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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B60R
管理番号 1225404
審判番号 不服2008-26365  
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-10-14 
確定日 2010-10-15 
事件の表示 特願2006-500132号「衝突検出装置」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 9月15日国際公開、WO2005/085010、平成18年 9月28日国内公表、特表2006-521947号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯、本願発明
本願は、平成16年12月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2004年2月26日、(DE)ドイツ連邦共和国)を国際出願日とする出願であって、平成20年7月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成20年10月14日付けで拒絶査定不服審判が請求がされたものであり、その後当審において、平成21年12月21日付けで拒絶の理由1及び2を通知したところ、平成22年4月23日付け手続補正書により手続補正がされたものである。
そして、本願の各請求項に係る発明は、平成22年4月23日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1?2に記載された事項により特定されるものと認められるところ、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】 バンパー(10,11,12)に配置されている第1の加速度センサシステム(14;20,21)を有する衝突検出装置において、
前記第1の加速度センサシステム(14;20,21)は2つの加速度センサ(20,21)を有しており、該2つの加速度センサはバンパジャケット(10)の後ろに、当該バンパジャケット(10)に直接的に固定接続されて配置されており、バンパジャケット(10)の左側と右側に配置されており、
前記バンパー(10,11,12)に更に少なくとも1つの別のセンサシステム(13)が配置されており、該センサシステムは車両垂直方向における加速度を捕捉検出するように構成されており、
前記衝突検出装置は人員保護手段をドライブするための中央制御装置(24)に接続されており、
前記中央制御装置(24)においてデータ評価部(25)が、前記第1の加速度センサシステムの前記2つの加速度センサ(20,21)からの信号および前記さらなるセンサシステム(13)からの信号を評価しかつ該データ評価部(25)に後置接続されている機能部(26)において歩行者と悪路とが区別されかつ歩行者が識別されると、前記人員保護手段がドライブされる
ことを特徴とする装置。」

2.引用刊行物及びその記載事項
(1)当審の拒絶の理由2に引用され、本願の優先日前に頒布された特開2002-36994号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。

・「【0015】 図2は本発明に係る車両用二次衝突対策装置のシステム図であり、車両11の前半部を左側から見たものである。車両用二次衝突対策装置10は、障害物S1に車両11が衝突したときにフード13を上昇させることで二次衝突対策を講じる装置であり、左右のフード保持機構20(この図では左のみ示す。以下同じ。)と、閉じたフード13の後部を持上げるときに使用する左右のアクチュエータ30とからなる。さらに、車両用二次衝突対策装置10は車両用障害物推定装置40を備える。・・・」(段落【0015】)

・「【0017】 図3は本発明に係る車両前部の側面断面図であり、車両11の前部にフロントバンパ41を設け、このフロントバンパ41の前部を覆うバンパフェイス42の内面に、バンパセンサ43を取付けたことを示す。バンパセンサ43は加速度センサである。
【0018】 なお、バンパセンサ43は、上記図1に示すように車幅方向に複数個(例えば3個)を配列してもよい。バンパセンサ43を複数個設けた場合には、これらバンパセンサ43の検出信号に基づき制御部44が制御作用をすることになる。例えば、制御部44で複数の検出信号の平均値を算出し、その平均値に基づきアクチュエータ30を制御したり、複数の検出信号のうち最も大きい信号に基づきアクチュエータ30を制御する。
【0019】 図4は本発明に係るバンパフェイス及びバンパセンサの構成図兼作用図である。・・・このときにバンパフェイス42における変形する部分の加速度を、バンパフェイス42に取付けられたバンパセンサ43で検出することができる。そして、バンパセンサ43で検出した変形加速度を積分することにより、バンパフェイス42の変形速度を知ることができる。
【0020】 車両用障害物推定装置40は、障害物S1に車両11が衝突したときにその障害物S1の種類を推定して、車両用二次衝突対策装置10に推定信号siを発するものである。具体的には、車両用障害物推定装置40は、変形可能部材としてのバンパフェイス42と、バンパセンサ43と、バンパセンサ43の信号に基づいて車両用二次衝突対策装置10のアクチュエータ30に推定信号siを発する制御部44とからなる。制御部44は、例えばマイクロコンピュータである。」(段落【0017】?【0020】)

・「【0040】以上の説明から明らかなように、車両用障害物推定装置40によれば、(1)障害物S1に車両11が当ったときのバンパフェイス42の変形速度V_(B)を検出し、・・・衝突した障害物S1が特定の障害物(例えば歩行者)であると推定することができる。」(段落【0040】)

・「【0052】 図15は本発明に係る車両用二次衝突対策装置(変形例)のシステム図である。変形例の車両用二次衝突対策装置60は、障害物S1に車両11が衝突したときにフード13の近傍に備えたエアバッグ62を作動させることで二次衝突対策を講じるものである。衝突した障害物S1が特定の障害物であると車両用障害物推定装置40が推定して、制御部44からエアバッグモジュール61へ推定信号siを発することで、エアバッグ62を膨張させることができる。そして、エアバッグ62を膨張させて二次衝突対策を講じることにより、エンジンルーム12に収納された機器17(図14参照)や障害物S1への衝撃力をエアバッグ62にて十分に吸収させることができる。」(段落【0052】)

・「【0057】 請求項2は、推定信号発生手段から、車両のフードを上昇させる若しくはフード近傍のエアバッグを作動させるなどの二次衝突対策を講じるための車両用二次衝突対策装置に、推定信号を発するように構成したので、より適格に且つ速やかに二次衝突対策を講じることができる。」(段落【0057】)

・図1には車両用二次衝突対策装置が記載されており、バンパセンサ43は、バンパフェイス42の左側、右側及び中央に配列されているといえる。

・図2及び図15には同装置のシステム図が、図3には車両前部の側面断面図が、図4にはバンパフェイス及びバンパセンサの構成兼作用図がそれぞれ記載されている。

これらの記載事項及び図1?4、15の記載を参照すると、引用文献1には、
「フロントバンパ41の前部を覆うバンパーフェイス42に配置されている加速度センサであるバンパセンサ43を有する車両用障害物推定装置において、
前記バンパセンサ43は車両幅方向に複数個(3個)配列されており、該複数個のバンパセンサはバンパーフェイス42の内面に取付けられており、バンパフェイスの左側、右側及び中央に配置されており、
前記車両用障害物推定装置40は車両のフードを上昇させる若しくはフード近傍のエアバッグ62を作動させるための制御部44を備えており、
前記車両用障害物推定装置の制御部において、
衝突した障害物が歩行者であると推定されると、車両のフードを上昇させる若しくはフード近傍に備えたエアバッグ62を作動される装置」に関する発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(2)同じく、当審の拒絶の理由2に引用され、本願の優先日前に頒布された特開平11-124004号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。

・「【0003】 この乗員保護装置では、加わった車両前後方向の加速度が所定値を超えた時に、信号を出力する主加速度センサ(以下前後方向加速度センサと呼ぶ)を有し、前後方向加速度センサの信号が出力されると、エアバッグの点火信号を出力するエアバッグ起動装置において、上下方向に加わった加速度を検出する副加速度センサ(以下上下方向加速度センサと呼ぶ)を備え、上下方向加速度センサの出力信号の大きさに応じて、前後方向加速度センサの作動設定値(スレッショルド)が複数の異なる値に制御されるようになっている。この結果、前後方向加速度センサの感度を制御でき、悪路走行や脱輪による衝撃では、エアバッグ起動装置が作動し難くなる。つまり、上下方向加速度センサの出力信号が大きい程、前後方向加速度センサのスレッショルドを高くし、悪路での誤作動を防止している。」(段落【0003】)

・「【0015】 図3に示される如く、本実施形態では、車両10の前端部、例えば、フロントバンパ12の車幅方向両端部近傍に障害物検知手段としての左右一対のレーダセンサ14、16が配設されている。これらのレーダセンサ14、16は、例えば、電波式センサで構成されており、樹脂バンパカバーの車幅方向両端部近傍の内側に検知方向を車両前方に向けて配設されている。・・・また、左右一対のレーダセンサ14、16の車両後側には、上下方向の加速度を検出する上下方向加速度検知手段としての上下方向加速度センサ20、22がそれぞれ配設されており、これらの上下方向加速度センサ20、22も制御装置18に接続されている。」(段落【0015】)

・図3及び図7には、乗員保護装置が適用された車両を示す概略平面図が記載されている。

(3)同じく、当審の拒絶の理由2に引用され、本願の優先日前に頒布された特開平6-263000号公報(以下「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。

・「【0011】 【作用】このような特徴を有する本願の請求項1の発明によれば、前後Gセンサは車両の進行方向の振動衝撃を検出し、上下Gセンサは車両の床面と直角方向の振動衝撃を検出する。次にローパスフィルタは上下Gセンサの衝撃信号を入力して高域成分を遮断し、利得制御回路に与える。そして前後Gセンサの出力する衝撃信号と利得制御回路の出力との差が基準レベル以上のとき、衝突判定器は衝突信号を起爆剤に与える。こうするとラフロード走行時の振動衝撃と衝突時の衝撃が区別され、エアバッグ駆動装置の誤動作がなくなる。」(段落【0011】)

・「【0023】 【発明の効果】以上詳細に説明したように本願の請求項1の発明によれば、車両に前後Gセンサと上下Gセンサを設けることにより、衝突時に発生する衝撃と、悪路の走行時に生じる衝撃とを識別することができる。このため起爆剤及びエアバッグを不用意に動作させず、運転者は悪路の運転を安心して行うことができる。」(段落【0023】)

・図1及び図4には、エアバッグ駆動装置の構成例を示すブロック図が記載されている。

(4)同じく、当審の拒絶の理由2に引用され、本願の優先日前に頒布された特開平5-113479号公報(以下「引用文献4」という。)には、以下の事項が記載されている。

・「【0018】 【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
(実施例1)図3は、超音波検知器のセンサー部12を自動車のバンパー11に取り付けた状態を示し、センサー部12内には自動車の上下方向の振動を検出する加速度センサー10が設けてある。」(段落【0018】)

・図3には、上下方向の振動を検出する加速度センサーが設けてあるセンサー部をバンパーに取り付けた状態を示す図が記載されている。

3.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「加速度センサであるバンパセンサ43」は、本願発明の「第1の加速度センサシステム」の「加速度センサ」に相当する。
また、引用発明の「車両用障害物推定装置」は本願発明の「衝突検知装置」に相当し、
以下、同様に「フロントバンパー41の前部を覆うバンパーフェイス42」は「バンパージャケット」でありかつ「バンパー」に、
「制御部44」は「中央制御装置」に、
「車両のフードを上昇させる若しくはフード近傍のエアバッグ62を作動させるフード近傍のエアバッグ62」は「人員保護手段」に、それぞれ相当する。
また、引用発明のバンパセンサは「バンパーフェイス42の内面に取付けられて」おり、また、図3の記載を参酌すれば、「バンパジャケットの後ろに、当該バンパジャケットに直接的に固定接続されて配置されて」いるといえる。
また、引用発明では「車両用障害物推定装置40は車両のフードを上昇させる若しくはフード近傍のエアバッグ62を作動させるための制御部44を備えて」いるから、「衝突検知装置は人員保護手段をドライブするための中央制御装置に接続されて」いるといえる。

以上のことから、本願発明と引用発明とは次の点で一致する。
「バンパーに配置されている第1の加速度センサシステムを有する衝突検知装置において、
前記第1の加速度センサシステムは加速度センサを有しており、該加速度センサはバンパジャケットの後ろに、当該バンパジャケットに直接的に固定は位置されており、バンパの左側と右側に配置されており、
前記衝突検知装置は人員保護手段をドライブするための中央制御装置に接続されており、
中央制御装置において、歩行者が識別されると、前記人員保護手段がドライブされる、装置。」

一方で、両者は次の点で相違する。
<相違点1>
加速度センサの数と配置場所に関して、本願発明では「2つ」のセンサが「左側と右側」に配置されているのに対して、引用発明では「3つ」のセンサが「左側、右側及び中央」に配置されている点。

<相違点2>
歩行者との衝突と悪路とを区別するために、本願発明では、「バンパー(10,11,12)に更に少なくとも1つの別のセンサシステム(13)が配置されており、該センサシステムは車両垂直方向における加速度を捕捉検出するように構成されており」、「中央制御装置(24)においてデータ評価部(25)が、前記第1の加速度センサシステムの前記2つの加速度センサ(20,21)からの信号および前記さらなるセンサシステム(13)からの信号を評価しかつ該データ評価部(25)に後置接続されている機能部(26)において歩行者と悪路とが区別されかつ歩行者が識別」されるのに対して、引用発明では歩行者との衝突と悪路とを区別するための上記構成を備えていない点。

4.判断
<相違点1>について
センサの数を増やせば精度が上がるものの、コストが上昇することは当業者であれば自明である。また、車幅方向にセンサを複数個設ける場合には、バランスを考慮して左右対称とし、例えば3個ならば左右と中央に、2個ならば左右に配置することは、当業者であれば当然行う程度の事項にすぎない。
したがって、引用発明において、加速度センサ(バンパセンサ43)の数を「2つ」とし、配置場所を「左側と右側」とすることにより、本願発明の上記相違点1に係る事項とすることは、当業者が容易になし得たものである。

<相違点2>について
本願発明及び引用発明では、バンパに取り付けた加速度センサを用いて衝突を検知しているところ、このような加速度センサを用いて衝突を検知するものにおいて、更に上下方向の加速度を検出(本願の「別のセンサシステム(13)」に相当。)して、衝突と悪路とを判別することは、引用文献2及び引用文献3に記載されているように周知の技術課題である。
引用文献2(段落【0003】を参照。)では、上下方向加速度センサ(本願発明の「別のセンサシステム(13)」に相当。)の出力信号の大きさに応じて、前後方向加速度センサ(本願発明の「第1の加速度センサシステム」に相当。)の作動設定値を複数の異なる値に制御(本願発明の「データ評価部」及び「機能部」の役割に相当。)することで悪路での誤作動を防止する点が記載されている。
引用文献3(段落【0011】、【0023】及び図1を参照。)では、前後Gセンサ10(本願発明の「第1の加速度センサシステム」に相当。)からの信号及び上下方向Gセンサ(本願発明の「別のセンサシステム(13)」に相当。)からの信号を、減算器13及び比較器16を備えた衝突判定器12(本願発明の「データ評価部」及び「機能部」の役割に相当。)において衝突時に発生する衝撃と悪路の走行時に生じる衝撃とを識別している。

また、上下方向の加速度を検出するセンサ(本願発明の「別のセンサシステム(13)」に相当。)をバンパ付近に設けることは、引用文献2及び引用文献4に記載されている。
引用文献2(段落【0015】及び図3を参照。)では、フロントバンパ12(本願発明の「バンパー」に相当。)の車幅方向両端部近傍にレーダセンサが配設され、該レーダセンサの車両後ろ側に上下方向加速度センサ(本願発明の「別のセンサシステム(13)」に相当。)を設けている。
引用文献4(段落【0018】及び図4を参照。)では、バンパー11(本願発明の「バンパー」に相当。)に取り付けた超音波センサー部12内に上下方向の振動を検出する加速度センサー10(本願発明の「別のセンサシステム(13)」に相当。)を設けている。

以上のことから、引用発明において、周知の技術課題解決のために、衝突と悪路を区別するための周知の解決手段である上記引用文献2及び3に記載された事項を適用し、その際に上下方向の加速度センサ(「別のセンサシステム」)の配置場所として引用文献2及び4を参酌することにより、本願発明の上記相違点2に係る事項とすることは、当業者が容易になし得たものである。

そして、上記相違点1?2を併せ備える本願発明の作用・効果について検討してみても、引用発明及び引用文献2?4に記載された事項から当業者が予測し得る範囲のものであって、格別顕著なものとはいえない。
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2?4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2?4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明については検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-05-18 
結審通知日 2010-05-19 
審決日 2010-06-01 
出願番号 特願2006-500132(P2006-500132)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B60R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岸 智章金丸 治之  
特許庁審判長 丸山 英行
特許庁審判官 横溝 顕範
小関 峰夫
発明の名称 衝突検出装置  
代理人 矢野 敏雄  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 二宮 浩康  
代理人 杉本 博司  
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