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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  A63F
審判 全部無効 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張  A63F
管理番号 1225221
審判番号 無効2009-800193  
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-09-09 
確定日 2010-09-21 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第2849446号発明「可変表示装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
平成 2年 6月 2日 本件出願(特願平2-144670号)
平成10年11月 6日 設定登録(特許第2849446号)
平成11年 7月14日 特許異議の申立て(平成11年異議第72762号 申立人:栗井 英一郎)
平成11年 7月21日 特許異議の申立て(申立人:葛西 四郎)
平成12年 1月27日 訂正請求
平成13年 7月24日 取消決定
平成13年 9月17日 特許取消決定取消請求訴訟(平成13年(行ケ)第416号)
平成13年11月 5日 訂正審判請求(訂正2001-39201号)
平成13年12月25日 訂正認容審決
平成14年 2月13日 特許取消決定取消判決
平成14年 3月29日 特許維持決定

平成21年 9月 9日 無効審判請求(書面には9月8日の日付)
平成21年12月18日 答弁書、訂正請求(被請求人)
平成22年 2月 5日 弁駁書(請求人)
平成22年 3月17日 第2回答弁書(被請求人)
平成22年 6月25日 口頭審理陳述要領書(請求人)
平成22年 7月 9日 口頭審理、審理終結通知(口頭審理にて告知)

第2 本件審判事件にかかる両当事者の主張

請求人と被請求人の主張は以下のとおりである。なお、以下において、平成13年12月25日付け訂正認容審決によって訂正が認められた明細書の特許請求の範囲及び請求項1?3を、それぞれ「訂正前の特許請求の範囲」、「訂正前の請求項1?3」、平成21年12月18日付けの訂正請求に基づく特許請求の範囲及び請求項を「訂正後の特許請求の範囲」、「訂正後の請求項1?3」という。

1.請求人の主張

請求人は平成21年9月9日提出の審判請求書において、「特許第2849446号の特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求め」(請求の趣旨)、その理由として以下の理由を提示した。

[無効理由1]
本件特許に対して、平成13年12月25日に認められた訂正は、平成15年改正(平成22年6月25日付け口頭審理陳述要領書により訂正)の特許法第126条第4項の規定に違反し、同法第123条第1項第8号の規定により無効とされるべきである。

[無効理由2]
訂正前の請求項1,2に係る発明は、甲第4号証の記載を基に、甲第4号証から甲第16号証までの記載を参酌して、当業者がその通常の創作能力を発揮して、容易に想到できるものであり、訂正前の請求項3に係る発明は、甲第4号証の記載を基に、甲第4号証から甲第17号証までの記載を参酌して、当業者がその通常の創作能力を発揮して、容易に想到できるものであるから、いずれも特許法第29条第2項に違反し、同法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきである。

甲第1号証:特許第2849446号公報
甲第2号証:訂正2001-39201号審判請求書
甲第3号証:訂正2001-39201号審判審決書
甲第4号証:実願昭60-36595号(実開昭61-151783号)の全文明細書
甲第5号証:実願昭62-187803号(実開平1-93088号)の全文明細書
甲第6号証:実願昭55-91428号(実開昭57-17677号)の全文明細書
甲第7号証:実願昭60-36593号(実開昭61-151784号)の全文明細書
甲第8号証:実願昭60-36594号(実開昭61-151785号)の全文明細書
甲第9号証:実願昭58-128412号(実開昭60-37379号)の全文明細書
甲第10号証:実願昭63-45569号(実開平1-150987号)の全文明細書
甲第11号証:実願昭60-58995号(実開昭61-174993号)の全文明細書
甲第12号証:実願昭60-174893号(実開昭62-84484号)の全文明細書
甲第13号証:特開昭62-270187号公報
甲第14号証:特開平1-104286号公報
甲第15号証:特開平1-204686号公報
甲第16号証:実願昭63-25834号(実開平1-130384号)の全文明細書
甲第17号証:特開平2-102687号公報

そして、被請求人の平成21年12月18日付け訂正請求を受けて、平成22年2月5日付け弁駁書(周知例として甲第18号証、参考資料として甲第19号証を添付)、平成22年6月25日付け口頭審理陳述要領書において、無効理由1と同様の主張、及び、無効理由2については、訂正後の請求項1?3に係る発明は、当業者が甲第4号証?甲第19号証の記載に基づいて容易に想到できたものであって、特許法第29条第2項の規定に該当するので、同法第123条第1項第2号の規定により無効にされるべきである旨主張している。

甲第18号証:「パチスロ大図鑑1964?2000」,株式会社白夜書房,2007年5月21日
甲第19号証:特開平2-124193号公報

2.被請求人の主張

被請求人は平成21年12月18日付けで答弁書を提出し、「本件審判請求は成り立たない、審判請求は請求人の負担とする、との審決を求め」(答弁の趣旨)、平成13年12月25日に認められた訂正は、平成15年改正(平成22年6月25日付け口頭審理陳述要領書により訂正)の特許法第126条第4項の規定に違反し、同法第123条第1項第8号の規定により無効とされるべきであるとの請求人の主張には理由がなく、平成21年12月18日付の訂正請求に基づく請求項1乃至請求項3に係る発明は、特許法第29条第2項に違反し、同法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきであるとの請求人の主張には理由がないと主張している。

第3 被請求人による訂正請求について

1.訂正請求の内容

平成21年12月18日付けの訂正請求(以下、「本件訂正」という。)は、平成13年12月25日付けの訂正認容審決によって訂正が認められた特許第2849446号の明細書(以下、「特許明細書」という。)を、本件訂正請求書に添付した明細書によって訂正しようとするものであって、以下の事項を訂正内容とするものである(当審において、訂正請求書における訂正事項1を、訂正事項1-1?1-6に分割した)。

・訂正事項1-1
【請求項1】の「複数の識別情報が表面に形成された回転部材」を、「複数の識別情報が表面に形成された3つの回転部材」と訂正する。

・訂正事項1-2
【請求項1】の「回転部材ユニット機構を、支持部材に対して複数個並列状に支持固定」を、「回転部材ユニット機構を、支持部材に対して3個並列状に支持固定」と訂正する。

・訂正事項1-3
【請求項1】に「前記3つの回転部材の各々には、前記3つの回転部材すべての回転が停止したときに3つ揃って表示されることにより大当り状態を報知するための大当り識別情報が他の識別情報よりも光透過率の高い識別情報として表面に形成されて」いることを付加する。

・訂正事項1-4
【請求項1】に「前記3つの回転部材のうち第1の回転部材の回転が停止して前記大当り識別情報が表示されたときに、該大当り識別情報が表示されてから未だ回転が停止していない他の2つの回転部材の回転が停止するまで、該第1の回転部材に対応する発光部材は、該第1の回転部材の前記大当り識別情報に対し第1の表示態様で照射」することを付加する。

・訂正事項1-5
【請求項1】の「遊技状態がリーチ状態であるときの未だ識別情報が確定していない回転部材に対する表示態様がリーチ状態の前にいずれの回転部材に対して行った表示態様とも異なるように照射する」を、「前記3つの回転部材のうち前記第1の回転部材の次に第2の回転部材の回転が停止して前記大当り識別情報が2つ揃って表示されリーチ状態となったときに、該大当り識別情報が表示されてから最後に第3の回転部材の回転が停止するまで、前記第2の回転部材に対応する発光部材は、該第2の回転部材の前記大当り識別情報に対し前記第1の表示態様と同じ表示態様で照射し、未だ回転中の前記第3の回転部材に対応する発光部材は、該第3の回転部材に対し前記リーチ状態の前にいずれの回転部材に対して行われた表示態様とも異なる第2の表示態様で照射し」と訂正する。

・訂正事項1-6
【請求項1】の「リーチ状態で既に識別情報が確定した回転部材に対する表示態様がリーチ状態と大当たり状態とで異なる」を、「3つの回転部材すべての回転が停止して前記大当り識別情報が3つ揃って表示されたときに、前記3つの回転部材の各々に対応する発光部材は、対応する回転部材各々前記大当り識別情報を前記第2の表示態様で照射することにより、前記第1の回転部材の前記大当り識別情報および前記第2の回転部材の前記大当り識別情報に対する照射の表示態様がリーチ状態と大当り状態とで異なる」と訂正する。

・訂正事項2
【請求項3】の「複数個の回転部材ユニット機構」を「3個の回転部材ユニット機構」に訂正する。

・訂正事項3
【産業上の利用分野】の「複数の識別情報が表面に形成された回転部材」を、「複数の識別情報が表面に形成された3つの回転部材」に訂正する。

・訂正事項4
【課題を解決するための手段】の「該モータ固定板に設けられ且つ前記回転部材の裏面から遊技者の視認し得る前記識別情報を遊技状態がリーチ状態であるときの未だ識別情報が確定していない回転部材に対する表示態様がリーチ状態の前にいずれの回転部材に対して行った表示態様とも異なるように照射すると共に、さらに前記リーチ状態で既に識別情報が確定した回転部材に対する表示態様がリーチ応対と大当り状態とで異なるように照射する発光部材と、からなる回転部材ユニット機構を、支持部材に対して複数個並列状に支持固定した」を、「該モータ固定板に設けられ且つ前記回転部材の裏面から遊技者の視認し得る前記識別情報を照射する発光部材と、からなる回転部材ユニット機構を、支持部材に対して3個並列状に支持固定して成り、前記3つの回転部材の各々には、前記3つの回転部材すべての回転が停止したときに3つ揃って表示されることにより大当り状態を報知するための大当り識別情報が他の識別情報よりも光透過率の高い識別情報として表面に形成されており、前記3つの回転部材のうち第1の回転部材の回転が停止して前記大当り識別情報が表示されたときに、該大当り識別情報が表示されてから未だ回転が停止していない他の2つの回転部材の回転が停止するまで、該第1の回転部材に対応する発光部材は、該第1の回転部材の前記大当り識別情報に対し第1の表示態様で照射し、前記3つの回転部材のうち前記第1の回転部材の次に第2の回転部材の回転が停止して前記大当り識別情報が2つ揃って表示されリーチ状態となったときに、該大当り識別情報が表示されてから最後に第3の回転部材の回転が停止するまで、前記第2の回転部材に対応する発光部材は、該第2の回転部材の前記大当り識別情報に対し前記第1の表示態様と同じ表示態様で照射し、未だ回転中の前記第3の回転部材に対応する発光部材は、該第3の回転部材に対し前記リーチ状態の前にいずれの回転部材に対して行われた表示態様とも異なる第2の表示態様で照射し、前記3つの回転部材すべての回転が停止して前記大当り識別情報が3つ揃って表示されたときに、前記3つの回転部材の各々に対応する発光部材は、対応する回転部材各々の前記大当り識別情報を前記第2の表示態様で照射することにより、前記第1の回転部材の前記大当り識別情報および前記第2の回転部材の前記大当り識別情報に対する照射の表示態様がリーチ状態と大当り状態とで異なるようにする」に訂正する。

・訂正事項5
【作用】の「発光部材を遊技状態がリーチ状態であるときの未だ識別情報が確定していない回転部材に対する表示態様がリーチ状態の前にいずれの回転部材に対して行った表示態様とも異なるように照射すると共に、さらに前記リーチ状態で既に識別情報が確定した回転部材に対する表示態様がリーチ状態と大当り状態とで異なるように照射することにより、リーチ状態である旨を強烈にアピールすることができる。」を、「3つの回転部材のうち第1の回転部材の次に第2の回転部材の回転が停止して大当り識別情報が2つ揃って表示されてリーチ状態となったときに、未だ回転中の第3の回転部材に対応する発光部材は、第3の回転部材に対する照射の表示態様がリーチ状態の前にいずれの回転部材に対して行われた表示態様とも異なる第2の表示態様で照射すると共に、さらに前記リーチ状態で既に回転が停止して大当り識別情報が表示された第1の回転部材および第2の回転部材に対する表示態様がリーチ状態と大当り状態とで異なるよに照射することにより、リーチ状態である旨を強烈にアピールすることができる。」に訂正する。

・訂正事項6
【発明の効果】の「特に、発光部材を遊技状態がリーチ状態であるときの未だ識別情報が確定していない回転部材に対する表示態様がリーチ状態の前にいずれの回転部材に対して行った表示態様とも異なるように照射すると共に、さらに前記リーチ状態で既に識別情報が確定した回転部材に対する表示態様画リーチ状態と大当り状態とで異なるように照射することにより、リーチ状態である旨を強烈にアピールすることができる。」を、「特に、3つの回転部材のうち第1の回転部材の次に第2の回転部材の回転が停止して大当り識別情報が2つ揃って表示されてリーチ状態となったときに、未だ回転中の第3の回転部材に対応する発光部材は、第3の回転部材に対する照射の表示態様がリーチ状態の前にいずれの回転部材に対して行われた表示態様とも異なる第2の表示態様で照射すると共に、さらに前記リーチ状態で既に回転が停止して大当り識別情報が表示された第1の回転部材および第2の回転部材に対する表示態様がリーチ状態と大当り状態とで異なるように照射することにより、リーチ状態である旨を強烈にアピールすることができる。」に訂正する。

2.訂正の適否に対する判断
(1)請求人の訂正に関する主張及び当審の判断

請求人は、上記訂正のうち、訂正事項1(前述のとおり、当審において訂正事項1-1?1-6に分割している)は、実質上特許請求の範囲を変更するものであり、特許法第134条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するから認められない旨主張している(弁駁書第5ページ)。また、訂正事項4乃至6は、訂正事項1に付随して、訂正後の特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るために、発明の詳細な説明の記載を訂正するものであるから、訂正事項1が認められない以上、訂正事項4乃至6も同様に認められない旨主張している。

以下、訂正事項ごとに、その適否を判断する。

(2)訂正事項1-1,1-2,2及び3について
これらの訂正事項は、いずれも「回転部材」又は「回転部材ユニット機構」について「複数個」とされていたものを、「3個」又は「3つ」と訂正するものであるから、複数個すなわち2個以上であったものを、3個とするものであり、請求項1又は請求項3の発明を特定する事項を限定するものであって、特許請求の範囲の減縮に該当する。

(3)訂正事項1-3について
訂正事項1-3は、訂正前の請求項1の発明を特定する事項である「回転部材」に対して、「3つ」であることを限定し、さらに「前記3つの回転部材すべての回転が停止したときに3つ揃って表示されることにより大当り状態を報知するための大当り識別情報が他の識別情報よりも光透過率の高い識別情報として表面に形成されて」いるという限定を付加するものである。
また、付加された事項は、特許明細書の第4ページ第22?25行の「大当り状態となる可変表示装置30の所定の表示態様としては、後に詳述する大当り図柄である「7」が第1図に示すように横3列と斜め2列の合計5つの当りラインA?E上のいずれかに揃って表示されたときである。」、第7ページ第29行?第8ページ第15行の「回転ドラム46a?46cは、透光性のある部材(合成樹脂)で構成されると共に、回転ドラム46a?46cの外周面には、第5図で示すように図柄シール49a(回転ドラム46b,46cに対応する図柄シール49b,49cは、図示省略)が貼付される。この図柄シール49aに表示される識別情報としての図柄は、本実施例の場合1種類とされ、それぞれの回転ドラム46a?46cに少なくとも1個描かれている。具体的には、数字の「7」が大当りの識別情報であり、この「7」が当りラインA?E上のいずれかに並んだときに大当りとなる。しかして、本実施例の場合、図柄「7」だけが光の透過率の高い透明図柄50(着色透明、無色透明を含む)として描かれ、他の図柄は、図柄シール49aの不透明下地51(具体的には、白色不透明)と同様に不透明図柄(この場合には、着色不透明)として描かれている。このため、後述する発光部材としてのLED65a?65c、66a?66c、67a?67cが駆動して点灯したときには、大当りとなる図柄が他の図柄よりもより鮮明に浮び上がり、遊技者に大当りである旨の認識をより明確に報知することができると共に、回転ドラム46a?46cの可変表示に対して遊技者の興味を引き付けることができる。」との記載から、特許明細書に実質的に記載されたものであるといえる。
そうすると、訂正事項1-3は、特許明細書に記載された事項内において特許請求の範囲を減縮するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(4)訂正事項1-4について
訂正事項1-4は、訂正前の請求項1の発明を特定する事項である「回転部材」に対して、「3つ」であることを限定し、さらに「前記3つの回転部材のうち第1の回転部材の回転が停止して前記大当り識別情報が表示されたときに、該大当り識別情報が表示されてから未だ回転が停止していない他の2つの回転部材の回転が停止するまで、該第1の回転部材に対応する発光部材は、該第1の回転部材の前記大当り識別情報に対し第1の表示態様で照射」するという限定を付加するものである。
また、付加された事項は、特許明細書の第13ページ第27行?第14ページ第1行の「(a)に示すように、左の回転ドラム46aの可変表示が停止したときに「7」が表示されると、それに対応するLED65aが点灯する。このとき、残りの回転ドラム46b,46cは、未だ可変表示中であり、それに対応するLED65b,65cも消灯したままである。」、第14ページ第7?17行の「更に、この状態で次の(c)に示すように、中央の回転ドラム46bの可変表示が停止したときに「7」が表示されると、所謂大当り状態であるため、中央の回転ドラム46bに対応するLED65bだけでなく、それまで点灯動作していた左右のLED65a,65cもすべて点滅動作に移行して大当り図柄「7」を裏面から照射して浮び上がらせる。これによって、大当り図柄を鮮明に浮び上がらせて大当り状態となった旨を遊技者に明確に報知することができるばかりでなく、可変表示中においても発光部材としてのLED65a,65cが点灯しながら停止した状態の大当り図柄を浮び上がらせるので、識別情報に対して従来にはない色調変化を付与することができる。一方、(c)において、大当り図柄が表示されなかったときには、すべてのLED65a?65cが消灯するように制御される。また、第10図においても中央の当りラインAについてだけ述べたが、他の当りラインB?Eについても同様に制御すればよい。」との記載から、特許明細書に実質的に記載されたものであるといえる。
そうすると、訂正事項1-4も、特許明細書に記載された事項内において特許請求の範囲を減縮するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(5)訂正事項1-5について
訂正事項1-5は、訂正前の請求項1の発明を特定する事項である「リーチ状態」に対して「前記3つの回転部材のうち前記第1の回転部材の次に第2の回転部材の回転が停止して前記大当り識別情報が2つ揃って表示され」と限定し、同じく訂正前の請求項1の発明を特定するための事項である「リーチ状態の前にいずれの回転部材に対して行った表示態様とも異なるように照射」することに対して、「該大当り識別情報が表示されてから最後に第3の回転部材の回転が停止するまで、前記第2の回転部材に対応する発光部材は、該第2の回転部材の前記大当り識別情報に対し前記第1の表示態様と同じ表示態様で照射し、未だ回転中の前記第3の回転部材に対応する発光部材は、該第3の回転部材に対し、前記リーチ状態の前にいずれの回転部材に対して行われた表示態様とも異なる)第2の表示態様で照射」すると限定するものである。
また、限定によって付加された事項は、特許明細書の第13ページ第6?7行の「左右の回転ドラム46a,46cが共に「7」を表示したとき(これをリーチ状態)という。」、第14ページ第2?6行の「この状態で次の(b)に示すように、右側の回転ドラム46cの可変表示が停止したときに「7」が表示されると、それに対応するLED65cが点灯する。このとき、残りの中央の回転ドラム46bは、未だ可変表示中であり、それに対応するLED65bは、リーチ状態である旨をより強烈にアピールするために点滅動作される。」、同ページ第7?17行の「更に、この状態で次の(c)に示すように、中央の回転ドラム46bの可変表示が停止したときに「7」が表示されると、所謂大当り状態であるため、中央の回転ドラム46bに対応するLED65bだけでなく、それまで点灯動作していた左右のLED65a,65cが点灯しながら停止した状態の大当り図柄を浮び上がらせるので、識別情報に対して従来にはない色調変化を付与することができる。一方、(c)において、大当り図柄が表示されなかったときには、すべてのLED65a?65cが消灯するように制御される。」との記載から、特許明細書に実質的に記載されたものであるといえる。
そうすると、訂正事項1-5は、特許明細書に記載された事項内において特許請求の範囲を減縮するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(6)訂正事項1-6について
訂正事項1-6は、訂正前の請求項1を特定する事項である「リーチ状態で既に識別情報が確定した回転部材に対する表示態様がリーチ状態と大当たり状態とで異なる」を、「3つの回転部材すべての回転が停止して前記大当り識別情報が3つ揃って表示されたときに、前記3つの回転部材の各々に対応する発光部材は、対応する回転部材各々前記大当り識別情報を前記第2の表示態様で照射することにより、前記第1の回転部材の前記大当り識別情報および前記第2の回転部材の前記大当り識別情報に対する照射の表示態様がリーチ状態と大当り状態とで異なる」と限定するものである。
また、限定によって付加された事項は、特許明細書の第14ページ第7?15行の「更に、この状態で次の(c)に示すように、中央の回転ドラム46bの可変表示が停止したときに「7」が表示されると、所謂大当り状態であるため、中央の回転ドラム46bに対応するLED65bだけでなく、それまで点灯動作していた左右のLED65a,65cもすべて点滅動作に移行して大当り図柄「7」を裏面から照射して浮び上がらせる。これによって、大当り図柄を鮮明に浮び上がらせて大当り状態となった旨を遊技者に明確に報知することができるばかりでなく、可変表示中においても発光部材としてのLED65a,65cが点灯しながら停止した状態の大当り図柄を浮び上がらせるので、識別情報に対して従来にはない色調変化を付与することができる。」との記載から、特許明細書に実質的に記載されたものであるといえる。
そうすると、訂正事項1-6も、特許明細書に記載された事項内において特許請求の範囲を減縮するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(7)訂正事項4乃至6について
訂正事項4乃至6は、訂正事項1-1?1-6に付随して、訂正後の特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るために、発明の詳細な説明の記載を訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

なお、審判請求人は、平成22年2月5日付けの弁駁書において、平成10年11月6日の特許査定時の請求項1に係る発明を特許発明とし、平成13年12月25日付け訂正認容審決により認められた訂正(以下、「1次訂正」という。)の請求項1に係る発明を1次訂正発明とし、平成21年12月18日の訂正請求書(該訂正請求書により請求された訂正を、以下、「2次訂正」という。)の請求項1に係る発明を2次訂正発明としたときに、今回のように複数回の訂正がなされた場合において、2次訂正発明が訂正要件を満たしているか否かについての判断は、複数回の分割が行われた場合の、分割要件の判断と同一方向でなされるべきものであり、1次訂正発明が特許発明に対し訂正要件を満たし、2次訂正発明が1次訂正発明に対し訂正要件を満たし、かつ2次訂正発明が特許発明に対し訂正要件のうちの実体的要件を満たすときに、訂正が認められることになる旨主張している。
上記審判請求人の主張を検討すると、平成6年法律第116号による改正前の特許法第128条において、「願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正をすべき旨の審決が確定したときは、その訂正後における明細書、特許請求の範囲又は図面により特許出願、出願公開、特許をすべき旨の査定又は審決及び特許権の設定の登録がなされたものとみなす。」と規定されており、かかる規定に基づくと、1次訂正については、平成14年1月9日付けで確定していることから、2次訂正の適否の判断基準となる明細書は、平成14年1月9日付けで確定している訂正明細書とすることが相当であり、他の明細書とすべき理由も見いだすことはできず、上記審判請求人の主張は採用できない。

また、1次訂正自体の適否については、審判請求人が無効理由1として請求しているので、無効理由1についての検討において検討することとする。

3.小括
以上のとおりであるから、平成21年12月18日付けの訂正は、特許請求の範囲の減縮、又は明りょうでない記載の釈明を目的とし、願書に添付した明細書又は図面に記載されている事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、本件訂正は、平成6年法律第116号附則第6条第1項の規定によりなお従前のものとされた同法による改正前の特許法第134条第2項ただし書に適合し、特許法第134条の2第5項において準用する改正前の同法第126条第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

第4 本件特許発明
上記のとおり訂正を認めるので、本件特許発明は、本件訂正により訂正された明細書(以下、「訂正明細書」という。)及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至請求項3に記載された次のとおりのもの(以下「本件特許発明1」乃至「本件特許発明3」という。)と認める。

「(1)複数の識別情報が表面に形成された3つの回転部材を備えた可変表示装置において、
該可変表示装置は、透光性のある部材で構成される前記回転部材と、該回転部材を回転せしめるモータと、該モータを固定するモータ固定板と、該モータ固定板に設けられ且つ前記回転部材の裏面から遊技者の視認し得る前記識別情報を照射する発光部材と、からなる回転部材ユニット機構を、支持部材に対して3個並列状に支持固定して成り、
前記3つの回転部材の各々には、前記3つの回転部材すべての回転が停止したときに3つ揃って表示されることにより大当り状態を報知するための大当り識別情報が他の識別情報よりも光透過率の高い識別情報として表面に形成されており、
前記3つの回転部材のうち第1の回転部材の回転が停止して前記大当り識別情報が表示されたときに、該大当り識別情報が表示されてから未だ回転が停止していない他の2つの回転部材の回転が停止するまで、該第1の回転部材に対応する発光部材は、該第1の回転部材の前記大当り識別情報に対し第1の表示態様で照射し、
前記3つの回転部材のうち前記第1の回転部材の次に第2の回転部材の回転が停止して前記大当り識別情報が2つ揃って表示されリーチ状態となったときに、該大当り識別情報が表示されてから最後に第3の回転部材の回転が停止するまで、前記第2の回転部材に対応する発光部材は、該第2の回転部材の前記大当り識別情報に対し前記第1の表示態様と同じ表示態様で照射し、未だ回転中の前記第3の回転部材に対応する発光部材は、該第3の回転部材に対し前記リーチ状態の前にいずれの回転部材に対して行なわれた表示態様とも異なる第2の表示態様で照射し、
前記3つの回転部材すべての回転が停止して前記大当り識別情報が3つ揃って表示されたときに、前記3つの回転部材の各々に対応する発光部材は、対応する回転部材各々前記大当り識別情報を前記第2の表示態様で照射することにより、前記第1の回転部材の前記大当り識別情報および前記第2の回転部材の前記大当り識別情報に対する照射の表示態様がリーチ状態と大当り状態とで異なるようにすることを特徴とする可変表示装置。」

(2)前記回転部材を、一側面が開放した円筒状に形成してその開放側から円筒状の空間部に前記モータ及び発光部材がほぼ収まるように収納配置したことを特徴とする請求項1記載の可変表示装置。

(3)前記支持部材は、一側面が開放した箱状に形成された収納ボックスであり、
前記3個の回転部材ユニット機構を前記収納ボックス内に収納する際に、前記モータ固定板に形成される係合部を前記収納ボックスに並列状に形成される被係合部に係合させて支持固定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の可変表示装置。」

第5 本件特許発明にかかる検討

1.無効理由1について(平成13年12月25日に認められた訂正についての訂正目的要件違反、特許法第126条第4項)

(1)請求人の主張

審判請求人は、審判請求書において、1次訂正前の発光部材による照射は、「識別情報に色調の変化を付与することができ、回転部材の可変表示に対して遊技者の興味を引き付ける」点にあり、課題として「遊技者の興味を引く」ことがあり、解決手段として、「識別情報に色調の変化を付与する」ことがあげられているのに対し、1次訂正後は、課題として「リーチ状態である旨を強烈にアピールする」ことがあり、解決手段として「発光部材を遊技状態がリーチ状態であるときの未だ識別情報が確定していない回転部材に対する表示態様がリーチ状態の前にいずれの回転部材に対して行なった表示態様とも異なるように照射すると共に、さらに前記リーチ状態で既に識別情報が確定した回転部材に対する表示態様画リーチ状態と大当り状態とで異なるように照射する」ことがあげられており、訂正前の発明に存在しなかった「リーチ状態である旨を強烈にアピールする」ことを達成するための技術を訂正で追加することによって、新たな構成を加える訂正は、訂正前の発明を変更することとなっている旨主張しており、平成22年2月5日付けの弁駁書においても、1次訂正は実質上特許請求の範囲を変更するものであると、同様の事項を主張している。

(2)1次訂正前の特許明細書の記載事項

・「【従来の技術】
従来、遊技機、例えば、弾球遊技機や回動式遊技機(スロットルマシーンともいう)においては、複数の回転ドラムを回転させ、その回転ドラムの停止時に表示される識別情報の組合せが所定の組合せとなったときに、予め定められた遊技価値を付与するように構成された可変表示装置を備えたものが市場に提供されていた。これらの可変表示装置においては、回転ドラムの外周面に表示される識別情報が単に色彩を有する図柄として描かれているだけであった。
【発明が解決しようとする課題】
このため、回転ドラムの各種の回転モードにおいて、同じような色彩の識別情報が回転しているだけで識別情報の色調変化に新鮮味が欠け、可変表示に対する遊技者の興趣を引き付ける魅力に欠けるという問題があった。
この発明は、上記した問題点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、回転ドラム等の回転部材に表示される識別情報に、より豊かな色調変化を与えることができる可変表示装置を提供することにある。」(特許第2849446号公報第1ページ右欄第12行?第2ページ左欄第15行)

・「【作用】
1つの回転部材を回転駆動制御・停止制御せしめる機構をモータ固定板に集約してユニット構成とし、そのユニット構成化したものを支持部材に対して複数個並列状に支持固定したので、組付けの容易化を図ることができると共に、部品の故障に基づく交換もユニット単位で行うことができるため、交換作業の容易化をも達成することができる。また、回転部材の裏面に発光部材を設けたので、識別情報に光が照射されて識別情報の色調に変化を与えることによって、単なる色彩だけが施された識別情報に色調の変化を付与することができ、回転部材の可変表示に対して遊技者の興味を引き付けることができる。」(同上第2ページ左欄第26?38行)

・「以上、実施例に係る可変表示装置30の構成について説明してきたが、この可変表示装置30の作用について第9図ないし第11図を参照して説明する。まず、第9図においては、中央の当りラインAに大当りの識別情報である「7」が表示される場合を例示するもので、(a)に示すように、左の回転ドラム46aの可変表示が停止したときに「7」が表示されると、それに対応するLED65aが点滅する。このとき、残りの回転ドラム46b,46cは、未だ可変表示中であり、それに対応するLED65b,65cも消灯したままである。
この状態で次の(b)に示すように、右側の回転ドラム46cの可変表示が停止したときに「7」が表示されると、それに対応するLED65cが点滅する。このとき、残りの中央の回転ドラム46bは、未だ可変表示中であり、それに対応するLED65bも消灯したままである。また、左右の回転ドラム46a,46cが共に「7」を表示したとき(これをリーチ状態という)には、中央の回転ドラム46bの回転速度が遅く且つ長い時間回転する。
更に、この状態で次の(c)に示すように、中央の回転ドラム46bの可変表示が停止したときに「7」が表示されると、所謂大当り状態であるため、中央の回転ドラム46bに対応するLED65bだけでなく、それまで点滅動作していた左右のLED65a,65cもすべて点灯動作して大当り図柄「7」を裏面から照射して浮び上がらせる。これによって、大当り図柄を鮮明に浮び上がらせて大当り状態となった旨を遊技者に明確に報知することができるばかりでなく、可変表示中においても発光部材としてのLED65a,65cが点滅しながら停止した状態の大当り図柄を浮び上がらせるので、識別情報に対して従来にはない色調変化を付与することができる。」(同上第6ページ左欄第1?30行)

・「次に、第10図について説明すると、これは、第9図に例示するものの変形例であり、まず、(a)に示すように、左の回転ドラム46aの可変表示が停止したときに「7」が表示されると、それに対応するLED65aが点灯する。このとき、残りの回転ドラム46a,46cは、未だ可変表示中であり、それに対応するLED65b,65cも消灯したままである。
この状態で次の(b)に示すように、右側の回転ドラム46cの可変表示が停止したときに「7」が表示されると、それに対応するLED65cが点灯する。このとき、残りの中央の回転ドラム46bは、未だ可変表示中であり、それに対応するLED65bは、リーチ状態である旨をより強烈にアピールするために点滅動作される。
更に、この状態で次の(c)に示すように、中央の回転ドラム46bの可変表示が停止したときに「7」が表示されると、所謂大当り状態であるため、中央の回転ドラム46bに対応するLED65bだけでなく、それまで点灯動作していた左右のLED65a,65cもすべて点滅動作に移行して大当り図柄「7」を裏面から照射して浮び上がらせる。これによって、大当り図柄を鮮明に浮び上がらせて大当り状態となった旨を遊技者に明確に報知することができるばかりでなく、可変表示中においても発光部材としてLED65a,65cが点灯しながら停止した状態の大当り図柄を浮び上がらせるので、識別情報に対して従来にはない色調変化を付与することができる。」(同上第6ページ左欄第42行?右欄第16行)

・「【発明の効果】
以上、説明したところから明らかなように、この発明に係る可変表示装置は、1つの回転部材を回転駆動制御・停止制御せしめる機構をモータ固定板に集約してユニット構成とし、そのユニット構成化したものを支持部材に対して複数個並列状に支持固定したので、組付けの容易化を図ることができると共に、部品の故障に基づく交換もユニット単位で行うことができるだけ、交換作業の容易化をも達成することができる。」(同上第7ページ左欄第32行?右欄第12行)

(3)判断
訂正前の発明の目的及び課題は、上述の【発明が解決しようとする課題】欄に記載されているように、「可変表示に対する遊技者の興趣を引き付ける魅力に欠けるという問題」があり、「回転ドラム等の回転部材に表示される識別情報に、より豊かな色調変化を与える」ということを目的としていることは明らかである。
ここで、審判請求人は訂正によって『訂正前の発明に存在しなかった「リーチ状態である旨を強烈にアピールする」ことが課題に追加され、かかる課題を達成するための技術を訂正で追加することによって、新たな構成を加える訂正は、訂正前の発明を変更することとなっている』旨主張しているので、かかる主張について検討する。
「リーチ状態」について、訂正前の本願特許明細書の記載をみると、左右の回転ドラム46a,46cが共に「7」を表示したときのことがリーチ状態であり、「7」を表示するに際しては、回転ドラムが回転している状態から、回転ドラムの可変表示が停止することによって「7」を表示することが読み取れる。すなわち、「リーチ状態」は、回転ドラムが回転している状態から、左右の回転ドラムが停止して「7」を表示した状態であることが把握できる。
よって、リーチ状態である旨をアピールすることは、回転ドラムが回転している状態から、左右の回転ドラムが停止して、共に「7」を表示した状態をアピールしていることに他ならない。
してみると、リーチ状態である旨を強烈にアピールするために、リーチ状態前とリーチ状態、大当り状態で点灯状態を切り換えることは、回転ドラム等の回転部材の回転状態に応じて、点灯状態を切り換えることであり、訂正前の発明の目的である「回転ドラム等の回転部材に表示される識別情報に、より豊かな色調変化を与える」ことと異なるものではない。
したがって、訂正後の本願発明の課題及び目的は、訂正によって変更されたものではなく、新たな目的を達成するための構成を追加するものではないため、訂正前の発明を変更するものではなく、上記審判請求人の主張を採用することはできず、無効理由1には理由がない。

2.無効理由2について(特許法第29条第2項)

審判請求人は、本件特許発明1が、甲第4?19号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到できたものであり、特許法第29条第2項の規定により無効とされるべきものである、と主張しているので以下に検討する。なお、甲第18号証は周知例としての証拠、甲第19号証は単なる設計事項であることを立証するための参考資料である(平成22年6月25日提出の口頭審理陳述要領書第8ページ、第1回口頭審理調書参照)。

(1)甲第4?19号証の記載事項

甲第4号証には、以下の事項が記載されている。

・「スロットマシンにおけるリール回転位置検出装置」(考案の名称)

・「第3図はスロットマシンの1例の外観を示し、1は外装ケース、2は操作レバー、3は停止ボタン、4はコイン投入口、5はコイン払出し口、6はシンボル表示窓、7はライン、8はライン表示ランプである。
前記外装ケース1内には第4図に示すようなリール装置Aが配設されている。
このリール装置Aは、同一構成のリールユニット9を3個、リール支持盤10上に形成したガイドレール13に挿脱自在に挿入して、各リールユニット9をリール支持盤10上に配置する構成としている。」(第4ページ第3?13行)

・「各リールユニット9は、第1図及び第2図に示すように、リールドラム15、リールドラム15を回転駆動するパルスモータ16、リールドラム15の回転位置を検出する基準位置検出センサ17及びリールドラム15、パルスモータ16、前記センサ17を支持するハウジング11から構成される。
前記リールドラム15は合成樹脂で形成され、その円筒状外周には透光性のフィルムシート18が貼着されている。このフィルムシート18には、所定ピッチでシンボル19が印刷されており、第2図に示すように、シンボル表示窓6を通じて、外部から看取できる。
以上のようにリールドラム15のシンボル表示部(フィルムシート)18は透光性を有するように構成されているが、このシンボル表示部18をリールドラム15自身の外周部を透明又は半透明の材質で形成することによっても構成することができる。
前記リールドラム15内には照明具20が配置されている。図示する例では、前記シンボル窓6の1通過切換ゲート7につき、3つのシンボル19が表示されるように構成されており、これに対応して、各リールドラム15を内部から照明する照明具20にも3個のランプ21が配設されている。照明具20のケース22には、各ランプ21の光がこのランプ21に対応するシンボル19のみを照明できるように、遮光板23が設けられている。又前記ケース22は前記ハウジング11の曲面部24に取付けられているが、その取付け部25の曲面は前記曲面部24と同一曲率に形成されており、第1図に矢印で示すようにその取付角度を調整できるようにしてある。
前記照明具20のランプ21は勝ちゲームに該当するシンボル19を照明するように構成され、例えば第3図において中央のライン7上のシンボル19の組合せが勝ちゲームのときには、それに対応する各ランプ21が発光して、これらシンボル19が照明により浮き上り、プレイヤーに直接且つ強烈にアピールできるようになっている。」(第4ページ第18行?第6ページ第17行)

甲第5号証には、以下の事項が記載されている。

・「スロットマシンの入賞表示装置」(考案の名称)

・「第2図の装置は、リール2の内側において、表示窓1に向った側に、当該表示窓1から見える3個の絵柄の裏面に対応して3個の発光体、ここでは、電球5又は電球と等価な光源を設け、入賞ライン上にあって現に入賞した絵柄の裏側に位置する電球5のみを点灯、又は、点滅させるようにしたものである。」(第7ページ第12?18行)

甲第6号証には、以下の事項が記載されている。

・「コインゲーム機」(考案の名称)

・このようにして遊技者が三個のストップスイッチ14をすべて押圧操作して三個の組合せ回転体38を停止させるゲームは終了する。そしてこのとき組合せ表示部11から可視できる組合せ回転体38表面の識別表示Sの組合せが、予め定めた組合せ賞態様(例えば水平線Aまたは傾斜線B上の窓11a・・・gに同じ記号が表示される場合)であると、この停止位置を検出する検出装置46およびその制御装置が該当する組合せ表示部11の窓(例えば第13図で示すように傾斜線B上に同一識別表示の星印が停止した場合は窓11a,11d,11g)に対応する発光体48a,48d,48gだけを点灯又は点滅して賞態様に該当する識別表示の星印を照し出すとともに、コイン排出装置24を作動させ、組合せ賞態様に応じた数のコインをコイン受皿6に排出する。」(第11ページ第5行?第12ページ第1行)

甲第7号証には、以下の事項が記載されている。

・「スロットマシンにおけるリール装置」(考案の名称)

・「前記リールドラム15内には照明具20が配置されている。図示する例では、前記シンボル表示窓6の1つにつき、3つのシンボル19が表示されるように構成されており、これに対応して、各リールドラム15を内部から照明する照明具20にも3個のランプ21が配設されている。」(第5ページ第7?12行)

・「前記照明具20のランプ21は勝ちゲームに該当するシンボル19を照明するように構成され、例えば第2図において中央のライン7上のシンボル19の組合せが勝ちゲームのときには、それに対応する各ランプ21が発光して、これらシンボル19が照明により浮き上り、プレイヤーに直接且つ強烈にアピールできるようになっている。」(第6ページ第1?7行)

甲第8号証には、以下の事項が記載されている。

・「スロットマシンにおけるシンボル照明装置」(考案の名称)

・「前記リールドラム15内には照明具20が配置されている。図示する例では、前記シンボル表示窓6の1につき、3つのシンボル19が表示されるように構成されており、これに対応して、各リールドラム15を内部から照明する照明具20にも3個のランプ21が配設されている。」(第5ページ第3?8行)

・「前記照明具20のランプ21は勝ちゲームに該当するシンボル19を照明するように構成され、例えば第3図において中央のライン7上のシンボル19の組合せが勝ちゲームのときには、それに対応する各ランプ21が発光して、これらシンボル19が照明により浮き上り、プレイヤーに直接且つ強烈にアピールできるようになっている。」(第5ページ第17行?第6ページ第3行)

甲第9号証には、以下の事項が記載されている。

・「スロットマシン」(考案の名称)

・「第1及び第2リール3,4が停止された際、その絵柄の組み合わせが、入賞を構成し得るものである場合には、チャイム、ランプなどにより遊戯者に報知させるようにすれば、さらに興趣を高めることができる。」(第5ページ第4?8行)

甲第10号証には、以下の事項が記載されている。

・「スロットマシンのシンボル照明装置」(考案の名称)

・「ストロボ装置86は回転駆動中の特定のシンボル6に光をリール4の内側、すなわち軸心側から所定時間照射する。ストロボ装置86は照射手段(後述)8によって制御され、集光器88が設けてある。」(第15ページ第20行?第16ページ第4行)

・「ついで、特定シンボル検知手段7は遊技者が3条のリール4のうち1つのリール4を停止させたのち、停止されたリール4の窓11に配置するシンボル6を上記同様に演算する。そして、特定シンボル検知手段7は演算したシンボル6の入賞(または遊技者に有利な権利)に係るシンボル6を演算し、シンボル6が表された信号を照射手段8に入力する。つぎに、照射手段8は特定シンボル検知手段7からの入力データと位置センサ41の検知信号とに基いて、ストロボ装置を作動させ所定のタイミングで特定のシンボル6に光を照射する。」(第23ページ第6?17行)

甲第11号証には、以下の事項が記載されている。

・「回胴式遊技機用連続役物表示装置」(考案の名称)

・「本考案においては、かかる連続役物に移行する特定の入賞組合せになったとき(たとえば第1図の状態)、12回の表示ランプ(6)をすべて点滅させる。」(第6ページ第4?7行)

甲第12号証には、以下の事項が記載されている。

・「スロットマシンの入賞ライン表示装置」(考案の名称)

・「これとと同時に、入賞判定回路80は第3入賞ライン26の一方に入賞が得られた信号をLED駆動回路84に出力する。この結果、LED駆動回路84は、中ヒットのシンボル配列が得られている第3入賞ライン26の一方に沿って配列されたライン表示部材17を点灯させる。すなわち、それぞれの表示盤10?12に取り付けられた表示部材17を第3入賞ライン26の一方のみを表示するようなパターンで点灯させる。」(第13ページ第18行?第14ページ第6行)

・「もちろん、入賞ラインの表示は、発光ダイオード19を連続点灯させるほか、これらを点滅させるようにしてもよい。」(第14ページ第10?12行)

甲第13号証には、以下の事項が記載されている。

・「パチンコ球を用いた遊戯機」(発明の名称)

・「次いで、音声用IC105やスピーカ14等から構成される音響発生手段を作動させて効果音を流し、賞態様ライン18Aに成立した賞態様に応じた賞球が排出されたことを遊戯者に知らせる。」(第8ページ右上欄第16?20行)

・「賞態様ライン18A?18Eにもとづく各賞態様の賞球数を各ラインに対応して設置した賞球数表示器20A?20Eに可視表示することによって、どのラインにどれだけの賞球数の賞態様が成立したかを一目で遊戯者に知らせることができる。」(第9ページ左上欄第11?16行)

甲第14号証には、以下の事項が記載されている。

・「遊戯機」(発明の名称)

・「賞球発生時に点灯する賞球ランプ77」(第5ページ左上欄第5行)

甲第15号証には、以下の事項が記載されている。

・「スロットマシン」(発明の名称)

・「また、このようにゲームを続けている途中で以後のゲームにおける入賞確率が向上するようないわゆるボーナスゲームに当ったとする。このようなときには、上飾り30の内部周囲部分に設けたランプ31が点灯あるいは点滅を行い、その旨を外部に知らせると共に、」(第4ページ右下欄第19行?第5ページ左上欄第4行)

甲第16号証には、以下の事項が記載されている。

・「スロットマシンの点灯表示装置」(考案の名称)

・「前記案内表示部9は、ゲームの進行に付随する各種情報や案内、例えば、ボーナスゲームへの移行を知らせるための情報やボーナスゲームの実行回数を知らせるための情報などを点灯表示するための部分である。」(第5ページ第13?17行)

・「ボーナスゲームへの移行は第2の表示部12の点灯表示により、またボーナスゲームの実行回数は第1の表示部11の点灯表示により、それぞれ遊戯者に知らされる。」(第6ページ第5?8行)

・「しかしてゲーム途中でボーナスゲームへの移行などがあると、透明パネル15における第2の表示部12の背後に位置する発光体20が点灯動作する。」(第8ページ第1?4行)

甲第17号証には、以下の事項が記載されている。

・「弾球遊技機」(発明の名称)

・「駆動部収納ボックス74は、前方を開放した箱状に形成され、その前方上下には、前記駆動部取付枠部材69と固定するための取付穴90a?90dが穿設され、その内部に回転ドラム76a?76cが収容されるようになっている。回転ドラム76a?76cは、それぞれ個々に回転ドラム機構75a?75cとしてユニット化され、簡単に駆動部収納ボックス74に収納されるようになっている。」(第6ページ左上欄第4?12行)

・「モータ固定盤78a?78cの前方側上下には、係合突片79a?79f(79a,79bは、モータ固定板78aに、79c、79dは、モータ固定板78bに、79e,79fは、モータ固定板78cにそれぞれ形成されている。以下、同様にa?fは、回転ドラム機構75a,75b,75cに形成されている)が突設され、この係合突片79a?79f(ただし、79d,79fは図示省略)の前端縁が前記モータ固定板係合溝73a?73fと係止されるようになっている。また、係合突片79a?79fの後端縁は、駆動部収納ボックス74の前方開口縁上下に形成されたモータ固定板係合溝91a?91f(ただし、91d,91fは図示省略)に係止されるようになっている。また、モータ固定板78a?78cの後端には、係合部80a?80fが突設されている。この係合部80a?80fのうち第7図に示すようにモータ固定板78aに突設される係合部80bと、モータ固定板78bに突設される係合部80dと、モータ固定板78cに突設される係合部80fとの形状が異なるように突設され、それぞれの形状に合致するように駆動部収納ボックス74の後面壁にモータ固定板係合溝92b,92d,92fが刻設されている。」(第6ページ右上欄第1行?左下欄第4行)

甲第18号証には、以下の事項が記載されている。

・「各章の序列は時代変遷に則っています。」(第6ページ)

・「第三章 1988- 2号機」(第7ページ)

・「年号が昭和から平成へ移り変わり、そして2号機時代の幕開けから一年余月が経過した89年の春。ユニバーサル系瑞穂ブランドから、待望の2号機第二弾「センチュリー21」がセンセーショナルに登場した。」(第50ページ)

・「90年代の初頭、日本全土に巻き起こった爆裂連チャン機ブーム。その火付け役となったのが「11G連チャンバージョン」でいっせいを風靡した「リバティベルIII」である。0号機時代のヒット作の名を冠したこのマシンは、一足先に登場していたセンチュリー21の兄弟機。」(第51ページ)

・「90年1月に東京・晴海で開催されたパチンコ産業博にて華々しいデビューを飾ったピエロ三兄弟の末弟、ユニバーサル販売の2-2号機「リバティベルIV」紅模様のあしらわれた7が象徴するとおり本機種は、基本仕様が完全に同一であった先発の2機種とはかなり毛色の異なるマシンだ。」(第52ページ)

甲第19号証には、以下の事項が記載されている。

・「4.135以降では、デジタルの表示情報を取り出し、左デジタル44aが当たり図柄で停止すると、停止表示LED51aに緑の点灯情報をセットし、次に中デジタル44bが当たり図柄(左デジタル44aと同図柄)で停止すると、停止表示LED51bに緑の点灯情報をセットし、さらに右デジタル44cが当たり図柄(左、中デジタル44a,44bと同図柄)で停止すると、停止表示LED51cに緑の点灯情報をセットする(4.135?4.142)。停止表示LED51a?51cは当たりの可能性が無いときは赤色に点灯し(4.139)、当たりの可能性が有るときは順に緑色に点灯する。」(第9ページ左上欄第11行?右上欄第3行))

(2)甲4発明について
甲第4号証において、リールユニットの表面に複数の識別情報が形成されていることは、例を挙げるまでもなく周知の構成であることを考慮すると、甲第4号証の上記記載事項から、以下の発明(以下、「甲4発明」という。)が記載されているものと認められる。

「複数の識別情報が表面に形成された3個のリールドラムを備えたリール装置において、
該リール装置は、透明又は半透明の材質で形成されたリールドラムと、該リールドラムを回転駆動するパルスモータと、該パルスモータを支持するハウジングと、該ハウジングに設けられ且つ前記リールドラムを内部から照明するランプと、からなるリールユニットを、リール支持盤に対して3個並べて配置する構成としており、
前記3個のリールドラムには、中央のライン上のシンボルの組合せが勝ちゲームのときには、それに対応する各ランプが発光して、これらシンボルが照明により浮き上がるようになっているリール装置。」

(3)対比
本件特許発明1と甲4発明とを対比する。
甲4発明の「リールドラム」、「リール装置」、「透明又は半透明の材質」、「パルスモータ」、「ハウジング」、「ランプ」、「リールユニット」、「リール支持盤」、「シンボル」は、それぞれ本件特許発明1の「回転部材」、「可変表示装置」、「透光性のある部材」、「モータ」、「モータ固定板」、「発光部材」、「回転部材ユニット機構」、「支持部材」、「識別記号」に相当する。
また、いわゆるパチスロにおける大当たり状態は、複数の回転部材のすべての回転が停止したときに、特定の識別図柄がすべて揃ったときであることが、例を挙げるまでもなく一般的であることを考慮すると、甲4発明の「中央のライン上のシンボルの組合せが勝ちゲーム」は、本件特許発明1の「3つの回転部材のすべての回転が停止したときに3つ揃って表示され」た「大当り状態」に相当するといえる。
さらに、甲4発明における「リールドラムを内部から照射する」は、遊技者から見ると、リールドラムを裏面側から照射するものに相当し、結果としてリールドラム表面に形成されている識別情報を照射することになることは明らかであるから、甲4発明の「リールドラムを内部から照明するランプ」は、本件特許発明1の「回転部材の裏面から遊技者の視認し得る識別情報を照射する発光部材」に相当する。

よって、本件特許発明1と甲4発明とは、
「複数の識別情報が表面に形成された3つの回転部材を備えた可変表示装置において、
該可変表示装置は、透光性のある部材で構成される前記回転部材と、 該回転部材を回転せしめるモータと、該モータを固定するモータ固定板と、該モータ固定板に設けられ且つ前記回転部材の裏面から遊技者の視認し得る前記識別情報を照射する発光部材と、からなる回転部材ユニット機構を、支持部材に対して3個並列状に支持固定して成り、
前記3つの回転部材の各々には、前記3つの回転部材すべての回転が停止したときに3つ揃って表示されることにより大当り状態を報知するための大当り識別情報が表面に形成されている可変表示装置。」

の点で一致し、以下の点で相違している。

・相違点1
3つの回転部材の各々に設けられた、大当り状態を報知するための大当り識別情報が、本件特許発明1では、他の識別情報よりも光透過率の高い識別情報であるのに対し、甲4発明では、他の識別情報との光透過率の違いが不明である点。

・相違点2
識別情報に対する照射の表示態様が、本件特許発明1では、3つの回転部材のうち第1の回転部材の回転が停止して前記大当り識別情報が表示されたときに、該大当り識別情報が表示されてから未だ回転が停止していない他の2つの回転部材の回転が停止するまで、該第1の回転部材に対応する発光部材は、該第1の回転部材の前記大当り識別情報に対し第1の表示態様で照射し、前記3つの回転部材のうち前記第1の回転部材の次に第2の回転部材の回転が停止して前記大当り識別情報が2つ揃って表示されリーチ状態となったときに、該大当り識別情報が表示されてから最後に第3の回転部材の回転が停止するまで、前記第2の回転部材に対応する発光部材は、該第2の回転部材の前記大当り識別情報に対し前記第1の表示態様と同じ表示態様で照射し、未だ回転中の前記第3の回転部材に対応する発光部材は、該第3の回転部材に対し前記リーチ状態の前にいずれの回転部材に対して行なわれた表示態様とも異なる第2の表示態様で照射し、前記3つの回転部材すべての回転が停止して前記大当り識別情報が3つ揃って表示されたときに、前記3つの回転部材の各々に対応する発光部材は、対応する回転部材各々前記大当り識別情報を前記第2の表示態様で照射することにより、前記第1の回転部材の前記大当り識別情報および前記第2の回転部材の前記大当り識別情報に対する照射の表示態様がリーチ状態と大当り状態とで異なるようにしているのに対し、甲4発明では、リーチ状態と大当り状態とで異なる表示態様とはしていない点。

(4)相違点についての検討

上記相違点について検討する。

・相違点1について
相違点1に関する構成について、審判請求人は平成22年2月5日付けの弁駁書において、以下の主張をしている。

『そして、回転中の大当り識別情報を他の識別情報と区別しやすくするための技術としては、以下のものがある。
甲第18号証(「パチスロ大図鑑1964?2000」、株式会社白夜書房、2007年5月21日)
本件特許出願前に販売及び使用されたパチスロ機である「スーパーウィンクル」(第45頁左下欄の図柄配列図)、「センチュリー21」(第50頁左下欄の図柄配列図)、「リバティベルIII(第51頁左下欄の図柄配列図)、「リバティベルIV」(第52頁左下欄の図柄配列図)などの機種において、大当り識別情報が他の識別情報より幅方向に大きく形成されていることが記載されている。
すなわち、回転中の大当り識別情報を他の識別情報と区別しやすくするために、大当り識別情報を他の識別情報より大きく形成することは、本件特許出願前においても、多数のパチスロ機において採用されていた周知・慣用技術に過ぎないものである。』
『一方、このような回転中の大当り識別情報の通過を、光によって知らせる技術として下記の先行技術がある。
甲第10号証 実願昭63-45569号(実開平1-150987号)の全文明細書
2 ストロボ装置86は回転駆動中の特定のシンボル6に光をリール4の内側、すなわち軸心側から所定時間照射する。ストロボ装置86は照射手段(後述)8によって制御され、集光器88が設けてある(15頁20?16頁4行)
甲第10号証では、特定のシンボル(大当り識別情報はその一態様)が通過する際にストロボ装置からの光を照射することによって、「特定のシンボルが明るく見える」ようになることを利用して、特定のシンボルを停止させやすくするものである。』

甲第18号証を例として、回転中に大当り識別情報を他の識別情報と区別しやすくするために、大当り識別情報を他の識別情報より幅方向に大きく形成することは、本件特許出願前に周知であるとの、上記審判請求人の主張について検討する。
甲第18号証第50ページには「センチュリー21」に関する記事として「89年の春。ユニバーサル系瑞穂ブランドから、待望の2号機第二弾「センチュリー21」がセンセーショナルに登場した。」と記載されており、同頁の「reel arrangement」には「7」の図柄が幅方向に大きく図示されており、更に市場に登場させるために必須である(財)保安電子通信技術協会による「型式試験」合格後はリールにおける図柄の態様を含めて機械の改変を行うことは許されないとの遊技機業界での常識を考慮すると、甲第18号証によれば大当り識別情報を他の識別情報より幅方向に大きく形成したセンチュリー21というスロットマシンが本願出願前に周知であったと認められる。
また、甲第18号証第52ページには「リバティベルIV」に関する記事として「90年1月に東京・晴海で開催されたパチンコ産業博にて華々しいデビューを飾ったピエロ三兄弟の末弟、ユニバーサル販売の2-2号機「リバティベルIV」。」と記載されており、その「reel arrangement」を考慮すると、「リバティベルIV」について上記したセンチュリー21と同様のことがいえる。
更に、「リバティベルIII」について、甲第18号証第51ページにはその発表又は発売の時期の記載又は示唆する記載はないが、同頁には「このマシンは、一足先に登場したセンチュリー21の兄弟機」と記載されており、また、上記「リバティベルIV」に関する記事において同機が「90年1月に東京・晴海で開催されたパチンコ産業博にて華々しいデビューを飾ったピエロ三兄弟の末弟」と記載されていることから、「リバティベルIII」が「リバティベルIV」と同時期または以前に発表されていたと認められる。そして、「reel arrangement」を考慮すると、「リバティベルIII」について上記したセンチュリー21と同様のことがいえる。
以上を総合すると、甲第18号証は、その頒布日は2007年5月21日であって、本願出願前公知の文献ではないが、それによって「大当り識別情報を他の識別情報より幅方向に大きく形成する」ことは本願出願前周知であると認められる。そして、大当り識別情報が他の識別情報より幅方向に大きく形成されている以上、「回転中に大当り識別情報を他の識別情報と区別しやすく」なることは自明の事項である。
しかしながら、かかる事項が自明の事項であったとしても、甲第18号証によって示されている事項は、大当り識別情報が他の識別情報より幅方向に大きく形成されている事項にすぎず、大当り識別情報を、他の識別情報よりも光透過率の高い識別情報としたものではない。
また、甲4発明における報知は、シンボルの組合せが勝ちゲームのときに報知を行っているのに対し、甲第18号証によって示されている事項は、遊技者が回転部材を停止させる際に、特定のシンボルを停止させやすくするために、大当り識別情報を他の識別情報と区別しやすくしているものであって、識別情報を区別しやすくする目的がまったく異なっているため、甲4発明に上記周知事項を組み合わせる動機付けがない。そもそも、甲4発明はパチンコ機であって、甲第18号証で示されているパチスロ機のように、遊技者が特定のシンボルを停止させるものではなく、回転中に大当たり識別情報を他の識別情報と区別しやすくする必要性がないことからも、甲4発明に上記周知技術を適用することは困難であるといえる。
次に、甲第10号証に関しては、甲第10号証で行っているのは、特定のシンボルが通過する際にストロボ装置からの光を照射することによって、特定のシンボルが明るく見えるようにしているものであって、大当り状態を報知するための大当り識別情報自体を、他の識別情報よりも光透過率の高い識別情報として表面に形成したものではない。
さらに、この相違点によって、甲第10号証においては、特定のシンボルを明るく見えるようにするために、特定のシンボルが通過するときに光を点灯し、それ以外のときに消灯するという光の制御が必要となるのに対し、本件特許発明1においては、ランプの点灯及び消灯の制御を特段行うことなく、特定のシンボルを明るく見えるようにすることができるという格別の効果を奏するものである。
また、その他の甲第5?9号証、甲第11?17号証、甲第19号証にも、大当り識別情報を他の識別情報よりも光透過率の高い識別情報として表面に形成する点は記載されておらず、相違点1に係る構成を容易になし得たとすることはできない。
以上のとおりであるから、相違点1に係る本件特許発明1の構成を当業者が容易になし得たとすることはできない。

・相違点2について
甲第5号証から甲第8号証には、「回転部材の裏面から遊技者の視認し得る識別情報」を「照射する発光部材」を有すること、またその照射によって報知を行う対象としては、甲第5号証は「入賞したこと」、甲第6号証は「予め定めた組合せ賞態様となったこと」、甲第7号証及び甲第8号証は「勝ちゲームとなったこと」とされており、いずれもなんらかの当たり状態となっていることを報知しているものと認められる。
甲第9号証には、いわゆる「リーチ状態」となったときに、「チャイム、ランプなどにより遊技者に報知」することが記載されている。
また、甲第10号証には、「ストロボ装置」を用いて、「回転駆動中の特定のシンボルに光をリールの内側、すなわち軸心側から所定時間照射する」こと、また、「照射手段は特定シンボル検知手段からの入力データと位置センサの検知信号に基いて、ストロボ装置を作動させ所定のタイミングで特定のシンボルに光を照射する。」ことが記載されている。すなわち、甲第10号証には、遊技者が特定のシンボルを停止させやすくするために、特定のシンボルが所定の位置に来たときに、リールの内側から光を照射させて補助的な報知を行うことが記載されている。
さらに、甲第11号証から甲第16号証には、「大当り状態」をランプの点滅や音響発生手段からの効果音といった、通常の点灯状態とは異なる状態によって報知することが記載されており、甲第19号証には、「当たり図柄」で停止したときに、停止表示の色を変化させることが記載されている。
以上をまとめると、甲第5号証から甲第8号証及び甲第11号証から甲第16号証には、いわゆる「大当り状態」を光の照射やその他の手段によって報知することが記載されており、甲第19号証には、同じくいわゆる「大当り状態」のときに、停止した図柄の表示の色を変化させることが記載されており、甲第9号証には、いわゆる「リーチ状態」を、「チャイム、ランプなどにより」遊技者に報知することが記載されており、甲第10号証には、遊技者が特定のシンボルを停止しやすくするために、光の照射を行って遊技者への報知を行うことが記載されている。
しかしながら、上記相違点2のうち、「3つの回転部材のうち第1の回転部材の回転が停止して前記大当り識別情報が表示されたときに、該大当り識別情報が表示されてから未だ回転が停止していない他の2つの回転部材の回転が停止するまで、該第1の回転部材に対応する発光部材は、該第1の回転部材の前記大当り識別情報に対し第1の表示態様で照射」すること、「前記3つの回転部材のうち前記第1の回転部材の次に第2の回転部材の回転が停止して前記大当り識別情報が2つ揃って表示されリーチ状態となったときに、該大当り識別情報が表示されてから最後に第3の回転部材の回転が停止するまで、前記第2の回転部材に対応する発光部材は、該第2の回転部材の前記大当り識別情報に対し前記第1の表示態様と同じ表示態様で照射し、未だ回転中の前記第3の回転部材に対応する発光部材は、該第3の回転部材に対し前記リーチ状態の前にいずれの回転部材に対して行なわれた表示態様とも異なる第2の表示態様で照射」すること、及び、「前記3つの回転部材すべての回転が停止して前記大当り識別情報が3つ揃って表示されたときに、前記3つの回転部材の各々に対応する発光部材は、対応する回転部材各々前記大当り識別情報を前記第2の表示態様で照射することにより、前記第1の回転部材の前記大当り識別情報および前記第2の回転部材の前記大当り識別情報に対する照射の表示態様がリーチ状態と大当り状態とで異なる」ようにすること、すなわち、リーチ状態となる前は第1及び第2の回転部材を第1の表示態様で照射して、第3の回転部材を第2の表示態様で照射し、大当り状態となったときは、3つの回転部材をすべて第2の表示態様で照射して、大当り識別情報に対する照射の表示態様をリーチ状態と大当り状態とで異ならせるようにすることは、上記甲第5号証から甲第16号証及び甲第19号証のいずれの文献にも記載されていない。
すなわち、甲第5号証から甲第8号証,甲第11号証から甲第16号証及び甲第19号証は、いわゆる「大当り状態」を報知しているにすぎず、甲第9号証には、いわゆる「リーチ状態」を、報知しているに留まっており、リーチ状態となる前において、第1の回転部材及び第2の回転部材と、第3の回転部材とで照射の表示態様を異ならせること、並びにリーチ状態と大当り状態とで照射の表示態様を異ならせることについては、いずれの文献にも開示されているとはいえない。
また、甲第10号証に記載のものも、光の照射によって、遊技者に報知を行うものではあるものの、甲4発明における報知は、シンボルの組合せが勝ちゲームのときに報知を行っているのに対し、甲第10号証に記載のものは、遊技者が回転部材を停止させる際に、特定のシンボルを停止させやすくするために行う報知であって、報知を行う目的がまったく異なっているため、甲4発明に対して甲第10号証に記載の事項を組み合わせる動機付けがなく、仮に組み合わせたとしても、リーチ状態となる前において、第1の回転部材及び第2の回転部材と、第3の回転部材とで照射の表示態様を異ならせるようにすることは、いずれの文献にも開示されていない。
さらに、効果の点についても、相違点2の構成によって、本件特許発明1は、回転部材に表示される識別情報により豊かな色調変化を与えるという格別の効果を奏する。
以上のとおりであるから、相違点2に係る本件特許発明1の構成を当業者が容易になし得たとすることはできない。

(5)小括
以上のとおり、相違点1及び相違点2のいずれも、当業者が容易に想到できたものではないから、本件特許発明1は、甲4発明及び甲第5号証から甲第19号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできず、本件特許発明1は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

また、本件特許発明2及び3は、いずれも本件特許発明1に限定を付したものであるから、本件特許発明1が当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない以上、本件特許発明2及び3についても、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできず、本件特許発明2及び3も、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

したがって、無効理由2は理由がない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、本件特許は、無効理由1及び2に理由がないから、請求人の主張及び証拠方法によっては、無効とすることができない。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、全額を請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
可変表示装置
(57)【特許請求の範囲】
(1)複数の識別情報が表面に形成された3つの回転部材を備えた可変表示装置において、
該可変表示装置は、透光性のある部材で構成される前記回転部材と、該回転部材を回転せしめるモータと、該モータを固定するモータ固定板と、該モータ固定板に設けられ且つ前記回転部材の裏面から遊技者の視認し得る前記識別情報を照射する発光部材と、からなる回転部材ユニット機構を、支持部材に対して3個並列状に支持固定して成り、
前記3つの回転部材の各々には、前記3つの回転部材すべての回転が停止したときに3つ揃って表示されることにより大当り状態を報知するための大当り識別情報が他の識別情報よりも光透過率の高い識別情報として表面に形成されており、
前記3つの回転部材のうち第1の回転部材の回転が停止して前記大当り識別情報が表示されたときに、該大当り識別情報が表示されてから未だ回転が停止していない他の2つの回転部材の回転が停止するまで、該第1の回転部材に対応する発光部材は、該第1の回転部材の前記大当り識別情報に対し第1の表示態様で照射し、
前記3つの回転部材のうち前記第1の回転部材の次に第2の回転部材の回転が停止して前記大当り識別情報が2つ揃って表示されリーチ状態となったときに、該大当り識別情報が表示されてから最後に第3の回転部材の回転が停止するまで、前記第2の回転部材に対応する発光部材は、該第2の回転部材の前記大当り識別情報に対し前記第1の表示態様と同じ表示態様で照射し、未だ回転中の前記第3の回転部材に対応する発光部材は、該第3の回転部材に対し前記リーチ状態の前にいずれの回転部材に対して行なわれた表示態様とも異なる第2の表示態様で照射し、
前記3つの回転部材すべての回転が停止して前記大当り識別情報が3つ揃って表示されたときに、前記3つの回転部材の各々に対応する発光部材は、対応する回転部材各々の前記大当り識別情報を前記第2の表示態様で照射することにより、前記第1の回転部材の前記大当り識別情報および前記第2の回転部材の前記大当り識別情報に対する照射の表示態様がリーチ状態と大当り状態とで異なるようにすることを特徴とする可変表示装置。
(2)前記回転部材を、一側面が開放した円筒状に形成してその開放側から円筒状の空間部に前記モータ及び発光部材がほぼ収まるように収納配置したことを特徴とする請求項1記載の可変表示装置。
(3)前記支持部材は、一側面が開放した箱状に形成された収納ボックスであり、
前記3個の回転部材ユニット機構を前記収納ボックス内に収納する際に、前記モータ固定板に形成される係合部を前記収納ボックスに並列状に形成される被係合部に係合させて支持固定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の可変表示装置。
【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】
この発明は、複数の識別情報が表面に形成された3つの回転部材を備えた可変表示装置に関し、特に遊技機に使用される可変表示装置に関するものである。
【従来の技術】
従来、遊技機、例えば、弾球遊技機や回動式遊技機(スロットルマシーンともいう)においては、複数の回転ドラムを回転させ、その回転ドラムの停止時に表示される識別情報の組合せが所定の組合せとなったときに、予め定められた遊技価値を付与するように構成された可変表示装置を備えたものが市場に提供されていた。これらの可変表示装置においては、回転ドラムの外周面に表示される識別情報が単に色彩を有する図柄として描かれているだけであった。
【発明が解決しようとする課題】
このため、回転ドラムの各種の回転モードにおいて、同じような色彩の識別情報が回転しているだけで識別情報の色調変化に新鮮味が欠け、可変表示に対する遊技者の興趣を引き付ける魅力に欠けるという問題があった。
この発明は、上記した問題点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、回転ドラム等の回転部材に表示される識別情報に、より豊かな色調変化を与えることができる可変表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、この発明に係る可変表示装置は、
透光性のある部材で構成される回転部材と、該回転部材を回転せしめるモータと、該モータを固定するモータ固定板と、該モータ固定板に設けられ且つ前記回転部材の裏面から遊技者の視認し得る前記識別情報を照射する発光部材と、からなる回転部材ユニット機構を、支持部材に対して3個並列状に支持固定して成り、
前記3つの回転部材の各々には、前記3つの回転部材すべての回転が停止したときに3つ揃って表示されることにより大当り状態を報知するための大当り識別情報が他の識別情報よりも光透過率の高い識別情報として表面に形成されており、
前記3つの回転部材のうち第1の回転部材の回転が停止して前記大当り識別情報が表示されたときに、該大当り識別情報が表示されてから未だ回転が停止していない他の2つの回転部材の回転が停止するまで、該第1の回転部材に対応する発光部材は、該第1の回転部材の前記大当り識別情報に対し第1の表示態様で照射し、
前記3つの回転部材のうち前記第1の回転部材の次に第2の回転部材の回転が停止して前記大当り識別情報が2つ揃って表示されリーチ状態となったときに、該大当り識別情報が表示されてから最後に第3の回転部材の回転が停止するまで、前記第2の回転部材に対応する発光部材は、該第2の回転部材の前記大当り識別情報に対し前記第1の表示態様と同じ表示態様で照射し、未だ回転中の前記第3の回転部材に対応する発光部材は、該第3の回転部材に対し前記リーチ状態の前にいずれの回転部材に対して行なわれた表示態様とも異なる第2の表示態様で照射し、
前記3つの回転部材すべての回転が停止して前記大当り識別情報が3つ揃って表示されたときに、前記3つの回転部材の各々に対応する発光部材は、対応する回転部材各々の前記大当り識別情報を前記第2の表示態様で照射することにより、前記第1の回転部材の前記大当り識別情報および前記第2の回転部材の前記大当り識別情報に対する照射の表示態様がリーチ状態と大当り状態とで異なるようにすることを特徴とするものである。
【作用】
1つの回転部材を回転駆動制御・停止制御せしめる機構をモータ固定板に集約してユニット構成とし、そのユニット構成化したものを支持部材に対して3個並列状に支持固定したので、組付けの容易化を図ることができると共に、部品の故障に基づく交換もユニット単位で行うことができるため、交換作業の容易化をも達成することができる。また、回転部材の裏面に発光部材を設けたので、識別情報に光が照射されて識別情報の色調に変化を与えることによって、単なる色彩だけが施された識別情報に色調の変化を付与することができ、回転部材の可変表示に対して遊技者の興味を引き付けることができる。特に、3つの回転部材のうち第1の回転部材の次に第2の回転部材の回転が停止して大当り識別情報が2つ揃って表示されてリーチ状態となったときに、未だ回転中の第3の回転部材に対応する発光部材は、第3の回転部材に対する照射の表示態様がリーチ状態の前にいずれの回転部材に対して行なわれた表示態様とも異なる第2の表示態様で照射すると共に、さらに前記リーチ状態で既に回転が停止して大当り識別情報が表示された第1の回転部材および第2の回転部材に対する表示態様がリーチ状態と大当り状態とで異なるように照射することにより、リーチ状態である旨を強烈にアピールすることができる。更に、発光部材をモータ固定板に取り付けたので、回転部材と発光部材との相対的な位置関係が長期間に亘って正確に保持されるので、発光部材によって回転部材の回転動作が邪魔される不都合を確実に防止することができる。
【実施例】
以下、図面を参照して、この発明の実施例について説明する。
まず、第12図を参照して、実施例に係る可変表示装置30が適用される遊技機の一例としてのパチンコ遊技機1について説明する。第12図は、パチンコ遊技機1の正面図である。図において、パチンコ遊技機1の額縁状の前面枠2には、扉保持枠3が周設され、該扉保持枠3には、ガラス板4a,4b(第3図参照)を有するガラス扉枠4及び前面扉板5が一側を軸支されて開閉自在に取り付けられている。ガラス扉枠4の後方には、遊技盤10が着脱自在に設けられている。また、前面扉板5の表面には、排出された景品玉を貯留し、且つ打玉の発射位置に一個宛供給する打球供給皿6が固定されている。打球供給皿6の上流側の内部空間には、遊技に関連する効果音を発生するスピーカー7が内蔵されている。
前記前面枠2の下方部には、打球発射機構の一部を構成する操作ハンドル8や、前記打球供給皿6に貯留しきれなかった景品玉を貯留するための余剰玉受皿9が設けられている。
前記遊技盤10の表面には、発射された打玉を誘導するための打玉誘導レール11aと、該打玉誘導レール11aによって誘導された打玉が落下するための遊技領域12を区画する遊技領域形成レール11bがほぼ円状に植立されている。遊技領域12のほぼ中央には、この実施例の要部を構成する複数の回転ドラム46a?46cを有する可変表示装置30が設けられ、該可変表示装置30の下方に入賞領域15を有する可変入賞球装置13が設けられている。可変入賞球装置13は、第1図の拡大図を示すように、前記遊技盤10の表面に取り付けられる取付基板14を有し、その取付基板14に長方形状の前記入賞領域15が形成されている。入賞領域15は、遊技盤10の表面に対して下端を軸にして開放自在な開閉板16によって覆われていると共に、その内部が3つに区画され、中央に特定入賞領域17が、左右に通常の入賞領域18a,18bがそれぞれ設定されている。
しかして、可変入賞球装置13の開閉板16は、前記可変表示装置30の回転ドラム46a?46cの識別情報の組み合せが所定の表示態様となったときに、特定遊技状態(以下、大当り状態ともいう)となり、所定期間(例えば、20秒経過するまで、あるいは10個の入賞玉が発生するまで)開放するように設定され、その開放している間遊技領域12を落下する打玉を受止めるようになっている。そして、入賞領域15内に設けられた前記特定入賞領域17に入賞すると、再度上記した開放状態を繰り返し、特定入賞領域17に入賞玉が発生する毎に最高10回繰り返すことができるようになっている。なお、可変入賞球装置13には、前記特定入賞領域17に入賞する入賞玉を検出するための特定入賞玉検出器19と、1回の開放中における開閉板16によって受け止められたすべての入賞玉を検出して前記10個の入賞玉を計数するための入賞玉検出器20と、該入賞玉検出器20によって検出され且つ計数された数値を表示する入賞個数表示器21とが設けられている。また、本実施例において、大当り状態となる可変表示装置30の所定の表示態様としては、後に詳述する大当り図柄である「7」が第1図に示すように横3列と斜め2列の合計5つの当りラインA?E上のいずれかに揃って表示されたときである。
また、可変入賞球装置13の下方には、前記回転ドラム46a?46cの回転を許容するの始動入賞口22a?22cが設けられている。この始動入賞口22a?22cのうち真ん中に設けられる始動入賞口22aに打玉が入賞すると、それによって払出される景品玉数は、他の入賞領域に打玉が入賞した際に払出される景品玉数よりも少なくなるように設定されている。また、始動入賞口22a?22cには、始動入賞玉検出器23a?23cが一体的に設けられ、始動入賞口22a?22cに入賞した打玉を検出して図示しない制御回路に検出信号を送り、前記回転ドラム46a?46cの回転許容信号として扱われるようになっている。
更に、遊技領域12には、前記可変表示装置30の左右側方及び下部側方に通常の入賞口24a,24b、25a,25bが設けられている。また、可変表示装置30の上部にも通常入賞口32が設けられている。
なお、上記した各入賞領域のうち、前記始動入賞口22aだけは、前述したように他の入賞口、あるいは入賞領域よりも払出される景品玉数が少なく設定されているが、これは、以下の理由による。すなわち、始動入賞口22a?22cにより多くの打玉を入賞させることにより回転ドラム46a?46cの回転回数を多くして、大当り状態となる確率を高めるという期待と、すべての始動入賞口22a?22cへの入賞による景品玉数を少なく設定すると、入賞した割合に対して払出される景品玉数が少なくなるという不満と、を調和させるために設定されたものである。なお、この実施例では、始動入賞口22aに打玉が入賞した場合には、7個の景品玉が払出され、他の入賞領域に打玉が入賞した場合には、13個の景品玉が払出されるようになっている。もちろん、始動入賞口22aに入賞する確率に応じてこれらの払出される景品玉数の設定を変えることは差し支えない。
また、遊技領域12には、落下する打玉の流下速度や方向を変化せしめる複数の風車(上部左右に配置されるランプ付風車26a,26bを含む)や多数の障害釘(符号なし)が設けられるとともに、前記した大当り状態になったときに点灯又は点滅して遊技者にその旨を報知する遊技効果ランプ27a,27bが設けられている。この遊技効果ランプ27a,27bと同じ効果を奏するものとして前記前面枠2の上部に設けられる枠ランプ28a?28cや、前記風車のうち上部左右に配置されるランプ付風車26a,26bがある。なお、これらにランプ類は、大当り状態となったときだけでなく、前記回転ドラム46a?46c等が回転しているときにも異なる態様で点灯、あるいは点滅して遊技の雰囲気を盛り上げるようになっている。また、大当りの終了後一定時間点灯あるいは点滅させるようにして、大当りの余韻を遊技者に味あわせるようにしてもよい。
更に、遊技領域12の最下方には、上記したいずれの入賞領域にも入賞しなかった打玉が遊技盤10の後方に導かれるアウト口29が設けられている。また、遊技盤10の裏面には、上記した各種の入賞口や入賞球装置等に入賞した入賞玉を所定の径路に沿って流下させて次に説明する機構板(図示しない)に導く入賞玉集合カバー体86(第3図参照)が固着されている。
なお、パチンコ遊技機1の背面には、周知のように入賞した入賞玉に基づいて所定の景品玉を払出す各種の機構が設けられる機構板が配置されると共に、その機構板には、前記した可変表示装置30や可変入賞球装置13の動作を制御する制御回路が構成された遊技制御回路基板(図示しない)が設けられている。
次に、第1図ないし第8C図を参照して、この実施例の要部を構成する可変表示装置30の構成について説明する。
可変表示装置30は、前記遊技盤10の表面に取り付けられる取付基板31と、遊技盤10の裏面に取り付けられる駆動機構部分を収納する駆動部収納ボックス44とに分けられる。そこで、まず遊技盤10の表面に取り付けられる取付基板31の構成について主として第1図及び第2図を参照して説明する。なお、他の図面は、説明に必要な都度引用する。
取付基板31の上部には、通常入賞口32が形成され、その通常入賞口32の前面に上部装飾板33が取り付けられている。この上部装飾板33の前面には、可変入賞球装置13の開閉板16の継続回数を表示する継続回数表示器34が設けられる。なお、本実施例では、開閉板16が開成する回数の上限を10回までとしているため、継続回数表示器34で「1」?「0」の数字を表示するようにしているが、開閉板16が開成する回数の上限を10回以上とした場合、例えば、15回とした場合、1?10回目までは、「1」?「0」を点灯表示し、11?15回目までは、「1」?「5」を点滅して表示したり、または色を変えて表示するようにしてもよい。
また、継続回数表示器34の左右に前記始動入賞口22a?22cに入賞した入賞玉数を最高4個まで記憶した旨を報知する始動入賞記憶表示器35a?35cが設けられている。また、取付基板31の下方部分には、正方形状の開口36が開設され、該開口36に透明のレンズカバー37が円弧状に取り付けられている。このレンズカバー37は、回転ドラム46a?46cの表面に描かれた図柄(識別情報)が3つ分見えるような大きさに選ばれるとともに図柄がより大きく見えるようにレンズ状に形成されている。
更に、取付基板31には、後方に突出するように嵌合筒38a,38bが形成され、この嵌合筒38a,38bに後述する駆動部側の駆動部取付枠部材39の突出ピン41a,41bが嵌入され、取付基板31と駆動部収納ボックス44との相互の位置関係を正確に規定している。
一方、遊技盤10の裏面に取り付けられる駆動機構部分を収納する駆動部収納ボックス44の構成について説明すると、駆動部収納ボックス44の前方には、駆動部取付枠部材39が固定される。この駆動部取付枠部材39は、第3図に示すように駆動部収納ボックス44を前記入賞玉集合カバー体86に固定するためのものであり、そのための取付穴40a?40dが穿設されている。また、前方上部には、前記嵌合筒38a,38bに嵌入される突出ピン41a,41bが突設されている。更に、その中央には、回転ドラム46a?46cが臨む正方形状の開口部42が開設され、また、後端上下には、後述する回転ドラム機構45a?45cを構成するモータ固定板48a?48cの前方側上下を係止するためのモータ固定板係合溝43a?43fが形成されている。
駆動部収納ボックス44は、前方を開放した箱状に形成され、その前方上下には、前記駆動部取付枠部材39と固定するための取付穴71a?71dが穿設され、その内部に回転ドラム46a?46cが収容されるようになっている。回転ドラム46a?46cは、それぞれ個々に回転ドラム機構45a?45cとしてユニット化され、簡単に駆動部収納ボックス44に収納されるようになっている。すなわち、第6図に示すように回転ドラム機構45a(他の2つの回転ドラム機構45b,45cも全く同じ構成である)は、その外周表面に複数の識別情報としての図柄が描かれた回転ドラム46a?46cと、該回転ドラム46a?46cを回転せしめるステッピングモータ47a?47cと、該ステッピングモータ47a?47cを固定するためのモータ固定板48a?48cとから構成される。
回転ドラム46a?46cは、透光性のある部材(合成樹脂)で構成されると共に、回転ドラム46a?46cの外周面には、第5図に示すように図柄シール49a(回転ドラム46b,46cに対応する図柄シール49b,49cは、図示省略)が貼付される。この図柄シール49aに表示される識別情報としての図柄は、複数(例えば、16個)描かれているが、このうち大当りとなる図柄は、本実施例の場合1種類とされ、それぞれの回転ドラム46a?46cに少なくとも1個描かれている。具体的には、数字の「7」が大当りの識別情報であり、この「7」が当りラインA?E上のいずれかに並んだときに大当りとなる。
しかして、本実施例の場合、図柄「7」だけが光の透過率の高い透明図柄50(着色透明、無色透明を含む)として描かれ、他の図柄は、図柄シール49aの不透明下地51(具体的には、白色不透明)と同様に不透明図柄(この場合には、着色不透明)として描かれている。このため、後述する発光部材としてのLED65a?65c、66a?66c、67a?67cが駆動して点灯したときには、大当りとなる図柄が他の図柄よりもより鮮明に浮び上がり、遊技者に大当りである旨の認識をより明確に報知することができると共に、回転ドラム46a?46cの可変表示に対して遊技者の興味を引き付けることができる。また、他の不透明図柄においても、単に色彩を施した図柄であるが、これとても、発光部材としてのLED65a?65c、66a?66c、67a?67cが駆動して点灯したときには、光によって浮び上がる色彩が光が照射されていない状態に比較して、より鮮やかに遊技者に視認させることが可能であるため、回転ドラム46a?46cの可変表示に対して遊技者の興味を引き付けることができる。
なお、大当りとなる図柄以外の他の図柄も着色透明、あるいは無色透明の図柄として描いてもよい。更に、図柄シール49aの内側の一部には、光が照射されても、その光を反射しないような無反射帯52が形成されている。この無反射帯52は、後述するホトトランジスタ79a?79bが回転ドラム46a?46cの回転位置を検出するために設けられるもので、ホトトランジスタ79a?79cが無反射帯52を検出した後に、ステッピングモータ47a?47cへの駆動パルス数を計数することにより、任意の図柄(本実施例では、打玉の始動入賞口22a?22cへの入賞時に乱数テーブルから選択された数値に基づいて表示される図柄が決定される)で停止するように制御されるものである。なお、無反射帯52に代えて光を反射しない切欠部を形成しても良い。
モータ固定板48a?48cの前方側上下には、係合突片53a?53f(53a,53bは、モータ固定板48aに、53c,53dは、モータ固定板48bに、53e,53fは、モータ固定板48cにそれぞれ形成されている。以下、同様にa?fは、回転ドラム機構45a,45b,45cに形成されている)が突設され、この係合突片53a?53f(ただし、53d,53fは図示省略)の前端縁が前記モータ固定板係合溝43a?43fと係止されるようになっている。また、係合突片53a?53fの後端縁は、駆動部収納ボックス44の前方開口縁上下に形成されたモータ固定板係合溝72a?72f(ただし、72d,72fは図示省略)に係止されるようになっている。また、モータ固定板48a?48cの後端には、係合部54a?54fが突設されている。この係合部54a?54fのうち第8A図ないし第8C図に示すようにモータ固定板48aに突設される係合部54bと、モータ固定板48bに突設される係合部54dと、モータ固定板48cに突設される係合部54fとの形状が異なるように突設され、それぞれの形状に合致するように駆動部収納ボックス44の後面壁にモータ固定板係合溝73b,73d,73fが刻設されている。したがって、各モータ固定板48a?48cを駆動部収納ボックス44に挿入した際に、係合部54b,54d,54fとモータ固定板係合溝73b,73d,73fとが合致しなければ、所定の挿入位置と間違って回転ドラム機構45a?45cを挿入したことになる。つまり、回転ドラム機構45a?45cを所定の正確な位置に組み付けるように係合部54b,54d,54fとモータ固定板係合溝73b,73d,73fとが形成されている。なお、図示の実施例においては、それぞれのモータ固定板48a?48cの上部に突設された係合部54a,54c,54eは、同じ形状に形成され、これと対応するモータ固定板係合溝73a,73c,73eも同じ形状に形成されているが、これも異なる形状に形成しても良い。
第6図に戻って、モータ固定板48a?48cには、後述するLED65a?65c、66a?66c、67a?67cから伸びるLED配線58a?58c(ただし、58b,58cは図示省略)を処理固定するための配線固定部材56a?56c(ただし、56b,56cは図示省略)、及びステッピングモータ47a?47cから延びるモータ配線60a?60c(ただし、60b,60cは図示省略)を処理固定するための配線固定部材57a?57c(ただし、57b,57cは図示省略)をそれぞれ取り付ける配線設置切欠部55a?55f(ただし、55c?55fは図示省略)が後方上下に形成されている。この配線設置切欠部55a?55fに固着される配線固定部材56a?56c、57a?57cは、第7図に示すように、その後端のガイド部材56d(配線固定部材56b,56c、57a?57cに対応するガイド部材56e,56f、57d?57fは図示省略)がLED配線58aを回転ドラム46aと46bよりも外側まで案内しているので、回転ドラム46a?46cの回転動作が配線58a?58c、60a?60cによって邪魔されることがなく、スムーズな回転を長期間保証するように構成されている。
なお、LED配線58a?58c及びモータ配線60a?60cの末端には、コネクタ59a?59c、コネクタ61a?61cが取り付けられ、該コネクタ59a?59c、61a?61cがそれぞれ後述する中継端子基板81のLED接続コネクタ(図示しない)とモータ接続コネクタ83a?83cに接続されるようになっている。
また、モータ固定板48a?48cの前方には、LEDカバー63a?63c(ただし、63b,63cは図示省略)が固着されている。このLEDカバー63a?63cは、モータ固定板48a?48cのほぼ中央に固定されるステッピングモータ47a?47cのモータ軸62a?62cに回転ドラム46a?46cを固着したときに、その回転ドラム46a?46cの内側に位置するように配置されている。しかして、LEDカバー63a?63cは、その後面にLED基板64a?64cが固着され、第3図に示すようにそのLED基板64a?64cにそれぞれ縦方向に3つのLED65a?65c、66a?66c、67a?67cとが設けられている。そして、LEDカバー63a?63cには、それぞれのLED65a?65c、66a?66c、67a?67cを囲むような反射収容室68a?68c、69a?69c、70a?70cが構成されている。この反射収容室68a?68c、69a?69c、70a?70cは、第3図及び第4図に示すように、その先端が回転ドラム46a?46cの外周面の裏側近傍まで延設されると共に、前端開口面の大きさが1つの識別情報を照射し得る程の大きさとなっている。このため、LED65a?65c、66a?66c、67a?67cによって発せられた光を前方だけに通るように導くと共に、その導かれた光によって1つの識別情報としての図柄の裏面を照射して図柄を浮び上がらせるものである。
なお、本実施例においては、反射収容室68a?68c、69a?69c、70a?70cの内側面は、光を反射し易いような加工(例えば、メッキ処理や白色塗料の塗布)が施されている。なお、発光部材としてLEDに代えて、ランプ等でも良いが、好ましくは、実施例のように長寿命であり消費電力が少なく且つ発熱量の少ない発光体がよい。これは、回転ドラム46a?46cや図柄シール49a?49cが一般的に合成樹脂等の熱に弱い材料で構成され、しかも発光部材とこれらの部材とが近接した位置に配置されるので、回転ドラム46a?46c、図柄シール49a?49c等の熱による変形を長期間に亘って防止することができるからである。また、LED65a?65c、66a?66c、67a?67cは、容易に交換可能な構造としておくことが望ましい。これは、通常の使用において、LED65a?65c、66a?66c、67a?67cが点灯しなくなることはほとんど無いが、ショート等により点灯しなくなる可能性があるためである。
以上、説明したように回転ドラム機構45a?45cは、ユニット化して駆動部収納ボックス44に収納固定されるので、組み付け作業が簡単に行えるとともに、故障時の交換が極めて容易に行える。また、回転ドラム46a?46cとこれの内側に接するように配置されるLEDカバー63a?63cとがモータ固定板48a?48cの所定の位置に正確に取り付けられるので、長期間使用した場合であっても、これらの相対的な位置変動がなく、回転ドラム46a?46cのLEDカバー63a?63cに接触してその回転動作が邪魔される不都合を確実に防止することができる。
更に、駆動部収納ボックス44の後面側には、開口部74a?74dが開設され、駆動部収納ボックス44の後面に密着して取り付けられる駆動制御基板77の表面に設けられる抵抗、あるいはコンデンサ等の電気部品が開口部74a?74dから前方に突出できるようにしている。また、駆動部収納ボックス44の後面には、第4図に示すように通過穴75a?75cが穿設され、この通過穴75a?75cに駆動制御基板77に設けられるホトトランジスタ79a?79cが臨むようになっている。したがって、通過穴75a?75cは、回転ドラム機構45a?45cが駆動部収納ボックス44に固定されたときに前記回転ドラム46a?46cの一側外周縁に形成された無反射帯52a?52cが回転してくる位置に対応するように穿設されている。そして、ホトトランジスタ79a?79cが無反射帯52a?52cを検出したときにONとなるように設定され、無反射帯52a?52c以外の位置のときにはOFFとなるように設定されている。
ホトトランジスタ79a?79cが設けられる駆動制御基板77の下方には、駆動制御基板接続コネクタ80が設けられ、このコネクタ80と次に述べる中継端子基板81の駆動制御基板接続コネクタ82a,82bとが配線で接続され、駆動制御基板77に電源が供給されている。なお、駆動制御基板77は、その一側上下に形成された係合穴部78a,78bを駆動部収納ボックス44の後面側に突設された取付ボス76a?76dの一部の取付ボス76a,76dに貫通して支持し、他側をビスで締着することにより駆動部収納ボックス44の後面に密着固定されている。
また、前記取付ボス76a?76dには、中継端子基板81が固定されている。この中継端子基板81は、可変表示装置30全体に設けられる電気的部品からの配線を中継するもので、前記した駆動制御基板接続コネクタ82a,82bやモータ接続コネクタ83a?83cやLED接続コネクタ(図示しない)が設けられるとともに、第3図に示すように外部の電源と接続する中継端子基板接続コネクタ84が設けられ、該中継端子基板接続コネクタ84に外部配線の電源接続コネクタ85が接続されている。
以上、実施例に係る可変表示装置30の構成について説明してきたが、この可変表示装置30の作用について第9図ないし第11図を参照して説明する。まず、第9図においては、中央の当りラインAに大当りの識別情報である「7」が表示される場合を例示するもので、(a)に示すように、左の回転ドラム46aの可変表示が停止したときに「7」が表示されると、それに対応するLED65aが点滅する。このとき、残りの回転ドラム46b,46cは、未だ可変表示中であり、それに対応するLED65b,65cも消灯したままである。
この状態で次の(b)に示すように、右側の回転ドラム46cの可変表示が停止したときに「7」が表示されると、それに対応するLED65cが点滅する。このとき、残りの中央の回転ドラム46bは、未だ可変表示中であり、それに対応するLED65bも消灯したままである。また、左右の回転ドラム46a,46cが共に「7」を表示したとき(これをリーチ状態という)には、中央の回転ドラム46bの回転速度が遅く且つ長い時間回転する。
更に、この状態で次の(c)に示すように、中央の回転ドラム46bの可変表示が停止したときに「7」が表示されると、所謂大当り状態であるため、中央の回転ドラム46bに対応するLED65bだけでなく、それまで点滅動作していた左右のLED65a,65cもすべて点灯動作して大当り図柄「7」を裏面から照射して浮び上がらせる。これによって、大当り図柄を鮮明に浮び上がらせて大当り状態となった旨を遊技者に明確に報知することができるばかりでなく、可変表示中においても発光部材としてのLED65a,65cが点滅しながら停止した状態の大当り図柄を浮び上がらせるので、識別情報に対して従来にはない色調変化を付与することができる。
一方、(c)において、大当り図柄が表示されなかったときには、すべてのLED65a?65cが消灯するように制御される。また、第9図では、中央の当りラインAについてだけ述べたが、他の当りラインB?Eについても同様に制御すればよい。なお、(a)(b)と(c)の状態では、発光部材としてのLED65a?65cの作用を変化させてもよい。例えば、(a)(b)の状態よりも(c)の状態のときの方が輝度が上昇するようにLED65a?65c表示制御したり、あるいは、(a)(b)の状態と(c)の状態とでは、発光色が異なるように表示制御しても良い。
次に、第10図について説明すると、これは、第9図に例示するものの変形例であり、まず、(a)に示すように、左の回転ドラム46aの可変表示が停止したときに「7」が表示されると、それに対応するLED65aが点灯する。このとき、残りの回転ドラム46b,46cは、未だ可変表示中であり、それに対応するLED65b,65cも消灯したままである。
この状態で次の(b)に示すように、右側の回転ドラム46cの可変表示が停止したときに「7」が表示されると、それに対応するLED65cが点灯する。このとき、残りの中央の回転ドラム46bは、未だ可変表示中であり、それに対応するLED65bは、リーチ状態である旨をより強烈にアピールするために点滅動作される。
更に、この状態で次の(c)に示すように、中央の回転ドラム46bの可変表示が停止したときに「7」が表示されると、所謂大当り状態であるため、中央の回転ドラム46bに対応するLED65bだけでなく、それまで点灯動作していた左右のLED65a,65cもすべて点滅動作に移行して大当り図柄「7」を裏面から照射して浮び上がらせる。これによって、大当り図柄を鮮明に浮び上がらせて大当り状態となった旨を遊技者に明確に報知することができるばかりでなく、可変表示中においても発光部材としてのLED65a,65cが点灯しながら停止した状態の大当り図柄を浮び上がらせるので、識別情報に対して従来にはない色調変化を付与することができる。
一方、(c)において、大当り図柄が表示されなかったときには、すべてのLED65a?65cが消灯するように制御される。また、第10図においても中央の当りラインAについてだけ述べたが、他の当りラインB?Eについても同様に制御すればよい。
上記した第9図及び第10図においては、1つの当りライン上に大当りの図柄が表示される実施例について説明したが、第11図に示すように、複数(例えば、2つ)の当りライン上に大当り図柄が表示される可能性がある場合には、例えば、以下のように制御すればよい。ただし、第11図において、「7」に加えて「3」も大当り図柄と設定されている。しかして、左右の回転ドラム46a,46cの可変表示が停止したときに、斜めの当りラインD及びE上に大当り図柄「7」及び「3」が表示された場合には、当りラインD上の左右の識別情報に対応するLED66a,67cを点灯させ、当りラインE上の左右の識別情報に対応するLED67a,66cを点滅させる。このとき当りラインD及びEにおいては、リーチ状態であるため、中央の識別情報に対応するLED65bをより遅い点滅状態で表示する。
そして、中央の識別情報が「7」と表示された場合には、当りラインD上で大当り図柄が揃ったことになるので、当りラインD上に対応するLED66a,65b,67cを点灯させ、一方、中央の識別情報が「3」と表示された場合には、当りラインE上で大当り図柄が揃ったことになるので、当りラインE上に対応するLED67a,65b,66cを点滅させる。このように表示制御することにより、前記したと同様に、大当り図柄を鮮明に浮び上がらせて大当り状態となった旨を遊技者に明確に報知することができるばかりでなく、可変表示中においても発光部材としてのLEDが点灯あるいは点滅しながら停止した状態の大当り図柄を浮び上がらせるので、識別情報に対して従来にはない色調変化を付与することができる。
なお、第11図に示す場合においても上記したように表示制御させる必要はなく、例えば、リーチ状態において当りラインDのLED66a,65b,67cと当りラインE上のLED67a,65b,66cとを順番に点灯移動させるように表示させてもよい。
上記した可変表示装置30の作用においては、大当り図柄となったときにそれに対応するLEDを駆動表示するものを示したが、大当り図柄が表示されないときでもLEDを駆動表示させてもよい。例えば、通常時及び可変表示中は、視認し得る識別情報に対するすべてのLED65a?65c、66a?66c、67a?67cを点灯表示させ、大当りとなった場合には、当りライン上のLEDだけを点滅、あるいは点灯移動させるようにし、他の識別情報に対するLEDを点灯状態に保持したままで良い。また、左右の回転ドラム46a,46cが停止した結果、リーチ状態となった場合に、中央の回転ドラム46bに対応する縦方向の3つのLED66b,65b,67bを上から下へ点灯移動させるように表示駆動しても良い。
以上、実施例に係る可変表示装置30の構成及び作用について説明してきたが、この実施例によれば、回転部材としての回転ドラム46a?46cの裏面に発光部材としてのLED65a?65c、66a?66c、67a?67cを設けたので、識別情報に光が照射されて識別情報の色調に変化を与えることができる。これによって、単なる色彩だけが施された識別情報に色調の変化を付与することができ、回転ドラム46a?46cの可変表示に対して遊技者の興味を引き付けることができる。
なお、上記した実施例では、可変表示装置30が適用される遊技機として弾球遊技機の一種であるパチンコ遊技機を例示したが、他の弾球遊技機、例えば、アレンジ式遊技機、カード式遊技機等であってもよく、また、回動式遊技機であってもよい。
【発明の効果】
以上、説明したところから明らかなように、この発明に係る可変表示装置は、1つの回転部材を回転駆動制御・停止制御せしめる機構をモータ固定板に集約してユニット構成とし、そのユニット構成化したものを支持部材に対して3個並列状に支持固定したので、組付けの容易化を図ることができると共に、部品の故障に基づく交換もユニット単位で行うことができるため、交換作業の容易化をも達成することができる。また、回転部材の裏面に発光部材を設けたので、識別情報に光が照射されて識別情報の色調に変化を与えることによって、単なる色彩だけが施された識別情報に色調の変化を付与することができ、回転部材の可変表示に対して遊技者の興味を引き付けることができる。特に、3つの回転部材のうち第1の回転部材の次に第2の回転部材の回転が停止して大当り識別情報が2つ揃って表示されてリーチ状態となったときに、未だ回転中の第3の回転部材に対応する発光部材は、第3の回転部材に対する照射の表示態様がリーチ状態の前にいずれの回転部材に対して行なわれた表示態様とも異なる第2の表示態様で照射すると共に、さらに前記リーチ状態で既に回転が停止して大当り識別情報が表示された第1の回転部材および第2の回転部材に対する表示態様がリーチ状態と大当り状態とで異なるように照射することにより、リーチ状態である旨を強烈にアピールすることができる。更に、発光部材をモータ固定板に取り付けたので、回転部材と発光部材との相対的な位置関係が長期間に亘って正確に保持されるので、発光部材によって回転部材の回転動作が邪魔される不都合を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例に係る可変表示装置が設けられる遊技盤の遊技領域の正面拡大図、第2図は、可変表示装置の分解斜視図、第3図は、可変表示装置の縦断面図、第4図は、可変表示装置の横断面図、第5図は、識別情報が形成される図柄シールの部分正面図、第6図は、可変表示装置を構成する回転ドラム機構を示す分解斜視図、第7図は、回転ドラム機構から延びる配線の処理構造を示す部分断面図、第8A図ないし第8B図は、回転ドラム機構が正確に組み付けられるための構造を示す側方断面図、第9図ないし第11図は、回転表示装置の作用を説明する説明図、第12図は、可変表示装置が適用される遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の正面図である。
30・・可変表示装置
44・・駆動部収納ボックス(支持部材)
43a?43f・・モータ固定板係合溝(被係合部)
45a?45c・・回転ドラム機構(回転部材ユニット機構)
46a?46c・・回転ドラム(回転部材)
47a?47c・・ステッピングモータ(モータ)
48a?48c・・モータ固定板
53a?53f・・係合突片(係合部)
54a?54f・・係合部
65a?65c、66a?66c、67a?67c・・LED(発光部材)
72a?72f・・モータ固定板係合溝(被係合部)
73a?73f・・モータ固定板係合溝(被係合部)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2010-08-09 
出願番号 特願平2-144670
審決分類 P 1 113・ 854- YA (A63F)
P 1 113・ 121- YA (A63F)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 一宮 誠
吉村 尚
登録日 1998-11-06 
登録番号 特許第2849446号(P2849446)
発明の名称 可変表示装置  
代理人 池垣 彰彦  
代理人 塚本 豊  
代理人 中田 雅彦  
代理人 森田 俊雄  
代理人 深見 久郎  
代理人 深見 久郎  
代理人 川下 清  
代理人 森田 俊雄  
代理人 塚本 豊  
代理人 梁瀬 右司  
代理人 中田 雅彦  
代理人 振角 正一  
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