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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B41J
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B41J
管理番号 1224695
審判番号 不服2009-5201  
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-03-09 
確定日 2010-10-06 
事件の表示 特願2003-355386「情報処理装置及びその制御方法、プログラム及び記憶媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 6月17日出願公開、特開2004-168034〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 [1]手続の経緯
本願は、平成14年10月30日に出願された特願2002-316401号をその優先権主張の基礎とする、平成15年10月15日の出願であって、平成21年1月30日付けで拒絶査定がなされ、同年3月9日に拒絶査定不服審判がなされるとともに、同年4月8日に手続補正がなされたものである。
その後、平成22年4月2日付けで審判請求人に前置報告書の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったところ、同年6月2日に回答書が提出されたものである。

[2]平成21年4月8日の手続補正
1.補正後の本願発明
平成21年4月8日の手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についての補正を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲は、
「【請求項1】
通信媒体を介して印刷装置と接続され、前記印刷装置に対して本文及びタブのデータを、タブ紙を含む記録紙に両面印刷させるための制御コマンドを発行するプリンタドライバを搭載した情報処理装置であって、
前記プリンタドライバのユーザインターフェース画面において印刷設定を受け付ける設定受付手段と、
前記受け付けた設定に従って、前記印刷装置における印刷がタブ紙への印刷であるかを判定する判定手段と、
前記判定手段においてタブ紙への印刷と判定された場合に前記受け付けた設定に従って、タブ紙が挿入されている給紙部を指定する給紙コマンド発行手段と、
前記判定手段においてタブ紙への印刷と判定された場合に前記受け付けた設定に従って、記録紙をタブ紙に指定するメディアコマンド発行手段と、
前記判定手段においてタブ紙への印刷と判定された場合に、前記タブ紙の第1の面の印刷を実行させるための第1面印刷コマンドを発行する第1面印刷コマンド発行手段と、
前記第1面印刷コマンドを発行後に、前記印刷装置の操作パネルからの指示がくるまで、前記印刷装置における印刷を一時中断させるための制御コマンドを発行する印刷中止コマンド発行手段と、
前記受け付けた設定に従って、前記タブ紙の第2の面の印刷を実行させるための第2面印刷コマンドを発行する第2面印刷コマンド発行手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記判定手段においてタブ紙への印刷でないと判定された場合に、前記受け付けた設定に従って、前記本文の印刷を実行させるための制御コマンドを発行する本文印刷コマンド発行手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記設定受付手段は、
前記タブ紙の給紙部の指定を受け付ける給紙部設定手段と、
前記タブ紙への印刷形態の指定を受け付ける印刷形態設定手段と、
前記タブ紙を本文に挿入する位置を受け付ける挿入位置設定手段と
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記タブ紙が、前記本文が両面印刷される前記記録紙間に挿入されて印刷され、かつ、前記タブ紙以前に存在する本文のページ数が奇数である場合に、
前記本文印刷コマンド発行手段は、前記タブ紙直前の本文が印刷される前記記録紙の裏面に非課金の白紙印刷を実行させるための白紙非課金コマンドを発行することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記タブ紙が、前記本文が両面印刷される前記記録紙間に挿入されて印刷され、かつ、前記タブ紙以前に存在する本文のページ数が奇数である場合に、
前記本文印刷コマンド発行手段は、前記本文の印刷を実行する以前に、前記本文を両面印刷させるための両面印刷コマンドを発行し、前記タブ紙直前の本文の印刷を実行する以前に前記本文を片面印刷させるための片面印刷コマンドを発行することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
通信媒体を介して印刷装置と接続され、前記印刷装置に対して本文及びタブのデータを、タブ紙を含む記録紙に両面印刷させるための制御コマンドを発行するプリンタドライバを搭載した情報処理装置の制御方法であって、
前記プリンタドライバのユーザインターフェース画面において印刷設定を受け付ける設定受付工程と、
前記受け付けた設定に従って、前記印刷装置における印刷がタブ紙への印刷であるかを判定する判定工程と、
前記判定工程においてタブ紙への印刷と判定された場合に前記受け付けた設定に従って、タブ紙が挿入されている給紙部を指定する給紙コマンド発行工程と、
前記判定工程においてタブ紙への印刷と判定された場合に前記受け付けた設定に従って、記録紙をタブ紙に指定するメディアコマンド発行工程と、
前記判定工程においてタブ紙への印刷と判定された場合に、前記タブ紙の第1の面の印刷を実行させるための第1面印刷コマンドを発行する第1面印刷コマンド発行工程と、
前記第1面印刷コマンドを発行後に、前記印刷装置の操作パネルからの指示がくるまで、前記印刷装置における印刷を一時中断させるための制御コマンドを発行する印刷中止コマンド発行工程と、
前記受け付けた設定に従って、前記タブ紙の第2の面の印刷を実行させるための第2面印刷コマンドを発行する第2面印刷コマンド発行工程と
を備えることを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項7】
前記判定工程においてタブ紙への印刷でないと判定された場合に、前記受け付けた設定に従って、前記本文の印刷を実行させるための制御コマンドを発行する本文印刷コマンド発行工程を更に備えることを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置の制御方法。
【請求項8】
前記設定受付工程は、
前記タブ紙の給紙部の指定を受け付ける給紙部設定工程と、
前記タブ紙への印刷形態の指定を受け付ける印刷形態設定工程と、
前記タブ紙を本文に挿入する位置を受け付ける挿入位置設定工程と
を備えることを特徴とする請求項6または7に記載の情報処理装置の制御方法。
【請求項9】
前記タブ紙が、前記本文が両面印刷される前記記録紙間に挿入されて印刷され、かつ、前記タブ紙以前に存在する本文のページ数が奇数である場合に、
前記本文印刷コマンド発行工程は、前記タブ紙直前の本文が印刷される前記記録紙の裏面に非課金の白紙印刷を実行させるための白紙非課金コマンドを発行することを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置の制御方法。
【請求項10】
前記タブ紙が、前記本文が両面印刷される前記記録紙間に挿入されて印刷され、かつ、前記タブ紙以前に存在する本文のページ数が奇数である場合に、
前記本文印刷コマンド発行工程は、前記本文の印刷を実行する以前に、前記本文を両面印刷させるための両面印刷コマンドを発行し、前記タブ紙直前の本文の印刷を実行する以前に前記本文を片面印刷させるための片面印刷コマンドを発行することを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置の制御方法。
【請求項11】
請求項6乃至請求項10のいずれか1項に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムを格納したコンピュータで読取り可能な記憶媒体。」
から
「【請求項1】
通信媒体を介して印刷装置と接続され、前記印刷装置に対して本文及びタブのデータを、タブ紙を含む記録紙に両面印刷させるための制御コマンドを発行するプリンタドライバを搭載した情報処理装置であって、
前記プリンタドライバのユーザインターフェース画面において印刷設定を受け付ける設定受付手段と、
前記受け付けた設定に従って、前記印刷装置における印刷がタブ紙への印刷であるかを判定する判定手段と、
前記判定手段においてタブ紙への印刷でないと判定された場合に、前記受け付けた設定に従って、前記本文の印刷を実行させるためのページ単位の制御コマンドを発行する本文印刷コマンド発行手段と、
前記判定手段においてタブ紙への印刷と判定された場合に前記受け付けた設定に従って、タブ紙が挿入されている給紙部を指定する給紙コマンドを発行する給紙コマンド発行手段と、
前記判定手段においてタブ紙への印刷と判定された場合に前記受け付けた設定に従って、記録紙をタブ紙に指定するメディアコマンドを発行するメディアコマンド発行手段と、
前記判定手段においてタブ紙への印刷と判定された場合に、前記タブ紙の第1の面の印刷を実行させるための第1面印刷コマンドを発行する第1面印刷コマンド発行手段と、
前記第1面印刷コマンドを発行後に、前記印刷装置の操作パネルからの指示がくるまで、前記印刷装置における印刷を一時中断させるための一時中断コマンドを発行する印刷中断コマンド発行手段と、
前記受け付けた設定に従って、前記タブ紙の第2の面の印刷を実行させるための第2面印刷コマンドを発行する第2面印刷コマンド発行手段と
を備え、
前記設定受付手段において、本文に挿入する挿入紙として少なくともタブ紙の指定が可能であり、前記設定受付手段は更に、
前記タブ紙の給紙部の指定を受け付ける給紙部設定手段と、
前記タブ紙への表面と裏面に対する印刷形態の指定を受け付ける印刷形態設定手段と、
前記タブ紙を本文に挿入する位置を受け付ける挿入位置設定手段と
を備え、
前記プリンタドライバは、
前記本文印刷コマンド発行手段が発行した前記ページ単位の制御コマンドと、
前記給紙コマンド発行手段が発行した前記給紙コマンドと、
前記メディアコマンド発行手段が発行した前記メディアコマンドと、
前記第1面印刷コマンド発行手段が発行した前記第1面印刷コマンドと、
前記印刷中断コマンド発行手段が発行した前記一時中断コマンドと、
前記第2面印刷コマンド発行手段が発行した前記第2面印刷コマンドとをプリントジョブファイルとして生成する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記タブ紙が、前記本文が両面印刷される前記記録紙間に挿入されて印刷され、かつ、前記タブ紙以前に存在する本文のページ数が奇数である場合に、
前記本文印刷コマンド発行手段は、前記タブ紙直前の本文が印刷される前記記録紙の裏面に非課金の白紙印刷を実行させるための白紙非課金コマンドを発行することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記タブ紙が、前記本文が両面印刷される前記記録紙間に挿入されて印刷され、かつ、前記タブ紙以前に存在する本文のページ数が奇数である場合に、
前記本文印刷コマンド発行手段は、前記本文の印刷を実行する以前に、前記本文を両面印刷させるための両面印刷コマンドを発行し、前記タブ紙直前の本文の印刷を実行する以前に前記本文を片面印刷させるための片面印刷コマンドを発行することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
通信媒体を介して印刷装置と接続され、前記印刷装置に対して本文及びタブのデータを、タブ紙を含む記録紙に両面印刷させるための制御コマンドを発行するプリンタドライバを搭載した情報処理装置の制御方法であって、
前記プリンタドライバのユーザインターフェース画面において印刷設定を受け付ける設定受付工程と、
前記受け付けた設定に従って、前記印刷装置における印刷がタブ紙への印刷であるかを判定する判定工程と、
前記判定工程においてタブ紙への印刷でないと判定された場合に、前記受け付けた設定に従って、前記本文の印刷を実行させるためのページ単位の制御コマンドを発行する本文印刷コマンド発行工程と、
前記判定工程においてタブ紙への印刷と判定された場合に前記受け付けた設定に従って、タブ紙が挿入されている給紙部を指定する給紙コマンドを発行する給紙コマンド発行工程と、
前記判定工程においてタブ紙への印刷と判定された場合に前記受け付けた設定に従って、記録紙をタブ紙に指定するメディアコマンドを発行するメディアコマンド発行工程と、
前記判定工程においてタブ紙への印刷と判定された場合に、前記タブ紙の第1の面の印刷を実行させるための第1面印刷コマンドを発行する第1面印刷コマンド発行工程と、
前記第1面印刷コマンドを発行後に、前記印刷装置の操作パネルからの指示がくるまで、前記印刷装置における印刷を一時中断させるための一時中断コマンドを発行する印刷中断コマンド発行工程と、
前記受け付けた設定に従って、前記タブ紙の第2の面の印刷を実行させるための第2面印刷コマンドを発行する第2面印刷コマンド発行工程と
を備え、
前記設定受付工程において、本文に挿入する挿入紙として少なくともタブ紙の指定が可能であり、前記設定受付工程は更に、
前記タブ紙の給紙部の指定を受け付ける給紙部設定工程と、
前記タブ紙への表面と裏面に対する印刷形態の指定を受け付ける印刷形態設定工程と、
前記タブ紙を本文に挿入する位置を受け付ける挿入位置設定工程と
を備え、
前記プリンタドライバは、
前記本文印刷コマンド発行工程で発行された前記ページ単位の制御コマンドと、
前記給紙コマンド発行工程で発行された前記給紙コマンドと、
前記メディアコマンド発行工程で発行された前記メディアコマンドと、
前記第1面印刷コマンド発行工程で発行された前記第1面印刷コマンドと、
前記印刷中断コマンド発行工程で発行された前記一時中断コマンドと、
前記第2面印刷コマンド発行工程で発行された前記第2面印刷コマンドと
をプリントジョブファイルとして生成する
ことを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項5】
前記タブ紙が、前記本文が両面印刷される前記記録紙間に挿入されて印刷され、かつ、前記タブ紙以前に存在する本文のページ数が奇数である場合に、
前記本文印刷コマンド発行工程は、前記タブ紙直前の本文が印刷される前記記録紙の裏面に非課金の白紙印刷を実行させるための白紙非課金コマンドを発行することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置の制御方法。
【請求項6】
前記タブ紙が、前記本文が両面印刷される前記記録紙間に挿入されて印刷され、かつ、前記タブ紙以前に存在する本文のページ数が奇数である場合に、
前記本文印刷コマンド発行工程は、前記本文の印刷を実行する以前に、前記本文を両面印刷させるための両面印刷コマンドを発行し、前記タブ紙直前の本文の印刷を実行する以前に前記本文を片面印刷させるための片面印刷コマンドを発行することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置の制御方法。
【請求項7】
請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを格納したコンピュータで読取り可能な記憶媒体。」(下線は審決において付した。以下同じ。)と補正された。

本件補正後の請求項1に係る発明についての補正内容は、次の(a)?(g)からなる。
(a)補正前の請求項2を引用する請求項3を補正後の請求項1として補正前の請求項1及び2を削除する。
(b)補正前の請求項1における「タブ紙が挿入されている給紙部を指定する給紙コマンド発行手段」を、「タブ紙が挿入されている給紙部を指定する給紙コマンドを発行する給紙コマンド発行手段」と明確に記載する。
(c)補正前の請求項1における「記録紙をタブ紙に指定するメディアコマンド発行手段」を「記録紙をタブ紙に指定するメディアコマンドを発行するメディアコマンド発行手段」と明確に記載する。
(d)補正前の請求項1における「前記印刷装置における印刷を一時中断させるための制御コマンドを発行する印刷中止コマンド発行手段」について、「前記印刷装置における印刷を一時中断させるための一時中断コマンドを発行する印刷中断コマンド発行手段」と、より具体的に限定する。
(e)補正前の請求項1における「設定受付手段」について、「本文に挿入する挿入紙として少なくともタブ紙の指定が可能であり、」と、より具体的に限定する。
(f)補正前の請求項3における「前記タブ紙への印刷形態の指定を受け付ける印刷形態設定手段」について、「前記タブ紙への表面と裏面に対する印刷形態の指定を受け付ける印刷形態設定手段」と、より具体的に限定する。
(g)補正前の請求項1における「プリンタドライバ」について、「前記本文印刷コマンド発行工程で発行された前記ページ単位の制御コマンドと、前記給紙コマンド発行工程で発行された前記給紙コマンドと、前記メディアコマンド発行工程で発行された前記メディアコマンドと、前記第1面印刷コマンド発行工程で発行された前記第1面印刷コマンドと、前記印刷中断コマンド発行工程で発行された前記一時中断コマンドと、前記第2面印刷コマンド発行工程で発行された前記第2面印刷コマンドとをプリントジョブファイルとして生成する」と、より具体的に限定する。
以上、上記(a)?(g)から、本件補正のうち補正後の請求項1に係る補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とする内容を含んでいる。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かについて、以下に検討する。

2.引用例
(1)本願優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-19243号公報(以下「引用例1」という。)には、以下の記載がある。
(a)「【発明の属する技術分野】
本発明は、タブ紙の処理を効率的に行える複写機等の画像形成装置に関する。」(段落【0001】)
(b)「112は、HD制御部111の制御に基づいて、画像データ圧縮/伸長部から送られてくる、または送る画像データの書き込み、読み出しが行われる不揮発性メモリであるHDである。113は、スキャン画像変換部であって、本体制御部100の制御に基づいて画像データセレクタ103から流される画像データを、後述するネットワーク通信I/F115においてネットワーク接続されるホストコンピュータ上で動作するアプリケーションソフトにおいて読み込みが可能となるように変換する。114は、後述するネットワーク通信I/F115においてネットワーク接続されるホストコンピュータ上で動作するアプリケーションソフトから転送されてくるPDLによって記述された画像データを画像形成装置の画像形成部105において印字出力できるような画像データに変換するプリント画像変換部である。」(段落【0029】)
(c)「119は、本発明の実施例である画像形成装置の操作部である。操作部119から入力されたキーの情報をファンクション制御部109に通知し、ファンクション制御部で、キーのコマンド解析を行ない、本体制御部100に対して、装置の動作制御情報をCPU間I/F106を通して通知する。」(段落【0031】)
(d)「図3は、図1に示した操作部119の詳細図である。301は、テンキーで、コピーの置数や画像移動量などを入力するときに使用される。302は、スタートキーで、コピージョブをスタートさせるときなどに使用する。303はストップキーで、スタートしたジョブを途中で停止させたいときなどに押下することによって、ジョブをストップすることができる。304は、LCD(表示・入力部)で、一般にコピージョブのモードを設定することや複写機の動作状態を表示するために使用される。305は、ユーザーモードキーであり、複写機に関する標準モードに反映させる動作や表示の設定などを行うユーザーモードの各項目の設定を行うためのキーである。」(段落【0041】)
(e)「図19?図22にユーザーモードにおけるタブ紙給紙段の設定を示している。図19は、ユーザーモードキー305を押下したときに開くLCD304に表示される画面1000で、設定されるべき項目がウインドウ1001に列挙されている。上スクロールキー1002、下スクロールキー1003により、他の項目へとウィンドウ1O01を移動表示する。図19では、上側に項目がないため、上スクロールキー1002がグレーで、押下しても反応しない状態を示している。1004はタブ紙給紙段設定を行うためのキーで、押下すると図20のようなタブ紙給紙段設定サブウインドウ1012が表示される。マルチ手差し254は1011、右カセットデッキ221は1012、左カセットデッキ222は1013,上段カセット223は1014,下段カセット224は1015,デッキ250は1016のように表示されており、タブ紙の給紙段として選択可能な給紙段1011,1014,1015と選択不可能な給紙段1012,1013,1016があることを示している。1018は、OKキーで給紙段選択後に押下し、タブ紙給紙段設定を反映させ、図19のユーザーモード画面へと戻る。1017は取消しキーであり、タブ紙給紙段設定を取り消し、図19のユーザーモード画面へと戻る。ここで、タブ紙給紙段が設定されたときには、図21のようにコピーを行うときのさまざまなモード設定を行う後述の応用モード画面において、タブ紙関連のモード設定キーが表示されない。しかし、タブ紙給紙段が設定されたときには、図22のようにタブ紙インサートモードキー1021、タブ紙作成モードキー1022が表示され、タブ紙関連の設定が可能となる。」(段落【0042】)
(f)「図4?図9は、図3のLCD304の詳細な表示例である。310は応用モードのアイコンであり、押下すると各種モード設定を行うサブウィンドウが開く。312は、給紙段選択アイコンであり、押下すると図5に示すような給紙段を選択するサブウィンドウが開き、給紙段の表示・選択が行える。313は、試しコピーキーで、複数部あるときに、最初の1部のみを試しコピーして、サンプル出力するときに使用する。314は画像モードを決定するキー群で、自動濃度補正、文字モード、文字写真モード、写真モードなどの画像モードを選択し、文字モード、文字写真モード、写真モードが選択されたときには、うすく、こくのキーにより、濃度を変化させることができる。315は、原稿の倍率を変化させるためのキー群で、100%等倍、縮小、拡大、1%刻みのズームキーや原稿全体をコピーするときに使用する少し小さめキーが含まれる。いずれの場合にも、原稿の倍率を変化させるもので、倍率設定後は設定された倍率が表示される。316はソータキーで用紙が出力された後、フィニッシングを設定する。例えば、複数枚の原稿をまとめた1部の出力を複数部出力したいときのソートモード、各原稿1ページを設定した置数分出力するグループソート、ソートモードで出力した用紙を1郡ごとにまとめてステープルするステープルモードなどがふくまれる。317は両面キーで原稿や用紙を片面で読み込むか、出力するかの両面モードを設定する。原稿を片面で読み込み、用紙に両面で出力する片両モード、原稿を両面で読み込み、用紙に両面で出力する両両モード、原稿を両面で読み込み、用紙に片面で出力する両片モード、原稿の片面を2分割して読み込み、用紙の両面に出力するページ連写両面モードなどが含まれる。図4には、両面モードにおける片両モードが設定されている表示例が示されており、両面アイコンの上部に片両の吹き出しが表示されている。また318は、図20において説明したようなお好み機能の設定において、片面コピーが行われるときの設定がお好みキーとして表示しており、押下すると片面コピーのモード設定がされる。」(段落【0044】)
(g)「図5は、図4の用紙選択キー312を押下したときに表示されるサブウインドウで画像形成装置本体200の右カセットデッキ221、左カセットデッキ222、上段カセット223あるいは下段カセット224、デッキ250、マルチ手差し254の給紙段のうち、選択する給紙段を設定する。このとき、321はマルチ手差し254、322は右カセットデッキ221で現在A4用紙が挿入されている。323は左カセットデッキ222で現在A3用紙が挿入されている。324は上段カセット223で図20においてタブ紙給紙段として設定されたタブ紙給紙段の表示がなされている。現在A4サイズのタブ紙が挿入されていることを示しており、これにより、ユーザーはタブ紙をどこにセットすれば、またはどこに設定されているかを認識できる。325は下段カセット224で現在A4用紙に設定されているが、用紙がないことを示している。326はデッキ250で現在A3用紙が挿入されていることを示している。327は自動給紙選択キーで、自動給紙選択されているときには、原稿サイズと設定されたコピーモードから最適な用紙検出を自動的に行い、見つからなかった場合には、第二候補の用紙サイズを選択する。」(段落【0045】)
(h)「図6は、応用モードキー311を押下したときのサブウィンドウであり、それぞれ各コピーモードを設定する機能のアイコンが表示されている。340はページ連写キーであり、原稿を見開きとしてみなし、2分割して二つの原稿として読み取るモードである。341は表紙/合紙キーであり、出力紙に表紙や裏表紙、仕切りのための合紙を給紙段選択して1部のコピーを出力させるモードである。342は製本モードキーであり、原稿をコピーしたときに出力紙の中央で中折りしたときに見開きの本のように出力するモードである。343はネガポジ反転キーであり、原稿画像の白部分を黒に、黒部分を白にコピーするモードである。345はタブ紙作成キーであり、図5の324の上カセットのようにタブ紙給紙段がある場合、タブ紙を給紙し、原稿に印字されているタブ部分に対応する画像をタブ位置に移動させてタブ紙のタブ部分に印字するモードである。344はタブ紙インサートキーであり、図5の324の上カセットのようにタブ紙給紙段がある場合、タブ紙を合紙のように仕切り用紙として使用し、タブ部分に対応するコピー原稿でタブに印字するために画像移動などを行うタブ紙インサートモードである。346はモードメモリキーであり、応用モードや316キー内で設定されたソートモード、315キー内で設定された変倍モード、314キー内で設定された画像モードなど各種モード設定をまとめて記憶させておく。347はコールキーであり、前回のコピー時の設定を呼び戻すことができるモードである。348はイメージ合成キーであり、背景の画像を登録したり、予め登録されている背景の画像を原稿に重ね合わせて出力する。」(段落【0046】)
(i)「図7はタブ紙作成キー345、タブ紙インサートキー354が押下されたときに開くサブウィンドウであり、タブ分割数を入力する。タブ紙は一般に5枚1セットになった5タブ紙が一般的であるが、本実施例では2枚1セットの2タブ紙から12枚1セットになった12タブ紙を扱えるような設定をすることが可能となっている。ここでいう分割数とは1セットあたりのタブ紙の数を表している。360は現在設定しようとしている分割数を示しており、マイナスキー361、プラスキー362によって、増減させることが可能である。363はOKキーで、入力した分割数の設定を反映させることができる。364は、取り消しキーであり、このタブ分割数を入力するサブウインドウから応用モードのサブウィンドウへ設定をせずに戻るときに押下する。」(段落【0048】)
(j)「図8は、図7において、タブ分割数のOKキー363が押下された後に出てくる画像移動量を設定するサブウィンドウである。この移動量は、原稿に含まれているタブ部分に印字される画像をタブ部に印字するために、画像を移動させるための移動量である通常A4サイズのタブ紙は12mmほど移動させればよいが、本実施例ではタブに印字する文字の大きさや原稿上の位置によりその移動量は変化するため、0から25mmの幅で移動が可能になるように設定できる。330は、通常の移動量である12を減らすためのマイナスキー、331は増やすためのプラスキーである。332は現在設定しようとしている移動量を表示している部分である。333は、移動量の設定をキャンセルし、タブ分割数を設定するための入力画面である図7に戻るための取り消しキーである。334は、332に表示されている値を印字時に反映させるためのOKキーである。」(段落【0049】)
(k)「次に、タブインサートモード(審決注:「タブ紙インサートモード」の誤記と認める。)においては、図9において、タブ紙を挿入するページ数を設定する。370は、挿入するページを表している挿入ページウィンドウで、1枚目のタブ紙を選択するときには、1枚目を押下し、テンキー301により、タブ紙を挿入したいページ数を入力する。本実施例では1枚目が2ページ目の前に設定されている。同様に2枚目3ページの前、3枚目4ページの前、4枚目5ページの前、5枚目8ページの前が設定されているのが図9の設定例である。371は取り消しキーで、タブ紙を挿入するページ数をキャンセルして、タブ紙への画像移動量を設定するサブウインドウ図8に戻る。372は、タブ紙を挿入するページが7箇所以上である場合に、挿入ページウインドウ370をスクロールアップするキーである。373は、タブ紙を挿入するページが7箇所以上である場合に、挿入ページウィンドウ370をスクロールダウンさせるキーである。374は、挿入ページウィンドウで設定されたタブ紙の挿入ページをコピージョブに反映させるためのOKキーであり、これにより、タブ紙インサートモードの設定が完了する。」(段落【0050】)
(l)「このように設定されたとき、この図7?9により設定されたタブ分割数、タブ紙画像移動量、タブ紙挿入ページからコピージョブにおいてタブ紙を1部あたりのどの位置に挿入し、タブ部に印字するための画像移動量はどれくらいで、どこのページのときに、タブ紙を給紙させればよいかが決定する。」(段落【0051】)
(m)「図11,12に図7,8,9で設定されたタブインサード設定により、コピーされる原稿と出力紙の例を示す。図10が原稿であり、図11が出力紙である。このとき、原稿サイズと用紙サイズは一致しているが、タブ原稿とタブ紙のサイズがタブ部のみ異なる。図10の400が原稿401の問にはさまれているタブ紙に印字する原稿となる。それに対応して出力された出力紙が図11であり、410がタブ紙で、タブ原稿400に印字されていた画像が図8により設定された移動量分移動して、タブ部に印字される。」(段落【0052】)
(n)「図12,13に図7,8で設定されたタブ紙作成モード設定により、コピーされる原稿と出力紙の例を示す。図12が原稿であり、図13が出力紙である。このとき、原稿サイズと用紙サイズは一致しているが、タブ原稿とタブ紙のサイズがタブ部のみ異なる。それに対応して出力された出力紙が図13であり、図13が印字後のタブ紙で、図12のタブ原稿に印字されていた画像が図8により設定された移動量分移動して、タブ紙のタブ部に印字される。」(段落【0053】)
(o)「図14は、タブ紙インサートモードにおける画面のフローをまとめたものである。標準画面図4から応用モードキー311が押下されたときに応用モード画面図6と同じ501の画面が表示される。応用モード画面501でタブ紙インサートキー502が押下されたら、タブ分割数を設定するサブウインドウ図7と同じ510が表示される。ここでOKキー512が押下されたらタブ紙への画像移動量を設定するサブウィンドウ図8と同じ520が表示される。取消キー511が押下されたら、応用モード画面501へと戻る。画像移動量サブウインドウ520では、OKキー522が押下されたら、インサートページ設定画面図9と同じサブウィンドウ530が表示される。取消しキー521が押下されたら、タブ分割数設定画面510へと戻る。インサートページ設定画面530では、OKキー532が押下されたら、応用モード画面501へと戻り、タブ紙インサートモードにおける一連の設定が終了する。また、このとき、標準画面図4へと戻ってもよい。インサートページ設定画面530において、取消キー531が押下されたら、タブ紙の画像移動量設定画面520へ戻る。」(段落【0054】)
(p)上記(d)及び図3から、LCD304及びユーザーモードキー305は画像形成装置の操作部119に設けられていることが看取できる。
(q)上記(f)及び図4から、LCD304上に両面キー317が表示されていることが看取できる。
(r)上記(f)、(g)及び図5から、タブ紙給紙段として設定された上段カセット223について、LCD304上にタブ紙給紙段の表示324が付されていることが看取できる。
(s)上記(f)、(h)及び図6から、LCD304上にタブ紙インサートキー344及びタブ紙作成キー345が表示されていることが看取できる。
(t)上記(m)及び図10,11から、画像形成装置はタブ原稿400をタブ紙410に印字し、原稿401をタブ紙410にはさまれた出力紙411に印字することが看取できる。

上記記載事項(a)?(t)及び図面の記載からみて、引用例1には、以下の発明が記載されていると認められる。
「タブ原稿400をタブ紙410に印字し、原稿401をタブ紙410にはさまれた出力紙411に印字する画像形成装置と、画像形成装置にネットワーク接続されるホストコンピュータであって、
画像形成装置の操作部119に設けられたユーザーモードキー305を押下したときに開く画像形成装置の操作部119に設けられたLCD304に表示される画面1000で、設定されるべき項目がウインドウ1001に列挙されており、
画面1000は押下するとタブ紙給紙段設定サブウインドウ1012が表示されるタブ紙給紙段設定を行うためのキー1004を有し、
LCD304に表示される両面キー317で原稿や用紙を片面で読み込むか、出力するかの両面モードを設定し、
LCD304に表示されるタブ紙インサートキー344で、タブ紙給紙段がある場合、タブ紙を合紙のように仕切り用紙として使用し、タブ部分に対応するコピー原稿でタブに印字するために画像移動などを行うタブ紙インサートモードを設定し、
タブ紙インサートモードにおいては、タブ紙を挿入するページ数を設定し、
LCD304に、タブ紙給紙段として設定された上段カセット223についてタブ紙給紙段の表示324がなされて、タブ紙が挿入されていることを示すことにより、ユーザーはタブ紙をどこにセットすれば、またはどこに設定されているかを認識でき、
LCD304に表示されるタブ紙作成キー345により、タブ紙給紙段がある場合、タブ紙を給紙し、原稿に印字されているタブ部分に対応する画像をタブ位置に移動させてタブ紙のタブ部分に印字するモードを設定し、
タブ紙の処理を効率的に行える複写機等の画像形成装置と、画像形成装置にネットワーク接続されるホストコンピュータ。」(以下「引用発明1」という。)

(2)本願優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-235972号公報(以下「引用例2」という。)には、以下の記載がある。
(a)「まず、画像処理装置について図1を用いて説明する。図1は一実施例のプリントシステムの構成を示すブロック図であり、同図において、1は画像処理装置、2はホストコンピュータ(情報処理装置)であり、インターフェースケーブル3によって外部I/F(入力手段)4を介して画像処理装置1と接続されている。」(段落【0031】)
(b)「画像形成装置本体21で入力した画像データに基づいて感光ドラム24上に潜像が形成され、現像器23によって画像形成される。給紙制御部26は画像処理装置1からの指示に応じて、給紙部29または不図示の自動両面ユニットの片面プリント(片面印刷)された用紙を再給紙するための中間排紙トレイ28から給紙を行い、転写ドラム25に用紙を搬送する。」(段落【0039】)
(c)「その後、転写ドラム25に搬送された用紙上に、感光ドラム上に形成された画像を転写し、定着器27によって画像の定着を行う。画像の定着後、画像処理装置1の指示に応じて用紙を排紙部30へ排紙するか、中間排紙トレイ28へ格納する。」(段落【0040】)
(d)「次に、中間排紙トレイ28を用いて両面プリントが行えない紙種に対して両面プリントが指示された場合の処理について図3を用いて説明する。」(段落【0041】)
(e)「図3は一実施例の手動両面プリントの流れを示す説明図であり、まず図3(a)において、厚紙による両面プリントが指示されているが、厚紙の場合中間排紙トレイ28を用いることができないため一面目をプリントした後、一旦排紙を行い、プリントを指示したホストコンピュータ2に対して排紙された用紙を給紙部29の給紙トレイにセットするよう指示を行う。」(段落【0042】)
(f)「また、図示していないが同様のメッセージを画像処理装置が持つ操作パネル(通知手段)上にも表示する。ユーザはホストコンピュータ2のモニタ(通知手段)に表示されたメッセージ、または操作パネル上に表示されたメッセージのいずれかに従って排紙された用紙を再び画像形成装置本体21の給紙トレイにセットする(図3(b))。」(段落【0043】)
(g)「給紙トレイに用紙がセットされたことを検知した後、画像形成装置本体21の定着モードを二面目プリント用の定着モードに設定し二面目のプリントを行う(図3(c))。」(段落【0044】)

上記記載事項(a)?(g)及び図面の記載からみて、引用例2には、以下の発明が記載されていると認められる。
「1は画像処理装置、2はホストコンピュータ(情報処理装置)であり、インターフェースケーブル3によって外部I/F(入力手段)4を介して画像処理装置1と接続されているプリントシステムであって、
給紙制御部26は画像処理装置1からの指示に応じて、給紙部29または自動両面ユニットの片面プリント(片面印刷)された用紙を再給紙するための中間排紙トレイ28から給紙を行い、転写ドラム25に用紙を搬送し、その後、転写ドラム25に搬送された用紙上に、感光ドラム上に形成された画像を転写し、定着器27によって画像の定着を行い、画像の定着後、画像処理装置1の指示に応じて用紙を排紙部30へ排紙するか、中間排紙トレイ28へ格納し、
中間排紙トレイ28を用いて両面プリントが行えない紙種に対して両面プリントが指示された場合、
厚紙による両面プリントが指示されているが、厚紙の場合中間排紙トレイ28を用いることができないため一面目をプリントした後、一旦排紙を行い、画像処理装置が持つ操作パネル(通知手段)上に、排紙された用紙を給紙部29の給紙トレイにセットするよう指示を行い、
ユーザは操作パネル上に表示されたメッセージに従って排紙された用紙を再び画像形成装置本体21の給紙トレイにセットし、
給紙トレイに用紙がセットされたことを検知した後、画像形成装置本体21の定着モードを二面目プリント用の定着モードに設定し二面目のプリントを行う、
プリントシステム。」(以下「引用発明2」という。)

(3)本願優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-224027号公報(以下「引用例3」という。)には、以下の記載がある。
(a)「複数の原稿情報を光学的に順次読み取りその後記憶手段に格納し、出力モードとして片面、両面記録の設定と読込原稿の任意頁に白紙を挿入する第1の制御手段と、複数のトレイ段を有して出力の任意頁のトレイ段を切り替え制御可能な第2の制御手段と、前記第1の制御手段と第2の制御手段への設定を可能とする設定手段と、読込原稿を部数毎に出力する出力手段と、を有する画像形成装置であり、厚紙に対応し両面選択不可の手差しトレイを有し、頁の先頭または最後に手差しトレイからの給紙を設定するカバーモード選択時は両面選択も可能とするが、手差しトレイからの給紙時は自動的に片面記録を実行し、手差し以外のトレイ段からの給紙時は両面記録を実行可能にしたことを特徴とする画像形成装置。」(【請求項1】)
(b)「この発明は、通常のデジタル複写装置またはプリンタ等においても、任意トレイ段の選択、白紙画像挿入、片面/両面の選択を任意に設定可能とすることで、ユ-ザの簡易製本作業を簡単に行うことができる画像形成装置を提供しようとするものである。つまり、この発明は、通常の画像形成装置の制約、例えば厚紙の両面記録が困難、複雑な設定は限られた画面内では困難等の中で、一般的なユーザが達成したい主要な編集機能を簡単な操作性で達成することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。」(段落【0007】)
(c)「ステップc1において、先頭または最終頁の判断を行い、先頭頁の場合には、ステップd1で手差しトレイ79から給紙して片面記録を行う。ステップe1では、全頁の記録の判断を行い、全頁の記録が終了していない場合には、ステップc1へ移行する。ステップc1では、先頭または最終頁でない場合にはステップf1で上段トレイ71から転写紙を給紙し、両面記録を行い全頁の記録が行われると終了する。」(段落【0042】)
(d)「このように、1頁目は、手差しトレイ79からの転写紙にA画像が形成され、片面モードで処理される。2頁目以降は通常トレイからの転写紙に画像形成するため、自動的に両面記録制御を実行する。つまり、2頁目は表にB画像、裏にC画像、3頁目は表にD画像、裏にE画像、4頁目は表にF画像、裏に白紙を挿入する。以下、複数部数の設定では、この順に順次画像形成を継続する。」(段落【0043】)

上記記載事項(a)?(d)及び図面の記載からみて、引用例3には、以下の発明が記載されていると認められる。
「複数の原稿情報を光学的に順次読み取りその後記憶手段に格納し、出力モードとして片面、両面記録の設定と読込原稿の任意頁に白紙を挿入する第1の制御手段と、複数のトレイ段を有して出力の任意頁のトレイ段を切り替え制御可能な第2の制御手段と、前記第1の制御手段と第2の制御手段への設定を可能とする設定手段と、読込原稿を部数毎に出力する出力手段と、を有し、
厚紙に対応し両面選択不可の手差しトレイを有し、頁の先頭または最後に手差しトレイからの給紙を設定するカバーモード選択時は両面選択も可能とするが、手差しトレイからの給紙時は自動的に片面記録を実行し、手差し以外のトレイ段からの給紙時は両面記録を実行可能にした画像形成装置であって、
任意トレイ段の選択、白紙画像挿入、片面/両面の選択を任意に設定可能とすることで、
手差しトレイ79からの転写紙にA画像が形成され、片面モードで処理され、2頁目以降は通常トレイからの転写紙に画像形成するため、自動的に両面記録制御を実行する、
画像形成装置。」(以下「引用発明3」という。)

3.対比
本願補正発明と引用発明1とを比較すると、引用発明1の「画像形成装置」は、本願補正発明の「印刷装置」に相当し、以下同様に、「用紙」は「記録紙」に、それぞれ相当する。
引用発明1は、「画像形成装置と、画像形成装置にネットワーク接続されるホストコンピュータ」であって、印刷の処理を行うものであることは明らかであり、本願補正発明の「情報処理装置」も、同様に印刷の処理を行うものであることは明らかであるから、ともに「印刷処理装置」ということができる。
引用発明1の「画像形成装置と、画像形成装置にネットワーク接続されるホストコンピュータ」は、「両面キー317で原稿や用紙を片面で読み込むか、出力するかの両面モードを設定」するものであるから、本願補正発明と、「記録紙に両面印刷」するものである点で共通する。
引用発明1の「画面1000」は、ユーザーモードキー305を押下したときに開くLCD304に表示される画面であって、設定されるべき項目がウインドウ1001に列挙されることが記載されており、また、図19の記載から、「ユーザインターフェース画面」ということができるものであって、該「画面1000」において、印刷設定を受け付けることができることは明らかであるから、引用発明1は、「ユーザインターフェース画面において印刷設定を受け付ける設定受付手段」を有するということができる。
引用発明1は、タブ紙410への印字とタブ紙以外の出力紙411への印字を行っており、「タブ紙作成キー345により、タブ紙給紙段がある場合、タブ紙を給紙し、原稿に印字されているタブ部分に対応する画像をタブ位置に移動させてタブ紙のタブ部分に印字するモードを設定」するものであるから、「受け付けた設定に従って、印刷装置における印刷がタブ紙への印刷であるかを判定する判定手段」及び「判定手段においてタブ紙への印刷と判定された場合に前記受け付けた設定に従って、タブ紙が挿入されている給紙部を指定する手段」及び「判定手段においてタブ紙への印刷と判定された場合に前記受け付けた設定に従って、記録紙をタブ紙に指定する手段」を有しているということができる。
引用発明1の「キー1004」は、押下するとタブ紙給紙段設定サブウインドウ1012が表示されるタブ紙給紙段設定を行うためのものであるから、「タブ紙の給紙部の指定を受け付ける給紙部設定手段」を有するということができる。
引用発明1は、「タブ紙インサートモードにおいては、タブ紙を挿入するページ数を設定」するものであるから、「設定受付手段において、本文に挿入する挿入紙として少なくともタブ紙の指定が可能」であるということができるとともに、「設定受付手段は、タブ紙を本文に挿入する位置を受け付ける挿入位置設定手段」を有するということができる。
以上から、本願補正発明と引用発明1は、
「記録紙に両面印刷し、
ユーザインターフェース画面において印刷設定を受け付ける設定受付手段と、
前記受け付けた設定に従って、前記印刷装置における印刷がタブ紙への印刷であるかを判定する判定手段と、
前記判定手段においてタブ紙への印刷と判定された場合に前記受け付けた設定に従って、タブ紙が挿入されている給紙部を指定する手段と、
前記判定手段においてタブ紙への印刷と判定された場合に前記受け付けた設定に従って、記録紙をタブ紙に指定する手段と、
前記判定手段においてタブ紙への印刷と判定された場合に、タブ紙の印刷を実行させる手段と、
を備え、
前記設定受付手段において、本文に挿入する挿入紙として少なくともタブ紙の指定が可能であり、前記設定受付手段は更に、
前記タブ紙の給紙部の指定を受け付ける給紙部設定手段と、
前記タブ紙を本文に挿入する位置を受け付ける挿入位置設定手段と
を備える印刷処理装置」の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]印刷処理装置に関し、本願補正発明は、「通信媒体を介して印刷装置と接続され、前記印刷装置に対して本文及びタブのデータを、タブ紙を含む記録紙に両面印刷させるための制御コマンドを発行するプリンタドライバを搭載した情報処理装置」であって、プリンタドライバは、設定受付手段と、判定手段と、本文印刷コマンド発行手段と、給紙コマンド発行手段と、メディアコマンド発行手段と、第1面印刷コマンド発行手段と、印刷中断コマンド発行手段と、第2面印刷コマンド発行手段とを備え、該プリンタドライバのユーザインタフェース画面において印刷設定を受け付けるとともに、該プリンタドライバは、本文印刷コマンド発行手段が発行したページ単位の制御コマンドと、給紙コマンド発行手段が発行した給紙コマンドと、メディアコマンド発行手段が発行したメディアコマンドと、第1面印刷コマンド発行手段が発行した第1面印刷コマンドと、印刷中断コマンド発行手段が発行した一時中断コマンドと、第2面印刷コマンド発行手段が発行した第2面印刷コマンドとをプリントジョブファイルとして生成するのに対し、引用発明1はそのようなものではない点。
[相違点2]本願補正発明は、「タブ紙への表面と裏面に対する印刷形態の指定を受け付ける印刷形態設定手段」を有するのに対し、引用発明1は両面に印刷を行うことができるものであるが、タブ紙の両面に印刷を行うものであるか否かが判然とせず、またそのような印刷形態設定手段を備えていない点。
[相違点3]本願補正発明は、「前記判定手段においてタブ紙への印刷と判定された場合に、前記タブ紙の第1の面の印刷を実行させるための第1面印刷コマンドを発行する第1面印刷コマンド発行手段と、前記第1面印刷コマンドを発行後に、前記印刷装置の操作パネルからの指示がくるまで、前記印刷装置における印刷を一時中断させるための一時中断コマンドを発行する印刷中断コマンド発行手段と、前記受け付けた設定に従って、前記タブ紙の第2の面の印刷を実行させるための第2面印刷コマンドを発行する第2面印刷コマンド発行手段」を有するのに対し、引用発明1はそのような第1面印刷コマンド発行手段と、印刷中断コマンド発行手段と、第2面印刷コマンド発行手段を備えていない点。
[相違点4]本願補正発明は、「判定手段においてタブ紙への印刷でないと判定された場合に、前記受け付けた設定に従って、前記本文の印刷を実行させるためのページ単位の制御コマンドを発行する本文印刷コマンド発行手段」を有するものであるのに対し、引用発明1は、本文の印刷をどのように行なっているか、定かではない点。

4.判断
[相違点1]について
印刷処理装置において、印刷装置と情報処理装置とを通信媒体を介して接続して、種々の制御コマンドを発行するプリンタドライバを搭載した情報処理装置で種々の印刷設定を行い、該設定に対応する種々の制御コマンドを発行して各コマンドとプリントジョブファイルとして生成し、印刷装置に印刷させることは例示するまでもなく周知の技術であるから、引用発明1に該周知技術を適用して、印刷装置と情報処理装置とを通信媒体を介して接続し、情報処理装置に種々の制御コマンドを発行するプリンタドライバを搭載して種々の印刷設定を行い、該設定に対応する種々の制御コマンドを発行して各コマンドとプリントジョブファイルとして生成し、印刷装置に印刷させることは、当業者が容易になし得る程度の事項にすぎない。
印刷設定の内容及びそれに対応するプリンタドライバの構成については相違点2?4でさらに検討する。
[相違点2]について
引用発明1に記載のものも、両面に印刷をできるものであり、紙に両面印刷をするか否かは必要に応じ適宜選択すべき事項であって、タブ紙に両面印刷を行うことも例えば本願優先日前に頒布された特開平11-180010号公報に記載されているとおり、設計事項にすぎない。
そして、引用発明1に記載のものも、ユーザインターフェース画面においてタブ紙の印刷設定を受け付ける設定受付手段を備えるものであるから、かかる設定受付手段にタブ紙への表面と裏面に対する印刷形態の指定を受け付ける印刷形態設定手段を設けて両面印刷を行うことは、当業者が適宜設計して採用すれば足りる程度の事項にすぎず、その際、プリンタドライバのユーザインターフェース画面における設定受付手段に印刷形態設定手段を設けることも、当業者が必要に応じて採用し得る程度の設計事項にすぎない。
よって、引用発明1において、そのようにタブ紙への印刷設定を行って上記相違点2に係る本願補正発明の構成を得ることは、当業者が容易になし得る程度のことである。
[相違点3]について
引用例2には、
「1は画像処理装置、2はホストコンピュータ(情報処理装置)であり、インターフェースケーブル3によって外部I/F(入力手段)4を介して画像処理装置1と接続されているプリントシステムであって、
給紙制御部26は画像処理装置1からの指示に応じて、給紙部29または自動両面ユニットの片面プリント(片面印刷)された用紙を再給紙するための中間排紙トレイ28から給紙を行い、転写ドラム25に用紙を搬送し、その後、転写ドラム25に搬送された用紙上に、感光ドラム上に形成された画像を転写し、定着器27によって画像の定着を行い、画像の定着後、画像処理装置1の指示に応じて用紙を排紙部30へ排紙するか、中間排紙トレイ28へ格納し、
中間排紙トレイ28を用いて両面プリントが行えない紙種に対して両面プリントが指示された場合、
厚紙による両面プリントが指示されているが、厚紙の場合中間排紙トレイ28を用いることができないため一面目をプリントした後、一旦排紙を行い、画像処理装置が持つ操作パネル(通知手段)上に、排紙された用紙を給紙部29の給紙トレイにセットするよう指示を行い、
ユーザは操作パネル上に表示されたメッセージに従って排紙された用紙を再び画像形成装置本体21の給紙トレイにセットし、
給紙トレイに用紙がセットされたことを検知した後、画像形成装置本体21の定着モードを二面目プリント用の定着モードに設定し二面目のプリントを行う、
プリントシステム。」
が引用発明2として記載されている。(上記[2]2.(2)参照。)
ここで、引用発明1もタブ紙に印刷を行うものであって、タブ紙として厚紙を用いることも通常行われている事項にすぎない。そして、厚紙に印刷する場合に厚紙の反転ができない、あるいは、厚紙を反転しようとすると紙詰まりを生ずるという印刷装置の物理的な制限があることはよく知られた事項であるから、通常厚紙であるタブ紙に両面印刷を行う際に、第1の面の印刷を実行し、その後指示がくるまで印刷を一時中断させた後に、受け付けた設定に従って第2の面の印刷を実行させることによって、反転を行わずに両面印刷を行う構成を採用することは、当業者が引用発明1に引用発明2を適用して、容易になし得た程度のことである。
その際、プリンタドライバを搭載して種々の印刷設定を行い、該設定に対応する種々の制御コマンドを発行して印刷装置に印刷させることは相違点1で既に検討したように周知の事項であるから、プリンタドライバに前記判定手段においてタブ紙への印刷と判定された場合に、前記タブ紙の第1の面の印刷を実行させるための第1面印刷コマンドを発行する第1面印刷コマンド発行手段と、前記第1面印刷コマンドを発行後に、前記印刷装置の操作パネルからの指示がくるまで、前記印刷装置における印刷を一時中断させるための一時中断コマンドを発行する印刷中断コマンド発行手段と、前記受け付けた設定に従って、前記タブ紙の第2の面の印刷を実行させるための第2面印刷コマンドを発行する第2面印刷コマンド発行手段を設けて、反転を行わずに両面印刷を行う構成を得ることも、当業者が必要に応じて採用し得る程度の設計事項にすぎない。
すなわち、引用発明1において、上記相違点3に係る本願補正発明の構成を得ることは、引用発明2に基づき当業者が容易になし得たことである。
[相違点4]
引用例3には、
「複数の原稿情報を光学的に順次読み取りその後記憶手段に格納し、出力モードとして片面、両面記録の設定と読込原稿の任意頁に白紙を挿入する第1の制御手段と、複数のトレイ段を有して出力の任意頁のトレイ段を切り替え制御可能な第2の制御手段と、前記第1の制御手段と第2の制御手段への設定を可能とする設定手段と、読込原稿を部数毎に出力する出力手段と、を有し、
厚紙に対応し両面選択不可の手差しトレイを有し、頁の先頭または最後に手差しトレイからの給紙を設定するカバーモード選択時は両面選択も可能とするが、手差しトレイからの給紙時は自動的に片面記録を実行し、手差し以外のトレイ段からの給紙時は両面記録を実行可能にした画像形成装置であって、
任意トレイ段の選択、白紙画像挿入、片面/両面の選択を任意に設定可能とすることで、
手差しトレイ79からの転写紙にA画像が形成され、片面モードで処理され、2頁目以降は通常トレイからの転写紙に画像形成するため、自動的に両面記録制御を実行する、
画像形成装置。」
が引用発明3として記載されている。(上記[2]2.(3)参照。)
引用発明1に記載のものも、タブ原稿400をタブ紙410に印字し、原稿401をタブ紙410にはさまれた出力紙411に印字するものであるから、本文とタブ紙を区別して本文とタブ紙それぞれに対して印刷を行うものであることは明らかである。そして、タブ紙以外の本文の印刷について、受け付けた設定に従って、本文の印刷を実行することは、引用発明1に引用発明3を適用することにより、当業者が容易になし得ることができたものである。
そして、その際、プリンタドライバを搭載して種々の印刷設定を行い、該設定に対応する種々の制御コマンドを発行して印刷装置に印刷させることは相違点1で既に検討したように周知の事項であるから、プリンタドライバに、判定手段においてタブ紙への印刷でないと判定された場合に、前記受け付けた設定に従って、前記本文の印刷を実行させるためのページ単位の制御コマンドを発行する本文印刷コマンド発行手段を設けて、タブ紙以外の本文の印刷について、受け付けた設定に従って、本文の印刷を実行することも、当業者が必要に応じて採用し得る程度の設計事項にすぎない。
よって、上記相違点4に係る本願補正発明の構成は、引用発明1に引用発明3を適用することにより、当業者が容易になし得たことである。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明1、引用発明2、引用発明3及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願補正発明は、引用例1?引用例3に記載された発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

[3]平成22年6月2日付け回答書記載の補正案
平成22年6月2日付け回答書において、請求人は、請求項1及び請求項4についての補正の希望を述べるとともに補正案を示しており、そのうち、請求項1についての補正案は、次のとおりのものである。
「通信媒体を介して印刷装置と接続され、前記印刷装置に対して本文及びタブのデータを、タブ紙を含む記録紙に両面印刷させるための制御コマンドを発行するプリンタドライバを搭載した情報処理装置であって、
前記プリンタドライバのユーザインターフェース画面において印刷設定を受け付ける設定受付手段と、
前記受け付けた設定に従って、前記印刷装置における印刷がタブ紙への印刷であるかを判定する判定手段と、
前記判定手段においてタブ紙への印刷でないと判定された場合に、前記受け付けた設定に従って、前記本文の印刷を実行させるためのページ単位の制御コマンドを発行する本文印刷コマンド発行手段と、
前記判定手段においてタブ紙への印刷と判定された場合に前記受け付けた設定に従って、タブ紙が挿入されている給紙部を指定する給紙コマンドを発行する給紙コマンド発行手段と、
前記判定手段においてタブ紙への印刷と判定された場合に前記受け付けた設定に従って、記録紙をタブ紙に指定するメディアコマンドを発行するメディアコマンド発行手段と、
前記判定手段においてタブ紙への印刷と判定された場合に、前記タブ紙の表面の印刷を実行させるために前記タブ紙のタブ部の表面にイメージを印刷するための表面印刷コマンドを発行する表面印刷コマンド発行手段と、
前記表面印刷コマンドを発行後に、前記印刷装置の操作パネルからの指示がくるまで、前記印刷装置における印刷を一時中断させるための一時中断コマンドを発行する印刷中断コマンド発行手段と、
前記受け付けた設定に従って、前記タブ紙の裏面の印刷を実行させるために前記表面に印刷されるイメージの鏡像イメージを生成し、前記鏡像イメージを前記タブ紙のタブ部の裏面に印刷するための裏面印刷コマンドを発行する裏面印刷コマンド発行手段とを備え、
前記設定受付手段において、本文に挿入する挿入紙として少なくともタブ紙の指定が可能であり、前記設定受付手段は更に、
前記タブ紙の給紙部の指定を受け付ける給紙部設定手段と、
前記タブ紙への表面と裏面に対する印刷形態の指定を受け付ける印刷形態設定手段と、
前記タブ紙を本文に挿入する位置を受け付ける挿入位置設定手段と
を備え、
前記プリンタドライバは、
前記本文印刷コマンド発行手段が発行した前記ページ単位の制御コマンドと、前記給紙コマンド発行手段が発行した前記給紙コマンドと、
前記メディアコマンド発行手段が発行した前記メディアコマンドと、
前記表面印刷コマンド発行手段が発行した前記表面印刷コマンドと、
前記印刷中断コマンド発行手段が発行した前記一時中断コマンドと、
前記裏面印刷コマンド発行手段が発行した前記裏面印刷コマンドと、
をプリントジョブファイルとして生成する
ことを特徴とする情報処理装置。 」(以下「回答書発明」という。)
回答書発明は、本願補正発明における「第1の面」、「第1面印刷コマンド」、「第1面印刷コマンド発行手段」、「第2の面」、「第2面印刷コマンド」及び「第2面印刷コマンド発行手段」について、それぞれ「表面」、「表面印刷コマンド」、「表面印刷コマンド発行手段」、「裏面」、「裏面印刷コマンド」及び「裏面印刷コマンド発行手段」と言い換えてより明確に記載するとともに、本願補正発明の「第1面印刷コマンド(表面印刷コマンド)」について「前記タブ紙のタブ部の表面にイメージを印刷するための表面印刷コマンド」と、同じく本願補正発明の「第2面印刷コマンド(裏面印刷コマンド)」を「前記表面に印刷されるイメージの鏡像イメージを生成し、前記鏡像イメージを前記タブ紙のタブ部の裏面に印刷するための裏面印刷コマンド」と、ともに明細書の段落【0100】?【0106】及び図4、図16の記載に基づき、より限定して記載したものである。
しかしながら、記録媒体表面に印刷されるイメージの鏡像イメージを生成し、前記鏡像イメージを前記記録媒体の裏面に印刷することは本願優先日前に頒布された特開平10-329311号公報(以下「引用例4」という)に、タブ紙のタブ部の表面とタブ部の裏面とに印刷を行うことは、本願優先日前に頒布された特開平11-180010号公報(以下「引用例5」という)に、それぞれ記載されており、上記の点を限定したとしても、回答書発明は、引用例1?引用例5に記載された発明及び周知技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
したがって、審判請求人の主張を採用して、新たに補正の機会を与えて回答書発明に基づいて意見を述べる機会を与える必要はない。

[4]本願発明について
平成21年4月8日の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?12に係る発明は、平成20年8月5日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?12に記載された事項により特定されるとおりのものであり、その請求項2を引用する請求項3に係る発明(以下「本願発明」という。)を独立形式で記載すると次のとおりのものと認められる。
「通信媒体を介して印刷装置と接続され、前記印刷装置に対して本文及びタブのデータを、タブ紙を含む記録紙に両面印刷させるための制御コマンドを発行するプリンタドライバを搭載した情報処理装置であって、
前記プリンタドライバのユーザインターフェース画面において印刷設定を受け付ける設定受付手段と、
前記受け付けた設定に従って、前記印刷装置における印刷がタブ紙への印刷であるかを判定する判定手段と、
前記判定手段においてタブ紙への印刷と判定された場合に前記受け付けた設定に従って、タブ紙が挿入されている給紙部を指定する給紙コマンド発行手段と、
前記判定手段においてタブ紙への印刷と判定された場合に前記受け付けた設定に従って、記録紙をタブ紙に指定するメディアコマンド発行手段と、
前記判定手段においてタブ紙への印刷と判定された場合に、前記タブ紙の第1の面の印刷を実行させるための第1面印刷コマンドを発行する第1面印刷コマンド発行手段と、
前記第1面印刷コマンドを発行後に、前記印刷装置の操作パネルからの指示がくるまで、前記印刷装置における印刷を一時中断させるための制御コマンドを発行する印刷中止コマンド発行手段と、
前記受け付けた設定に従って、前記タブ紙の第2の面の印刷を実行させるための第2面印刷コマンドを発行する第2面印刷コマンド発行手段と
を備える情報処理装置であって、
前記判定手段においてタブ紙への印刷でないと判定された場合に、前記受け付けた設定に従って、前記本文の印刷を実行させるための制御コマンドを発行する本文印刷コマンド発行手段を更に備え、
前記設定受付手段は、
前記タブ紙の給紙部の指定を受け付ける給紙部設定手段と、
前記タブ紙への印刷形態の指定を受け付ける印刷形態設定手段と、
前記タブ紙を本文に挿入する位置を受け付ける挿入位置設定手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、上記「[2]2.」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、本願補正発明を特定する事項から、上記「[2]1.」で示した限定を省いたものに実質的に相当する。
そうすると、本願発明を特定する事項をすべて含み、さらに限定を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「[2]4.」で検討したとおり、引用例1?引用例3に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1?引用例3に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1?引用例3に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-08-06 
結審通知日 2010-08-09 
審決日 2010-08-24 
出願番号 特願2003-355386(P2003-355386)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B41J)
P 1 8・ 575- Z (B41J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 畑井 順一  
特許庁審判長 長島 和子
特許庁審判官 鈴木 秀幹
野村 伸雄
発明の名称 情報処理装置及びその制御方法、プログラム及び記憶媒体  
代理人 永川 行光  
代理人 高柳 司郎  
代理人 木村 秀二  
代理人 大塚 康弘  
代理人 下山 治  
代理人 大塚 康徳  

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