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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1232328
審判番号 不服2008-30124  
総通号数 136 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-11-27 
確定日 2011-02-17 
事件の表示 特願2008- 59354「画像処理装置及び方法、画像表示装置及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年12月 4日出願公開、特開2008-295023〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【第1】経緯

1.手続
本願は、平成20年3月10日(優先権主張平成19年4月27日)の出願であって、手続の概要は以下のとおりである。

拒絶理由通知 :平成20年 5月13日(起案日)
手続補正(明細書の補正) :平成20年 7月11日
拒絶理由通知 :平成20年 8月 6日(起案日)
手続補正(明細書の補正) :平成20年 9月18日
拒絶査定 :平成20年10月20日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :平成20年11月27日
手続補正(明細書の補正) :平成20年11月27日
前置審査報告 :平成21年 1月30日
審尋 :平成22年 7月 5日(起案日)
回答書 :平成22年 9月 1日

2.査定
原査定の理由は、概略、下記のとおりである。
記(査定の理由)
本願の請求項1、請求項4、請求項5、請求項8(平成20年9月18日付け手続補正後)に係る発明は、下記刊行物に記載された各発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

刊行物1:特開2004-80252号公報
刊行物2:特開平11-122510号公報
刊行物3:特開2005-348355号公報
刊行物4:特開2000-101871号公報
刊行物5:特開2007-20140号公報
刊行物6:特開2006-330306号公報

【第2】補正の適否

《結論》
平成20年11月27日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を認める。

《理由》
1.補正の内容
本件補正は、補正前請求項4及び補正前請求項8を削除し、これに伴い補正前請求項5から請求項7までの項番号を繰り上げ(請求項自体の記載内容を補正せず)、それぞれ補正後請求項4から請求項6までと補正する補正事項を含んでいる。

2.補正の適合性
上記補正事項は、特許請求の範囲についてする補正であるところ、請求項の削除を目的とするものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第1号の規定に該当するので,これを認める。

【第3】本願発明
本願の請求項1から請求項6までに係る発明は、本願明細書及び図面(平成20年7月11日付け、平成20年9月18日付け及び平成20年11月27日付けの各手続補正書により補正された明細書及び図面)の記載からみて、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1から請求項6までに記載した事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、下記のとおりである。

記(本願発明)
入力画像信号の動き量を検出する動き検出手段と、
前記入力画像信号にエッジ強調処理を施すエッジ強調手段とを備え、
前記入力画像信号の動き量が大きい領域に対しては、前記エッジ強調処理のエッジ強調度合いを大きくする画像表示装置であって、
前記入力画像信号が係属するコンテンツの種別を示すジャンル情報に基づき、前記入力画像信号の動き量が大きい領域であっても、前記入力画像信号が生成される過程において、前記入力画像信号に含まれる高域周波数成分が減衰していないと認められる場合、前記エッジ強調処理のエッジ強調度合いを小さくする、あるいは、前記エッジ強調処理を行わないようにする制御手段を備えたことを特徴とする画像表示装置。

【第4】当審の判断

1.引用刊行物の記載
(1)原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2004-80252号公報(以下「刊行物1」という。)には、「映像表示装置及びその方法」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

《特許請求の範囲》
ア.「【請求項1】
入力映像の静止画領域と動画領域を判別する動画領域判別部と、
前記静止画領域よりも前記動画領域におけるエッジ強調量を大きくするエッジ強調処理部と、
前記エッジ強調処理部からの出力を表示する映像表示部と
を備えたことを特徴とする映像表示装置。」
イ.「【請求項6】
前記入力映像が撮像された映像情報か、非撮像の映像情報かを判別する撮像判定部をさらに備え、
前記撮像された映像情報に対する前記動画領域の前記エッジ強調量を前記非撮像の映像情報に対する前記動画領域の前記エッジ強調量よりも大きくすることを特徴とする請求項1記載の映像表示装置。」

《発明の属する技術分野》
ウ.「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、映像表示装置及びその方法に関する。」

《従来の技術》
エ.「【0002】
【従来の技術】
一般的な撮像装置は、例えば、1フレーム期間の映像を蓄積して、1フレーム画像として出力しているため、動きのある物体については撮像ボケが起こる。
【0003】
図10は、画像内のエッジ位置が移動した場合の記録される映像情報を説明する図である。この図で、縦軸は階調、横軸が表示位置(例えば水平画素)を示している。
【0004】
図10(A)は、映像内のある物体のエッジの様子を示す例である。エッジにおいては、階調に不連続がある。映像内で、物体が移動するとき、即ち、ある時刻のフレームにおいて、図10(A)のようなエッジがあり、このエッジが次のフレームにおいては、図10(B)の位置に移動した場合を考える。
【0005】
図10(A)、図10(B)に示すように、エッジ位置が移動しても、フレーム内には明確な階調不連続として記録、表示されれば、ボケのない鮮明な映像が表示される。
【0006】
ところが、一般的な撮像装置においては、1フレーム期間の物体の動きを蓄積してしまうため、図11に示すように、エッジを示す階調不連続が明確に記録されず、一定の画面内の幅をもつ階調変化領域が発生する。これが、撮像により発生するボケである。このようなボケは、観察者に違和感を与える。特に、静止時にはくっきり感が得られていたものが、動きはじめると撮像ボケが生じ、くっきり感が急に失われることになるので、動き始めの違和感は大きい。」

《発明が解決しようとする課題》
オ.「【0012】
【発明が解決しようとする課題】
即ち、従来は、エッジ強調処理をどのように行えば、より自然な画像表示ができるのかについて十分な検討がなされていなかった。」

《第1の実施形態》
カ.「【0019】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るブロックダイアグラムを図1に示す。
【0020】
入力された映像は、エッジ強調処理部11と動画領域判定部12に入力される。
【0021】
この動画領域判定部12で、動画領域と静止画領域を判別し、動画領域の位置情報を動画領域情報としてエッジ強調処理部11に入力する。
【0022】
エッジ強調処理部11では、動画領域情報に基づき、入力映像の静止画領域と動画領域に異なるエッジ強調度でエッジ強調処理を行う。
【0023】
この後、エッジ強調処理された映像は、映像表示部13に入力され観察者に提示される。
【0024】
次に各部の動作を説明する。
【0025】
動画領域判定部は、入力映像の動画領域と静止画領域の切り分けを行う。
【0026】
動画領域の判別方法としては、例えば、入力映像のエッジを検出し、1フレーム期間前の入力映像のエッジ情報と比較し、エッジが動いている物体を動画領域、動いていない領域を静止画領域とする方法がある。また、MPEG等では、入力された動きベクトルの情報から、動きベクトルの大きさがある閾値より小さい場合を静止画、大きい場合を動画とすることで、対応するブロックを動画と静止画に切り分けることが可能となる。また、MPEG以外の動画においても、動画領域判定部により画素毎または複数画素により構成されるある領域毎にブロックマッチングを行うことにより動きベクトルを求めることができる。なお、ブロックマッチングの対象となる画素もしくは領域が小さい場合にはブロックマッチングの精度を向上させるために、ブロックマッチングの対象となる画素もしくは領域の周囲の画素情報もブロックマッチングに利用することにより動きベクトルの精度を向上させることが可能である。
【0027】
このようにして、入力映像を動画領域と静止画領域に切り分けた後、入力映像の動画領域の位置情報(座標)を動画領域情報とする。
【0028】
例えば、図2(A)(B)に箱型のオブジェクトが画面向かって右方向へ移動した画像の例を示す。即ち、図2(B)は入力された映像を、図2(A)はその1フレーム前の映像を示している。
【0029】
この場合、動画領域情報は、図3に示すように、例えば、画素毎に2bitの情報でよい。すなわち、動画領域として判定された画素を1、静止画領域として判断された画素を0とする。したがって、入力映像の動画オブジェクト領域(動体領域)が1、静止画領域が0の動画領域情報となる。
【0030】
この後、動画領域情報は、エッジ強調処理部11に入力される。
【0031】
エッジ強調処理部11では、動画領域情報に基づき、入力映像に対して、静止画領域に比べて動画領域のエッジ強調度を大きくしてエッジ強調処理を行う。」
キ.「【0040】
次に動画領域を静止画領域に比べ、エッジ強調度を大きくした場合の画質向上の効果を説明する。
【0041】
図4に、静止画と動画における画質の主観評価の結果を示す。図4(A)は静止画領域におけるエッジ強調度と主観評価、図4(B)は動画領域におけるエッジ強調度と主観評価である。ここで、横軸が(1)式におけるエッジ強調度h、縦軸が主観評価値である。主観評価値が大きいほど映像の画質が良いことを示している。なお、映像表示部にはLCDを使用した。
【0042】
図4(A)の結果をみると、静止画領域においては、強調度0.2程度がもっとも主観評価が高い。また、図4(B)をみると、動画領域においては強調度0.4程度の主観評価が高いことがわかる。すなわち、静止画に比べ、動画の方がエッジ強調度が大きい場合に主観評価値が最大となるのである。
【0043】
一般に、動画は、現実に物体が移動するとき人間が視認する本来の空間周波数に比べて、撮像ボケのために、空間周波数が低下している。物体が静止していた場合には、撮像ボケはなく、記録された映像の空間周波数の低下がないので、静止していた物体が動き始めたときに観察者が視認する空間周波数の低下が顕著である。
【0044】
ここで、空間周波数とは、1フレーム内での信号(例えば、輝度)の分布を1フレーム内で2次元のフーリエ変換した周波数分布である。空間周波数が低下するとは、空間周波数の高周波成分が減少することを意味する。例えば、エッジのような輝度に不連続がある場合には、空間周波数分布に高周波成分が多く含まれるが、エッジが鈍ったような連続的な輝度分布があるときには、空間周波数分布の高周波成分は少なくなる。
【0045】
撮像ボケの他に、映像表示部がLCDの場合は、液晶の応答速度が動画のフレーム周波数に十分対応できないために、応答速度による動画ボケが起こり、表示される動画の空間周波数が低下している。そのため静止画領域と同じエッジ強調度では、十分なエッジ強調が得られない。すなわち、静止画に比べ動画領域のエッジ強調度を大きくすることにより、動画領域が備えるべき本来の空間周波数により近い映像となり、観察者の違和感が小さくなる。
【0046】
以上述べたように、静止画領域に比べ動画領域のエッジ強調度を大きくすることにより、静止画領域、動画領域ともくっきり感のある映像を観察者に提示することが可能となる。」

《第4の実施形態》
ク.「【0070】
以上述べたように、フレーム間差分判定部で得られる動体のエッジ部のみに静止画に比べエッジ強調度を大きくし処理することにより、観察者にくっきり感のある映像を提示することが可能となる。
(第4の実施形態)
本実施形態の基本的な構成は、上述の実施形態と同様であるが、本実施形態では、入力映像が撮像された映像か、非撮像の映像かを判定する撮像判定部17を備えており、入力映
像が撮像か非撮像かにより動画領域のエッジ強調量を変化させることを特徴とする。
【0071】
本発明に係る第4の実施形態のブロックダイアグラムを図9に示す。これは、第1の実施形態に撮像判定部17を付加したものである。第1の実施形態と同様の部分については、同じ引用符号を付与し、詳細な説明を省略する。
【0072】
入力映像は、エッジ強調処理部11、動画領域判定部12に入力されるとともに、撮像判定部17にも入力される。
【0073】
入力映像が、撮像された映像か非撮像の映像かを判定する手法は、複数の手法が考えられる。例えば、本実施形態では、入力された映像がDVD(Digital Versatile Disk)やビデオテープに記録されている映像の場合は、映画等の映像であることが多いので、撮像された映像と判定し、入力された映像がゲーム画像である場合は、CG(Computer Graphics)の映像であるので、非撮像の映像と判定する手法をとることができる。
【0074】
撮像判定部17では、上記のような方法により入力映像が撮像された映像か非撮像の映像かを判定し、映像の撮像情報としてエッジ強調処理部に出力する。
【0075】
エッジ強調処理部11では、第1の実施形態と同様に、動画領域判定部12により切り分けられた静止画領域と動画領域に対して異なるエッジ強調量によりエッジ強調処理を行う。ただし、さらに本実施形態では、動画領域に対しては撮像判定部17による撮像情報に基づいてエッジ強調量を制御する。エッジ強調量の大小関係は、静止画領域が一番小さく、次に入力映像が非撮像の場合の動画領域、そして入力映像が撮像の場合の動画領域が最もエッジ強調量が大きくなる。
【0076】
このようなエッジ強調量とする理由は次による。
【0077】
ある被写体を撮影した場合、その被写体の空間周波数の高周波部分は、被写体が静止している画像が一番大きく、次に被写体が動いている状態を撮像ボケが無い状態で撮影した画像(例えば、高速シャッタ素子が撮像部に付加されている高速度カメラにより撮影した画像)、そして被写体が動いている状態を通常のカメラにより撮影した撮像ボケのある画像の順で減少する。そのため、動画領域において通常のカメラにより撮像された映像に対するエッジ強調量を非撮像の映像に比べて大きくすることにより、その動画領域のオブジェクトの本来の空間周波数の広がりに近づけることが可能となる。
【0078】
エッジ強調処理部11でエッジ強調された映像は、映像表示部13に入力され観察者に映像が提示される。
【0079】
以上述べたように、静止画領域に比べて動画領域のエッジ強調量を大きくし、更に入力映像が撮像された映像の場合における動画領域のエッジ強調量を、非撮像の映像における動画領域のエッジ強調量に比べて大きくすることにより、静止画領域、動画領域ともくっきり感のある映像を提示することが可能となる。」

《発明の効果》
ケ.「【0080】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、静止画領域、動画領域いずれもくっきり感のある映像を観察者に提示することが可能となる。」
(以上、刊行物1の記載)

(2)同じく原査定で引用された刊行物である特開2005-348355号公報(以下「刊行物3」という。)には、「画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
《第2の実施例》
コ.「【0089】
[第2の実施例]
次に第2の実施例について説明する。第1の実施例は、ディジタルカメラ10などにより生成された動画像データに本発明を適用したものであるが、第2の実施例はTV放送により送信される動画像データに本発明を適用するものである。地上波デジタル放送では、デジタルの動画像データに加えて、電子番組表(EPG)データが送信されている。このEPGデータには、各番組の時間に関する情報やジャンルに関する情報が含まれている。番組は例えばニュース、天気予報、バラエティ、スポーツなどのいくつかのジャンルに分類され、各番組がどのジャンルに該当するかがEPGデータに含まれている。よって、番組のジャンル毎に適切な画像処理制御情報を予め用意し、EPGデータ中に含まれるジャンルに応じて対応する画像処理制御情報を決定して画像処理を行うことにより、放送局からのデジタルTV放送に対しても本発明を適用することができる。
【0090】
図14に、第2の実施例におけるシステムの概略構成を示す。放送局90から送信された放送波は、家庭などに設置されるデジタルTV受信システム80により受信される。具体的には受信部(チューナー)81がアンテナで受信した放送波からTV番組の動画像データ及びEPGデータを抽出して画像処理部82に送る。
【0091】
画像処理部82は、番組ジャンル毎に予め決定された画像処理制御情報を記憶している。即ち、ジャンル「ニュース」の番組は画像処理制御情報Aを使用し、ジャンル「スポーツ」の場合は画像処理制御情報Bを使用し、ジャンル「ドラマ」の場合は画像処理制御情報Cを使用する、とうような対応付け情報を記憶している。具体的な例としては、ジャンル「ニュース」の番組は字幕の表示を伴うので、文字を明確に表示するために輪郭強調を施した画像処理制御情報を使用する、ジャンル「ドラマ」の番組は俳優の表情を写すシーンが多いので肌色の記憶色を使用する画像処理制御情報を使用する、などが挙げられる。
【0092】
画像処理部82は、ジャンルに応じた画像処理制御情報を取得し、それを利用して動画像データの画像処理を行って処理後の画像データを表示部83へ送り、表示させる。このように、第2の実施例によれば、映像ソースとしてTV放送を使用することが可能となり、番組の内容に応じて好ましい画像処理を施すことにより、高画質な動画表示が可能となる。」
(以上、刊行物3の記載)

2.刊行物1記載の発明
上記刊行物1の記載から見て、刊行物1には、下記の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認めることができる。

(a)動画領域判定部
【0025】、【0026】の記載によれば、刊行物1の動画領域判定部は、入力映像の動画領域と静止画領域の切り分けを行うためのものであり、具体的な判別方法としては、(例えば)入力された動きベクトルの情報から、動きベクトルの大きさがある閾値より小さい場合を静止画、大きい場合を動画とすることで、対応するブロックを動画と静止画に切り分けるものである。上記「入力された動きベクトルの情報」は、入力映像の動きベクトルの情報であることは明らかである。また、入力された動きベクトルの情報から、動きベクトルの大きさがある閾値より小さい場合と大きい場合とで場合分けを行うということは、入力された動きベクトルの情報から、(何らかの手段により)動きベクトルの大きさを得て、その大きさがある閾値より小さい場合と大きい場合とで場合分けを行っていることも明らかである。
してみると、刊行物1の動画領域判定部は、「入力映像の動きベクトルの情報から、動きベクトルの大きさを得て、その大きさがある閾値より小さい場合を静止画、大きい場合を動画」と判定しているといえる。
そして、【0027】、【0030】の記載によれば、「入力映像を動画領域と静止画領域に切り分けた後、入力映像の動画領域の位置情報(座標)を動画領域情報とし」、「動画領域情報は、エッジ強調処理部11に入力される」ものである。
すなわち、刊行物1の動画領域判定部は、「入力映像の動きベクトルの情報から、動きベクトルの大きさを得て、その大きさがある閾値より小さい場合を静止画、大きい場合を動画と判定することで、対応するブロックを動画と静止画に切り分け、動画領域の位置情報(座標)を動画領域情報としエッジ強調処理部に入力する動画領域判定部」である。

(b)エッジ強調処理部
【0022】の記載によれば、刊行物1のエッジ強調処理部は、「入力映像の静止画領域と動画領域に異なるエッジ強調度でエッジ強調処理を行う」、すなわち、「入力映像にエッジ強調処理を行うエッジ強調処理部」である。

(c)映像表示装置
【0001】によれば、刊行物1は「映像表示装置」に関する発明であり、【0022】、【0023】の記載によれば、その映像表示装置は、エッジ強調処理部で、動画領域情報に基づき、入力映像の静止画領域と動画領域に異なるエッジ強調度でエッジ強調処理がなされた映像を映像表示部に入力し、観察者に提示するものである。そして、上記エッジ強調処理の具体的な内容は、【0031】の記載によれば、動画領域情報に基づき、入力映像に対して、静止画領域に比べて動画領域のエッジ強調度を大きくしてエッジ強調処理を行うものである。
以上のことから見て、刊行物1の映像表示装置は、「動画領域情報に基づき、動画領域に対して、エッジ強調度を大きくしてエッジ強調処理を行い、エッジ強調処理がなされた映像を映像表示部で観察者に提示する映像表示装置」である。

(d)撮像判定部の判定および当該判定に基づくエッジ強調量の制御
刊行物1の、第4の実施形態(【0071】ないし【0079】)の記載を参酌すると、当該実施形態は、「第4の実施形態のブロックダイアグラムを図9に示す。これは、第1の実施形態に撮像判定部17を付加したものである。第1の実施形態と同様の部分については、同じ引用符号を付与し、詳細な説明を省略する。」と記載されており、第1の実施の形態が有する構成(すなわち、上記(a)ないし(c)の構成)を含み、更に、撮像判定部を有したものであることが理解できる。
そして、撮像判定部は、入力映像が入力され(【0072】)、(複数の手法が考えられる)何らかの手法により、撮像された映像か非撮像の映像かを判定し、映像の撮像情報としてエッジ強調処理部に出力し(【0073】、【0074】)、エッジ強調処理部11では、第1の実施形態と同様に、動画領域判定部12により切り分けられた静止画領域と動画領域に対して異なるエッジ強調量によりエッジ強調処理を行うが、さらに、動画領域に対しては撮像判定部17による撮像情報に基づいてエッジ強調量を制御し、静止画領域が一番小さい強調量、次に入力映像が非撮像の場合の動画領域、そして入力映像が撮像の場合の動画領域が最も大きい強調量としたものである(【0075】)。
特に刊行物1の「入力された映像がDVD(Digital Versatile Disk)やビデオテープに記録されている映像の場合は、映画等の映像であることが多いので、撮像された映像と判定し、入力された映像がゲーム画像である場合は、CG(Computer Graphics)の映像であるので、非撮像の映像と判定する手法をとることができる。」(【0073】)の記載を参酌すると、撮像と非撮像とを判定するに際し、入力された映像が「映画(等)」の場合は撮像、入力された映像が「ゲーム(画像)」の場合は非撮像と判定することが記載されていることからみて、(何らかの手段で)「撮像された映像」と「非撮像の映像」とを判定している。
すなわち、刊行物1の映像表示装置は、「入力映像が撮像された映像か非撮像の映像かを判定し、入力映像の領域が動画領域であっても非撮像の画像であれば撮像された画像よりも小さいエッジ強調量となるように制御する」ものである。

(e)まとめ
上記(a)?(d)によれば、刊行物1に記載された発明(以下、「引用発明」という。)として、以下のとおりのものを認定することができる。

入力映像の動きベクトルの情報から、動きベクトルの大きさを得て、その大きさがある閾値より小さい場合を静止画、大きい場合を動画と判定することで、対応するブロックを動画と静止画に切り分け、動画領域の位置情報(座標)を動画領域情報としエッジ強調処理部に入力する動画領域判定部と、
入力映像にエッジ強調処理を行うエッジ強調処理部とを備え、
動画領域情報に基づき、動画領域に対して、エッジ強調度を大きくしてエッジ強調処理を行い、エッジ強調処理がなされた映像を映像表示部で観察者に提示する映像表示装置であって、
入力映像が撮像された映像か非撮像の映像かを判定し、入力映像の領域が動画領域であっても非撮像の画像であれば撮像された画像よりも小さいエッジ強調量となるように制御する、
映像表示装置。

3.対比
本願発明と引用発明とを対比する。

(a)「入力画像信号の動き量を検出する動き検出手段」について
引用発明の「動画領域判定部」は、「入力映像の動きベクトルの情報から、動きベクトルの大きさを得て、その大きさがある閾値より小さい場合を静止画、大きい場合を動画と判定する」ものであり、動きベクトルの大きさを得ているのであるから、「入力映像の動き量を検出」しているといえる。
また、本願発明および引用発明ともに、動画像(信号)のことを、それぞれ、「画像(信号)」(本願発明)、「映像」(引用発明)と表現しており、これらの間に格別の相違はない。
以上のことから見て、引用発明の動画領域判定部は、「入力画像信号の動き量を検出する動き検出手段」を備えているということができ、この点で、本願発明と引用発明とは一致する。

(b)「前記入力画像信号にエッジ強調処理を施すエッジ強調手段」について
引用発明の「エッジ強調処理部」は、入力映像の静止画領域と動画領域に異なるエッジ強調度でエッジ強調を行うものであり、本願発明の「前記入力画像信号にエッジ強調処理を施すエッジ強調手段」に相当する。

(c)「前記入力画像信号の動き量が大きい領域に対しては、前記エッジ強調処理のエッジ強調度合いを大きくする画像表示装置であって」について
引用発明の「映像表示装置」は、動画領域情報に基づき、動画領域に対して、エッジ強調度を大きくしてエッジ強調処理を行い、エッジ強調処理がなされた映像を映像表示部で観察者に提示するものである。
引用発明の「エッジ強調処理」は上記(b)にて対比した「エッジ強調手段」を用いて、入力映像信号に対して行うものであるから、「入力映像信号に対して、エッジ強調処理部を用いて行うエッジ強調処理」、すなわち、「上記(bで対比した)エッジ強調処理」である。
そして、上記(a)で検討したとおり、動画領域情報を得るために、「動画領域判定部」において、入力映像信号の動き量を検出し、小さい場合を静止画領域、大きい場合を動画領域と判定している。
すなわち、引用発明の映像表示装置は、入力映像信号の動き量が大きい動画領域に対して、エッジ強調度を大きくしてエッジ強調処理を行い、エッジ強調処理がなされた映像を映像表示部で観察者に提示するものである。
また、本願発明の「画像信号」と引用発明の「映像」とに格別の相違がないことは、上記(a)にて検討したとおりである。
以上のことから見て、引用発明は、「前記入力画像信号の動き量が大きい領域に対しては、前記エッジ強調処理のエッジ強調度合いを大きくする画像表示装置」である点において、本願発明と相違がない。

(d)「前記入力画像信号が係属するコンテンツの種別を示すジャンル情報に基づき、前記入力画像信号の動き量が大きい領域であっても、前記入力画像信号が生成される過程において、前記入力画像信号に含まれる高域周波数成分が減衰していないと認められる場合、前記エッジ強調処理のエッジ強調度合いを小さくする、あるいは、前記エッジ強調処理を行わないようにする制御手段」について

本願発明の「入力画像信号の動き量が大きい領域」と引用発明の「動画領域」が一致することは、上記(a)にて検討したとおりである。
引用発明は「入力映像が撮像された映像か非撮像の映像かを判定し、入力映像が動画領域であっても非撮像の動画であれば撮像の動画よりも小さいエッジ強調量となるように制御する」ものであるから、上記制御を行う制御手段を有することは明らかである。
すなわち、引用発明は「入力映像が撮像された映像か非撮像の映像かを判定し、入力映像が動画領域であっても非撮像の動画であれば撮像の動画よりも小さいエッジ強調量となるように制御する制御手段」を有しているといえる。
刊行物1の【0073】を参酌すると、「映画等の映像」は撮像された映像であり、「ゲーム画像(CG(Computer Graphics)の映像)」は非撮像の映像であるとしている。すなわち、映画等の映像はカメラで撮像された映像であるのに対し、ゲーム画像はCGの映像であってカメラで撮像されたものではない映像という観点で区分することにより、これらの映像を異なるものとしており、映像信号がカメラを用いて撮像されることによって生成された信号である場合を撮像された映像といい、映像信号がカメラを用いることなく生成された信号である場合を非撮像の映像と判定している。すなわち、映像信号が生成される過程の違いにより、撮像された映像と非撮像の映像とを異なるものとしているということができる。
また、刊行物1の【0077】を参酌すると、「ある被写体を撮影した場合、その被写体の空間周波数の高周波部分は、被写体が静止している画像が一番大きく、次に被写体が動いている状態を撮像ボケが無い状態で撮影した画像、そして被写体が動いている状態を通常のカメラにより撮影した撮像ボケのある画像の順で減少する。」、「動画領域において通常のカメラにより撮像された映像に対するエッジ強調量を非撮像の映像に比べて大きくすることにより、その動画領域のオブジェクトの本来の空間周波数の広がりに近づけることが可能」の記載から見て、「被写体が動いている状態を通常のカメラにより撮影した撮像ボケのある画像」が「撮像された映像」に、「被写体が動いている状態を撮像ボケが無い状態で撮影した画像」が「非撮像の映像」に、それぞれ、対応することは当業者であれば普通に理解できることである。
すなわち、「被写体の空間周波数の高周波部分」がより減少していない特長を有する画像が「非撮像の映像」、「被写体の空間周波数の高周波部分」がより減少している特長を有する画像が「撮像された映像」である。
上記「被写体の空間周波数の高周波部分」とは、被写体そのものの空間周波数の高周波部分ではなく、(被写体を撮像した)映像信号に含まれる空間周波数の高周波部分であることは当然のことであり、本願発明の「入力画像信号に含まれる高域周波数成分」に対応することは明らかである。
してみると、引用発明の非撮像の映像とは、「前記入力画像信号が生成される過程において、入力画像信号に含まれる高域周波数成分がより減少していない」、すなわち、「前記入力画像信号が生成される過程において、入力画像信号に含まれる高域周波数成分が減衰していないと認められる」ものといってもよいことは明らかである。
そして、引用発明は「非撮像の動画であれば撮像の動画よりも小さいエッジ強調量となるように制御する」のであるから、「前記入力画像信号が生成される過程において、入力画像信号に含まれる高域周波数成分が減衰していないと認められる場合、小さいエッジ強調量となるように制御する」すなわち、「前記入力画像信号が生成される過程において、入力画像信号に含まれる高域周波数成分が減衰していないと認められる場合、前記エッジ強調処理のエッジ強調度合いを小さくする(制御を行う)制御手段」を有しているといいうるものであり、この点において本願発明と相違がない。

以上まとめると、引用発明は、「入力映像が撮像された映像か非撮像の映像かを判定し、前記入力画像信号の動き量が大きい領域であっても、前記入力画像信号が生成される過程において、前記入力画像信号に含まれる高域周波数成分が減衰していないと認められる場合、前記エッジ強調処理のエッジ強調度合いを小さくする制御手段」を有しているといえる。
したがって、引用発明は「前記入力画像信号の動き量が大きい領域であっても、前記入力画像信号が生成される過程において、前記入力画像信号に含まれる高域周波数成分が減衰していないと認められる場合、前記エッジ強調処理のエッジ強調度合いを小さくする制御手段」を備えた点で、本願発明と相違がない。
もっとも、本願発明は「前記入力画像信号が係属するコンテンツの種別を示すジャンル情報に基づき」(エッジ強調処理を制御する)制御手段であるのに対し、引用発明は「入力映像が撮像された映像か非撮像の映像かを判定し」(エッジ強調処理を制御する)制御手段である点で相違する。

(e)画像表示装置
本願発明および引用発明ともに、動画像のことを、それぞれ、「画像」(本願発明)、「映像」(引用発明)と表現しており、これらの間に格別の相違はないことは、上記(a)にて検討したとおりであるから、引用発明の「映像表示装置」は、本願発明の「画像表示装置」と相違がない。

4.一致点・相違点
以上の対比結果(a)ないし(d)によれば、本願発明と引用発明との一致点・相違点は次のとおりである。
[一致点]
入力画像信号の動き量を検出する動き検出手段と、
前記入力画像信号にエッジ強調処理を施すエッジ強調手段とを備え、
前記入力画像信号の動き量が大きい領域に対しては、前記エッジ強調処理のエッジ強調度合いを大きくする画像表示装置であって、
前記入力画像信号の動き量が大きい領域であっても、前記入力画像信号が生成される過程において、前記入力画像信号に含まれる高域周波数成分が減衰していないと認められる場合、前記エッジ強調処理のエッジ強調度合いを小さくする制御手段を備えたことを特徴とする画像表示装置。

[相違点]
本願発明は「前記入力画像信号が係属するコンテンツの種別を示すジャンル情報に基づき」(エッジ強調処理を制御する)制御手段であるのに対し、引用発明は「入力映像が撮像された映像か非撮像の映像かを判定し」(エッジ強調処理を制御する)制御手段である点。

5.相違点の判断
[相違点]について
引用発明の「入力映像が撮像された映像か非撮像の映像かを判定」することについて、刊行物1の【0073】には、「入力映像が、撮像された映像か非撮像の映像かを判定する手法は、複数の手法が考えられる。例えば、本実施形態では、入力された映像がDVD(Digital Versatile Disk)やビデオテープに記録されている映像の場合は、映画等の映像であることが多いので、撮像された映像と判定し、入力された映像がゲーム画像である場合は、CG(Computer Graphics)の映像であるので、非撮像の映像と判定する手法をとることができる。」と記載されているところ、上記記載を見た当業者であれば、「映画」であれば撮像された映像、「ゲーム画像」であれば非撮像の映像と判定できることが理解できる。すなわち、刊行物1には、入力された映像が、映画であるかゲームであるかを判定することができれば、撮像された映像か非撮像の映像かを判定できることが示唆されている。
ところで、映像の種別として「映画」、「ゲーム」といった情報がEPGのジャンル情報として提供されていることは本願出願前周知の技術事項であり、このことは、例えば、特開平9-37181号公報【0204】等の記載、特開2002-55856号公報【0040】等の記載に示されている。
そして、刊行物3には、地上波デジタル放送では、デジタルの動画像データに加えて、電子番組表(EPG)データが送信されており、このEPGデータには、各番組の時間に関する情報やジャンルに関する情報が含まれており、番組は例えばニュース、天気予報、バラエティ、スポーツなどのいくつかのジャンルに分類され、各番組がどのジャンルに該当するかがEPGデータに含まれていること、よって、番組のジャンル毎に適切な画像処理制御情報を予め用意し、EPGデータ中に含まれるジャンルに応じて対応する画像処理制御情報を決定して画像処理を行うことができること、例えば、画像処理部82は、番組ジャンル毎に予め決定された画像処理制御情報を記憶しており、ジャンル「ニュース」の番組は画像処理制御情報Aを使用し、ジャンル「スポーツ」の場合は画像処理制御情報Bを使用し、ジャンル「ドラマ」の場合は画像処理制御情報Cを使用すること、具体的な例としては、ジャンル「ニュース」の番組は字幕の表示を伴うので、文字を明確に表示するために輪郭強調を施した画像処理制御情報を使用することが記載されている(前掲コ.の段落【0089】?【0092】の記載)。
上記記載によれば、刊行物3には、各番組に関する「ニュース」、「スポーツ」、「ドラマ」などのコンテンツの種別を示すジャンル情報をEPGデータから得て、ジャンル情報により得られたコンテンツの種別毎に適切な画像処理制御情報を決定して輪郭強調などの画像処理を施すことが記載されている。
すなわち、刊行物3には、(EPGデータから得た)入力画像信号が係属するコンテンツの種別を示すジャンル情報に基づき(入力画像信号を判定し)、エッジ強調処理などを施す(すなわち、エッジ強調処理を制御する)技術が示されている。
引用発明と刊行物3記載の技術とは、ともに、映像の種別に基づきエッジ強調を制御するものであるから、引用発明に刊行物3記載の技術を適用することに困難性はない。
してみると、EPGのジャンル情報として提供されているような「映画」、「ゲーム」といった種別を判定することができれば、撮像された映像か非撮像の映像かを判別できる引用発明に、「(EPGデータから得た)入力画像信号が係属するコンテンツの種別を示すジャンル情報に基づき入力画像信号を判定」している刊行物3記載の技術を採用し、引用発明の「入力映像が撮像された映像か非撮像の映像かを判定し」エッジ強調処理を制御する構成を、「入力画像信号が係属するコンテンツの種別を示すジャンル情報に基づき」、「入力映像が撮像された映像か非撮像の映像かを判定し」エッジ強調処理を制御する構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものといえる。そして、『「入力画像信号が係属するコンテンツの種別を示すジャンル情報に基づき」、「入力映像が撮像された映像か非撮像の映像かを判定し」エッジ強調処理を制御する構成』は、『「入力画像信号が係属するコンテンツの種別を示すジャンル情報に基づき」エッジ強調処理を制御する構成』ということができるから、引用発明に刊行物3記載の技術を採用し、本願発明の構成とすることは当業者が容易に想到しえたことである。

〈効果等について〉
以上のように、相違点にかかる構成は当業者が容易に想到できたものである。そして、本願発明の構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

6.審判請求人の主張について
審判請求人は、回答書で「ここで、字幕の文字部分(CG映像)やアニメーション映像は、画像信号の生成過程において高域周波数成分が減衰しない非撮像映像であります。そして、引用文献1に記載された発明は、画像信号の生成過程において高域周波数成分が減衰しない非撮像映像に対しては、動き量が大きい領域であってもエッジ強調度合いを小さくするように制御するものであることから、引用文献1に記載された技術と、引用文献3に記載された技術とを仮に組み合わせたとしても、字幕の文字部分(CG映像)やアニメーション映像に対して全く正反対のエッジ強調処理を行うこととなり、両者を組み合わせることには矛盾があるものと思料します。」(4頁11?18行)と主張している。
しかしながら、本願発明が刊行物1および刊行物3に記載された発明、ならびに周知技術に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであることは上記のとおりであり、刊行物3は、入力画像信号が係属するコンテンツの種別を示すジャンル情報に基づき、エッジ強調処理などを施すという技術事項を引用するもので、字幕の文字部分(CG映像)やアニメーション映像に対して全く正反対のエッジ強調処理を行うからといって、刊行物1と刊行物3に記載の発明を組み合わせることに矛盾(阻害要因)があるとはいえない。

【第5】むすび
以上、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1および刊行物3に記載された発明ならびに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、残る請求項2ないし請求項6に係る発明について特に検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-12-14 
結審通知日 2010-12-21 
審決日 2011-01-05 
出願番号 特願2008-59354(P2008-59354)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 直樹  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 小池 正彦
梅本 達雄
発明の名称 画像処理装置及び方法、画像表示装置及び方法  
代理人 平井 良憲  
代理人 岡田 宏之  

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