90°又はそれ未満の角度を形成し、これにより、特にコンパクトなレンズ系を得ることができ」、「上記第2の光学軸及び上記画像記録装置の光学軸は、90°又はそれ未満の角度を形成し、これにより、画像記録装置の範囲に応じて、更にコンパクトなレンズ系を得ることができ」、「上記第1の光学軸及び上記画像記録装置の光学軸は、実質的に平行である」(オ)ものであって、 「画像記録装置は、感光性の電子装置、特に、電荷結合素子(CCD)、金属酸化膜半導体(MOS)等の如き、半導体画像センサであ」(カ)る、 「光学式画像記録装置」(ア)。 刊行物2に記載された発明の「光学式画像記録装置」は、「コンパクトで平坦なカメラの中に収容することのできる、光学情報を記録するための光学式画像記録装置」であって、「レンズ系の特にコンパクトな形態を得る」ためのものであるといえ、 刊行物2に記載された発明の「カメラ」は、“撮像装置”といえる。 そうすると、刊行物2に記載された発明は、“コンパクトな形態を得ることを目的とした撮像装置”ということができる。 刊行物2に記載された発明の「反射要素23」は、入射光の光学軸である「第1の光学軸」を「90°」「折り曲げて第2の光学軸と」するものであって、「反射要素23」は、「表面鏡であ」るから、“第1のミラー”といえ、 刊行物2に記載された発明の「追加の反射要素24」は、上記「第2の光学軸を」「90°」「折り曲げて」「画像記録装置の光学軸と」するものであって、「反射要素」「24」は、「表面鏡であ」るから、“第2のミラー”といえる。 刊行物2に記載された発明の「画像記録装置」は、「追加の反射要素24」からの光を受光するものであって、「電荷結合素子(CCD)、金属酸化膜半導体(MOS)等の如き、半導体画像センサであ」るから、“固体電子撮像素子”といえ、 「上記第1の光学軸及び上記画像記録装置の光学軸は、実質的に平行である」ことから、画像記録装置の受光面は、第1の光学軸に対して垂直となる面を有しているといえ、 これらのことから、刊行物2に記載された発明の「画像記録装置」の受光面は、「カメラ」本体の内側の内壁の面と平行となるように配置されているといえる。 以上によると、刊行物2に記載された発明は、 「コンパクトな形態を得ることを目的とした撮像装置において、 入射光の光学軸である第1の光学軸を90°折り曲げて第2の光学軸とする第1のミラーと、 上記第2の光学軸を90°折り曲げて画像記録装置の光学軸とする第2のミラーと、 追加の反射要素24からの光を受光するものであって、撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置されている固体電子撮像素子と、 を備える撮像装置。」 といえる。 (c)刊行物2に記載された発明の適用の容易性 刊行物1発明と刊行物2に記載された発明とは、共に撮像装置に関するものである。 そして、一般に、撮像装置のような携帯機器において、機器の小型化または薄型化は周知の技術的課題であるといえるところ、 刊行物2に記載された発明は、「コンパクトな形態を得ることを目的とした撮像装置において、入射光の光学軸である第1の光学軸を90°折り曲げて第2の光学軸とする第1のミラーと、上記第2の光学軸を90°折り曲げて画像記録装置の光学軸とする第2のミラーと、追加の反射要素24からの光を受光するものであって、撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置されている固体電子撮像素子とを備える」技術が示されていて、刊行物2に接した当業者は、機器の小型化または薄型化という点で、刊行物1発明より有利であると考え得ることから、容易にその技術を刊行物1発明に適用することを想起するものである。 そうすると、刊行物1発明の「ミラー」を、「第1のミラー」とし、刊行物1発明の撮像装置本体に、「上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2のミラー」を備えることは、当業者が容易に想到できることといえ、 そのようにするとき、刊行物2に記載された発明の「固体電子撮像素子」は、「撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置されている」ことから、刊行物1発明の固体電子撮像素子が、「受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置され」るようにすることも、当業者が容易に想到し得ることといえる。 以上によれば、本件発明の上記相違点1に係る構成は、刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得ることである。 b 相違点2について 撮像光が入射される筐体部分を、装置本体に対して回転させることができる撮像装置において、該筐体部分を円筒形状とすることは、例えば、特開2000-333059号公報(特に、段落【0006】、【0102】、図10、20)、特開平11-4399号公報(特に、段落【0026】、図1)、特開平8-223492号公報(特に、段落【0014】、【0021】)にも記載されているように、周知技術であるといえる。 そして、刊行物1発明の「回転体」である「レンズユニット」は、撮像装置本体に対して回転自在であるところ、 上記周知技術は、撮像光が入射される筐体部分である“回転体”が円筒形状であるので、回転により回転体と装置本体との衝突が発生して回転体の回転角度が規制されてしまうという心配がなく、それ故、回転体と装置本体との間にある程度のすき間を設ける必要もないといえ、当業者であるなら刊行物1発明よりも設計上有利であると考え得ることから、容易に上記周知技術を刊行物1発明に適用することを想起するものである。 そうすると、刊行物1発明の「回転体」である「レンズユニット」を円筒形状にすることは、当業者が容易に想到し得ることであり、 ここでいう“円筒形状”の構造体は、“柱体”といい替えることもできることから、刊行物1発明の「レンズユニット」を“柱体”とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 以上によれば、本件発明の上記相違点2に係る構成は、上記周知技術に基づいて当業者が容易になし得ることである。 c まとめ(判断) 以上のように、本件発明の相違点1に係る構成も相違点2に係る構成も当業者が容易になし得ることであるところ、これらを合わせて克服することも、当業者が容易になし得ることである。 (7)効果等 本件発明の構成は、上記のとおり当業者容易想到であるところ、本件発明の効果は、その容易想到である構成から当業者が予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える格別顕著なものでもない。 (8)まとめ したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明 平成20年6月4日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし7に係る発明は、平成19年11月20日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるものであるところ、そのうち請求項3に係る発明(以下、「本願発明」ともいう。)は、以下のとおりのものである。 「撮像装置本体と柱体とを備え, 上記柱体が, 内部が空洞であり,光を入射する入射開口が側面に,光を出射する出射開口が底面にそれぞれ形成されており,上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導く第1の偏向器が内部に配置されており,かつ上記出射開口からの出射光の方向と同じ方向の中心軸で上記撮像装置本体に対して回転自在であり, 上記撮像装置本体が, 上記柱体の上記出射開口からの出射光の光路上であって,上記柱体から独立した位置であって,受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置され,かつ上記受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力する固体電子撮像素子,および 上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2の偏向器, を備えた撮像装置。」 第4 検討 原査定の拒絶の理由(3)(特許法第29条の2)と、原査定の拒絶の理由(1)(特許法第29条第2項)について、以下に検討する。 1 特許法第29条の2について (1)先願明細書の記載 原査定の拒絶の理由で引用された特許出願は、上記「第2 5[理由1](2)」に記載したとおりであり、その願書に最初に添付された明細書又は図面(以下、「先願明細書」ともいう。)の記載事項も、上記「第2 5[理由1](2)」に記載したとおりである。 (2)先願明細書に記載された発明 先願明細書に記載された発明として、上記「第2 5[理由1](3)」のとおり「先願発明」を認定する。 (3)対比 本願発明と先願発明とを対比する。 (a)「撮像装置」 上記「第2 5[理由1](4)(a)」と同様である。 (b)「撮像装置本体と柱体とを備え,」 上記「第2 5[理由1](4)(b)」と同様である。 (c)「上記柱体が,内部が空洞であり,光を入射する入射開口が側面に,光を出射する出射開口が底面にそれぞれ形成されており,上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導く第1の偏向器が内部に配置されており,かつ上記出射開口からの出射光の方向と同じ方向の中心軸で上記撮像装置本体に対して回転自在であり,」 先願発明の「第1のミラー」は、“入射開口から入射した光を出射開口に導く第1の偏向器”といえ、このことが、本願発明とは相違しないことを除いて、上記「第2 5[理由1](4)(c)」と同様である。 すなわち、先願発明は、 『上記柱体が、内部が空洞であり、光を入射する入射開口が側面に、光を出射する出射開口が底面にそれぞれ形成されており、上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導く第1の偏向器が内部に配置されており、かつ上記出射開口からの出射光の方向と同じ方向の中心軸で上記撮像装置本体に対して回転自在であり、』 という点で、本願発明とは相違しない。 (d)「上記撮像装置本体が,上記柱体の上記出射開口からの出射光の光路上であって,上記柱体から独立した位置であって,受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置され,かつ上記受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力する固体電子撮像素子,および上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2の偏向器,を備えた」 先願発明の「第2のミラー」は、“出射光を固体電子撮像素子の受光面に導く第2の偏向器”といえ、このことが、本願発明と相違しないことを除いて、上記「第2 5[理由1](4)(d)」と同様である。 すなわち、先願発明は、 『上記撮像装置本体が、上記柱体の上記出射開口からの出射光の光路上であって、上記柱体から独立した位置であって、受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置され、かつ上記受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力する固体電子撮像素子、および上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2の偏向器、を備えた』 とする点で、本願発明とは相違しない。 (4)一致点・相違点 以上によると、本願発明と先願発明とは、全て一致しており、両者は同一である。 (5)まとめ したがって、本願発明は、先願明細書に記載された発明と同一であり、しかも、本願発明の発明者が上記先願明細書に記載された発明の発明者と同一であるとも、また、本願の出願時に、その出願人が上記他の出願の出願人と同一であるとも認められないので、本願発明は、特許法29条の2の規定により特許を受けることができない。 2 特許法第29条第2項について (1)刊行物1の記載 原査定の拒絶の理由で引用された刊行物1及びその記載事項は、上記「第2 5[理由2](2)」に記載したとおりである。 (2)刊行物1に記載された発明 刊行物1に記載された発明として、上記「第2 5[理由2](3)」のとおり「刊行物1発明」を認定する。 (3)対比 本願発明と刊行物1発明とを対比する。 (a)「撮像装置」 上記「第2 5[理由2](4)(a)」と同様である。 (b)「撮像装置本体と柱体とを備え,」 上記「第2 5[理由2](4)(b)」と同様である。 (c)「上記柱体が,内部が空洞であり,光を入射する入射開口が側面に,光を出射する出射開口が底面にそれぞれ形成されており,上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導く第1の偏向器が内部に配置されており,かつ上記出射開口からの出射光の方向と同じ方向の中心軸で上記撮像装置本体に対して回転自在であり,」 上記「第2 5[理由2](4)(c)」において、「ミラー」としたところを、「偏向器」とする。 すなわち、刊行物1発明の「反射鏡3」は、「撮影用レンズ2から入射した画像光を」「装置本体1のCCDセンサー4に」向けて「反射する」ものであり、本願発明と同様に“偏向器”といっても差し支えないことを除いて、上記「第2 5[理由2](4)(c)」と同様である。 そうすると、刊行物1発明は、 『上記回転体が、内部が空洞であり、光を入射する入射開口が側面に、光を出射する出射開口が底面にそれぞれ形成されており、上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導く偏向器が内部に配置されており、かつ上記出射開口からの出射光の方向と同じ方向の中心軸で上記撮像装置本体に対して回転自在であり、』 という点で、本願発明とは相違しない。 もっとも、偏向器が、 本願発明では、「第1の偏向器」であるのに対して、 刊行物1発明では、「偏向器」である点、 では、相違が認められる。 また、上記(b)と同様、回転体が、 本願発明では、「柱体」であるのに対して、 刊行物1発明では、柱体ではない点、 では、相違が認められる。 (d)「上記撮像装置本体が,上記柱体の上記出射開口からの出射光の光路上であって,上記柱体から独立した位置であって,受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置され,かつ上記受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力する固体電子撮像素子,および上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2の偏向器,を備えた」 上記「第2 5[理由2](4)(d)」において、「ミラー」としたところを、「偏向器」とする。 すなわち、撮像装置本体が、 本願発明では、「上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2の偏向器,を備えた」ものであるのに対して、 刊行物1発明は、第2の偏向器を備えていないものであることを除いて、上記「第2 5[理由2](4)(d)」と同様である。 そうすると、刊行物1発明は、 『上記撮像装置本体が、上記回転体の上記出射開口からの出射光の光路上であって、上記回転体から独立した位置に配置され、かつ上記受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力する固体電子撮像素子を備えた』 点で、本願発明とは相違しない。 もっとも、上述の(c)に関連して、 撮像装置本体が、 本願発明では、「上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2の偏向器,を備えた」ものであるのに対して、 刊行物1発明は、第2の偏向器を備えていないものであり、 固体電子撮像素子が、 本願発明では、「受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置され」ているのに対して、 刊行物1発明では、受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置されているとはいえない点、 では、相違が認められる。 また、上記(b)と同様、回転体が、 本願発明では、「柱体」であるのに対して、 刊行物1発明では、柱体ではない点、 では、相違が認められる。 (4)一致点・相違点 本願発明と刊行物1発明とは、 [一致点] 撮像装置本体と回転体とを備え、 上記回転体が、 内部が空洞であり、光を入射する入射開口が側面に、光を出射する出射開口が底面にそれぞれ形成されており、上記入射開口から入射した光を上記出射開口に導く偏向器が内部に配置されており、かつ上記出射開口からの出射光の方向と同じ方向の中心軸で上記撮像装置本体に対して回転自在であり、 上記撮像装置本体が、 上記回転体の上記出射開口からの出射光の光路上であって、上記回転体から独立した位置に配置され、かつ上記受光面に結像した被写体像を表す映像信号を出力する固体電子撮像素子、 を備えた撮像装置。 である点で一致し、 [相違点1] 偏向器が、 本願発明では、「第1の偏向器」であるのに対して、 刊行物1発明では、「偏向器」であり、 撮像装置本体が、 本願発明では、「上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2の偏向器,を備えた」ものであるのに対して、 刊行物1発明は、第2の偏向器を備えていないものであり、 固体電子撮像素子が、 本願発明では、「受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置され」ているのに対して、 刊行物1発明では、受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置されているとはいえない点。 [相違点2] 回転体が、 本願発明では、「柱体」であるのに対して、 刊行物1発明では、柱体ではない点。 で相違する。 (5)判断 a 相違点1について (a)刊行物2の記載 原査定の拒絶の理由で引用された刊行物2及びその記載事項は、上記「第2 5[理由2](6)a(a)」に記載したとおりである。 (b)刊行物2に記載された発明 上記「第2 5[理由2](6)a(b)」において、「ミラー」としたところを、「偏向器」とする。 すなわち、『刊行物2に記載された発明の「反射要素23」は、入射光の光学軸である「第1の光学軸」を「90°」「折り曲げて第2の光学軸と」するものであって、「反射要素23」は、「表面鏡であ」るから、“第1の偏向器”といえ、 刊行物2に記載された発明の「追加の反射要素24」は、上記「第2の光学軸を」「90°」「折り曲げて」「画像記録装置の光学軸と」するものであって、「反射要素」「24」は、「表面鏡であ」るから、“第2の偏向器”といえる』ことを除いて、上記「第2 5[理由2](6)a(b)」と同様である。 そうすると、刊行物2に記載された発明は、 「コンパクトな形態を得ることを目的とした撮像装置において、 入射光の光学軸である第1の光学軸を90°折り曲げて第2の光学軸とする第1の偏向器と、 上記第2の光学軸を90°折り曲げて画像記録装置の光学軸とする第2の偏向器と、 追加の反射要素24からの光を受光するものであって、撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置されている固体電子撮像素子と、 を備える撮像装置。」 といえる。 (c)刊行物2に記載された発明の適用の容易性 上記「第2 5[理由2](6)a(c)」において、「ミラー」としたところを、「偏向器」とすること以外、上記「第2 5[理由2](6)a(c)」と同様である。 そうすると、刊行物1発明の「偏向器」を、「第1の偏向器」とし、刊行物1発明の撮像装置本体に、「上記出射光を上記固体電子撮像素子の受光面に導く第2の偏向器」を備えることは、当業者が容易に想到できることといえ、 そのようにするとき、刊行物2に記載された発明の「固体電子撮像素子」は、「撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置されている」ことから、刊行物1発明の固体電子撮像素子が、「受光面が上記撮像装置本体の内側の内壁の面と平行となるように配置され」るようにすることも、当業者が容易に想到し得ることといえる。 以上によれば、本願発明の上記相違点1に係る構成は、刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得ることである。 b 相違点2について 上記「第2 5[理由2](6)b」と同様である。 c まとめ(判断) 上記「第2 5[理由2](6)c」と同様である。 (6)効果等 本願発明の構成は、上記のとおり当業者容易想到であるところ、本願発明の効果は、その容易想到である構成から当業者が予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える格別顕著なものでもない。 (7)まとめ したがって、本願発明は、刊行物1、2に記載された発明と周知技術とに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第5 むすび 以上のとおり、本願請求項3に係る発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができず、また、同法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、請求項1、2、4ないし7に係る発明について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-08-04 |
結審通知日 | 2010-08-10 |
審決日 | 2010-08-25 |
出願番号 | 特願2002-282098(P2002-282098) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N) P 1 8・ 16- Z (H04N) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 関谷 隆一 |
特許庁審判長 |
渡邊 聡 |
特許庁審判官 |
佐藤 直樹 奥村 元宏 |
発明の名称 | 撮像装置付き携帯電話機およびその制御方法 |
代理人 | 井上 正 |
代理人 | 牛久 健司 |
代理人 | 高城 貞晶 |