ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F |
---|---|
管理番号 | 1234737 |
審判番号 | 不服2009-8469 |
総通号数 | 137 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-05-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-04-20 |
確定日 | 2011-03-31 |
事件の表示 | 特願2002-203939「遊技台」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 2月12日出願公開、特開2004- 41479〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成14年7月12日の出願であって、平成21年3月27日付け(発送:3月31日)で拒絶査定され、これに対し、同年4月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年5月19日付けで手続補正がなされた。その後、当審において平成22年9月30日付けで平成21年5月19日付けの手続補正を却下すると共に、同日付けで拒絶理由を通知し、同年12月6日付けで手続補正がなされたものである。 2.本件発明 平成22年12月6日付けの手続補正により、特許請求の範囲は、 「【請求項1】 複数種類の絵柄が施された複数のリールと、 前記リールの回転を開始させるためのスタートスイッチと、 前記リールにそれぞれ対応して設けられ、前記リールの回転を停止させるためのストップスイッチと、 予め定められた入賞役の内部当選の当否を抽選により判定する抽選手段と、 を有し、遊技台内部の 一定の遊技回数後に得られる、遊技媒体の総投入数に対する遊技媒体の総払出数の割合を調整する設定値の変更操作を許可または不許可に設定するための設定値変更許可スイッチと、 前記設定変更値許可スイッチの前記設定状態を判断する判断手段と、 を備えた遊技台において、 前記設定値変更許可スイッチは、2本の信号線を有し、該2本の信号線の接続を切り替え、該2本の信号線をそれぞれハイレベルとローレベルに設定し、一方の信号線がハイレベルで他方の信号線がローレベルのときに前記変更操作の許可設定とし、前記他方の信号線がハイレベルで前記一方の信号線がローレベルのときに前記変更操作の不許可設定とし、 前記判断手段は、前記2本の信号線の信号がそれぞれ接続される入力ポートを備え、該入力ポートに入力された前記それぞれの信号の状態を検知し、前記2つの信号線が共にハイレベルか、共にローレベルとなったときに、異常状態となったと判定することを特徴とする遊技台。」 に補正された。 (以下、請求項1に係る発明を、「本件発明」という。) なお、補正後の請求項1に係る、「前記設定変更値許可スイッチの前記設定状態を判断する判断手段」の事項における「設定変更値許可スイッチ」の記載は、「設定値変更許可スイッチ」の誤記と認める。(以下、当該記載を「前記設定値変更許可スイッチの前記設定状態を判断する判断手段」と読み替える。) 3.引用文献に記載された事項 (1)当審が通知した拒絶の理由において引用文献1として引用した特開2000-325549号公報には、図面とともに、以下の記載がある。 (ア)「【0052】図2に示す本体46の内部には、各リール23L、23Cおよび23Rを回転駆動させる、可変表示装置の一例となるリールユニット60(以下、可変表示装置60ともいう)と、メダルを処理するためのホッパーユニット66と、電源ボックス65とが示されている。なお、本体46の内側で背面板の上部(リールユニット60の上部を覆う上部リール支持板97と本体46の天板との間)には、遊技制御手段の一例となる制御基板が取付けられている。」 (イ)「【0072】賭数が設定された場合にはスタートランプ部16が点灯する。これにより、スタートレバー33を操作可能であるスタート状態になった旨が遊技者に報知される。スタートランプ部16が点灯している状態でスタートレバー33を操作すれば、各リール23L、23Cおよび23Rが一斉に回転(可変表示ともいう。以下同じ。)し始める。各リール23L、23Cおよび23Rには、複数種類の図柄が描かれており、リールの回転に伴って透視窓43に現れる図柄の種類が次々と変動し、複数種類の図柄が可変表示される。 【0073】透視窓43からは、リール間塞ぎ部材51によって仕切られた3つのリール23L、23Cおよび23Rの一部分が視認される (中略) 【0075】可変表示の開始から所定時間が経過すれば、各ストップボタン29L、29Cおよび29Rに設けられたランプが点灯する。これにより、各ストップボタン29L、29Cおよび29Rの押圧操作が有効な操作有効状態になったことが遊技者に報知される。各ストップボタン29L、29Cおよび29Rは、各リール23L、23Cおよび23Rに対応して設けられており、遊技者は自らの操作によって各リール23L、23Cおよび23Rを停止させる順序とそのタイミングとを変更できる。遊技者がストップボタン29L、29Cおよび29Rのうち、いずれかを押圧操作すれば、対応するストップボタンに設けられたランプが消灯する。その後、操作されたストップボタンに対応するリールの回転が停止する。」 (ウ)「【0081】図3は、スロットマシン1に用いられている制御回路を示すブロック図である。制御回路は、制御中枢としての制御部(マイクロコンピュータを含む)260を含む。 【0082】遊技状態を制御する遊技制御手段の一例となる制御部260は、ビッグボーナス入賞またはレギュラーボーナス入賞を発生させることが可能なゲームにするか否かを事前に決定するとともに、可変表示装置60(図1、図2参照)の可変表示結果に応じて、ビッグボーナス入賞またはレギュラーボーナス入賞を発生させる。 (中略) 【0083】制御部260は、たとえば数チップのLSIで構成されており、その中には、制御動作を所定の手順で実行することのできるCPU251と、CPU251の動作プログラムを格納するROM252と、必要なデータの書込みおよび読出しができるRAM254とが含まれている。さらに、制御部260は、CPU251と外部回路との信号の整合性をとるためのI/Oポート249と、電源投入時等にCPU251にリセットパルスを与える初期リセット回路255と、CPU251にCPUを動作させるためのクロック信号を与えるクロック発生回路256と、クロック発生回路256からのクロック信号を分周して割込パルスを発生し定期的にCPU251に与えるパルス分周回路(割込パルス発生回路)257と、CPU251からのアドレスデータをデコードするアドレスデコード回路258と、効果音信号を発生するためのサウンドジェネレータ250と、サウンドジェネレータ250で発生された効果音信号を増幅するためのアンプ248とを含む。 【0084】制御部260はさらに、各種スイッチからの信号をI/Oポート249に与えるためのスイッチ・センサ回路242と、I/Oポート249を介してCPU251から与えられるモータ駆動信号に応答して左、中、右リール駆動モータ212L、C、Rおよびメダル払い出しモータ214を駆動するためのモータ回路243および244と、同じくCPU251により制御されて流路切換ソレノイド215を駆動するためのソレノイド回路245と、各種表示器を制御するLED回路246と、各種ランプを制御するためのランプ回路247と、RAM254のためのバックアップ電源とを含む。こうした各種機器や制御回路には、後述する機器および回路を含め、電源回路259から所定の直流電流が供給される。また、RAM254にはバックアップ電源253から記憶保持のための電流が供給されるように構成されており、停電時により電源回路259からの電流の供給が行なわれなくなっても、確率設定値や遊技状態を所定期間、記憶しておくことができるように構成されている。 【0085】CPU251はパルス分周回路257から定期的に与えられる割込パルスに従って、割込制御ルーチンの動作を開始する。また、アドレスデコード回路258はCPU251からのアドレスデータをデコードし、ROM252、RAM254、I/Oポート249、サウンドジェネレータ250にそれぞれチップセレクト信号を与える。 【0086】この実施形態では、ROM252は、その内容の書替え、すなわち、必要が生じた場合にはその中に格納されたCPU251のためのプログラムを変更することができるように、プログラマブルROMが用いられている。そして、CPU251は、ROM252内に格納されたプログラムに従って、かつ、以下に述べる各制御信号の入力に応答して、前述したリールを駆動するためのリール駆動モータや各種表示ランプ等に対し制御信号を与える。」 (エ)「【0087】遊技場の管理者等によって確率設定スイッチ201が操作された場合には、その操作信号がスイッチ・センサ回路242を介してI/Oポート249に入力される。 【0088】所定のキーによりキースイッチ202がキー操作された場合には、その操作信号がスイッチ・センサ回路242を介してI/Oポート249に入力される。このキースイッチにより、ゲームモードと確率設定モードの切換えが行なわれ、確率設定モードになっている場合に限り、確率設定スイッチ201の入力が受付けられる。リセットスイッチ203が所定のキーにより操作された場合にはその操作信号がスイッチ・センサ回路242を介してI/Oポート249に入力される。」 また、図3にはスロットマシンに用いられている制御回路を示すブロック図が、そして図2にはスロットマシンの内部斜視図が示されている。 以上(ア)ないし(エ)の記載、および図面を総合すると、引用文献1には、 「1 本体46の内側で背面板の上部(リールユニット60の上部を覆う上部リール支持板97と本体46の天板との間)に、遊技制御手段の一例となる制御基板が取付けられている。 2 複数種類の図柄が描かれた、3つのリール23L、23Cおよび23Rを有しており、スタートレバー33を操作すれば、各リール23L、23Cおよび23Rが一斉に回転(可変表示ともいう。以下同じ。)し始め、各ストップボタン29L、29Cおよび29Rは、各リール23L、23Cおよび23Rに対応して設けられており、遊技者がストップボタン29L、29Cおよび29Rのうち、いずれかを押圧操作すれば、操作されたストップボタンに対応するリールの回転が停止する。 3 制御部260は遊技制御手段の一例であって、CPU251と、CPU251の動作プログラムを格納するROM252と、必要なデータの書込みおよび読出しができるRAM254と、CPU251と外部回路との信号の整合性をとるためのI/Oポート249を含み、各種スイッチあるいはセンサからの信号をスイッチ・センサ回路242を介してI/Oポート249に与えるものであり、CPU251は、ROM252内に格納されたプログラムに従って、かつ、以下に述べる各制御信号の入力に応答して、前述したリールを駆動するためのリール駆動モータや各種表示ランプ等に対し制御信号を与える。 4 制御部260は、ビッグボーナス入賞またはレギュラーボーナス入賞を発生させることが可能なゲームにするか否かを事前に決定する。 5 管理者等によって前記各種スイッチに含まれる確率設定スイッチが操作された場合には、その操作信号がスイッチ・センサ回路242を介してI/Oポート249に入力され、また、キースイッチ202がキー操作された場合には、その操作信号がスイッチ・センサ回路242を介してI/Oポート249に入力され、ゲームモードと確率設定モードの切換えが行なわれ、そして、確率設定モードになっている場合に限り、確率設定スイッチ201の入力がその操作信号がスイッチ・センサ回路242を介してI/Oポート249に入力されることによって受付けられる。 6 スロットマシン。」 の発明が開示されていると認めることができる。 (以下、この発明を「引用発明1」という。) (2)また、当審が通知した拒絶の理由において引用文献2として引用した特開平7-221679号公報には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 (オ)「【0003】電線による信号伝送は、簡単な電気工事で電線を敷設することができるが、外来ノイズに影響を受けやすい欠点がある。そこで、外来ノイズの影響を最小限に抑える方法として、図1のような差動信号伝送方式がある。送信器1と受信器2との間には2本1組の電線3,4が接続される。送信器1には入力されたデジタルパルス信号Aから位相が反転した2つのデジタルパルス信号B_(1) ,B_(2) を生成し、2本の電線3,4に夫々供給するドライバ5が設けられている。また、受信器2には2本の電線3,4で送られた2つのデジタルパルス信号B_(1) ,B_(2) を差動出力して出力信号Cを得るレシーバ6が設けられている。そして、レシーバ6の2つの入力端の間には、電線3,4間の分布定数によるデジタルパルスの反射を防ぐための終端抵抗7が接続されている。図2は入力信号A、伝送される2つの差動信号B_(1) ,B_(2) および出力信号Cを示す。差動信号伝送ラインである2本の電線3,4に対し、外来ノイズNはコモンモードで侵入するが、一種の差動増幅器であるレシーバ6でノイズNはキャンセルされるため、レシーバ6から入力信号Aと同一波形の出力信号Cが得られる。」 (カ)「【0005】 【課題を解決するための手段】第1の発明は一方向の差動信号伝送システムに関するものであり、送信器と受信器との間に2本1組の伝送ラインが接続され、送信器には位相が反転した2つの信号を2本の伝送ラインに夫々供給するドライバが設けられ、受信器には2本の伝送ラインから送られた2つの信号を差動出力するレシーバが設けられ、このレシーバの2つの入力端の間に終端抵抗が接続される。上記伝送ラインの片方にフォトカプラの発光ダイオードが接続され、この発光ダイオードと並列に逆向きのバイパス用ダイオードが接続され、フォトカプラにより断線が検出される。 第2の発明は双方向の差動信号伝送システムに関するものであり、第1の送受信器と第2の送受信器との間に2本1組の第1伝送ラインと2本1組の第2伝送ラインとが接続される。第1の送受信器には位相が反転した2つの信号を第1伝送ラインに夫々に供給する第1ドライバと、第2伝送ラインから送られた2つの信号を差動出力する第1レシーバと、第1レシーバの2つの入力端の間に接続された終端抵抗とが設けられる。第2の送受信器には位相が反転した2つの信号を第2伝送ラインに夫々供給する第2ドライバと、第1伝送ラインから送られた2つの信号を差動出力する第2レシーバと、第2レシーバの2つの入力端の間に接続された終端抵抗とが設けられる。第1伝送ラインの片方に第1フォトカプラの発光ダイオードが接続され、この発光ダイオードと並列に逆向きの第1バイパス用ダイオードが接続される。そして、第2伝送ラインの片方にも第2フォトカプラの発光ダイオードが接続され、この発光ダイオードと並列に逆向きの第2バイパス用ダイオードが接続される。第1,第2フォトカプラにより、第1伝送ラインと第2伝送ラインの断線が検出される。 【0006】 【作用】第1の発明において、2本の伝送ラインが共に断線していない場合には、一方の伝送ラインから終端抵抗を経て他方の伝送ラインへ電流が流れる。いずれかの伝送ラインにはフォトカプラの発光ダイオードが接続されているので、この発光ダイオードを流れる電流のため発光し、フォトカプラの受光素子が動作する。これにより、断線していないことを確認できる。一方、伝送ラインのいずれかが断線すると、電流が一方の伝送ラインから終端抵抗を経て他方の伝送ラインへ流れないため、フォトカプラが動作しない。そのため、断線したことを容易に検出できる。フォトカプラは断線検出回路と伝送ラインとを電気的に分離できるので、ノイズによる断線検出回路の誤動作を防止できる。なお、バイパス用ダイオードを並列に接続したのは、伝送ラインに逆方向に流れる電流を通すためである。第2の発明は、双方向通信を行うため2本1組の伝送ラインを第1送受信器と第2送受信器との間に2系統設けたものである。この場合、第1伝送ラインと第2伝送ラインの双方に第1発明と同様のフォトカプラおよびバイパス用ダイオードを接続することにより、断線検出を行う。なお、断線検出装置を構成するフォトカプラおよびバイパス用ダイオードの接続位置は送信器側または受信器側の何れでもよい。ただ、無人の機器(受信器)に信号を送信して遠隔操作する場合には、送信器側に設ける方が望ましい。フォトカプラを受信器側に設けると、フォトカプラの検出信号を送信器側へ送るための長い伝送ラインを別に設ける必要があるからである。」 (キ)「【0011】図4は本発明にかかる差動信号伝送システムの他の例を示す。20は第1送受信器、21は第2送受信器であり、両者の間には長い第1ケーブル22と第2ケーブル23とが接続されている。各ケーブル22,23はそれぞれ2本の電線22a,22bおよび23a,23bで構成されている。この場合には、第1,第2ケーブル22,23を介して双方向に通信できるので、第1,第2送受信器20,21としてはコントローラと遠隔操作機器との組み合わせに限らず、コンピュータとコンピュータとの組み合わせなど、如何なる組み合わせでもよい。 【0012】第1送受信器20には第1ドライバ24と第1レシーバ25とが設けられている。第1ドライバ24は、入力されたデジタルパルス信号Dから位相が反転した2つのデジタルパルス信号E_(1 ),E_(2) を生成し、2本の送信用電線22a,22bに夫々供給する。第1レシーバ25は、2本の受信用電線23a,23bから送られた2つのデジタルパルス信号H_(1) ,H_(2) を差動出力して出力信号Iを得る。第2送受信器21には第2ドライバ26と第2レシーバ27とが設けられている。第2ドライバ26は入力されたデジタルパルス信号Gから位相が反転した2つのデジタルパルス信号H_(1),H_(2) を生成し、2本の受信用電線23a,23bに夫々供給するものであり、第2レシーバ27は2本の送信用電線22a,22bから送られた2つのデジタルパルス信号E_(1) ,E_(2) を差動出力して出力信号Fを得るものである。なお、第1レシーバ25および第2レシーバ27の入力端の間には夫々終端抵抗28,29が接続されている。 【0013】第1送受信器20側には、第1ケーブル22の片側の電線(例えば22a)にフォトカプラ30の発光ダイオード30aが接続され、この発光ダイオード30aと並列にバイパス用ダイオード31が接続されている。一方、第2ケーブル23の片側の電線(例えば23b)にもフォトカプラ32の発光ダイオード32aが接続され、この発光ダイオード32aと並列にバイパス用ダイオード33が接続されている。フォトカプラ30,32の受光素子30b,32bは夫々断線検出回路34,35に接続されている。 【0014】上記伝送システムの動作は図3の実施例と同様であり、入力信号D,Gは信号Aと、信号E_(1) ,E_(2) およびH_(1) ,H_(2) は信号B_(1) ,B_(2) と、出力信号F,Iは信号Cと夫々対応するため、説明を省略する。この場合も、ケーブル22,23のいずれかの電線が断線した場合には、フォトカプラ30,32が動作しなくなるので、断線検出回路34,35で簡単に断線を検出できる。」 以上(オ)ないし(キ)の記載、及び図面を総合すると、引用文献2には、 「7 ノイズの影響を最小限に抑える伝送方式であって、送信器1と受信器2との間には2本1組の電線3,4が接続され、一本の電線へは設定したレベルである信号をそのまま送信し、もう一方の電線へは信号を反転したレベルの信号を送信する、ノイズの影響を最小限に抑えることができる差動信号伝送方式。 (図1参照) 8 他の例として、入力信号G(ローレベルおよびハイレベル信号)が送信側の第2ドライバ26に入力されると、第2ドライバ26は2本の信号線(23a,23b)にそれぞれハイレベルとローレベル(信号Gがハイレベルのとき23a,23bはそれぞれローレベルとハイレベル、信号Gがローレベルのとき23a,23bはそれぞれハイレベルとローレベル)の信号を出力し、受信側の第1レシーバ25において前記2本の信号線が終端抵抗28を介して接続され、一方の信号線23bがハイレベルで他方の信号線23aがローレベルのときハイレベルの信号Iが出力され、一方の信号線23bがローレベルで他方の信号線23aがハイレベルのときローレベルの信号Iが出力される作動信号伝送装置であって、信号線の片方にフォトダイオード32aが設けられ、信号線のいずれかが断線すると電流が一方の信号線から終端抵抗28を経て他方の信号線に流れないため、フォトカプラ32が動作せず、断線が検出できる装置。」 (図4、上側回路参照) の発明が開示されていると認めることができる。 (以下、この発明を「引用発明2」という。) (3)さらに、当審が通知した拒絶の理由において引用文献3として引用した特開2000-3630号公報(以下、「周知文献3」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 (ク)「【0002】 【従来の技術】従来からマイコンを用いたスイッチ入力回路には各種のものが実用化されているが、その中でも中立位置を備えた二接点スイッチを用いたものが電子機器の動作制御に多く用いられており、このようなスイッチ入力回路を図6の回路図を用いて説明する。 【0003】同図において、1は電子機器を制御するマイコン、2はマイコン1に配された第一の入出力ポートで、2Aは第一の入出力ポート2の出力バッファ、2Bは出力バッファ2Aの出力制御信号、2Cは出力バッファ2Aへ供給される出力信号、2Dは第一の入出力ポート2の入力バッファ、2Eは入力バッファ2Dを介した入力信号である。 中略 【0008】そして、二接点スイッチ6の共通端子6Cが中立位置6Nの時は、第1端子6Aおよび第二端子6Bの両方が開放となるので、Vccラインに接続されたプルアップ抵抗4および5によって入力信号2Eおよび3Eの両方がVccレベルとなり、共通端子6Cが第二端子6Bに接続された時は、第二の入出力ポート3に接続された第二端子6BがGNDラインに接続されるので、入力信号3EがGNDレベルとなり、第一の入出力ポート2に接続された第一端子6Aが開放となるので、入力信号2EがVccラインに接続されたプルアップ抵抗4によってVccレベルとなり、このような二接点スイッチ6の接続状態による二つの入力信号2E,3Eの組合せの違いによって、二接点スイッチ6の接続状態を判別して、電子機器の動作制御を行うものであった。」 以上(ク)の記載、及び図面を総合すると、周知文献3には、 「9 マイコンを用いたスイッチ入力回路において、二接点スイッチ6は、2本の信号線を有し、該2本の信号線の接続を切り替え、該2本の信号線をそれぞれVccとGNDに設定することによって設定を行い、マイコンはそれぞれの信号線の電圧を判別することによって二接点スイッチ6の接続状態を判別する。」 という周知技術が開示されていると認めることができる。 (以下、この発明を「周知技術3」という。) (4)さらにまた、当審が通知した拒絶の理由において引用文献4として引用した特開2001-23069号公報(以下、「周知文献4」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 (ケ)「【0008】また、本発明の緊急通報システム端末装置は、前記制御部が、前記断線による開放状態、スイッチが押下されていない通常状態、スイッチが押下されている動作状態、ショートによる断線状態を示す信号を、前記2本の信号線の“H”信号と“L”信号を用いて4通りの信号により、識別することを特徴とした構成を有している。この構成により、“H”“L”のディジタル信号を用いるため、緊急通報発信釦の4ステータスを正確に把握することができることとなる。」 (コ)「【0026】(実施の形態4)図4は緊急通報発信釦3と制御部12の詳細を示す別の回路図である。本実施の形態4が実施の形態2と異なる点は、信号線Bを、緊急通報発信釦3側で車両のボディーGNDに接続していること、および信号線Bを緊急通報システム端末装置l側で第4の抵抗R4によりプルアツプしている点であり、それ以外の構成は、実施の形態2と同様である。 【0027】 緊急通報発信釦3のボディーGNDの電位をV_(GND) とし、制御部12において、緊急通報発信釦3のステータスの認識を、導線Aと導線Bの差分で判別するとすると、導線Aが断線した場合、マイコンである制御部12のADコンバータ121の電位検出部は、抵抗R1を介してプルアップされている状態に移行するため、電圧V-V_(GND) を検出する。スイッチ31が押下されていない通常状態の場合、制御部12の電位検出部は、電圧{(R2+R3)/(R1+R2+R3)}V?V_(GND) を検出する。スイッチ3lが押下された動作状態の場合、制御部12は、電圧{R1/(R1+R3)}V-V_(GND) を検出する。導線Aがショートによる短絡状態の場合、制御部12は0Vを検出する。導線Bがショートによる短絡状態の場合、制御部l2は基準GNDと同一の電位に移行するため、正常状態を維持する。さらに導線Bの電位を単独で監視することにより、断線による開放状態に移行した場合、導線B側の電位はVになるため、開放状態に移行したことを認識することが可能になる。」 以上(ケ)、(コ)の記載、及び図面を総合すると、周知文献4には、 「10 2つの状態を選択するスイッチから2本の信号線によって、スイッチの状態を示す信号を送るに際して、“H”信号と“L”信号を用いて4通りの信号を送り、スイッチの2つの状態を送るほか、異常を示す2つの状態を示す信号を送信する。 11 送信された信号は、その電位がマイコンである制御部の電位検出部で検出され、電位の組合せに基づいて信号線の状態が判断できる。」 という周知技術が開示されていると認めることができる。 (以下、この発明を「周知技術4」という。) 4.対比 a)引用発明1の「本体46」、「図柄」、「3つのリール23L、23Cおよび23R」、「スタートレバー33」および「ストップボタン29L、29Cおよび29R」は、それぞれ本件発明の「遊技台」、「絵柄」、「複数のリール」、「スタートスイッチ」および「ストップスイッチ」に相当する。 したがって、引用発明1における、 「2 複数種類の図柄が描かれた、3つのリール23L、23Cおよび23Rを有しており、スタートレバー33を操作すれば、各リール23L、23Cおよび23Rが一斉に回転(可変表示ともいう。以下同じ。)し始め、各ストップボタン29L、29Cおよび29Rは、各リール23L、23Cおよび23Rに対応して設けられており、遊技者がストップボタン29L、29Cおよび29Rのうち、いずれかを押圧操作すれば、操作されたストップボタンに対応するリールの回転が停止する。 6 スロットマシン。」は、 本件発明における、 「複数種類の絵柄が施された複数のリールと、前記リールの回転を開始させるためのスタートスイッチと、前記リールにそれぞれ対応して設けられ、前記リールの回転を停止させるためのストップスイッチと、を有した遊技台」に対応する。 b)引用発明1は「4 制御部260は、ビッグボーナス入賞またはレギュラーボーナス入賞を発生させることが可能なゲームにするか否かを事前に決定する」ものであり、このときの「ビッグボーナス入賞」や「レギュラーボーナス入賞」が本件発明の「予め定められた入賞役」に相当することは明らかである。また、それらの入賞役を「発生させることが可能なゲームとするか否か事前に決定する」ことは、本件発明における「入賞役の内部当選の当否を判定する」に対応することも明らかである。そして、スロットマシンにおいて、入賞役の内部当選の当否を抽選により判定することは慣用手段である。 したがって、引用発明1と本件発明とは「予め定められた入賞役の内部当選の当否を抽選により判定する抽選手段」を有している点で一致している。 c)引用発明1において、「確率設定スイッチ201」からの入力がどのようなものか明確ではないが、「確率設定スイッチ201」が「確率を設定するスイッチ」であることは明らかであり、スロットマシン等の遊技機において、管理者等によって設定される確率といえば各種入賞(小役やボーナス役)の当選確率を意味していることは技術常識であるから、「確率設定スイッチ201」により入力されるものは、各種入賞の「当選確率に対応する値」(以下、これを「確率値」という。)であることは明らかである。 したがって、引用発明1は、「確率設定スイッチ201」からの入力によって「確率値」を(変更)操作できるものといえる。 そして、この「確率値」は設定値であり、引用発明1は、「キースイッチ202」が操作されるか否かによって、確率設定スイッチ201の操作による入力が受け付けられるか否か切換わるのであるから、引用発明1と本件発明は、「設定値の変更操作を許可または不許可に設定するための設定値変更許可スイッチ」を備えている点で共通している。 また、引用発明1は、「キースイッチ202」が操作されたか否かで「確率設定スイッチ201」の操作(による入力)を受け付けるか否か切換えている、つまり、「キースイッチ202」の操作状態を判断している(判断手段を備えている)のであるから、引用発明1と本件発明とは、「設定値変更許可スイッチの設定状態を判断する判断手段」を備えている点で共通している。 d)引用発明1の「5 キースイッチ202がキー操作された場合には、その操作信号がスイッチ・センサ回路242を介してI/Oポート249に入力され、ゲームモードと確率設定モードの切換えが行なわれ、確率設定モードになっている場合に限り、確率設定スイッチ201の入力がその操作信号がスイッチ・センサ回路242を介してI/Oポート249に入力されることによって受付けられる。」ことは、 本件発明の「一定の遊技回数後に得られる、遊技媒体の総投入数に対する遊技媒体の総払出数の割合を調整する設定値の変更操作を許可または不許可に設定するための設定値変更許可スイッチ」は、「2本の信号線を有し、該2本の信号線の接続を切り替え、該2本の信号線をそれぞれハイレベルとローレベルに設定し、一方の信号線がハイレベルで他方の信号線がローレベルのときに前記変更操作の許可設定とし、前記他方の信号線がハイレベルで前記一方の信号線がローレベルのときに前記変更操作の不許可設定とし」のうち、設定の変更操作を許可または不許可に設定するための設定値変更許可スイッチが信号線を有するという点、及び、判断手段が信号線の状態を検知し、これに基づいて設定値変更許可スイッチの設定状態を判断するという点において共通する。 また、引用発明1でキースイッチ202の操作状態を判断している手段(判断手段)は、キースイッチの操作状態を示す信号が信号線を介してI/Oポートに入力され、I/Oポートの状態を検知していることは明らかであるから、本件発明と引用発明1は、「判断手段は、信号線の信号が接続される入力ポートを備え、該ポートに入力された信号の状態を検出」している点で共通している。 以上のことから、引用発明1と本件発明は、 <一致点> 「複数種類の絵柄が施された複数のリールと、 前記リールの回転を開始させるためのスタートスイッチと、 前記リールにそれぞれ対応して設けられ、前記リールの回転を停止させるためのストップスイッチと、予め定められた入賞役の内部当選の当否を抽選により判定する抽選手段と、を有し、」 遊技台に「設定値の変更操作を許可または不許可に設定するための設定値変更許可スイッチと、 設定変更許可スイッチの前記設定状態を判断する判断手段」 が備えられ、 「前記設定値変更許可スイッチは、信号線を有し」 「判断手段は、信号線の信号が接続される入力ポートを備え、該入力ポートに入力された信号の状態を検知している」 「遊技台」 である点で一致しており、以下の点で相違している。 <相違点1> 本件発明は、変更する設定が「一定の遊技回数後に得られる、遊技媒体の総投入数に対する遊技媒体の総払出数の割合を調整する設定値」であるのに対し、 引用発明1は、変更する設定が前記で認定したように「確率値」である点 <相違点2> 本件発明は、「遊技台内部に、」「判断手段」及び「設定値変更許可スイッチ」を備えているのに対し、 引用発明1は、どこに「判断手段」及び「設定値変更許可スイッチ」が備えられているのか不明である点 <相違点3> 本件発明は、設定値変更許可スイッチが「2本の信号線を有し、該2本の信号線の接続を切り替え、該2本の信号線をそれぞれハイレベルとローレベルに設定し、一方の信号線がハイレベルで他方の信号線がローレベルのときに前記変更操作の許可設定とし、前記他方の信号線がハイレベルで前記一方の信号線がローレベルのときに前記変更操作の不許可設定と」するものであるのに対し、 引用発明1は、キースイッチ(本件発明の設定値変更許可スイッチに対応するもの)が備えている信号線の数が不明であり、キースイッチが2本の信号線の接続を切り替えるという構成はなく、また2本の信号線をそれぞれハイレベルとローレベルに設定し、一方の信号線がハイレベルで他方の信号線がローレベルのときに前記変更操作の許可設定とし、前記他方の信号線がハイレベルで前記一方の信号線がローレベルのときに前記変更操作の不許可設定とする構成がない点 <相違点4> 本件発明は、「前記判断手段は、前記2本の信号線の信号がそれぞれ接続される入力ポートを備え、該入力ポートに入力された前記それぞれの信号の状態を検知し、前記2つの信号線が共にハイレベルか、共にローレベルとなったときに、異常状態となったと判定する」ものであるのに対し、 引用発明1は、上記のような構成を有していない点 5.判断 <相違点1>について 本件発明における「一定の遊技回数後に得られる、遊技媒体の総投入数に対する遊技媒体の総払出数の割合を調整する設定値」に対応する記載(本願明細書、段落【0003】?【0004】、【0067】?【0068】)をみると、当該設定値は「1」から「6」までの値であるが、具体的(段落【0068】参照)には「所定の遊技回数を経たのちの、遊技媒体の総投入枚数に対する遊技媒体の総払出枚数の割合を調整する値」と記載され、さらに具体的には、「この設定値には、設定値毎に入賞役の抽選データテーブルが存在し、各抽選データテーブルには、入賞役の内部抽選時に取得される乱数値の範囲がいくつかの領域に分割されて設定されている。すなわち、乱数値のとりうる範囲に対する各領域の範囲の大きさが、各入賞役の内部当選の確率となる。例えば、設定値「1」では、BBの当選確率が「1/400」に設定され、設定値「6」では「1/240」に設定されることとなり、設定値の数字が大きくなれば内部当選確率が高くなるように設定されている。」と記載されていて、それ以外の記載はない。 すなわち、本件発明における上記「設定値」は、実質的にBB(ビッグボーナス)等の当選役の当選確率に対応する値であり、それ以上の意味を持つものではない。 してみると、引用発明1において確率設定スイッチ201によって設定される「確率値」と本件発明の「一定の遊技回数後に得られる、遊技媒体の総投入数に対する遊技媒体の総払出数の割合を調整する設定値」とに実質的な相違はないといえる。 <相違点2>について この種の遊技台において、判断手段を、遊技制御手段の中にあって、物理的には遊技機の内部に備えられるようにすることや、設定値変更許可スイッチを遊技台内部に備えることは、一般に周知な技術であるので、引用発明1に当該周知技術を付加し、「遊技台内部に、」「判断手段」及び「設定値変更許可スイッチ」を備えるようにすることは、単なる周知技術の付加に過ぎないので、当業者が容易に想到し得たものである。 <相違点3>について 引用発明1は、キースイッチが操作されたとき、当該操作に基づく信号が信号線を介してI/Oポートに入力され、当該信号に基づいてCPUによる処理によりゲームモードと確率設定モードが切換えられ、確率設定モードになっている場合のみ、確率設定スイッチの入力が受付けられるものである。 つまり、引用発明1において、キースイッチからI/Oポートに信号を伝送する信号線の本数や、キースイッチが操作されたとき信号線にどのような信号が出力されるのか等は不明であるが、キースイッチが操作されたときにI/Oポートに出力される信号には、少なくとも、確率設定スイッチの入力が受け付けられないゲームモードにするための第1の信号と、確率設定スイッチの入力が受け付けられる確率設定モードにするための第2の信号が存在し、そしてキースイッチの操作によって、信号線に当該第1の信号あるいは第2の信号を出力するようになっていることは明らかである。 ところで、引用発明1において、確率設定スイッチの入力を受け付けることを表す第1の信号と受け付けないことを表す第2の信号は、1ビットの信号、すなわちハイレベル信号とローレベル信号で表現でき、当該1ビットの信号が1本の信号線で伝送できることは自明であるので、引用発明1においてはキースイッチからの信号は、1本の信号線で1ビットの信号を伝送する伝送方式(これは一般的なものである)であると予測できるのは請求人の主張通りであるが、1本の信号線で1ビットの信号を伝送する伝送方式は、信号線にノイズが混入しやすく、また断線や短絡等の異常に対処し難いという問題点があることはよく知られたところである。 また、遊技機の技術分野において、信号線にノイズを混入させたり、信号線を切断・短絡させたりするような不正が行われていることは知られており、このような不正に対処すべきこともまた知られたことである。 以上のことを鑑みれば、遊技機の技術分野における信号の伝送において、各種ノイズ、信号線の切断・短絡等に対処できる適当な信号伝送方式の採用を試みることは普通に考えることである。 一方、各種ノイズ、信号線の切断・短絡等に対処できる信号伝送方式として、1ビットの信号の伝送に2本の信号線を使用し、1ビット信号を位相が反対になる2種類の1ビットの信号(一方がハイレベル信号の場合、他方がローレベル信号となる信号)に変換して各信号をそれぞれの信号線で伝送する方式は、引用発明2にあるように知られた技術である。 (引用発明2のほか、例えば、特開平4-37231号公報にも記載されている。) また、スイッチが2本の信号線を有し、スイッチと該2本の信号線のいずれかとを接続することにより位相が反対になる2種類の1ビット信号を生成するもの(特に、図6参照。なお、中間位置を設けないようにすることも設計的事項にすぎない。)も、周知文献3に開示されているように周知である。 してみると、引用発明1のキースイッチ(本件発明の「設定値変更許可スイッチ」に対応する。)と制御部との間の信号伝送に、引用発明2にあるような信号伝送方式を適用し、また当該キースイッチを周知技術3にあるようなものにして、キースイッチ(設定値変更許可スイッチ)が「2本の信号線を有し、該2本の信号線の接続を切り替え、該2本の信号線をそれぞれハイレベルとローレベルに設定し、一方の信号線がハイレベルで他方の信号線がローレベルのときに前記変更操作の許可設定とし、前記他方の信号線がハイレベルで前記一方の信号線がローレベルのときに前記変更操作の不許可設定と」するものとすることは当業者が容易に想到し得たと認められる。 なお請求人は、「各種の伝送方式」を適用することが直ちに信号線を複数本設けることに結びつくものではない、引用発明1の信号線を何の理由もなしに2本にして回路を複雑にすることは考えられない等主張するが、引用発明1のようなスロットマシン(遊技機)においては、ノイズの混入や信号線の切断・短絡に対処すべきというよく知られた課題があるのであるから、多少の構成の複雑さを伴うとしても、当該課題を解決する手段として引用発明2のような(当該問題に対処できる伝送方式であって周知な)伝送方式を適用することは容易に想到できると認められ、上記請求人の主張は採用できない。 <相違点4>について 引用発明2は、信号線の片方にフォトダイオードが設けられ、信号線のいずれかが断線すると、終端抵抗間に電位差が生じず、電流が一方の信号線から終端抵抗28を経て他方の信号線に流れずフォトカプラ32が動作しないため、断線が検出できるものであるが、図4から明らかなように、2本の信号線がそれぞれハイレベルとローレベルになるときのみ第1レシーバ25から出力が得られ、しかも、2本の信号線がいずれもハイレベルになるか、あるいはいずれもローレベルとなるときは、信号線間に電位差が生じないのであるから第1レシーバ25から出力が得られないだけでなく、終端抵抗28を経て信号線に電流が流れないためフォトカプラも動作しない。 つまり引用発明2は、2本の信号線がいずれもハイレベル、あるいはいずれもローレベルとなるときを異常状態として確認できるものである。 ところで請求人は、引用発明2は、2本の信号線は存在していても、2本の信号線は終端抵抗を介して1つのループ状回路を形成しており、実質的に1本の信号線の信号レベルを検知していることに他ならない旨主張するが、引用発明2は、2本の信号線のレベルを検知する手段として差動増幅回路を用いるものであって、引用発明2は2本の信号線の各レベルがハイレベルとローレベルであるか、あるいはローレベルとハイレベルであるかを検知するものであり、上記請求人の主張は採用できない。 そして、そもそも引用発明2のように2本の信号線によって逆位相の信号を伝送する差動伝送方式では、両信号線の電位の位相(レベル)が逆であるときのみ正常な伝送とすることを前提としていることは明らかであり、それ以外の場合、つまり両信号線の電位が同位相(ハイレベルとハイレベル、ローレベルとローレベル)の場合は異常状態であることは自明な事項であって、両信号線の電位が同位相であるという異常を、引用発明2ではフォトカプラの動作によって(両信号線の電位が同位相である場合フォトカプラが動作しないことを利用して)検出しているものと理解できる。 (両信号線の電位が同位相である場合、フォトカプラが動作しないことを利用して、信号が異常であると判断することは、先に挙げた周知例である特開平4-37231号公報にも記載されている。) さらに、2本の信号線の電位の組合せに基づいてCPUが異常を判定することも周知技術3,4にあるように周知である。 してみると、両信号線の電位が同位相であることをフォトカプラの動作で検知することを、両信号線の電位が同位相であること(信号線が共にハイレベルか、共にローレベルであること)自体を検知することに換えるのは、単なる設計変更にすぎないといえる。 したがって、「2本信号線の状態を検知し、前記2つの信号線が共にハイレベルか、共にローレベルとなったときに、異常状態となったと判定する」ことは、引用発明2および周知技術から容易に想到できたといわざるを得ない。 なお請求人は、本願発明は、「筺体外部から針金等を挿入して信号線にアクセスされ設定値変更許可スイッチが不正操作されることを防止」するという課題を相違点3,4に係る構成により達成している点に創作性がある旨主張するが、請求項記載の事項は「2つの信号線の信号が共にハイレベルか、共にローレベルになったとき、異常と判定すること」、つまり両信号線の信号レベルを検出して異常と判定することであって、請求人のいうように針金等を挿入して不正操作することによる異常が検出できるものと限定して解釈することはできない(不正操作による異常は検出できるかもしれないが、通常のノイズや事故等による断線・短絡も検出でき、しかもそれらを区別できない)。 したがって、上記請求人の主張は採用できない。 さらに、上記した全ての相違点および本件発明の作用効果を総合的に勘案しても、本件発明に格別のものを認めることができない。 6.まとめ 以上のとおり、本件発明は、引用発明1、引用発明2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-01-31 |
結審通知日 | 2011-02-01 |
審決日 | 2011-02-15 |
出願番号 | 特願2002-203939(P2002-203939) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(A63F)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 鉄 豊郎 |
特許庁審判長 |
立川 功 |
特許庁審判官 |
小原 博生 澤田 真治 |
発明の名称 | 遊技台 |
代理人 | 江藤 聡明 |