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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N
管理番号 1226448
審判番号 不服2008-29836  
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-11-25 
確定日 2010-11-24 
事件の表示 特願2004-113030「放送受信機」拒絶査定不服審判事件〔平成17年10月27日出願公開、特開2005-303438、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.本願および本願発明
本願は、平成16年4月7日の出願であって、その特許請求の範囲に係る発明は、平成20年2月1日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1,請求項2に係る各発明であって、当該請求項1,請求項2の次の記載事項により特定されるものである。
「 【請求項1】
各々にM桁(M:2以上の整数)のチャネル番号が割り当てられた複数チャネルを通してそれぞれ放送される複数の放送番組のいずれか1つを受信する放送受信機において、
任意の数字キーの押圧により当該数字キーに対応する数字の入力を受け付ける受付手段、
前記受付手段によって受け付けたN個(N:1以上でM未満の整数)の数字を受け付け順に上位桁として並べて得られる数字の列に基づいてチャネル番号を特定する特定手段、
前記特定手段によって特定された少なくとも1つのチャネル番号に対応する番組情報を出力する出力手段、および
前記数字キーの押圧が所定時間にわたって継続したかを判別する判別手段を備え、
前記受付手段は、前記判別手段の判別結果が肯定的であるとき数字の入力の受け付けを開始するとともに当該判別手段によって肯定的であると判別されたときに押圧されている前記数字キーに対応する数字を最初の数字として受け付けることを特徴とする、放送受信機。
【請求項2】
請求項1に記載の放送受信機を備える、携帯通信端末。」

2.査定の理由
査定の理由は、概略、以下のとおりである。
〈査定の理由〉
本願の請求項1,請求項2に係る各発明は、下記の刊行物1?3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。


刊行物1:特開2001-16516号公報
刊行物2:特開2000-165771号公報
刊行物3:特開平4-227379号公報

3.対比、判断
(1)本願発明の要件
本願の請求項1,請求項2(請求項1を引用する従属項)に係る各発明(以下、これらをまとめて「本願発明」ともいう)の放送受信機は、前記請求項1,請求項2の記載事項によると、
「前記数字キーの押圧が所定時間にわたって継続したかを判別する判別手段を備え、
前記受付手段は、前記判別手段の判別結果が肯定的であるとき数字の入力の受け付けを開始するとともに当該判別手段によって肯定的であると判別されたときに押圧されている前記数字キーに対応する数字を最初の数字として受け付ける」点を要件とするものである。

(2)刊行物との対比
a.刊行物1,2との対比
本願発明と前記査定で引用する刊行物1,2の各記載とを対比してみると、刊行物1,2には、それぞれ「放送受信機の選局装置」,「テレビジョン受像機」が記載され、これらは、いずれも本願発明での上記要件の前提となる構成(請求項1記載の数字入力の受付手段、チャンネル番号の特定手段、番組情報の出力手段)と同様の構成を有していると認められるものの、本願発明の上記要件を有するものではなく、同要件については刊行物1,2のいずれにも開示や示唆はない。

b.刊行物3との対比
また、本願発明と前記査定で引用する刊行物3の記載とを対比してみると、刊行物3の記載は、テレビジョン受像機における「チャンネル番号データ入力装置」に関するものであって、同記載中には、本願発明の上記要件との関連では、
「【0016】本発明は、数字キーボードを使用するテレビジョン受像機のためのチャンネル番号データ入力システムに関するものであり、このシステムにより個別のENTERキーあるいは100sキーを使用せずに、99よりも大きなチャンネル番号を有するケーブルテレビジョン・チャンネルが選局できる。詳しく言うと、所望チャンネルの番号の最初の数字が1であれば、数字1のキーが作動している時間期間が計測される。計測された時間期間が2秒を超えると、3桁のチャンネル入力モードが作動可能状態になる。計測された時間期間が2秒を超えなければ、2桁のチャンネル入力モードが作動可能状態になる。両方のモードにおいて、所望のチャンネルはそのチャンネル番号の最後の数字を受信すると直ちに同調する。」
「【0017】本発明の実施例を図3の流れ図を参照して説明する。図3はマイクロプロセッサ110の制御プログラムのキーボード復号化ルーチンの1部分を示す。」
「【0018】図3のルーチンはキー符号が受信される度に実行される。このルーチンはステップ300から入り、ステップ310においてIR受信機119または局部キーボード118から1つの数字を受信する。ステップ315で、この数字が或るチャンネル番号に関連して入力された最初の数字であるかどうか検査される。もしそうであれば、プログラムはステップ320に進む。ステップ320で、受信されたこの最初の数字が1であるかどうか検査される。99よりも大きなチャンネル番号はすべて数字1で始まる。従って受信された最初の数字が1でなければ、所望のチャンネルの番号は2桁の数字に相違ないので、NO経路をとり、ステップ320からステップ325に進む。
【0019】しかしながら、もし受信された最初の数字が1であれば、YES経路をとりステップ320からステップ330に進む。ステップ330において、メッセージ1-が表示画面に表示される。すなわち、受信された最初の数字が1であれば、所望チャンネルの番号は第1の範囲10-19、または第2の範囲100-199に入ることになる。
【0020】本発明によれば、これら2つの範囲(すなわち10-19と100-199)は、最初の数字に関連して数字1のキーが差動化されている時間の長さにより識別することができる。すなわち、もし数字1のキーが少なくとも2秒間作動されていれば、3桁のチャンネル番号入力モードが作動化される。もしそうでなければ、2桁のチャンネル番号入力モードが作動化される。」
との記載があり、同記載では、その【0016】の記載から明らかなように、テレビジョン受像機において選局のためのチャンネル番号が入力される際、数字1のキーが作動している時間期間を計測し、計測した時間期間が2秒を超えるか否かを判別するとしており、この点は、本願発明の上記要件において、判別手段により「数字キーの押圧が所定時間にわたって継続したかを判別する」ようにしている点と類似する。
しかしながら、本願発明の上記要件は、「前記判別手段の判別結果が肯定的であるとき数字の入力の受け付けを開始するとともに当該判別手段によって肯定的であると判別されたときに押圧されている前記数字キーに対応する数字を最初の数字として受け付ける」もの、つまり“数字キーの押圧が所定時間にわたって継続されたと判別されたとき、数字の入力の受け付けを開始し、そのとき押圧されている数字キーに対応する数字を最初の数字として受け付ける”ものであるところ、この点については、上記刊行物3の記載は、当該記載中の
「所望チャンネルの番号の最初の数字が1であれば、数字1のキーが作動している時間期間が計測される。」(【0016】)、
「局部キーボード118から1つの数字を受信する。」、「この数字が或るチャンネル番号に関連して入力された最初の数字であるかどうか検査される。もしそうであれば、」、「受信されたこの最初の数字が1であるかどうか検査される。」(【0018】)、
「もし数字1のキーが少なくとも2秒間作動されていれば、3桁のチャンネル番号入力モードが作動化される。もしそうでなければ、2桁のチャンネル番号入力モードが作動化される。」(【0020】)
との記載から明らかなように、数字1のキーが作動する時間期間についての上記判別を行う前に、まずキーボード118から数字を受信し、受信した数字がチャンネル番号の最初の数字であるかどうか(更にはこの数字が1であるかどうか)を検査するとしているのであるから、本願発明の上記要件のような“数字キーの押圧が所定時間にわたって継続されたと判別されたとき、数字の入力の受け付けを開始し、そのとき押圧されている数字キーに対応する数字を最初の数字として受け付ける”ことを開示するものではないし、またこれを示唆するものでもない。

(3)判断
以上のように、本願発明の上記要件は、上記刊行物1?3のいずれにも開示や示唆がないものであり、したがって同要件を有する本願発明が上記刊行物1?3の記載、もしくはそれらの組合せから当業者が容易に想到し得たものであるとすることはできない。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1および請求項2に係る各発明が上記刊行物1?3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることがでたものであり、したがって特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるという原査定の理由によっては本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2010-11-11 
出願番号 特願2004-113030(P2004-113030)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 古川 哲也  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 奥村 元宏
佐藤 直樹
発明の名称 放送受信機  
代理人 山田 義人  

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