ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09G 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G09G |
---|---|
管理番号 | 1231336 |
審判番号 | 不服2009-6075 |
総通号数 | 135 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-03-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-03-19 |
確定日 | 2011-02-03 |
事件の表示 | 特願2007- 12899「表示制御装置、表示制御方法、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 8月 7日出願公開、特開2008-180803〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、平成19年1月23日の出願であって、平成21年1月23日付けで手続補正がなされ、平成21年2月10日付けで拒絶査定がなされ(同年2月17日送達)、これに対して平成21年3月19日に拒絶査定不服審判の請求がなされると共に、平成21年4月20日付けで手続補正がなされたものである。 2 平成21年4月20日付け手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成21年4月20日付け手続補正を却下する。 [理由1]新規事項の追加 (1)補正の内容 平成21年4月20日付け手続補正(以下「本件補正」という。)により、本件補正前の請求項1は、 「画面上の所定の表示範囲内に表示される項目を、カーソルを移動させることによって選択可能なカーソルモードとポインタを移動させることによって選択可能なポインタモードのうち、ユーザにより選択された一方のモードでの項目の選択を受け付ける受け付け手段と、 前記ポインタモードから前記カーソルモードに切り換えることが指示された場合、前記表示範囲内における前記項目の表示を維持させた状態で、ポインタの表示を消すとともに、表示を消す直前のポインタの位置に最も近い位置にある項目を選択した状態でカーソルを表示させる表示制御手段と を備える表示制御装置。」から 「画面上の所定の表示範囲内に表示される項目を、カーソルを移動させることによって選択可能なカーソルモードとポインタを移動させることによって選択可能なポインタモードのうち、ユーザにより選択された一方のモードでの項目の選択を受け付け、前記所定の表示範囲のスクロールの指示を受け付ける受け付け手段と、 前記ポインタモードから前記カーソルモードに切り換えることが指示された場合、前記スクロールを禁止することで前記表示範囲内における前記項目の表示を維持させた状態で、ポインタの表示を消すとともに、表示を消す直前のポインタの位置に最も近い位置にある項目を選択した状態でカーソルを表示させる表示制御手段と を備える表示制御装置。」 に補正された。 (下線は、補正箇所を明示するために請求人が付した。) 本件補正により、 a 補正前の「受け付け手段」について、「前記所定の表示範囲のスクロールの指示を受け付ける」との事項が限定された(以下「補正a」という)。 b 補正前の「表示制御手段」について、「前記表示範囲内における前記項目の表示を維持させた」との事項から「前記スクロールを禁止することで前記表示範囲内における前記項目の表示を維持させた」との事項に補正された(以下「補正b」という)。 補正bについて検討する。 補正bに「前記スクロール」なる記載は、補正aの「スクロールの指示を受け付ける」との記載を受けての記載であるから、「前記スクロール」なる記載は、「前記指示により行われるスクロール」を意味するものである。 一方、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書」という。)には、上記補正に関連して、以下の事項の記載がされている。 ・ポインタモードからカーソルモードに切り換えるといったように、項目を選択するモードを切り換えた場合、切り換えた直後のカーソルの位置、ポインタの位置をどの位置にするかによって操作性が大きく損なわれることがある。 例えば、ユーザがポインタモードを選択した状態でWebページをスクロールさせ、あるタイミングでポインタモードからカーソルモードに切り換えた場合、切り換えた直後のカーソルが、Webページの先頭の項目を選択した状態で表示されるとしたときには、それまでユーザが見ていた範囲とは異なる、スクロール前のWebページの範囲がモードの切り換えに応じて表示されてしまうことになり、操作性が悪い。(段落【0007】、【0008】) ・青ボタン11、赤ボタン12、緑ボタン13、黄ボタン14には、そのとき起動しているアプリケーションプログラムに応じて異なる機能が割り当てられる。 例えば、ブラウザを起動し、ユーザがブラウザ画面を表示しているとき、青ボタン11には、Webページの表示範囲を上方向にスクロールする機能が割り当てられ、赤ボタン12には、Webページの表示範囲を下方向にスクロールする機能が割り当てられる。 また、緑ボタン13には、Webページの表示を拡大/縮小する機能が割り当てられ、黄ボタン14には、上述したカーソルモードとポインタモードを切り換える機能が割り当てられる。黄ボタン14が押される毎に、カーソルモードとポインタモードのうちの一方が交互に選択される。(段落【0029】?【0031】) ・ポインタモードが選択されているとき、青ボタン11を押すだけでなく、図6に示されるように、ポインタPをブラウザ画面の上端に移動させることによっても、Webページの表示範囲を上方向にスクロールすることができるようになされている。 また、赤ボタン12を押すだけでなく、図7に示されるように、ポインタPをブラウザ画面の下端に移動させることによっても、Webページの表示範囲を下方向にスクロールすることができるようになされている。(段落【0047】、【0048】) ・図8に示されるようなブラウザ画面が表示されている状態で黄ボタン14が1回押され、選択モードをポインタモードからカーソルモードに切り換えることが指示された場合、図9に示されるように、Webページの表示範囲は選択モードを切り換える前の範囲と同じ範囲のまま、ポインタPの表示は消され、カーソルCが、ポインタPが表示されていた位置に最も近い位置にある項目である「リンクV」を選択した状態で表示される。(段落【0051】) ・これにより、選択モードを切り換えたとしても、それに応じてWebページの表示範囲が切り換わるようなことは行われず、ポインタPが表示されていた位置の近くにある項目を選択した状態でカーソルCが表示されるため、操作性が損なわれることはない。 例えば、図8に示されるようなブラウザ画面が表示されている状態でポインタモードからカーソルモードに切り換えることが指示された場合、それに応じて、図3に示されるように、先頭にある「リンクA」を選択した状態でカーソルCが表示されるとしたときには、Webページの表示範囲が切り換わってしまい、操作性が大きく損なわれることになるが、ポインタPが表示されていた位置に最も近い位置にある項目を選択した状態でカーソルCが表示されるようにすることにより、そのようなことを防ぐことができ、操作性を向上させることができる。(段落【0054】、【0055】) ・一方、ステップS5において選択モードをポインタモードからカーソルモードに切り換えることが指示されたと判定した場合、ステップS6において、表示制御部52は、ポインタPの表示位置に最も近い項目を1つ選択する。 ステップS7において、表示制御部52は、ポインタPの表示を消すとともに、ステップS6で選択した項目を選択した状態でカーソルCを表示させる。その後、ステップS1に戻り、表示制御部52は、カーソルモードでブラウザ画面の表示を制御する。(段落【0078】、【0079】) すなわち、当初明細書には、 ・スクロールの指示について、青ボタン11を押すこと、もしくは、ポインタPをブラウザ画面の上端に位置させることにより上方向へのスクロールを指示し、赤ボタン12を押すこと、もしくは、ポインタPをブラウザ画面の下端に位置させることにより下方向へのスクロールを指示すること、 ・ポインタモードからカーソルモードへの切り換えが、黄ボタン14を押すことによりなされること、 ・ポインタモードからカーソルモードに切り換えることが指示された場合、ブラウザ画面内のWebページの表示範囲として、図8の範囲のような、初期状態から下方向にスクロールされた表示範囲から、図3の範囲のように、初期状態の表示範囲に復帰させて、カーソル表示が行われるのではなく、図9のように、下方向にスクロールされた表示範囲と同じ範囲のままで、カーソル表示が行われること は記載されているものの、 出願人が審判請求書において主張するような、図6、図7のようなポインタPをブラウザ画面の上端、もしくは下端に位置させた状態でスクロールの指示がなされている状態で、ポインタモードからカーソルモードに切り換えることが指示された場合(黄ボタン14が押された場合)、すなわち、スクロールの指示とモードの切り換えの指示が競合する場合に、ポインタPの位置によるスクロールの指示を禁止することで、表示範囲内における項目の表示を維持させることは、記載されていない。 また、通常、ユーザの行う操作として、ポインタモードからカーソルモードへの切り換えは、スクロールの指示を行った後で、Webページ等の表示情報の表示範囲を所望の位置に静止させた状態で、画面内の項目を確認してモードの切り換えを行うことが想定されているものであり、スクロールの指示を送りながら、項目を含む表示情報が動いている最中に、モードの切り換えを行うことは想定されていない。また、そのように、項目を含む表示情報が動いている最中のポインタの位置は、ブラウザ画面の上端、もしくは下端であって、その近辺に、カーソルが表示されるべき項目が、普通存在しないこと、また、仮に存在したとしても、スクロール処理で、ブラウザ画面に入ってきてすぐの状態であり、そのように、ほんのわずかな時間、不完全な状態で表示されている項目に、カーソルを表示させようとユーザが判断しないであろうことが、GUIに関する技術常識から推測される。よって、スクロールの指示とモードの切り換えの指示が競合する場合に、スクロールの指示を禁止することは、本願出願時の技術常識に照らしても、当初明細書のすべての記載を総合することにより導かれる技術事項との関係において新たな技術事項を導入しないものでないといえる。(むしろ、技術常識からみれば、スクロール処理と、モード切り換え処理は、その指示が同時になされるものではなく、いずれかの指示が択一的に入力され、その指示に応じた処理が択一的になされるものと認められる。) よって、補正bは、当初明細書の記載に基づいたものではなく、かつ、本願の優先日当時の技術常識に照らしても、当初明細書のすべての記載を総合することにより導かれる技術事項との関係において新たな技術事項を導入しないものでないといえる。 したがって、この補正は、当初明細書に記載した事項の範囲内においてしたものでなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。 よって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 [理由2]独立特許要件違反 本件補正の請求項1についてした補正が、仮に、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮であるとした場合、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合するか)について検討する。 (1)本願補正発明 本願補正発明について検討する。 [理由1]で述べたように、「前記スクロールを禁止することで前記表示範囲内における前記項目の表示を維持させた」なる記載は、当初明細書の記載に基づいたものではないが、発明の詳細な説明の記載からみて、「(Webページ等の)表示されている表示情報の表示範囲を切り換えないことで前記画面上の所定の表示範囲内における前記項目の表示を維持させた」ことを意味するものと認める。 よって、本願補正発明は、次のとおりのものと認める。 「画面上の所定の表示範囲内に表示される項目を、カーソルを移動させることによって選択可能なカーソルモードとポインタを移動させることによって選択可能なポインタモードのうち、ユーザにより選択された一方のモードでの項目の選択を受け付け、前記所定の表示範囲のスクロールの指示を受け付ける受け付け手段と、 前記ポインタモードから前記カーソルモードに切り換えることが指示された場合、表示されている表示情報の表示範囲を切り換えないことで前記画面上の所定の表示範囲内における前記項目の表示を維持させた状態で、ポインタの表示を消すとともに、表示を消す直前のポインタの位置に最も近い位置にある項目を選択した状態でカーソルを表示させる表示制御手段と を備える表示制御装置。」 (2)引用発明 (2-1)引用刊行物の記載事項 本願の出願前に頒布された刊行物である特表2004-537117号公報(以下「引用刊行物」という。)には、「継ぎ目なく組み合わされた自由に動くカーソルと切り替わるハイライトナビゲーション」(発明の名称)の発明に関して、以下の事項が記載されている。 <記載事項1> 「【請求項1】 ユーザ選択可能なオプションを表示するユーザフィードバック装置と、 表示されたオプションの特定の1つを選択するユーザ入力装置と を有するCEシステムであって、 前記装置が、 粗い位置合わせモードにおいて、ユーザが前記特定のオプションの近辺の方にナビゲートすることを可能にする粗い位置合わせのユーザ入力手段と、 細かい位置合わせモードにおいて、前記ユーザが前記特定のオプションの近辺の範囲でナビゲートすることを可能にする細かい位置合わせのユーザ入力手段と を有するCEシステム。」 <記載事項2> 「【技術分野】 【0001】 本発明は、ユーザインタフェースを備えるデータ処理システムに関し、特に、リビングルームでの、又は家庭用電化製品(CE)環境で、グラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)と遠隔制御装置(RC)とを備えるデータ処理システムに関する。本システムは、ユーザが、ユーザ・インタラクティブなアイテム(例えば、コマンド又はハイパーリンク)の間をナビゲートし、GUIの一部として、デレビ(当審注:「テレビ」の誤記と認める。)ディスプレイモニタ(TV)でハイライトを備える特定のものを選択することを可能にする。 【背景技術】 【0002】 双方向テレビ(ITV)は、GUIとしてのテレビディスプレイモニタを使用して、双方向の通信を可能にする。ITVは一般的には、娯楽と、情報検索と、電子ショッピングとに関する。ITVの例は、ウェブテレビの双方向セットトップボックス(STB)である。双方向テレビ(ITV)を備えるリビングルームの環境において、GUIメニューの中のユーザ選択可能なオプションの間をユーザがナビゲートすることは、容易ではない。このことは、一つには、大量のデータと、GUIメニューでユーザに提示される多数のユーザ選択可能なオプションとのためである。入力装置としてのコンピュータマウスは、一般的にリビングルームの環境におけるナビゲーションに有用ではない。 【0003】 例えば、ウェブテレビのSTBの場合、前記RCは、ナビゲーション(上、下、左、右) のための4つの方向ナビゲーションキーと、選択のためのOKボタンとを有する。現在選択可能なオプションがハイライト表示される。ユーザは、前記ナビゲーションキーを用いて、他の選択可能なオプションに前記ハイライトを動かすことができる。多数のオプションがディスプレイ画面に散乱して利用可能な場合には、このことは長く、退屈な処理になり得る。そして、ユーザの気を散らし、苛立たせる。さらに、多数のオプションが中間に表示されている場合、ユーザが、画面の他の端に位置するハイライトされたオプションに達するまでに、かなりの時間と、多くのナビゲーションのクリックを要する。 【0004】 増加する数の選択可能なオプションでユーザのインタラクションを可能にする、より多くのCE装置の導入により、問題がさらに明白になる。一般的に、ユーザは最小の数のナビゲーションのクリックに対する好みを有する(経由するメニューの段階の数が少ないほど良い)ため、前記問題がさらに明白になる。さらに、ユーザは、例えば、TVモニタの前のソファーでくつろいだ姿勢で座っている場合にも、常に双方向環境を制御できることを期待する。」 <記載事項3> 「【0008】 広く用いられ、相対的に安いツールはRCである。本発明は、例えば、好みのオプションにナビゲートする手段として、1つのオプションから他に移動され得るハイライトを提案する。多くのRCは、ユーザが1つのオプションから好みのオプションに切り替えることを可能にするための4つ以上のナビゲーションキーを有する。一般的に、OKボタン又は選択ボタンが、ハイライトを選択し、起動するために利用できる。 【0009】 本発明者は、粗い位置合わせのユーザ入力装置を追加することを提案する。ユーザが上手に実行すると思われる入力装置は、例えば、圧力センサ(FSR)スティックや、FSRボタンのようなジョイスティックである。FSRは一般的に歪みゲージに使用される周知の要素である。FSR構成部のまわりにナビゲーションキーを集めることにより、人間工学的なナビゲーションの解決手段が作られる。」 <記載事項4> 「【0014】 望ましい実施態様において、ナビゲーション位置を視覚化するための、粗いナビゲーションのための自由に動くカーソルと、細かいナビゲーションのための切り替わるハイライトとについて説明する。粗い制御入力装置の使用を止めると、カーソル位置に最も近いオプションがハイライトされ、前記カーソルが消える。望ましくは、前記カーソルは、ユーザが粗い制御入力(当審注:「制御入力装置」の誤記と認める。)の使用を止めた後の所定の時間の後に、次第に消える。ユーザが後で粗い装置を再び使用することを望む場合は、GUI設計手段は、例えば、その時にハイライトされたオプションの位置にカーソルを再び出現させることが可能である。これにより、本発明者は、ナビゲーション方法として使われる自由に動くカーソルと、切り替わるハイライトとを継ぎ目なく組み合わせる方法を作成した。自由に動くカーソルは、粗いナビゲーションに使用されるが、切り替わるハイライトも同時に見ることが可能である。他の実施例においては、切り替わるハイライトのみが、粗いナビゲーションと細かいナビゲーションとの双方についてナビゲーション位置を視覚化するために用いられる。」 <記載事項5> 「【0019】 図1は、本発明によるユーザ入力装置として使用され得るRC100を示す図である。RC100は、細かいナビゲーションのための8方向のナビゲーションキーパッド104と、粗いナビゲーションのためのFSR106と、好みのオプションを選択するOKボタン108とを有する。・・・」 <記載事項6> 「【0022】 図3は、ユーザのナビゲーション動作において、いくつかの進行を示すGUIスクリーンショット200の他の画面を示す図である。スクリーンショット200は、以前ハイライトされていたオプション302と、新たにハイライトされたオプション306と、自由に動くカーソル308と、好みのオプション204と、他のホットスポット及びオプション310とを有する。ユーザがFSR106を使用した後に画面に現れるカーソル308は、ユーザがFSR106に適用した力の方向に応じて、オプション302からオプション306への連続的な経路で移動したものである。望ましい実施態様において、ユーザがFSR106に対する力の適用を止めると、カーソル308は画面から消える。そのときに、カーソルの位置に最も近いホットスポット又はオプションが、ハイライトされ、この場合では、オプション306がハイライトされる。ハイライトされたオプション306から好みのオプション204に近いことが、注目すべきことである。ユーザが、オプション306から好みのオプション204に、キーパッド104を使用してナビゲートすることはほとんど労力を要しない。オプション306から好みのオプション204にハイライトの切り替えをさせるために、ユーザは、キーパッド104の左下キーを押しさえすればよい。その後、OKボタン108を押すことにより、ユーザは、好みのオプション204を起動又は実行する。」 (2-2)引用刊行物に記載された発明 (2-2-1) 上記記載事項2には、「【0001】本発明は、ユーザインタフェースを備えるデータ処理システムに関し、特に、リビングルームでの、又は家庭用電化製品(CE)環境で、グラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)と遠隔制御装置(RC)とを備えるデータ処理システムに関する。・・・【0002】双方向テレビ(ITV)は、GUIとしてのテレビディスプレイモニタを使用して、双方向の通信を可能にする。」と記載されている。 この記載によれば、引用刊行物には、「双方向テレビのデータ処理システム」の発明が記載されている。 (2-2-2) 上記記載事項2には、「【0002】・・・双方向テレビ(ITV)を備えるリビングルームの環境において、GUIメニューの中のユーザ選択可能なオプションの間をユーザがナビゲートすることは、容易ではない。このことは、一つには、大量のデータと、GUIメニューでユーザに提示される多数のユーザ選択可能なオプションとのためである。」と記載され、上記記載事項3には、「【0008】広く用いられ、相対的に安いツールはRCである。本発明は、例えば、好みのオプションにナビゲートする手段として、1つのオプションから他に移動され得るハイライトを提案する。多くのRCは、ユーザが1つのオプションから好みのオプションに切り替えることを可能にするための4つ以上のナビゲーションキーを有する。」と記載され、また、上記記載事項5には、「【0019】図1は、本発明によるユーザ入力装置として使用され得るRC100を示す図である。RC100は、細かいナビゲーションのための8方向のナビゲーションキーパッド104と、粗いナビゲーションのためのFSR106と、好みのオプションを選択するOKボタン108とを有する。」と記載され、また、上記記載事項6には、「【0022】図3は、ユーザのナビゲーション動作において、いくつかの進行を示すGUIスクリーンショット200の他の画面を示す図である。スクリーンショット200は、以前ハイライトされていたオプション302と、新たにハイライトされたオプション306と、自由に動くカーソル308と、好みのオプション204と、他のホットスポット及びオプション310とを有する。」と記載されている。 これらの記載によれば、引用刊行物に記載された「双方向テレビのデータ処理システム」は、「画面のスクリーンショット200に表示される多数の選択可能なオプションからユーザが好みのオプションにナビゲートするためのユーザ入力手段として使用されるRC100」を有している。 (2-2-3) 上記記載事項1には「【請求項1】・・・前記装置が、粗い位置合わせモードにおいて、ユーザが前記特定のオプションの近辺の方にナビゲートすることを可能にする粗い位置合わせのユーザ入力手段と、細かい位置合わせモードにおいて、前記ユーザが前記特定のオプションの近辺の範囲でナビゲートすることを可能にする細かい位置合わせのユーザ入力手段とを有する・・・」と記載され、また、上記記載事項4には、「【0014】望ましい実施態様において、ナビゲーション位置を視覚化するための、粗いナビゲーションのための自由に動くカーソルと、細かいナビゲーションのための切り替わるハイライトとについて説明する。粗い制御入力装置の使用を止めると、カーソル位置に最も近いオプションがハイライトされ、前記カーソルが消える。望ましくは、前記カーソルは、ユーザが粗い制御入力装置の使用を止めた後の所定の時間の後に、次第に消える。ユーザが後で粗い装置を再び使用することを望む場合は、GUI設計手段は、例えば、その時にハイライトされたオプションの位置にカーソルを再び出現させることが可能である。これにより、本発明者は、ナビゲーション方法として使われる自由に動くカーソルと、切り替わるハイライトとを継ぎ目なく組み合わせる方法を作成した。」と記載されている。 これらの記載によれば、引用刊行物に記載された「双方向テレビのデータ処理システム」の「RC100」は、オプション間を切り替わるハイライトによる細かいナビゲーションを行う細かい位置合わせモードと、自由に動くカーソルによる粗いナビゲーションを行う粗い位置合わせモードの2つの位置合わせモードを有しており、ユーザが粗い制御入力装置の使用をやめて所定の時間を経過させることにより、粗い位置合わせモードから細かい位置合わせモードへ移行し、ユーザが粗い制御入力装置の使用を再開することにより、細かい位置合わせモードから粗い位置合わせモードへの移行を行うものである。すなわち、引用刊行物に記載された「双方向テレビのデータ処理システム」において、ユーザが粗い制御入力装置の使用をやめて所定の時間を経過させることは、粗い位置合わせモードから細かい位置合わせモードへ移行させる指示であり、ユーザが粗い制御入力装置の使用を再開することは、細かい位置合わせモードから粗い位置合わせモードへ移行させる指示であって、ユーザはこれらの指示によって、細かい位置合わせモードと粗い位置合わせモードの一方を選択しているものである。 したがって、引用刊行物に記載された「双方向テレビのデータ処理システム」の「RC100」は、「オプション間を切り替わるハイライトによる細かいナビゲーションを行う細かい位置合わせモードと、自由に動くカーソルによる粗いナビゲーションを行う粗い位置合わせモードの2つの位置合わせモードを有しており、ユーザが粗い制御入力装置の使用をやめて所定の時間を経過させることにより、粗い位置合わせモードから細かい位置合わせモードへ移行させる指示を行い、ユーザが粗い制御入力装置の使用を再開することにより、細かい位置合わせモードから粗い位置合わせモードへ移行させる指示を行い、ユーザのこれらの指示によって、細かい位置合わせモードと粗い位置合わせモードの一方が選択されている」ものである。 (2-2-4) 上記記載事項4には、「【0014】・・・粗い制御入力装置の使用を止めると、カーソル位置に最も近いオプションがハイライトされ、前記カーソルが消える。望ましくは、前記カーソルは、ユーザが粗い制御入力装置の使用を止めた後の所定の時間の後に、次第に消える。」と記載され、また、上記記載事項6には、「【0022】・・・スクリーンショット200は、以前ハイライトされていたオプション302と、新たにハイライトされたオプション306と、自由に動くカーソル308と、好みのオプション204と、他のホットスポット及びオプション310とを有する。ユーザがFSR106を使用した後に画面に現れるカーソル308は、ユーザがFSR106に適用した力の方向に応じて、オプション302からオプション306への連続的な経路で移動したものである。望ましい実施態様において、ユーザがFSR106に対する力の適用を止めると、カーソル308は画面から消える。そのときに、カーソルの位置に最も近いホットスポット又はオプションが、ハイライトされ、この場合では、オプション306がハイライトされる。」と記載されている。 この記載によれば、引用刊行物に記載された「双方向テレビのデータ処理システム」は、ユーザが粗い制御入力装置の使用を止めた後の所定の時間の後に、画面のスクリーンショット200からカーソルを消すとともに、カーソルの位置に最も近いオプションをハイライトさせるものである。 そして、画面のスクリーンショット200からカーソルだけを消すのであるから、画面のスクリーンショット200内に表示されている他の事項の表示は変更されないものである。すなわち、引用刊行物に記載された「双方向テレビのデータ処理システム」において、画面のスクリーンショット200からカーソルを消す際に、画面のスクリーンショット200内に表示されているオプションの表示は変更されないものである。 したがって、引用刊行物に記載された「双方向テレビのデータ処理システム」は、「ユーザが粗い制御入力装置の使用を止めた後の所定の時間の後に、画面のスクリーンショット200内に表示されているオプションの表示は変更しないで画面のスクリーンショット200からカーソルを消すとともに、カーソルの位置に最も近いオプションをハイライトさせる」ものである。 (2-2-5) (2-2-1)?(2-2-4)によれば、引用刊行物には、以下の発明が記載されている。 「画面のスクリーンショット200に表示される多数の選択可能なオプションからユーザが好みのオプションにナビゲートするためのユーザ入力手段として使用され、オプション間を切り替わるハイライトによる細かいナビゲーションを行う細かい位置合わせモードと、自由に動くカーソルによる粗いナビゲーションを行う粗い位置合わせモードの2つの位置合わせモードを有しており、ユーザが粗い制御入力装置の使用をやめて所定の時間を経過させることにより、粗い位置合わせモードから細かい位置合わせモードへ移行させる指示を行い、ユーザが粗い制御入力装置の使用を再開することにより、細かい位置合わせモードから粗い位置合わせモードへ移行させる指示を行い、ユーザのこれらの指示によって、細かい位置合わせモードと粗い位置合わせモードの一方が選択されているRC100 を有する双方向テレビのデータ処理システムであって、 ユーザが粗い制御入力装置の使用を止めた後の所定の時間の後に、画面のスクリーンショット200内に表示されているオプションの表示は変更しないで画面のスクリーンショット200からカーソルを消すとともに、カーソルの位置に最も近いオプションをハイライトさせる 双方向テレビのデータ処理システム。」(以下、「引用発明」という。) (3)対比 本願補正発明と引用発明とを比較する。 (3-1) 引用発明の「画面」は、本願補正発明の「画面」に相当し、以下同様に、「スクリーンショット200」の表示範囲は、「所定の表示範囲」に、「オプション」は「項目」に、「双方向テレビのデータ処理システム」は「表示制御装置」に相当する。 (3-2) 引用発明の「好みのオプションにナビゲートする」ことは、本願補正発明の「項目の選択を受け付け」ることに相当する。 また、引用発明の「ハイライト」と、本願補正発明の「カーソル」とは共に、「項目の選択状態を識別可能にするインジケータ」である点で共通し、引用発明の「オプション間を切り替わるハイライトによる細かいナビゲーションを行う細かい位置合わせモード」と、本願補正発明の「カーソルを移動させることによって項目を選択可能なカーソルモード」とは共に、「項目を、項目の選択状態を識別可能にするインジケータを移動させることによって選択可能なインジケータモード」である点で共通する。また、引用発明の「カーソル」は、本願補正発明の「ポインタ」に相当し、引用発明の「自由に動くカーソルによる粗いナビゲーションを行う粗い位置合わせモード」は、本願補正発明の「項目を、ポインタを移動させることによって選択可能なポインタモード」に相当する。 したがって、引用発明の「画面のスクリーンショット200に表示される多数の選択可能なオプションからユーザが好みのオプションにナビゲートするためのユーザ入力手段として使用され、オプション間を切り替わるハイライトによる細かいナビゲーションを行う細かい位置合わせモードと、自由に動くカーソルによる粗いナビゲーションを行う粗い位置合わせモードの2つの位置合わせモードを有しており、ユーザの指示によって、細かい位置合わせモードと粗い位置合わせモードの一方を選択しているRC100」と、本願補正発明の「画面上の所定の表示範囲内に表示される項目を、カーソルを移動させることによって選択可能なカーソルモードとポインタを移動させることによって選択可能なポインタモードのうち、ユーザにより選択された一方のモードでの項目の選択を受け付け、前記所定の表示範囲のスクロールの指示を受け付ける受け付け手段」とは共に、「画面上の所定の表示範囲内に表示される項目を、項目の選択状態を識別可能にするインジケータを移動させることによって選択可能なインジケータモードとポインタを移動させることによって選択可能なポインタモードのうち、ユーザにより選択された一方のモードでの項目の選択を受け付ける受け付け手段」である点で共通する。 (3-3) 引用発明において、ユーザが粗い制御入力装置の使用を止めた後の所定の時間を経過させることは、粗い位置合わせモードから細かい位置合わせモードへの移行の指示である。 よって、引用発明の「双方向テレビのデータ処理システム」の「ユーザが粗い制御入力装置の使用を止めた後の所定の時間の後に、画面のスクリーンショット200内に表示されているオプションの表示は変更しないで画面のスクリーンショット200からカーソルを消すとともに、カーソルの位置に最も近いオプションをハイライトさせる」機能部分と、本願補正発明の「前記ポインタモードから前記カーソルモードに切り換えることが指示された場合、表示されている表示情報の表示範囲を切り換えないことで前記画面上の所定の表示範囲内における前記項目の表示を維持させた状態で、ポインタの表示を消すとともに、表示を消す直前のポインタの位置に最も近い位置にある項目を選択した状態でカーソルを表示させる表示制御手段」とは共に、「前記ポインタモードから前記インジケータモードに切り換えることが指示された場合、前記画面上の所定の表示範囲内における前記項目の表示を維持させた状態で、ポインタの表示を消すとともに、表示を消す直前のポインタの位置に最も近い位置にある項目を選択した状態で前記インジケータを表示させる表示制御手段」である点で共通する。 (3-4) したがって、本願補正発明と引用発明の両者は、 「画面上の所定の表示範囲内に表示される項目を、項目の選択状態を識別可能にするインジケータを移動させることによって選択可能なインジケータモードとポインタを移動させることによって選択可能なポインタモードのうち、ユーザにより選択された一方のモードでの項目の選択を受け付ける受け付け手段と、 前記ポインタモードから前記インジケータモードに切り換えることが指示された場合、前記画面上の所定の表示範囲内における前記項目の表示を維持させた状態で、ポインタの表示を消すとともに、表示を消す直前のポインタの位置に最も近い位置にある項目を選択した状態で前記インジケータを表示させる表示制御手段と を備える表示制御装置。」の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 項目の選択状態を識別可能にするインジケータに関し、本願補正発明では「カーソル」であるのに対し、引用発明では「ハイライト」である点。 [相違点2] 画面上の所定の表示範囲とその表示範囲に表示される表示情報の大きさに関し、本願補正発明では表示情報の大きさが「画面上の所定の表示範囲」よりも大きいのに対し、引用発明ではそのような発明特定事項が限定されていない点。また、これに派生して、受け付け手段に関し、本願補正発明では「所定の表示範囲のスクロールの指示を受け付ける」のに対し、引用発明ではそのような発明特定事項が限定されていない点、及び、表示制御手段が表示範囲内における項目の表示を維持させる処理を行うに際して、本願補正発明では「表示されている表示情報の表示範囲を切り換えない」のに対し、引用発明ではそのような発明特定事項が限定されていない点。 (4)当審の判断 上記相違点について検討する。 まず、相違点1について検討する。 「GUI」の技術分野において、画面上の項目を選択した状態を識別可能なインジケータとして、項目の周囲を囲む枠状のカーソルは、引例を挙げるまでもない周知・慣用の技術である。 よって、引用発明において、画面上のオプションをハイライトにより選択した状態を識別可能にしているところ、そのハイライトに代えて、上記周知・慣用の技術を適用して、項目の周囲を囲む枠状のカーソルを使用することは、当業者が容易になし得たことである。 したがって、上記相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項は、当業者が引用発明及び上記周知・慣用の技術に基づいて容易に想到し得たことである。 次に、相違点2について検討する。 「双方向テレビ」の技術分野において、画面上の所定の表示範囲に表示すべき表示情報の大きさをその所定の表示範囲より大きくして、その所定の表示範囲に表示される表示情報をスクロールさせる指示を受け付けることは、例えば、特開2006-279980号公報の段落【0001】?【0003】、【0022】?【0029】、【0053】、【0054】、図2、図5、図10に記載されているように、また、国際公開第2005/071936号の段落[0001]、[0002]、[0076]?[0078]、[0100]、[0101]、図2、図4、図8に記載されているように、周知技術である。 よって、引用発明において、双方向テレビに表示される多数の選択可能なオプションを含む表示情報の具体的態様として、上記周知技術を適用して、画面上の所定の表示範囲に表示すべき表示情報の大きさをその所定の表示範囲より大きくして、その所定の表示範囲に表示される表示情報をスクロールさせる指示を受け付け可能なように構成することは、当業者が容易になし得たことである。ここで、引用発明において、粗い位置合わせモード(ポインタモード)から細かい位置合わせモード(カーソルモード)へ切り換えられた時に、カーソル(ポインタ)の位置に最も近いオプション(項目)にハイライト(カーソル)が表示されるのであるから、所定の表示範囲に表示すべき表示情報の表示範囲を切り換え(スクロール)可能である場合に、位置合わせモードの切り換えの前後において、所定の表示範囲に表示すべき表示情報の表示範囲を切り換えないで、所定の表示範囲と表示すべき表示情報との相対関係を維持したままで、ハイライト表示すべきオプション(カーソルが選択した状態で表示される項目)を探索して、表示処理を行うことは、当然に行われるべき事項である。(引用刊行物からは、粗い位置合わせモード(ポインタモード)においてカーソル(ポインタ)の表示位置に、ユーザの注目が集まっており、ユーザの注目が集まっている領域近辺のオプション(項目)にハイライト表示を行うという思想が読み取れる。そして、切り換えの前後において、所定の表示範囲に表示すべき表示情報の表示範囲を切り換えることは、ユーザの注目が集まっている領域からずれた領域をハイライト表示を行う領域として選択することを意味するから、上記思想に反するものである。) したがって、上記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項は、当業者が引用発明及び上記周知技術に基づいて容易に想到し得たことである。 そして、本願補正発明によってもたらされる効果は、引用発明並びに上記周知技術及び上記周知・慣用の技術から想定することができない格別のものと認めることもできない。 したがって、本願補正発明は、引用発明並びに上記周知技術及び上記周知・慣用の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 (5)まとめ 以上のとおり、本件補正の請求項1についてした補正が、仮に、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮であるとした場合であっても、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3 本願発明について 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成21年1月23日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、次のとおりのものと認める。 「画面上の所定の表示範囲内に表示される項目を、カーソルを移動させることによって選択可能なカーソルモードとポインタを移動させることによって選択可能なポインタモードのうち、ユーザにより選択された一方のモードでの項目の選択を受け付ける受け付け手段と、 前記ポインタモードから前記カーソルモードに切り換えることが指示された場合、前記表示範囲内における前記項目の表示を維持させた状態で、ポインタの表示を消すとともに、表示を消す直前のポインタの位置に最も近い位置にある項目を選択した状態でカーソルを表示させる表示制御手段と を備える表示制御装置。」(以下、「本願発明」という。) 4 引用刊行物 引用刊行物に記載された引用発明は、前記「2 (2-2-5)」に記載されたとおりである。 5 対比・判断 本願発明は、前記「2」で検討した本願補正発明から、受け付け手段に関し、「前記所定の表示範囲のスクロールの指示を受け付ける」との発明特定事項を省き、表示制御手段の画面上の所定の表示範囲内における項目の表示を維持させる処理に関し、「表示されている表示情報の表示範囲を移動させないことで」行うという発明特定事項を省いたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2 (4)当審の判断」に記載したとおり引用発明並びに上記周知技術及び上記周知・慣用の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明並びに上記周知技術及び上記周知・慣用の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明並びに上記周知技術及び上記周知・慣用の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり、審決する。 |
審理終結日 | 2010-12-01 |
結審通知日 | 2010-12-02 |
審決日 | 2010-12-16 |
出願番号 | 特願2007-12899(P2007-12899) |
審決分類 |
P
1
8・
561-
Z
(G09G)
P 1 8・ 121- Z (G09G) P 1 8・ 575- Z (G09G) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 福永 健司 |
特許庁審判長 |
江塚 政弘 |
特許庁審判官 |
後藤 亮治 森 雅之 |
発明の名称 | 表示制御装置、表示制御方法、およびプログラム |
代理人 | 稲本 義雄 |