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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1234519 |
審判番号 | 不服2009-3463 |
総通号数 | 137 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-05-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-02-16 |
確定日 | 2011-03-30 |
事件の表示 | 特願2004-198142「情報処理装置及びその制御方法、並びにコンピュータプログラム及びコンピュータ可読記憶媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 1月19日出願公開、特開2006- 18748〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続きの経緯・本願発明 本願は、平成16年7月5日の出願であり、平成21年1月9日付けで拒絶査定がなされ、それに対して同年2月16日に拒絶査定不服の審判請求がなされ、同年3月18日付けで手続補正書が提出されたものであって、その請求項1に係る発明は、平成21年3月18日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。) 「装置内に2枚のシートを滞留可能な両面印刷可能なプリンタと通信可能であって、当該プリンタに両面印刷のための印刷データを出力する情報処理装置であって、 上位処理から渡された印刷対象のデータに基づき、各ページの印刷データを生成する印刷データ生成手段と、 該印刷データ生成手段で生成された1シートに印刷される2ページ分の前記印刷データを管理するため、前記シートを単位とするシート管理テーブルを生成すると共に、着目シートの両面のページが共に白紙となることを示す場合、前記着目シートのシート管理テーブルを破棄するシート管理テーブル生成手段と、 該シート管理テーブル生成手段で生成されたシート管理テーブルに基づき、印刷するページ単位に、当該ページの出力の順序を管理する送信管理データを作成する管理データ作成手段と、 該管理データ作成手段で生成された送信管理データで示されるページ順に、前記プリンタへの印刷データの出力処理を行う出力制御手段とを備え、 前記管理データ作成手段は、最初のシート管理テーブルから裏面ページ、空白ページ、表面ページの順の送信管理データを生成し、2番目以降のシート管理テーブルからは、それ以前に生成された送信管理データ中の空白ページを裏面ページで置き換え、末尾に空白ページを追加し、その後に表面ページが追加された送信管理データを生成する ことを特徴とする情報処理装置。」 第2 引用例 (1)原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-205866号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の記載がある。 (イ)「【0018】 【発明の実施の形態】(第1の実施形態) (プリンタ装置の構成)図1を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。本発明の第1の実施形態であるプリンタ装置1は、印刷タスク実行手段2、印刷手段3を備えて構成される。印刷タスク実行手段2は、制御テーブル21、カウンタ22を備えており、印刷手段3は印刷実行手段31と排出検知手段32を備えている。なお、プリンタ装置1は、印刷タスク実行手段2、印刷手段3以外に、通常のプリンタ装置が備える構成(例えば、ホストコンピュータから印刷データを受け取り、これを画像データに展開して所定の記憶領域に記憶する画像データ生成手段等)を備えている。 【0019】印刷タスク実行手段2は、印刷タスクを印刷データごとに生成し、実行する。ここで、印刷タスクは、所定の記憶領域に記憶されている画像データを印刷手段3に送信する処理を行うタスクである。 【0020】印刷タスク実行手段2は、物理的にはプリンタ制御やデータ処理に専用化したシステム、あるいは汎用の情報処理装置のいずれによって実現してもよい。例えば、演算手段と記憶手段とを備えた一般的な構成の情報処理装置において、印刷タスクの動作を規定したソフトウェアを起動することにより、印刷タスクをコンピュータ上に生成することができる。印刷タスク実行手段2は複数の印刷タスクを並列に実行することができるように構成されている。 【0021】制御テーブル21は、複数の印刷タスクについて画像データが記憶される記憶領域の解放を効率よく行うための情報を格納するテーブルである。図2に制御テーブル21の例を示す。制御テーブル21は、最大並列実行可能な印刷タスク数に相当するレコードを備え、各レコードには印刷タスクIDと、セマフォフラグ変数を記憶する領域が設けられている。印刷タスクIDは印刷タスクを特定するための番号等である。セマフォフラグは複数の印刷タスクについて排他制御を行うために用いる変数である。セマフォフラグは、例えば1もしくは0を取り、各レコードのセマフォフラグのうち常に一つのセマフォフラグのみが1を取るように制御することで、排他制御に用いることができる。 【0022】カウンタ22は、初期値として0が与えられており、印刷手段3より排出信号300を受け取ることによりカウンタ値が-1され、画像データの転送が終了することによりカウンタ値が+1される。なお、カウンタの動作に関し、正負を逆とする構成も考えられ、その場合、後述するカウンタに基づく条件判断も不等号の向きが逆になる。また、カウンタに対する加算減算の値は±1以外であってもよい。 【0023】印刷実行手段31は、受信した画像データに基づいて画像を印刷する。複数の画像データを受信した場合は、受信した順番に画像を印刷することになる。印刷実行手段31は、給紙トレイ、給紙機構、感光体、静電潜像形成手段、現像・定着手段、排紙口といった、従来のレーザプリンタが有する各手段(図示せず)を備えている。 【0024】排出検知手段32は、印刷実行手段31の排紙口近傍に設けられており、印刷実行手段31から記録紙が排出された場合に検知し、排出信号として印刷タスク実行手段2中のカウンタ22に送信する。 (印刷タスク実行手段における処理の流れ) (第1実施形態の第1実施例)本実施形態の第1実施例の処理の流れについて説明する。図3は、印刷タスクによる処理の流れを示したフローチャートである。初期状態として、カウンタ値は0、制御テーブルのトップのレコードのみセマフォフラグが1、それ以外のレコードのセマフォフラグには0が設定されているとする。また、カウンタ22は、印刷手段3から受け取る排出信号に基づいて-1カウント(+1カウント減算)される。」(段落【0018】?【0024】) (ロ)「【0047】更に、各印刷タスクは画像データの転送が終了した時点で、タスクを終了することができるため、同時に実行される印刷タスク数を削減し、処理効率を向上させることができる。 (第1実施形態の第3実施例)本実施形態の第3実施例の処理の流れについて説明する。本実施例は、カウンタタスクが生成される点、制御テーブル21に転送終了フラグが設けられている点、カウンタタスクがポインタを備えている点では第2実施例と同様である。 【0048】ただし、制御テーブル21には更にレコードごとに表裏フラグが設けられており、カウンタ22の動作及びカウンタタスクの処理の流れが、印刷手段3において両面印刷が実行される場合に対応している点で、第2実施例と異なる。ここで、両面印刷とは、1枚の記録紙の裏表に、2つの印刷タスクから転送される画像データが印刷されることをいう。本実施例では裏面、表面の順番で印刷が行われるとする。 【0049】なお、表裏フラグは、印刷タスクが転送する画像データが表裏のどちらの面に対応する画像データなのかを示すフラグであり、本実施例では表に対応する場合に0、裏に対応する場合に1を取るものとする。 【0050】第3実施例においては、カウンタ22は、印刷手段3から受け取る排出信号に基づいて-2カウント(+2カウント減算)される。 【0051】図6は、第3実施例におけるカウンタタスクの処理の流れを示したフローチャートである。なお、第3実施例における印刷タスクの処理の流れは図4に示される第2実施例におけるフローとほぼ同様である。ただし、各印刷タスクは、タスクID書込み時等に、転送する画像データの表裏に応じて表裏フラグに対しても値を書き込む。 【0052】ステップS401において、カウンタタスクは、ポインタが指すレコードについて、転送終了フラグをチェックする。転送終了フラグの値が0の場合、例えば100msecDelayを実行し、ステップS401に戻る。転送終了フラグの値が1の場合、ステップS402に進む。 【0053】ステップS402において、カウンタタスクは、カウンタ22の値を+1カウントする。 【0054】ステップS403において、表裏フラグの値が1の場合にステップS406に進み、0の場合にステップS404に進む。なお、本ステップは、両面の印刷が終了した場合にステップS404に進むように構成されていればよく、表面、裏面の順番で印刷が行われる場合は、逆の動作(0の場合にステップS406に進み、1の場合にステップS404に進む)となる。 【0055】ステップS404において、カウンタ23のカウンタ値が正値の場合、例えば100msecDelayを実行し、ステップS404に戻る。そうでない場合、ステップS405に進む。 【0056】ステップS405において、カウンタタスクは、ポインタが指すレコード及びポインタが指すレコードの前のレコード(図2において上にあるレコード)について、書き込まれたタスクIDを有する印刷タスクの画像データを展開した記憶領域を解放する。そして、ポインタが指すレコード及びポインタが指すレコードの前のレコード(上にあるレコード)について、タスクIDを消去し、転送終了フラグを0に変更する。 【0057】ステップS406において、カウンタタスクは、ポインタの値を次のレコード(下にあるレコード)に変更して、ステップS401に戻る。なお、ポインタが最も下のレコードを指している場合はトップのレコードに変更する。 【0058】印刷タスク実行手段2で実行されるカウンタタスクをこのように構成することにより、第2実施例のおける効果に加え、印刷手段3における両面印刷に対応することができる。すなわち、記憶領域の解放は表裏フラグが1の場合にのみ実行されるように構成したため、記録紙の裏面の印刷が終わった段階では、記録紙の裏面に印刷された画像データの記憶領域が解放されることはなく、記録紙の表面の印刷が終わり記録紙が排出された段階で、表裏に印刷された2つの画像データの記憶領域が解放されることになる。」(段落【0047】?【0058】) (ハ)「【0099】印刷タスク実行手段2で実行されるカウンタタスクをこのように構成することにより、第1実施例のおける効果に加え、印刷手段3における両面印刷に対応することができる。すなわち、記憶領域の解放は印刷面状態変数が1の場合にのみ実行されるように構成したため、記録紙の裏面の印刷が終わった段階では、記録紙の裏面に印刷された画像データの記憶領域が解放されることはなく、記録紙の表面の印刷が終わり記録紙が排出された段階で、表裏に印刷された2つの画像データの記憶領域が解放されることになる。 (変形例)なお、本発明は上記各実施の形態に限定されることなく、種々に変形して適用することが可能である。例えば、両面印刷が実行される場合、印刷実行手段31は、1枚目の記録紙の裏面、2枚目の記録紙の裏面、1枚目の記録紙の表面、2枚目の記録紙の表面、といった順番で印刷を行うように構成してもよい。かかる構成は、例えば、レコードへの書込み順が、1枚目の記録紙の裏面に対応する印刷タスク、2枚目の記録紙の裏面に対応する印刷タスク、1枚目の記録紙の表面に対応する印刷タスク、2枚目の記録紙の表面に対応する印刷タスクの順番となるように制御することにより実現できる。または、印刷面状態変数を単面印刷の終了に応じて1、2、3、4、1、2、・・・の順番に値が更新されるように構成し、図12のステップS902において値が1の場合にステップS904に進む代わりに、値が3もしくは4の場合にステップS904に進むように構成すればよい。このような順番で印刷することにより、1枚目の記録紙について裏面印刷後に表裏をひっくり返すための紙送り動作を行っている間に、2枚目の記録紙の裏面の印刷動作を行うことができるため、印刷効率を高めることができる。」(段落【0099】) 以上の記載によれば、この引用例1には以下のような発明(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認められる。 「ホストコンピュータから印刷データを受け取り、該印刷データを画像データに展開して印刷手段3に送信するプリンタ装置であって、 前記印刷データを画像データに展開して所定の記憶領域に記憶する画像データ生成手段と、 所定の記憶領域に記憶されている画像データを印刷手段3に送信する処理を行うタスクである印刷タスクを印刷データごとに生成し、各印刷タスクは、制御テーブル21に、上から下に向かう順番に印刷タスクを特定するための番号である印刷タスクIDを制御テーブルのレコードに書き込み、この順番に画像データを印刷手段3に転送する印刷タスク実行手段2とを備え、 印刷手段3の印刷実行手段は、複数の画像データを受信した場合は、受信した順番に画像を印刷するものであって、 前記制御テーブル21は、1枚の記録紙の表裏に、2つの印刷タスクから転送される画像データが印刷される両面印刷が実行される場合に対応し、 レコードへの書込み順が、1枚目の記録紙の裏面に対応する印刷タスク、2枚目の記録紙の裏面に対応する印刷タスク、1枚目の記録紙の表面に対応する印刷タスク、2枚目の記録紙の表面に対応する印刷タスクの順番となるように制御することにより、このような順番で印刷することにより、1枚目の記録紙について裏面印刷後に表裏をひっくり返すための紙送り動作を行っている間に、2枚目の記録紙の裏面の印刷動作を行うことができるため、印刷効率を高めることができることを特徴とするプリンタ装置。」 (2)原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-161828号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに次の記載がある。 (イ)「【0017】 【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は本発明に係るプリンタ装置の機能構成例を示す機能ブロック図である。なお、この図1に示されている本発明のプリンタ装置の動作は本発明のプリント制御方法により実現される。 【0018】図1において、参照符号1が本発明のプリンタ装置を示しており、インタフェイスとしての受信回路12を介してパーソナルコンピュータ,ワードプロセッサ等の上位装置2と接続されている。なお、図1には上位装置2は一つのみが示されているが、分配器等を介して複数が接続されていてもよいし、 LAN回線等に接続されたいわゆるプリンタサーバと称される一つの上位装置に接続されていてもよい。 【0019】プリンタ装置1内には上述の受信回路12の他に、データフォーマット部13, 印刷制御部14, CPU 15, ROM 17, RAM 18, 判定制御情報テーブル19等が備えられており、これらの各構成要素はバス11にて相互に接続されている。 【0020】 受信回路12は、上位装置2からデータ(プリントオーダ)を受信するためのインタフェイスであり、受信したオーダをバッファリングするためのバッファメモリ120 を有している。なお、この受信回路12が上位装置2から受信するオーダは制御コードまたは文字コード,ビットマップデータのプリントオーダである。 【0021】 データフォーマット部13はページメモリ130 及びフラグ (データ有りフラグ)131を有しており、受信回路12が受信したオーダを一つの印刷単位(ページ)を構成してページメモリ130 上に1ページ分のビットマップデータを作成する。具体的には、データフォーマット部13は、上位装置2から受信回路12が受信した個々のオーダが制御コードのデータである場合には無視し、文字コードのデータである場合にはそれに対応するフォントデータをROM 17またはRAM 18から読み出してページメモリ130 上に描画し、ビットマップデータである場合にはそのデータ中で指定された範囲にそのままページメモリ130 に描画する。なお、データ有りフラグ131 については後述する。 【0022】印刷制御部14は上述のページメモリ130 上に描画されたビットマップデータを図示されていないたとえばレーザープリンタ,インクジェットプリンタ等のハードウェアである印刷機構140 を制御してハードコピー出力することにより印刷する。」(段落【0017】?【0022】) (ロ)「【0037】一般のプリンタ装置による印刷に使用される印刷用紙には種々のタイプがあるが、本発明のプリンタ装置ではカット紙の片面印刷, カット紙の両面印刷, 連帳用紙の印刷が可能であり、まずカット紙の片面印刷及び連帳用紙の印刷の際のデータフォーマット部13による制御手順について、図4のフローチャートを参照して説明する。 【0038】データフォーマット部13は受信回路12のバッファメモリ120 から1オーダを取り込む都度 (ステップS21)、そのオーダのコードが出力データ (印刷すべきデータ) であるか否かを前述の図3のフローチャートに示されている手順に従って調べる (ステップS22)。出力データであった場合にはデータ有りフラグ131 をオン (”1”) した後に (ステップS23)、出力データで無かった場合にはそのままステップS23 へ処理を進める。換言すれば、データ有りフラグは計数手段として機能する。ステップS24 においては、データフォーマット部13は受信回路12のバッファメモリ120 から取り込んだコードが改ページを指示するコードであるか否かを調べ、改ページを指示するコードでない場合にはステップS21 へ処理を戻して受信回路12のバッファメモリ120 から次のオーダを取り込む。しかし、改ページを指示するコードであった場合にはデータフォーマット部13はデータ有りフラグ131 のオン/オフを調べ (ステップS25)、オフである場合、即ちそのページに出力データが一つでも有る場合にはデータ有りフラグ131 をオフした上で印刷依頼を発行する (ステップS28)。しかし、ステップS25 においてデータ有りフラグ131 がオンであった場合には、データフォーマット部13は出力無効情報をオンし (ステップS26)、その上で印刷依頼を発行する (ステップS28)。 【0039】なお、ステップS28 において印刷依頼を発行した後は、データフォーマット部13は次の1ページ分のデータを作成するためにステップS21 へ処理を戻す。 【0040】図5は、上述のデータフォーマット部13での制御に伴って印刷制御部14において実行されるキュー管理の状態を示す模式図である。なお、印刷制御部14には、前述のデータフォーマット部13におけるステップS26 の処理においてオンまたはオフされた出力無効情報のオン/オフを判定するための出力無効情報判定部141が備えられている。」(段落【0037】?【0040】) (ハ)「【0041】印刷制御部14においては、印刷依頼があった1ページ分のデータを1単位としてキュー管理する。印刷制御部14はまず最初に、データフォーマット部13から印刷依頼が発行されている1ページ分のデータPDを印刷依頼キューQ1として入力する。この印刷依頼キューQ1は、前述のデータフォーマット部13におけるステップS26 の処理において出力無効情報がオンまたはオフされている。印刷制御部14では出力無効情報判定部141 によりこの出力無効情報のオン/オフ判定が行なわれ、オンされている場合にはその印刷依頼キューQ1は削除される。換言すれば、その印刷依頼キューQ1には出力データはまったく含まれておらず、そのままであれば一枚の白紙が印刷機構140 から出力されることになるが、本発明のプリンタ装置1ではその印刷依頼キューQ1が削除されることにより、白紙が無駄に出力されることがなくなる。 【0042】なお、出力無効情報がオフである場合には、その印刷依頼キューQ1は展開待ちキューQ2とされ、次には印刷待ちキューQ3となり、最後にスタックアウトキューQ4となって印刷のためのハードウェアである印刷機構140 に与えられて印刷用紙にプリントが行なわれる。 【0043】図6はカット紙の両面印刷の際のデータフォーマット部13による制御手順を示すフローチャートである。基本的な制御手順は図4に示されている前述の片面印刷の際のフローチャートと同様であり、同一の手順は同一のステップ番号で示してある。この図6のフローチャートが図4のフローチャートと異なる点は、改ページ指示の有無を調べるステップS24 とデータ有りフラグ131 のオン/オフを調べるステップS25 との間において、両面それぞれ1ページ分のデータが完成しているか否かを調べるステップS30 が追加されていることである。従って、ステップS25 においては、一枚の印刷用紙の両面に関してデータ有りフラグ131 のオン/オフが調べられる。このステップS25 での処理により、表裏共に白紙である場合にのみデータ有りフラグ131 がオフ状態になるため、その場合にのみ印刷が行なわれない。換言すれば、片面のみ白紙である場合には他面の処理時においてはデータ有りフラグ131 はオンされるため片面が白紙で出力される場合もあり得る。 【0044】なお、上述のカット紙の両面印刷の場合の印刷制御部14での処理は、1枚のカット紙の両面に印刷される2ページのデータを1単位としてキュー管理することにより、図5に示されている前述のカット紙の片面印刷の場合と同様に処理される。 【0045】本発明のプリンタ装置は上述のようにして、従来であればカット紙及び連帳の片面印刷に際して白紙が出力されるような場合には全く出力を行なわず、またカット紙の両面印刷に際して両面共に白紙として印刷出力されるような場合にも全く出力を行なわないようにして、白紙のままの印刷用紙を無駄に出力することを回避している。」(段落【0041】?【0045】) 第3 対 比 本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「印刷手段3」と本願発明の「プリンタ」とは、「印刷手段」である点で一致する。 引用発明の「印刷データ」は、本願発明の「印刷対象のデータ」に相当する。 引用発明の「画像データ」は、本願発明の「印刷データ」に相当する。 引用発明の「プリンタ装置」は、本願発明の「プリンタに両面印刷のための印刷データを出力する情報処理装置」と「印刷手段に両面印刷のための印刷データを出力する装置」の点で共通する。 引用発明の「ホストコンピュータから印刷データを受け取り、」「前記印刷データを画像データに展開して所定の記憶領域に記憶する画像データ生成手段」は、本願発明の「上位処理から渡された印刷対象のデータに基づき、各ページの印刷データを生成する印刷データ生成手段」に相当する。 引用発明の「所定の記憶領域に記憶されている画像データを印刷手段3に送信する処理を行うタスクである印刷タスクを印刷データごとに生成し、各印刷タスクは、制御テーブル21に、上から下に向かう順番に印刷タスクを特定するための番号である印刷タスクIDを制御テーブル21のレコードに書き込み、この順番に画像データを印刷手段3に転送する」から、引用発明の「制御テーブル21」は、本願発明の「送信管理データ」に相当し、引用発明の「印刷タスク実行手段2」は、「印刷するページ単位に、当該ページの出力の順序を管理する送信管理データを作成する管理データ作成手段」及び「該管理データ作成手段で生成された送信管理データで示されるページ順に、印刷手段への印刷データの出力処理を行う出力制御手段」である点で本願発明と共通する。 本願発明における「前記管理データ作成手段は、最初のシート管理テーブルから裏面ページ、空白ページ、表面ページの順の送信管理データを生成し、2番目以降のシート管理テーブルからは、それ以前に生成された送信管理データ中の空白ページを裏面ページで置き換え、末尾に空白ページを追加し、その後に表面ページが追加された送信管理データを生成する」は、「空白ページの送信管理データ」は、2番目以降の裏面ページで置き換えられるから、生成された送信管理データは、最初のシートの裏面ページ、2番目のシートの裏面ページ、最初のシートの表面ページ、2番目のシートの表面ページとなることは明らかである。 したがって、引用発明の「前記制御テーブル21は、1枚の記録紙の表裏に、2つの印刷タスクから転送される画像データが印刷される両面印刷が実行される場合に対応し」、「レコードへの書込み順が、1枚目の記録紙の裏面に対応する印刷タスク、2枚目の記録紙の裏面に対応する印刷タスク、1枚目の記録紙の表面に対応する印刷タスク、2枚目の記録紙の表面に対応する印刷タスクの順番となるように制御する」は、本願発明の「前記管理データ作成手段は、最初のシート管理テーブルから裏面ページ、空白ページ、表面ページの順の送信管理データを生成し、2番目以降のシート管理テーブルからは、それ以前に生成された送信管理データ中の空白ページを裏面ページで置き換え、末尾に空白ページを追加し、その後に表面ページが追加された送信管理データを生成する」と「前記管理データ作成手段は、最初のシートの裏面ページ、2番目のシートの裏面ページ、最初のシートの表面ページ、2番目のシートの裏面ページの順の送信管理データを生成して送信管理データを生成する」である点で共通する。 したがって、両者は、 「印刷手段に両面印刷のための印刷データを出力する装置であって、 上位処理から渡された印刷対象のデータに基づき、各ページの印刷データを生成する印刷データ生成手段と、 印刷するページ単位に、当該ページの出力の順序を管理する送信管理データを作成する管理データ作成手段と、 該管理データ作成手段で生成された送信管理データで示されるページ順に、前記印刷手段への印刷データの出力処理を行う出力制御手段とを備え、 前記管理データ作成手段は、最初のシートの裏面ページ、2番目のシートの裏面ページ、最初のシートの表面ページ、2番目のシートの裏面ページの順の送信管理データを生成して送信管理データを生成する ことを特徴とする装置。」 で一致するものであり、次の(1)?(3)の点で相違している。 ・相違点(1) 本願発明は、印刷データ生成手段で生成された1シートに印刷される2ページ分の前記印刷データを管理するため、前記シートを単位とするシート管理テーブルを生成すると共に、着目シートの両面のページが共に白紙となることを示す場合、前記着目シートのシート管理テーブルを破棄するシート管理テーブル生成手段を備えるのに対し、引用発明は、1シートに印刷される2ページ分の前記印刷データを管理するため、前記シートを単位とするシート管理テーブルはない点。 ・相違点(2) 本願発明は、シート管理テーブルに基づき、送信管理データを作成、すなわち、管理データ作成手段は、最初のシート管理テーブルから裏面ページ、空白ページ、表面ページの順の送信管理データを生成し、2番目以降のシート管理テーブルからは、それ以前に生成された送信管理データ中の空白ページを裏面ページで置き換え、末尾に空白ページを追加し、その後に表面ページが追加された送信管理データを生成するのに対し、引用発明は、制御テーブル21のレコードへの書込み順を、1枚目の記録紙の裏面に対応する印刷タスク、2枚目の記録紙の裏面に対応する印刷タスク、1枚目の記録紙の表面に対応する印刷タスク、2枚目の記録紙の表面に対応する印刷タスクの順番となるように制御するが、シート管理テーブルに基づいていない点。 ・相違点(3) 本願発明は、「装置内に2枚のシートを滞留可能な両面印刷可能なプリンタと通信可能であって、当該プリンタに両面印刷のための印刷データを出力する情報処理装置」であるのに対し、引用発明は、「ホストコンピュータから印刷データを受け取り、該印刷データを画像データに展開して印刷手段3に送信するプリンタ装置」である点。 第4 当審の判断 相違点(1)、(2)について 引用例2には、カット紙の両面印刷の場合の印刷制御部14での処理は、1枚のカット紙の両面に印刷される2ページのデータを1単位としてキュー管理することにより、カット紙の片面印刷の場合と同様に処理すること(本願発明の「印刷データ生成手段で生成された1シートに印刷される2ページ分の前記印刷データを管理するため、前記シートを単位とするシート管理テーブルを生成する」に相当するといえる。)、及び、カット紙の両面印刷に際して両面共に白紙として印刷出力されるような場合に全く出力を行なわないようにして、白紙のままの印刷用紙を無駄に出力することを回避していることが記載されている(段落【0044】、【0045】参照)。 したがって、上記引用例2記載の技術を適用すれば、引用発明において、印刷データ生成手段で生成された1シートに印刷される2ページ分の前記印刷データを管理するため、前記シートを単位とするシート管理テーブルを生成すると共に、着目シートの両面のページが共に白紙となることを示す場合、前記着目シートのシート管理テーブルを破棄するシート管理テーブル生成手段を備えるようにすることは容易になし得ることである。 そして、引用発明において、印刷データ生成手段で生成された1シートに印刷される2ページ分の前記印刷データを管理するため、前記シートを単位とするシート管理テーブルを生成するようにすれば、引用発明における制御テーブル21のレコードへの書込み順は、シート管理テーブルに基づいているといえる。 また、本願発明において、空白ページを生成し、空白ページを裏面ページで置き換えて送信管理データを生成する点は、当業者が必要に応じてなし得る設計事項にすぎない。 相違点(3)について 引用発明は、レコードへの書込み順が、1枚目の記録紙の裏面に対応する印刷タスク、2枚目の記録紙の裏面に対応する印刷タスク、1枚目の記録紙の表面に対応する印刷タスク、2枚目の記録紙の表面に対応する印刷タスクの順番となるように制御することにより、このような順番で印刷することにより、1枚目の記録紙について裏面印刷後に表裏をひっくり返すための紙送り動作を行っている間に、2枚目の記録紙の裏面の印刷動作を行うことができるため、印刷効率を高めることができるものであるから、引用発明の印刷手段3は、装置内に2枚のシートを滞留可能な両面印刷可能な印刷手段である。 そして、引用例1には、「印刷タスク実行手段2は、物理的にはプリンタ制御やデータ処理に専用化したシステム、あるいは汎用の情報処理装置のいずれによって実現してもよい。例えば、演算手段と記憶手段とを備えた一般的な構成の情報処理装置において、印刷タスクの動作を規定したソフトウェアを起動することにより、印刷タスクをコンピュータ上に生成することができる。印刷タスク実行手段2は複数の印刷タスクを並列に実行することができるように構成されている。」(段落【0020】)と記載されており、また、印刷データをページ毎に区切り、印刷順序処理を行ってプリンタへ送信する手段(ランゲージモニタ)をプリンタと通信する情報処理装置に備えることは、本願出願前周知の技術である(例えば、特開2001-205900号公報段落【0024】?【0057】、特開2004-151784号公報段落【0028】?【0030】、特開2000-99285号公報段落【0019】?【0020】参照)。 したがって、引用発明の「画像データ生成手段」及び「印刷タスク実行手段2」をホストコンピュータ側に備えるようにして、装置内に2枚のシートを滞留可能な両面印刷可能なプリンタと通信可能であって、当該プリンタに両面印刷のための印刷データを出力する情報処理装置とすることは当業者が容易になし得ることである。 また、本願発明の作用効果も、引用発明、引用例2に記載された技術及び周知技術から、当業者であれば予想できる範囲内のものである。 第5 むすび 以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、引用発明、引用例2に記載された技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-01-27 |
結審通知日 | 2011-01-31 |
審決日 | 2011-02-15 |
出願番号 | 特願2004-198142(P2004-198142) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 酒井 朋広 |
特許庁審判長 |
和田 志郎 |
特許庁審判官 |
清水 稔 中野 裕二 |
発明の名称 | 情報処理装置及びその制御方法、並びにコンピュータプログラム及びコンピュータ可読記憶媒体 |
代理人 | 下山 治 |
代理人 | 永川 行光 |
代理人 | 大塚 康徳 |
代理人 | 高柳 司郎 |
代理人 | 大塚 康弘 |
代理人 | 木村 秀二 |