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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F25D
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F25D
管理番号 1227917
審判番号 不服2008-22161  
総通号数 133 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-08-28 
確定日 2010-12-02 
事件の表示 特願2003-175117号「冷却貯蔵庫」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 1月13日出願公開,特開2005- 9784号〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本件に係る出願(以下,「本願」という。)は,平成15年6月19日の特許出願であって,平成20年7月23日付けで拒絶査定がなされ(発送日:平成20年7月29日),これに対し,平成20年8月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに,平成20年9月29日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成20年9月29日付け手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の結論]

平成20年9月29日付け手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

(1)補正後の本願発明

本件補正により,特許請求の範囲の請求項1は,次のように補正された。
「冷気通路の冷気が通過する複数の通過孔を形成したフィルタが紫外線を照射するランプに対向配置され,前記フィルタの前記ランプとの対面側には,前記ランプからの紫外線によって前記冷気中のメチルメルカプタンを分解して消臭する光触媒が存在し,前記フィルタの前記対面側の裏側には前記紫外線を受けなくても前記冷気中のアンモニア臭を消臭するアスコルビン酸,クエン酸の少なくともいずれかが存在することを特徴とする冷却貯蔵庫。」

(2)補正の目的

本件補正は,補正前の請求項2に記載された発明を特定するために必要な事項である「アンモニア臭を消臭する」ための構成について,「消臭剤」を「アスコルビン酸,クエン酸の少なくともいずれか」と限定したものである。
そして,補正前の請求項2に記載された発明と,補正後の請求項1に記載される発明の,産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下,「改正前の特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで,本件補正後の請求項1に記載された発明(以下,「本件補正発明」という。)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について,検討する。

(3)引用文献

(3-1)原査定の拒絶の理由に引用され,本願の出願前に頒布された刊行物である,特開2003-106756号公報(以下,「引用文献1」という。)には,図面とともに,次の事項が記載されている。

1a.「【発明の属する技術分野】本発明は,紫外線ランプと光脱臭フィルタにより,殺菌作用(除菌作用)と脱臭作用(消臭作用)を備えた冷蔵庫に関する。」(段落【0001】)

1b.「24は,254nmの紫外線を照射する紫外線放電ランプであり,ここでは,平面型形状である。そして,ここでは,ダクト内側に紫外線を照射し,冷蔵室側には可視光を照射する。なお,ダクト23内の紫外線照射範囲には,樹脂の変形を防止するためのアルミ等の反射材を貼付している。
図3に背面板16とランプ24を示している。
このランプ24は通常のガラス(ソーダガラス)で形成されているが,紫外線照射面24uvのみ石英ガラスで形成している。従って,その通過波長特性により,冷蔵室側の面24dからは有害な紫外線は照射されない(有害な300nm以下の紫外線を遮断する)。
図2の25は,光触媒フィルタである。この光触媒フィルタの表層は,吸着剤に光触媒を坦持させている。この吸着材はゼオライトであり,ここでは吸水率が小さいものを採用している。
湿度100%雰囲気中での重量増加率が5%以下のものを採用している。これは,吸水性が良すぎると,水を吸って臭い分子の吸着性が劣化するためである。また,この光触媒ファイルは,コルゲート型でる。尚,これは,ハニカム型であってもよい。
またこのフィルタ25は,その通気孔の傾斜が冷気の通過方向Aに合致するようにダクトの折曲部に配置されている。このため,光触媒フィルタの通気孔の傾きは,ダクトの傾きとほぼ一致している(又は,光触媒フィルタの通気孔の傾きは,この光触媒フィルタを収納した通気ダクト内の冷気(空気)の流れる向きとほぼ一致する)。このため,冷気の流れを悪くすることも少ない。また,ダクト内に貼付されたアルミ等の反射材は,紫外線を反射して,フィルタ25の反対側にも紫外線が回り込み脱臭効果が上がる。」(段落【0014】-【0019】)

1c.「ここで,脱臭作用及び殺菌作用を説明する。
冷蔵庫のファン18が動作し,庫内冷気が循環すると,冷気中の臭い分子も流れる。
この臭い分子は,フィルタ25の吸着剤に吸着し集められる。そして,ランプ24からの紫外線により励起された光触媒により分解される。
点灯したランプ24からの254nm紫外線波長により,フィルタ25の吸着剤により集められた臭い分子は,光触媒により分解される。
また,254nmであれば殺菌作用があるので,この紫外線によりダクト内を浮遊する細菌及びフィルタ25の吸着剤により集められた細菌が,直接殺菌される。」(段落【0021】-【0025】)

1d.「図4において,ランプ24は254nmの紫外線を放射する。このランプ24の紫外線照射面24uvの面には石英ガラスを採用して,185nmの紫外線が通過すようにしている。
このランプ24は,光触媒フィルタ25の風上に配置されている。
このように,この実施態様のランプ24は254nmの紫外線をダクト側に照射し,殺菌を行う。又,フィルタ25の表面に付着した細菌は,254nmの紫外線が照射され続ける。これにより,細菌は死滅し,この死滅した細菌の残骸は,紫外線により励起した光触媒により分解される。
冷蔵庫のファンが動作して,冷気が流れると,冷気中の臭い分子は,フィルタ25の吸着剤により集められる。この臭い分子は,光触媒により分解される。」(段落【0028】-【0031】)

1e.図4には,フィルタが紫外線放電ランプに対向配置される点が図示されている。

そこで,これらの記載事項及び図面の図示内容を総合すると,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されている。

「通気ダクトの冷気が通過する複数の通気孔を形成した光触媒フィルタが紫外線放電ランプに対向配置され,前記光触媒フィルタの表層には,前記紫外線放電ランプからの紫外線によって前記冷気中の臭い分子を分解して消臭する光触媒が担持された冷蔵庫。」

(3-2)本願の出願前に頒布された刊行物である,実願昭63-123459号(実開平2-45130号)のマイクロフィルム(以下,「引用文献2」という。)には,図面とともに,次の事項が記載されている。

2a.「1)空気流入口および空気流出口を有するケーシングと,前記空気流入口から外部の空気をケーシング内に取り入れてこれを前記空気流出口に向かって流過させる通気ファンと,前記ケーシング内に配置された,空気の流れる方向に伸びる多数の通気孔を有し,当該通気孔の内面に紫外線の照射により励起される空気浄化反応触媒物質を担持するハニカム体と,このハニカム体の通気孔の内面に紫外線を照射する紫外線放射ランプと,通気性を有する脱臭部材とを有してなり,
前記ハニカム体および脱臭部材は,前記ケーシング内における空気の流れる方向に並んで配置されていることを特徴とする空気浄化装置。」(実用新案登録請求の範囲)

2b.「従来から空気浄化装置が開発されているが,従来の空気浄化装置は,消臭作用が不十分であり,特定の臭気に対しては有効であっても他の種類の臭気に対しては殆ど消臭作用がなく,そのため,空気の不快臭を充分に除去することができない,という問題点がある。」(第2ページ第9-14行)

2c.「本考案によれば,通気ファンにより導入された外部の空気は,ケーシング内を通過するときにハニカム体と脱臭部材との両方を流過することとなり,また前記ハニカム体の通気孔の内面に紫外線放射ランプからの紫外線が照射されることによって空気浄化反応触媒物質が励起されて流過する空気の特定の臭気が除去されると共に,空気が脱臭部材を通過するときに,前記ハニカム体によっては除去されない他の臭気が消臭され,その結果,不快臭が充分に除去されて優れた消臭効果が得られる。」(第3ページ第16行-第4ページ第6行)

2d.「そして,前記空気流通路には,空気の流れる方向に沿って並ぶよう,第1の脱臭部材6,第1のハニカム体7,紫外線放射ランプL,第2のハニカム体8および第2の脱臭部材体9がこの順に配設されている。」(第5ページ第6-10行)

2e.「空気浄化反応触媒物質としては,紫外線の照射を受けて励起され,空気中の不快臭の原因となっている特定の臭気物質と接触したときに反応して当該臭気物質を化学的に変質させて消臭作用を発揮するものが用いられる。斯かる空気浄化反応触媒物質の具体例としては,酸化チタンや酸化亜鉛,これらの混合物などを好適に用いることができ,更に酸化チタンとしては,アナターゼ型のものが活性が高い点で好ましい。また酸化チタンにアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の酸化物または水酸化物が混合されたものや,4チタン酸カリウムや6チタン酸カリウムのような複合金属酸化物の形態のものも好適に用いられる。これらの空気浄化反応触媒物質によれば,特にイオウ化合物による臭気が高い効率で除去される。なお,ハニカム体に空気浄化触媒物質を固定または担持させる手段は,特に限定されるものではない。」(第6ページ16行-第7ページ第12行)

2f.「また第1の脱臭部材6および第2の脱臭部材9は,例えば通気性繊維材の層状体よりなり,その繊維には金属フタロシアニン誘導体などの脱臭物質あるいは消臭物質が固定あるいは担持されている。この脱臭物質は,紫外線などによる励起を必要としないでそれ自体が脱臭作用を有し,前記空気浄化反応触媒物質によっては消臭されにくい,例えばアンモニアなどの臭気物質が接触するとこれを酸化するなど化学的に変化させて無臭物質に変化させて消臭作用を果たすものであり,その詳細は,例えば文献「新しい消臭剤の商品展開」(大阪ケミカル・リサーチ社発行)の第32頁以下に記載されている。」(第7ページ第13行-第8ページ第5行)

2g.第1図には,ハニカム体が紫外線放射ランプに対向配置される点が図示されている。

そこで,これらの記載事項及び図面の図示内容を総合すると,引用文献2には,次の事項(以下,「引用発明2」という。)が記載されている。

「空気流通路の空気が通過する多数の通気孔を形成したハニカム体が紫外線放射ランプに対向配置され,前記ハニカム体の各通気孔内面にはイオウ化合物を化学的に変質させて消臭する紫外線の照射を受けて励起される空気浄化反応触媒物質が担持され,空気の流れる方向に沿って並ぶよう,紫外線などによる励起を必要としないでそれ自体が脱臭作用を有する,空気中のアンモニアなどの臭気物質を消臭する脱臭物質が担持された脱臭部材,ハニカム体,紫外線放射ランプの順に配設した空気浄化装置。」

(4)対比

本件補正発明と引用発明1とを対比すると,引用発明1の「通気ダクト」は,本件補正発明の「冷気通路」に相当し,以下同様に,「通気孔」は「通過孔」に,「ハニカム体」は「フィルタ」に,「紫外線放電ランプ」は「紫外線を照射するランプ」に,「表層」は,紫外線放電ランプから紫外線が照射される位置であるから「対面側」に,「冷蔵庫」は「冷却貯蔵庫」に,「担持された」は「存在し」に,それぞれ相当する。

また,本件補正発明の「メチルメルカプタン」と,引用発明1の「臭い分子」は,ともに,「臭気成分」である点で共通している。

してみると,両者は,

「冷気通路の冷気が通過する複数の通過孔を形成したフィルタが紫外線を照射するランプに対向配置され,前記フィルタの前記ランプとの対面側には,前記ランプからの紫外線によって前記冷気中の臭気成分を分解して消臭する光触媒が存在する冷却貯蔵庫。」

である点で一致し,以下の点で相違している。

・相違点1

光触媒によって分解して消臭する臭気成分が,本件補正発明は「メチルメルカプタン」であるのに対して,引用発明1は「臭い分子」であって,具体的な消臭成分について特定されていない点。

・相違点2

本件補正発明は,「フィルタの対面側の裏側には紫外線を受けなくても冷気中のアンモニア臭を消臭するアスコルビン酸,クエン酸の少なくともいずれかが存在する」のに対して,引用発明1は,このような構成を有していない点。

(5)判断

上記相違点について検討する。

a.相違点1について

まず,いわゆる冷蔵庫の内部において,メチルメルカプタンやアンモニアが悪臭のもととなっていることは,本願出願前周知の事項である(例えば,特開昭64-58258号公報の第7ページ左上欄第2-6行,特開昭59-132937号公報の第1ページ左下欄第1719行参照。)。
なお,メチルメルカプタンやアンモニアが臭気成分であることは,冷蔵庫に限ったことではなく,いろいろな空間の脱臭対象の一般的なものとしても認識されることでもある。

そして,本件補正発明と引用発明2とを対比すると,引用発明2の「通気孔」は,本件補正発明の「通過孔」に相当し,以下同様に,「ハニカム体」は「フィルタ」に,「紫外線放射ランプ」は「紫外線を照射するランプ」に,「化学的に変質させて消臭する紫外線の照射を受けて励起される空気浄化反応触媒物質」は「分解して消臭する光触媒」に,「担持され」は「存在し」に,それぞれ,相当する。

また,本件補正発明のメチルメルカプタンは悪臭のもととなるものであって,イオウ化合物であることから,引用発明2の「イオウ化合物」に,メチルメルカプタンが含まれることは明らかである。

さらに,本件補正発明の「冷気通路の冷気」と,引用発明2の「空気流通路の空気」は,ともに,「流路の空気」である点で共通し,同様に,「フィルタのランプとの対面側」と,「ハニカム体の各通気孔内面」は,ともに,「フィルタの紫外線が照射される部分」である点で共通する。

そして,本件補正発明の「紫外線を受けなくても冷気中のアンモニア臭を消臭するアスコルビン酸,クエン酸の少なくともいずれか」と,引用発明2の「紫外線などによる励起を必要としないでそれ自体が脱臭作用を有する,空気中のアンモニアなどの臭気物質を消臭する脱臭部材」は,ともに,「紫外線を受けなくても空気中のアンモニア臭を消臭する消臭部」である点で共通する。
さらに,引用発明2の「脱臭部材,ハニカム体,紫外線放射ランプの順に配設した」態様は,紫外線放射ランプから放射される紫外線がハニカム体によって遮られる位置に脱臭部材を配置するものであるから,本件補正発明の「フィルタの対面側の裏側」と,引用発明2の上記態様は,ともに,「フィルタの後方位置」である点で共通する。

そうしてみると,引用発明2は,次のように言い換えることができる。

「流路の空気が通過する通過孔を形成したフィルタが紫外線を照射するランプに対向配置され,前記フィルタの紫外線が照射される部分には,前記ランプからの紫外線によって前記空気中のメチルメルカプタンを分解して消臭する光触媒が存在し,フィルタの後方位置には前記紫外線を受けなくても前記空気中のアンモニア臭を消臭する消臭部が存在する空気浄化装置。」

そして,引用発明1と引用発明2は,ともに,脱臭装置に関する同一の技
術分野に属するものである。

してみると,引用発明1に引用発明2を適用して,光触媒によって分解して消臭する臭気成分を「メチルメルカプタン」とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

b.相違点2について

アンモニア臭を脱臭するための消臭物質として「アスコルビン酸,クエン酸のすくなくともいずれか」を用いることは,本願出願前周知の事項である(例えば,特開昭64-58258号公報,特開昭59-132937号公報,特開2002-58729号公報参照。)。

また,複数の脱臭物質を有する消臭部材において,一方の脱臭物質の裏側に他方の脱臭物質を設けることで一体に形成した消臭部材とすることは,本願出願前周知の技術である(例えば,特開2002-361095号公報,特開平11-179118号公報,特開平11-300150号公報,特開2002-58729号公報参照。)。

そして,引用発明1と引用発明2は,ともに,脱臭装置に関する同一の技
術分野に属するものである。

してみると,引用発明1の「光触媒フィルタ」について,引用発明2の「紫外線を受けなくても空気中のアンモニア臭を消臭する消臭部」を「フィルタの後方位置」に設けるに際し,上記周知の事項及び上記周知の技術に倣って,「フィルタの対面側の裏側には紫外線を受けなくても冷気流のアンモニア臭を消臭するアスコルビン酸,クエン酸の少なくともいずれかが存在する」ようにすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

そして,本件補正発明の奏する効果も,引用発明1,引用発明2,上記周知の事項及び上記周知の技術から当業者が予測し得た程度のものであって,格別なものとはいえない。

よって,本件補正発明は,引用発明1,引用発明2,上記周知の事項及び上記周知の技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

したがって,本件補正発明は,引用発明1,引用発明2,上記周知の事項及び上記周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(6)むすび

以上のとおり,本件補正は,改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について

(1)本願発明

平成20年9月29日付け手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項2に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定される,次のとおりのものである。

「冷気通路の冷気が通過する複数の通過孔を形成したフィルタが紫外線を照射するランプに対向配置され,前記フィルタの前記ランプとの対面側には,前記ランプからの紫外線によって前記冷気中のメチルメルカプタンを分解して消臭する光触媒が存在し,前記フィルタの前記対面側の裏側には前記紫外線を受けなくても前記冷気中のアンモニア臭を消臭する消臭剤が存在することを特徴とする冷却貯蔵庫。」

(2)引用文献

原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である,引用文献1,引用文献1の記載事項及び引用発明1,同じく,原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である,引用文献2,引用文献2の記載事項及び引用発明2は,前記「2.(3)」に記載したとおりである。

(3)対比・判断

本願発明は,前記「2.」で検討した本件補正発明から「アンモニア臭を消臭する」ための構成について,「アスコルビン酸,クエン酸の少なくともいずれか」との限定を省き「消臭剤」としたものである。

してみると,本願発明の構成要件を全て含み,さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が,前記「2.(5)」に記載したとおり,引用発明1,引用発明2,上記周知の事項及び上記周知の技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も同様の理由により,引用発明1,引用発明2,上記周知の事項及び上記周知の技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび

以上のとおりであるから,本願発明は,引用発明1,引用発明2,上記周知の事項及び上記周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。

したがって,本願のその他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-09-28 
結審通知日 2010-10-05 
審決日 2010-10-19 
出願番号 特願2003-175117(P2003-175117)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F25D)
P 1 8・ 575- Z (F25D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田々井 正吾  
特許庁審判長 岡本 昌直
特許庁審判官 中川 真一
豊島 唯
発明の名称 冷却貯蔵庫  
代理人 ▲角▼谷 浩  

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