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審決分類 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する A47B
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する A47B
管理番号 1226794
審判番号 訂正2010-390098  
総通号数 133 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-01-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2010-09-10 
確定日 2010-10-28 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3116111号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3116111号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 1.請求の趣旨
本件審判の請求の趣旨は、特許第3116111号発明(平成8年5月15日特許出願、平成12年10月6日設定登録)の明細書を審判請求書に添付した明細書のとおり、すなわち下記(1)?(3)のとおり訂正することを求めるものである。

(1)明細書の特許請求の範囲における請求項1において、「前記隆起部の下に脚を設けている」を、「前記隆起部の下に脚を設けており、前記第1の縁部に隣接する第3の縁部および第4の縁部は前記隆起部の外方端と前記第2の縁部の側端とを結ぶ直線形状をなしている」と訂正する。
(2)明細書の特許請求の範囲における請求項2において、「隆起部とを設けたものであり、」を、「隆起部とを設けたものであり、前記縁部の一端および他端のそれぞれに隣接する縁部は、前記隆起部の外方端と前記縁部と逆側に位置する縁部の側端とを結ぶ直線形状をなしており、 」と訂正する。
(3)明細書の特許請求の範囲における請求項2において、「キャスタを利用して移動させ得るように構成するとともに、」を、「前記逆側に位置する縁部を持ち上げた状態でキャスタを利用して移動させ得るように構成するとともに、」と訂正する。

2.当審の判断
そこで、これらの訂正事項について検討する。

2-1.特許法第126条第1項(訂正の目的)について
上記(1)の訂正は、第1の縁部に隣接する第3の縁部および第4の縁部を、第1の縁部の両端より突出する隆起部の外方端と、第1の縁部の逆側に位置する第2の縁部の側端とを結ぶ直線形状をなしたものに限定するものであるから、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とする。
上記(2)の訂正は、天板を、直線部と隆起部とからなる縁部と、その逆側に位置する縁部を有し、かつ、直線部と隆起部とからなる縁部の一端及び他端のそれぞれに隣接する縁部は、隆起部の外方端と逆側に位置する縁部とを結ぶ直線形状をなしたものに限定するものであるから、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とする。
上記(3)の訂正は、キャスタを使用し得る状態を限定したものであり、これによりキャスタの取り付け箇所を限定したものと認められるから、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とする。

2-2.特許法第126条第3項、第4項(新規事項、特許請求の範囲の拡張又は変更)について
上記各訂正事項は当初明細書【0009】及び【図1】に記載されているものと認められるから、上記各訂正は、当初明細書及び図面に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質的に特許請求の範囲を拡張ないし変更するものではない。

2-3.特許法第126条第5項(独立特許要件)について
審判請求人は、公知文献1?6を示し、本件発明1、2は、公知文献1?6に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではないから進歩性を有し、独立して特許を受けることができる発明である旨主張するので、以下、該主張について検討する。

(1)請求人が提出した公知文献1は、株式会社ライオン事務器が1995年1月1日に発行した「’95年版ライオン総合カタログ」の第114?117頁であり、デスクシステムシステムUV-ONEに係る各製品が掲載されている。その中で、型番744-17、UV-189KR-STと称するミーティングテーブル天板の写真及び図面(117頁中段)並びに該天板に脚を設けたテーブル(115頁右下)の写真が示され、テーブルの写真の下に「ミーティングに、ちょっとした気分転換にやわらかでしゃれたデザインの天板が、オフィスの一角にやさしい印象を与えます」と記載されている。
これら記載によれば、公知文献1には、「矩形に近い平面形状をなす天板の角部全てに隆起部を設けて4つの縁部全てを直線部と隆起部とで構成し、隆起部の下に脚を設けているテーブル。」の発明が開示されていると認められる。

(2)請求人が提出した公知文献2は、特開平1-175806号の「システム机」に関する発明の公開特許公報であり、公報第2頁右下欄第4?11行に「机本体1は、第2図?第4図に示すように、左右の側板11の上端間に天板12を架設してなるもので、その背面を全面的に開口させている。そして、天板12の後縁部にコード引出部14を設けている。コード引出部14は、天板12の後縁に一定奥行寸法の凹陥部15を設け、この凹陥部15にコード押圧具16を着脱可能に装着したものである。」と記載されている。
該記載及び第1?4図を参酌すると、公知文献2には、「矩形に近い平面形状をなす天板の第1の縁部に、一端近傍部から他端近傍部までの直線部と、この直線部の両端より該直線部に直交する方向に向けて突出する隆起部を設けたものであって、隆起部と直線部とによって形成される隙間(凹陥部15)は、コード押圧具16を装着するためのものであり、天板の隆起部付近に脚(側板11)が設けられており、前記第1の縁部に隣接する第3の縁部および第4の縁部は前記隆起部の外方端と前記第2の縁部の側端とを結ぶ直線形状をなしているシステム机。」の発明が開示されていると認められる。

(3)請求人が提出した公知文献3は、「Kyo」と記載される文献であり、1995年秋、1996年夏に頒布されたシステムデスクのカタログであると考えられる。該文献の中には、単独で使用したり集合させたりして使用可能な曲線で構成されたテーブルであって、天板に脚を設けたものが示されている。

(4)請求人が提出した公知文献4は、特開平5-341879号の「情報装置」に関する発明の公開特許公報であり、【0013】の「10は基台部1を囲むように配置されたテーブル」及び【図1】【図9】の記載から、公知文献4には、「天板の一の縁部を外方に突出する弧状とし、同一構造の他のテーブルと組み合わせたときに隙間を形成するものであって、天板には脚を設けており、前記一の縁部に隣接する両縁部は前記隆起部の外方端と前記一の縁部と逆側に位置する縁部の側端とを結ぶ直線形状をなしているテーブル。」の発明が開示されていると認められる。

(5)請求人が提出した公知文献5は、イトーキ総合カタログ’95の388頁であり、バイオテーブルIIIと称されるシリーズに係る各製品が掲載されている。
そのうち、中段右側には、ピーナッツ型と称されるテーブルの写真が掲載されており、該写真によれば、一の縁部が両端が外側に隆起した曲線をなしており、両隆起部にキャスタのついた脚を設けたテーブルが示されている。 また、同頁の右下には、一の縁部の両端にキャスタのついた脚を設け、それと反対側の縁部の両端にキャスタのついていない脚を設けた4本脚のテーブルの、該反対側の縁部を持ち上げている写真が示され、その下には「移動時には、アジャスター脚を持ち上げると、キャスターで簡単に動かせます」と記載されている。
これら記載によれば、公知文献5には、「天板の一の縁部を凹曲線状と
して当接対象物に突き合わせ当接したときに該当接対象物との間に隙間を形成可能な隆起部を設けたものであって、天板全体が曲線をなしており,前記一の縁部と逆側に位置する縁部を持ち上げた状態でキャスタを利用して移動させ得るように構成するとともに、前記隆起部の下に脚を設けているテーブル」の発明が開示されていると認められる。

(6)請求人が提出した公知文献6は、実公平5-23064号の「組合せ使用に適したテーブル等の天板」に関する考案の公告公報である。
該文献には、以下の事項が記載されている。
「第1図において、1は本考案により形成したテーブル用の天板の一例で、この天板1はその主辺を形成する膨出円弧状辺1a(以下、主辺1aという)が半径1500mmで形成される円周の一部(例えば当該円周を形成する円の弦の長さ1800mm程度)を以て形成されていると共に、当該主辺と同一径の膨出円弧状をなす第一副辺1b(以下、第一副辺1bという)と、同じく同一径の凹陥円弧状をなす第二副辺1c(以下、第二副辺1cという)とが、前記主辺1aの両端から連続して当該主辺1aと対向する側においてこれらの両副辺1b、1cによりほぼ山型(又は谷型)をなすように形成され、全体として弯曲した三つの辺を有する大略三角形状の天板に形成されている。」(第2頁第3欄第17?30行)
「 第2図は第1図の天板1を有するテーブル2本を、その第二副辺1c、1cを突合せる形態で接合した使用例を示すものである。・・・この2枚の天板1、1の突合せ接合においては凹陥円弧状をなす第二副辺1c同士の間に間隙2が形成されるので、この空間から照明用ポールを立設したりコード類などを引出すことが可能である。」(第2頁第3欄第36行?第4欄第7行)
これらの記載及び第2図を参酌すると、公知文献6には、「3辺の曲線から構成された天板を有するテーブルであり、そのうちの1辺は凹陥円弧状をなす第二副辺1cであって、該第二副辺1cは当接対象物に突き合わせ当接したときに該当接対象物との間に隙間を形成するための隆起部を設けたものとなっているテーブル」の発明が開示されていると認められる。

しかし、請求人が提出した公知文献1?6のいずれにも、請求項1、2に係る発明の構成である、テーブル天板の縁部に一端近傍部から他端近傍部までの直線部とこの直線部の両端より該直線部に直交する方向に向けて突出する隆起部とを設け、該縁部に隣接する両縁部を、前記隆起部の外方端と、直線部と隆起部とを設けたの縁部の逆側に位置する縁部の側端とを結ぶ直線形状とし、前記逆側に位置する縁部を持ち上げた状態でキャスタを利用して移動させ得るように構成することは記載されておらず、このことを示唆する記載もない。
また、公知文献1?6を組み合わせて上記構成を想到し、通常は個別に使用され、必要に応じてキャスタによって移動させて集合させることが可能なテーブルにおいて、一縁部に直線部と隆起部とを設けてこれらにより形成される隙間を配線引き回しのために利用し得るようにするとともに、直線部と隆起部とを設けた縁部に隣接する両縁部を直線形状とすることにより、該両縁部の側方に他のテーブルを密着させて設置可能に構成することが当業者にとって容易であるともいえない。

したがって、本件の請求項1、2に係る発明及び請求項1または2を引用する請求項3に係る発明は、公知文献1?6に基づいて当業者が容易に発明をできたものではない。また、その他にも本件の請求項1?3に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明とする理由を発見しない。

3.むすび
したがって、本件審判の請求は、特許法第126条第1項第1号ないし第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3?5項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
テーブル
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】矩形に近い平面形状をなす天板の第1の縁部に、一端近傍部から他端近傍部までの直線部と、この直線部の両端より該直線部に直交する方向に向けて突出し、当接対象物に突き合わせ当接したときに該当接対象物と直線部との間に隙間を形成するための隆起部を設けたものであって、前記第1の縁部と逆側に位置する第2の縁部を持ち上げた状態でキャスタを利用して移動させ得るように構成するとともに、前記隆起部の下に脚を設けており、前記第1の縁部に隣接する第3の縁部および第4の縁部は前記隆起部の外方端と前記第2の縁部の側端とを結ぶ直線形状をなしていることを特徴とするテーブル。
【請求項2】天板の縁部に、一端近傍部から他端近傍部までの直線部と、この直線部の両端より該直線部に直交する方向に向けて突出し、当接対象物に突き合わせ当接したときに該当接対象物と直線部との間に隙間を形成するための隆起部とを設けたものであり、前記縁部の一端および他端のそれぞれに隣接する縁部は、前記隆起部の外方端と前記縁部と逆側に位置する縁部の側端とを結ぶ直線形状をなしており、前記逆側に位置する縁部を持ち上げた状態でキャスタを利用して移動させ得るように構成するとともに、前記隆起部の下に脚を設けていることを特徴とするテーブル。
【請求項3】当接対象物に同一構造を有する他のテーブルの天板の縁部を含み、隆起部が少なくとも縁部の2箇所にあって天板同士を突き合わせた際に当該他の天板の隆起部にそれぞれ当接し得る位置に設けられ、テーブル同士を付き合わせることによって隆起部同士が当接し、テーブル間に直線部と隆起部とによって囲まれる隙間が形成されることを特徴とする請求項1又は2記載のテーブル。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、簡単な構造によって配線の引き回しの便を有効に向上させたテーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近時におけるテーブルの利用形態として、通常は個別に使用されているものを必要に応じ集合させることによって随時大型の会議テーブルを構成するようにしている例が少なくない。このような利用形態によれば、会議テーブル用の特殊な大型天板を導入する必要がなく、平素からそのような大型天板がオフィスの一角を占有するような不都合も解消することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種の会議テーブルを構成する個々のテーブルの天板は、従来から単純な長方形状をなしており、天板を突き合わせた際に縁部同士が隙間なく密接に当接するようになっている。ところが、会議中にワープロやパソコン、或いはプロジェクタ等といった多種多様なOA機器を扱う機会が著しく増大した今日においては、従来のような対応のみでは、せっかく会議用に拡張した天板上に多くの配線類が乱雑に溢れ返ることになり、その上、それらの配線類は天板の縁部のうち着座者に最も近くて邪魔になり易い縁部を通過して天板上に引き出されるため、テーブル周辺の居住性や機能性が大巾に低下するという新たな不都合を生じている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決するために、本発明は、天板の形状を若干工夫するだけで、天板同士を突き合わせた際に配線引き回しのための隙間を簡単に形成できるようにしている。
【0005】
【発明の実施の形態】すなわち、本発明のテーブルは、矩形に近い平板形状をなす天板の第1の縁部に、一端近傍部から他端近傍部までの直線部と、この直線部の両端より該直線部に直交する方向に向けて突出し、当接対象物に突き合わせ当接したときに該当接対象物と直線部との間に隙間を形成するための隆起部を設けたものであって、前記第1の縁部と逆側に位置する第2の縁部を持ち上げた状態でキャスタを利用して移動させ得るように構成するとともに、前記隆起部の下に脚を設けていることを特徴としている。テーブルの好適な実施の形態としては、天板の縁部に、一端近傍部から他端近傍部までの直線部と、この直線部の両端より該直線部に直交する方向に向けて突出し、当接対象物に突き合わせ当接したときに該当接対象物と直線部との間に隙間を形成するための隆起部とを設けたものであり、キャスタを利用して移動させ得るように構成するとともに、前記隆起部の下に脚を設けているものを挙げることができる。当接対象物に同一構造を有する他のテーブルの天板の縁部を含む場合には、隆起部が少なくとも縁部の2箇所にあって天板同士を突き合わせた際に当該他の天板の隆起部にそれぞれ当接し得る位置に設けられている形態が挙げられる。
【0006】このような構成により、通常は単独で使用されるテーブルを必要に応じ隆起部が設けられた縁部同士を突き合わせて配置することによって、天板面が拡張され、その縁部間に、隆起部が介在することによる隙間が形成されることになる。このため、この隙間を利用すれば、床から立ち上げた配線を着座者の邪魔にならない位置から天板上に引き出すことができる。
【0007】特に、隆起部同士が当接するように設定した場合には、個々のテーブルの隆起量をさほど大きく設定せずとも突き合わせた際に縁部間に大きな隙間を形成することができる。また、隆起部が少なくとも縁部の2箇所に設けられているので、当接対象物を壁面とした場合にも、該縁部と壁面との間に隆起部が介在することによる隙間が形成され、この隙間を配線引き回しのために有効利用することができる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を、図1?図12を参照して説明する。図1?図4に示すテーブルAと、図5?図7に示すテーブルBとは、互いに種類が異なるものであり、別途独立に使用できるのは勿論のこと、必要に応じて随時組をなして使用することもできるように構成されたものである。以下、順を追って説明する。
【0009】先ず、図1?図4に示すテーブルAは、矩形に近い平面形状をなす天板1の各コーナー部を4本の脚21、22、23、24によって支持されている。天板1は、長手方向に沿って伸びる第1の縁部11及び第2の縁部12と、それらの縁部11、12間を連結する第3の縁部13及び第4の縁部14とによって略矩形状の平面形状が与えられたもので、具体的に説明すると、第1の縁部11は一端近傍部から他端近傍部までの直線部11aと、この直線部11aの両端より該直線部11aに直交する方向に向けて突出する半円形状の隆起部11bとから構成されている。第2の縁部12は、全体が一端から他端に亘って緩やかなカーブを描いて外方に膨出する形状をなしている。第3の縁部13及び第4の縁部14は、前記第1の縁部11の隆起部11bの外方端と前記第2の縁部12の側端とを結ぶ位置にあって直線形状をなしている。第1の縁部11の直線部11a、第3の縁部13及び第4の縁部14にはそれぞれ比較的柔軟な素材からなるバンパー部材11c、13a、14aが取着されており、それ以外の天板1の各部は合板を始めとする各種天板素材によって一体に作られている。この天板1を支持する4本の脚21、22、23、24のうち、2本の脚21、22は滑動防止部材25によって床面Fに安定的に接地し、他の2本の脚23、24はキャスタ26によって床面Fに滑動自在に接地していて、第2の縁部12を持ち上げた状態でキャスタ26を利用してテーブルAを移動させ得るようにしている。
【0010】一方、図5?図7に示すテーブルBは、半楕円形状に近い平面形状をなす天板3の下面を前記テーブルAに付帯する脚21?24と同一高さの4本の脚41、42、43、44によって支持されている。天板3は、前記天板1の第3の縁部13(又は第4の縁部14)の2倍の長さを有する底縁部31と、この底縁部31の端部間を連結する曲線状縁部32とによって略半楕円状の平面形状が与えられたもので、具体的に説明すると、底縁部31は一端近傍部から他端近傍部までの直線部31aと、この直線部31aの両端より該直線部31aに直交する方向に向けて突出する、前記テーブルAの隆起部11bと同一半円形状の隆起部31bとから構成されている。曲線状縁部32は、前記底縁部31を短軸とし、適宜の長さを長軸とする半楕円形状のものである。底縁部31の直線部31aには比較的柔軟な素材からなるバンパー部材31cが取着されており、それ以外の天板3の各部は合板を始めとする各種天板素材によって一体に作られている。そして、このテーブルBも、天板3を支持する4本の脚41?44のうち2本の脚41、42が滑動防止部材45によって床面Fに安定的に接地し、他の2本の脚43、44がキャスタ46によって床面Fに滑動自在に接地していて、曲線状縁部32を持ち上げた状態でキャスタ46を利用してテーブルBを移動させ得るようにしている。
【0011】しかして、これらのテーブルA、Bは、通常、単独で使用するときは何れの縁部においても脚と干渉しない位置に椅子を配置することによって人が着座することができる。また、各々のテーブルA、Bを単独使用すると若干天板面積が不足気味となるような小規模の会議や打合せが行われる場合には、図8や図9に示すようにテーブルA、A同士、あるいはB、B同士をそれらの縁部11、31を介して突き合わせることによって適宜天板面を有効に拡張することができる。しかも、この場合には、縁部11(31)の隆起部11b同士(31b同士)が当接し、それらの直線部11a同士(31a同士)は直接的には当接しないため、テーブルA、A間(B、B間)には直線部11a(31a)と隆起部11b(31b)とによって囲まれる隙間S1(S2)が形成されることになる。このため、この隙間S1(S2)を利用すれば、床面Fから立ち上げた配線を着座者の邪魔にならない位置から天板1(3)上に引き出すことができる。
【0012】さらに、このようなテーブルA、A同士、B、B同士の突き合わせによっても十分な天板面積が得られない場合には、図8に示したようなテーブルA、Aの突き合わせ状態から更に、それらの縁部13、14に図10に示すようにテーブルBの縁部31を突き合わせて配置すれば、天板面積をより大きく拡張することができる。そして、この場合にも縁部13、31間(14、31間)に隆起部31bが介在することによる隙間S3が形成されるため、この隙間S3を配線挿通空間として有効に利用することができる。
【0013】ところで、以上におけるテーブルA、A間(B、B間)の隙間S1(S2)は、隆起部11b同士(31b同士)が直接当接することによって個々の隆起部11b(31b)の隆起量の2倍の大きさのものになる。このため、その隙間S1(S2)を利用すれば、図10に示すように配線具5やテーブル6を配置することも可能になる。配線具5は、床面Fからの配線をポール51内部に収納し上端にその配線との接続を可能にするコンセント52を装着したもので、ポール51は上下方向に突没してコンセント52を天板1、3よりも高い位置と低い位置とに選択的に切替えて配置できるように構成されているものである。また、テーブル6は、OHP7等を配置するに適した天板面積を有するもので、支柱62の背丈がテーブルA、Bの天板1、3よりも高く、天板61がそれらの天板1、3と干渉しない位置に配置されるものである。このように、隆起部11b同士(31b同士)が当接するように構成することによって、テーブルA、Bを極端に異形なものにすることなく、テーブルA、Bを突き合わせた際の使い勝手を有効に向上させることができる。
【0014】なお、以上説明したテーブルA、Bは、単独使用する場合にも前記隆起部11b、31bを利用して配線引き回しのための隙間を形成できるのは勿論である。すなわち、これらのテーブルA(B)はそれぞれ隆起部11b(31b)が縁部11(31)の2箇所に設けられているため、図11(図12)に示すように、これらの縁部11(31)を壁面Wに近付けると、隆起部11b(31b)が優先的に壁面Wに当接して、縁部11(31)、隆起部11b(31b)及び壁面Wによって囲まれる部位に配線引き回しのための隙間S4(S5)が有効に形成されることとなる。
【0015】
【0016】なお、本実施例に供するテ-ブルは、一般的な机などの概念を含むものであり、各部の具体的な構成は、上述した実施例のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0017】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。すなわち、本発明のテーブルは、天板の縁部に、当接対象物に当接したときに該当接対象物との間に隙間を形成するための隆起部を設けたことを特徴としている。当接対象物に同一構造を有する他のテーブルの天板の縁部を含む場合には、テ-ブルの縁部同士を突き合わせて配置することにより天板面が拡張され、縁部間に隆起部により形成される隙間を利用して、床から立ち上げた配線を着座者の邪魔にならない位置から天板上に引き出すことが可能である。
【0018】このような構成のものならば、会議中、ワ-プロやパソコン或いはプロジェクタなどのOA機器をフルに活用しても、テ-ブル上に配線類が乱雑に溢れ返ることなく有効に天板上を利用することができ、テ-ブル周辺の居住性や機能性の向上が促進される。また、隆起部を少なくとも縁部の2箇所に設けるならば、当接対象物を壁面とした場合にも、該縁部と壁面との間に隆起部が介在することによる隙間が形成され、この隙間を配線引き回しのために有効利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るテ-ブルAを示す斜視図。
【図2】同平面図。
【図3】図2におけるIII-III線拡大端面図。
【図4】図2におけるIV-IV線拡大端面図。
【図5】同実施例に係るテ-ブルBを示す斜視図。
【図6】同平面図。
【図7】図6におけるVII-VII線端面図。
【図8】テ-ブルA同士を突き合わせた状態を示す斜視図。
【図9】テ-ブルB同士を突き合わせた状態を示す斜視図。
【図10】本発明における一使用状態を示す斜視図。
【図11】テ-ブルAの一使用状態を示す平面図。
【図12】テ-ブルBの一使用状態を示す平面図。
【符号の説明】
A…テ-ブル
1…天板
11…縁部(第1の縁部)
11b…隆起部
12…縁部(第2の縁部)
13…縁部(第3の縁部)
14…縁部(第4の縁部)
B…テ-ブル
3…天板
31…縁部(底縁部)
31b…隆起部
32…縁部(曲線状縁部)
C…テ-ブル
8…天板
81…縁部
81b…隆起部
S1?S5…隙間
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2010-10-20 
出願番号 特願平8-120671
審決分類 P 1 41・ 856- Y (A47B)
P 1 41・ 851- Y (A47B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 蓮井 雅之江塚 政弘  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 土屋 真理子
宮崎 恭
登録日 2000-10-06 
登録番号 特許第3116111号(P3116111)
発明の名称 テーブル  
代理人 鈴木 守  
代理人 鈴木 守  
代理人 大野 聖二  
代理人 大野 聖二  

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