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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する F02D |
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管理番号 | 1228643 |
審判番号 | 訂正2010-390106 |
総通号数 | 134 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-02-25 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2010-10-19 |
確定日 | 2010-12-10 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第4558090号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第4558090号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件特許第4558090号に係る出願は、平成21年10月21日(優先権主張 平成21年1月20日、平成21年5月16日)を出願日とする出願であって、平成22年7月30日に特許権設定の登録がなされ、平成22年10月19日に本件訂正審判の請求がなされたものである。 第2 審判請求の要旨 本件訂正審判請求の要旨は、本件特許における特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、すなわち、下記(1)及び(2)のとおり訂正することを求めるものである。 (1)訂正事項1 本件特許の特許請求の範囲の請求項5である、 「前記副シリンダーの一端は前記第二のバルブシートに隣接する位置に設置され、 前記主シリンダーの中心軸の前記燃焼室内に位置する部分から前記副シリンダーの中心軸を見た場合に、見えない裏側の半周面の一部分に面して前記副シリンダーの一部が形成され、 前記見えない裏側の半周面は前記筒状側面の前記茸弁に隣接する部分の半周面であり、 前記裏側の半周面の一部分に面した前記副シリンダーの前記一部の外側に前記燃焼室の空間は作られず、 前記副シリンダーの上部に前記副シリンダーの開口部を設け、 前記第二のバルブシートと前記エンジンの外部空間との間に第一のガス通路が設置され、前記茸弁が開いている間に前記主シリンダー内空間と前記第一のガス通路とを短距離で連絡する第二のガス通路が設置され、前記第二のガス通路の中に前記開口部が含まれ、 前記開口部は前記主シリンダーの中心軸が燃焼室内に位置する部分から見える前記筒状側面の表側の半周面に面する事を特徴とする前記請求項1から前記請求項4までのいずれか一項に記載された前記部品を持つピストン式エジン。」 を、 「前記副シリンダーの一端は前記第二のバルブシートに隣接する位置に設置され、 前記主シリンダーの中心軸と前記副シリンダーの中心軸を結ぶ直線と前記副シリンダーの前記中心軸上で直交する直線によって、前記部品の前記筒状側面の前記茸弁に隣接する部分の全周が二つの半周に区分され、 前記二つの半周は、前記主シリンダーの前記中心軸からの距離が近い第一の半周と前記主シリンダーの前記中心軸からの距離が遠い第二の半周であり、 前記部品の前記筒状側面の前記茸弁に隣接する前記部分が二つの半周面に区分され、 前記二つの半周面は、前記第一の半周を持つ第一の半周面と前記第二の半周を持つ第二の半周面であり、 前記第二の半周面に面して、前記副シリンダーの前記第二のバルブシートに隣接する部分が形成され、 前記主シリンダーの外側に拡張された前記燃焼室の外側に位置する固定された壁が、前記第二の半周面に面した前記副シリンダーの内周面に接して形成され、 前記副シリンダーの前記の一端付近に前記副シリンダーの開口部を設け、前記開口部は前記第一の半周面に面し、 前記第二のバルブシートと前記エンジンの外部空間との間に第一のガス通路が設置され、前記茸弁が開いている間に前記主シリンダー内空間と前記第一のガス通路とを短距離で連絡する第二のガス通路が設置され、前記第二のガス通路の中に前記開口部が含まれる事を特徴とする前記請求項1から前記請求項4までのいずれか一項に記載された前記部品を持つピストン式エジン。」 と訂正する(以下、「訂正事項1」という。)。 (2)訂正事項2 本件特許の特許請求の範囲の請求項9である、 「前記バルブ・カバーの前記茸弁に接する面は凸型の曲面に形成され、前記茸弁の前記バルブ・カバーに接する面は凹型の曲面に形成され、それら二つの曲面の曲率は一致し、 前記バルブ・カバーと前記茸弁を一体化せず、 前記バルブ・カバーと前記茸弁の前記傘部が接して位置する事を特徴とする前記請求項1または前記請求項5に記載された前記部品を持つピストン式エジン。」 を、 「前記部品の前記茸弁に接する面は凸型の曲面に形成され、前記茸弁の前記部品の前記茸弁に接する面は凹型の曲面に形成され、それら二つの曲面の曲率は一致し、 前記部品と前記茸弁を一体化せず、 前記部品と前記茸弁の前記傘部が接して位置する事を特徴とする前記請求項1または前記請求項5に記載された前記部品を持つピストン式エジン。」 と訂正する(以下、「訂正事項2」という。)。 第3 当審の判断 1 訂正事項1について 本件訂正事項1は、本件訂正前の請求項5に係る発明の発明特定事項である「前記主シリンダーの中心軸の前記燃焼室内に位置する部分から前記副シリンダーの中心軸を見た場合に、見えない裏側の半周面の一部分に面して前記副シリンダーの一部が形成され、前記見えない裏側の半周面は前記筒状側面の前記茸弁に隣接する部分の半周面であり、前記裏側の半周面の一部分に面した前記副シリンダーの前記一部の外側に前記燃焼室の空間は作られず、前記副シリンダーの上部に前記副シリンダーの開口部を設け、」及び「前記開口部は前記主シリンダーの中心軸が燃焼室内に位置する部分から見える前記筒状側面の表側の半周面に面する」を、 「前記主シリンダーの中心軸と前記副シリンダーの中心軸を結ぶ直線と前記副シリンダーの前記中心軸上で直交する直線によって、前記部品の前記筒状側面の前記茸弁に隣接する部分の全周が二つの半周に区分され、前記二つの半周は、前記主シリンダーの前記中心軸からの距離が近い第一の半周と前記主シリンダーの前記中心軸からの距離が遠い第二の半周であり、前記部品の前記筒状側面の前記茸弁に隣接する前記部分が二つの半周面に区分され、前記二つの半周面は、前記第一の半周を持つ第一の半周面と前記第二の半周を持つ第二の半周面であり、前記第二の半周面に面して、前記副シリンダーの前記第二のバルブシートに隣接する部分が形成され、前記主シリンダーの外側に拡張された前記燃焼室の外側に位置する固定された壁が、前記第二の半周面に面した前記副シリンダーの内周面に接して形成され、前記副シリンダーの前記の一端付近に前記副シリンダーの開口部を設け、前記開口部は前記第一の半周面に面し」と訂正するものである。 (1)本件訂正事項1は、以下の3個の訂正事項からなる。 訂正事項1-1 本件訂正前の「前記主シリンダーの中心軸の前記燃焼室内に位置する部分から前記副シリンダーの中心軸を見た場合に、見えない裏側の半周面」、「前記見えない裏側の半周面は前記筒状側面の前記茸弁に隣接する部分の半周面であり、」及び「前記主シリンダーの中心軸が燃焼室内に位置する部分から見える前記筒状側面の表側の半周面」を、 「前記主シリンダーの中心軸と前記副シリンダーの中心軸を結ぶ直線と前記副シリンダーの前記中心軸上で直交する直線によって、前記部品の前記筒状側面の前記茸弁に隣接する部分の全周が二つの半周に区分され、前記二つの半周は、前記主シリンダーの前記中心軸からの距離が近い第一の半周と前記主シリンダーの前記中心軸からの距離が遠い第二の半周であり、前記部品の前記筒状側面の前記茸弁に隣接する前記部分が二つの半周面に区分され、前記二つの半周面は、前記第一の半周を持つ第一の半周面と前記第二の半周を持つ第二の半周面であり、」とする訂正事項(以下、「訂正事項1-1」という。)。 訂正事項1-2 本件訂正前の「見えない裏側の半周面の一部分に面して前記副シリンダーの一部が形成され」及び「前記裏側の半周面の一部分に面した前記副シリンダーの前記一部の外側に前記燃焼室の空間は作られず、」を、 「前記第二の半周面に面して、前記副シリンダーの前記第二のバルブシートに隣接する部分が形成され、前記主シリンダーの外側に拡張された前記燃焼室の外側に位置する固定された壁が、前記第二の半周面に面した前記副シリンダーの内周面に接して形成され、」とする訂正事項(以下、「訂正事項1-2」という。)。 訂正事項1-3 本件訂正前の「前記副シリンダーの上部に前記副シリンダーの開口部を設け、」及び「前記開口部は前記主シリンダーの中心軸が燃焼室内に位置する部分から見える前記筒状側面の表側の半周面に面する」を、 「前記副シリンダーの前記の一端付近に前記副シリンダーの開口部を設け、前記開口部は前記第一の半周面に面し」とする訂正事項(以下、「訂正事項1-3」という。)。 (2)訂正事項1-1について 本件訂正前の「前記主シリンダーの中心軸の前記燃焼室内に位置する部分から前記副シリンダーの中心軸を見た場合に、見えない裏側の半周面」、「前記見えない裏側の半周面は前記筒状側面の前記茸弁に隣接する部分の半周面であり、」及び「前記主シリンダーの中心軸が燃焼室内に位置する部分から見える前記筒状側面の表側の半周面」の記載からでは、「見えない裏側の半周面」と「見える筒状側面の表側の半周面」がどのような面であるのかが不明りようである。 ところで、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「特許明細書等」という。)には、段落【0020】に「主シリンダー1の中心軸37と副シリンダー4の中心軸を結ぶ三点鎖線39と副シリンダー4の中心軸上で直交する四点鎖線38によって、バルブ・カバー7の前記筒状側面の茸弁2に隣接する部分の全周が二つの半周に区分される。前記二つの半周は、主シリンダー1の中心軸37からの距離が近い第一の半周と主シリンダー1の中心軸37からの距離が遠い第二の半周です。茸弁2に隣接するバルブ・カバー7の前記筒状側面が二つの半周面に区分される。前記二つの半周面は、前記第一の半周を持つ第一の半周面40と前記第二の半周を持つ第二の半周面35です。」と記載されている。この記載からは、「第一の半周面40」及び「第二の半周面35」がどのような面であるのかは明確であり、さらに、特許明細書等全体の記載からみて、該「第一の半周面40」及び「第二の半周面35」が、本件訂正前の「見えない裏側の半周面」及び「見える筒状側面の表側の半周面」に対応することは明らかである。 してみれば、本件訂正事項1-1は、「前記主シリンダーの中心軸と前記副シリンダーの中心軸を結ぶ直線と前記副シリンダーの前記中心軸上で直交する直線によって、前記部品の前記筒状側面の前記茸弁に隣接する部分の全周が二つの半周に区分され、前記二つの半周は、前記主シリンダーの前記中心軸からの距離が近い第一の半周と前記主シリンダーの前記中心軸からの距離が遠い第二の半周であり、前記部品の前記筒状側面の前記茸弁に隣接する前記部分が二つの半周面に区分され、前記二つの半周面は、前記第一の半周を持つ第一の半周面と前記第二の半周を持つ第二の半周面であり、」とすることにより、本件訂正前の「見えない裏側の半周面」及び「見える筒状側面の表側の半周面」が、それぞれどのような面であるのかを明確にしたものであるといえる。 したがって、本件訂正事項1-1は、記載上の不備を訂正し、その本来の意を明らかにするものであるから、明りようでない記載の釈明を目的とするものであり、また、特許明細書等に記載した事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)訂正事項1-2について 本件訂正前の「見えない裏側の半周面の一部分に面して前記副シリンダーの一部が形成され」及び「前記裏側の半周面の一部分に面した前記副シリンダーの前記一部の外側に前記燃焼室の空間は作られず、」の記載では、「副シリンダーの一部の外側」がどの部分であり、「燃焼室の空間は作られず」がどのような状態を示しているのかが不明りようである。 ところで、特許明細書等の段落【0020】には、上記訂正事項1-1で明確にされた第二の半周面に面して、「副シリンダー4の第二のバルブシートに隣接する部分が形成される。この部分は、符号番号4で示される副シリンダーとして、図9に描かれている。主シリンダー1の外側に拡張された燃焼室の外側に位置する固定された壁が、第二の半周面35に面した副シリンダー4の内周面に接して形成される。」と記載されている。この記載事項は意味が明確であり、さらに、特許明細書等全体の記載からみて、この記載事項が、本件訂正前の「見えない裏側の半周面の一部分に面して前記副シリンダーの一部が形成され」及び「前記裏側の半周面の一部分に面した前記副シリンダーの前記一部の外側に前記燃焼室の空間は作られず、」に対応することは明らかである。 してみれば、本件訂正事項1-2は、上記訂正事項1-1によって明確にした「第二の半周面」を用いて「副シリンダーの一部の外側」がどの部分であるのかを明確にするとともに、「燃焼室の空間は作られず、」を「前記副シリンダーの前記第二のバルブシートに隣接する部分が形成され、前記主シリンダーの外側に拡張された前記燃焼室の外側に位置する固定された壁が、前記第二の半周面に面した前記副シリンダーの内周面に接して形成され、」とすることによって、「燃焼室の空間は作られず」の意味を明確にしたものであるといえる。 したがって、本件訂正事項1-2は、記載上の不備を訂正し、その本来の意を明らかにするものであるから、明りようでない記載の釈明を目的とするものであり、また、特許明細書等に記載した事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (4)訂正事項1-3について 本件訂正前の「前記副シリンダーの上部に前記副シリンダーの開口部を設け、」及び「前記開口部は前記主シリンダーの中心軸が燃焼室内に位置する部分から見える前記筒状側面の表側の半周面に面する」の記載では、開口部の位置が不明りようである。 ところで、特許明細書等の段落【0020】には、「副シリンダー4の一端10は、茸弁2の為の第二のバルブシート16に隣接する位置に設置される。」及び「副シリンダー4の一端10付近に副シリンダー4の開口部18を設ける。開口部18は、第一の半周面40に面する。」と記載されている。この記載事項からは、開口部の位置が明確であり、さらに、特許明細書等全体の記載からみて、この記載事項が、本件訂正前の「前記副シリンダーの上部に前記副シリンダーの開口部を設け、」及び「前記開口部は前記主シリンダーの中心軸が燃焼室内に位置する部分から見える前記筒状側面の表側の半周面に面する」に対応することは明らかである。 してみれば、本件訂正事項1-3は、「前記副シリンダーの上部」を「前記副シリンダーの前記の一端付近」と明確にするとともに、上記訂正事項1-1によって明確にした「第一の半周面」を用いて開口部の位置を明確にしたものであるといえる。 したがって、本件訂正事項1-3は、記載上の不備を訂正し、その本来の意を明らかにするものであるから、明りようでない記載の釈明を目的とするものであり、また、特許明細書等に記載した事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (5)まとめ 以上のとおり、訂正事項1-1ないし1-3が、明りようでない記載の釈明を目的とするものであり、また、特許明細書等に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことから、訂正事項1-1ないし1-3を併せたものである本件訂正事項1も、明りようでない記載の釈明を目的とするものであり、また、特許明細書等に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 2 訂正事項2について 本件訂正事項2は、本件訂正前の請求項9に係る発明の発明特定事項である「前記バルブ・カバー」を「前記部品」に訂正するものである。 本件訂正前の請求項9においては、「前記バルブ・カバー」の記載以前に「バルブ・カバー」についての記載が存在しないため、不明りようとなっている。 ところで、本件訂正前の請求項9において、「前記バルブ・カバー」の記載以前には「部品」についての記載が存在する。そして、本件訂正前の請求項9の記載と、発明の詳細な説明の記載とを総合すると、該「部品」は、発明の詳細な説明における「バルブ・カバー」に対応する事項であることが明らかである。 したがって、本件訂正事項2は、請求項9の記載及び発明の詳細な説明の記載から実質的に同じものであることが明らかである、「部品」と「バルブ・カバー」という用語を、「部品」に統一することによって、記載上の不備を訂正し、その本来の意を明らかにするものであるから、明りようでない記載の釈明を目的とするものであり、また、特許明細書等に記載した事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3 まとめ 以上のとおり、本件訂正事項1及び2は、明りようでない記載の釈明を目的とするものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本件審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第3号、第3項及び第4項の規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 茸弁の傘部の底面を覆う部品を持つピストン式エンジン 【技術分野】 【0001】 本発明は、茸弁の傘部の底面を覆う部品を持つピストン式エンジンに関する。この部品は、燃焼室が主シリンダーの外側に拡張される時に、主シリンダーの外側に設置される前記茸弁の前記底面に面した燃焼室の空間を占拠する。 【背景技術】 【0002】 高速回転時に、4サイクルエンジンの吸気抵抗と排気抵抗の量が増加する。 このエンジンの吸気カムのリフト量は、吸気バルブの開弁時初期に、開弁期間中期以降のリフト量よりも極端に少ない。エンジンの高速回転時に、開弁期間初期の時間が短くなる。その結果、吸気の流入量が制限される。その結果、吸気バルブの開弁時初期に、シリンダー内の圧力は、ピストンの裏側の圧力よりも低くなる。 この状態で、ピストンはピストンに圧力が加わる方向に逆らって下降し続ける。この為、負の仕事量が増える。この為、吸気抵抗による損失量が増加して、トルクが低下する。 図14は、山海堂発行の雑誌『内燃機関』1995年11月号No.434の90ページに記載されているエンジンの性能を示す。図14に関して、最大トルク値L1・L2よりも高速な回転速度域では、トルクカーブの頂点時L1・L2よりも4サイクルエンジンのトルクが低下している。 4サイクルエンジンの排気カムのリフト量は、排気弁の開弁時から排気行程の下死点時までの開弁期間初期は、開弁期間中期以降のリフト量よりも極端に少ない。その結果、高速回転時に、下死点時のシリンダー内圧力が、高くなる。この結果、下死点時直後の排気行程時に、排気抵抗による損失量が増加する。 図15に特許文献1のサイド・バルブ式エンジンを示す。このエンジンの番号54で示す主燃焼室は、シリンダーの外側に拡張されている。特許文献1では、吸気弁と排気弁の間隔を狭める事によって、燃焼室をコンパクトに形成している。 しかし、サイド・バルブが設置されている壁面とその対面とに挟まれた空間だけ、主燃焼室の容積が増加する。サイド・バルブのリフト量が大きいほど、この空間の容積が増加する。この為、サイド・バルブ式の燃焼室は高圧縮比にできない。この結果、効率が低下する 図17に特許文献3に記載されたサイド・バルブ式エンジンを示す。図17の案内孔の燃焼室に面した一端と吸気弁の為のバルブシートとの間に燃焼室空間が存在する。また、図17では、シリンダ中心軸から容積可変部材の方向を見た場合に、燃焼室は容積可変部材17よりも外側に拡張されている。この拡張された部分は、燃焼室容積を増加させる。 案内孔は、番号18で示される。吸気弁は、番号13で示される。容積可変部材は、番号17で示される。燃焼室は、番号9で示される。 特許文献3の側弁式内燃機関では、シリンダ外周の側方に一組の吸気弁と排気弁とを設置している。従って、ピストンの上面に面した燃焼室壁面に四つの弁を設置するエンジンよりも、特許文献3の側弁式内燃機関の一組の吸気弁と排気弁の面積の和が小さい。 特許文献3の側弁式内燃機関では、吸気弁が閉じている間に容積可変部材の燃焼室の中に突出する部分が、燃焼ガスに加熱されて高温化する。 【0003】 ピストン式エンジンは、間欠的に燃焼する。この為、ピストン式エンジンでは、燃焼室の内壁面が吸気によって冷却される。この為、火花点火エンジンでは、燃焼室の内壁面に添って混合気の消炎層(クエンチ・ゾーン)が形成される。この消炎層が燃焼室の内壁への高熱の流入を防止している。 排気茸弁が開く時は、排気茸弁の傘部の底面とガス通路に面した傘部の上面が共に燃焼ガスに接する。すると、排気茸弁の温度が高くなる。ピストンが高負荷の時は、排気茸弁の傘部の底面に添って混合気の消炎層が形成され難い。この為、前記の底面に沿った混合気層が自己着火する。自己着火する混合気の量が増加する時に、前記の底面以外の燃焼室の内壁面に面した消炎層が破壊される。すなわち、ノッキングが発生する。 図16に特許文献2のエンジンを示す。 特許文献2に記載された第三態様の摺動する弁を排気弁として使用する場合は、排気行程開始時に、摺動する弁の第一圧縮リングの上面と下面が燃焼ガスに曝される。第一圧縮リングは、番号8で示される。この為、燃焼ガスによって前記の第一圧縮リングが潤滑油の燃焼温度以上に加熱される。前記の第一圧縮リングは焼き付く。特許文献2のエンジンは、主シリンダーの外側に副シリンダーを形成する。 【0004】 ピストンのストロークの長さをピストンの直径よりも長くするなら、燃焼ガスの変換効率が向上するが、高速回転時の吸気効率が低下する。吸気効率の低下は、高速回転時のトルクを低下させる。反対に、ピストンのストロークの長さをピストンの直径よりも短くするなら、高速回転時の吸気効率が向上するが、燃焼ガスの変換効率が低下する。 この為、従来の火花点火式エンジンは、ピストンのロング・ストローク化と高速回転時のトルクの増加を両立できなかった。 【特許文献1】特開2000-282814(P2000-282814A) 【特許文献2】特願2008-120801,特許登録番号4230529 【特許文献3】特開2001-355470 【発明の概要】 【0005】 第一目的は、主シリンダーの外側に拡張された燃焼室の壁面に弁を設けるピストン式エンジンの圧縮比を高める事です。 第二目的は、排気弁を低温にする事です。 第三目的は、ピストン式エンジンの燃費を向上させる事です。 本発明の第一態様のピストン式エンジンの構成は、以下に説明される。 本発明のピストン式エンジンは、シリンダーヘッド、シリンダーブロック、主シリンダー、ピストン、副シリンダー、頭上弁、茸弁、前記茸弁の傘部の底面を覆う部品を持つ。 前記ピストンは、前記主シリンダー内を往復運動する。前記燃焼室は、前記ピストンと前記シリンダーヘッドの間に形成される。前記燃焼室は、前記主シリンダーの外側に拡張される。前記燃焼室の内壁面は第一部分と第ニ部分とを含む。前記第一部分は、前記ピストンの上面に面した内壁面の部分です。前記第ニ部分は、前記主シリンダーの外側に拡張された内壁面の部分です。前記副シリンダーは、前記主シリンダーの外側に設置される。 前記内壁面の前記第ニ部分に茸弁は設置される。前記茸弁は前記茸弁の軸部を駆動する第二の駆動装置を持つ。前記茸弁が開く時に気体が前記茸弁と前記茸弁の為の第二のバルブシートとの間を通過する。 前記部品は前記副シリンダー内を往復運動し、前記部品は筒状側面を持つ。 前記第二のバルブシートと前記部品の間に前記茸弁が位置する。 前記第二のバルブシートと前記茸弁と前記部品が密着される為の手段が設けられる。前記茸弁と前記部品との一体的な形成と前記部品を前記第二のバルブシートに向けて移動させる装置との組み合わせが前記手段の一つであり、前記部品を前記第二のバルブシートに向けて押す装置の設置が前記手段の他の一つです。 前記部品に接して設置される第三のスプリングと前記部品に接して設置される空気圧装置と前記部品に接して設置される油圧装置と前記茸弁の軸部に接して設置される第二のスプリングの中の一つが、前記部品を前記第二のバルブシートに向けて移動させる前記装置です。 前記部品に接して設置される第三のスプリングと前記部品に接して設置される空気圧装置と前記部品に接して設置される油圧装置の中の一つが、前記部品を前記第二のバルブシートに向けて押す前記装置です。 前記第二の駆動装置と前記手段とによって、前記の茸弁と前記の部品が一体に駆動される。 前記副シリンダーの内壁と前記部品の前記筒状側面の間に挟まれる位置に、圧縮リングが設置される。 前記茸弁の前記底面に接して前記部品が位置する。 前記頭上弁は前記の内壁面の前記第一部分に設置される。前記頭上弁は第一のスプリングと駆動装置とを持つ。前記頭上弁が開く時に前記気体が前記頭上弁と前記頭上弁の為の第一のバルブシートとの間を通過する。前記気体は前記燃焼室に流入する吸気と前記燃焼室から流出する燃焼ガスの内のどちらか一つです。 前記燃焼室に設置された前記頭上弁と前記茸弁の二種類の弁の和の中に、少なくとも一組の吸気弁と排気弁が含まれる。 前記燃焼室に設置された前記頭上弁と前記茸弁の二種類の弁の和の数を三以上とする。 【0006】 本発明の第二態様の構成は、第一態様との相違点だけが以下に説明される。 前記副シリンダーの一端は前記第二のバルブシートに隣接する位置に設置される。 前記主シリンダーの中心軸と前記副シリンダーの中心軸を結ぶ直線と前記副シリンダーの前記中心軸上で直交する直線によって、前記部品の前記筒状側面の前記茸弁に隣接する部分の全周が二つの半周に区分される。 前記二つの半周は、前記主シリンダーの前記中心軸からの距離が近い第一の半周と前記主シリンダーの前記中心軸からの距離が遠い第二の半周です。 前記茸弁に隣接する前記部品の前記筒状側面が二つの半周面に区分される。前記二つの半周面は、前記第一の半周を持つ第一の半周面と前記第二の半周を持つ第二の半周面です。 前記第二の半周面に面して、前記副シリンダーの前記第二のバルブシートに隣接する部分が形成される。 前記主シリンダーの外側に拡張された前記燃焼室の外側に位置する固定された壁が前記第二の半周面に面した前記副シリンダーの内周面に接して形成される。 前記副シリンダーの前記の一端付近に前記副シリンダーの開口部を設ける。前記開口部は前記第一の半周面に面する。 前記第二のバルブシートと前記エンジンの外部空間との間に第一のガス通路が設置される。前記茸弁が開いている間に前記主シリンダー内空間と前記第一のガス通路とを短距離で連絡する第二のガス通路が設置され、前記第二のガス通路の中に前記開口部が含まれる。 第二態様のピストン式エンジンは、特許文献3に示すエンジンよりも、バルブ・カバー7の筒状側面の燃焼ガスの熱が加わる部分の面積が減少し、このエンジンの熱損失量が減少する。従って、第二態様では第三目的は達成される。 【0007】 本発明の第三態様の構成は、第一態様との相違点だけが以下に説明される。 第一態様と第二態様のエンジンの前記ピストンのストロークの長さが前記ピストンの直径よりも小さく設定されない。 第三態様のピストン式エンジンは、ショート・ストローク化したエンジンよりも、燃焼ガスの変換効率を向上させる。また、ロング・ストローク・エンジンの高速回転の吸気効率の低下を改善させる。その結果、変換効率の向上と高速時のトルクの増加は両立できる。従って、第三態様では第三目的は達成される。 本発明の三つの態様のピストン式エンジンは、火花点火式エンジンまたは圧縮着火式エンジンであり得て、火花点火式エンジンは2サイクル式または4サイクル式であり得る。本発明のエンジンが火花点火式であるなら、点火プラグは燃焼室の壁面の任意の位置に設置できる。 三つの態様のエンジンは、前記部品が存在しない仮の場合に閉じている前記茸弁に接する筈の燃焼室内空間に前記部品の上部が突出している容積だけ、前記燃焼室の容積が減少する。従って、前記エンジンの前記燃焼室は、高圧縮比にできる。従って、第一目的を達成できる。 しかも、主シリンダーの内側にだけ頭上弁を設けるエンジンよりも、三つの態様のエンジンの吸気・排気弁の和の面積が増加する。従って、高速回転時の吸気・排気抵抗の量が減少する。従って、本発明のエンジンの出力は増加可能となる。 【発明を実施するための形態】 【0008】 第一実施形態を説明する。 第一実施形態は、第一態様に相当する。 1図と2図に示すピストン式エンジンは、シリンダーヘッド5、シリンダーブロック6、主シリンダー1、ピストン26、副シリンダー4、頭上弁25Aと25B、茸弁2を持つ。 ピストン26は、主シリンダー1内を往復運動する。燃焼室27は、シリンダーヘッド5とピストン26との間に形成される。燃焼室27は、更に主シリンダー1の外側に拡張される。燃焼室27の内壁面は第一部分と第ニ部分とを含む。第一部分は、ピストン26の上面に面した内壁面の部分です。第ニ部分は、主シリンダー1の外側に拡張された内壁面の部分です。燃焼室27は、主シリンダー1の外側の右側と主シリンダー1の外側の左側の両方に拡張できる。 副シリンダー4は、主シリンダー1の外側のシリンダーブロック6に設置される。 頭上弁25Aと25Bは、ピストン26の上面に面した前記第一部分に設置される。頭上弁25が開く時にガスが頭上弁25A、25Bと頭上弁25A、25Bの為のバルブシートとの間を通過する。 頭上弁25Aと25Bは、スプリング29Aと29Bを持つ。頭上弁25Aと25Bは、頭上弁25Aと25Bをリフトする第一の駆動装置として、カム28Aと28Bを持つ。 頭上弁25Aが吸気弁として選ばれ頭上弁25Bが排気弁として選ばれるならば、ピストン26の吸入行程の間に、頭上弁25Aはカム28Aによって開かれ、ピストン26の排気行程の間に、頭上弁25Bはカム28Bによって開かれる。 頭上弁25Aの為のカム28Aと頭上弁25Bの為のカム28Bは、電磁式の装置または油圧式の装置で代替できる。 茸弁2は、主シリンダー1の外側に拡張された前記第ニ部分に設置される。前記第ニ部分に、複数の茸弁2が設置され得る。茸弁2の底面3は、茸弁2の傘部の底面です。茸弁2の傘部の上面の外周に、茸弁2が閉じる時に茸弁2の為の第二のバルブシート16と密着する面を設ける。茸弁2は、茸弁2に接するカム30を持つ。 茸弁2が開く時に、吸気または排気ガスが茸弁2と第二のバルブシート16との間を通過する。すなわち、茸弁2は、吸気茸弁または排気茸弁として使用され得る。 茸弁2が吸気弁として使用される時は、ピストン26の吸入行程の間に、茸弁2はカム30によって開かれる。 茸弁2が排気弁として使用される時は、ピストン26の排気行程の間に、茸弁2はカム30によって開かれる。 茸弁2をリフトする第二の駆動部は、カム30を含む。 茸弁2の為のカム30は、電磁式の装置または油圧式の装置で代替できる。 【0009】 吸気弁と排気弁の設置例を三つ説明する。三つの設置例は、頭上弁25Aと25Bと茸弁2に関する。 三つの設置例に示す事は、特許文献3に示されていない。 三つの設置例では、頭上弁の数と茸弁の数との和の数を三以上とする。 第一の例では、前記第ニ部分に複数の排気茸弁が設置され、前記第ニ部分に設置される茸弁が排気茸弁だけに限定される。この要素は、特許文献3に示されていない。前記第一部分に少なくとも一つの吸気頭上弁が設置される。 従って、第一の例では、特許文献1と特許文献3のエンジンよりも、前記第ニ部分に設置される排気茸弁の数と面積を増加できる。 排気茸弁が開く時に、後記のバルブ・カバー7の上面8によって底面3が覆われ、排気茸弁の底面3が燃焼ガスに接しない。すると、特許文献1の排気茸弁よりも、排気茸弁の温度が高くならない。前記第ニ部分に設置される排気茸弁だけを低温にできる。この為に、このエンジンは第ニの目的の一部を達成できる。 圧縮リング9の上面と下面が燃焼ガスに曝されない。従って、特許文献2に記載された第三態様の摺動する弁を排気弁として使用する場合よりも、圧縮リング9の温度が高くならない。 第一の例では、特許文献3の排気茸弁よりも、前記第ニ部分に設置された一つの排気茸弁を通過する既燃焼ガスの量が減少し、複数の排気茸弁の最高温度が低下する。この為、特許文献3よりも、第一の例の耐ノッキング性が向上する。 【0010】 第二の例を説明する。 前記第ニ部分に複数の吸気茸弁が設置され、前記第ニ部分に設置される茸弁が吸気茸弁だけに限定される。この要素は、特許文献3に示されていない。前記第一部分に少なくとも一つの排気頭上弁が設置される。従って、第二の例では、特許文献1と特許文献3のエンジンよりも、吸気茸弁の数と面積を増加できる。 【0011】 3図を使って、第三の例を説明する。 燃焼室27の内壁面の前記第一部分に一以上の任意の数の頭上弁が設置され、前記第一部分に設けられる全ての頭上弁は吸気茸弁33である。そして、主シリンダー1の外側に拡張される第ニ部分に排気茸弁34が設けられる。第一の例の排気茸弁の温度の説明と同じ理由により、排気茸弁34の温度の上昇を制限できる。排気茸弁34が吸気の充填率を低下させない。この為に、このエンジンは第ニの目的を完全に達成できる。吸気茸弁33の温度は高くならない。 この設定によると、燃焼室の壁面に、従来の技術の欄に記載した排気茸弁よりも高温の部分が存在しない。従って、ピストンが高負荷の時に、燃焼室の全ての壁面に添って混合気の消炎層が形成される。 この結果、特許文献1と特許文献3のエンジンよりも、火花点火式エンジンの耐ノッキング性が向上する。すると、このエンジンの圧縮比は増加でき、このエンジンの熱効率は向上する。この為に、このエンジンは第三の目的を達成できる。 ピストン・エンジンは、一組の吸気弁と排気弁を持つならば、運転が可能です。従って、頭上弁と茸弁2の和の中に少なくとも一組の吸気弁と排気弁が含まれれば、第一実施形態では、一組の吸気弁と排気弁以外の弁は、吸気弁と排気弁の内のどちらかに選定されても、運転が可能です。 頭上弁の数と茸弁の数との和の数を三以上とする。 頭上弁は25Aと25Bの二つであると説明したが、頭上弁の数と茸弁の数との和の数を三以上とするなら、頭上弁の数は一以上の任意の数とする事ができる。また、頭上弁の数と茸弁の数との和の数を三以上とするなら、上記の三つの例と異なって、吸気弁又は排気弁の設定は変更可能です。 【0012】 第一実施形態のピストン・エンジンは、バルブ・カバー7を持つ。 バルブ・カバー7は、副シリンダー4内を往復運動する。バルブ・カバー7は、茸弁2の底面3を覆う部品である。バルブ・カバー7は、自身の上部が燃焼室27の内部空間に突出して位置する部品です。 バルブ・カバー7は、筒状側面と上面と裏面を持つ。前記筒状側面の下部は副シリンダー4の内壁面に面する。 バルブ・カバー7と茸弁2は、茸弁2をリフトするカム30によって駆動される。カム30は、第二の駆動部です。 茸弁2の軸部の中心軸の延長と副シリンダー4の中心軸は一致するか又は凡そ平行に設定される。従って、カム30によって茸弁2がリフトされる時には、バルブ・カバー7は茸弁2と共に移動し、バルブ・カバー7の下部は副シリンダー4内を移動する。従って、茸弁2の為のカム30は、バルブ・カバー7をリフトする駆動装置としても機能する。 茸弁2のバルブシート16と副シリンダー4の上端10の間に、空間が形成される。上端10は、燃焼室27内の空間に面する。 バルブ・カバー7の筒状側面に、圧縮リング9用のリング溝は設置される。このリング溝に、圧縮リング9は設置される。この要素は、特許文献3に示されていない。 【0013】 茸弁2が閉じる時に、圧縮リング9は、副シリンダー4の内壁と前記リング溝の間に挟まれる。茸弁2が閉じる時に圧縮リング9が副シリンダー4の内壁とバルブ・カバー7の筒状側面の間に挟まれて設置されているので、バルブ・カバー7と副シリンダー4の内壁との間の隙間を通って、燃焼室27内の空間から副シリンダー4内のバルブ・カバー7が存在しない空間へ燃焼ガスが流失しない様に、燃焼室27は圧縮リング9によってシールされる。 バルブ・カバー7の上面8と茸弁2の底面3を密着させる為に、バルブ・カバー7の裏面に接して、バルブ・カバー7の為のスプリング12が設置される。スプリング12によって、バルブ・カバー7は茸弁2の底面に押し付けられる。この為、カム30とスプリング12によって、バルブ・カバー7と茸弁2が一体に駆動される。 スプリング12は、第二のバルブシートと茸弁2とバルブ・カバー7が密着される為の手段の中の一つです。 スプリング12は、バルブ・カバー7を第二のバルブシート16に向けて押す装置です。 スプリング12は、茸弁2に接して設置され得るバルブスプリングと同じ働きをする。茸弁2に接するバルブスプリングは、1図に示す実施例では設置されていない。この為、バルブ・カバー7の為のスプリング12の設置により、茸弁2に接して設置されるスプリングの設置が省略され得る。すなわち、茸弁2の軸部に接して設置されるスプリングの設置は必須ではない。勿論、茸弁2の軸部に接して設置されるスプリングは増設され得る。 【0014】 ピストンが燃焼行程である間に、バルブ・カバー7の筒状側面と副シリンダー4の内壁との間の隙間を通って、燃焼ガスがリング溝に流入する。この流入する燃焼ガスは一方向に流れる。すると、スプリング12を圧縮する方向の力が圧縮リング9に加わる。すると、燃焼ガスがバルブ・カバー7を押す。従って、スプリング12の強さは、圧縮リング9に加わる燃焼ガス圧力に勝る必要がある。 バルブ・カバー7は、茸弁2が閉じている時には駆動されない。従って、ピストンが燃焼行程である時に、バルブ・カバー7は移動しない。従って、バルブ・カバー7の焼き付きは、発生し難い。 【0015】 1図では、バルブ・カバー7の上面8と茸弁2の底面3が密着している状態がバルブ・カバー7と茸弁2の境目に描かれる実線として表示される。1図では、両者が密着している状態を示す実線から二本の引出し線が描かれている。二本の引出し線は、符号8の為の引出し線と符号3の為の引出し線です。前記の実線がバルブ・カバー7の上面8と茸弁2の底面3を表す。この為、二本の引出し線がそれぞれ反対方向に描かれる。 バルブ・カバー7の上面8と茸弁2の底面3が密着する時、バルブ・カバー7と茸弁2の底面3との間に、燃焼ガスが侵入しない。バルブ・カバー7の上面8の大きさと茸弁2の底面3の大きさは、等しい事が好ましい。この場合、バルブ・カバー7の上面8には、燃焼ガス圧力が作用しない。なお、バルブ・カバー7の上面8が茸弁2の底面3よりも大きい場合は、バルブ・カバー7の上面8に燃焼ガス圧力が作用する。 茸弁2はピストン26の燃焼行程の間に閉じる。茸弁2の底面3に接してバルブ・カバー7が位置する。すると、バルブ・カバー7が存在しない仮の場合に閉じている茸弁2の底面3に接する筈の主シリンダー1の外側に拡張された燃焼室内空間の大部分を実際にはバルブ・カバー7の上部が占拠する。その結果、バルブ・カバー7の上部が燃焼室内に突出している容積だけ、燃焼室27の容積が減少する。すると、特許文献1のエンジンよりも、燃焼室27の圧縮比が高くなる。従って、このエンジンは、第一の目的を達成できる。 【0016】 2図に関して、カム30によって茸弁2がリフトされる時には、バルブ・カバー7は茸弁2と共に移動する。茸弁2が最大にリフトされる時には、バルブ・カバー7の大部分は、副シリンダー4内に位置する。茸弁2が開く時に、ビストン上面に面する燃焼室27とエンジンの外部空間が連絡する。 第一実施形態では、茸弁2は、主シリンダー1の外側に拡張された燃焼室27の第一部分の壁面に設置される。また、頭上弁の数と茸弁の数との和の数を三以上としている。従って、主シリンダーの外側に茸弁を持たない従来例よりも、第一実施形態のエンジンの吸気弁と排気弁の面積の合計が増加する。第一実施形態では、頭上弁25Aと25Bは、ピストンの上面に面して設置される。従って、側弁式の特許文献3よりも、第一実施形態のエンジンの吸気弁と排気弁の面積の合計が増加する。 従って、エンジンが高速回転する時に、第一実施形態のエンジンの吸気と排気の効率が従来例よりも増加する。この効果は、特許文献1と特許文献3に示されていない。 特許文献3には、側弁式の吸気弁と排気弁の面積の増加に関する記載はない。 特許文献2には、頭上弁と摺動する弁を併設する記載がある。しかし、この記載は、第一実施形態と異なる。 【0017】 第二から第五までの実施形態は、第一実施形態の要素の代替です。これらの実施形態では、第一の目的を達成できる。 これらの実施形態では、第一実施形態との相違点だけが説明される。 第二実施形態を説明する。 4図に関して、副シリンダー4がシリンダーヘッド5に設置される。この場合、茸弁2に接するガス通路はシリンダーブロックに設置される。シリンダーの外側に設置される茸弁2は、サイドバルブです。 第三実施形態を説明する。 5図に関して、スプリング12に代えて、空気圧装置または油圧装置19または電磁式の装置または電気式の装置が使用される。これらの装置は、バルブ・カバー7の上面8を茸弁2の底面に押し付ける。これらの装置と第三のスプリング12は、バルブ・カバー7をバルブシート16に向けて押す装置です。 5図では、圧縮リング9に燃焼ガスの圧力が加わり、バルブ・カバーを押し下げます。この押し下げる力によってバルブ・カバーと茸弁の底面が隔離されてはなりません。 この押し下げる力以上の力で油圧装置19を含む上記の装置は、バルブ・カバーを茸弁2のバルブシート16の方向に向わせる。 【0018】 第四実施形態を説明する。 6図に関して、茸弁2とバルブ・カバー7は、一体に形成される。 6図では、茸弁2とバルブ・カバー7との仮想的な接合面を一点鎖線で示す。現実には、一点鎖線で示す接合面は存在しない。 6図に関して、バルブ・カバー7を押す第三のスプリング12を設置しない場合は、茸弁2の軸部に接する第二のスプリング31が第三のスプリング12の代替として機能する。第二のスプリング31は、茸弁2を引っ張る。この為、スプリング12の設置は省略され得る。 また、第三のスプリング12を設置するなら、茸弁2の軸部に接する第二のスプリング31の設置は省略され得る。 【0019】 第五実施形態を説明する。 7図に関して、副シリンダー4の内壁に圧縮リング9用のリング溝が設置される。そして、このリング溝に圧縮リング9が設置される。 圧縮リング9が燃焼ガスをシールする為には、茸弁2が閉じる時に、圧縮リング9は、バルブ・カバー7の筒状側面と副シリンダー4の内壁の間に挟まれて位置しなければならない。バルブ・カバー7の筒状側面にリング溝が形成されない。従って、このエンジンでは、圧縮リング9に加えられる燃焼ガスの力がバルブ・カバー7を下方に押さない。従って、7図に示すエンジンでは、1図に示すエンジンのスプリングよりも弱いスプリングが使用できる。 【0020】 以下に示す第六から第十までの実施形態は、第一から第五までの実施形態に加えられる。第六から第十までの実施形態は、第一から第五までの実施形態を改良する。 第六から第十までの実施形態は、特許文献1と特許文献3に記載されていない。 第八から第十までの実施形態と第六の実施形態は、特許文献2に記載されていない。 8図と9図を使って、第六実施形態を説明する。 第六実施形態は、第二態様に相当する。 副シリンダー4の一端10は、茸弁2の為の第二のバルブシート16に隣接する位置に設置される。副シリンダー4の茸弁2に隣接する部分は、圧縮リング9に面する副シリンダー4の部分と一体に形成されるか又はシリンダーヘッドの一部として形成され得る。茸弁2が開く時に、茸弁2の傘部は副シリンダー4の内側に位置する。 主シリンダー1の中心軸37と副シリンダー4の中心軸を結ぶ三点鎖線39と副シリンダー4の中心軸上で直交する四点鎖線38によって、バルブ・カバー7の前記筒状側面の茸弁2に隣接する部分の全周が二つの半周に区分される。 前記二つの半周は、主シリンダー1の中心軸37からの距離が近い第一の半周と主シリンダー1の中心軸37からの距離が遠い第二の半周です。 茸弁2に隣接するバルブ・カバー7の前記筒状側面が二つの半周面に区分される。前記二つの半周面は、前記第一の半周を持つ第一の半周面40と前記第二の半周を持つ第二の半周面35です。 第二の半周面35に面して、副シリンダー4の第二のバルブシートに隣接する部分が形成される。この部分は、符号番号4で示される副シリンダーとして、図9に描かれている。 主シリンダー1の外側に拡張された燃焼室の外側に位置する固定された壁が、第二の半周面35に面した副シリンダー4の内周面に接して形成される。 圧縮リング9に面する副シリンダー4の部分と一体に副シリンダー4の茸弁2に隣接する部分が形成される場合は、第二の半周面35に面した副シリンダー4の外周面36に接して形成される固定された壁と第二の半周面35に面した副シリンダー4が、主シリンダー1の外側に拡張された燃焼室の外側に位置する固定された壁です。 副シリンダー4の一端10付近に副シリンダー4の開口部18を設ける。開口部18は、第一の半周面40に面する。 茸弁2の為の第二のバルブシート16とエンジンの外部空間との間に、第一のガス通路11が設置される。 茸弁2が開いている間に主シリンダー1内空間と第一のガス通路11とを短距離で連絡する第二のガス通路21が設置される。第二のガス通路21の中に開口部18が含まれる。9図では、開口部18はニ点鎖線で示される。 第二のガス通路21は、前記第二部分に囲まれた燃焼室空間に含まれる。 主シリンダー1の外側に拡張される前記の第ニ部分に、複数の対のバルブ・カバー7と副シリンダー4と開口部18が設置できる。 【0021】 第六実施形態では、特許文献1と特許文献3に示すエンジンよりも、主シリンダー1の外側に拡張した燃焼室の容積が減少し、圧縮比は高くなる。 燃焼行程と膨張行程の間に、バルブ・カバー7の上部の筒状側面の一部に燃焼ガスの熱が加わる。 燃焼行程と膨張行程の間に、主シリンダー1の中心軸から副シリンダー4の中心軸に向かう方向に、燃焼ガスの圧力がバルブ・カバー7の筒状側面の茸弁2に隣接する部分に加わる。すると、バルブ・カバー7の筒状側面の茸弁2に隣接する部分を二つの半周面部分に別けた場合に、外周面36を持つ副シリンダー4の一部に、第二の半周面35が押し付けられて密着する。外周面36を持つ副シリンダー4の一部は、第二の半周面35に面する。密着した両面の間に燃焼ガスは流入できない。密着した両面に燃焼ガスの熱は流入できない。 すると、第六実施形態では、特許文献3に示すエンジンよりも、バルブ・カバー7の筒状側面に燃焼ガスの熱が加わる部分の面積が減少し、このエンジンの熱損失量が減少する。密着する面積が大きいほど、筒状側面の温度が低下する。従って、特許文献3に示すエンジンよりも、燃費が向上し、耐ノッキング性も向上する。 【0022】 第七実施形態を説明する。 第七実施形態は、第三態様に相当する。 従来の技術の欄に、燃焼ガスの変換効率の向上と高速回転時のトルクの増加の両立に関する問題を記載した。 この問題は、以下の設定により解決できる。第一実施形態から第六実施形態までに示すエンジンのピストンのストロークの長さはピストンの直径よりも小さく設定されない。すなわち、前記のエンジンのピストンのストロークの長さを主ピストンの直径とほぼ同等又は主ピストンの直径よりも大きくする。 この事により、ショート・ストローク化したエンジンよりも、燃焼ガスの変換効率を向上させる。また、ロング・ストローク・エンジンの高速回転の吸気効率の低下を改善させる。その結果、変換効率の向上と高速時のトルクの増加は両立できる。従って、第三目的を達成できる。 【0023】 10図を使った第八実施形態を説明する。 バルブ・カバー7の茸弁2に隣接する部分は、燃焼行程時に燃焼ガスによって加熱される。火花点火式エンジンでは、燃焼室内の高熱部がノッキングを発生させる。ピストン式エンジンでは、燃焼室内の高熱部が吸気の充填率を低下させる。 この問題を解決する為に、第一実施形態から第七実施形態までに示すエンジンに、噴射弁41を増設する。この噴射弁41は、バルブ・カバー7の茸弁2に隣接する部分の裏面に向けて油を吹き付ける。前記の裏面に接してスブリング12が設置される。すると、バルブ・カバー7の筒状側面の茸弁2に隣接する部分の温度が低くなる。すると、ノッキングが発生し難くなる。すると、圧縮比を高く設定でき、熱効率が向上する。従って、第三目的は達成される。 また、吸気の充填率は低下しない。 【0024】 第九実施形態を説明する。 11図に示すエンジンでは、第四実施形態を除く全ての実施形態に、以下の設定が加えられる。 バルブ・カバー7の茸弁2に接する面は凸型の曲面に形成され、茸弁2のバルブ・カバー7に接する面は凹型の曲面に形成される。それら二つの曲面の曲率は一致する。 1図に示すエンジンでは、燃焼室内圧力が急激に増加した時に、バルブ・カバー7の茸弁2に隣接する部分はピストン26と反対側に押し付けられる。そして、バルブ・カバー7の茸弁2に隣接する上部を変形させる。茸弁2の底面3は、変形しない。この時に、11図に示すエンジンでは、上記の二つの曲面の間に隙間が発生しない。上記の二つの曲面が密着している状態を実線として表示する。燃焼室内圧力が急激に増加した時に、11図の二つの曲面は隔離しない。 【0025】 第十実施形態を説明する。 7図に示すエンジンに関して、副シリンダー4の内壁に油が供給されるなら、毛管現象とバルブ・カバー7の移動によって、バルブ・カバー7の筒状側面と副シリンダー4の内壁との間の隙間に油が侵入する。吸入行程の間に、前記の隙間に侵入した油は燃焼室に吸い込まれる。すると、油の消費量が増加する。 これに対して、12図に示す様に、バルブ・カバー7の筒状側面にオイル・リング22を設置すると、油の消費量を制限できる。しかし、副シリンダー4の内壁に設置された圧縮リング9は移動しない。従って、圧縮リング9が油を移動できない。従って、12図に示す場合は、燃焼室の近くに設置された圧縮リング9の潤滑が不足する。 この問題は、以下の設定が加えられる事によって解決される。 13図に示す様に、燃焼室27の近くに設置される上部圧縮リング23は副シリンダー4の内壁に設置され、下部圧縮リング24がバルブ・カバー7の筒状側面に設置される。下部圧縮リング24と燃焼室27の間に上部圧縮リング23は設置される。茸弁2が閉じている時の下部圧縮リング24の上端は、上部圧縮リング23の下端に隣接して位置する。オイル・リング22と上部圧縮リング23の間に下部圧縮リング24は設置される。オイル・リング22は前記部品の筒状側面に設置される。 バルブ・カバー7が移動する時に、下部圧縮リング24も移動する。移動する下部圧縮リング24は、オイル・リング22によって除去され残った油を上部圧縮リング23の下端に移動させる。すると、上部圧縮リング23が潤滑される。 カムがバルブ・カバー7を最大に駆動する時の下部圧縮リング24の位置と茸弁2が閉じている時のオイル・リング22の位置との間に、油の噴出口を設ける。すると、下部圧縮リング24が移動させる油の量が増加する。 【図面の簡単な説明】 【0026】 【図1】 第一実施形態を説明する図。 【図2】 第一実施形態を説明する図。茸弁が開いた時の図。 【図3】 第一実施形態を説明する図。 【図4】 第一実施形態の要素の代替の図。 【図5】 第一実施形態の要素の代替の図。 【図6】 第一実施形態の要素の代替の図。 【図7】 第一実施形態の要素の代替の図。 【図8】 第二実施形態を説明する図。 【図9】 第二実施形態を説明する図。 【図10】 第一から第五までの実施形態を改良する実施例の図 【図11】 第一から第五までの実施形態を改良する実施例の図 【図12】 第一から第五までの実施形態を改良する実施例の図 【図13】 第一から第五までの実施形態を改良する実施例の図 【図14】 3RZ-FEエンジンと22R-Eエンジンの出力とトルクの図。 【図15】 日本特許公開番号2000-282814の燃焼室の図。 【図16】 日本特許出願番号2008-120801の第三態様のエンジンの図。 【図17】 日本特許公開番号2001-355470の第二図。 【符号の説明】 【0027】 1・・・主シリンダー 2・・・主シリンダーの外側に設ける茸弁 3・・・茸弁の底面 4・・・副シリンダー 5・・・シリンダーヘッド 6・・・シリンダーブロック 7・・・バルブ・カバー 8・・・バルブ・カバーの燃焼室内の空間に面した上面 9・・・圧縮リング 10・・・副シリンダーの上端 11・・・ガス通路 12・・・スプリング 13・・・バルブ・カバーの上面の茸弁の底面に接しない部分 14・・・サイド・バルブ 15・・・主シリンダーの外側に拡張した燃焼室内空間からバルブ・カバーが突出している部分を引いた燃焼室空間 16・・・茸弁のバルブシート 17・・・排気茸弁 18・・・副シリンダーの開口部 19・・・油圧装置 20・・・吸気茸弁 21・・・主シリンダーの内周と副シリンダーの開口部と連絡する通路 22・・・オイル・リング 23・・・上部圧縮リング 24・・・下部圧縮リング 25・・・頭上弁 26・・・ピストン 27・・・燃焼室 28・・・カム 29・・・頭上弁のスプリング 30・・・茸弁に接するカム 31・・・第四の弁の上部の部分に接する第二のスプリング 32・・・電磁式の駆動装置 33・・・吸気茸弁として使用される頭上弁 34・・・主シリンダーの外側に設ける排気茸弁 35・・・主シリンダーの中心軸からの距離が遠い第二の半周を持つバルブ・カバーの筒状側面の第二の半周面 36・・・第二の半周面に面した副シリンダーの前記茸弁に隣接する部分の外周面 37・・・主シリンダーの中心軸 38・・・主シリンダーの中心軸と副シリンダーの中心軸を結ぶ三点鎖線と副シリンダーの中心軸上で直交する直線 39・・・主シリンダーの中心軸と副シリンダーの中心軸を結ぶ三点鎖線 40・・・主シリンダーの中心軸からの距離が近い第一の半周を持つバルブ・カバーの筒状側面の第一の半周面 41・・・バルブ・カバーの茸弁に隣接する部分の裏面に油を吹き付ける噴射弁 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 燃焼室はピストンとシリンダーヘッドの間に形成され、前記燃焼室は主シリンダーの外側に拡張され、前記燃焼室の内壁面は第一部分と第ニ部分とを含み、前記第一部分は前記主シリンダー内に設置されるピストンの上面に面した内壁面の部分であり、前記第ニ部分は前記主シリンダーの外側に拡張された内壁面の部分であり、副シリンダーは前記主シリンダーの外側に設置され、前記第ニ部分に茸弁は設置され、前記茸弁は前記茸弁の軸部を駆動する第二の駆動装置を持ち、前記茸弁が開く時に気体が前記茸弁と前記茸弁の為の第二のバルブシートとの間を通過し、前記茸弁の傘部の底面を覆う部品が設けられ、前記部品は前記副シリンダー内を往復運動し、前記部品は筒状側面を持ち、前記第二のバルブシートと前記部品の間に前記傘部が位置し、前記第二のバルブシートと前記傘部と前記部品が密着される為の手段が設けられ、前記第二の駆動装置と前記手段とによって前記茸弁と前記部品が一体に駆動され、前記副シリンダーの内壁と前記部品の前記筒状側面の間に挟まれる位置に圧縮リングが設置され、前記茸弁の前記底面に接して前記部品が位置し、以上の諸要素を持つピストン式エンジンの前記燃焼室において、 頭上弁は前記第一部分に設置され、前記頭上弁が開く時に前記気体が前記頭上弁と前記頭上弁の為の第一のバルブシートとの間を通過し、前記頭上弁は第一のスプリングと第一の駆動装置とを持ち、 前記頭上弁と前記茸弁の和の中に、少なくとも一組の吸気弁と排気弁が含まれ、 前記頭上弁の数と前記茸弁の数との和の数を三以上とする事を特徴とする前記部品を持つピストン式エンジン。 【請求項2】 燃焼室はピストンとシリンダーヘッドの間に形成され、前記燃焼室は主シリンダーの外側に拡張され、前記燃焼室の内壁面は第一部分と第ニ部分とを含み、前記第一部分は前記主シリンダー内に設置されるピストンの上面に面した内壁面の部分であり、前記第ニ部分は前記主シリンダーの外側に拡張された内壁面の部分であり、副シリンダーは前記主シリンダーの外側に設置され、前記第ニ部分に茸弁は設置され、前記茸弁は前記茸弁の軸部を駆動する第二の駆動装置を持ち、前記茸弁の傘部の底面を覆う部品が設けられ、前記部品は前記副シリンダー内を往復運動し、前記部品は筒状側面を持ち、前記茸弁の為の第二のバルブシートと前記部品の間に前記傘部が位置し、前記第二のバルブシートと前記傘部と前記部品が密着される為の手段が設けられ、前記第二の駆動装置と前記手段とによって前記茸弁と前記部品が一体に駆動され、前記副シリンダーの内壁と前記部品の前記筒状側面の間に挟まれる位置に圧縮リングが設置され、前記茸弁の前記底面に接して前記部品が位置し、以上の諸要素を持つピストン式エンジンの前記燃焼室において、 頭上弁は前記第一部分に設置され、前記頭上弁が開く時に前記気体が前記頭上弁と前記頭上弁の為の第一のバルブシートとの間を通過し、前記頭上弁は第一のスプリングと第一の駆動装置とを持ち、 前記頭上弁と前記茸弁の和の中に、少なくとも一組の吸気弁と排気弁が含まれ、 前記第ニ部分に複数の排気茸弁が設置され、前記第ニ部分に設置される全ての前記茸弁は排気茸弁に限定され、 前記第一部分に少なくとも一つの吸気頭上弁が設置される事を特徴とする前記部品を持つピストン式エンジン。 【請求項3】 前記第ニ部分に複数の吸気茸弁が設置され、前記第ニ部分に設置される前記茸弁は吸気茸弁に限定され、 前記第一部分に少なくとも一つの排気頭上弁が設置される事を特徴とする前記請求項1に記載された前記部品を持つピストン式エンジン。 【請求項4】 燃焼室はピストンとシリンダーヘッドの間に形成され、前記燃焼室は主シリンダーの外側に拡張され、前記燃焼室の内壁面は第一部分と第ニ部分とを含み、前記第一部分は前記主シリンダー内に設置されるピストンの上面に面した内壁面の部分であり、前記第ニ部分は前記主シリンダーの外側に拡張された内壁面の部分であり、副シリンダーは前記主シリンダーの外側に設置され、前記第ニ部分に茸弁は設置され、前記茸弁は前記茸弁の軸部を駆動する第二の駆動装置を持ち、前記茸弁が開く時に気体が前記茸弁と前記茸弁の為の第二のバルブシートとの間を通過し、前記茸弁の傘部の底面を覆う部品が設けられ、前記部品は前記副シリンダー内を往復運動し、前記部品は筒状側面を持ち、前記茸弁の為の前記第二のバルブシートと前記部品の間に前記傘部が位置し、前記第二のバルブシートと前記傘部と前記部品が密着される為の手段が設けられ、前記第二の駆動装置と前記手段とによって前記茸弁と前記部品が一体に駆動され、前記副シリンダーの内壁と前記部品の前記筒状側面の間に挟まれる位置に圧縮リングが設置され、前記茸弁の前記底面に接して前記部品が位置し、以上の諸要素を持つピストン式エンジンの前記燃焼室において、 前記第一部分に一以上の任意の数の頭上弁が設置され、前記第一部分に設けられる全ての前記頭上弁は吸気頭上弁であり、 前記頭上弁は第一のスプリングと第一の駆動装置とを持ち、 前記頭上弁の数と前記茸弁の数との和の数を三以上とし、 前記第ニ部分に排気茸弁が設けられる事を特徴とする前記部品を持つピストン式エンジン。 【請求項5】 前記副シリンダーの一端は前記第二のバルブシートに隣接する位置に設置され、 前記主シリンダーの中心軸と前記副シリンダーの中心軸を結ぶ直線と前記副シリンダーの前記中心軸上で直交する直線によって、前記部品の前記筒状側面の前記茸弁に隣接する部分の全周が二つの半周に区分され、 前記二つの半周は、前記主シリンダーの前記中心軸からの距離が近い第一の半周と前記主シリンダーの前記中心軸からの距離が遠い第二の半周であり、 前記部品の前記筒状側面の前記茸弁に隣接する前記部分が二つの半周面に区分され、 前記二つの半周面は、前記第一の半周を持つ第一の半周面と前記第二の半周を持つ第二の半周面であり、 前記第二の半周面に面して、前記副シリンダーの前記第二のバルブシートに隣接する部分が形成され、 前記主シリンダーの外側に拡張された前記燃焼室の外側に位置する固定された壁が、前記第二の半周面に面した前記副シリンダーの内周面に接して形成され、 前記副シリンダーの前記の一端付近に前記副シリンダーの開口部を設け、前記開口部は前記第一の半周面に面し、 前記第二のバルブシートと前記エンジンの外部空間との間に第一のガス通路が設置され、 前記茸弁が開いている間に前記主シリンダー内空間と前記第一のガス通路とを短距離で連絡する第二のガス通路が設置され、前記第二のガス通路の中に前記開口部が含まれる事を特徴とする前記請求項1から前記請求項4までのいずれか一項に記載された前記部品を持つピストン式エジン。 【請求項6】 前記エンジンの前記ピストンのストロークの長さが前記ピストンの直径よりも小さく設定されない事を特徴とする前記請求項1から前記請求項5までのいずれか一項に記載された前記部品を持つピストン式エジン。 【請求項7】 前記部品の前記茸弁に隣接する部分の裏面に向けて油を吹き付ける噴射弁を増設し、前記の裏面に接して第三のスブリングが設置される事を特徴とする前記請求項1から前記請求項5までのいずれか一項に記載された前記部品を持つピストン式エジン。 【請求項8】 前記副シリンダーに、前記圧縮リングの為の溝は設置され、 前記の溝に前記圧縮リングは設置される事を特徴とする前記請求項1または前記請求項2または前記請求項4に記載された前記部品を持つピストン式エジン。 【請求項9】 前記部品の前記茸弁に接する面は凸型の曲面に形成され、前記茸弁の前記部品に接する面は凹型の曲面に形成され、それら二つの曲面の曲率は一致し、 前記部品と前記茸弁を一体化せず、 前記部品と前記茸弁の前記傘部が接して位置する事を特徴とする前記請求項1または前記請求項5に記載された前記部品を持つピストン式エジン。 【請求項10】 上部圧縮リングは前記副シリンダーの内壁に設置され、前記上部圧縮リングは前記燃焼室の近くに設置され、 下部圧縮リングは前記部品の筒状側面に設置され、 前記下部圧縮リングと前記燃焼室の間に前記上部圧縮リングは設置され、 前記茸弁が閉じている時の前記下部圧縮リングの上端は、前記上部圧縮リングの下端に隣接して位置し、 オイル・リングは前記部品の前記筒状側面に設置され、 前記オイル・リングと前記上部圧縮リングの間に前記下部圧縮リングは設置される事を特徴とする前記請求項1または前記請求項5に記載された前記部品を持つピストン式エンジン。 【請求項11】 前記部品を前記第二のバルブシートに向けて押す装置が前記手段であり、 前記部品を前記第二のバルブシートに向けて押す前記装置として前記部品に接して設置される第三のスプリングが使用され、 前記第三のスプリングは前記燃焼室内の空間に面しない事を特徴とする前記請求項1または前記請求項5に記載された前記部品を持つピストン式エンジン。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2010-11-29 |
出願番号 | 特願2009-241923(P2009-241923) |
審決分類 |
P
1
41・
853-
Y
(F02D)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 亀田 貴志、山中 なお |
特許庁審判長 |
深澤 幹朗 |
特許庁審判官 |
西山 真二 中川 隆司 |
登録日 | 2010-07-30 |
登録番号 | 特許第4558090号(P4558090) |
発明の名称 | 茸弁の傘部の底面を覆う部品を持つピストン式エンジン |