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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F25B 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F25B |
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管理番号 | 1230496 |
審判番号 | 不服2008-29656 |
総通号数 | 135 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-03-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-11-20 |
確定日 | 2011-01-14 |
事件の表示 | 特願2001-376611号「ヒートポンプシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 6月27日出願公開、特開2003-176963号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件出願は、平成13年12月11日の出願であって、平成20年9月26日付けで拒絶査定がされ、この査定に対し、平成20年11月20日に本件審判が請求されるとともに、平成20年12月18日付けで手続補正がなされたものである。 第2 平成20年12月18日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成20年12月18日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1. 補正後の請求項1に記載された発明 本件補正により、特許請求の範囲の【請求項1】は、 「【請求項1】圧縮機、凝縮器、蒸発器等からなる冷凍サイクルの前記凝縮器が内部に複数枚のプレートが設けられているプレート型の給湯用熱交換器に、そして前記蒸発器が同様に内部に複数枚のプレートが設けられているプレート型の冷温水用熱交換器に選定され、前記給湯用熱交換器には温水供給管と温水出管とが、そして前記冷温水用熱交換器には冷水供給管と冷水出管とがそれぞれ接続されているヒートポンプシステムであって、 前記圧縮機に連なっている冷媒戻管には、吸入圧力調整弁が介装され、該吸入圧力調整弁により前記圧縮機の過負荷が防止されるようになっていると共に、前記温水供給管または前記温水出管には圧力式温調弁が介装され、 前記プレート型の給湯用熱交換器の伝熱面積、大きさおよび過冷却度とが決定され、前記圧力式温調弁により冷媒の圧力変動に応じた給湯量が前記プレート型の給湯用熱交換器に供給されると、凝縮圧力が許容圧力以下で前記プレート型の給湯用熱交換器に35℃以上の温水を供給でき、出湯温度が60℃以上の温水が得られることを特徴とする、ヒートポンプシステム。」 と補正された。 上記補正は、 (a)補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「給湯用熱交換器」に関して、「内部に複数枚のプレートが設けられているプレート型の給湯用熱交換器」と限定し、 (b)補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「冷温水用熱交換器」に関して、「同様に内部に複数枚のプレートが設けられているプレート型の冷温水用熱交換器」と限定し、 (c)補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記圧力式温調弁による流量と、前記給湯用熱交換器の伝熱面積、大きさおよび過冷却度とが決定され、それによって凝縮圧力が許容圧力以下で前記給湯用熱交換器に35℃以上の温水を供給でき、出湯温度が60℃以上の温水が得られること」に関して、「プレート型の給湯用熱交換器の伝熱面積、大きさおよび過冷却度とが決定され、前記圧力式温調弁により冷媒の圧力変動に応じた給湯量が前記プレート型の給湯用熱交換器に供給されると、凝縮圧力が許容圧力以下で前記プレート型の給湯用熱交換器に35℃以上の温水を供給でき、出湯温度が60℃以上の温水が得られること」と限定するものであって、当該補正箇所は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 2. 引用刊行物とその記載事項 (1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開2000-329424号公報(以下「刊行物1」という。)には、圧縮機、凝縮器、蒸発器等の中に第1、2の熱交換器が含まれている冷凍サイクルからなる冷暖房給湯装置に関し、図面とともに、次の技術的事項が記載されている。 (ア)「【請求項1】圧縮機、凝縮器、蒸発器等の中に第1、2の熱交換器が含まれている冷凍サイクルからなる冷凍サイクルからなる冷暖房給湯装置であって、 前記第1の熱交換器(3、3’、3”)は加熱源として選定され、そして前記第2の熱交換器(13)は暖房および冷房源として選定され、前記第1の熱交換器(3、3’、3”)と第2の熱交換器(13)は冷媒回路的に直列に接続されていると共に、前記第1の熱交換器(3、3’、3”)には熱媒体が循環する熱移動手段(20、20’、20”)が接続され、浴槽(Y)の湯および貯湯槽(25)の水は前記熱移動手段(20、20’、20”)を介して前記第1の熱交換器(3、3’、3”)により間接的に加熱されるようになっていることを特徴とする冷凍サイクルからなる冷暖房給湯装置。」 (イ)「【請求項2】請求項1に記載の第1の熱交換器(3、3’、3”)に接続されている熱移動手段(20、20’)には、さらに浴室暖房器(43)が接続され、第2の熱交換器(13)には冷暖房器(34)と床暖房器(35)とが接続されている冷凍サイクルからなる冷暖房給湯装置。」 (ウ)「【0002】 【従来の技術】・・(略)・・ 【0003】したがって、次のように冷媒の流れ方向を制御することにより暖房、冷房、給湯および給湯と冷房とができる。・・(略)・・ 【0007】・・(略)・・本発明は、上記したような従来の事情に鑑みてなされたものであって、冷凍サイクルが格別に大型化することなく、冷暖房、比較的高温の給湯、浴湯の加熱等が単独でも、また組み合わせても使用目的に応じて効率的に加熱でき、また浴湯も貯湯槽の水と混じることなく衛生的に加熱することができる、冷凍サイクルからなる冷暖房給湯装置を提供することを目的としている。また、他の発明は上記目的に加えて浴室の暖房あるいは乾燥もでき高齢者にも安全な浴室を提供できる冷凍サイクルからなる冷暖房給湯装置を提供することを、さらに他の発明は24時間随時に健康的に入浴を楽しむことができる冷凍サイクルからなる冷暖房給湯装置を提供することを目的としている。」 (エ)「【0009】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態を示す模式図であるが、図1示されているように、第1の実施の形態に係わる冷暖房給湯装置は、圧縮機2、第1の熱交換器3、第2の熱交換器13、蒸発器あるいは凝縮器の作用を奏する熱源用熱交換器10等からユニット1として構成されている。そして、このユニット1に付随して給湯・浴湯加熱装置20と、冷暖房装置30とが設けられている。」 (オ)「【0017】以下、浴槽Y中の浴湯の加熱を浴槽加熱、貯湯槽25中の水の加熱を給湯加熱と略して説明する。 A.浴槽加熱:例えば浴槽装置50に備わっている温度センサが浴湯の温度が設定温度以下に低下したことを検知すると、冷凍サイクルが起動し、冷媒が圧縮機2、第1の電磁開閉弁6、第1の熱交換器3、第2、3の電磁開閉弁7、8、熱源用熱交換器10、4切換方弁11、圧縮機2の順に循環する。これにより、凝縮器である第1の熱交換器3が加熱され、その第2熱交換部21も加熱される。給湯・浴湯加熱装置20のポンプ27が起動し、熱媒体例えば水が第2熱交換部21、3方切換弁23、浴槽装置50の熱交換器90、第2の熱交換部21の順に循環する。これにより、浴槽Y中の浴湯が加熱されるが、その詳細は浴槽装置50の構成と共に後述する。」 (カ)「【0020】E.浴槽加熱プラス冷房:冷媒が圧縮機2、第1の電磁開閉弁6、第1の熱交換器3の第1の熱交換部5、第2の電磁開閉弁7、膨張弁17、第2の熱交換器13の第1の熱交換部15、4切換方弁11、圧縮機2の順に循環する。給湯・浴湯加熱装置20のポンプ27が起動し、熱媒体例えば水が第2熱交換部21、3方切換弁23、浴槽装置50の熱交換器90、第2熱交換部21の順に循環する。これにより浴槽加熱が行われる。第2の熱交換器13は、蒸発器として作用し冷却される。冷暖房装置30のポンプ26が起動し 、熱媒体の例えば水が第2の熱交換部21、冷暖房用熱交換器34、ポンプ36、および第2の熱交換部31の順に循環する。この冷却された水の循環により、冷暖房用熱交換器34により室内が冷房される。このとき床暖房用熱交換器25に冷却された水循環させることにより床を冷やすこともできる。なお、このときも上記したようにして給湯加熱もできるので、浴槽加熱と給湯加熱プラス冷房ができることになる。」 (キ)「【0026】次に、図2により本発明の第2の実施の形態を説明する。なお、図1に示されている第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ参照符号を付けて、また同様な構成要素には同じ参照数字にダッシュ「’」あるいは「”」を付けて重複説明はしない。また、図2中の符号「r」は冷媒管路を示し、44a、44b、44c、、等は電磁開閉弁を、そして45a、45B、、等は逆止弁をそれぞれ示している。第2の実施の形態によると、給湯用の熱交換器3’と、浴槽用の熱交換器3”が分離され、配管等が損傷をしても浴湯と湯が混じらないようになっているが、浴槽加熱、冷暖房等は第1の実施の形態と略同様に作用する。以下、その例を説明する。なお、第2の実施の形態においても、電磁開閉弁44a、44b、44c、、は適宜開閉されるものとして説明する。」 (ク)「【0031】E’.浴槽加熱プラス冷房:冷媒が圧縮機2、電磁開閉弁44j、浴槽用熱交換器3”の第1の熱交換部5”、逆止弁45d、電磁開閉弁44eおよびf、膨張弁17、第2の熱交換器13の第1の熱交換部15、4切換方弁11、圧縮機2の順に循環する。浴槽用加熱装置20”のポンプ27”が起動し、熱媒体例えば水が第2熱交換部21”、3方切換弁23”、浴槽装置50の熱交換器90、第2熱交換部21”の順に循環する。これにより浴槽加熱が行われる。第2の熱交換器13は、蒸発器として作用し冷却される。」 (ケ)「【0032】F’.給湯加熱プラス暖房:・・(略)・・この加熱された水の循環により、冷暖房用熱交換器34により例えば室内が、そして床暖房用熱交換器35により床が暖房される。」 (コ)「【0033】G’.給湯加熱プラス冷房:冷媒が圧縮機2、電磁開閉弁44a、給湯用熱交換器3’の第1の熱交換部5’、電磁開閉弁44c、逆止弁45B、電磁開閉弁44eおよびf、膨張弁17、第2の熱交換器13の第1の熱交換部15、4切換方弁11、圧縮機2の順に循環する。これにより、凝縮器である給湯用熱交換器3’が加熱され、その第2熱交換部21’も加熱される。ポンプ27’が起動し、熱媒体である水が第2熱交換部21’、3方切換弁23’、貯湯槽25の熱交換器24、ポンプ27’、第2の熱交換部21’の順に循環する。これにより、貯湯槽25中の水が加熱され、貯えられる。冷暖房装置30のポンプ26が起動し 、熱媒体の例えば水が第2熱交換部21、冷暖房用熱交換器34、ポンプ36、および第2の熱交換部31の順に循環する。この冷却された水の循環により、冷暖房用熱交換器34により室内が冷房される。」 (サ)「【0039】図3に本発明の第3の実施の形態が示されている。本実施の形態は、図2に示されている第2の実施の形態において給湯加熱装置20’部分が変形された例で、貯湯槽25’の水が直接加熱される例である。本実施の形態によると、給湯用熱交換器3’内において、貯湯槽25’の水は、冷媒の流れと逆方向に流れるように構成され、水の循環管路Rには、バネと冷媒圧力が負荷された制水弁23aが介装されている。また、熱交換器の伝熱面積は通常の約2倍に選定され、冷媒と水が熱交換する部分が狭くなっている。 【0040】したがって、第3の実施の形態によると次のような効果が得られる。すなわち、図1、2に示されている実施の形態によると熱媒体の圧力が21kg/cm2で凝縮温度は約54°で、得られる給湯温度も50°程度と低いが、本実施の形態によると、熱交換器の伝熱面積は通常の約2倍に選定され、冷媒と水が熱交換する部分が狭くなっているので、冷媒は充分凝縮でき、過冷却も多くとれる。したがって、70°程度の高温の温水が得られる。また、給湯側に制水弁23aが設けられているので、各運転モードの安定化が図れる。まず、給湯と暖房とを直列運転する場合、暖房運転に負荷が100%必要なときは、給湯側は流れない。また50%のときは、50%が給湯側で取り出すことができる。このとき給湯用熱交換器はその機械能力の100%で見た伝熱面積であるので、給湯用熱交換器としては、2倍の伝熱面積を持っているので、50%に対して4倍の伝熱面積となり、高温冷媒より吐出温度に近い温度が得られることになる。浴槽の加熱の同様に優先になるため、高温が取れ、また1度モードを切り換えるために、機械を1度停止し、3分以上待たなくても連続運転ができる。したがって、機械の寿命の延びる。また、本実施の形態によると、圧力を一定に調整して加熱されるので、安定した運転ができ、凝縮圧力が一定しているので給湯に関しては厳寒期でも低圧側も安定する。したがって、霜の付着も少なく、例え付着しても逆サイクル方式で短時間で除霜できる効果が得られる。」 ・記載事項(コ)の「給湯加熱プラス冷房」の作用は、記載事項(キ)で「浴槽加熱、冷暖房等は第1の実施の形態と略同様に作用する。以下、その例を説明する。」とされた「本発明の第2の実施の形態」の作用の一形態である。 なお、記載事項(コ)の「冷暖房装置30のポンプ26が起動し 、熱媒体の例えば水が第2熱交換部21、冷暖房用熱交換器34、ポンプ36、および第2の熱交換部31の順に循環する。この冷却された水の循環により、冷暖房用熱交換器34により室内が冷房される。」なる記載中の「ポンプ26が起動し 、熱媒体の例えば水が第2熱交換部21」は、図2、及び、前後の記載から「ポンプ36が起動し 、熱媒体の例えば水が第2熱交換部31」の誤記と認める。 そして、記載事項(サ)の「本発明の第3の実施の形態」は、「図2に示されている第2の実施の形態において給湯加熱装置20’部分が変形された例」であって、浴槽加熱、冷暖房等は第2の実施の形態と略同様に作用するものであるので、「給湯加熱プラス冷房」時の動作は、記載事項(コ)と略同様のものといえる。 ・記載事項(イ)の「第2の熱交換器(13)には冷暖房器(34)と床暖房器(35)とが接続されている冷凍サイクルからなる冷暖房給湯装置」は、「請求項1に記載の」「第1の熱交換器(3、3’、3”)」および「第2の熱交換器(13)に」に、「浴室暖房器(43)が接続され」、「冷暖房器(34)と床暖房器(35)とが接続されている」ものであるのであって、請求項1記載の構成を前提構成とするものといえる。 そして、記載事項(サ)の「本発明の第3の実施の形態」においてと記された給湯用熱交換器3’は、記載事項(イ)の「第1の熱交換器(3、3’、3”)」の一実施例として例示されたものであって、その「本実施の形態によると、熱交換器の伝熱面積は通常の約2倍に選定され、冷媒と水が熱交換する部分が狭くなっているので、冷媒は充分凝縮でき、過冷却も多くとれる。したがって、70°程度の高温の温水が得られる」とされた実施の形態は、熱交換器の伝熱面積は通常の約2倍に選定され、冷媒と水が熱交換する部分が狭くなっているので、冷媒は充分凝縮でき、過冷却も多くとれ、70°程度の高温の温水が得られる冷凍サイクルからなる冷暖房給湯装置といえる。 ・記載事項(サ)の「水の循環管路R」は、図3に矢印で図示されている管路であるので、前記第1の熱交換器(3’、3”)に接続された熱媒体が循環する熱移動手段の水の循環管路Rには、バネと冷媒圧力が負荷された制水弁23aが介装されているといえる。 ・記載事項(イ)の「第2の熱交換器(13)には冷暖房器(34)と床暖房器(35)とが接続されている」は、該構成により記載事項(コ)の「熱媒体の例えば水が第2熱交換部21、冷暖房用熱交換器34、ポンプ36、および第2の熱交換部31の順に循環する。この冷却された水の循環により、冷暖房用熱交換器34により室内が冷房される。」動作を行うものであるのであるので、第2の熱交換器(13)には冷暖房器(34)と床暖房器(35)とが接続され、水の循環により室内が冷房されるともいえる。 すると、特に、記載事項(サ)に「本発明の第3の実施の形態」として記載された実施形態の「給湯加熱プラス冷房」時の状態に着目して、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が開示されているものということができる。 「圧縮機、凝縮器、蒸発器等の中に第1、2の熱交換器が含まれている冷凍サイクルの第1の熱交換器(3’、3”)は加熱源として選定され、そして前記第2の熱交換器(13)は暖房および冷房源として選定され、前記第1の熱交換器(3’、3”)には熱媒体が循環する熱移動手段(20’、20”)が接続され、浴槽(Y)の湯および貯湯槽(25’)の水は前記熱移動手段(20’、20”)を介して前記第1の熱交換器(3’、3”)により加熱されるようになっており、第2の熱交換器(13)には冷暖房器(34)と床暖房器(35)とが接続され、水の循環により室内が冷房される冷凍サイクルからなる冷暖房給湯装置であって、 前記第1の熱交換器(3’、3”)に接続された熱媒体が循環する熱移動手段の水の循環管路Rには、バネと冷媒圧力が負荷された制水弁(23a)が介装され、 第1の熱交換器(3’、3”)の伝熱面積は通常の約2倍に選定され、冷媒と水が熱交換する部分が狭くなっているので、冷媒は充分凝縮でき、過冷却も多くとれ、70°程度の高温の温水が得られる冷凍サイクルからなる冷暖房給湯装置。」 (2)原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平5-187742号公報(以下「刊行物2」という。)には、冷凍装置の吸入圧力調整弁等の圧力調整弁に関し、図面とともに、次の技術的事項が記載されている。 (シ)「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は冷凍装置の吸入圧力調整弁等の圧力調整弁に関する。 【0002】 【従来の技術】従来の冷凍装置の吸入圧力調整弁は周知のように冷凍装置のコンプレッサとエバポレータとの間に介装され、コンプレッサの吸入圧力を所定圧力以下となるように制御している。」 (ス)「【0019】 【発明の効果】本発明の圧力調整弁によれば、入口の一次圧力が作用する弁体の受圧面積を前記入口の一次圧力が作用する伸縮部材の受圧面積よりも小さく設定したので、出口の二次圧力を冷凍装置等の過負荷時における上限圧力以下となるように弾性部材により設定した場合、通常負荷時における出口の二次圧力を過負荷時における前記の上限圧力よりも高い圧力状態に制御することができる。この結果、圧力調整弁の入口の一次圧力、即ち、過負荷時のコンプレッサ吐出圧力等の過昇を防止することができるとともに、通常負荷時における圧力調整弁の出口の二次圧力を高くして冷凍能力等を向上することができる。」 (3)本願出願前に頒布された刊行物である特開平7-49153号公報(以下「刊行物3」という。)には、冷凍装置などに使用される流量制限装置に関し、図面とともに、次の技術的事項が記載されている。 (セ)「【0004】本発明の目的は、広い範囲の動作状態にわたって、圧縮機の駆動部に過負荷を生じさせることのない流量制限装置を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】適切に設計された流量制限装置は、冷凍システムの圧縮機吸込配管に配置されている。適切な設計は、使用される冷媒の型と同様に流量及び所望の吸込圧力の制限を考慮する必要がある。その装置は、制限器にかかる差流体圧プラスばね変位に応答する位置にある可変流量制限器を含んでいる。可変流量制限器の移動によって、比較的一定の下流圧が得られ、それによって流量が制限される。しかし、可変流量制限器は、所定の圧力降下が得られる後、流路の横断面を変えるだけである。」 3. 本願補正発明と引用発明との対比 (1)両発明の対応関係 (a)引用発明の「第1の熱交換器(3’、3”)」のうちの「第1の熱交換器(3’)」は、記載事項(サ)の「給湯用熱交換器3’」であるので、本願補正発明の「給湯用熱交換器」に相当する。 また、引用発明の「第2の熱交換器(13)」は、「冷暖房器(34)と床暖房器(35)とが接続」されて、記載事項(コ)の「冷却された水の循環により、冷暖房用熱交換器34により室内が冷房される。」及び、記載事項(ケ)の「加熱された水の循環により・・(略)・・暖房される。」ものであるので、引用発明の「第2の熱交換器(13)」は、本願補正発明の「冷温水用熱交換器」に相当する。 そして、引用発明の「第1の熱交換器(3’、3”)は加熱源として選定され、そして前記第2の熱交換器(13)は暖房および冷房源として選定され」と、本願補正発明の「凝縮器が内部に複数枚のプレートが設けられているプレート型の給湯用熱交換器に、そして前記蒸発器が同様に内部に複数枚のプレートが設けられているプレート型の冷温水用熱交換器に選定され」とは、前者の「第1の熱交換器」および「第2の熱交換器」が、記載事項(コ)の「給湯加熱プラス冷房」時の状態において、記載事項(コ)の「凝縮器」、及び記載事項(ク)の「蒸発器」として作用するもの(なお、記載事項(コ)では「蒸発器」と記載されていないが、記載事項(コ)の冷房も、記載事項(ク)の冷房と同様の作用で行われるものと認められるので前記の様にいえる。)であって、冷凍サイクルの「凝縮器」「蒸発器」を主語として表現することで「凝縮器が第1の熱交換器」「蒸発器が第2の熱交換器」に選定されるといえるものであるので、両者は「凝縮器が給湯用熱交換器に、そして前記蒸発器が冷温水用熱交換器に選定され」る点で共通する。 (b)引用発明の「圧縮機、凝縮器、蒸発器等の中に第1、2の熱交換器が含まれている冷凍サイクル」は、本願補正発明の「圧縮機、凝縮器、蒸発器等からなる冷凍サイクル」に相当し、以下同様に「冷凍サイクルからなる冷暖房給湯装置」は「ヒートポンプシステム」に相当する。 (c)引用発明の「第1の熱交換器(3’、3”)には熱媒体が循環する熱移動手段(20’、20”)が接続され、浴槽(Y)の湯および貯湯槽(25’)の水は前記熱移動手段(20’、20”)を介して前記第1の熱交換器(3’、3”)により加熱されるようになっており、第2の熱交換器(13)には冷暖房器(34)と床暖房器(35)とが接続され、水の循環により室内が冷房される」は、その「熱移動手段(20’、20”)」の接続、および、「第2の熱交換器(13)」と「冷暖房器(34)と床暖房器(35)」との接続が水管により行われることが自明であるので、本願補正発明の「給湯用熱交換器には温水供給管と温水出管とが、そして前記冷温水用熱交換器には冷水供給管と冷水出管とがそれぞれ接続されている」に相当する。 (d)引用発明の「水の循環管路Rには、バネと冷媒圧力が負荷された制水弁23aが介装され」と、本願補正発明の「前記温水供給管または前記温水出管には圧力式温調弁が介装され」とは、前者の「制水弁23a」が温水供給管または温水出管といえる水の循環管路Rに介装されたものであるので、両者は「前記温水供給管または前記温水出管には冷媒圧力と関連した動作を行う弁が介装され」る点で共通する。 (e)引用発明の「熱交換器の伝熱面積は通常の約2倍に選定され、冷媒と水が熱交換する部分が狭くなっているので、冷媒は充分凝縮でき、過冷却も多くとれ、70°程度の高温の温水が得られる」と、本願補正発明の「前記プレート型の給湯用熱交換器の伝熱面積、大きさおよび過冷却度とが決定され、前記圧力式温調弁により冷媒の圧力変動に応じた給湯量が前記プレート型の給湯用熱交換器に供給されると、凝縮圧力が許容圧力以下で前記プレート型の給湯用熱交換器に35℃以上の温水を供給でき、出湯温度が60℃以上の温水が得られる」とは、前者の「70°程度の高温の温水」が、引用発明の「水の循環管路Rには、バネと冷媒圧力が負荷された制水弁23aが介装され」ている構成を前提として、「熱交換器の伝熱面積は通常の約2倍に選定され、冷媒と水が熱交換する部分が狭くなっているので、冷媒は充分凝縮でき、過冷却も多くとれ」ることにより得られるものであり、「熱交換器の伝熱面積」や「過冷却」が「70°程度の高温の温水」が得られるように決定されているものであるので、両者は、「給湯用熱交換器の伝熱面積および過冷却度とが決定され、前記冷媒圧力と関連した動作を行う弁により冷媒の圧力変動に応じた給湯量が給湯用熱交換器に供給されると、出湯温度が60℃以上の温水が得られる」る点で共通する。 (2)両発明の一致点 「圧縮機、凝縮器、蒸発器等からなる冷凍サイクルの前記凝縮器が給湯用熱交換器に、そして前記蒸発器が冷温水用熱交換器に選定され、前記給湯用熱交換器には温水供給管と温水出管とが、そして前記冷温水用熱交換器には冷水供給管と冷水出管とがそれぞれ接続されているヒートポンプシステムであって、 前記温水供給管または前記温水出管には冷媒圧力と関連した動作を行う弁が介装され、 給湯用熱交換器の伝熱面積および過冷却度とが決定され、前記冷媒圧力と関連した動作を行う弁により冷媒の圧力変動に応じた給湯量が給湯用熱交換器に供給されると、出湯温度が60℃以上の温水が得られるヒートポンプシステム。」 (3)両発明の相違点 ア.本願補正発明は「給湯用熱交換器」および「冷温水用熱交換器」が、「内部に複数枚のプレートが設けられているプレート型」のものであるのに対して、引用発明は、引用発明は熱交換器の型を特定したものでない点。 イ.本願補正発明は「前記圧縮機に連なっている冷媒戻管には、吸入圧力調整弁が介装され、該吸入圧力調整弁により前記圧縮機の過負荷が防止されるようになっている」のに対して、引用発明はそうでない点。 ウ.本願補正発明は冷媒圧力と関連した動作を行う弁が「圧力式温調弁」であるのに対して、引用発明は「バネと冷媒圧力が負荷された制水弁23a」である点。 エ.本願補正発明は「プレート型の給湯用熱交換器の伝熱面積、大きさおよび過冷却度とが決定され、前記圧力式温調弁により冷媒の圧力変動に応じた給湯量が前記プレート型の給湯用熱交換器に供給されると、凝縮圧力が許容圧力以下で前記プレート型の給湯用熱交換器に35℃以上の温水を供給でき、出湯温度が60℃以上の温水が得られる」ものであるのに対して、引用発明は「熱交換器の伝熱面積は通常の約2倍に選定され、冷媒と水が熱交換する部分が狭くなっているので、冷媒は充分凝縮でき、過冷却も多くとれ、70°程度の高温の温水が得られる」ものである点。 4.容易想到性の検討 (1)相違点ア.について 内部に複数枚のプレートが設けられているプレート型の熱交換器は、例えば、特開2001-141312号公報の【0008】に「従来周知である」と記載されているように、水と冷媒との熱交換を行う熱交換器として周知慣用のものであり、引用発明の給湯用熱交換器、および、冷温水用熱交換器を該周知の内部に複数枚のプレートが設けられているプレート型の熱交換器として、相違点ア.に係る発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。 (2)相違点イ.について 刊行物2の記載事項(シ)(ス)、刊行物3の記載事項(セ)にも記載されているように、吸入圧力調整弁による圧縮機の過負荷防止は、周知慣用技術であり、引用発明の圧縮機においても、過負荷が防止したい事項であることは明らかであるので、該周知慣用技術を適用して、相違点イ.に係る発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。 (3)相違点ウ.について ヒートポンプシステムの給湯用熱交換器の給湯回路に配する弁として所謂圧力式温調弁は、例えば、特開2001-141312号公報の【0009】、特開平11-257791号公報の【0020】に記載されているように周知慣用のものであり、引用発明の水の循環管路Rに配する弁を、該周知慣用の圧力式温調弁として、相違点ウ.に係る発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。 (4)相違点エ.について 引用発明は「熱交換器の伝熱面積は通常の約2倍に選定され、冷媒と水が熱交換する部分が狭くなっているので、冷媒は充分凝縮でき、過冷却も多くとれ、70°程度の高温の温水が得られる」ものであって、上記「3.(1)(e)」に記載したように「給湯用熱交換器の伝熱面積および過冷却度とが決定され、前記冷媒圧力と関連した動作を行う弁により冷媒の圧力変動に応じた給湯量が給湯用熱交換器に供給されると、出湯温度が60℃以上の温水が得られる」点では本願補正発明と共通するものであるものの、 (a)給湯用熱交換器が、「プレート型」の給湯用熱交換器でなく、 (b)給湯用熱交換器の「大きさ」が所望の特性を得るための設計因子として「決定」されたものとされておらず、 (c)冷媒圧力と関連した動作を行う弁が、「圧力式温調弁」とされておらず、 (d)ヒートポンプシステムが全体として、「凝縮圧力が許容圧力以下で前記プレート型の給湯用熱交換器に35℃以上の温水を供給でき、出湯温度が60℃以上の温水が得られる」とされたものではない。 そこで、まず、上記(a)?(d)各々について検討する。 [(a)(c)に関して] まず、給湯用熱交換器を「プレート型」とすること、及び、冷媒圧力と関連した動作を行う弁を「圧力式温調弁」とすることは、上記(1)(3)に記載した様に当業者が容易に想到し得たことである。 [(b)に関して] 次に、給湯用熱交換器の「大きさ」を設計因子として「決定」されたものとすることは、給湯用熱交換器の大きさが、熱交換可能な熱量を決定する等、装置の特性に影響する因子となるものであることが周知事項であるので、ヒートポンプシステムの設計にあたり、該装置の特性に影響する因子である給湯用熱交換器の大きさを、設計因子として「決定」することにより所望の性能となるように設計することは、当業者が装置設計にあたり適宜選択し得た設計事項である。 [(d)に関して] (ア):「凝縮圧力が許容圧力以下」に関して まず、機械設計において各構成要素に許容された許容値内で、所望の性能となるように設計を行うことは設計の基本であって、「凝縮圧力が許容圧力以下」で動作可能なことを望むことは当業者にとって容易である。 (イ):「給湯用熱交換器に35℃以上の温水を供給でき」に関して 次に、引用発明のヒートポンプシステムは、第1の熱交換器(3’)に供給される水温について特定したものではないが、給湯用熱交換器対する供給が許容できない水温の範囲等、装置運用上の制約は一般的に少ない(すなわち許容範囲は広い)方が望ましいことと認識されるので、第1の熱交換器(3’)に供給される水温の許容範囲を広くして、「給湯用熱交換器に35℃以上の温水を供給でき」るものとすることは望まれることであり、その実現に特段の困難性がない限り、基本的に容易である。 また、(a)刊行物1は、記載事項(ウ)の「従来の冷暖房給湯装置は、冷暖房と、給湯に利用されているにすぎず、冷凍サイクルの効率の良さを十分に利用しているとはいえない。また、給湯温度が低いという問題もある。」、「本発明は、上記したような従来の事情に鑑みてなされたものであって・・(略)・・」と記された、発明に係るものであって、それを前提として記載事項(エ)、記載事項(キ)、記載事項(サ)記載の様に、図1、図2、図3を、それぞれ、「本発明の第1の実施の形態」、「本発明の第2の実施の形態」、「本発明の第3の実施の形態」として示さたものである。 (b)そして、記載事項(オ)には第1の実施の形態に関して、「浴湯の温度が設定温度以下に低下したことを検知すると、・・(略)・・熱媒体例えば水が第2熱交換部21、3方切換弁23、浴槽装置50の熱交換器90、第2の熱交換部21の順に循環する。これにより、浴槽Y中の浴湯が加熱される」と記載されている。 (c)そして、その第2の熱交換部21(すなわち、第1の熱交換器3)は、熱交換器90で浴湯に放熱した熱媒体が、付加的な冷却装置を経ること無く第2の熱交換部21に供給されている構成であること、一般に浴湯の設定温度は、42℃程度であることを考慮すると、第1の熱交換器3の第2の熱交換部21は、その温水供給管に実質的に「35℃以上の温水を供給」することが可能なものといえる。 (d)そして、該第1の熱交換器3は、記載事項(サ)で「図1、2に示されている実施の形態によると・・(略)・・得られる給湯温度も50°程度と低い」とされたものであるものの、第1の熱交換器3も引用発明の第1の熱交換器(3’、3”)と同様に、刊行物1の「本発明」の実施の形態として示さたものであって、該第1の熱交換器3と引用発明の第1の熱交換器(3’、3”)とは、関連がきわめて深いものであり、刊行物1記載の発明の「給湯温度が低いという問題」を解決するという目的も変わるものではない。 (e)そうすると、第1の熱交換器3より高い給湯温度が実現される引用発明の第1の熱交換器(3’)においても、第1の実施の形態の様に浴湯加熱する利用形態の可能性が予測出来るので、その利用形態を想定して、「給湯用熱交換器に35℃以上の温水を供給でき」るものとすることも望まれることであるので、その面から見ても該望まれるものとすることは容易である。 (ウ):各条件を同時に満たすことに関して、 なお、給湯用熱交換器が、「凝縮圧力が許容圧力以下」、「35℃以上の温水を供給」、「60℃以上の温水を得る」ことを共に満たし得ることも、前記特開2001-141312号公報の【0021】?【0023】に各条件を同時に満たすヒートポンプシステムの給湯用熱交換器が開示されていることからも、各条件を同時に満たすことが本願出願時点において実現不可能なことであったといえるものでもないので、各条件を共に満たして、要望を実現すること特段の困難性は認められない。 換言すると、本願出願前に、各条件を同時に満たすことに実現できないような特別の困難が存在し、本願補正発明が、はじめてそれを技術的に実現可能にしたといえる様なものとはいえない。 (エ)そうすると、引用発明において「凝縮圧力が許容圧力以下」であることも、「給湯用熱交換器に35℃以上の温水を供給でき」ることも、当業者にとって望まれたことであり、かつ、それらが技術的に実現不可能なものでもない以上、引用発明のヒートポンプシステムを上記望まれるものとして、全体として「凝縮圧力が許容圧力以下で前記プレート型の給湯用熱交換器に35℃以上の温水を供給でき、出湯温度が60℃以上の温水が得られる」ものとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 [相違点エ.全体として] そして、「給湯用熱交換器の伝熱面積および過冷却度とが決定され、前記冷媒圧力と関連した動作を行う弁により冷媒の圧力変動に応じた給湯量が給湯用熱交換器に供給されると、出湯温度が60℃以上の温水が得られる」点で本願補正発明と共通する引用発明のヒートポンプシステムを、上記[(a)(c)に関して]?[(d)に関して]の様にして、前記相違点エ.に係る発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。 (5)総合判断 そして、本願補正発明の作用効果は、引用発明、刊行物2?3に記載された事項、及び当業者に周知の事項から、当業者であれば予測できた範囲のものである。 したがって、本願補正発明は、引用発明、刊行物2?3に記載された事項、及び当業者に周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 5. むすび 以上のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1. 本願発明 平成20年12月18日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成19年10月19日付けで補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるものと認められるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。 「【請求項1】圧縮機、凝縮器、蒸発器等からなる冷凍サイクルの前記凝縮器が給湯用熱交換器に、そして前記蒸発器が冷温水用熱交換器に選定され、前記給湯用熱交換器には温水供給管と温水出管とが、そして前記冷温水用熱交換器には冷水供給管と冷水出管とがそれぞれ接続されているヒートポンプシステムであって、 前記圧縮機に連なっている冷媒戻管には、吸入圧力調整弁が介装され、該吸入圧力調整弁により前記圧縮機の過負荷が防止されるようになっていると共に、前記温水供給管または前記温水出管には圧力式温調弁が介装され、 前記圧力式温調弁による流量と、前記給湯用熱交換器の伝熱面積、大きさおよび過冷却度とが決定され、それによって凝縮圧力が許容圧力以下で前記給湯用熱交換器に35℃以上の温水を供給でき、出湯温度が60℃以上の温水が得られることを特徴とする、ヒートポンプシステム。」 2. 引用刊行物 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1?3とその記載事項は、前記の「第2 2.」に記載したとおりである。 3. 対比・判断 本願発明の構成を全て含むとともに、本願発明の構成に更に限定を付加した本願補正発明が、前記「第2 3.」以下に記載したとおり、引用発明、刊行物2?3に記載された事項、及び当業者に周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願補正発明を上位概念化した本願発明も本願補正発明と同様の理由により、引用発明、刊行物2?3に記載された事項、及び当業者に周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものといえる。 4. むすび したがって、本願発明については、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 そうすると、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-10-01 |
結審通知日 | 2010-10-26 |
審決日 | 2010-11-08 |
出願番号 | 特願2001-376611(P2001-376611) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(F25B)
P 1 8・ 121- Z (F25B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田々井 正吾 |
特許庁審判長 |
岡本 昌直 |
特許庁審判官 |
長崎 洋一 中川 真一 |
発明の名称 | ヒートポンプシステム |
代理人 | 杉谷 嘉昭 |