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審決分類 審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A63F
審判 全部無効 2項進歩性  A63F
管理番号 1230303
審判番号 無効2009-800248  
総通号数 135 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-03-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-12-22 
確定日 2010-11-29 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4061073号発明「遊技機」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第4061073号は、平成14年1月22日に出願され(特願2002-13361号)、平成19年12月28日に特許権の設定登録が行われた。
そして、本件無効審判請求後の手続きの経緯は以下のとおりである。

無効審判請求 :平成21年 12月22日
答弁書 :平成22年 3月26日
訂正請求書 : 3月26日
弁駁書 : 5月12日
口頭審理陳述要領書(請求人) : 9月 9日
口頭審理陳述要領書(被請求人) : 9月 9日
口頭審理 : 9月16日
審理終結 : 9月16日


第2 訂正の適否
2-1 訂正の内容
平成22年3月26日付け訂正請求書により被請求人が求める訂正の内容は以下のとおりである。
(1)訂正事項ア
特許請求の範囲の【請求項1】を、
「複数の図柄を変動表示する変動表示手段と、
少なくとも特定の内部当選役を含む複数の内部当選役の中から内部当選役を決定する内部当選役決定手段と、
前記変動表示手段の変動表示を停止させるための複数の停止操作手段と、
前記内部当選役決定手段の決定結果に基づいて複数の停止制御テーブルの中から停止制御テーブルを選択する停止制御テーブル選択手段と、
前記停止制御テーブル選択手段により選択された停止制御テーブルと前記停止操作手段の操作とに基づいて前記変動表示手段の変動表示動作を停止制御する停止制御手段と、
演出表示を行う表示手段と、を備え、
前記停止制御テーブル選択手段は、前記内部当選役決定手段の決定結果が前記特定の内部当選役である場合に、前記特定の内部当選役の入賞が成立することとなる前記停止操作手段の停止操作順序が対応付けられた複数の停止制御テーブルから停止制御テーブルを選択し、
前記停止制御手段は、前記内部当選役決定手段の決定結果が前記特定の内部当選役である場合であって、前記停止操作手段の停止操作順序が前記停止制御テーブル選択手段により選択された停止制御テーブルに対応した停止操作順序である場合にのみ、前記特定の内部当選役の入賞が成立するように停止制御を行い、
前記内部当選役決定手段の決定結果が前記特定の内部当選役である場合に、前記停止制御テーブル選択手段により選択された停止制御テーブルに対応した停止操作順序を報知する停止操作補助期間を発生させるか否かを決定する状況決定手段をさらに備える遊技機において、
前記状況決定手段は、所定範囲の乱数を発生する乱数発生手段と、0、1、又は複数の段階に移行させるための移行値を、前記乱数発生手段により発生する乱数値に応じて一遊技毎に決定し、段階を移行させるか否かを決定する段階移行手段と、を含み、該段階移行手段により移行された段階が所定の段階に達した場合に、乱数抽選によって前記停止操作補助期間を発生させるか否かを決定し、
前記段階移行手段は、前記状況決定手段により前記停止操作補助期間が発生された場合には、前記所定の段階から最も低い段階へと段階の移行を行うが、前記状況決定手段により前記停止操作補助期間が発生されなかった場合には、前記段階の移行を行わず、
前記表示手段は、前記段階移行手段により移行された段階を表示するとともに、前記停止操作補助期間においては、前記停止操作順序を報知する情報を表示することを特徴とする遊技機。」

から、

「複数の図柄を変動表示する変動表示手段と、
少なくとも特定の内部当選役を含む複数の内部当選役の中から内部当選役を決定する内部当選役決定手段と、
前記変動表示手段の変動表示を停止させるための複数の停止操作手段と、
前記内部当選役決定手段の決定結果に基づいて複数の停止制御テーブル番号の中から停止制御テーブル番号を選択する停止制御テーブル番号選択手段と、
前記停止制御テーブル番号選択手段により選択された停止制御テーブル番号と前記停止操作手段の操作とに応じた停止制御テーブルに基づいて前記変動表示手段の変動表示動作を停止制御する停止制御手段と、
演出表示を行う表示手段と、を備え、
前記停止制御テーブル選択番号手段は、前記内部当選役決定手段の決定結果が前記特定の内部当選役である場合に、前記特定の内部当選役の入賞が成立することとなる前記停止操作手段の停止操作順序が対応付けられた複数の停止制御テーブル番号から停止制御テーブル番号を選択し、
前記停止制御手段は、前記内部当選役決定手段の決定結果が前記特定の内部当選役である場合であって、前記停止操作手段の停止操作順序が前記停止制御テーブル番号選択手段により選択された停止制御テーブル番号に対応した停止操作順序である場合にのみ、前記特定の内部当選役の入賞が成立する停止制御テーブルにより停止制御を行い、
前記内部当選役決定手段の決定結果が前記特定の内部当選役である場合に、前記停止制御テーブル選択手段により選択された停止制御テーブルに対応した停止操作順序を報知する停止操作補助期間を発生させるか否かを決定する状況決定手段をさらに備える遊技機において、
前記状況決定手段は、所定範囲の乱数を発生する乱数発生手段と、0、1、又は複数の段階に移行させるための移行値が規定された段階移行抽選テーブルに基づいて、移行値を、現在の段階と前記乱数発生手段により発生する乱数値とに応じて一遊技毎に決定し、段階を移行させるか否かを決定する段階移行手段と、を含み、該段階移行手段により移行された段階が所定の段階に達した場合に、前記停止操作補助期間を発生させるための処理を実行し、該処理に基づいて乱数抽選によって前記停止操作補助期間を発生させるか否かを決定し、
前記段階移行手段は、前記状況決定手段により前記停止操作補助期間が発生された場合には、前記所定の段階から最も低い段階へと段階の移行を行うが、前記状況決定手段により前記停止操作補助期間が発生されなかった場合には、前記段階の移行を行わず、
前記表示手段は、前記段階移行手段により移行された段階を表示するとともに、前記停止操作補助期間においては、前記停止操作順序を報知する情報を表示することを特徴とする遊技機。」
に訂正する。

(2)訂正事項イ
願書に添付した明細書の段落番号【0010】を、
「 本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、複数の図柄を変動表示する変動表示手段と、少なくとも特定の内部当選役を含む複数の内部当選役の中から内部当選役を決定する内部当選役決定手段と、前記変動表示手段の変動表示を停止させるための複数の停止操作手段と、前記内部当選役決定手段の決定結果に基づいて複数の停止制御テーブル番号の中から停止制御テーブル番号を選択する停止制御テーブル番号選択手段と、前記停止制御テーブル番号選択手段により選択された停止制御テーブル番号と前記停止操作手段の操作とに応じた停止制御テーブルに基づいて前記変動表示手段の変動表示動作を停止制御する停止制御手段と、演出表示を行う表示手段と、を備え、前記停止制御テーブル選択番号手段は、前記内部当選役決定手段の決定結果が前記特定の内部当選役である場合に、前記特定の内部当選役の入賞が成立することとなる前記停止操作手段の停止操作順序が対応付けられた複数の停止制御テーブル番号から停止制御テーブル番号を選択し、前記停止制御手段は、前記内部当選役決定手段の決定結果が前記特定の内部当選役である場合であって、前記停止操作手段の停止操作順序が前記停止制御テーブル番号選択手段により選択された停止制御テーブル番号に対応した停止操作順序である場合にのみ、前記特定の内部当選役の入賞が成立する停止制御テーブルにより停止制御を行い、前記内部当選役決定手段の決定結果が前記特定の内部当選役である場合に、前記停止制御テーブル選択手段により選択された停止制御テーブルに対応した停止操作順序を報知する停止操作補助期間を発生させるか否かを決定する状況決定手段をさらに備える遊技機において、前記状況決定手段は、所定範囲の乱数を発生する乱数発生手段と、0、1、又は複数の段階に移行させるための移行値が規定された段階移行抽選テーブルに基づいて、移行値を、現在の段階と前記乱数発生手段により発生する乱数値とに応じて一遊技毎に決定し、段階を移行させるか否かを決定する段階移行手段と、を含み、該段階移行手段により移行された段階が所定の段階に達した場合に、前記停止操作補助期間を発生させるための処理を実行し、該処理に基づいて乱数抽選によって前記停止操作補助期間を発生させるか否かを決定し、前記段階移行手段は、前記状況決定手段により前記停止操作補助期間が発生された場合には、前記所定の段階から最も低い段階へと段階の移行を行うが、前記状況決定手段により前記停止操作補助期間が発生されなかった場合には、前記段階の移行を行わず、前記表示手段は、前記段階移行手段により移行された段階を表示するとともに、前記停止操作補助期間においては、前記停止操作順序を報知する情報を表示するようにしたことを特徴とするものである。」
に訂正する。

(3)訂正事項ウ
願書に添付した明細書の段落番号【0011】を、
「 このような構成によれば、段階移行手段により移行される段階が所定の段階に達した場合、状況決定手段は、停止操作補助期間を発生させるための処理を実行し、該処理に基づいて停止操作補助期間を発生させることを決定するようにしたことから、遊技者はその所定の段階に達したときに得られる達成感を味わうことに期待しながら遊技を行うようになる。よって、長時間にわたって遊技を行っても飽きることのない、面白味のあるものとなる。更に、その所定の段階に達したところで有利な状況が確定する訳ではなく、停止操作補助期間を発生させるための処理に基づいて乱数抽選によって決定されるので、遊技が単調になるようなことがなくなる。」
に訂正する。

(4)訂正事項エ
願書に添付した明細書の段落番号【0012】を削除する。

(5)訂正事項オ
願書に添付した明細書の段落番号【0013】を、
「 また、遊技者は、停止操作補助期間では、内部当選役決定手段の決定結果が特定の内部当選役である場合に、停止制御テーブル番号選択手段により選択された停止制御テーブル番号に対応した停止操作順序、すなわち、特定の内部当選役を入賞させるための情報を知ることができるので、通常よりも多くの遊技媒体を獲得することができるようになる。」
に訂正する。

(6)訂正事項カ
願書に添付した明細書の段落番号【0014】を削除する。

(7)訂正事項キ
願書に添付した明細書の段落番号【0015】を、
「 また、本発明のような構成によれば、いわゆる目押しをすることができない初心者であっても所定の操作順序に従って遊技を進めれば多くの遊技媒体を獲得することができるようになる。」
に訂正する。

(8)訂正事項ク
願書に添付した明細書の段落番号【0073】を
「 図10に示した「停止制御テーブルナンバー選択テーブル」は、ベルの小役が内部当選した場合に、各リール3L、3C、3Rを停止制御する際に参照するテーブル番号を決定するものである。つまり、ベルの小役が内部当選した場合には、6通りの停止制御テーブル番号のいずれか一つを参照してそれに基づいて停止制御が行われる。」
に訂正する。

(9)訂正事項ケ
願書に添付した明細書の段落番号【0074】の
「 図11は、図10で選択された各テーブルにおける各リール3L、3C、3Rの停止制御順序と、入賞の成立不成立との関係を示したものである。」

「 図11は、図10で選択された各テーブル番号における各リール3L、3C、3Rの停止制御順序と、入賞の成立不成立との関係を示したものである。」
に訂正する。

2-2 訂正に関する請求人の主張の概要
(1)訂正事項アは、実質上特許請求の範囲を変更する訂正に該当し、認められない。
(2)訂正事項アによって訂正された請求項1の記載についても、依然として明りょうでない。

2-3 訂正の適否の判断
(1)訂正事項アについて
訂正前の【請求項1】と訂正後の【請求項1】を対比してみると、当該訂正事項は、以下に記載した2つの部分、すなわち「複数の図柄を変動させる変動表示手段」の変動表示を停止制御するためのテーブルに関する訂正部分である訂正事項ア-1と、停止操作補助期間への移行を決定する状況決定手段に関する訂正部分である訂正事項ア-2に分けることができる。
訂正事項ア-1「前記内部当選役決定手段の決定結果に基づいて複数の停止制御テーブル番号の中から停止制御テーブル番号を選択する停止制御テーブル番号選択手段と、
前記停止制御テーブル番号選択手段により選択された停止制御テーブル番号と前記停止操作手段の操作とに応じた停止制御テーブルに基づいて前記変動表示手段の変動表示動作を停止制御する停止制御手段と、
演出表示を行う表示手段と、を備え、
前記停止制御テーブル番号選択手段は、前記内部当選役決定手段の決定結果が前記特定の内部当選役である場合に、前記特定の内部当選役の入賞が成立することとなる前記停止操作手段の停止操作順序が対応付けられた複数の停止制御テーブル番号から停止制御テーブル番号を選択し、
前記停止制御手段は、前記内部当選役決定手段の決定結果が前記特定の内部当選役である場合であって、前記停止操作手段の停止操作順序が前記停止制御テーブル番号選択手段により選択された停止制御テーブル番号に対応した停止操作順序である場合にのみ、前記特定の内部当選役の入賞が成立する停止制御テーブルにより停止制御を行い」
訂正事項ア-2「前記状況決定手段は、所定範囲の乱数を発生する乱数発生手段と、0、1、又は複数の段階に移行させるための移行値が規定された段階移行抽選テーブルに基づいて、移行値を、現在の段階と前記乱数発生手段により発生する乱数値とに応じて一遊技毎に決定し、段階を移行させるか否かを決定する段階移行手段と、を含み、該段階移行手段により移行された段階が所定の段階に達した場合に、前記停止操作補助期間を発生させるための処理を実行し、該処理に基づいて乱数抽選によって前記停止操作補助期間を発生させるか否かを決定し」

まず、訂正事項ア-1を検討する。
本願特許明細書の段落【0068】?【0088】の記載、ならびに図10ないし図14の記載をみると、複数のリール(変動表示手段)の停止制御については、
1.ベルの小役に当選すると、図10に示した「停止制御テーブルナンバー選択テーブル」を参照し、また、乱数値(0?255)を抽出する。
2.抽出された乱数値に応じて、「停止制御テーブルナンバー選択テーブル」の6つのテーブルナンバー(No.1?No.6)から一つのテーブルナンバーを選択する。
3.選択されたテーブル番号(例:テーブルNo.1)と停止操作順序(左中右?右中左の6種類)に応じた入賞の成否(例:テーブルNo.1の場合、左中右のみ「成立」、その他の順序は「不成立」)に基づいて(図11)、「当り用停止制御テーブル」(図12)、「順押し・中押しはずれ用停止制御テーブル」(図13)、「逆押しはずれ用テーブル」(図14)の中から使用する停止制御テーブルが選択されて、各リールの停止制御が行われる。
4.例えば、テーブルNo.1が選択されたとき、最初に左停止操作が行われると、停止順序が「成立」の順序であるから、図12の左のリール用テーブルが用いられて左リールの停止制御が行われ、次に中停止操作が行われると、これも停止順序が「成立」であるから、図12の中央のリール用テーブルが用いられて中リールの停止制御が行われ、最後に右停止操作が行われると、図12の右のリール用テーブルが用いられて右リールの停止制御が行われ、結局、ベルの入賞が成立する図柄が全て所定位置に停止する。
5.一方、テーブルNo.1が選択されたとき、最初に中停止操作が行われると、停止順序が中押しの「不成立」の順序であるから、図13の中央のリール用テーブルが用いられて中リールの停止制御が行われ、また、最初に右停止制御が行われると、これも停止順序が逆押しの「不成立」の順序であるから、図14の右のリール用テーブルが用いられて右リールの停止制御が行われ、結局、選択されたテーブル番号に対応した停止操作順序であるときのみ、ベルの入賞が成立する図柄が所定位置に停止でき、それ以外の停止順序である場合は、ベルの入賞が成立する図柄が所定位置に停止できない。
というものであることが理解できる。
訂正事項ア-1と上記特許明細書記載の内容を対比すると、両者は対応しており、訂正事項ア-1は、特許明細書に記載した事項の範囲内のものと認められる。
そして、訂正事項ア-1に係る訂正前の発明特定事項は、特許明細書に記載された発明を明確に表現したものでなかったが、訂正後の発明特定事項は、実際にリールの停止制御に用いられる「停止制御テーブル」がどのよう選択されるのか明りょうに表現したものとなったということができ、しかも訂正前と訂正後を対比しても、両者には表現上の相違があるのみで、訂正により実質的な相違が生じたとは認められない。
したがって、訂正事項ア-1は、誤記の訂正ないしは明りょうでない記載の釈明に当たるものと認められ、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

次に、訂正事項ア-2を検討する。
当該訂正は、移行値の決定に関して、「移行値が規定された段階移行抽選テーブルに基づいて」行うものとし、また、乱数値に応じて決定することを「現在の段階と」乱数値に応じて決定するものとし、さらに、停止操作補助期間を発生させることの決定に関して、「停止操作補助期間を発生させるための処理を実行し、該処理に基づいて」行うものとした訂正であって、これらの訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的としたものということができる。
そして、この訂正は、特許明細書に記載した事項の範囲においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

以上のとおりであるから、訂正事項アは、特許請求の範囲の減縮ならびに明りょうでない記載の釈明を目的としたものと認める。

(2)訂正事項イないし訂正事項ケについて
訂正事項エ、カは、明細書記載事項の削除であり、訂正事項イ、ウ、オ、キ、ク、ケは、請求項の訂正に対応する訂正、明りょうでない記載の釈明ないしは誤記の訂正を目的としたものと認める。

(3)訂正のまとめ
以上のとおりであるから、訂正事項ア?ケは、特許法第134条の2第1項ただし書きの規定および同法同条第5項の規定により準用する同法第126条第3項および第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。


第3 本件発明
上記したように、訂正は認められるので、本件特許第4061073号の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、平成22年3月26日付け訂正請求書で訂正された請求項1に記載された事項により特定された以下のとおりのものである。
「【請求項1】
複数の図柄を変動表示する変動表示手段と、
少なくとも特定の内部当選役を含む複数の内部当選役の中から内部当選役を決定する内部当選役決定手段と、
前記変動表示手段の変動表示を停止させるための複数の停止操作手段と、
前記内部当選役決定手段の決定結果に基づいて複数の停止制御テーブル番号の中から停止制御テーブル番号を選択する停止制御テーブル番号選択手段と、
前記停止制御テーブル番号選択手段により選択された停止制御テーブル番号と前記停止操作手段の操作とに応じた停止制御テーブルに基づいて前記変動表示手段の変動表示動作を停止制御する停止制御手段と、
演出表示を行う表示手段と、を備え、
前記停止制御テーブル選択番号手段は、前記内部当選役決定手段の決定結果が前記特定の内部当選役である場合に、前記特定の内部当選役の入賞が成立することとなる前記停止操作手段の停止操作順序が対応付けられた複数の停止制御テーブル番号から停止制御テーブル番号を選択し、
前記停止制御手段は、前記内部当選役決定手段の決定結果が前記特定の内部当選役である場合であって、前記停止操作手段の停止操作順序が前記停止制御テーブル番号選択手段により選択された停止制御テーブル番号に対応した停止操作順序である場合にのみ、前記特定の内部当選役の入賞が成立する停止制御テーブルにより停止制御を行い、
前記内部当選役決定手段の決定結果が前記特定の内部当選役である場合に、前記停止制御テーブル選択手段により選択された停止制御テーブルに対応した停止操作順序を報知する停止操作補助期間を発生させるか否かを決定する状況決定手段をさらに備える遊技機において、
前記状況決定手段は、所定範囲の乱数を発生する乱数発生手段と、0、1、又は複数の段階に移行させるための移行値が規定された段階移行抽選テーブルに基づいて、移行値を、現在の段階と前記乱数発生手段により発生する乱数値とに応じて一遊技毎に決定し、段階を移行させるか否かを決定する段階移行手段と、を含み、該段階移行手段により移行された段階が所定の段階に達した場合に、前記停止操作補助期間を発生させるための処理を実行し、該処理に基づいて乱数抽選によって前記停止操作補助期間を発生させるか否かを決定し、
前記段階移行手段は、前記状況決定手段により前記停止操作補助期間が発生された場合には、前記所定の段階から最も低い段階へと段階の移行を行うが、前記状況決定手段により前記停止操作補助期間が発生されなかった場合には、前記段階の移行を行わず、
前記表示手段は、前記段階移行手段により移行された段階を表示するとともに、前記停止操作補助期間においては、前記停止操作順序を報知する情報を表示することを特徴とする遊技機。」


第4 請求人および被請求人の主張の概要
4-1 請求人の主張する無効理由および証拠方法
<無効理由1>
(訂正前の)請求項1に係る発明における「前記特定の内部当選役の入賞が成立することとなる前記停止操作手段の停止操作順序が対応付けられた複数の停止制御テーブル」、および「停止制御テーブルに対応した停止操作順序である場合にのみ、前記特定の内部当選役の入賞が成立するように停止制御を行」うことは、発明の詳細な説明に記載されておらず、本件特許は特許法第36条第6項第1号の規定に違反する。
<無効理由2>
請求項1に係る発明における「該段階移行手段により移行された段階が所定の段階に達した場合に、前記停止操作補助期間を発生させることを決定し」は、特許を受けようとする発明が明確でないので、本件特許は特許法第36条第6項第2号の規定に違反する。
なお、訂正された請求項1の「該段階移行手段により移行された段階が所定の段階に達した場合に、前記停止操作補助期間を発生させるための処理を実行し、該処理に基づいて前記停止操作補助期間を発生させることを決定し」についても、特許を受けようとする発明が明確でない。
<無効理由3>
請求項1に係る発明は、甲第1号証ないし甲第7号証に記載されたものから当業者が容易に想到し得たものであるから、特許法第29条第2項に該当する。

[証拠方法]
甲第1号証 特開2001-293141号公報
甲第2号証 特開2001-218892号公報
甲第3号証 パチスロ必勝ガイド平成13年9月号、株式会社白夜書房、平成13年9月1日、p.90-93
甲第4号証 パチスロ必勝ガイド平成13年12月号、株式会社白夜書房、平成13年12月1日、p.6-7
甲第5号証 パチスロ必勝ガイド8月号増刊 永久保存版 獣王究極攻略、株式会社白夜書房、平成13年8月1日、p.8-9、p.20-23、p.96-97
甲第6号証 特開平7-148324号公報
甲第7号証 特開平10-234934号公報

また、請求人は、口頭審理陳述要領書とともに、
甲第9号証 特開2001-120719号公報
を提出した。

4-2 被請求人の反論
<無効理由1>に対して
訂正後の請求項1に係る特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載されたものである。
<無効理由2>に対して
訂正後の請求項1に係る特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が明確である。
<無効理由3>に対して
訂正請求によって訂正された請求項1に係る発明(訂正発明)は、請求人が提出した証拠に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到できたとはいえない。
また、訂正前の請求項1に係る発明(訂正前発明)も、請求人が提出した証拠に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到できたとはいえない。

また、被請求人は、
乙第1号証 「法令用語の常識」、日本評論社、p.6-p.7
乙第2号証 「特許法概論&審査基準」、独立行政法人工業所有権情報・研修館、c-17
を提出した


第5 甲各号証の記載事項
5-1 甲第1号証ないし甲第7号証
5-1-1 甲第1号証(特開2001-293141号公報)には、以下の事項が記載されている。
記載事項1-1
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遊技者に対して一定の利益を与える報知を行うようにしたスロットマシンに関するものである。」
記載事項1-2
「【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の解決手段によって、上述の課題を解決する。
(請求項1)請求項1の発明は、複数種類の図柄を表示した複数のリールと、各前記リールに対応して設けられ、前記リールの回転を停止させるときに遊技者が操作するストップスイッチと、前記ストップスイッチの操作順番に対応する前記リールの停止制御を定めたリール制御パターンを複数設けたリール制御パターンデータテーブルと、前記リール制御パターンデータテーブルから、リール制御パターンを抽選するリール制御パターン抽選手段と、前記リール制御パターン抽選手段で選択したリール制御パターンに関する内容を報知するリール制御パターン報知手段とを備えることを特徴とする。
【0008】請求項1の発明においては、リール制御パターンデータテーブルには、複数のリール制御パターンが設けられている。各リール制御パターンは、ストップスイッチの操作順番に対応するリールの停止制御を定めたものである。例えば、最初に操作されたストップスイッチに対応するリールについては、停止時にどのような停止制御を行うかが定められている。
【0009】そして、リール制御パターン抽選手段は、リール制御パターンデータテーブルから、いずれかのリール制御パターンを選択する。次いで、リール制御パターン報知手段は、選択したリール制御パターンに関する内容、例えば最初に操作するストップスイッチに対応するリールはどのような停止制御が行われるか等を、報知する。報知方法としては、例えばスロットマシンに目視可能な情報表示部を設けておき、これによってその旨を表示することが挙げられる。
【0010】したがって、遊技者は、報知された内容を見ることにより、ストップスイッチの操作順番に対応するリールの停止制御を知ることができるので、例えばストップスイッチの操作順番を適切な順番で行うことにより、より有利な結果を得ることができる。」
記載事項1-3
「【0028】
【発明の実施の形態】以下、図面等を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
(第1実施形態)図1は、本発明の第1実施形態におけるスロットマシンの外観を示す正面図である。
(スロットマシン)図1において、スロットマシン10の筐体の前面部には、フロントパネル20が設けられ、このフロントパネル20内には、3つの透明な表示窓21が設けられている。一方、筐体内部であって表示窓21の後方には、各表示窓21に対応して3つのリール31が配置されている。なお、各リール31には、モータ(ステッピングモータ)32(図3参照)が連結されており、このモータ32の駆動により、リール31が回転される。
【0029】(リール)リール31は、リング状体であり、このリング状体の外周面には、後述する図2(a)に示す図柄(役を構成する図柄等)を印刷したリールテープを貼り付けたものである。各リール31には、それぞれ21個の図柄が等間隔で配列されているとともに、それぞれ異なった図柄配列がなされている。そして、1つの表示窓21内から、リール31の上下に連続する3図柄が見えるようになっている。したがって、3つの表示窓21から合計9個の図柄が見えるようになっている。
【0030】役としては、例えば特別役、複数種類の小役、及びリプレイ(再遊技役。以下、RPと略称する。)が挙げられる。特別役とは、通常遊技から特別遊技(遊技者にとって有利な遊技)に移行させる役であり、ビックボーナス(以下、BBと略称する。)、レギュラーボーナス(以下、RBと略称する。)、及びシングルボーナス(以下、SBと略称する。)が挙げられる。BBとは、特別遊技の1つであるBBゲームに移行させる役である。BBゲームとは、所定回数内の一般遊技を行うとともに、この一般遊技中に一定条件下でボーナスゲームに移行できるようにしたものである。ボーナスゲームとは、所定役が高確率で当選する遊技を、一定条件下で所定回数行うものである。そして、所定の終了条件を満たすまで、一般遊技とボーナスゲームとを繰り返すようにしたものである。
【0031】また、RBとは、特別遊技の1つであるRBゲームに移行させる役である。RBゲームとは、BBゲーム中のボーナスゲームに相当するゲームを1セット、すなわち所定役が高確率で当選する遊技を一定条件下で所定回数行うものである。さらにまた、SBとは、特別遊技の1つであるSBゲームに移行させる役である。SBゲームとは、上記のボーナスゲーム中の所定役が高確率で当選する遊技を、1遊技だけ行うことができるものである。
【0032】また、小役とは、予め定めた枚数のメダルの払出しを行う役である。さらにまた、RPとは、当該遊技でのメダルの投入枚数(ベット枚数)を維持した再遊技が行えるようにした役である。
【0033】以上の各種の役に対応する、リール31の図柄の組合せが予め定められている。そして、全てのリール31の停止時に、有効化された有効ライン22に停止した図柄の組合せが予め定められた役の図柄の組合せと一致するときは、その役の入賞となり、メダルの払出し等、成立役に応じた利益が遊技者に与えられる。」
記載事項1-4
「【0039】(スタートスイッチ、ストップスイッチ)また、筐体の前面部には、スタートスイッチ41及びストップスイッチ42が設けられている。スタートスイッチ41は、リール31の回転をスタートさせるときに遊技者が操作するスイッチである。スタートスイッチ41が操作されることで、全てのリール31が回転され、リール31上の図柄は、所定の速度で表示窓21内で上下方向に移動表示される。ストップスイッチ42は、各リール31ごとに独立して3つ並設され、遊技者がそれぞれのリール31の回転を停止するときに操作するスイッチである。
【0040】(リール制御パターン報知手段)フロントパネル20内において、表示窓21の図中、右側には、文字情報表示部33(本発明におけるリール制御パターン報知手段に相当するもの)が設けられている。文字情報表示部33は、例えばドットディスプレイや液晶表示装置からなるものであり、後述するが、「1」、「2」又は「3」等のように、スロットマシン10内部で行われた特定の抽選結果に関する内容を、文字情報によって遊技者に対して報知するものである。」
記載事項1-5
「【0042】例えば、BBを構成する図柄の組合せを「7」-「7」-「7」であるとすると、この図柄の組合せが有効ライン22に停止したときは、15枚のメダルの払出しを行った後、通常遊技からBBゲームに移行する。また、上述したように、例えば小役の1つを構成する図柄の組合せである「ベル」-「ベル」-「ベル」が有効ライン22に停止すると、15枚のメダルが払い出される。さらに、特別遊技のうち、BBゲームの終了後は、一定条件下で、遊技者に特典が与えられる特典付き遊技に移行する。特典付き遊技に移行するか否かは、BBに当選した後に、抽選によって決定される。
【0043】この特典付き遊技は、例えば規定遊技回数に到達するか、メダル獲得枚数が規定枚数に到達するか、又は特典付き遊技中にBBが当選するまで行われる。この特典付き遊技では、BB、RB、SB及びRPのみの抽選が行われ、小役の抽選は行われない。さらに、小役を構成する図柄の停止制御が解除される。したがって、遊技者は、小役を構成する図柄の組合せが有効ラインに停止するように、タイミング良くストップスイッチ42をオンすれば、小役を入賞させることができる。小役は、上述したように、本実施形態では3種類(「ベル」、「チェリー」、及び「スイカ」の図柄に係るもの)が設けられている。さらに、特典付き遊技は、本実施形態では第1遊技態様と第2遊技態様とを有する。第1遊技態様では、遊技者は、文字情報表示部33に表示された内容を見て、この内容に従ってストップスイッチ42をオンすることで、より容易に、上記小役を入賞させることができる。この点の詳細については後述する。これに対し、第2遊技態様では、このような文字情報表示部33による表示は行われない。
【0044】なお、この特典付き遊技中に、BBが当選したときは、特典付き遊技は、終了する。また、RB又はSBが当選し、かつそれが入賞したときは、特典付き遊技を一時中断し、RBゲーム又はSBゲームに移行する。そして、RBゲーム又はSBゲームが終了したら、再度、特典付き遊技を中段直前の状態から再開する。」
記載事項1-6
「【0048】
(役抽選手段)役抽選手段61は、役(特別役であるBB、RB及びSB、小役及びRP)の抽選を行うものである。役抽選手段61は、例えば、役抽選用の乱数発生手段(ハード乱数等)と、この乱数発生手段が発生する乱数を抽出する乱数抽出手段と、乱数抽出手段が抽出した乱数値に基づいて、役の当選の有無及び当選役を判定する判定手段とを備えている。」
記載事項1-7
「【0053】(リール停止制御手段)リール停止制御手段63は、遊技状態(通常遊技中、特別遊技中、又は特典付き遊技中等)と、役抽選手段61の抽選結果と、ストップスイッチ42がオンされたときのタイミング等とから、リール31の停止位置を決定するとともに、その決定された位置にリール31を停止制御するものである。リール停止制御手段63には、停止位置決定テーブルが設けられている。この停止位置決定テーブルは、役抽選手段61の抽選結果、及び遊技状態等に対応して設けられており、ストップスイッチ42の操作タイミングに基づいたリール31の停止位置を定めたものである。
【0054】リール停止制御手段63は、役抽選手段61の抽選結果等に対応する所定の停止位置決定テーブルを選択し、ストップスイッチ42がオンされたときに、そのタイミングに基づいて停止位置決定テーブルを参照してリール31の停止位置を決定する。そして、リール停止制御手段63は、リール31の停止位置を決定すると、モータ32を駆動制御して、リール31がその位置に停止するように制御する。ここで、役抽選手段61で何らかの役が当選したときは、その当選役に対応する図柄の組合せができる限り有効ライン22に停止するようにリール31が停止制御される。また、役抽選手段61の抽選で非当選のときは、何らかの役の図柄の組合せが有効ライン22に停止しないようにリール31が停止制御される。」
記載事項1-8
「【0056】(特典付き遊技抽選手段)特典付き遊技抽選手段65は、本実施形態では、役抽選手段61で特別役の1つであるBBに当選したときに、BBゲームの終了後に移行する遊技を、通常遊技とするか又は特典付き遊技とするかの抽選を行うものである。ここで、特典付き遊技抽選手段65は、役抽選手段61と同様に乱数発生手段や所定の抽選テーブルを用いて通常遊技とするか特典付き遊技とするかを決定する。」
記載事項1-9
「【0058】(特典付き遊技中遊技制御手段)特典付き遊技中遊技制御手段66は、BBゲームの終了後に特典付き遊技に移行したときに、この特典付き遊技中の遊技の進行等を制御するものである。例えば、特典付き遊技の終了条件を満たしたか否かを判別する手段、特典付き遊技中の遊技回数をカウントする手段、特典付き遊技中の遊技者のメダル獲得枚数をカウントする手段等を備えている。
【0059】(リール制御パターンデータテーブル)リール制御パターンデータテーブル67は、ストップスイッチ42の操作順番に対応するリール31の停止制御を定めたリール制御パターンを複数設けたものである。図4は、第1実施形態のリール制御パターンデータテーブル67を示す図である。本実施形態では、リール制御パターンは、パターン1?パターン3まで、3つ設けられている。そして、各パターンごとに、リール31の停止制御と、文字情報表示部33に表示される内容が予め定められている。
【0060】例えば、「パターン1」が選択されたときは、第1リール(最初に停止されるリール)31の停止時には、引込み用停止位置決定テーブルが選択され、第2リール31及び第3リールの停止時には、最小移動用停止決定テーブルが選択される。また、文字情報表示部33には、「1」と表示される。すなわち、「1」と表示するのは、引込み用停止位置決定テーブルを用いて停止制御されるリール31を遊技者に対して報知するものである。
【0061】なお、第1リール31は、左リール31、中リール31又は右リール31のうち、いずれであっても良い。最初にオンされたストップスイッチ42に対応するリール31が第1リール31になる。同様に、第2リール31は、2番目にオンされたストップスイッチ42に対応するリール31であり、第3リール31は、3番目(最後)にオンされたストップスイッチ42に対応するリール31である。
【0062】(引込み用停止位置決定テーブル)引込み用停止位置決定テーブルは、ストップスイッチ42の操作時におけるリール31の位置から停止可能位置を検索し、その停止可能位置の範囲内において所定の図柄を所定位置に停止させることが可能であるときは、その位置にリール31を停止させるように定めたテーブルである。ここで、「停止可能位置の範囲内」は、ストップスイッチ42の操作時におけるリール31の位置から5図柄までに設定されている。なお、その停止可能位置の範囲内において所定の図柄を所定位置に停止させることができないときは、リール31の移動量が最も少ない位置、すなわち、原則としてストップスイッチ42の操作の瞬間に存在する図柄の次の図柄の位置でリール31を停止させるように定められている。」
記載事項1-10
「【0075】説明を図3に戻す。
(リール制御パターン抽選手段)リール制御パターン抽選手段68は、リール制御パターンデータテーブル67から、リール制御パターンを抽選によって選択するものである。例えば役抽選手段61と同様の乱数発生手段及び抽選テーブルを用いて、パターン1?パターン3までの、いずれかのリール制御パターンを選択する。各パターンの選択確率は、どのようなものであっても良いが、例えばパターン1?パターン3がそれぞれ1/3の選択確率を有するように設定することが挙げられる。」
記載事項1-11
「【0079】1.文字情報表示部33に「1」と表示された場合
この場合は、遊技者は、リール制御パターンの「パターン1」が選択されたこと、すなわち1番目にオンするストップスイッチ42に対応するリール31の停止制御には引込み用停止位置決定テーブルが用いられ、2番目及び3番目にオンするストップスイッチ42に対応するリール31の停止制御には最小移動用停止位置決定テーブルが用いられることを知ることができる。」
記載事項1-12
「【0086】2.文字情報表示部33に「2」と表示された場合
この場合は、遊技者は、リール制御パターンの「パターン2」が選択されたこと、すなわち2番目にオンするストップスイッチ42に対応するリール31の停止制御には引込み用停止位置決定テーブルが用いられ、1番目及び3番目にオンするストップスイッチ42に対応するリール31の停止制御には最小移動用停止位置決定テーブルが用いられることを知ることができる。」
記載事項1-13
「【0091】3.文字情報表示部33に「3」と表示された場合
この場合は、遊技者は、リール制御パターンの「パターン3」が選択されたこと、すなわち3番目にオンするストップスイッチ42に対応するリール31の停止制御には引込み用停止位置決定テーブルが用いられ、1番目及び2番目にオンするストップスイッチ42に対応するリール31の停止制御には最小移動用停止位置決定テーブルが用いられることを知ることができる。」
記載事項1-14
「【0104】ステップS10では、引込み用停止位置決定テーブルが選択される。また、ステップS11では、最小移動用停止位置決定テーブルが選択される。そして、ステップS12に進み、リール停止制御手段63は、それぞれ選択された停止位置決定テーブルに基づいて、第1ストップスイッチ42に対応するリール31を停止制御する。すなわち、引込み用停止位置決定テーブルが選択されたときは、停止可能位置の範囲内において所定の図柄を所定位置に停止させる停止制御が行われる。一方、最小移動用停止位置決定テーブルが選択されたときは、停止可能位置の範囲内においてリール31の移動量が最も少ない位置にリール31を停止させる停止制御が行われる。」
記載事項1-15
「【0110】(第2実施形態)次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、BBゲームの一般遊技中は、特定小役が通常遊技時よりも高い確率で当選するように設定された抽選テーブルを用いて、役抽選手段61による役の抽選が行われる。ここで、特定小役を構成する図柄の組合せは、「ベル」-「ベル」-「ベル」である。
【0111】しかし、BBゲームの一般遊技中に特定小役が当選したときは、常に「ベル」の図柄が有効ライン22に引き込まれるのではなく、予め定められた所定のストップスイッチ42の操作順番で操作したときに限って引き込まれる。それ以外の操作順番でストップスイッチ42を操作したときは、リール31は最小移動となる停止可能位置で停止するように制御され、たとえ特定小役が当選していても、「ベル」の図柄を有効ライン22に引き込む制御は行われない。
【0112】よって、特定小役が当選した場合において、予め定められた所定のストップスイッチ42の操作順番で操作したときは、その特定小役は、必ず入賞する。これに対し、予め定められた所定のストップスイッチ42の操作順番以外の操作順番で操作したときは、遊技者は、「ベル」の図柄が有効ライン22を通過する直前にストップスイッチ42をオンしなければ、特定小役を入賞させることはできない。」
記載事項1-16
「【0115】さらに、第2実施形態では、リール制御パターンデータテーブル67は、図9に示すように設定されている。図9において、リール制御パターンは、パターン1?パターン3までの3つ設けられている。そして、第1(最初の)ストップスイッチ42が左、中又は右のいずれであるかによって、引込み用停止位置決定テーブル又は最小移動用停止位置決定テーブルが選択される。
【0116】例えば、パターン1が選択された場合において、最初に左リール31に対応するストップスイッチ42がオンされたときは、引込み用停止位置決定テーブルが選択され、中又は右リール31に対応するストップスイッチ42がオンされたときは、最小移動用停止位置決定テーブルが選択される。
【0117】そして、リール制御パターン抽選手段68は、BBゲームの一般遊技中において、役抽選手段61で特定小役が当選したときに、リール制御パターンを選択する。また、リール制御パターンが選択されたときは、各パターンに対応する内容が文字情報表示部33に表示されることによって、特定小役の当選及び特定小役を入賞させるためのストップスイッチ42の操作順番が報知される。例えば、「パターン1」が選択されたときは、文字情報表示部33には「左」と表示される。これは、左リール31に対応するストップスイッチ42を最初にオンすれば、各リール31の停止制御において引込み用停止位置決定テーブルが選択され、特定小役を構成する「ベル」の図柄が有効ライン22に引き込まれ、特定小役を入賞させることを示すものである。なお、ストップスイッチ42の操作順番を示唆する等、間接的にストップスイッチ42の操作順番を報知する内容を文字情報表示部33に表示しても良い。
【0118】特定小役が当選したときに、文字情報表示部33に「左」、「中」又は「右」のいずれかが表示されれば、遊技者は、この表示によって特定小役の当選を知ることができる。さらに、表示された内容に従って、最初にオンすべきストップスイッチ42を決定すれば、いいかえればスロットマシン10で指示された順番でストップスイッチ42をオンすれば、確実に特定小役を入賞させることができる。
【0119】ところで、第2実施形態では、リール制御パターン報知選択手段69は、リール制御パターン報知手段による報知、すなわち文字情報表示部33での「左」、「中」又は「右」の表示を行うか否かを選択する。ここで、リール制御パターン報知選択手段69は、遊技中に特定の条件を満たすときに、報知を行うように決定しても良い。あるいは、乱数を用いた抽選等によって報知を行うか否かを決定しても良い。
【0120】さらには、役抽選手段61の抽選において、2種類のBBを設けておき、一方はBBゲームの一般遊技中に報知を行うBBとし、他方は報知を行わないBBとし、これらを抽選によって決定しても良い。そして、この場合は、リール制御パターン報知選択手段69は、役抽選手段61の抽選結果に基づいて、報知を行うか否かを選択しても良い。」
記載事項1-17
「【0150】以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、例えば、以下のような種々の変形が可能である。
(1)第1実施形態では、特典付き遊技中での制御を例に挙げて説明したが、通常遊技や特別遊技中に、第1実施形態のような遊技状態を作り出すことも可能である。同様に、第2実施形態及び第3実施形態では、BBゲーム中の一般遊技での制御を例に挙げて説明したが、通常遊技や特別遊技の終了後の遊技で、一定条件下で、第2実施形態や第3実施形態のような遊技状態を作り出すことも可能である。」
記載事項1-18
「【0156】(7)本実施形態では、引込み用停止位置決定テーブル及び最小移動用停止位置決定テーブルを用いたが、これ以外の停止位置決定テーブルを用いても良い。 例えば第2実施形態において、「ベル」の図柄を有効ライン22に停止させないことを積極的に行うもの、例えばストップスイッチ42の操作タイミングでは表示窓21内に「ベル」の図柄が停止してしまう場合であっても、いわゆる蹴飛ばし処理によって表示窓21外に「ベル」の図柄を停止させるようにする停止位置決定テーブルを用いても良い。あるいは、「ベル」の図柄が有効ライン22に停止しにくい制御を行うもの、例えば「ベル」の図柄の有効ライン22への引込み制御を行うものの、特定の位置でストップスイッチ42が操作されたときに限って引込み制御を行う停止位置決定テーブルを用いても良い。」

以上、記載事項1-1ないし1-18、および図面を総合すると、甲第1号証には、以下の発明が開示されていると認めることができる。
(この発明を、以下「甲1発明」という。)
「1.ビックボーナス等の特別遊技の終了後、一定条件下で特典付き遊技に移行し、特典付き遊技中は、遊技者に対して一定の利益を与える報知を行うようにしたスロットマシンである。
2.複数種類の図柄を表示した複数(3個)のリール31と、前記各リールに対応して設けられ、前記リールの回転を停止させるときに遊技者が操作するストップスイッチ42と、役抽選用の乱数発生手段が発生した乱数値に基づいて、内部当選役(特別役であるBB,RB及びSB,小役及びRP)を抽選し決定する役抽選手段61と、前記ストップスイッチの操作順番に対応する前記リールの停止制御を定めたリール制御パターン(パターン1?パターン3)を複数設けたリール制御パターンデータテーブル67(図4,図9)と、前記リール制御パターンデータテーブルから、リール制御パターンを抽選するリール制御パターン抽選手段と、前記リール制御パターン抽選手段で選択したリール制御パターンに関する内容を報知する文字情報表示部33を備えている。
3.前記リール制御パターン抽選手段により選択されたリール制御パターンと遊技者がストップスイッチを操作した順番に対応して、引込み用停止位置決定テーブル(図5)または最小移動用停止位置決定テーブルのいずれかを選択し、該選択された停止位置決定テーブルに基づいてリールの停止位置を制御するリール停止制御手段を備えている。
4.抽選により特別遊技のうちBBゲームに当選かつ入賞し、当該BBゲームの終了後に、一定条件下で、遊技者に特典が与えられる特典付き遊技に移行する。特典付き遊技に移行するか否かは、BBに当選した後に、抽選によって決定される。
5.特典付き遊技において、リール制御パターン抽選手段68により、リール制御パターンデータテーブル67の複数(図4,実施例はパターン1?3)のリール制御パターンから1つが選択されると、リール制御パターン報知手段に、選択されたパターンに関する内容が表示される。
6.例えば、「パターン1」が選択されると、表示部に「1」と表示され、また、一番最初に停止(操作)されるリール(第1リール)の停止時には、引込み用停止位置決定テーブル(引込み制御)が選択されることにより、停止操作時におけるリールの位置から停止可能位置の範囲を検索し、所定の図柄を所定位置に停止させることが可能であるときは、その位置にリールを停止させるように制御される。2番目、3番目のリールを停止させるときは、最小移動用停止位置決定テーブル(即止め制御)が用いられる。
7.「パターン2」が選択されると、表示部に「2」と表示され、2番目に停止(操作)されるリール(第2リール)の停止時に、引込み用停止位置決定テーブル(引込み制御)が選択され、1番目、3番目のリールを停止させるとき最小移動用停止位置決定テーブル(即止め制御)が用いられ、そして「パターン3」が選択されると、表示部に「3」と表示され、3番目に停止(操作)されるリール(第3リール)の停止時に、引込み用停止位置決定テーブル(図5、引込み制御)が選択され、1番目、2番目のリールを停止させるとき最小移動用停止位置決定テーブル(即止め制御)が用いられる。このように表示部に表示された数値に対応する操作の順番(最初に操作するときか、2番目に操作するときか、3番目に操作するとき)でストップスイッチが操作されるとき、所定の図柄が有効ライン上に必ず引き込まれ、特定の小役を入賞させることができる。
8.また、第2の実施態様において、BBゲームの一般遊技中は、特定の小役が高い確率で当選し、該特定の小役に対応する図柄は、予め定められた所定のストップスイッチの操作順番で操作したときに限って引き込まれる。よって、特定の小役が当選した場合、予め定められた操作順番でストップスイッチを操作したときは必ず入賞し、それ以外の操作順番でストップスイッチを操作したときは、当該図柄を即止めしなければ特定の小役を入賞させることはできない。
9.第2の実施態様において、リール制御パターン抽選手段68により、リール制御パターンデータテーブル67(図9)の中から1つのパターンが選択され、「パターン1」が選択されると表示部に「左」と表示され、「パターン2」又は「パターン3」が選択されると表示部に「中」又は「右」と表示され、この表示されたリールに対応するストップスイッチが最初に操作されたとき、引込み用停止位置決定テーブル(引込み制御)が選択されるが、他のストップスイッチが最初に操作されると、最小移動用停止位置決定テーブル(即止め制御)が選択される。そして、第2番目および第3番目にストップスイッチが操作されるときは、最初にストップスイッチを操作した時に選択された停止位置決定テーブルによってリールの停止位置が制御される。ただし、最後のリールを停止制御するときは、当選しなかった役の図柄組合せが停止しないように蹴飛ばし処理をする。
10.第2の実施態様において、最小移動用停止位置決定テーブル(即止め制御)を、特定の図柄を有効ラインに停止させないことを積極的に行う停止位置決定テーブル(蹴飛ばし制御)を用いても、あるいは、特定の位置でストップスイッチが操作されたときに限って引込み制御を行う停止位置決定テーブルを用いてもよい。」

5-1-2 甲第2号証(特開2001-218892号公報)には、以下の事項が記載されている。
記載事項2-1
「【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであって、本発明の解決しようとする課題は、遊技者がゲームを行っていくうちに、ボーナス入賞への期待感を徐々に持つことができる演出がなされる遊技台の提供を目的とする。
【0012】すなわち、ゲームを行っていくと、ある時演出が始まり、その演出が複数ゲームに渡り連続的に変化をし、かつ、相互に関連性のあるパターンを示すことにより、ボーナス入賞を強く期待することができ、更に、ボーナス内部入賞時には、最終的にボーナスゲームに移行できるという過程を楽しめる遊技台を提供するところにある。」
記載事項2-2
「【0024】図1に示すこのスロットマシン本体100の中央部には、各々の外周面に特定絵柄を含む複数種類の絵柄を配列したリールが3個(左リール101、中リール102、右リール103)収納され、本体100の内部で回転できるように構成されている。」
記載事項2-3
「【0108】ステップS204:(内部情報の報知 )
連続演出が開始されている時は、前回ゲームで実施された連続演出の内容により、今回のゲームで行われる演出の内容が抽選により決められる。なお、連続演出がなされていない場合は、図4による従来のゲーム進行に関するフローチャートと同様の演出をすることができる。
【0109】ここで、報知する連続演出の種類とその演出内容について、図6および図7を用い詳細に説明する。
【0110】連続演出1の演出内容は、図6に示す遊技状態(A、B)により変化することになる。ここで、本例では遊技状態「A」をボーナス内部入賞状態時、遊技状態「B」をボーナス内部未入賞状態時とする。
【0111】また、前回の遊技の演出結果を図6に示すように、遊技状態Aの場合は、演出なし、E1、E2、E3、E4とし、遊技状態Bの場合は、演出なし、E1、E2、E3として、今回のゲームで演出するために前回の遊技の演出結果より、今回の演出を「抽選する演出」演出なし、E1、E2、E3、E4の中より抽選で決定する。
【0112】これらの演出動作は、図7に示すように、連続演出の種類である、「E1」、「E2」、「E3」の演出内容を、リール絵柄表示窓上の3×3=9個の絵柄に対応したバックライトを点灯あるいは消灯させるものとする。図7では、「四角」は点灯状態を示し、「黒く埋めた四角」は消灯状態を示しす。「E1」等のパターンを例えば、850ミリ秒程度遊技者に対して点灯/消灯表示すればよく、演出「E4」は告知ランプの作動(点灯)とする。
【0113】図6の抽選する演出において、「2重丸」、「丸」、「バツ」はそれぞれ、演出が選択される抽選確率を示し、「バツ」は抽選確率が「0」で、その演出が選択されないことを意味する。「2重丸」および「丸」は抽選確率が0を超え、かつ1未満である。なお、「2重丸」と「丸」の抽選確率の程度は、0<(「丸」の抽選確率)<(「2重丸」の抽選確率)<1である。
【0114】次に、遊技状態「A」(ボーナス内部入賞状態時)における連続演出の表示内容を説明する。
【0115】まず、遊技者が現在、nゲーム目を遊技しており、(n-1)ゲーム目における演出がされなかった場合、nゲームでの演出は、図6より、「前回遊技の結果」より「演出なし」の横軸を見て、演出「E1」、「E2」、「E3」、「E4」のいずれか、あるいは「演出なし」が抽選により選択されることになる。これらの中で演出「E1」が選択される確率は、他の演出(「演出なし」を含む)が選択される確率より高いことになる。抽選の結果、「E1」が選択されると、nゲーム目での演出は「E1」となり、ここで連続演出が開始される。
【0116】次に、nゲームで演出「E1」が選択された場合、(n+1)ゲーム目における演出は、図6より同様に、演出「E1」、「E2」、「E3」、「E4」のいずれか、あるいは「演出なし」が抽選により選択されることになり、なかでも演出「E2」が選択される確率は、他の演出(「演出なし」を含む)が選択される確率より高く、例えば、ここでは(n+1)ゲーム目での演出として「E2」が抽選により選択され、演出を行なうこととなる。
【0117】以下、(n+2)ゲーム以降において抽選により選択される演出を、確率に基づいて考えると、(n+2)ゲーム目の演出が「E3」、(n+3)ゲーム目の演出が「E4」の順で選択されることになる。
【0118】以上のことより、「遊技状態A」における演出の内容の変化は、概ね、「演出なし」→「E1」→「E2」→「E3」→「E4」となり、最終的に、告知ランプが作動し、遊技者にボーナス内部入賞状態を報知する。なお、上記は、確率に基づいて演出が選択される場合を示したが、これ以外にも、低い確率が選択される場合として、例えば、「演出なし」→「E1」→「E2」→「演出なし」→「E3」→「E4」のような経路をたどって遊技者にボーナス内部入賞状態を報知する場合も存在する。
【0119】以上説明したように、本発明によれば、連続する複数ゲームにおいて、種類の異なる演出が上述のようにある所定の順序で関連性を持って、連続的になされるとき、遊技者はボーナス入賞への期待感を持ってゲームを楽しみながら行うことができる。
【0120】一方、遊技状態「B」(ボーナス内部未入賞状態時)における連続演出の表示内容は、図6に示すように、演出「E4」が選択されることがない。これは、ボーナスフラグが未成立状態であるため、告知ランプの作動が行われないことを意味する。ただ、このようにボーナス内部未入賞状態であっても、上述の連続演出を行うことによって、遊技者にボーナス入賞の期待感を与えることができるため、遊技状態「B」における演出も本発明の範囲内における例である。」

以上、記載事項2-1ないし2-3からすると、甲第2号証には、
「1.遊技者がゲームを開始しスタートレバーを操作すると同時に内部抽選が行われ、抽選に当選した場合(内部入賞した場合)は、内部入賞の絵柄が決定されて、内部入賞情報として積極的に遊技者へ報知をする演出が行われるスロットマシンである。
2.遊技者がゲームを行っていくうちに、ボーナス入賞への期待感を徐々に持つことができる連続した演出がなされる。
3.連続演出(演出なし、E1?E4)における、E1,E2,E3,E4は、それぞれその数字順に連続した演出の内容をもっており、したがって、E1,E2,E3,E4の順に連続して演出が行われたときは、連続した内容の演出となり、遊技者はボーナス入賞への期待感を持てる。
4.連続演出を行うときは、複数の演出(演出なし、E1?E4)の中から一つの演出を選択して当該演出を行うが、前のゲームにおいて行った演出に関連づけた確率で次のゲームにおいて行う演出が抽選により選択される。
5.ボーナス内部未入賞状態(ボーナスゲームに内部入賞していない)のときは、演出なしが選ばれる確率が高く、また、前回のゲームでE1またはE2の演出が行われていれば、次のゲームでは関連した内容であるE2またはE3の演出が選択される確率が高いものの、E4の演出が選択されることはない。(図6の遊技状態B)
6.ボーナス内部入賞状態(ボーナスゲームに内部入賞している)のときは、前回のゲームで行われている演出(演出なし、E1?E3)に関連した内容である次の演出(E1?E4)が選択される確率が高いので、E1?E4の順に演出が選択される確率が高く、したがって、連続した内容の演出が行われる。(図6の遊技状態A)」
の発明(以下、「甲2発明」という。)が開示されていると認められる。

5-1-3 甲第3号証(パチスロ必勝ガイド平成13年9月号)には、以下の事項が記載されている。
記載事項3-1
「史上空前の出玉を実現する驚くべきシステム・・その名は「バトルラッシュ」(以下BR)。これは6枚役のベルとシングルボーナスの押し順ナビ機能のことで、BRに突入した場合は、ベルやシングルを揃えるための押し順を完全ナビ・・通常はそれぞれ成立時の6分の1の割合でしか揃えられないのに対し、BR中は根こそぎ揃えられるのようになる。」(第91ページ左中欄)
記載事項3-2
「BR中は、液晶画面で押し順を完全ナビゲート。目押しは一切不要で、ナビにさえ従っていれば、簡単・確実にベル&シングルボーナスを揃えられる。」(第91ページ左下欄)
記載事項3-3
「BRに突入すれば、一気大量獲得が可能・・とはいうものの、そもそもどうすれば「突入」なのか?まずはこの点について説明しておこう。BR突入前の準備として、プレイヤーはまずドラゴ、ウーパ、ドグー、スパイダという4種類の敵モンスターの中からひとつを選択しておく必要がある(遊び方は左参照)。通常ゲームでバトルが発生し、そこでモンスターを倒せばBR突入・・具体的には、計6ゲームのバトル中に小役を揃えれば敵モンスターにダメージが与えられ、計1000ポイント以上のダメージを与えた時点で勝利となるのだが、与えられるダメージは、各モンスターごとに変化する。」(第92ページ上欄)
記載事項3-4
「バトル中の液晶モニタ演出は、とにかくド派手のひとこと。攻撃が成功すると、家庭用ゲーム機のRPGさながらの迫力あるグラフィックが楽しめる。」(第92ページ右中欄)
記載事項3-5
「各モンスターの特性により与えるダメージは激変する!!
(ダメージ表概要)
『各モンスター(4種類)についてのダメージ数が各々示されており、ダメージ数はチェリー、スイカ、ベル、リプレイ等の小役に対して数値で表されている。』」(第92ページ下欄)
記載事項3-6
「モンスターを倒すには、小役やシングルを揃えてモンスターにダメージを与える必要があるわけだが、当然ながら・・プレイヤー自由自在にそれらを揃えられるわけではない。結局のところ、小役などが揃うかどうかは機械による抽選次第のため、バトルに勝利できるか否かは運に頼るところが大きいということになる。しかしながら、完全に運任せかといえば、決してそうではない。リール絵柄配列図を見れば、チェリーやスイカがフリー打ちで確実に引き込める小役でないことは一目瞭然。引き込めずに取りこぼしてしまっては、たとえ運良くフラグが立ったとしてもダメージは与えられない。ということは・・そう、バトル中はこれらのフラグが成立した際に各自治に揃えるべく、DDT打法が必須となるのだ。具体的な手順は・・左カコミ記事の通り、左リールの中段か下段に20のチェリーを狙い、左枠内にスイカが停止した場合のみ、中・右でもスイカを目押しすればOK。意外にシビアだが、すべての小役をフォローするにはこの方法しかないため、バトル中はきっちり狙っておこう。」(第93ページ右上欄)

以上、記載事項3-1ないし3-6および図面からすると、甲第3号証には、
「1.6枚役のベルとシングルボーナスにおいて、BR(バトルラッシュ)とよばれる押し順ナビ機能を有する。
2.BRに突入すると、ベルやシングルを揃えるための押し順を完全ナビゲートするため、根こそぎ(ベルやシングルを)揃えられるようになる。
3.BRに突入するためには、通常ゲームでバトルが発生し、そこでモンスターを倒せばBRに突入する。
4.具体的には、6ゲームのバトル中(バトルが6ゲームで構成されるという意味に解される)に小役を揃えると、小役の種類に応じたダメージを与えられ(遊技者から見ればポイントが得られることと同じ)、当該ダメージの和が1000ポイント以上になると勝利となり、BRに突入する。」
という発明(以下、「甲3発明」という。)が開示されていると認められる。

5-1-4 甲第4号証(パチスロ必勝ガイド平成13年12月号)には、以下の事項が記載されている。
記載事項4-1
「先程も申し上げたとおり、組み合せの異なる9種類の12枚役は完全なる別フラグとなっており、「最初に止めるリール(左or中or右)」と、「そこに狙う絵柄(赤or青or黄)」が機械内部のそれと一致しない限り絶対に揃わない仕組みとなっている・・わけだが、めでたくGCへ突入すると、それらが完全ナビゲート→全ての12枚役を余すところなく揃えられるようになる。GC中は、「音声&4リールの指示に従って第1リールを止める→残りのリールをフリー打ちする」といった簡単手順で楽々と12枚役をGET。」(第7ページ下欄)
記載事項4-2
「ゴルゴチャンス消化手順
ステップ1 4リールと音声のナビで指示されたリールに表示されたボーナス絵柄を目押しする。※右の場合は中リールに青7を目押しする
ステップ2 残りの2つのリールをフリー打ちすれば楽々12枚ゲット!※ナビが作動しなかったら順押しチェリー目押し」(第7ページ右上欄)

以上、記載事項4-1ないし4-2および図面からすると、甲第4号証には、
「1.GC(ゴルゴチャンス)に突入すると、最初に止めるリールとそこに狙う絵柄が指示される。
2.遊技者が、指示されたリールにおける指示された絵柄を目押しで停止させると、残りのリールをフリー打ちしても12枚役が必ず揃えられる。
3.最初に止めるリールと、そこに狙う絵柄が機械内部のそれと一致しない限り12枚役は絶対に揃わない。」
という発明(以下、「甲4発明」という。)が開示されていると認められる。

5-1-5 甲第5号証(パチスロ必勝ガイド8月号増刊 永久保存版 獣王究極攻略)には、以下の事項が記載されている。
記載事項5-1
「サバンナチャンスに突入すると10or30Gの間、超高確率で成立している15枚役の組み合わせ(全12種類)が、ドットや音声、あるいはリール窓左の動物ランプで完全に告知され、ナビに従って目押しすれば1Gにつき約10枚のペースでコインが増加。」(第8ページ下欄)
記載事項5-2
「獣王にはハマリ救済措置として、サバンナチャンスの突入率が飛躍的にアップする「天井サバチャン機能」が搭載されている。まず、ボーナス間ストレートで1136Gハマる→以降のゲームでチェリーフラグが成立→約10分の1でサバンナチャンスに当選する「天井モード」に到達・・・というのが天サバの基本的な流れ。」(第21ページ右上欄)
記載事項5-3
「「天サバ抽選フローチャート」
ボーナス間ストレートで1136Gハマる→チェリーに当選したかの判断→(YESならば)以降1/10.240で天井サバを抽選、(NOならば)前記判断を繰り返す」(第21ページ左上欄)
記載事項5-4
「純粋なハズレを引くと、まずは「サバンナチャンス初当り抽選」が行われる。初当り抽選に当選した場合は、設定値やハズレを引いたゲームの抽選状態に応じて「連チャン回数選択プログラム」により連チャン回数を抽選。サバンナチャンス初当りに当選した時点で、同時に連チャン回数も決定される仕組みだ。」(第22ページ左上欄)
記載事項5-5
「必ず通常時の演出から始まるのだ!
サバ連中の演出状態
通常時にハズレを引いたらサバチャン抽選!→サバチャンに当選したら・・そのゲームからサバチャン成立中テーブルを採用する!→平均約1/9.78でサバチャンランプが点灯→サバチャン突入→サバチャン中はサバチャン消化中テーブルを採用し、成立したら15枚役を100%告知!→サバチャン終了」(第97ページ右上欄)

以上、記載事項5-1ないし5-5および図面からすると、甲第5号証には、
「1.ボーナス間ストレートで1136Gハマる、つまり、ボーナスゲーム終了後にボーナスゲームに入賞することなく1136ゲームが行われると、以降のゲームではチェリーフラグが成立(チェリー役が当選)する。
2.その後、乱数抽選が行われて、10分の1の確率でサバンナチャンスに当選する、つまり、10分の1の確率で停止操作を補助する期間が発生する。」
という発明(以下、「甲5発明」という。)が開示されていると認められる。

5-1-6 甲第6号証(特開平7-148324号公報)には、以下の事項が記載されている。
記載事項6-1
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、遊技者が遊技球を遊技領域に打ち込み、打ち込まれた遊技球が遊技領域を落下する間に入賞口に入賞したときに、賞球が払い出される弾球遊技機に関する。」
記載事項6-2
「【0037】図8は、本発明を実施するための処理手順を示す第1のフローチャートである。なお、この処理手順は図7に示すROM312に格納されている役物制御プログラムをCPU311が実行することによって実現され、一定時間(例えば、1ミリ秒)ごとに実行される。ここで、ステップS14が第1の特別の利益を与える状態の実現であり、ステップS17が第2の特別の利益を与える状態の実現である。図中、Sの後に続く数字はステップ番号を示す。
【0038】〔S10〕ゲートスイッチの検査を行う。具体的には、検出スイッチ221から出力される検出信号の有無を検査する。すなわち、ゲートスイッチは検出スイッチ221から検出信号が出力されるとオン(ON)になるスイッチである。もし、ゲートスイッチがオンである(YES)ならばステップS11に進み、ゲートスイッチがオフである(NO)ならば本処理手順を終了する。
〔S11〕レベルアップ処理を行う。具体的には、レベル(現在の遊技状態)を示すレベルカウンタを1だけ増す。ただし、カウント最大値(例えば、6)を超える場合はカウントアップを行わない。
〔S12〕レベル表示処理を行う。具体的には、上記レベルカウンタの値に従ってレベル表示装置110の表示器113a,113b,113c,113d,113e,113fを順番に表示する。例えば、レベルカウンタが「1」ならば表示器113aのみを点灯する。同様に、レベルカウンタが「3」ならば表示器113a,113b,113cを点灯する。さらに、レベルカウンタが「6」ならば表示器113a,113b,113c,113d,113e,113fを点灯するとともに、当たり表示器112を点灯する。
〔S13〕ステップS11において行われたレベルアップ処理によって、レベルカウンタが所定レベル(例えば、レベル「6」)に達したか否かを検査する。もし、所定レベルに達した(YES)ならば「当たり」としてステップS14に進み、所定レベルに達しない(NO)ならば本処理手順を終了する。
【0039】〔S14〕普通電動役物150の一対の可動翼片(チューリップ)を開ける。これにより、遊技者は普通電動役物150への入賞を期待する楽しみが得られる。
(第1の特別の利益を与える状態の開始)
〔S15〕開放時間(例えば、1秒間)が経過したか否かを検査する。具体的には第1の時間カウンタを備えて、この第1の時間カウンタが最大値(開放時間を数値化した値)を超えたか否かを検査する。もし、開放時間が経過した(YES)ならばステップS18に進み、開放時間が経過しない(NO)ならばステップS16に進む。
〔S16〕普通電動役物150への入賞を検査する。具体的には、検出スイッチ222から出力される検出信号の有無を検査する。もし、普通電動役物150への入賞があった(YES)ならばステップS17に進み、普通電動役物150への入賞がなかった(NO)ならばステップS15に戻る。
〔S17〕振り分け処理を行う。具体的には、普通電動役物150から誘導された遊技球105が、図5に示すように6個の凹部157a乃至157fのいずれかに入って特別領域X1と非特別領域X2に振り分けられる。これにより、遊技者は遊技球105が特別領域X1(凹部157f)への振り分けを期待する楽しみが得られる。(第2の特別の利益を与える状態)
〔S18〕普通電動役物150の可動翼片を閉じる。(第1の特別の利益を与える状態の終了)
〔S19〕カウントクリア処理を行う。具体的には、レベルカウンタを0に設定するとともに、レベル表示装置110の表示器113a,113b,113c,113d,113e,113fを全て消灯する。」
以上、記載事項6-1、6-2および図面からすると、甲第6号証には、
「1.複数のレベル間(レベルとしては、0レベルから6レベル)を上下させるレベル決定手段が設けられ、レベル決定手段により決定されたレベルが所定レベル(図4、6レベル、OPENまで点灯)に達した時、稼働入賞口を開放するようにした弾球遊技機である。
2.レベル決定手段は、所定領域30に遊技球が到達した(通過した)ことを条件にレベルを上昇させ、また、所定期間前記所定領域30に遊技球が到達しなかったことを条件にレベルを下降させる。
3.レベルが所定レベルに達して稼働入賞口が開放されると、レベルを最初のレベル(図4、0レベル、STARTも消灯)にする。」
という発明(以下、「甲6発明」という。)が開示されていると認められる。

5-1-7 甲第7号証(特開平10-234934号公報)には、以下の事項が記載されている。
記載事項7-1
「【0012】液晶画面23は、図4に示すように、動画を表示する動画表示部23aと、動画の態様に応じた後述する獲得ポイントPn及びダメージDnを表示するメッセージ部23bとに分割されて構成されている。動画表示部23aには、後に詳説するが対戦相手である敵ENが変る種々の格闘場面が表示され主人公HIが敵ENと格闘する格闘シーンが動画表示される。更に、動画表示部23aの右端には4つに分割された保留記憶表示部23cが設けられている。この保留記憶表示部23cは、従来の技術と同様であり、動画表示部23aに変動表示される図柄が変動中、又は大入賞口25が開放される特別遊技状態としての大当り中に遊技球が始動口24に入球したことを記憶するものであり最大4個まで記憶される。そして、記憶があれば図柄の変動停止後又は大当り動作終了後に記憶の数に従って、動画表示部23a上の図柄が再び変動表示される。」
記載事項7-2
「【0026】次に図10及び図11に基づき第3の具体例について説明する。第3の具体例では、乱数値Rnは、2.048msの微小時間毎に+1され0?99までの数値を繰り返し昇順に作成するカウンタ値であり電子制御基盤20のカウンタ20dで生成されている。この乱数値Rnは、図11の乱数値対応図表に示されるように、その取り得る値によって25グループに分類される。そして、グループ1?25の25通りのポイントPが選択される。
【0027】第3の具体例では、第1及び第2の具体例と異なり、乱数値Rnに予め定められた大当り用の数値というものはなく、乱数値Rnに対応して選択されるポイントPを用いて獲得ポイントPnを更新し(ステップS400?S410)、この更新された獲得ポイントPnが所定値(本具体例では「100」)が超えれば特別遊技状態とするものである(ステップS450?S460)。その他の構成は第1の具体例とほぼ同様であり、遊技球が始動口24に入球する毎に所定時間、更新された獲得ポイントPnに基づき前回の画面から続行して図4に示す格闘場面が続行表示される(ステップS420?S440)。尚、第3の具体例ではダメージDnの値は表示されない。また、初期設定画面では、獲得ポイントPnの初期値として「50」の値が設定される。
【0028】第3の具体例では、乱数値に対応して選択されるポイントPにより更新される獲得ポイントPnが「100」を超えれば特別遊技状態となり、前回の画面及び獲得ポイントPnが特別遊技状態と直接的に関係する。このため、獲得ポイントPnの値が大きくなれば、遊技者は遊技を中断し難く、パチンコホールの客付きを良くして稼動率を上げることができるという優れた効果を有する。また、遊技者が長時間遊技を行って獲得ポイントPnを大きくすれば、特別遊技状態となる可能性が大きくなるので遊技者が大きく損害を被ることはなく、一層遊技の健全化を図ることができるという効果も奏する。」

以上、記載事項7-1ないし7-2、および図面からすると、甲第7号証には、
「1.遊技球が特定の入球口に入球又は特定の通過口を通過する毎に、画面上の映像を変化させて静止させ、静止した映像が特定の態様であると、遊技者に有利な特別遊技状態(いわゆる大当たり状態)とする弾球遊技機である。
2.遊技球が特定の入球口に入球又は特定の通過口を通過すると、乱数値RNが選択され、当該乱数値RNに従って選択されたポイントPとダメージDの値に応じて、演出用の動画が表示される。
3.第3の具体例(図11、図表参照)では、遊技球が特定の入球口に入球又は特定の通過口を通過すると、乱数値RNが選択され、図表と当該乱数値RNに従って選択されたポイントP(-10?+10)が選択され、このポイントPをそれまでに獲得した獲得ポイントPnに加えて新たな獲得ポイントPnに更新し、更新された獲得ポイントPnが所定値(実施例は「100」)を超えたとき、特別遊技状態とする。
4.獲得ポイントPnは、液晶画面上に表示される。」
という発明(以下、「甲7発明」という。)が開示されていると認められる。


第6 当審の判断
6-1 無効理由1について
訂正により、請求人が指摘した2カ所の部分、すなわち、
「前記特定の内部当選役の入賞が成立することとなる前記停止操作手段の停止操作順序が対応付けられた複数の停止制御テーブルから停止制御テーブルを選択」する、および、
「前記停止操作手段の停止操作順序が前記停止制御テーブル選択手段により選択された停止制御テーブルに対応した停止操作順序である場合にのみ、前記特定の内部当選役の入賞が成立するように停止制御を行」うは、
「前記特定の内部当選役の入賞が成立することとなる前記停止操作手段の停止操作順序が対応付けられた複数の停止制御テーブル番号から停止制御テーブル番号を選択」する、および、
「前記停止操作手段の停止操作順序が前記停止制御テーブル番号選択手段により選択された停止制御テーブル番号に対応した停止操作順序である場合にのみ、前記特定の内部当選役の入賞が成立する停止制御テーブルにより停止制御を行」うに訂正された。
上記訂正後の構成は、「2-3 訂正の適否の判断」で述べたように、発明の詳細な説明に記載されている。
したがって、本件特許の請求項1に係る事項は、発明の詳細な説明に記載されているので、特許法第36条第6項第1号の規定に違反しない。

6-2 無効理由2について
請求人は、請求項1の「該段階移行手段により移行された段階が所定の段階に達した場合に、乱数抽選によって前記停止操作補助期間を発生させるか否かを決定し」という記載では、
1.「達した場合」が「達したとき」の意味であって、その時1回だけ停止操作補助期間を発生させることを意味するのか、「達した状態」の意味であって、以後継続して停止操作補助期間を発生させることを意味するのか不明である。
2.「前記停止操作補助期間」が「達したとき」に発生するのか、その「とき」以外のタイミングで発生するのか不明である。
等の不備がある旨主張している。
上記指摘部分は、訂正によって、「所定の段階に達した場合に、前記停止操作補助期間を発生させるための処理を実行し、該処理に基づいて乱数抽選によって前記停止操作補助期間を発生させるか否かを決定し」に訂正された。
そこで、上記訂正された構成に対応する本願特許明細書の記載を検討する。
段落【0091】?【0094】,【0110】?【0122】の記載、図16およびフロー図26ないし図30からみれば、本件発明は、
ア.ステータス移行抽選処理によりステータスの移行が行われ、ステータスが5に達したとき、AT回数選択処理が行われる。
イ.AT回数選択処理は、乱数値(0?1023)が抽出され、抽出された乱数値とAT回数選択テーブル(図16(a))に基づいて、1回から30回のいずれかが選択され、これをAT回数ストックカウンタに加算する。そして、ステータスを1に移行させる。
ウ.AT回数ストックカウンタが1以上の場合は、AT発動抽選処理を行い、当選した場合は、押し順報知回数カウンタに10をセットして、AT回数ストックカウンタから1を減算する。
エ.押し順報知回数カウンタが1以上の場合は、押し順報知処理が行われる。
オ.押し順報知処理では、ゲーム毎に押し順報知回数カウンタから1が減算され、内部当選役がベルの場合は、押し順が報知される。
というものと理解できる。
そして、上記ア.でいう「ステータスが5に達したとき」が「段階が所定の段階に達した場合」に対応し、また、上記エ.オ.でいう「押し順報知処理」が行われる期間が「停止操作補助期間」に、さらに、上記イ.ウ.等の処理が「停止操作補助期間を発生させるための処理」に対応し、AT発動抽選処理を行って、当選した場合に押し順が報知されること(当選しなかった場合は押し順が報知されないこと)が、「乱数抽選によって停止操作補助期間を発生させるか否か決定し」ていることに対応している。
請求人は、「段階が所定の段階に達した場合」と「停止操作補助期間」の発生との関係が明確でない旨主張するが、上記訂正された構成部分は、「段階が所定の段階に達した(ステータスが5に達した)」という条件が「停止操作補助期間(押し順報知処理)」を発生させる処理を実行させる条件であることを規定したものであって、その意味においては本件発明は明確である。
そして、「段階が所定の段階に達した」という条件が成立した後、直ちに「停止操作補助期間」を発生させるか、他のタイミングで発生させるか、といったことや、1回だけ発生させるか、あるいは継続して複数回(AT回数選択テーブルにより抽選された回数)発生させるか、といったことは付加的な要件であって、当該付加的な要件が規定されていないことをもって本件発明が不明確であるとはいえない。
したがって、請求項1に係る特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が明確に記載されたものであるから、特許法第36条第6項第2号の規定に違反しない。

6-3 無効理由3について
(1)対比
本件発明1は、訂正請求書で訂正された請求項1に記載されたとおりのものである。
一方、甲第1号証に開示された発明(甲1発明)は、「5-1-1 甲第1号証」で示したものと認められる。
甲1発明の「複数のリール31」、「役抽選手段61」、「ストップスイッチ42」、「文字情報表示部33」、「特典付き遊技中」は、それぞれ本件発明1の「変動表示手段」、「内部当選役決定手段」、「停止操作手段」、「表示手段」、「停止操作補助期間」に相当する。
そして、甲1発明の「リール停止制御手段」は、「役抽選手段」により「特定の小役」が決定されたとき、「引込み用停止位置決定テーブル」あるいは「最小移動用停止位置決定テーブル」のいずれかを選択し、選択された「停止位置決定テーブル」に基づいてリールの停止制御を行っており、当該「リール停止制御手段」、「特定の小役」、「停止位置決定テーブル」は、それぞれ本件発明1の「停止制御手段」、「特定の内部当選役」、「停止制御テーブル」に相当する。
また、甲1発明において、リール制御パターン抽選手段68により、リール制御パターンデータテーブル67の複数のパターンの中から1つのパターンが選択され、その1つのパターンは、特定の小役に対応する図柄を必ず所定位置に停止させることとなる停止操作順序(左、中、右)が対応付けられているから、甲1発明の「パターン」および「リール制御パターン抽選手段68」は、それぞれ本件発明1の「停止制御テーブル番号」および「停止制御テーブル番号選択手段」に対応し、選択されたパターンと実際のストップボタンの操作順序に応じて「停止位置決定テーブル」が選択され、この「停止位置決定テーブル」に基づいて、「リール停止制御手段」がリールの停止位置を制御するのであるから、甲1発明と本件発明1とは、
「内部当選役決定手段の決定結果に基づいて複数の停止制御テーブル番号の中から停止制御テーブル番号を選択する停止制御テーブル番号選択手段と、
前記停止制御テーブル番号選択手段により選択された停止制御テーブル番号と前記停止操作手段の操作とに応じた停止制御テーブルに基づいて前記変動表示手段の変動表示動作を停止制御する停止制御手段」を備えている点、および、
「前記停止制御テーブル番号選択手段は、前記内部当選役決定手段の決定結果が前記特定の内部当選役である場合に、前記特定の内部当選役の入賞が成立することとなる前記停止操作手段の停止操作順序が対応付けられた複数の停止制御テーブル番号から停止制御テーブル番号を選択し」ている点で一致している。
さらに、甲1発明は、リール制御パターン抽選手段68により選択されたパターンに対応した順序でストップボタンを操作した場合に、特定の小役に入賞するようにリールが停止制御されるから、甲1発明と本件発明1とは、
「前記停止制御手段は、前記内部当選役決定手段の決定結果が前記特定の内部当選役である場合であって、前記停止操作手段の停止操作順序が前記停止制御テーブル番号選択手段により選択された停止制御テーブル番号に対応した停止操作順序である場合に、前記特定の内部当選役の入賞が成立する停止制御テーブルにより停止制御を行」う点で一致している。
さらにまた、甲1発明において、リール制御パターン報知手段による操作順(左,中,右)の報知が行われるのは、BBゲームの終了後、一定条件下でかつ所定の期間であり、当該「一定条件下でかつ所定の期間」を発生させるか否かを決定する必要があるから、甲1発明には、少なくとも「内部当選役決定手段の決定結果が前記特定の内部当選役である場合に、前記停止制御テーブル選択手段により選択された停止制御テーブルに対応した停止操作順序を報知する停止操作補助期間を発生させるか否かを決定する状況決定手段」(広い意味における「状況決定手段」)が含まれているといえる。

以上のことから、甲1発明と本件発明1は、
<一致点>
「複数の図柄を変動表示する変動表示手段と、
少なくとも特定の内部当選役を含む複数の内部当選役の中から内部当選役を決定する内部当選役決定手段と、
前記変動表示手段の変動表示を停止させるための複数の停止操作手段と、
前記内部当選役決定手段の決定結果に基づいて複数の停止制御テーブル番号の中から停止制御テーブル番号を選択する停止制御テーブル番号選択手段と、
前記停止制御テーブル番号選択手段により選択された停止制御テーブル番号と前記停止操作手段の操作とに応じた停止制御テーブルに基づいて前記変動表示手段の変動表示動作を停止制御する停止制御手段と、
演出表示を行う表示手段と、を備え、
前記停止制御テーブル選択番号手段は、前記内部当選役決定手段の決定結果が前記特定の内部当選役である場合に、前記特定の内部当選役の入賞が成立することとなる前記停止操作手段の停止操作順序が対応付けられた複数の停止制御テーブル番号から停止制御テーブル番号を選択し、
前記停止制御手段は、前記内部当選役決定手段の決定結果が前記特定の内部当選役である場合であって、前記停止操作手段の停止操作順序が前記停止制御テーブル番号選択手段により選択された停止制御テーブル番号に対応した停止操作順序である場合に、前記特定の内部当選役の入賞が成立する停止制御テーブルにより停止制御を行い、
前記内部当選役決定手段の決定結果が前記特定の内部当選役である場合に、前記停止制御テーブル選択手段により選択された停止制御テーブルに対応した停止操作順序を報知する停止操作補助期間を発生させるか否かを決定する状況決定手段をさらに備える遊技機において、
前記表示手段は、前記停止操作補助期間においては、前記停止操作順序を報知する情報を表示することを特徴とする遊技機。」
である点で一致しており、そして、以下の点で相違している。

<相違点1>
本件発明1は、「前記停止操作手段の停止操作順序が前記停止制御テーブル番号選択手段により選択された停止制御テーブル番号に対応した停止操作順序である場合にのみ、前記特定の内部当選役の入賞が成立する停止制御テーブルにより停止制御を行」う、すなわち、選択された操作順序で停止操作手段を操作した場合のみ、特定の内部当選役が入賞する図柄を所定位置に停止させることができ、それ以外の操作順序で停止操作手段を操作した場合は、特定の内部当選役が入賞する図柄を所定位置に停止できないものであるのに対し、
甲1発明は、選択された操作順序でストップスイッチ(停止操作手段)を操作した場合は、特定の内部当選役が入賞する図柄を所定位置に停止させることができるものの、それ以外の操作順序でストップボタンを操作した場合は、即止め制御が行われ、特定の内部当選役が入賞する図柄を所定位置に停止できる場合とできない場合とがある点。
<相違点2>
本件発明1は、停止操作順序を報知する停止操作補助期間を発生させるか否かを決定する「状況決定手段」が、「所定範囲の乱数を発生する乱数発生手段と、0、1、又は複数の段階に移行させるための移行値が規定された段階移行抽選テーブルに基づいて、移行値を、現在の段階と前記乱数発生手段により発生する乱数値とに応じて一遊技毎に決定し、段階を移行させるか否かを決定する段階移行手段と、を含」んでいるのに対し、
甲1発明は、上記構成を有しない点。
<相違点3>
本件発明1は、「状況決定手段」が、「段階移行手段」により「移行された段階が所定の段階に達した場合に、前記停止操作補助期間を発生させるための処理を実行し、該処理に基づいて乱数抽選によって前記停止操作補助期間を発生させるか否かを決定」するものであるのに対し、
甲1発明は、上記構成を有しない点。
<相違点4>
本件発明1は、「前記段階移行手段」が、「前記状況決定手段により前記停止操作補助期間が発生された場合には、前記所定の段階から最も低い段階へと段階の移行を行うが、前記状況決定手段により前記停止操作補助期間が発生されなかった場合には、前記段階の移行を行わ」ないものであるのに対し、
甲1発明は、上記構成を有しない点。
<相違点5>
本件発明1は、「前記表示手段は、前記段階移行手段により移行された段階を表示する」ものであるのに対し、
甲1発明は、上記構成を有しない点。

(2)判断
<相違点1>について
甲1発明は、「第2の実施態様において、最小移動用停止位置決定テーブル(即止め制御)を、特定の図柄を有効ラインに停止させないことを積極的に行う停止位置決定テーブル(蹴飛ばし制御)を用いても・・・よい。」ものである。
すなわち、甲1発明は、最小移動用停止位置決定テーブルを用いてリールの停止制御を行う(即止め制御を行う)かわりに、特定の図柄を有効ラインに停止させない蹴飛ばし制御を行ってもよいものといえる。
この「蹴飛ばし制御」がどのような条件で行われるか明確ではないが、甲1発明は、選択された停止操作順序でリールの停止操作が行われた場合、必ず特定の図柄を有効ライン上に停止させ、それ以外の操作順序の場合は即止め制御を行うものが前提となっており、上記記載は、この即止め制御の代わりに蹴飛ばし制御を用いることができることを意味していると理解できるから、甲1発明は、選択された停止操作順序で停止操作が行われた場合にのみ、特定の図柄を有効ライン上に停止させるものが示唆されている。
さらに、甲第4号証にも「最初に止めるリールと、そこに狙う絵柄が機械内部のそれと一致しない限り絶対に揃わない」ものが記載されているから、甲1発明において、選択された操作順序で停止操作手段を操作した場合のみ、特定の内部当選役が入賞する図柄を所定位置に停止させることができ、それ以外の操作順序で停止操作手段を操作した場合は、特定の内部当選役が入賞する図柄を所定位置に停止できないようにすることは、当業者が容易に想到し得たものと認められる。

<相違点2>ないし<相違点5>について
相違点2ないし相違点5に係る事項を個別に判断する前に、これらの相違点に係る事項の技術的な意味、および相違点間の関係を検討しておく。
本願特許明細書の段落【0006】?【0015】、【0043】、【0089】?【0094】、【0110】?【0123】、【0126】の記載からみると、相違点3に係る事項は、「停止操作補助期間」を発生させるには複数の段階を経る必要があることを前提としており、そして、
ア.状況決定手段は、「複数の段階中を移行するための手段」(段階移行手段)を備え、当該手段によって現在の段階を複数の段階の中で移行させて行き、移行された段階が所定の段階に達したと判断したとき、「停止操作補助期間」を発生する処理を行い、その処理に基づいて乱数抽選を行い、抽選結果に基づいて「停止操作補助期間」を発生させることを決定する。
ことを表したものと解釈できる。
また相違点2に係る事項は、前記相違点3における「複数の段階中を移行するための手段」(段階移行手段)が、
イ.前記所定の段階に到達するまで、「段階」と「乱数値」と「移行値」(0、1又は複数)の関係が規定された「ステータス移行抽選テーブル」を用いて、一遊技毎に、「現在の段階」と、発生された「乱数値」に応じて「移行値」を決定し、当該決定された「移行値」に基づいて、複数の段階の中で現在到達している段階から新たな段階へ移行させるもの。
であることを表したものと解釈できる。
さらに、相違点4に係る事項は、相違点2に係る「段階移行手段」が、停止操作補助期間を発生させる条件を満たす段階(所定の段階)に移行された際、
ウ.状況決定手段により停止操作補助期間が発生された場合には、所定の段階から最も低い段階(最下段階)へと段階の移行を行うが、停止操作補助期間が発生されなかった場合には段階の移行(最下段階への移行)を行わない。
ことを表したものと解釈できる。
さらにまた、相違点5に係る事項は、前記相違点3における「複数の段階の中を移行する」ことに関連して、
エ.表示手段によって「複数の段階の中の移行した現在の段階」を表示する。
ことを表したものと解釈できる。
以上のように、相違点2ないし5は互いに関連した事項であり、その中で中心的な要件を規定しているのは相違点3であるから、まず相違点3から検討することとする。

<相違点3>について
相違点3に係る事項は、『「状況決定手段」が、「段階移行手段」により「移行された段階が所定の段階に達した場合に、前記停止操作補助期間を発生させるための処理を実行し、該処理に基づいて乱数抽選によって前記停止操作補助期間を発生させることを決定」するものである』ことを規定したものである。
一方、甲第7号証には、「5-1-7 甲第7号証」に示した甲7発明が開示されている。
そして、甲7発明の「ポイントPn」および「ポイントP」をそれぞれ本件発明の「段階」および「移行値」に対応させ、さらに甲7発明の「特別遊技状態」と本件発明の「停止操作補助期間」を同一視するならば、相違点3に係る事項は甲7発明と類似するといえる。
しかしながら、甲7発明の「特別遊技状態」とは、「大当たり状態」を意味するものであって、それ以外の状態を示唆する記載はない。
つまり、甲7発明は、所定のポイントが獲得できたことを条件として、「大当たり状態」を発生させるものであるから、本件発明のように、所定の段階に到達できたことを条件に「停止操作補助期間」を発生させるものではない。
請求人は、甲7発明の「特別遊技状態」(大当たり状態)と本件発明の「停止操作補助期間」は、「(遊技者に有利な)特別な遊技状態」である点で共通するから、甲7発明の「特別遊技の発生」を甲1発明の「停止操作補助期間の発生」に置き換えることは容易に想到できる旨主張している。
しかし、「停止操作補助期間」を発生させるとは、「所定の役」の当選が発生したときに、「当該所定の役の当選図柄を並べる停止操作において遊技者に操作情報を与え、当選図柄が並べられるよう遊技者を補助する」期間(一般にアシストタイム、ATとも言われている。)を発生させることを意味しているのに対し、甲7号証の「大当たり状態」を発生させるとは、「所定の役(大当たり役)」の当選を発生させること自体を意味しており、「大当たり状態」の発生と、「停止操作補助期間」の発生とは同一視できるものではない。
そして、スロットマシンにおいて、「停止操作補助期間(アシストタイム)」の発生と「当選役」の発生とが置き換え可能であるという技術常識はない。
また仮に、甲7発明において「(遊技者に有利な)特別な遊技状態」を発生させるという上位概念から、遊技者に有利な遊技状態を発生させることを予想するにしても、そもそも甲7発明はパチンコ遊技機であるから、パチンコ遊技機における「遊技者に有利な遊技状態」、例えば確率変動(確変)や時間短縮(時短)といった遊技状態を発生させることが予想できたとしても、「停止操作補助期間」を発生させることを予想することはできない。(パチンコ遊技機ではリール等の可変表示器の停止操作を行うことがないのが普通であるから、パチンコ遊技機で「停止操作補助期間」を発生させることを思いつくのは困難である。)
したがって、甲第7号証に相違点3に係る事項が記載されているとはいえず、また相違点3に係る事項が甲第7号証の記載から容易に想到できたともいえない。
甲第2号証には、「5-1-2 甲第2号証」に示した甲2発明が開示されている。
そして請求人は、甲2発明の、複数の演出段階を移行して行き、最終段階の演出に移行すると、最終的に遊技者に「所定の役(ビッグボーナス)に当選(内部当選)した」ことを報知することから、相違点3に係る事項は容易に想到できる旨主張している。
しかしながら、甲2発明は、「所定の役(ビッグボーナス)に当選(内部当選)した」という結果に基づいて、演出画面上に連続的に表示される複数の演出が、連続的に関連した演出となるよう段階的に選択されて行き、最終的に選択される演出によって、「ビッグボーナスに内部当選している」ことを遊技者に報知する、つまり、「ビッグボーナス内部当選」という結果がまずあって、その結果に基づいて複数の演出表示の中から段階的な関係にある表示が順次選択され、最後の表示が「ビッグボーナスに内部当選している」ことの報知になっているということにすぎず、甲第2号証に、相違点3に係る事項が記載されているとはいえないし、また、甲第2号証の記載から容易に想到できたということもできない。
甲第3号証には、「5-1-3 甲第3号証」に示した甲3発明が開示されている。
そして請求人は、甲3発明は、抽選により決定された小役を揃えた場合に、小役に対応するポイントを加算して、加算したポイントが所定以上になったとき、「バトルラッシュ(BR)」を発生させものであり、「小役に対応するポイント」が段階に対応し、「加算したポイント」が現在の段階に対応し、そして加算したポイントが「1000ポイント以上」に達した時が、所定の段階に達したときに対応するから、相違点3は甲第3号証に記載されている旨主張している。
たしかに、甲3発明における「バトルラッシュ(BR)」は、「押し順ナビ機能」であるから、相違点3における「停止操作補助期間」に対応しており、また、甲3発明の、「所定以上のポイントを獲得した」ということを、「所定の段階に達した」と読み替えるならば、甲3発明が、「所定の段階に達した場合に、停止操作補助期間を発生させる」ものと類似しているようにも解釈できる。
しかしながら、甲3発明は、「バトル」(計6ゲームのバトル)が発生したときに、遊技者に所定小役の入賞(小役図柄を揃える操作)を狙わせるゲームを行わせ、当該バトル中で入賞できた小役の入賞数(と種類)に応じて得られたポイントの総数で「バトルラッシュ」が発生できるようにしたものである。
つまり、甲3発明は、遊技者の技量(前提として機械による小役の抽選があるとしても、得られるポイントの総数は遊技者の技量によるところが大きい。)により「バトル」中に稼いだポイントに基づいて、所定の総ポイントが取得できたか否か(バトルゲームに遊技者が勝ったか負けたか)で、勝った場合に勝利のボーナスとして「バトルラッシュ(BR)」を発生させるものと理解できるから、甲3発明から、相違点3に係る事項、つまり段階移行手段により複数の段階を移行して行き、所定の段階に達したときに「停止操作補助期間」を発生させるという技術思想が容易に予測できるとはいえない。
(そもそも、甲3発明では、6ゲームの「バトル」で所定のポイントが取得できなかった場合、「バトル」終了後は取得したポイントは解消してしまうから、本願発明のように、長期間に渡って「停止操作補助期間」が開始するかもしれないという期待を段階的に高めることができるものではない。)
甲第5号証には、「5-1-5 甲第5号証」に示した甲5発明が開示されている。
そして、甲5発明は、サバンナチャンス(本件発明でいう停止操作補助期間)を発生させるか否かを抽選によって決定するものではあるが、そもそもその抽選を開始する条件は、ボーナスゲーム終了後に天井ゲーム数(1136ゲーム)が行われたというものであるから、甲5発明には相違点3に係る事項は開示されていない。
さらに、甲第4号証、甲第6号証および甲第9号証には相違点3に係る事項は開示されていない。
以上のとおり、相違点3は、甲第2号証ないし甲第7号証、甲第9号証に記載されておらず、また、記載されたものから容易に想到できたとは認められない。

<相違点2>について
相違点2は、停止操作補助期間を発生させる条件として設定された複数の段階の中を移行するために、『前記所定の段階(最上の段階)に到達するまで、「段階」と「乱数値」と「移行値」(0、1又は複数)の関係が規定された「ステータス移行抽選テーブル」を用いて、一遊技毎に、「現在の段階」と発生された「乱数値」に応じて「移行値」を決定し、当該決定された「移行値」に基づいて、複数の段階の中で現在到達している段階から新たな段階へ移行させる段階移行手段』を有するというものである。
そして、相違点2に係る、「移行値が規定された段階移行抽選テーブルに基づいて、移行値を、現在の段階と・・乱数値とに応じて一遊技毎に決定」するとは、本件明細書の段落【0088】?【0090】、および図15の記載からすれば、
『一遊技毎に、乱数を抽出し、段階(ステータス1?4)と乱数値(0?255)に対応して移行値(実施例では-2?+2)が規定された段階移行抽選テーブルを参照して、現在の段階(ステータス)と抽出された乱数値とに応じて移行値を決定する。』
というものと解釈できる。
一方、甲7発明は、遊技球が特定の入球口に入球又は特定の通過口を通過する毎に、乱数を抽出し、乱数値(0?99)に対応してポイントP(-10?+10)が規定された乱数値対応図表(テーブル)を参照して、抽出された乱数値に応じてポイントPを決定するものである。
請求人は、「移行値を、現在の段階と乱数値とに応じて決定」することは甲第5号証に記載されていると主張するが、甲7発明では、移行値(甲7発明と対応付けるならば、ポイントP)は、現在の段階(甲7発明と対応付けるならば、獲得ポイントPn)とは関係なく、乱数値(RN)に応じて決定されている。
つまり、本件発明では、現在の段階(ステータス1?4)が異なる場合は、同じ乱数値であっても得られる移行値(-2?+2)は異なることになるが、甲7発明では、現在の段階(例えれば、獲得ポイントPn)には関係なく、乱数値が同じであれば得られるポイントP(-10?+10)は同じものになるという相違がある。
そして本件発明は、相違点2の構成を有することにより、現在の段階に応じて他の段階へ移行できる確率を変える(例えば、現在の段階が低い場合は、上の段階へ比較的容易に移行できるようにし、段階が高い場合は、上の段階へはなかなか移行できないようにする)ことができるという、甲7発明からは予測できない効果があるものと認められる。
なお、請求人は、請求項においては移行値の決定を「現在の段階と前記乱数発生手段により発生する乱数値に応じて決定する」としか規定されておらず、現在の段階が異なれば乱数値が同じであっても決定される移行値が異なることは限定されない旨主張しているが、請求項には「現在の段階」と「乱数値」に応じて移行値を決定すると規定されており、これは明細書の記載からみれば、「現在の段階」という変数と「乱数値」という変数に応じて移行値が決定される、つまり移行値は「現在の段階」が同じでも「乱数値」が異なれば異なる値となるというだけでなく、「乱数値」が同じでも「現在の段階」が異なれば異なる値となることを意味していることは明らかであるから、上記請求人の主張は採用できない。
また、甲2発明は、「<相違点3>について」の中で述べたように、「ビッグボーナス内部当選」という結果がまずあって、その結果に基づいて複数の演出表示の中から段階的な関係にある表示が順次選択され、最後の表示が「ビッグボーナスに内部当選している」ことの報知になっているということにすぎず、甲第2号証に相違点2に係る事項が開示されていると認めることはできない。
さらにまた、請求人が提示した甲第9号証(特開2001-120719号公報、段落【0050】?【0055】、図12,図13等参照)を検討すると、甲第9号証には、スロットマシン等の遊技機であって、初心者用から上級者用のサポート態様に応じた「レベル」(本件発明でいえば一応「現在の段階」に対応すると考える)と、「内部当選フラグ(役)」(内部当選役は発生させた乱数値の範囲によって決定されていることは明らかであるから、当該内部当選フラグは実質的に発生させた「乱数値」と同じと考える)とに応じて、「ポイント」を決定し、決定されたポイントを現ポイント値に加算あるいは減算して変更し、変更されたポイント値の範囲によってレベルが決定されるものが開示されている。
そして甲第9号証に記載された「ポイント」は、「レベル」を決定する(移行させる)ための数値である点では本件発明の「移行値」に類似しているといえる。
しかしながら、相違点2に係る構成は、「現在の段階」と「乱数値」に応じて「0、1、又は複数の段階に移行させるための移行値」を決定する、つまり決定される「移行値」とは、現在の段階から何段階移行させるかという「移行量」そのものであるのに対し、甲第9号証の「ポイント」は、ポイント値に加減算される値であって「レベル」(甲第9号証の図12,図13にある「レベル」)の移行量そのものを示す数値ではないから、甲第9号証に記載された「ポイント」をそのまま本件発明の「移行値」と対応付けることはできない。
したがって、相違点2に係る事項が甲第9号証に記載されているとはいえない。
さらに、甲第3号証ないし甲第6号証を検討しても、相違点2に係るものは記載されていない。
以上のとおり、相違点2は、甲第2号証ないし甲第7号証、甲第9号証に記載されておらず、相違点2が容易に想到できたと認めることはできない。

<相違点4>および<相違点5>について
相違点4および相違点5については、予備的に検討しておく。
相違点4について、甲6発明は、複数のレベルを移行(上昇あるいは下降)して行き、最上レベルに到達したことを条件として、可変入賞口が開放される、いわゆる「大当たり」を発生させ、同時にレベルを最初のレベル(最低レベル)に移行させるものであるから、甲6発明は、「大当たりの発生」と「停止補助期間の発生」とを同一視するならば、相違点4でいう「前記停止操作補助期間が発生された場合には、前記所定の段階から最も低い段階へと段階の移行を行う」ことに類似しているといえる。
しかしながら、前述したように「大当たりの発生」と「停止補助期間の発生」とは同一視できるものではない。
しかも、相違点4でいう「前記状況決定手段により前記停止操作補助期間が発生されなかった場合には、前記段階の移行を行わない」とは、段階が所定の段階(最上段階)に達した後、抽選によって「停止補助期間」を発生させるか否か決定するという事項と関連して、「抽選によって「停止補助期間」を発生させないと決定したときは段階の移行を行わない」という意味であるから、最上レベルに達した時に無条件で可変入賞口を開放してレベルを最初のレベルに移行させる甲6発明から、相違点4を想定することはできない。
なお請求人は、相違点4の後半部分「前記状況決定手段により前記停止操作補助期間が発生されなかった場合には、前記段階の移行を行わない」(請求人はこの部分を相違点5として分離している)について甲第5号証に記載されている旨主張しているが、相違点4は、停止操作補助期間の発生と段階の移行との関係を全体として規定するものであるから、これを分離して判断することはできない。
したがって、相違点4に係る事項は、甲5発明あるいは甲6発明から容易に想到できたということはできない。
つぎに、相違点5について検討する。
甲7発明は、獲得ポイントPnを画面上に表示するものである。
この「獲得ポイントPn」は、前述したように、本件発明の「段階」と一応対応付けることができるものであるから、表示の目的(本件発明は、「停止操作補助期間」の発生の期待を高めるための表示であり、甲7発明は、「大当たり」の発生の期待を高めるための表示である。)が相違していることを別にすれば、相違点4に係る「移行された段階を表示する」ことは、甲7発明の「獲得ポイントPnを表示する」ことから容易に想到し得たということはできる。

以上のとおり、相違点2および相違点3、相違点4については、甲第2号証ないし甲第7号証、および甲第9号証に記載されていない。
したがって、本件発明は、甲第1号証ないし甲第7号証、甲第9号証に記載された発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたと認めることはできない。

6-4 全ての無効理由についてのまとめ
無効理由1ないし無効理由3は、本願を無効とする理由にはならない。


第7 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許の請求項1に係る発明の特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法169条2項の規定において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とすべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の図柄を変動表示する変動表示手段と、
少なくとも特定の内部当選役を含む複数の内部当選役の中から内部当選役を決定する内部当選役決定手段と、
前記変動表示手段の変動表示を停止させるための複数の停止操作手段と、
前記内部当選役決定手段の決定結果に基づいて複数の停止制御テーブル番号の中から停止制御テーブル番号を選択する停止制御テーブル番号選択手段と、
前記停止制御テーブル番号選択手段により選択された停止制御テーブル番号と前記停止操作手段の操作とに応じた停止制御テーブルに基づいて前記変動表示手段の変動表示動作を停止制御する停止制御手段と、
演出表示を行う表示手段と、を備え、
前記停止制御テーブル番号選択手段は、前記内部当選役決定手段の決定結果が前記特定の内部当選役である場合に、前記特定の内部当選役の入賞が成立することとなる前記停止操作手段の停止操作順序が対応付けられた複数の停止制御テーブル番号から停止制御テーブル番号を選択し、
前記停止制御手段は、前記内部当選役決定手段の決定結果が前記特定の内部当選役である場合であって、前記停止操作手段の停止操作順序が前記停止制御テーブル番号選択手段により選択された停止制御テーブル番号に対応した停止操作順序である場合にのみ、前記特定の内部当選役の入賞が成立する停止制御テーブルにより停止制御を行い、
前記内部当選役決定手段の決定結果が前記特定の内部当選役である場合に、前記停止制御テーブル選択手段により選択された停止制御テーブルに対応した停止操作順序を報知する停止操作補助期間を発生させるか否かを決定する状況決定手段をさらに備える遊技機において、
前記状況決定手段は、所定範囲の乱数を発生する乱数発生手段と、0、1、又は複数の段階に移行させるための移行値が規定された段階移行抽選テーブルに基づいて、移行値を、現在の段階と前記乱数発生手段により発生する乱数値とに応じて一遊技毎に決定し、段階を移行させるか否かを決定する段階移行手段と、を含み、該段階移行手段により移行された段階が所定の段階に達した場合に、前記停止操作補助期間を発生させるための処理を実行し、該処理に基づいて乱数抽選によって前記停止操作補助期間を発生させるか否かを決定し、
前記段階移行手段は、前記状況決定手段により前記停止操作補助期間が発生された場合には、前記所定の段階から最も低い段階へと段階の移行を行うが、前記状況決定手段により前記停止操作補助期間が発生されなかった場合には、前記段階の移行を行わず、
前記表示手段は、前記段階移行手段により移行された段階を表示するとともに、前記停止操作補助期間においては、前記停止操作順序を報知する情報を表示することを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊技に必要な図柄を変動表示する変動表示手段と、その変動表示を制御するマイクロコンピュータ等の制御手段とを備えたスロットマシン、パチンコ機、その他の遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、このような遊技機として、例えば、停止ボタンを備えたスロットマシン、いわゆるパチスロ遊技機が知られている。一般的に、このパチスロは、正面の表示窓内に複数の図柄を変動表示する回転リールを複数配列して構成した機械的変動表示装置やリール上の図柄を画面に表示する電気的変動表示装置を有しており、この変動表示装置に所定の図柄組合せを揃えることにより行われるものである。
【0003】
このパチスロ機の遊技は、まず、遊技者の遊技媒体(メダルまたはコイン等)の投入によって開始される。そして、遊技者のスタート操作に応じて、制御手段が変動表示装置を駆動制御して各リールを回転させることにより、図柄を変動表示させる。変動した図柄は、一定時間後自動的に、あるいは遊技者の停止操作により、各リールの回転を順次停止させる。このとき、表示窓内に現れた各リールの図柄が特定の組合せ(入賞図柄)になった場合には、遊技媒体を払い出すことによって遊技者に利益を付与する。
【0004】
このようなパチスロ遊技機は、複数種類の入賞態様を有している。特に、所定の入賞役の入賞が成立したときは、1回のメダルの払い出しに終わらず、所定期間、通常の状態よりも条件の良い遊技状態となるものがある。このような入賞役として、遊技者に相対的に大きな利益を与えるゲームを所定回数行える入賞役(「ビッグボーナス」と称し、以下「BB」と表す)と、遊技者に相対的に小さな利益を与えるゲームを所定回数行える入賞役(「レギュラーボーナス」と称し、以下「RB」と表す)がある。
【0005】
また、パチスロ遊技機においては、有効化された入賞ライン(以下「有効ライン」という)に沿って停止表示される図柄の組合せは、内部的な抽選処理(以下「内部抽選」という)を行い、この抽選結果と、遊技者の停止操作タイミングとに基づいて決定されている。つまり、メダル、コイン等が払い出される入賞が成立するためには、上述の内部的な抽選処理により入賞役に当選(以下「内部当選」という)し、且つその内部当選した入賞役(以下「内部当選役」という)の入賞成立を示す図柄組合せを有効ラインに停止できるタイミングで遊技者が停止操作を行うことが要求される。つまり、いくら内部当選したとしても、遊技者の停止操作のタイミングが悪いと入賞を成立させることができない。すなわち、停止操作をタイミングよく行う技術が要求される(「目押し」といわれる技術介入性の比重が高い)遊技機が現在の主流である。
【0006】
このような遊技機の一例として、払い出し枚数が同数の複数種類の特定入賞役のいずれかに「内部当選」したとき、どの特定入賞役に「内部当選」したかを報知し、「目押し」ができることを条件として遊技者が所持するメダルの数を減少させない、あるいは増加させるようにすることが可能な期間や、同一の内部当選役に対して、停止ボタンの押し順によって入賞する押し順と、入賞しない押し順を設けておき、入賞する押し順を報知することによって遊技者が所持するメダルの数を減少させない、あるいは増加させるようにすることが可能な期間(以下これらを「停止操作補助期間」と記述する)を発生させる機能を備えた遊技機が提供されている。
【0007】
このような遊技機において、長時間遊技するメリットを出すために段階的な表示手段を設けて、この段階が所定の段階に達したところで、上述の停止操作補助期間に移行させるものが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような段階的な表示手段を設けたものでは、その段階が所定の段階に達すると必ず停止操作補助期間に移行していたことから、停止操作補助期間への移行が明確過ぎて、遊技が単調になり、面白味に欠けていた。
【0009】
本発明の目的は、長時間にわたって遊技しても、遊技が単調になることのない面白味のある遊技機を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、複数の図柄を変動表示する変動表示手段と、少なくとも特定の内部当選役を含む複数の内部当選役の中から内部当選役を決定する内部当選役決定手段と、前記変動表示手段の変動表示を停止させるための複数の停止操作手段と、前記内部当選役決定手段の決定結果に基づいて複数の停止制御テーブル番号の中から停止制御テーブル番号を選択する停止制御テーブル番号選択手段と、前記停止制御テーブル番号選択手段により選択された停止制御テーブル番号と前記停止操作手段の操作とに応じた停止制御テーブルに基づいて前記変動表示手段の変動表示動作を停止制御する停止制御手段と、演出表示を行う表示手段と、を備え、前記停止制御テーブル番号選択手段は、前記内部当選役決定手段の決定結果が前記特定の内部当選役である場合に、前記特定の内部当選役の入賞が成立することとなる前記停止操作手段の停止操作順序が対応付けられた複数の停止制御テーブル番号から停止制御テーブル番号を選択し、前記停止制御手段は、前記内部当選役決定手段の決定結果が前記特定の内部当選役である場合であって、前記停止操作手段の停止操作順序が前記停止制御テーブル番号選択手段により選択された停止制御テーブル番号に対応した停止操作順序である場合にのみ、前記特定の内部当選役の入賞が成立する停止制御テーブルにより停止制御を行い、前記内部当選役決定手段の決定結果が前記特定の内部当選役である場合に、前記停止制御テーブル選択手段により選択された停止制御テーブルに対応した停止操作順序を報知する停止操作補助期間を発生させるか否かを決定する状況決定手段をさらに備える遊技機において、前記状況決定手段は、所定範囲の乱数を発生する乱数発生手段と、0、1、又は複数の段階に移行させるための移行値が規定された段階移行抽選テーブルに基づいて、移行値を、現在の段階と前記乱数発生手段により発生する乱数値に応じて一遊技毎に決定し、段階を移行させるか否かを決定する段階移行手段と、を含み、該段階移行手段により移行された段階が所定の段階に達した場合に、前記停止操作補助期間を発生させるための処理を実行し、該処理に基づいて乱数抽選によって前記停止操作補助期間を発生させるか否かを決定し、前記段階移行手段は、前記状況決定手段により前記停止操作補助期間が発生された場合には、前記所定の段階から最も低い段階へと段階の移行を行うが、前記状況決定手段により前記停止操作補助期間が発生されなかった場合には、前記段階の移行を行わず、前記表示手段は、前記段階移行手段により移行された段階を表示するとともに、前記停止操作補助期間においては、前記停止操作順序を報知する情報を表示するようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
このような構成によれば、段階移行手段により移行される段階が所定の段階に達した場合、状況決定手段は、停止操作補助期間を発生させるための処理を実行し、該処理に基づいて停止操作補助期間を発生させることを決定するようにしたことから、遊技者はその所定の段階に達したときに得られる達成感を味わうことに期待しながら遊技を行うようになる。よって、長時間にわたって遊技を行っても飽きることのない、面白味のあるものとなる。更に、その所定の段階に達したところで有利な状況が確定する訳ではなく、停止操作補助期間を発生させるための処理に基づいて乱数抽選によって決定されるので、遊技が単調になるようなことがなくなる。
【0012】
【0013】
また、遊技者は、停止操作補助期間では、内部当選役決定手段の決定結果が特定の内部当選役である場合に、停止制御テーブル番号選択手段により選択された停止制御テーブル番号に対応した停止操作順序、すなわち、特定の内部当選役を入賞させるための情報を知ることができるので、通常よりも多くの遊技媒体を獲得することができるようになる。
【0014】
【0015】
また、本発明の構成によれば、いわゆる目押しをすることができない初心者であっても所定の操作順序に従って遊技を進めれば多くの遊技媒体を獲得することができるようになる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施例の遊技機1の外観を示す斜視図であり、図2は、同じく遊技機1の正面図である。遊技機1は、いわゆる「パチスロ機」である。この遊技機1は、コイン、メダル又はトークンなどの他、遊技者に付与された、もしくは付与される遊技価値の情報を記憶したカード等の遊技媒体を用いて遊技することが可能な遊技機であるが、以下ではメダルを用いるものとして説明する。
【0017】
遊技機1の全体を形成しているキャビネット2の正面には、略垂直面としてのパネル表示部2aが形成され、その中央には縦長矩形の表示窓4L、4C、4Rが設けられる。表示窓4L、4C、4Rには、入賞ラインとして水平方向にセンターライン8a、トップライン8b及びボトムライン8c、斜め方向にクロスダウンライン8d及びクロスアップライン8eが設けられている。これらの入賞ラインは、後述の1-BETスイッチ11、2-BETスイッチ12、最大-BETスイッチ13を操作すること、あるいはメダル投入口22にメダルを投入することにより、それぞれ1本、3本、5本が有効化される。どの入賞ラインが有効化されたかは、後で説明するBETランプ9a、9b、9cの点灯で表示される。
【0018】
キャビネット2の内部には、各々の外周面に複数種類の図柄によって構成される図柄列が描かれた3個のリール3L、3C、3Rが回転自在に横一列に設けられ、変動表示手段を形成している。各リールの図柄は表示窓4L、4C、4Rを通して観察できるようになっている。各リールは、定速回転(例えば80回転/分)で回転する。
【0019】
表示窓4L、4C、4Rの左側には、1-BETランプ9a、2-BETランプ9b、最大BETランプ9c、遊技メダル貯留枚数表示部19が設けられる。1-BETランプ9a、2-BETランプ9b及び最大BETランプ9cは、一のゲームを行うために賭けられたメダルの数(以下「BET数」という)に応じて点灯する。ここで、本実施例では、一のゲームは、全てのリールが停止したとき、もしくは遊技媒体の払い出しが行われる場合には、遊技媒体が払い出されたときに終了する。1-BETランプ9aは、BET数が“1”で1本の入賞ラインが有効化されたときに点灯する。2-BETランプ9bは、BET数が“2”で3本の入賞ラインが有効化されたときに点灯する。最大BETランプ9cは、BET数が“3”で全て(5本)の入賞ラインが有効化されたときに点灯する。遊技開始表示ランプは、少なくとも1本のラインが有効化されたときに点灯する。遊技メダル貯留枚数表示部19は、7セグメントLEDから成り、貯留されているメダルの枚数を表示する。
【0020】
表示窓4L、4C、4Rの右側には、WINランプ17、払い出し表示部18及び遊技メダル投入ランプ24が設けられる。WINランプ17は、BB又はRBに内部当選した場合に所定確率で点灯し、また、BB又はRBの入賞が成立した場合にも点灯する。払い出し表示部18は、7セグメントLEDから成り、入賞成立時のメダルの払い出し枚数を表示する。遊技メダル投入ランプ24は、遊技メダルの投入が受け付け可能なときに点滅する。
【0021】
パネル表示部2aの右側上部には、役物作動回数表示部20が設けられる。役物作動回数表示部20は、7セグメントLEDから成り、後で説明するRBゲーム可能回数及びRBゲーム入賞可能回数等を表示する。表示窓4L、4C、4Rの下方には水平面の台座部10が形成され、その台座部10と表示窓4L、4C、4Rとの間には液晶表示装置5が設けられている。この液晶表示装置5の表示画面5aには、後で説明する「停止操作補助期間」において「ベルの小役」に内部当選したとき、その入賞成立を実現するために必要な「停止順序」が表示される。
【0022】
パネル表示部2aの左側上方位置に、遊技停止表示器31、再遊技表示器32、RB作動表示器33、BB作動表示器34が設けられている。遊技停止表示器31は前回の回胴回転から今回の回胴回転までの時間が所定の時間(実施例では4.1秒)未満のときに点灯する。再遊技表示器32は再遊技が作動したときに点灯する。RB作動表示器33はRB作動中に点灯し、BB作動表示器34はBB作動中に点灯する。
【0023】
液晶表示装置5の右側にはメダル投入口22が設けられ、液晶表示装置5の左下位置には、1-BETスイッチ11、2-BETスイッチ12、および最大BETスイッチ13が設けられる。また、液晶表示装置5の左上位置には、十字ボタン26、○ボタン27、×ボタン28が設けられる。
【0024】
1-BETスイッチ11は、1回の押し操作によりクレジットされているメダルのうちの1枚がゲームに賭けられ、2-BETスイッチ12は、1回の押し操作によりクレジットされているメダルのうちの2枚がゲームに賭けられ、最大BETスイッチ13は、1回の押し操作により1回のゲームに賭けることが可能な最大枚数のメダルが賭けられる。これらのBETスイッチを操作することで、前述のとおり、所定の入賞ラインが有効化される。
【0025】
そして、十字ボタン26、○ボタン27、×ボタン28を操作することによって、液晶表示画面5aの切替及び入力を行うことができる。
【0026】
台座部10の前面部の左寄りには、遊技者がゲームで獲得したメダルのクレジット/払い出しを押しボタン操作で切り替える貯留メダル精算スイッチ14が設けられている。この貯留メダル精算スイッチ14の切り替えにより、正面下部の遊技メダル払出口15からメダルが払い出され、払い出されたメダルは遊技メダル受け部16に溜められる。貯留メダル精算スイッチ14の右側には、遊技者の操作により上記リールを回転させ、表示窓4L、4C、4R内での図柄の変動表示を開始(ゲームを開始)するためのスタートレバー6が所定の角度範囲で回動自在に取り付けられている。
【0027】
台座部10の前面部の右寄りには、ドア開閉および打ち止め解除装置29が設けられており、このドア開閉および打ち止め解除装置29は、所定の鍵を用いて、右に回すことにより前面ドアを開閉を行い、左に回すことにより打ち止めの解除を行う。
【0028】
キャビネット2の上方の左右には、スピーカ21L、21Rが設けられ、その2台のスピーカ21L、21Rの間には、入賞図柄の組合せ及びメダルの配当枚数等を表示する配当表パネル23が設けられている。台座部10の前面部中央で、液晶表示装置5の下方位置には、3個のリール3L、3C、3Rの回転をそれぞれ停止させるための3個の停止ボタン7L、7C、7Rが設けられている。
【0029】
ここで、本実施例では、全てのリールが回転しているときに行われる停止操作を「第1停止操作」、次に行われる停止操作を「第2停止操作」、「第2停止操作」の後に行われる停止操作を「第3停止操作」という。また、「第1停止操作」として左の停止ボタン7Lを操作することを「順押し」という。「第1停止操作」として中央の停止ボタン7Cを操作することを「中押し」という。「第1停止操作」として右の停止ボタン7Rを操作することを「逆押し」という。
【0030】
実施例のスロットマシン1には、3つの停止ボタン7L、7C、7Rが設けられているので、これらの操作順序は“6種類”ある。そこで、これらの操作順序を次のように区別する。左の停止ボタン7Lを「左」、中央の停止ボタン7Cを「中」、右の停止ボタン7Rを「右」と略記する。そして、停止順序を示すとき、各停止ボタン7L、7C、7Rの略を、停止操作された順番で左から並べることとする。例えば、「第1停止操作」として左の停止ボタン7L、「第2停止操作」として中央の停止ボタン7C、「第3停止操作」として右の停止ボタン7Rが操作されたとき、停止順序を「左中右」と示す。なお、実施例の停止順序には、「左中右」、「左右中」、「中左右」、「中右左」、「右左中」及び「右中左」の“6種類”がある。
【0031】
図5は、各リール3L、3C、3Rに表された複数種類の図柄が21個配列された図柄列を示している。各図柄には“00”?“20”のコードナンバーが付され、データテーブルとして後で説明するROM32に格納されている。各リール3L、3C、3R上には、“青7”、“赤7”、“BAR”、“ベル”、“プラム”、“リプレイ(Replay)”及び“チェリー”の図柄で構成される図柄列が表されている。各リール3L、3C、3Rは、図柄列が矢印方向に移動するように回転駆動される。
【0032】
図6に示した表は、各遊技状態における入賞図柄組合せに対応する入賞役及び払い出し枚数を示したものである。
【0033】
遊技状態は、一般遊技状態(この状態にあることを「一般遊技中」ともいう)、BB中一般遊技状態(この状態にあることを「BB作動中」とも表現する)、RB遊技状態(この状態にあることを「RB作動中」とも表現する)の3つ状態に区分している。通常、一般遊技状態にあることを「一般遊技中」と、BB中一般遊技状態にあることを「BB作動中」と、RB遊技状態にあることを「RB作動中」と表現する。
【0034】
また、一般遊技状態をBB又はRBに内部当選しているか否かによって更に区分することもあるが、内部当選する可能性のある入賞役については同様であることから、この表における区分は表中の3状態で区分している。
【0035】
なお、内部当選する可能性のある入賞役の種類は、いわゆる確率抽選テーブル(確率抽選テーブルについては後述する)によって定まるものであり、この確率抽選テーブルは、各遊技状態毎に設けられている。すなわち、同一の遊技状態のゲームでは、内部当選する可能性のある役の種類が同一となる。
【0036】
図6に示すように、一般遊技状態において、有効ラインに沿って“青7-青7-青7”、又は“赤7-赤7-赤7”が並んだときは、BBの入賞が成立し、15枚のメダルが払い出されると共に、次のゲームの遊技状態が「BB遊技状態」となる。
【0037】
「RB遊技状態」は、「一般遊技状態」において、有効ラインに沿って並んだ図柄の組合せが“BAR- BAR- BAR”であるとき、又は「BB中一般遊技状態」において、有効ラインに沿って並んだ図柄の組合せが“Replay-Replay-Replay”であるとき(いわゆる「JAC IN」)に発生する。このとき、15枚のメダルが払い出される。「RB遊技状態」は、メダルを1枚賭けることにより所定の図柄組合せ“Replay-Replay-Replay”が揃い、15枚のメダルを獲得できる役物に当たりやすい遊技状態である。1回の「RB遊技状態」において遊技可能な最大のゲーム回数(これを「RBゲーム可能回数」という)は、12回である。また、このRB遊技状態において、入賞できる回数(これを「RBゲーム入賞可能回数」という)は、8回までである。すなわち、この「RB遊技状態」は、ゲーム回数が12回に達するか、又は入賞回数が8回に達した場合に終了する。そして、RB遊技状態が終了すると、一般遊技状態に移行する。
【0038】
一回のBBは、BB中一般遊技状態を30ゲーム遊技した場合、もしくはRB遊技状態に3回移行し、3回目のRBが終了した場合に終了する。そして、BB遊技状態が終了すると、一般遊技状態に移行する。
【0039】
一般遊技状態において、有効ラインに沿って並んだ図柄の組合せが“Replay-Replay-Replay”であるときは、再遊技の入賞が成立する。再遊技の入賞が成立すると、投入したメダルの枚数と同数のメダルが自動投入されるので、遊技者は、メダルを消費することなく遊技を行うことができる。
【0040】
一般遊技状態又はBB中一般遊技状態において、有効ラインに沿って図柄組合せ“ベル-ベル-ベル”が並ぶことにより、「ベルの小役」の入賞が成立する。「ベルの小役」に内部当選したとき、入賞が成立するか否かは、後述のテーブル番号と、遊技者の停止ボタン7L、7C、7Rの停止順序により決定される。具体的には、“6種類”の停止順序のうち、テーブル番号に対応した一の停止順序で停止操作を行った場合にのみ、ベル-ベル-ベル”が有効ラインに沿って並び、ベルの小役の入賞が成立する。その他の“5種類”の停止順序のいずれかで停止操作を行った場合には、ベルの小役の入賞が不成立となる。
【0041】
また、一般遊技状態及びBB中一般遊技状態では、「プラムの小役」や「チェリーの小役」等の入賞成立を実現することが可能であるが、その払い出し枚数は図示のとおりである。
【0042】
「一般遊技状態」では、「ベルの小役」に内部当選したとき、その入賞成立が実現することとなる「停止順序」が報知される「停止操作補助期間(後述のAT)」という期間が設けられる。この期間において「ベルの小役」に内部当選したとき、遊技者は、確実に入賞成立を実現することができる。
【0043】
図7は、段階的な演出表示を行う一例を示したものである。この図は山をイメージした図であり、これを上下方向に5分割したものである。最下段をLEVEL1とし、最上段をLEBEL5としている。通常、この演出はLEVEL1から始まり、後述する「ステータス移行抽選処理」によって、LEVELの移行(上下)が決定され、最上段のLEVEL5に達した場合に、停止操作補助期間を発生させるか否かの抽選が行われる。
【0044】
次に、図8を参照して、補助期間において「ベルの小役」に内部当選したときに表示画面5aに表示される画像(停止順序を報知する画像)について説明する。この図8では、入賞させるために必要な停止順序が左右中の場合で説明している。
【0045】
図8(1)は、ゲーム開始時に表示される画像を示したものである。画像の左側の表示領域にベルの図柄が表され、「ベルの小役」に内部当選したことが示されている。そして更に、このベルの図柄の下方に、「=LEFT= PUSH!」というメッセージが表示され、入賞させるために必要な停止操作が、第1停止操作として左の停止ボタン7Lを操作するべきことを報知している。
【0046】
図8(2)は、第1停止操作が行われた後に表示される画像を示す。画像の右側の図柄表示領域にベルの図柄が表され、このベルの図柄の下方に、「=RIGHT= PUSH!」と表示され、第2停止操作として右の停止ボタン7Rを操作するべきことを報知している。
【0047】
図8(3)は、第2停止操作が行われた後に表示される画像を示す。画像の中央の図柄表示領域にベルの図柄が表され、このベルの図柄の下方に、「=CENTER= PUSH!」と表示され、第3停止操作として中央の停止ボタン7Cを操作するべきことを報知している。表示画面5aの表示内容に応じた第1、第2停止操作を行った場合には、第3停止操作の後、“ベル-ベル-ベル”が有効ラインに沿って並び、ベルの小役の入賞が成立するようになっている。
【0048】
なお、図8では、「停止順序」を報知する態様として、次に操作するべき停止ボタンを順次報知するようにしているが、ゲーム開始時において全ての「停止順序」を一括して報知するようにしても良い。例えば、表示画面5aに「停止順序」として「左右中」のように表示することもできる。
【0049】
図3は、遊技機1における遊技処理動作を制御する主制御回路81と、主制御回路81に電気的に接続する周辺装置(アクチュエータ)と、主制御回路81から送信される制御指令に基づいて液晶表示装置5及びスピーカ21L、21Rを制御する副制御回路82とを含む回路構成を示す。
【0050】
主制御回路81は、回路基板上に配置されたマイクロコンピュータ40を主たる構成要素とし、これに乱数サンプリングのための回路を加えて構成されている。マイクロコンピュータ40は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPU41と、記憶手段であるROM42及びRAM43を含む。
【0051】
CPU41には、基準クロックパルスを発生するクロックパルス発生回路44及び分周器45と、サンプリングされる乱数を発生する乱数発生器46及びサンプリング回路47とが接続されている。なお、乱数サンプリングのための手段として、マイクロコンピュータ40内で、すなわちCPU41の動作プログラム上で乱数サンプリングを実行するように構成しても良い。その場合、乱数発生器46及びサンプリング回路47は省略可能であり、あるいは、乱数サンプリング動作のバックアップ用として残しておくことも可能である。
【0052】
マイクロコンピュータ40のROM42には、スタートレバー6を操作(スタート操作)する毎に行われる乱数サンプリングの判定に用いられる確率抽選テーブル、停止ボタンの操作に応じてリールの停止態様を決定するための停止制御テーブル、副制御回路82へ送信するための各種制御指令(コマンド)等が格納されている。このコマンドには、「デモ表示コマンド」、「スタートコマンド」、「全リール停止コマンド」、「入賞役コマンド」等がある。これらのコマンドについては後で説明する。なお、副制御回路82が主制御回路81へコマンド、情報等を入力することはなく、主制御回路81から副制御回路82への一方向で通信が行われる。
【0053】
図6の回路において、マイクロコンピュータ40からの制御信号により動作が制御される主要なアクチュエータとしては、各種ランプ(1-BETランプ9a、2-BETランプ9b、最大BETランプ9c、WINランプ17)と、各種表示部(払い出し表示部18、クレジット表示部19、役物作動回数表示部20)と、メダルを収納し、ホッパー駆動回路51の命令により所定枚数のメダルを払い出す遊技価値付与手段としてのホッパー(払い出しのための駆動部を含む)50と、リール3L、3C、3Rを回転駆動するステッピングモータ59L、59C、59Rとがある。
【0054】
更に、ステッピングモータ59L、59C、59Rを駆動制御するモータ駆動回路59、ホッパー50を駆動制御するホッパー駆動回路51、各種ランプを駆動制御するランプ駆動回路55、及び各種表示部を駆動制御する表示部駆動回路58がI/Oポート48を介してCPU41の出力部に接続されている。これらの駆動回路は、それぞれCPU41から出力される駆動指令などの制御信号を受けて、各アクチュエータの動作を制御する。
【0055】
また、マイクロコンピュータ40が制御指令を発生するために必要な入力信号を発生する主な入力信号発生手段としては、スタートスイッチ6S、1-BETスイッチ11、2-BETスイッチ12、最大BETスイッチ13、貯留メダル精算スイッチ14、投入メダルセンサ22S、リール停止信号回路56、リール位置検出回路60、払い出し完了信号回路61がある。これらも、I/Oポート48を介してCPU41に接続されている。
【0056】
スタートスイッチ6Sは、スタートレバー6の操作を検出する。投入メダルセンサ22Sは、メダル投入口22に投入されたメダルを検出する。リール停止信号回路56は、各停止ボタン7L、7C、7Rの操作に応じて停止信号を発生する。リール位置検出回路60は、リール回転センサからのパルス信号を受けて各リール3L、3C、3Rの位置を検出するための信号をCPU41へ供給する。払い出し完了信号回路61は、メダル検出部50Sの計数値(ホッパー50から払い出されたメダルの枚数)が指定された枚数データに達したとき、メダル払い出し完了を検知するための信号を発生する。
【0057】
図6の回路において、乱数発生器46は、一定の数値範囲に属する乱数を発生し、サンプリング回路47は、スタートレバー6が操作された後の適宜のタイミングで1個の乱数をサンプリングする。こうしてサンプリングされた乱数及びROM42内に格納されている確率抽選テーブルに基づいて、内部当選役が決定される。内部当選役が決定された後、「停止制御テーブル」を選択するために再び乱数のサンプリングが行われる。
【0058】
リール3L、3C、3Rの回転が開始された後、ステッピングモータ59L、59C、59Rの各々に供給される駆動パルスの数が計数され、その計数値はRAM43の所定エリアに書き込まれる。リール3L、3C、3Rからは一回転毎にリセットパルスが得られ、これらのパルスはリール位置検出回路60を介してCPU41に入力される。こうして得られたリセットパルスにより、RAM43で計数されている駆動パルスの計数値が“0”にクリアされる。これにより、RAM43内には、各リール3L、3C、3Rについて一回転の範囲内における回転位置に対応した計数値が格納される。
【0059】
上記のようなリール3L、3C、3Rの回転位置とリール外周面上に描かれた図柄とを対応づけるために、図柄テーブルが、ROM42内に格納されている。この図柄テーブルでは、前述したリセットパルスが発生する回転位置を基準として、各リール3L、3C、3Rの一定の回転ピッチ毎に順次付与されるコードナンバーと、それぞれのコードナンバー毎に対応して設けられた図柄を示す図柄コードとが対応づけられている。
【0060】
更に、ROM42内には、入賞図柄組合せテーブルが格納されている。この入賞図柄組合せテーブルでは、入賞となる図柄の組合せと、入賞のメダル配当枚数と、その入賞を表す入賞判定コードとが対応づけられている。上記の入賞図柄組合せテーブルは、左のリール3L、中央のリール3C、右のリール3Rの停止制御時、及び全リール停止後の入賞確認を行うときに参照される。
【0061】
上記乱数サンプリングに基づく抽選処理(確率抽選処理)により内部当選した場合には、CPU41は、遊技者が停止ボタン7L、7C、7Rを操作したタイミングでリール停止信号回路56から送られる操作信号、及び選択された「停止制御テーブル」に基づいて、リール3L、3C、3Rを停止制御する信号をモータ駆動回路49に送る。
【0062】
内部当選した役の入賞成立を示す停止態様となれば、CPU41は、払い出し指令信号をホッパー駆動回路51に供給してホッパー50から所定個数のメダルの払い出しを行う。その際、メダル検出部50Sは、ホッパー50から払い出されるメダルの枚数を計数し、その計数値が指定された数に達したときに、メダル払い出し完了信号がCPU41に入力される。これにより、CPU41は、ホッパー駆動回路51を介してホッパー50の駆動を停止し、「メダルの払い出し処理」を終了する。
【0063】
図7のブロック図は、副制御回路82の構成を示す。副制御回路82は、主制御回路81からの制御指令(コマンド)に基づいて液晶表示装置5の表示制御及びスピーカ21L、21Rからの音の出力制御を行う。この副制御回路82は、主制御回路81を構成する回路基板とは別の回路基板上に構成され、マイクロコンピュータ(以下「サブマイクロコンピュータ」という)83を主たる構成要素とし、液晶表示装置5の表示制御手段としての画像制御回路91、スピーカ21L、21Rにより出音される音を制御する音源IC88、及び増幅器としてのパワーアンプ89で構成されている。
【0064】
サブマイクロコンピュータ83は、主制御回路81から送信された制御指令に従って制御動作を行うサブCPU84と、記憶手段としてのプログラムROM85と、ワークRAM86とを含む。副制御回路82は、クロックパルス発生回路、分周器、乱数発生器及びサンプリング回路を備えていないが、サブCPU84の動作プログラム上で乱数サンプリングを実行するように構成されている。
【0065】
サブマイクロコンピュータ83は、その記憶領域に、報知回数カウンタ、AT回数ストックカウンタ等を備える。報知回数カウンタは、停止操作補助期間における押し順の報知の残り回数を記憶する。このカウンタの値が“1以上”であるとき、停止操作補助期間である。AT回数ストックカウンタは、停止操作補助期間が発生する残り回数に関する情報を記憶するものである。
【0066】
プログラムROM85は、サブCPU84で実行する制御プログラムを格納する。ワークRAM86は、上記制御プログラムをサブCPU84で実行するときの一時記憶手段として構成される。
【0067】
画像制御回路91は、画像制御CPU92、画像制御ワークRAM93、画像制御プログラムROM94、画像ROM96、ビデオRAM97及び画像制御IC98で構成される。画像制御CPU92は、サブマイクロコンピュータ83で設定されたパラメータに基づき、画像制御プログラムROM94内に格納する画像制御プログラムに従って液晶表示装置5での表示内容を決定する。画像制御プログラムROM94は、液晶表示装置5での表示に関する画像制御プログラムや各種選択テーブルを格納する。画像制御ワークRAM93は、上記画像制御プログラムを画像制御CPU92で実行するときの一時記憶手段として構成される。画像制御IC98は、画像制御CPU92で決定された表示内容に応じた画像を形成し、液晶表示装置5に出力する。画像ROM96は、画像を形成するためのドットデータを格納する。ビデオRAM97は、画像制御IC98で画像を形成するときの一時記憶手段として構成される。
【0068】
次に、図9を参照して、確率抽選テーブルについて説明する。
【0069】
これらの確率抽選テーブルは、確率抽選処理において参照されるものである、図9(a)は一般遊技中において使用されるものであり、図9(b)はBB中一般遊技中において使用されるものであり、各ゲームの内部当選役を決定するものである。
【0070】
いずれのテーブルもその乱数範囲は0?16383であり、この範囲にある数値から抽出される一の数値を用いて、内部当選役が決定される。
【0071】
例えば、一般遊技中において、抽出された乱数値が2851の場合、このゲームの内部当選役は「ベル」となる。また、一般遊技中において、抽出された乱数値が11036?16383の場合には、そのゲームの内部当選役は「ハズレ」となる。
【0072】
次に、図10?図14を参照して、ベルの小役に内部当選したときに使用される停止制御テーブルについて説明する。
【0073】
図10に示した「停止制御テーブルナンバー選択テーブル」は、ベルの小役が内部当選した場合に、各リール3L、3C、3Rを停止制御する際に参照するテーブル番号を決定するものである。つまり、ベルの小役が内部当選した場合には、6通りの停止制御テーブル番号のいずれか一つを参照してそれに基づいて停止制御が行われる。
【0074】
図11は、図10で選択された各テーブル番号における各リール3L、3C、3Rの停止制御順序と、入賞の成立不成立との関係を示したものである。例えば、図10の停止制御テーブルナンバー選択テーブルによって選択されたテーブル番号がテーブル番号1の場合、停止順序が「左中右」であればベルが入賞することとなる。しかしながら、それ以外の停止順序であればベルは入賞しないようになっている。すなわち、ベルを入賞させるためには、内部当選役がベルであり、かつ各リール3L、3C、3Rの停止制御順序がテーブル番号に対応した停止順序を行う必要がある。
【0075】
図12?14は、内部当選役がベルの場合の各リール3L、3C、3Rの具体的な停止制御について説明する。
【0076】
「停止制御テーブル」には、各リール3L、3C、3Rの「停止操作位置」と「停止制御位置」とが示されている。「停止操作位置」は、各リール3L、3C、3Rに対応して設けられた停止ボタン7L、7C、7Rが操作されたとき、センターライン8aに位置していた図柄(具体的には、図柄の中心がセンターライン8aの上方に位置し、その中心がセンターライン8aの位置に最も近い図柄)のコードナンバーを表す。「停止制御位置」とは、停止操作が行われたリールが停止したとき、センターライン8aの位置に停止表示される図柄のコードナンバーを表す。ここで、本実施例では、いわゆる「滑りコマ数」を最大“4コマ”としている。例えば、右のリール3Rの回転中において、コードナンバー“12”の“チェリー”がセンターライン8aの位置に到達したとき、停止ボタン7Rが操作された場合、コードナンバー“08”の“青7”をセンターライン8aの位置に停止表示するように右のリール3Rを停止制御することができる。
【0077】
図12は、当り用停止制御テーブルを示す。このテーブルは、「ベルの小役」に内部当選した後、“ベル-ベル-ベル”が有効ラインに沿って並び、ベルの小役の入賞が成立するようにリールを停止制御する際に使用される。
【0078】
図12において、左のリール3Lの「停止制御位置」は、コードナンバー“03”、“08”、“11”、“15”又は“19”のいずれかであり、これらに対応する図柄は”ベル”である。
【0079】
図12において、中央のリール3Cの「停止制御位置」は、コードナンバー“03”、“07”、“11”、“15”又は“19”のいずれかであり、これらに対応する図柄は、“ベル”である。
【0080】
図12において、右のリール3Rの「停止制御位置」は、コードナンバー“01”、“05”、“10”、“14”又は“18”のいずれかであり、これらに対応する図柄は、“ベル”である。
【0081】
以上のように、図12に示す当り用停止制御テーブルが各リール3L、3C、3Rの停止制御に使用された場合には、センターライン8aの位置、すなわち表示窓4L、4C、4R内の中央の位置に“ベル”が停止表示され、入賞が成立することとなる。
【0082】
図13は、順押し・中押しはずれ用停止制御テーブルを示す。このテーブルは、「ベルの小役」に内部当選した後、“ベル-ベル-ベル”が有効ラインに沿って並ばないように(ベルの小役の入賞が不成立となるように)リールを停止制御する際に使用される。ここで、左のリール3L及び中央のリール3Cの停止操作位置に対する停止制御位置は、図12に示すものと同じである。
【0083】
図13において、右のリール3Rの「停止制御位置」は、コードナンバー“02”、“06”、“11”、“15”又は“19”のいずれかであり、これらに対応する図柄は、“Replay”である。
【0084】
以上のように、図13に示す順押し・中押しはずれ用停止制御テーブルが各リール3L、3C、3Rの停止制御に使用された場合には、表示窓4L、4C内の中央の位置に“ベル”が停止表示され、表示窓4R内の中央の位置に“Replay”が停止表示されるので、ベルの小役の入賞が不成立となる。
【0085】
図14は、逆押しはずれ用停止制御テーブルを示す。このテーブルは、「ベルの小役」に内部当選した後、“ベル-ベル-ベル”が有効ラインに沿って並ばないように(ベルの小役の入賞が不成立となるように)リールを停止制御する際に使用される。ここで、中央のリール3C及び右のリール3Rの停止操作位置に対する停止制御位置は、図12に示すものと同じである。
【0086】
図14において、左のリール3Lの「停止制御位置」は、コードナンバー“04”、“09”、“12”、“17”又は“20”のいずれかであり、これらに対応する図柄は、“Replay”である。
【0087】
以上のように、図14に示す逆押しはずれ用停止制御テーブルが各リール3L、3C、3Rの停止制御に使用された場合には、左の表示窓4L内の中央の位置に“Replay”が停止表示され、表示窓4C、4R内の中央の位置に“ベル”が停止表示されるので、ベルの小役の入賞が不成立となる。
【0088】
ここで、実施例では、前述のように停止順序として“6種類”を採用し、テーブル番号に応じて、いずれか一の順序で停止操作が行われたときにのみ、“ベル-ベル-ベル”が有効ラインに沿って並び、入賞が成立するようにしている。このため、第2停止操作が行われたときに、“ベル-ベル-ベル”が有効ラインに沿って並ぶか否かが確定する場合がある。例えば、テーブル番号として“1(対応する停止順序は「左中右」)”が採用され、第1停止操作として左のリール3Lが操作された場合である。すなわち、第1停止操作が行われた場合、必ずしも“ベル-ベル-ベル”が有効ラインに沿って並ぶか否かが明らかではない場合がある。また、実施例では、“ベル-ベル-ベル”は、必ずセンターライン8aに沿って並ぶこととしている。そこで、実施例では、図13及び図14に示すように、2つのはずれ用の停止制御テーブルを使用することとしている。なお、テーブル番号が“2”、“3”、“4”、“5”、又は“6”の場合には、各々「左右中」、「中左右」、「中右左」、「右左中」、又は「右中左」で停止操作を行うことにより、ベルの小役の入賞が成立するようになっている。
【0089】
図15(a)に示す「ステータス移行抽選テーブル」について説明する。このテーブルは、図7に示した段階的演出におけるLEVELを変化させるために用いるものであり、乱数範囲は0?255である。このテーブルは、現在のLEBEL数と同じステータス数の行が参照され、抽出された乱数値から、左の列から順に減算され、負になった列の値を移行値とする。
【0090】
例えば、現在のLEVELが3であって、抽出された乱数値が134の場合、ステータス3の行が参照され、まず、134から4が減算され、130となる。この値が正であることから、更に4が減算され、126となる。この値が正であることから、更に240が減算され、-124となる。ここで負になるので、この場合の移行値は0であることから、LEVELは3のままである。
【0091】
図15(b)に示す「頂上AT突入選択テーブル」について説明する。このテーブルは、図7に示した段階的演出におけるLEVELが最上段のLEVEL5に達した場合に行われる、ATに突入させるか否かの抽選に用いるためのものであり、乱数範囲は0?255である。抽選方法は上述と同様であり、LEVEL5に達したうちの86/256でATに投入するようになっている。
【0092】
図16に「AT回数選択テーブル」および「AT発動抽選テーブル」について説明する。この乱数範囲は、0?1023である。
【0093】
AT1回は、10ゲーム分であるが、このATを何回発生させるかを決定するのが、「AT回数選択テーブル」である。1回のAT抽選で選択されるATの回数は”1回”、”2回”、”5回”、”10回”、”30回”のいずれかである。
【0094】
そして、このAT1回分を発動させるか否かを選択するのが、「AT発動抽選テーブル」である。この乱数範囲は、0?255である。ここで、発動が選択された場合にはベルの押し順の報知回数10ゲーム分がセットされる。すなわち、ここでATが始まる。
【0095】
図17および図18にコマンド表について説明する。これらのコマンドは、主制御回路81から副制御回路82に送信されるものであり、この送信は主制御回路81から副制御回路82への一方向の送信のみである。主制御回路81から副制御回路82の間は16本のデータ信号線と1本の信号線で接続されている。そして、これらのコマンドは4バイトまたは6バイト構成になっており、16本のデータ信号線で送信するために2または3シーケンスで1つのコマンドとして送信している。
【0096】
これらコマンドのうち、スタートコマンドについて説明すると、このゲームの内部当選役の種別、遊技状態、および内部当選役がベルである場合の選択された停止制御テーブルナンバーが一つのコマンドとして送信される。その他のコマンドついても同様である。また、図17および図18に示したコマンドは、その一例であり、これら以外にも副制御回路で行う制御に必要な情報の送信を行っている。
【0097】
次に、主制御回路81のCPU41の制御動作について、図19?図25に示すメインフローチャートを参照して説明する。
【0098】
初めに、電源が投入され(ステップ[以下、STと表示する]1)、CPU41は、全出力ポートを初期化する(ST2)。続いて、パワーダウンエラーであるか否かを判断する(ST3)。ここで、パワーダウンエラーの場合は、ST2の処理に移り、パワーダウンエラーでない場合は、ST4の処理に移る。ST4の処理では、CPU41を初期化が行われる。続いて、RAMエラーであるか否かを判断する(ST5)。ここで、RAMエラーの場合には、RAMエラーの表示を行う。具体的には、7セグメントLEDにより構成されるメダル払い出し表示器に「rr」という表示を行う。なお、RAMエラーとは、RAM78が正常に読み書きできない不具合をいう。
【0099】
そして、RAMエラーでない場合には、設定用鍵型スイッチが「オン」であるか否かを判断する(ST6)。設定用鍵型スイッチが「オン」のときは、6段階の設定処理を行った後、ST12の処理に移る。また、設定用鍵型スイッチが「オフ」のときは、ST8の処理に移る。ST8の処理では、バッテリーバックアップが正常であるか否かを判断する。バッテリーバックアップが正常のときは、戻り番地、RAM78の未使用領域をクリアした後、全レジスタを電源遮断時の出力状態に復帰させ(ST9)、入力ポートを電源復帰時の状態に更新し、電源遮断時の状態に復帰する(ST10)。
【0100】
バッテリーバックアップが正常でないときは、設定値の初期値をセットする(ST11)。続いて、RAM78の全領域をクリアする(ST12)。ここで、ST12以下の処理は、ST6の判断において設定用鍵型スイッチが「オン」のとき、6段階の設定処理を経由した場合にも行われる。続いて、各設定値を格納し(ST13)、通信データの初期化を行う(ST14)。それから、CPU41は、遊技終了時のRAM78をクリアする(ST15)。続いて、メダルの自動投入の要求があるか否かを判断する(ST16)。自動投入の要求がある場合とは、前の遊技において再遊技の入賞が成立した場合である。メダルの自動投入の要求があるときは、投入要求分のメダルを自動投入し(ST17)、副制御回路に遊技メダル投入コマンドを送信した後、ST20の処理に移る。メダルの自動投入の要求がないときは、メダル投入口及びベットボタンからのメダルの投入を受け付け(ST19)、ST20の処理に移る。
【0101】
ST20の処理では、スタートレバーが「オン」か否かを判断し、スタートレバーが「オン」のときは、前遊技から4.1秒経過しているか否かを判断する(ST21)。具体的には、後述のST24の処理でセットされる一遊技監視用タイマの値に基づいて判断する。前遊技から4.1秒経過していないときは、遊技開始待ち時間を消化し(ST22)、ST23の処理に移る。
【0102】
ST23の処理では、CPU41は、抽選用の乱数を抽出する。具体的には、0?16383の範囲から乱数を抽出する。続いて、一遊技監視用タイマをセットし(ST24)、現在の遊技状態を判断するための遊技状態監視処理を行う(ST25)。次に、確率抽選処理を行う。この確率抽選処理では、ST23の処理で抽出された乱数値、及び遊技状態監視処理で判断した現在の遊技状態に対応した確率抽選テーブルに基づいて、内部当選役を決定する。確率抽選テーブルは、上述した通り各入賞役毎に内部当選となる乱数値が予め定められている。
【0103】
次に、CPU41は、当り表示ランプ点灯抽選処理を行い(ST27)、停止制御テーブル選択処理(この停止制御テーブル選択処理についての詳しい説明は後述する)を行う(ST28)。そして、遊技開始時の送信処理としてスタートコマンドを副制御回路に送信し(ST29)、リール回転開始用に初期化する(ST30)。
【0104】
次に、CPU41は、停止ボタンが「オン」であるか否かを判断し(ST31)、停止ボタンが「オン」のときは、ST33の処理に移り、停止ボタンが「オフ」のときは、ST32の処理に移る。ST32の処理では、自動停止タイマの値が「0」であるか否かを判断し、自動停止タイマの値が「0」のときは、ST33の処理に移り、自動停止タイマの値が「0」でないときは、ST31の処理に移る。ST33の処理では、当選要求(内部当選役のこと)、図柄位置(停止操作時におけるリールの回転位置)、選択されている停止制御テーブル等から滑りコマ数を決定する。
【0105】
そして、ST33の処理で決定された滑りコマ数分、リールを回転させる(ST34)。次に、そのリールの停止要求をセットし(ST35)、副制御回路にリール停止コマンドを送信する(ST36)。
【0106】
そして、全てのリールが停止したか否かを判断する(ST37)が、全てのリールが停止したときは、ST38の処理に移り、全てのリールが停止していないときは、ST31の処理に移る。ST38の処理では、遊技終了時の演出処理を行い、入賞検索を行う(ST39)。続いて、入賞フラグが正常であるか否かを判断し(ST40)、入賞フラグが正常な場合には、ST42の処理に移り、入賞フラグが正常でない場合には、イリーガルエラーの表示を行う(ST41)。
【0107】
次に、入賞枚数0であるか否かを判断する(ST42)。具体的には、いずれかの役(再遊技を除く)の入賞が成立したか否かを判断する。入賞が成立したときは、状態(BB作動中或いはRB作動中であるか否か)及び入賞役に応じてメダルの貯留または払い出しを行う(ST43)。
【0108】
次に、CPU41は、BB、RB作動中であるか否かを判断し(ST44)、BB、RB作動中のときは、ST45の処理に移り、BB、RB作動中でないときは、ST48の処理に移る。ST45の処理では、BB、RB遊技数チェック処理を行い、BBの終了時であるか否かを判断する(ST46)。BB終了のときは、BB終了時のRAMをクリアし(ST47)、ST49の処理に移り、BB終了でないときは、ST49の処理に移る。BB、RB作動中でないときは、BB、RB入賞チェック処理(ST48)を行い、ST49の処理に移る。ST49の処理では、ボーナス7SEG制御処理を行い、ST15の処理に移る。
【0109】
次に、ST28で行われる停止制御テーブル選択処理について説明する。初めに、CPU41はこのゲームの内部当選役がベルか否かの判断をする(ST50)。このゲームの内部当選役がベルのときはST51の処理に移り、このゲームの内部当選役がベルでないときはST52の処理に移る。ST51の処理では乱数値を抽出し、停止制御テーブル選択テーブルに基づいて、停止制御テーブルを1つ選択する。また、ST52の処理では内部当選役毎に予め定められている停止制御テーブルを選択する。
【0110】
次に、図26?図30を参照して、副制御回路82の制御処理について説明する。
【0111】
まず、図26を参照して、副制御回路の処理の概略について説明する。
【0112】
初めに、サブCPU84は、スタートコマンドを受信したか否か、すなわち一のゲームが開始したか否かを判別する(ST101)。ここで、前述のように、スタートコマンドは、開始したゲームの内部当選役、テーブル番号等の情報を含む。スタートコマンドを受信したときは、ST102の処理に移る。ST102の処理では、ATの実行処理、すなわち押し順の報知に関する処理を行う。そして、次にST103の処理に移る。
【0113】
ST103の処理では、ステータス移行抽選処理、すなわち段階的演出におけるLEVELの移行に関する処理を行う。また、ST101においてスタートコマンドを受信していない場合は、再びST101の処理に戻り、スタートコマンドの受信を待つこととなる。
【0114】
図27は、ステータス移行抽選処理について示したものである。初めに、現在のステータス、すなわち現在のLEVELに基づいてステータス移行抽選テーブルをセット(ST104)し、乱数抽選する(ST105)。その抽選結果に基づいて、段階演出表示のLEVELを移行させる(ST106)。
【0115】
そして、移行させた結果、ステータス(段階的演出表示上のLEVEL)が5に達したか否かの判断をする(ST107)。ステータスが5に達したときは、頂上AT突入選択テーブルに基づいて、ATに突入させるか否かの抽選を行う(ST108)。この抽選の結果、突入に当選した場合には、AT回数選択処理を行う(ST110)。このAT回数選択処理は、上述のAT回数選択テーブルに基づいて行われる。ここで選択されたAT回数をAT回数ストックカウンタに加算した後、ステータスを1に移行させる(ST111)。ATに突入させるか否かの抽選に当選しなかった場合には、ST110、111の処理を行わず、復帰する。これらの処理によって、LEVEL5に達した場合に、ATが発生するか否かの抽選を行うようにしている。
【0116】
図28は、ST102に示したATの実行処理について示したものである。
【0117】
まず、報知回数カウンタの値が1以上か否かの判断を行う(ST201)。報知回数カウンタの値が1以上の場合は、押し順報知処理(ST204)を行う。そして、報知回数カウンタの値が1以上でない場合、AT回数ストックカウンタの値が1以上か否かの判断を行う(ST202)。AT回数ストックカウンタの値が1以上でない場合は処理を復帰させ、AT回数ストックカウンタの値が1以上の場合はAT発動抽選処理(ST203)を行う。
【0118】
上述の報知回数カウンタの値が1以上となる場合は、AT中であることを示している。また、AT回数ストックカウンタの値が1以上となる場合は、AT潜伏中であることを示している。
【0119】
図29は、ST204に示した押し順報知処理について示したものである。
【0120】
まず、押し順報知回数カウンタの値を1減算する(ST205)。そして、このゲームの内部当選役がベルか否かの判断を行う(ST206)。このゲームの内部当選役がベルでない場合は処理を復帰させるが、このゲームの内部当選役がベルの場合は選択されている停止制御テーブルナンバーに基づいてベルを入賞させるための情報を報知し(ST207)、処理を復帰させる。
【0121】
図30は、ST203に示したAT発動抽選処理について示したものである。
【0122】
まず、AT発動抽選テーブルに基づいて乱数抽選を行う(ST208)。この抽選の結果、発動に当選したか否かの判断を行い(ST209)、発動に当選しなかった場合は処理を復帰させ、発動に当選した場合は押し順報知回数カウンタに10の値を加算し(ST210)、AT回数ストックカウンタの値から1減算し(ST211)、処理を復帰させる。
【0123】
以上、実施例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。実施例では、段階的な演出を表示を5段階で説明したが、これに限らず複数段階あれば良い。また、実施例では最上段に達した場合に、ATに突入するか否かの抽選を行っているが、抽選を行う段階はこれに限らず、どの段階で行うようにしても良い。
【0124】
また、ATとして、押し順の違いによって入賞の成否が決まるものに対して、その押し順を報知するようにしたが、これ以外に内部当選役を報知するATを採用するようにしても良い。更に、遊技者に有利な状況としては、多くの遊技媒体を獲得できるものであれば、AT以外にBBやRB等も採用することができる。
【0125】
更に、本実施例のようなスロットマシンの他、パチンコ遊技機等の他の遊技機にも適用することができる。さらに、このような遊技機の動作を家庭用ゲーム機用として擬似的に実行するようなゲームプログラムにも適用してゲームを実行することができる。その場合、ゲームプログラムを記録する記録媒体は、CD-ROM、FD(フレキシブルディスク)等、任意の記録媒体を利用できる。
【0126】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、段階的表示手段が示す段階が所定の段階に達したときに乱数抽選が行い、この抽選結果に基づいて有利な状況が発生させるようにしたことから、遊技者はその所定の段階に達したとき得られる達成感を味わうことに期待しながら遊技を行うようになる。よって、本発明は長時間にわたって遊技を行っても飽きることのない、面白味のあるものとなる。更に、その所定段階に達したところで有利な状況が確定するものではなく、そこで抽選によって決定されるので、遊技が単調になるようなことがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態によるスロットマシンの外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態によるスロットマシンの外観を示す正面図である。
【図3】本発明の実施形態によるスロットマシンの電気回路の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態によるスロットマシンの副制御回路の構成を示すブロック図である。
【図5】リール上に配列された図柄列を示した図である。
【図6】入賞図柄組合せに対応する入賞役及び払い出し枚数を示す図。
【図7】本発明の実施形態による段階的な演出表示を示した図である。
【図8】停止順序を報知する画像の例を示した図である。
【図9】確率抽選テーブルを示した図である。
【図10】停止制御テーブルナンバー選択テーブルを示した図である。
【図11】各停止テーブルナンバー毎の押し順と入賞成立不成立の対応を示した図である。
【図12】停止制御テーブルの例を示した図である。
【図13】停止制御テーブルの例を示した図である。
【図14】停止制御テーブルの例を示した図である。
【図15】ステータス移行抽選テーブルを示した図である。
【図16】AT回数選択テーブルおよびAT発動抽選テーブルを示した図である。
【図17】主制御回路から副制御回路に送信されるコマンドの例を示した図である。
【図18】主制御回路から副制御回路に送信されるコマンドの例を示した図である。
【図19】主制御回路の処理を示すフローチャートである。
【図20】主制御回路の処理を示すフローチャートである。
【図21】主制御回路の処理を示すフローチャートである。
【図22】主制御回路の処理を示すフローチャートである。
【図23】主制御回路の処理を示すフローチャートである。
【図24】主制御回路の処理を示すフローチャートである。
【図25】停止制御テーブル選択処理を示すフローチャートである。
【図26】副制御回路の処理を示すフローチャートである。
【図27】ステータス移行抽選処理を示すフローチャートである。
【図28】AT実行処理を示すフローチャートである。
【図29】押し順報知処理を示すフローチャートである。
【図30】AT発動抽選処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…遊技機
2…キャビネット
2a…パネル表示部
3L,3C,3R…リール
4L,4C,4R…表示窓
5…液晶表示装置
5a…液晶表示画面
6…スタートレバー
7L,7C,7R…停止ボタン
10…台座部
11…1-BETスイッチ
12…2-BETスイッチ
13…最大-BETスイッチ
14…貯留メダル精算スイッチ
15…遊技メダル払出口
16…遊技メダル受け部
17…WINランプ
18…払い出し表示部
19…遊技メダル貯留枚数表示部
20…役物回数表示部
21L,21R…スピーカ
22…メダル投入口
23…配当表パネル
24 遊技メダル投入ランプ
25…遊技開始表示ランプ
26…十字ボタン
27…○ボタン
28…×ボタン
29…ドア開閉および打ち止め解除装置
31…遊技停止表示器
32…再遊技表示器
33…RB作動表示器
34…BB作動表示器
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2010-10-18 
出願番号 特願2002-13361(P2002-13361)
審決分類 P 1 113・ 537- YA (A63F)
P 1 113・ 121- YA (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鉄 豊郎  
特許庁審判長 立川 功
特許庁審判官 澤田 真治
吉村 尚
登録日 2007-12-28 
登録番号 特許第4061073号(P4061073)
発明の名称 遊技機  
代理人 正林 真之  
代理人 正林 真之  
代理人 黒田 博道  

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