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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B65B
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 B65B
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 B65B
管理番号 1229192
審判番号 不服2009-14048  
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-08-06 
確定日 2010-12-24 
事件の表示 特願2002- 10004「容器の外装用チューブ嵌装装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 7月30日出願公開、特開2003-212221〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は,平成14年1月18日の出願であって,平成20年1月28日付けの拒絶理由通知(いわゆる最後の拒絶理由通知)に対して同年3月26日付けで明細書を対象とする手続補正がなされたが,平成21年4月28日付けで同手続補正を却下する決定がなされるとともに拒絶査定がなされ,これに対し,同年8月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに明細書を対象とする手続補正がなされたものである。その後,平成22年5月12日付けで,前置報告書の内容を通知する審尋を行い,期間を指定して回答書を提出する機会を与えたが,請求人から何ら応答がなかったものである。

第2.原査定
原査定における拒絶の理由の一つは,以下のとおりのものと認める。
「平成19年3月26日付けでした手続補正は,下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
補正後の請求項1には,『前記噴射ノズルから容器に水を噴射して該容器を湿らせてから前記一対のエアピースによって筒状に拡開された外装用チューブに前記ボトル押えバーを貫通降下させて』との記載がされているが,噴射ノズルから容器に水を噴射して容器を湿らせてから,ボトル押えバーを貫通降下させること(要すれば,水の噴射と,ボトル押えバーの貫通降下開始との前後関係)は,願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されておらず,願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項から自明でもない。」

第3.平成21年8月6日付けの手続補正についての補正却下の決定
〔補正の却下の決定の結論〕
平成21年8月6日付けの手続補正(以下,「本件補正」という)を却下する。
〔理由〕
1.本件補正の概要
本件補正は,平成19年3月26日付けで補正された明細書をさらに補正するもので,特許請求の範囲については,補正前に
「【請求項1】所定の方向に回転されるメインターレットと,このメインターレットの外周部に円周方向等ピッチで配置された複数組の外装用チューブ嵌装ヘッドと備え,前記メインターレットの回転により容器を搬送するとともに,嵌装位置において容器の胴部に上記各外装用チューブ嵌装ヘッドによって外装用チューブを嵌装するようにした容器の外装用チューブ嵌装装置であって,前記各外装用チューブ嵌装ヘッドは,容器を支持して昇降可能なボトル載置台と,昇降自在に設けられるとともに前記ボトル載置台上に支持された容器のキャップを押圧するボトル押えバ-と,扁平な状態の外装用チューブにおける外方側の両壁を吸着保持して筒状に拡開させる一対のエアピースと,前記容器へ水を噴射する噴射ノズルとを備え,前記噴射ノズルから容器に水を噴射して該容器を湿らせてから前記一対のエアピースによって筒状に拡開された外装用チューブに前記ボトル押えバーを貫通降下させて,該ボトル押えバーとボトル載置台とによって容器を挟持し,その状態の容器と前記一対のエアピースに保持した筒状の外装用チューブとを上下方向に相対移動させることにより,上記容器の胴部に外装用チューブを嵌装することを特徴とする容器の外装用チューブ嵌装装置。
【請求項2】前記ボトル載置台とボトル押えバ-とで容器を挟持した状態で前記ボトル載置台とボトル押えバ-が上下動して,前記一対のエアピースに保持されている外装用チューブを容器の胴部に嵌装させる請求項1に記載の容器の外装用チューブ嵌装装置。
【請求項3】前記一対のエアピースが上下動して,外装用チューブを前記ボトル載置台とボトル押えバ-とで挟持されている容器の胴部に嵌装させる請求項1に記載の容器の外装用チューブ嵌装装置。
【請求項4】前記一対のエアピースが,外装用チューブを容器の胴部に装着時に瞬間的に閉じられて外装用チューブを容器の胴部に押し付けるように構成されている請求項1?3のいずれかに記載の容器の外装用チューブ嵌装装置。」
とあるのを,次のとおりに補正するものである。

「【請求項1】所定の方向に回転されるメインターレットと,このメインターレットの外周部に円周方向等ピッチで配置された複数組の外装用チューブ嵌装ヘッドとを備え,前記メインターレットの回転により容器を搬送するとともに,嵌装位置において容器の胴部に上記各外装用チューブ嵌装ヘッドによって外装用チューブを嵌装するようにした容器の外装用チューブ嵌装装置であって,容器が前記メインターレットに供給される直前に容器の胴部における外装用チューブ嵌装位置に水を噴射する噴射ノズルを設け,また前記各外装用チューブ嵌装ヘッドは,容器を支持して昇降可能なボトル載置台と,昇降自在に設けられるとともに前記ボトル載置台上に支持された容器のキャップを押圧するボトル押えバーと,扁平な状態の外装用チューブにおける外方側の両壁を吸着保持して筒状に拡開させる一対のエアピースとを備え,容器が前記メインターレットに供給される直前に前記噴射ノズルから水を噴射して該容器の胴部における外装用チューブ嵌装位置を湿らせた状態とし,前記一対のエアピースによって筒状に拡開された外装用チューブに前記ボトル押えバーを貫通降下させて,該ボトル押えバーとボトル載置台とによって容器を挟持し,その状態の容器と前記一対のエアピースに保持した筒状の外装用チューブとを上下方向に相対移動させることにより,上記容器の胴部における外装用チューブ嵌装位置に外装用チューブを嵌装することを特徴とする容器の外装用チューブ嵌装装置。
【請求項2】前記ボトル載置台とボトル押えバーとで容器を挟持した状態で前記ボトル載置台とボトル押えバーが上下動して,前記一対のエアピースに保持されている外装用チューブを容器の胴部に嵌装させる請求項1に記載の容器の外装用チューブ嵌装装置。
【請求項3】前記一対のエアピースが上下動して,外装用チューブを前記ボトル載置台とボトル押えバーとで挟持されている容器の胴部に嵌装させる請求項1に記載の容器の外装用チューブ嵌装装置。
【請求項4】前記一対のエアピースが,外装用チューブを容器の胴部に装着時に瞬間的に閉じられて外装用チューブを容器の胴部に押し付けるように構成されている請求項1?3のいずれかに記載の容器の外装用チューブ嵌装装置。」

2.目的要件
補正前の請求項1には,「前記噴射ノズルから容器に水を噴射して該容器を湿らせてから前記一対のエアピースによって筒状に拡開された外装用チューブに前記ボトル押えバーを貫通降下させて」と記載されており,容器を湿らせた後にボトル押えバーを貫通降下させることが明確に記載されていたといえるところ,補正後の請求項1には,そのことが記載されていない。
この点についてさらに詳述する。補正後の請求項1には,「容器が前記メインターレットに供給される直前に前記噴射ノズルから水を噴射して該容器の胴部における外装用チューブ嵌装位置を湿らせた状態とし」と記載されているから,容器を湿らせる工程は,容器がメインターレットに供給される工程の直前に行われるのであって,ボトル押えバーを貫通降下させる工程よりも前に行われるとはいえない。また,補正後の請求項1における「容器が前記メインターレットに供給される直前に前記噴射ノズルから水を噴射して該容器の胴部における外装用チューブ嵌装位置を湿らせた状態とし,前記一対のエアピースによって筒状に拡開された外装用チューブに前記ボトル押えバーを貫通降下させて,」との記載は,「容器が前記メインターレットに供給される直前に前記噴射ノズルから水を噴射して該容器の胴部における外装用チューブ嵌装位置を湿らせた状態とし」との工程が「前記一対のエアピースによって筒状に拡開された外装用チューブに前記ボトル押えバーを貫通降下させて」との工程よりも前に行われることを特定したものとは解されない。そのように解した場合は,前記「容器が前記メインターレットに供給される直前に前記噴射ノズルから水を噴射して該容器の胴部における外装用チューブ嵌装位置を湿らせた状態とし」との記載と矛盾することになるし,実施例とも整合しないことになるからである。すなわち,段落【0015】に「ボトルがメインターレットに供給される直前に図示しない噴射ノズルにより水道水又は清浄水が噴射され,湿った状態になっている」とある記載及び図3によれば,容器を湿らせるのは,容器がメインターレットに供給されるP3の直前であって,少なくとも,ボトル押えバーが下降を開始するP2よりも後の時点というべきである。
したがって,本件補正は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。また,本件補正が誤記の訂正や明りょうでない記載の釈明を目的とするものでないことは明らかである。

3.むすび
以上のとおりであるから,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

4.付言
仮に,本件補正が,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとしても,本件補正後の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下,「本願補正発明」という)は,特許出願の際独立して特許を受けることができるものではなく,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反し,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものであると判断されるので,以下に付言する。

前置報告書において提示された,本願の出願前に頒布された刊行物である特開2000-289715号公報(以下,「引用例1」という)には,図面とともに,次の事項が記載されている。
1a)「【0006】
【発明の実施の形態】上記の発明のラベルチューブ嵌装装置の全体構成としては,図2に見るように,ウェブ状に折り畳まれたラベルチューブを,1枚ずつに切断しメインターレットAに供給するラベルチューブ供給装置であるサッカーターレットB,供給されたラベルチューブをエアピースなどにより引き拡げ,挿入ガイドを挿入し,該挿入ガイドで引き伸ばして拡張した状態にする伸長部[(イ)→(ニ)],該拡張した状態でボトルなどを挿入して上記挿入ガイドを引き抜くことにより,ラベルチューブが復元して収縮する力でボトルなどに嵌装する装着部[(ホ)→(チ)],コンベヤ等の供給装置からボトルを取り入れる取入部およびラベルチューブ嵌装ボトルを送出する排出部からなるメインターレットA,ボトル供給装置である供給スターホイールCおよび排出装置である排出スターホイールDからなる。
【0007】より具体的には,メインターレットAにおけるラベルチューブの嵌装は以下のように行われる。図3(a)を参照して,伸長部において,サッカーターレットBから供給されたラベルチューブ11は,1対のエアピース12,13により吸着保持され,エアピースが矢印のように開くことにより,開かれる[(イ)→(ロ)]。ついで,挿入ガイド14が挿入され(ハ),ボトル15を挿入するのに十分な大きさに押し拡げる(ニ)。同図(b)(c)を参照して,上記のラベルチューブの伸長工程中にボトルテーブル16上に供給されたボトル15に対し,十分に拡げられたラベルチューブ中をパイロット17が矢印のように降下してボトル15の上部を固定し[(ホ)],ボトルテーブル16によってボトル15は矢印のように上昇し,ラベルチューブ11中に挿入される[(ヘ)]。このとき,上側のエアピース12は矢印のように退避する。次いで,ボトルの挿入が終ったとき,上側のエアピース12は矢印のように進んでラベルチューブ11を保持する一方,下側のエアピース13が矢印のように開いて挿入ガイド14を開放し[(ト)],挿入ガイド14は下降してラベルチューブから離脱する[(チ)]。同図(d)を参照して,ラベルチューブ11を嵌装したボトル15は,パイロット17で頭部を固定したまま下降し[(リ)],次いでパイロットが上昇して一連の工程を修了する[(ヌ)]。ボトルは排出され,エアピース12,13に新しいラベルチューブが供給されて(イ)に戻る。」
1b)「また,(へ)の状態でのラベルチューブ11の開き径はボトル15の直径より狭く,ボトル15がラベルチューブおよびエアピースを押し拡げて進入するようにされているが,これは,ストレッチ量を過大にして非可逆的な延伸が生じることのないようにするだけでなく,ラベルチューブ11の上端側からボトルに嵌装するようにすれば,一種のしごき効果により,嵌装時にラベルチューブのたるみも引き延ばされ,しわなどが生じる恐れがないためである。しかし,条件により,ボトル直径よりも広くなるように条件設定することも可能である。」(段落【0008】)
上記記載事項1a及び図2を参照すると,供給スターホイールCからメインターレットAの外周部に順次供給されるボトルは,メインターレットAの回転とともに周回した後に排出スターホイールDに送出されることが看取できる。また,上側のエアピース12,下側のエアピース13,挿入ガイド14,ボトルテーブル16及びパイロット17は,メインターレットAの外周部に複数配置されることが理解される。
以上を総合すると,引用例1には,次の発明(以下,「引用発明」という)が記載されているといえる。
「メインターレットA,サッカーターレットB,供給スターホイールC及び排出スターホイールDからなるラベルチューブ嵌装装置であって,メインターレットAの外周部には,一対のエアピース12,13,挿入ガイド14,ボトルテーブル16及びパイロット17が複数配置され,供給スターホイールCからメインターレットAのボトルテーブル16上に供給されたボトルは,メインターレットAの回転とともに周回した後に,排出スターホイールDに送出されるようになっており,サッカーターレットBから供給されたラベルチューブ11は,1対のエアピース12,13により吸着保持されて開かれた後に,挿入ガイド14が挿入されてボトル15を挿入するのに十分な大きさに拡げられ,拡げられたラベルチューブ11中をパイロット17が降下して,該ラベルチューブ11の伸長工程中にボトルテーブル16上に供給されたボトル15の上部が固定され,その後,ボトル15は,ボトルテーブル16によって上昇してラベルチューブ11中に挿入され,1対のエアピース12,13と挿入ガイド14の作用によってラベルチューブ11が嵌装された後に,パイロット17で頭部が固定されたまま下降し,次いでパイロット17が上昇して一連の工程が終了するようにしたラベルチューブ嵌装装置。」

同じく前置報告書において提示された,本願の出願前に頒布された刊行物である特表2000-500723号公報(以下,「引用例2」という)には,図面とともに,次の事項が記載されている。
2a)「ラベル(2)が,周囲面と永久接着を形成することなく,静電充電および/またはラベルおよび/またはびんの液体湿潤により,びん等に装着されることを特徴とする請求項11ないし17のいずれかに記載の方法。」(請求項18)
2b)「図3はラベルバンド21を加工するためのラベル貼付機械を示し,ラベルバンド21はロール20から引き出される。図示の機械は連続的に回転駆動可能な回転テーブル15を有し,回転テーブル15はピッチ円36上に等間隔に配置された制御回転可能なトレー16を有している。びん1の搬入および搬出は,それ自身既知のように,詳細には図示されていない搬入星形車17および搬出星形車18内で行われ,これらの星形車のピッチ円は回転テーブル15のピッチ円36と接している。搬入星形車と搬出星形車との間にびん案内アーチ19が配置されている。回転テーブル15の上方に図示されていない上部部分が存在し,上部部分は回転テーブル15に同期して正しい位置で回転し,かつ各トレー16に付属の,制御されて上昇および下降可能な芯出しベルを有し,芯出しベルはトレー16と付属の芯出しベルとの間にびん1を軸方向に挟み付けるように作動する。」(第9頁第25行?第10頁第7行)
2c)「回転テーブル15の回転方向に見て搬入星形車17の後方領域内に,びん1の外表面を濡らすための噴霧ノズル30が位置固定に位置決めされている。びん1を濡らために,たとえばイオン化されたスチームまたは水を使用してもよい。」(第10頁第7?10行)

周知例として引用する,本願の出願前に頒布された刊行物である特開2001-114285号公報(以下,「引用例3」という)には,次の事項が記載されている。
3a)「ラベルを接着する時期は,ボトルに内容物を充填する前でも良いし,充填時や充填直後でも良いし,充填後の消毒や冷却が終了した後でも良く,任意である。」(段落【0039】)

本願補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「ボトル15」,「ラベルチューブ11」,「ボトルテーブル16」及び「パイロット17」は,それぞれ本願補正発明の「容器」,「外装用チューブ」,「ボトル載置台」及び「ボトル押えバー」に相当し,引用発明における一対のエアピース12,13,挿入ガイド14,ボトルテーブル16及びパイロット17からなる構成は,本願補正発明の「外装用チューブ嵌装ヘッド」に相当する。
したがって,本願補正発明と引用発明は,本願補正発明の表記にできるだけしたがえば,
「所定の方向に回転されるメインターレットと,このメインターレットの外周部に配置された複数組の外装用チューブ嵌装ヘッドとを備え,前記メインターレットの回転により容器を搬送するとともに,嵌装位置において容器の胴部に上記各外装用チューブ嵌装ヘッドによって外装用チューブを嵌装するようにした容器の外装用チューブ嵌装装置であって,前記各外装用チューブ嵌装ヘッドは,容器を支持して昇降可能なボトル載置台と,昇降自在に設けられるとともに前記ボトル載置台上に支持された容器の頭部側を押圧するボトル押えバーと,扁平な状態の外装用チューブにおける外方側の両壁を吸着保持して筒状に拡開させる一対のエアピースとを備え,前記一対のエアピースによって筒状に拡開された外装用チューブに前記ボトル押えバーを貫通降下させて,該ボトル押えバーとボトル載置台とによって容器を挟持し,その状態の容器と前記一対のエアピースに保持した筒状の外装用チューブとを上下方向に相対移動させることにより,上記容器の胴部における外装用チューブ嵌装位置に外装用チューブを嵌装することを特徴とする容器の外装用チューブ嵌装装置。」の点で一致し,次の点で相違する。
[相違点1]
本願補正発明は,容器の胴部における外装用チューブ嵌装位置に水を噴射する噴射ノズルを設け,容器がメインターレットに供給される直前に該噴射ノズルから水を噴射して容器の胴部における外装用チューブ嵌装位置を湿らせた状態とするのに対して,引用発明は,そのようなものでない点。
[相違点2]
本願補正発明の外装用チューブ嵌装ヘッドは,メインターレットの外周部に円周方向等ピッチで配置されるのに対して,引用発明における一対のエアピース12,13,挿入ガイド14,ボトルテーブル16及びパイロット17からなる構成は,メインターレットAの外周部に複数配置されるものであるが,円周方向等ピッチで配置されるか否かは明らかでない点。
[相違点3]
本願補正発明のボトル押えバーは,容器のキャップを押圧するのに対して,引用発明のパイロット17は,ボトル15の頭部を押圧するものであるが,キャップを押圧するか否かは明らかでない点。
相違点1について検討する。引用例2には,ラベルをびんの液体湿潤により装着する方法であって,回転テーブルの回転方向に見て搬入星形車の後方に設けた噴霧ノズルにより,びんの外表面を水で濡らすことが記載されている(記載事項2a及び2c参照)。引用発明において,ボトルのラベルチューブ嵌装位置に水を噴射するノズルを設け,該ノズルから水を噴射してボトルのラベルチューブ嵌装位置を湿らせた状態とすることは,引用例2を参酌することにより,当業者が容易に想到し得たことである。また,水を噴射するタイミングをボトルがメインターレットに供給される直前とすることは,当業者が適宜なし得た設計事項に過ぎない。したがって,相違点1は,引用例2を参酌することにより,当業者が容易に想到し得たことである。
相違点2について検討する。引用発明は,供給スターホールCからメインターレットAの外周部にボトル15が次々と連続して供給され,各ボトル15はメインターレットAとともに周回する間にラベルチューブ11が嵌装されるものであるところ,メインターレットAは等速度で回転し,各ボトル15はメインターレットAの外周部に等ピッチで供給されると解するのが相当である。したがって,引用発明における一対のエアピース12,13,挿入ガイド14,ボトルテーブル16及びパイロット17からなる構成は,メインターレットAの外周部に円周方向等ピッチで配置されると解するのが相当であるから,相違点2は実質的な相違点とはいえない。容器にラベルを貼付する装置において,回転テーブル15(本願補正発明の「メインターレット」に相当)の外周部にトレー16(本願補正発明の「外装用チューブ嵌装ヘッド」の一部に相当)を円周方向等ピッチで配置することは引用例2にも記載されている(記載事項2b参照)。
相違点3について検討する。ラベルの取付けを,ボトルに内容物を充填した後に行うこと,したがってキャップを装着した後に行うことは,引用例3に示されるように従来からよく知られている(記載事項3a参照)。相違点3は,この周知技術を参酌することにより,当業者が容易に想到し得たことである。
以上のことから,本願補正発明は,引用発明,引用例2に記載された発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができない。

第4.本願発明
本件補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1ないし請求項4に係る発明は,平成19年3月26日付けで補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項4に記載された事項により特定されるとおりのものである。

第5.新規事項
平成19年3月26日付けでした手続補正は,請求項1に「前記噴射ノズルから容器に水を噴射して該容器を湿らせてから前記一対のエアピースによって筒状に拡開された外装用チューブに前記ボトル押えバーを貫通降下させて」との事項を追加する補正事項を含むものである。
しかし,噴射ノズルから容器に水を噴射して容器を湿らせてからボトル押えバーを貫通降下させることは,願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されておらず,また,願書に最初に添付した明細書又は図面の記載から自明な事項であるともいえない。
したがって,平成19年3月26日付けでした手続補正は,願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

第6.むすび
以上のとおり,平成19年3月26日付けでした手続補正は,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないから,本願は拒絶されるべきものである。
したがって,原査定は妥当であり,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-10-20 
結審通知日 2010-10-21 
審決日 2010-11-09 
出願番号 特願2002-10004(P2002-10004)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (B65B)
P 1 8・ 561- Z (B65B)
P 1 8・ 575- Z (B65B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 白川 敬寛  
特許庁審判長 千馬 隆之
特許庁審判官 栗林 敏彦
佐野 健治
発明の名称 容器の外装用チューブ嵌装装置  
代理人 神崎 真一郎  

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