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審決分類 |
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1230667 |
審判番号 | 不服2008-30081 |
総通号数 | 135 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-03-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-11-26 |
確定日 | 2011-01-19 |
事件の表示 | 特願2003-150019「ネットワーク通信方法、通信機器の制御プログラム、および通信機器」拒絶査定不服審判事件〔平成16年12月16日出願公開、特開2004-355162〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成15年5月28日の出願であって、平成20年6月5日付けで拒絶理由が通知され、同年8月8日に意見書が提出されると共に手続補正がなされたが、同年10月23日付けで拒絶査定がなされた。これに対し、同年20年11月26日に審判請求がなされると共に手続補正がなされて前置審査に付され、平成21年4月10日に審査官より前置報告がなされ、平成22年8月23日付けで当審より審尋がなされ、同年10月12日に回答書が提出されたものである。 第2.平成20年11月26日付け手続補正の補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成20年11月26日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.本件補正後発明と本願発明 平成20年11月26日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、当該手続補正前の、平成20年8月8日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下の発明(以下、「本願発明」という。) 「第1のサーバと、前記第1のサーバとネットワーク接続され、前記第1のサーバで実行されるアプリケーションと連携するアプリケーションを実行する端末機器を含むシステムにおけるネットワーク通信方法において、 前記第1のサーバと前記端末機器の間に配置され、ネットワークを介して前記第1のサーバと接続された第2のサーバにより、前記端末機器で実行されるアプリケーションと前記第1のサーバで実行されるアプリケーションとが連携するために、第1のサーバで実行されるアプリケーションと、前記端末機器で実行されるアプリケーションとの間で必要なデータ形式の変換を行なうことを特徴とするネットワーク通信方法。」 を、 「第1のサーバと、前記第1のサーバとネットワーク接続され、前記第1のサーバで実行されるアプリケーションと連携するアプリケーションを実行する端末機器を含むシステムにおけるネットワーク通信方法において、 前記第1のサーバと前記端末機器の間に配置され、ネットワークを介して前記第1のサーバと接続された第2のサーバにより、前記端末機器からの情報が該第2のサーバ上で処理できると判定された場合は前記端末機器と連携して動作させるためのアプリケーションを実行し、前記端末機器からの情報が前記第1のサーバへ送るべき情報であると判定された場合は前記端末機器で実行されるアプリケーションと前記第1のサーバで実行されるアプリケーションとが連携するために、前記第1のサーバで実行されるアプリケーションと、前記端末機器で実行されるアプリケーションとの間で必要なデータ形式の変換を行なうことを特徴とするネットワーク通信方法。」 という発明(以下、「本件補正後発明」という。)に変更することを含むものである。 2.本件補正の適否 上記補正のうち、補正前の「第2のサーバにより、前記端末機器で実行されるアプリケーションと前記第1のサーバで実行されるアプリケーションとが連携するために、第1のサーバで実行されるアプリケーションと、前記端末機器で実行されるアプリケーションとの間で必要なデータ形式の変換を行なう」という構成に対して、「サーバにより、」と「前記端末機器で実行されるアプリケーション」との間に「前記端末機器からの情報が該第2のサーバ上で処理できると判定された場合は前記端末機器と連携して動作させるためのアプリケーションを実行し、前記端末機器からの情報が前記第1のサーバへ送るべき情報であると判定された場合は」という事項(以下、「本件補正事項」という。)を追加した点について、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定を満たすものであるかについて以下で検討する。 まず、本件補正前の、平成20年8月8日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲に記載の請求項1-13のいずれにも、本件補正事項に対応する記載はないことからみて、請求項1に本件補正事項を追加した点は、請求項の削除を目的としてなされたものとはいえない。 また、本件補正事項を追加した点は、誤記の訂正あるいは拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてする明りようでない記載の釈明を目的とするものでもないことは明らかである。 そして、本件補正事項は、第2のサーバにより実行される処理を、本件補正前の「前記端末機器で実行されるアプリケーションと前記第1のサーバで実行されるアプリケーションとが連携するために、第1のサーバで実行されるアプリケーションと、前記端末機器で実行されるアプリケーションとの間で必要なデータ形式の変換」に替えて、「前記端末機器からの情報が該第2のサーバ上で処理できると判定された場合」の処理を、当該「第1のサーバで実行されるアプリケーションと、前記端末機器で実行されるアプリケーションとの間で必要なデータ形式の変換」とは異なる処理である「前記端末機器と連携して動作させるためのアプリケーションを実行」することに変更するものである。 よって、本件補正事項は、本件補正前の「第2のサーバにより、前記端末機器で実行されるアプリケーションと前記第1のサーバで実行されるアプリケーションとが連携するために、第1のサーバで実行されるアプリケーションと、前記端末機器で実行されるアプリケーションとの間で必要なデータ形式の変換を行なう」という構成を「減縮」すなわち概念的により下位のものにしたものとはいえない。 さらに、本件補正後発明は、本願発明に対して本件補正事項が追加されたことによって、第2サーバ上で端末機器と連携したアプリケーションを実行するか、または、第1のサーバで実行されるアプリケーションと端末機器で実行されるアプリケーションとの間で必要なデータ形式の変換を行うかを、判定結果に応じて適切に実行する、という新たな課題を解決するものとなっているから、本件補正前の発明である本願発明と解決しようとする課題が同一のものであるともいえない。 以上のことから、本件補正事項を追加した点は、同法第17条の2第4項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮(限定的減縮)を目的としたものともいえない。 以上のとおりであるから、本件補正事項を追加した点は、同法第17条の2第4項各号に掲げる事項のいずれを目的としたものではないから、本件補正事項の追加を含む本件補正は、同法第17条の2第4項各号に掲げる事項のいずれを目的としたものではない 3.結語 したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明 平成20年11月26日付け手続補正は上記のとおり補正却下されたので、本願発明は、平成20年8月8日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの以下のものである。 「第1のサーバと、前記第1のサーバとネットワーク接続され、前記第1のサーバで実行されるアプリケーションと連携するアプリケーションを実行する端末機器を含むシステムにおけるネットワーク通信方法において、 前記第1のサーバと前記端末機器の間に配置され、ネットワークを介して前記第1のサーバと接続された第2のサーバにより、前記端末機器で実行されるアプリケーションと前記第1のサーバで実行されるアプリケーションとが連携するために、第1のサーバで実行されるアプリケーションと、前記端末機器で実行されるアプリケーションとの間で必要なデータ形式の変換を行なうことを特徴とするネットワーク通信方法。」 第4.引用発明 これに対し、原査定の拒絶の理由に引用された文献である特開2000-29829号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。 (ア)「【0019】本発明は上記事情を考慮して成されたもので、各端末機器が存在するネットワーク環境において、各端末機器の処理能力に応じた応用サービスの提供を可能とし、さらに、複数の通信インフラが混在する場合でも、その通信インフラの通信能力に応じた応用サービスの提供を可能とした分散ネットワークコンピューティングシステム、同システムに用いられる情報交換装置、及び同システムに用いられる情報交換方法を提供することを目的とする。」 (イ)「【0024】(1)本発明は、各種アプリケーションソフトウェア等の応用サービスを提供する情報処理装置と、この情報処理装置から応用サービスの提供を受ける種々の端末機器と、上記情報処理装置と上記端末機器とを接続する通信網とからなる分散ネットワークコンピューティングシステムにあって、ネットワークを相互接続するためのネットワーク接続手段と、このネットワーク接続手段に設けられる情報交換装置とを設けたシステム構成とする。 【0025】上記情報交換装置は、上記端末機器の処理能力を示す端末属性情報を管理する端末属性情報管理手段と、この端末属性情報管理手段から通信相手となる端末機器の端末属性情報を取得し応用サービスとして提供されるサービス情報を上記端末属性情報に基づいて特定の形式に変換する変換手段と、この変換手段によって変換された上記サービス情報を上記通信網を介して送信する通信手段とを具備し、さらに上記情報交換装置は、上記ネットワークを介して上記端末機器が接続状態にあり且つ該端末機器が所定の条件を満たして暗号化或いは圧縮化情報へのアクセス要求があった場合、該端末機器が暗号化或いは圧縮化情報に関し解読可能とするよう制御する手段と、上記暗号化或いは圧縮化情報に新たなデータが追加されると、当該データを自動的に暗号化或いは圧縮化する手段とを設けたことを特徴とする。 【0026】このような構成によれば、ネットワーク上に複数種類の端末機器が存在する場合において、情報処理装置によって提供されるサービス情報が各端末機器の処理能力に応じて情報交換される。この場合の情報交換とは、通信相手となる端末機器の処理能力に合わせて、ある情報の形式を変えることである。例えば画像情報(イメージ)を送る際に、その相手の端末機器に画像処理能力がなければ、当該画像情報をシンボル情報に変換して送る。これにより、携帯性に優れているが、情報処理能力(演算能力)や画面表示/ユーザインタフェース提供能力が他の端末機器(PCなど)と比較して相対的に劣っている端末機器(PDA(personaldigital assistants )など)を用いて分散ネットワークコンピューティングシステムを構築することができ、端末側では、形式は変わっても、他の端末機器と同じようなサービスを受けることができるようになる。特に、このような情報交換ネットワーク接続手段(回線交換機やルータなど)で行うことにより、利用者の端末機器に近いところで最終的な形式に情報交換することができる。つまり、各サブネットワークからネットワークができる場合に、そのサブネットワークに適した情報交換を行うことができる。しかも、新規追加データにも自動的に暗号化或いは圧縮化が施されるので、セキュリティ機能の向上も図れる。」 (ウ)「【0169】図15は構造化文書を想定した場合の応用サービスを含めたシステム全体の構成を示す概念図である。 【0170】図中、61は構造化文書管理部であり、各種アプリケーションソフトウェア等の応用サービスとして提供されるサービス情報を構造化文書形式で管理する。この構造化文書管理部61は、図1の応用サービス提供部20に設けられる。尚、ここでは応用サービス提供部20が予め構造化文書形式で記述されたサービス情報を管理している場合を示したが、後述するように、そのサービス情報が非構造化文書形式であってもよい(図20参照)。 【0171】62は情報交換部であり、端末属性や通信インフラの属性等に応じて情報交換を行う。この情報交換部62は、図1の情報交換装置10に相当する。63はネットワーク部であり、サーバと端末とを結ぶ各種通信網を示す。このネットワーク部63は、図1の公衆網30、有線LAN40、無線LAN50に相当する。 【0172】64a?64cはサーバからサービスの提供を受ける端末機器であり、例えばPC(personal computer )、NC(network computer)、PDA(personal digital assistants )等である。これらの端末機器64a?64cは、それぞれに通信インフラが異なり、また、処理能力も異なる。図1では、携帯情報端末31やPC41、携帯用PC51に相当する。」 (エ)【図15】 構造化文書管理部61と、端末64a?64cの間に、ネットワーク部63及び情報交換部62が存在することが図示されている。 (a)上記(ア)の「【0019】本発明は上記事情を考慮して成されたもので、各端末機器が存在するネットワーク環境において、各端末機器の処理能力に応じた応用サービスの提供を可能とし、さらに、複数の通信インフラが混在する場合でも、その通信インフラの通信能力に応じた応用サービスの提供を可能とした分散ネットワークコンピューティングシステム、同システムに用いられる情報交換装置、及び同システムに用いられる情報交換方法を提供することを目的とする。」との記載から、引用文献1には、端末機器の処理能力に応じた応用サービスの提供を可能とする分散ネットワークコンピューティングシステムに用いられる情報交換方法、が記載されたものと解される。 さらに、上記(イ)の「【0024】(1)本発明は、各種アプリケーションソフトウェア等の応用サービスを提供する情報処理装置と、この情報処理装置から応用サービスの提供を受ける種々の端末機器と、上記情報処理装置と上記端末機器とを接続する通信網とからなる分散ネットワークコンピューティングシステムにあって、」との記載を併せると、引用文献1には、 端末機器の処理能力に応じた応用サービスの提供を可能とするために、各種アプリケーションソフトウェア等の応用サービスを提供する情報処理装置と、前記情報処理装置と通信網によって接続され、前記情報処理装置から応用サービスの提供を受ける端末機器とを含む分散ネットワークコンピューティングシステムに用いられる情報交換方法 が記載されたものと解される。 (b)上記(イ)の「【0024】(中略)分散ネットワークコンピューティングシステムにあって、ネットワークを相互接続するためのネットワーク接続手段と、このネットワーク接続手段に設けられる情報交換装置とを設けたシステム構成とする。 【0025】上記情報交換装置は、上記端末機器の処理能力を示す端末属性情報を管理する端末属性情報管理手段と、この端末属性情報管理手段から通信相手となる端末機器の端末属性情報を取得し応用サービスとして提供されるサービス情報を上記端末属性情報に基づいて特定の形式に変換する変換手段と、この変換手段によって変換された上記サービス情報を上記通信網を介して送信する通信手段とを具備し、(中略) 【0026】このような構成によれば、ネットワーク上に複数種類の端末機器が存在する場合において、情報処理装置によって提供されるサービス情報が各端末機器の処理能力に応じて情報交換される。この場合の情報交換とは、通信相手となる端末機器の処理能力に合わせて、ある情報の形式を変えることである。例えば画像情報(イメージ)を送る際に、その相手の端末機器に画像処理能力がなければ、当該画像情報をシンボル情報に変換して送る。これにより、携帯性に優れているが、情報処理能力(演算能力)や画面表示/ユーザインタフェース提供能力が他の端末機器(PCなど)と比較して相対的に劣っている端末機器(PDA(personaldigital assistants )など)を用いて分散ネットワークコンピューティングシステムを構築することができ、端末側では、形式は変わっても、他の端末機器と同じようなサービスを受けることができるようになる。特に、このような情報交換ネットワーク接続手段(回線交換機やルータなど)で行うことにより、利用者の端末機器に近いところで最終的な形式に情報交換することができる。」との記載において、「情報処理装置によって提供されるサービス情報」には、「例えば画像情報(イメージ)」が該当し、また当該「サービス情報」が「応用サービスとして提供される」ものであることも明らかである。 よって、引用文献1には、ネットワークを相互接続するためのネットワーク接続手段に情報交換装置が設けられており、当該情報交換装置により、情報処理装置から応用サービスとして提供される例えば画像情報(イメージ)であるサービス情報を端末属性に応じて特定の形式に変換することが記載されたものと解される。 さらに、上記(エ)に記載の「構造化文書管理部61」は、上記(ウ)の「【0170】図中、61は構造化文書管理部であり、各種アプリケーションソフトウェア等の応用サービスとして提供されるサービス情報を構造化文書形式で管理する。この構造化文書管理部61は、図1の応用サービス提供部20に設けられる。」との記載に照らせば、各種アプリケーションソフトウェア等の応用サービスを提供する装置を構成するものであるから、上記(イ)の記載における「情報処理装置」に相当するものである。 また、上記(エ)に記載の「情報交換部62」は、上記(ウ)に「【0171】62は情報交換部であり、端末属性や通信インフラの属性等に応じて情報交換を行う。この情報交換部62は、図1の情報交換装置10に相当する。」と記載されているとおり上記(イ)の記載における「情報交換装置」に相当するものであるから、上記(ウ)及び上記(エ)の記載から、引用文献1には、情報交換装置が情報処理装置と端末機器の間に配置されることも記載されたものといえる。 したがって、引用文献1には、 情報処理装置と端末機器の間に配置された情報交換装置により、情報処理装置から応用サービスとして提供される例えば画像情報(イメージ)であるサービス情報を端末属性に応じて特定の形式に変換すること が記載されたものと解される。 以上のことから、引用文献1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されたものと認められる。 端末機器の処理能力に応じた応用サービスの提供を可能とするために、各種アプリケーションソフトウェア等の応用サービスを提供する情報処理装置と、前記情報処理装置と通信網によって接続され、前記情報処理装置から応用サービスの提供を受ける端末機器とを含む分散ネットワークコンピューティングシステムに用いられる情報交換方法において、 前記情報処理装置と前記端末機器の間に配置された情報交換装置により、情報処理装置から応用サービスとして提供される例えば画像情報(イメージ)であるサービス情報を端末属性に応じて特定の形式に変換することを特徴とする情報交換方法。 第5.対比 本願発明と、引用発明とを対比する。 引用発明の「情報処理装置」は、本願発明の「第1のサーバ」に相当する。 引用発明の「通信網によって接続」は、本願発明の「ネットワーク接続」と同じものであり、また、引用発明の「前記情報処理装置から応用サービスの提供を受ける」ことと、本願発明の「前記第1のサーバで実行されるアプリケーションと連携するアプリケーションを実行する」こととは、”第1のサーバと連携することでアプリケーションサービスが提供される”点で一致するから、引用発明の「前記情報処理装置と通信網によって接続され、前記情報処理装置から応用サービスの提供を受ける端末機器」と、本願発明の「前記第1のサーバとネットワーク接続され、前記第1のサーバで実行されるアプリケーションと連携するアプリケーションを実行する端末機器」とは、 ”前記第1のサーバとネットワーク接続され、前記第1のサーバと連携することでアプリケーションサービスが提供される端末機器”である点で一致する。 そして、引用発明の「分散ネットワークコンピューティングシステム」は、第1のサーバと、端末機器とを含むシステムである点で本願発明の「システム」と一致し、引用発明の「情報交換方法」は、ネットワークを介して通信を行う方法に他ならないから、本願発明と同じく「ネットワーク通信方法」といえるものである。 さらに、引用発明の「情報処理装置と端末機器の間に配置された情報交換装置」と、本願発明の「前記第1のサーバと前記端末機器の間に配置され、ネットワークを介して前記第1のサーバと接続された第2のサーバ」とは、”前記第1のサーバと前記端末機器の間に配置される第2のサーバ”である点で一致する。 そして、引用発明の「情報処理装置から応用サービスとして提供される例えば画像情報(イメージ)であるサービス情報を端末属性に応じて特定の形式に変換すること」は、「端末機器の処理能力に応じた応用サービスの提供を可能とするため」の処理であり、また、「例えば画像情報(イメージ)であるサービス情報を・・・特定の形式に変換する」ことは、データ形式の変換に他ならないから、”端末機器と情報処理装置とが連携して応用サービスが提供されるために必要なデータ形式の変換”といえ、本願発明の「前記端末機器で実行されるアプリケーションと前記第1のサーバで実行されるアプリケーションとが連携するために、第1のサーバで実行されるアプリケーションと、前記端末機器で実行されるアプリケーションとの間で必要なデータ形式の変換を行なうこと」と、 ”前記端末機器と前記第1のサーバとが連携してアプリケーションサービスが提供されるために必要なデータ形式の変換を行なうこと”である点で一致する。 以上のことから、本願発明と引用発明とは、以下の一致点で一致し、各相違点で相違する。 (一致点) 第1のサーバと、前記第1のサーバとネットワーク接続され、前記第1のサーバと連携することでアプリケーションサービスが提供される端末機器を含むシステムにおけるネットワーク通信方法において、 前記第1のサーバと前記端末機器の間に配置される第2のサーバにより、前記端末機器と前記第1のサーバとが連携してアプリケーションサービスが提供されるために必要なデータ形式の変換を行なうことを特徴とするネットワーク通信方法。 (相違点) (相違点1) 端末機器と第1のサーバとの連携によるアプリケーションサービスの提供及び第2のサーバにおけるデータ形式の変換に関し、本願発明は、端末機器及び第1のサーバでそれぞれアプリケーションが実行され、第2のサーバが両アプリケーションの間で必要なデータ形式の変換を行うものであるのに対し、引用発明は、端末機器及び情報処理装置においてそれぞれアプリケーションが実行されていることの明示はなく、またこのために情報交換装置によるサービス情報の変換が、情報処理装置で実行されるアプリケーションと端末機器で実行されるアプリケーションとの間で必要とされるものであることは明らかではない点。 (相違点2) 第2のサーバに関し、本願発明は「ネットワークを介して前記第1のサーバと接続された」装置であるのに対して、引用発明の情報交換装置は、情報処理装置とネットワークを介して接続した装置とはいえない点。 第6.判断 上記各相違点について判断する。 (相違点1)について 端末機器と第1のサーバとの連携によるアプリケーションサービスの提供を、端末機器及び第1のサーバでそれぞれアプリケーションを実行すると共に、実行された両アプリケーションが連携することにより実現することは、ネットワークコンピューティング技術の技術分野において周知の技術事項である。 (例、特開2002-157219号公報の【0017】段落-【0022】段落、同【0028】段落及び【図1】には、携帯通信端末上ではアプリケーションであるWebブラウザが動作すると共に、ホスト上ではホストアプリケーションが動作し、中継サービス呼び出しコンテンツとホストアプリケーションとのデータ連携等を行う中継サービスとを用いることによりアプリケーションサービスである業務プログラムを提供することが記載されている。) したがって、引用発明においても、応用サービスの提供の実現にあたり当該周知の技術事項を考慮することにより、応用サービスの提供を端末機器及び情報処理装置でそれぞれアプリケーションを実行すると共に、実行された両アプリケーションが連携することによって応用サービスの提供を実現することは当業者が当然に行い得た事項であって、引用発明において、端末機器及び情報処理装置でそれぞれアプリケーションを実行して処理を行っている場合には、情報交換装置が行う”端末機器と情報処理装置とが連携して応用サービスが提供されるために必要なデータ形式の変換”とは、情報処理装置で実行されるアプリケーションと、端末機器で実行されるアプリケーションとの間で必要なデータ形式の変換といえるものとなることは明らかであるから、引用発明に当該周知の技術事項を考慮することにより、端末機器及び情報処理装置でそれぞれアプリケーションを実行する構成とし、情報交換装置によって情報処理装置で実行されるアプリケーションと、端末機器で実行されるアプリケーションとの間で必要なデータ形式の変換を行うようにすることは当業者が容易に想到し得たものといえる。 したがって、上記相違点1は格別のものではない。 (相違点2)について データの変換処理等を行う第2のサーバを第1のサーバと端末機器の間に配置する構成として、第2のサーバを第1のサーバとネットワークを介して接続される独立した装置とする構成はネットワークコンピューティング技術の技術分野において周知の技術事項である。 (例、拒絶査定において周知技術を示すために用いられた文献である特開2003-122657号公報の【図1】には、アプリケーションサーバ30と携帯情報端末22の間に配置されるインターネットワークフロントエンド16が、アプリケーションサーバ30とインターネット等のパケット交換網12を介して接続された装置であることが示され、特開2002-366517号公報の【図1】には、サーバ32と端末装置1の間に配置されるウェブサーバ43が、サーバ32と通信回線6を介して接続された装置であることが示されている。また、特開平10-327198号公報には、その【0251】段落に、情報交換装置を統合サーバ(サーバコンピュータ+交換機)とは独立して設け、統合サーバから提供される応用サービスを情報交換装置で所定の形式に変換して送るようにしても良いことが記載されている。) したがって、引用発明において情報交換装置を情報処理装置と端末機器の間に配置する構成として、当該周知の技術事項を考慮することにより、情報交換装置を情報処理装置とネットワークを介して接続される独立した装置とする構成を採用することは当業者にとり容易に想到し得た事項といえる。 したがって、上記相違点2も格別のものではない。 そして、本願発明の奏する効果についても、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に予測し得た程度のものである。 第7.むすび 以上のとおり、本願発明は引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-11-15 |
結審通知日 | 2010-11-19 |
審決日 | 2010-12-07 |
出願番号 | 特願2003-150019(P2003-150019) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
P 1 8・ 57- Z (G06F) P 1 8・ 572- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 桑原 雅子 |
特許庁審判長 |
赤川 誠一 |
特許庁審判官 |
石井 茂和 宮司 卓佳 |
発明の名称 | ネットワーク通信方法、通信機器の制御プログラム、および通信機器 |
代理人 | 大塚 康弘 |
代理人 | 高柳 司郎 |
代理人 | 木村 秀二 |
代理人 | 永川 行光 |
代理人 | 下山 治 |
代理人 | 大塚 康徳 |