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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01R
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01R
管理番号 1234789
審判番号 不服2009-19736  
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-10-15 
確定日 2011-03-28 
事件の表示 特願2005-212273号「電気コネクタ組立体」拒絶査定不服審判事件〔平成19年2月8日出願公開、特開2007- 35291号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成17年7月22日の出願であって、平成21年7月21日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年7月23日)、これに対し、同年10月15日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされたものである。

第2 平成21年10月15日付け手続補正についての補正却下の決定
〔補正却下の決定の結論〕
平成21年10月15日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

〔理由〕
1 本件補正発明
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、補正前(平成21年5月28日付け手続補正書)に、
「【請求項1】
互に嵌合接続される両コネクタの端子が、端子の素材たる金属板の板厚方向に変形加工されて作られており、コネクタの嵌合前に、両コネクタの端子が互に板厚方向で干渉範囲を有する電気コネクタにおいて、一方のコネクタの端子は、板面に対して直角な断面にてU字状部を有し、端子の幅方向での側縁に対して間隔をもつような位置で部分的に板面から没入した凹平面部が該U字状部の両外側面に形成され、他方のコネクタの端子は板面に対して直角な断面にてS字状部を有し、該S字状部はハウジングに保持される逆U字状の被固定保持部とこれに続く弾性変位可能な自由端部とで形成され、該被固定保持部および自由端部は上記一方のコネクタの端子の凹平面部との対応位置にて該凹平面部と上記干渉範囲を形成する凸部を有しており、上記自由端部の凸部は、板厚方向で上記被固定保持部に向けて突彎曲するとともに幅方向に狭められていることを特徴とする電気コネクタ。」
とあったものを、

「【請求項1】
互に嵌合接続される両コネクタの端子が、端子の素材たる金属板の板厚方向に変形加工されて作られており、コネクタの嵌合前に、両コネクタの端子が互に板厚方向で干渉範囲を有する電気コネクタ組立体において、一方のコネクタの端子は、板面に対して直角な断面にてU字状部を有し、端子の幅方向での側縁に対して間隔をもつような位置で部分的に板面から没入した凹平面部が該U字状部の両外側面に形成され、他方のコネクタの端子は板面に対して直角な断面にてS字状部を有し、該S字状部はハウジングに保持される逆U字状の被固定保持部とこれに続く弾性変位可能な自由端部とで形成され、上記他方のコネクタの被固定保持部および自由端部は上記一方のコネクタの端子の凹平面部との対応位置にて該凹平面部と上記干渉範囲を形成する凸部を有しており、上記他方のコネクタの自由端部の凸部は、板厚方向で上記被固定保持部に向けて突彎曲するとともに幅方向に狭められ、該自由端部の凸部に対応する一方のコネクタの端子の凹平面部内に収まる寸法となっていて、該自由端部の凸部と該凹平面部は互いに接触する接触部を形成しており、上記他方のコネクタの上記被固定保持部の凸部は、端子の幅方向での側縁に対して間隔をもつような位置で部分的に板面から板厚方向に突出していて、該被固定保持部の凸部に対応する一方のコネクタの端子の他の凹平面部内に収まる寸法となっていて、該被固定保持部の凸部と該他の凹平面部は、それぞれのハウジングの端子保持壁近傍に位置して、互の幅方向規制を行なう規制部を形成していることを特徴とする電気コネクタ組立体。」
と補正(下線は補正箇所を示す。)しようとするものである。

上記補正は、願書に最初に添付した明細書の段落【0013】、段落【0028】、段落【0029】及び段落【0031】並びに図1及び2を根拠として、一方のコネクタの端子の凹平面部並びに他方のコネクタの被固定保持部及び自由端部の構造を「該自由端部の凸部に対応する一方のコネクタの端子の凹平面部内に収まる寸法となっていて、該自由端部の凸部と該凹平面部は互いに接触する接触部を形成しており、上記他方のコネクタの上記被固定保持部の凸部は、端子の幅方向での側縁に対して間隔をもつような位置で部分的に板面から板厚方向に突出していて、該被固定保持部の凸部に対応する一方のコネクタの端子の他の凹平面部内に収まる寸法となっていて、該被固定保持部の凸部と該他の凹平面部は、それぞれのハウジングの端子保持壁近傍に位置して、互の幅方向規制を行なう規制部を形成している」と限定すると共に、それに併せて、「電気コネクタ」を「電気コネクタ組立体」と、「該被固定保持部および自由端部」を「上記他方のコネクタの被固定保持部および自由端部」と、「上記自由端部」を「上記他方のコネクタの自由端部」と補正したものであり、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かについて検討する。

2 刊行物
(1)刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された特開2003-163054号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア 段落【0016】?段落【0021】
「【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係るコネクタ装置を図面に基づき説明する。図1は、本発明におけるコネクタ装置の一実施の形態例を示している。
【0017】図1を参照して、コネクタ装置は、コネクタ11と、嵌合方向A及び嵌合方向Aとは逆方向である離脱方向Bでコネクタ11に嵌合・離脱可能な相手側コネクタ31とを有している。なお、この実施の形態例におけるコネクタ11は、レセプタクル側コネクタとして、プリント回路基板51に実装されるものである。相手側コネクタ31は、プラグ側コネクタとして、もう一つのプリント回路基板61に実装されるものである。
【0018】図2及び図3は、図1に示したコネクタ11を示している。図1、図2及び図3を参照して、コネクタ11は、導電性のコンタクト13と、コンタクト13を保持している箱形状のインシュレータ21とを有ししている。
【0019】コンタクト13は、嵌合・離脱方向A,Bへ長い寸法で延びている第1接触部14と、第1接触部14に対向して嵌合・離脱方向A,Bへ長い寸法で延びている第2接触部15と、第1及び第2接触部14,15の嵌合方向Aにおける端部間を相互に接続している第1連結部16と、第2接触部15に対向して嵌合・離脱方向A,Bへ長い寸法で延びている長板形状の保持部17と、第2接触部15及び前記保持部17の離脱方向Bにおける端部間を相互に接続した第2連結部18と、第2連結部17(当審注:「保持部17」の誤記)の嵌合方向Aにおける端部から延びている端子部19とを有している。第1接触部14の離脱方向Bにおける端部には、第2接触部15側へ湾曲して突出している接点部14aを有している。
【0020】コンタクト13は、一例として板厚寸法が薄い導電板を打ち抜き加工して形成した帯板形状の導電板を略S字形状に曲げ加工を施すことによって全体としてバネ性を有するものを作ることができる。
【0021】したがって、第1接触部14、第2接触部15及び第1連結部16は、これらで略U字形状を呈している。第2接触部15、保持部17及び第2連結部18は、これらによって略逆U字形状を呈している。また、端子部19は、プリント回路基板51の実装面に対して平行になるようにインシュレータ21の外へ延びており、コネクタ11を前述したプリント回路基板51へ実装し、このプリント回路基板51の回路に半田によって接続される。」

イ 段落【0024】?段落【0025】
「【0024】インシュレータ21は、図1に示した嵌合・離脱方向A,Bを示した二点鎖線の中心線を含む中央壁部22と、中央壁部22を共通な壁として左右に嵌合部23を形成するように、中央壁部22に対向している一対の保持壁24とを有している。
【0025】一対の嵌合部23のそれぞれには、複数のコンタクト13の第1及び第2接触部14,15が収容されている。保持壁24は、第2接触部15の及び保持部17間に位置して嵌合・離脱方向A,Bへ長い寸法で延びている。第2接触部15が対向している保持壁24の第1壁面24aには、第2接触部15の一部が弾性力をもって当接している。すなわち、第2接触部15の一部は、保持部17に対向している保持壁24の第2壁面24bの方向へ弾性力をもって当接している。第2接触部15と保持部17間で保持壁24を挟み込むように保持している。」

ウ 段落【0027】?段落【0029】
「【0027】図4及び図5は、図1に示した相手側コネクタ31を示している。図1、図4及び図5を参照して、相手側コネクタ31は、導電性の相手コンタクト33と、相手コンタクト33を保持した相手インシュレータ41とを有している。
【0028】相手コンタクト33は、嵌合・離脱方向A,Bへ長い寸法で延びている第1相手接触部34と、第1相手接触部34に対向して嵌合・離脱方向A,Bへ長い寸法で延びている第2相手接触部35と、第1及び第2相手接触部34,35の嵌合方向Aにおける端部間を相互に接続した相手連結部36と、第1相手接触部34の離脱方向Bにおける端部に接続して延びている相手端子部38とを有している。
【0029】相手コンタクト33は、一例として板厚寸法が薄い導電板を打ち抜き加工して形成した帯板形状の導電板を曲げ加工を施すことによって作ることができる。第1相手接触部34、第2相手接触部35及び相手連結部36は、これらで略U字形状を呈している。また、相手端子部38は、もう一方のプリント回路基板61の実装面に対して平行となるように相手インシュレータ41の外へ延びており、相手側コネクタ31を前述したもう一方のプリント回路基板61へ実装し、このプリント回路基板61の回路に半田によって接続される。」

エ 段落【0033】
「【0033】この実施の形態例におけるコネクタ装置では、図1に示したように、コネクタ11の嵌合部23と相手コネクタ31の相手嵌合部43とが未嵌合状態にあるときに、第1及び第2接触部14,15間における幅寸法が第1及び第2相手接触部34,35間の幅寸法の幅寸法よりも狭い幅寸法に設定されている。コネクタ11の嵌合部23と相手コネクタ31の相手嵌合部43とが嵌合状態にあるときには、第1及び第2接触部14,15間で第1及び第2接触部14,15の弾性力(バネ力)によって第1及び第2相手接触部34,35が狭持されて接触するものである。」

オ 段落【0034】?段落【0037】
「【0034】さらに、第1の接触部14に接触する第1及び第2相手接触部34(当審注:「第1相手接触部34」の誤記)、第2の接触部15に接触する第2相手接触部35との接触部位(互いに接触する部分)には、コネクタ11の嵌合部23と相手コネクタ31の相手嵌合部43とが嵌合状態にあるときに、離脱方向Bへの引き抜きを阻止するよう相互に係合してロックするロック手段を有している。
【0035】ロック手段は、第2接触部15に形成されている係合接点部15aと、第2相手接触部35に形成されている相手係合部35bとによって構成されている。ロック手段を具体的に説明すると、第2接触部15の離脱方向B側の端部には、第1接触部14へ曲げられて突出している係合接点部15aを有している。
【0036】係合接点部15aに対向する第2相手接触部35の対向面には、嵌合時に、係合接点部15aに接触する相手接触面35aを有している。相手接触面35aは、離脱方向B側が第2相手接触部35の板厚寸法よりも小さい板厚寸法に形成されているものである。
【0037】したがって、第2相手接触部35の対向面には、相手接触面35aを形成することによって段差をもった相手係合部35bが形成されている。係合接点部15aと相手係合部35bとは、離脱方向Bでこれらが係合することによって離脱方向Bへの移動が阻止されている。」

カ 段落【0038】?段落【0040】
「【0038】以下に、コネクタ11と相手側コネクタ31とを未嵌合状態から嵌合する過程について、図6及び図7を参照して説明する。
【0039】図1に示したコネクタ11の嵌合部23と相手側コネクタ31の相手嵌合部43とを未嵌合状態から嵌合するには、相手側コネクタ31の相手嵌合部43をコネクタ11の嵌合部23を対向させて、相手側コネクタ31を図6に示すように、嵌合方向Aへ移動させる。このとき、第1及び第2接触部14,15間における幅寸法が第1及び第2相手接触部34,35間の幅寸法の幅寸法よりも狭い幅寸法に設定されているので、第1接触部14の接点部14aに相手コンタクト33の第1相手接触部34が摺接しながら移動し、係合接点部15aに第2相手接触部35に摺接しながら移動する。さらに、相手側コネクタ31を嵌合方向Aへ移動させると、図7に示すように、第1連結部16へ相手連結部36が近づき、相手係合部35bに係合接点部15aが達した後、相手接触面35aが係合接点部15aと接触し嵌合状態となり嵌合操作が完了する。
【0040】コネクタ11の嵌合部23と相手側コネクタ31の相手嵌合部43とが嵌合した後の嵌合状態では、係合接点部15aと相手係合部35bとが離脱方向Bで係合するので、相手側コネクタ31の離脱方向Bへの移動が阻止される。このとき、接点部14aと係合接点部15aとの間で第1相手接触部34と第2相手接触部35とを弾性力をもって挟み込んでいるので、相手側コネクタ31がコネクタ11から容易に引き抜きできないようにロック力をもってロックすることができる。特に、コンタクト13及び相手コンタクト33の数が多いほど弾性力が強力なものとなり、相手側コネクタ31がコネクタ11から簡単には引き抜きできないようになる。」

これらの記載事項及び図示内容を総合し、本件補正発明の記載ぶりに則って整理すると、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物1に記載された発明」という。)が記載されている。

「互に嵌合接続されるコネクタ11及び相手側コネクタ31のコンタクト13及び相手コンタクト33が、導電板の板厚方向に変形加工されて作られており、コネクタ11及び相手側コネクタ31の嵌合前に、コネクタ11及び相手側コネクタ31のコンタクト13及び相手コンタクト33が互に板厚方向で干渉範囲を有するコネクタ装置において、
相手側コネクタ31の相手コンタクト33は、板面に対して直角な断面にて略U字形状を有し、相手コンタクト33の第1相手接触部34及び第2相手接触部35が該略U字形状の両外側面に形成され、
コネクタ11のコンタクト13は板面に対して直角な断面にて略S字形状を有し、
該略S字形状はインシュレータ21に保持される略逆U字形状の第2接触部15、保持部17及び第2連結部18とこれに続く弾性変位可能な第1連結部16及び第1接触部14とで形成され、
上記コネクタ11の第2接触部15、保持部17及び第2連結部18並びに第1連結部16及び第1接触部14は上記相手側コネクタ31の相手コンタクト33の第1相手接触部34及び第2相手接触部35との対応位置にて該第1相手接触部34及び第2相手接触部35と上記干渉範囲を形成する接点部14a及び係合接点部15aを有しており、
上記コネクタ11の第1連結部16及び第1接触部14の接点部14aは、板厚方向で上記第2接触部15、保持部17及び第2連結部18に向けて突彎曲し、該第1連結部16及び第1接触部14の接点部14aと第1相手接触部34は互いに接触する接触部を形成しており、
上記コネクタ11の上記第2接触部15、保持部17及び第2連結部18の係合接点部15aは、板面から板厚方向に突出していて、該第2接触部15、保持部17及び第2連結部18の係合接点部15aに対応する相手側コネクタ31の相手コンタクト33の第2相手接触部35に接し、
該第2接触部15、保持部17及び第2連結部18の係合接点部15aと該第2相手接触部35は、インシュレータ21及び相手インシュレータ41の保持壁24及び相手保持壁44近傍に位置しているコネクタ装置。」

(2)刊行物2
同じく、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された特開2001-143801号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア 段落【0015】?段落【0016】
「【0015】
【発明の実施の形態】以下、添付図面の図1及び図2にもとづき、本発明の実施の形態について説明する。
【0016】図1において、符号10は本実施形態のコネクタであり、符号20は相手コネクタである。本図においては、コネクタの右側部分のみ表わしており、対照の左側部分は省略している。」

イ 段落【0018】
「【0018】端子12は、例えば、先ず金属板を打ち抜いて帯状のキャリア(図示せず)から櫛歯状に延出する長手部材の形態とされ、次にこれを部分的な加工を施した後ハウジング11をモールド成形し、しかる後にキャリアが分離除去され、又、必要に応じ追加的な曲げ加工が施されて図1のごとくに形づけられる。」

ウ 段落【0020】
「【0020】本実施形態において、端子12は、モールド成形前の加工時に、接触部13が素材の面から没入する押し加工を受ける。この加工により接触部13は没入した面をなし、周囲に段差をもってする周縁14が形成される。」

エ 段落【0022】?段落【0023】
「【0022】上記接触部13の幅方向寸法はなるべく大きいことが好ましい。同方向での相手コネクタの端子との相対位置誤差が多少あっても、これを吸収できるからである。
【0023】本実施形態では、上記周縁14のうち両側の側縁が長手部材の原幅寸法よりも側方に張り出すように形成されており、周縁(側縁)14を有していながらも、接触部13の幅方向寸法が上記長手部材の原幅寸法とほぼ同じかそれよりも大きくなっている。したがって、相手コネクタの端子は、長手部材の原幅寸法範囲、すなわち接触部13以外の部位における幅の範囲に入っていれば、端子同士の接触が可能となる。又、本実施形態では、上記周縁14はハウジング11の隣接部位の面と同一レベルにある。」

オ 段落【0024】
「【0024】一方、相手コネクタ20は上記コネクタ10のハウジング11に嵌合するハウジング21に装着された端子22を有している。この端子22も金属板を打ち抜いて作られているが、複雑な形状をなし、取付部22A、屈曲指状の接触部22Bそして接続部22Cを有している。取付部22Aはハウジング21の保持溝21A内に圧入されて端子22がハウジング22により保持されている。接触部22Bは略C状をなすように長く延出しており、コネクタ10の端子12との接触時に所定の弾圧力が確保できるように、弾性撓み変形が可能となっている。」

カ 段落【0025】?段落【0027】
「【0025】かかる二つのコネクタ10,20は図2の要領で結合され、電気的に接続される。なお、図2では、理解を容易にするために、本実施形態のコネクタ10を実線で、相手コネクタを二点鎖線で描いている。
【0026】両コネクタ10,20は上下方向で嵌合され、相手コネクタ20の端子22の指状の接触部22Bは、本実施形態のコネクタ10の接触部13に対して下方から到達する。先ず、接触部22Bは接触部13より下方の部位に弾圧接触し、ここを摺動しながら周縁14を経て接触部13に至る。その際、周縁14から接触部13にかけての段差にて、クリック感を得て、確実に接触部13へ至ったことを知ることができる。又、両コネクタを抜くとき、該段差にて、両コネクタのロックにもなる。
【0027】本実施形態では、既述したように接触部13はその没入加工によって幅寸法が大きく確保されているので、相手コネクタの端子が同方向に若干なり誤差を伴っていてもこれを吸収できる。しかし、その範囲を多少越えていても、周縁14の一部である側縁は接触部13と段差をなしているので、その位置誤差を矯正するように端子22の接触部22Bを、没入して形成された接触部13内にくるように正規の位置へ引き戻す。」

キ 段落【0029】
「【0029】本発明は、図示の実施形態に限定されない。例えば、接触部は長手部材の原幅寸法と同等あるいはそれ以上でなくとも、それ以下でもよく、要はなるべく幅寸法を大きくすることが好ましいということである。端子は、接続部の形態に係りなく、図1のごとく屈曲されてハウジングから横方向に突出していなくとも、二点鎖線で示されるように上方に突出してもよい。」

3 対比
本件補正発明と刊行物1に記載された発明とを対比すると、刊行物1に記載された発明の「コネクタ11」及び「相手側コネクタ31」は本件補正発明の「他方のコネクタ」及び「一方のコネクタ」に相当し、以下同様に、「コネクタ11のコンタクト13」及び「相手側コネクタ31の相手コンタクト33」は「他方のコネクタの端子」及び「一方のコネクタの端子」に、「コネクタ11及び相手側コネクタ31」は「両コネクタ」に、「コネクタ装置」は「電気コネクタ組立体」に、「導電板」は「金属板」にそれぞれ相当するから、
刊行物1に記載された発明の「互に嵌合接続されるコネクタ11及び相手側コネクタ31のコンタクト13及び相手コンタクト33が、導電板の板厚方向に変形加工されて作られており、コネクタ11及び相手側コネクタ31の嵌合前に、コネクタ11及び相手側コネクタ31のコンタクト13及び相手コンタクト33が互に板厚方向で干渉範囲を有するコネクタ装置」は、
本件補正発明の「互に嵌合接続される両コネクタの端子が、端子の素材たる金属板の板厚方向に変形加工されて作られており、コネクタの嵌合前に、両コネクタの端子が互に板厚方向で干渉範囲を有する電気コネクタ組立体」に相当する。

また、刊行物1に記載された発明の「相手側コネクタ31の相手コンタクト33は、板面に対して直角な断面にて略U字形状を有し」は本件補正発明の「一方のコネクタの端子は、板面に対して直角な断面にてU字状部を有し」に相当し、
刊行物1に記載された発明の「相手コンタクト33の第1相手接触部34及び第2相手接触部35」と本件補正発明の「端子の幅方向での側縁に対して間隔をもつような位置で部分的に板面から没入した凹平面部」とは、端子の「平面部」という限りで共通するから、
刊行物1に記載された発明の「相手側コネクタ31の相手コンタクト33は、板面に対して直角な断面にて略U字形状を有し、相手コンタクト33の第1相手接触部34及び第2相手接触部35が該略U字形状の両外側面に形成され」と、
本件補正発明の「一方のコネクタの端子は、板面に対して直角な断面にてU字状部を有し、端子の幅方向での側縁に対して間隔をもつような位置で部分的に板面から没入した凹平面部が該U字状部の両外側面に形成され」とは、「一方のコネクタの端子は、板面に対して直角な断面にてU字状部を有し、端子の平面部が該U字状部の両外側面に形成され」という限りで共通する。

また、刊行物1に記載された発明の「コネクタ11のコンタクト13は板面に対して直角な断面にて略S字形状を有し」は、本件補正発明の「他方のコネクタの端子は板面に対して直角な断面にてS字状部を有し」に相当する。

また、刊行物1に記載された発明の「インシュレータ21」は本件補正発明の「ハウジング」に相当し、以下同様に、「第2接触部15、保持部17及び第2連結部18」及び「第1連結部16及び第1接触部14」は「被固定保持部」及び「自由端部」に相当するから、
刊行物1に記載された発明の「該略S字形状はインシュレータ21に保持される略逆U字形状の第2接触部15、保持部17及び第2連結部18とこれに続く弾性変位可能な第1連結部16及び第1接触部14とで形成され」は、
本件補正発明の「該S字状部はハウジングに保持される逆U字状の被固定保持部とこれに続く弾性変位可能な自由端部とで形成され」に相当する。

また、刊行物1に記載された発明の「接点部14a及び係合接点部15a」は本件補正発明の「凸部」に相当し、刊行物1に記載された発明の「第1相手接触部34及び第2相手接触部35」と本件補正発明の「凹平面部」とは、「平面部」という限りで共通するから、
刊行物1に記載された発明の「上記コネクタ11の第2接触部15、保持部17及び第2連結部18並びに第1連結部16及び第1接触部14は上記相手側コネクタ31の相手コンタクト33の第1相手接触部34及び第2相手接触部35との対応位置にて該第1相手接触部34及び第2相手接触部35と上記干渉範囲を形成する接点部14a及び係合接点部15aを有しており」と、
本件補正発明の「上記他方のコネクタの被固定保持部および自由端部は上記一方のコネクタの端子の凹平面部との対応位置にて該凹平面部と上記干渉範囲を形成する凸部を有しており」とは、
「上記他方のコネクタの被固定保持部および自由端部は上記一方のコネクタの端子の平面部との対応位置にて該平面部と上記干渉範囲を形成する凸部を有しており」という限りで共通する。

また、刊行物1に記載された発明の「上記コネクタ11の第1連結部16及び第1接触部14の接点部14a」は本件補正発明の「上記他方のコネクタの自由端部の凸部」に相当し、刊行物1に記載された発明の(接点部14aに対応する)「第1相手接触部34」と本件補正発明の(自由端部の凸部に対応する)「凹平面部」とは、「平面部」という限りで共通するから、
刊行物1に記載された発明の「上記コネクタ11の第1連結部16及び第1接触部14の接点部14aは、板厚方向で上記第2接触部15、保持部17及び第2連結部18に向けて突彎曲し、該第1連結部16及び第1接触部14の接点部14aと第1相手接触部34は互いに接触する接触部を形成しており」と、
本件補正発明の「上記他方のコネクタの自由端部の凸部は、板厚方向で上記被固定保持部に向けて突彎曲するとともに幅方向に狭められ、該自由端部の凸部に対応する一方のコネクタの端子の凹平面部内に収まる寸法となっていて、該自由端部の凸部と該凹平面部は互いに接触する接触部を形成しており」とは、
「上記他方のコネクタの自由端部の凸部は、板厚方向で上記被固定保持部に向けて突彎曲し、該自由端部の凸部と平面部は互いに接触する接触部を形成しており」という限りで共通する。

また、刊行物1に記載された発明の「上記コネクタ11の上記第2接触部15、保持部17及び第2連結部18の係合接点部15a」は本件補正発明の「上記他方のコネクタの上記被固定保持部の凸部」に相当し、刊行物1に記載された発明の「該第2接触部15、保持部17及び第2連結部18の係合接点部15aに対応する相手側コネクタ31の相手コンタクト33の第2相手接触部35」と本件補正発明の「該被固定保持部の凸部に対応する一方のコネクタの端子の他の凹平面部」とは、「該被固定保持部の凸部に対応する一方のコネクタの端子の他の平面部」という限りで共通するから、
刊行物1に記載された発明の「上記コネクタ11の上記第2接触部15、保持部17及び第2連結部18の係合接点部15aは、板面から板厚方向に突出していて、該第2接触部15、保持部17及び第2連結部18の係合接点部15aに対応する相手側コネクタ31の相手コンタクト33の第2相手接触部35に接し」と、
本件補正発明の「上記他方のコネクタの上記被固定保持部の凸部は、端子の幅方向での側縁に対して間隔をもつような位置で部分的に板面から板厚方向に突出していて、該被固定保持部の凸部に対応する一方のコネクタの端子の他の凹平面部内に収まる寸法となっていて」とは、
「上記他方のコネクタの上記被固定保持部の凸部は、板面から板厚方向に突出していて、該被固定保持部の凸部に対応する一方のコネクタの端子の他の平面部に接し」という限りで共通する。

また、刊行物1に記載された発明の「インシュレータ21及び相手インシュレータ41」及び「保持壁24及び相手保持壁44」は本件補正発明の「それぞれのハウジング」及び「端子保持壁」に相当し、刊行物1に記載された発明の「該第2相手接触部35」と本件補正発明の「該他の凹平面部」とは、「該他の平面部」という限りで共通するから、
刊行物1に記載された発明の「該第2接触部15、保持部17及び第2連結部18の係合接点部15aと該第2相手接触部35は、インシュレータ21及び相手インシュレータ41の保持壁24及び相手保持壁44近傍に位置している」と、
本件補正発明の「該被固定保持部の凸部と該他の凹平面部は、それぞれのハウジングの端子保持壁近傍に位置して、互の幅方向規制を行なう規制部を形成している」とは、
「該被固定保持部の凸部と該他の平面部は、それぞれのハウジングの端子保持壁近傍に位置している」という限りで共通する。

したがって、両者は、
「互に嵌合接続される両コネクタの端子が、端子の素材たる金属板の板厚方向に変形加工されて作られており、コネクタの嵌合前に、両コネクタの端子が互に板厚方向で干渉範囲を有する電気コネクタ組立体において、
一方のコネクタの端子は、板面に対して直角な断面にてU字状部を有し、端子の平面部が該U字状部の両外側面に形成され、
他方のコネクタの端子は板面に対して直角な断面にてS字状部を有し
該S字状部はハウジングに保持される逆U字状の被固定保持部とこれに続く弾性変位可能な自由端部とで形成され、
上記他方のコネクタの被固定保持部および自由端部は上記一方のコネクタの端子の平面部との対応位置にて該平面部と上記干渉範囲を形成する凸部を有しており、
上記他方のコネクタの自由端部の凸部は、板厚方向で上記被固定保持部に向けて突彎曲し、該自由端部の凸部と平面部は互いに接触する接触部を形成しており、
上記他方のコネクタの上記被固定保持部の凸部は、板面から板厚方向に突出していて、該被固定保持部の凸部に対応する一方のコネクタの端子の他の平面部に接し、
該被固定保持部の凸部と該他の平面部は、それぞれのハウジングの端子保持壁近傍に位置している電気コネクタ組立体。」

である点で一致し、以下の点で相違している。
〔相違点〕
本件補正発明の、一方のコネクタの端子の平面部が、「端子の幅方向での側縁に対して間隔をもつような位置で部分的に板面から没入した凹平面部」であり、他方のコネクタの自由端部の凸部が「幅方向に狭められ、該自由端部の凸部に対応する一方のコネクタの端子の凹平面部内に収まる寸法となっていて」、被固定保持部の凸部が「端子の幅方向での側縁に対して間隔をもつような位置で部分的に」突出して、一方のコネクタの端子の他の「凹平面部内に収まる寸法となっていて、」「互の幅方向規制を行なう規制部を形成している」のに対し、
刊行物1に記載された発明は、一方のコネクタの端子の平面部、他方のコネクタの自由端部の凸部、及び被固定保持部の凸部が、かかる構成を具備しない点。

4 当審の判断
そこで、相違点について検討する。
本願の明細書で、技術的課題として記載される、コネクタにおいて外部からの衝撃により接点の位置ずれが生じ、この課題を解決するために、突出した接点と凹形の接点を組み合わせて位置ずれを防止することは、周知の技術事項(課題については、例えば、特開平7-335344号公報【0007】?【0010】、特開2003-323924号公報【0004】?【0005】参照、接点の組み合わせについては、例えば、特開平7-335344号公報【0029】及び図8、実願昭56-184942号(実開昭58-90684号公報)のマイクロフィルム参照)である。

(1)一方のコネクタの端子の平面部について
刊行物2の「接触部13」は、帯状の長手部材である端子12に押し加工を施して周囲に段差となる周縁14を備えるから(前記2(2)イ及びウ)、本件補正発明の「凹平面部」に相当する。

そして、「接触部13」の幅寸法について、刊行物2に「長手部材の原幅寸法と同等あるいはそれ以上でなくとも、それ以下でもよく」(前記2(2)キ)と示唆されるように、接点を構成する凹平面部を「端子の幅方向での側縁に対して間隔をもつような位置で部分的に板面から没入した」ものとすることは、本願出願前に周知技術(例えば、特開2001-126789号公報の図1、特開2004-103354号公報の図3及び4参照、以下「周知技術1」という。)である。

そうしてみると、刊行物1に記載された発明の「平面部」と刊行物2の「凹平面部」とは、接点を構成する平面部であることで共通するから、刊行物1に記載された発明の「一方のコネクタの端子の平面部」に、刊行物2に記載された事項及び前記周知技術1を適用し、「端子の幅方向での側縁に対して間隔をもつような位置で部分的に板面から没入した凹平面部」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(2)他方のコネクタの自由端部の凸部について
刊行物2の「接触部22B」は、略C状の屈曲指状に形成され、弾性撓み変形が可能である(前記2(2)オ)と共に、幅方向寸法が長手部材の原幅寸法とほぼ同じかそれより大きい接触部13に対して、長手部材の原幅寸法範囲に形成することで、端子同士の接触を可能とすることから(前記2(2)エ)、本件補正発明の「凹平面部内に収まる寸法」の「凸部」に相当する。
また、コネクタの端子となる帯状の金属板の長手方向の一部を「幅方向に狭め」て、金属板を弾性変位可能にすることは、周知技術(例えば、特開2004-55463号公報の「折り返し部22f」、実願平5-31934号(実開平7-1572号公報)のCD-ROMの「連結片82」参照、以下「周知技術2」という。)である。

そうしてみると、刊行物1に記載された発明の「他方のコネクタの自由端部の凸部」と刊行物2の「凸部」とが、平面部に接触して接点を構成する弾性変位可能な凸部であることで共通するから、刊行物1に記載された発明の「他方のコネクタの自由端部の凸部」に、刊行物2に記載された事項を適用して、「該自由端部の凸部に対応する一方のコネクタの端子の凹平面部内に収まる寸法」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
そして、その際、「凹平面部内に収まる寸法」とするために、前記周知技術2を適用し、該自由端部の凸部を「幅方向に狭め」ることは、当業者が容易に為し得る程度の設計変更である。

(3)被固定保持部の凸部について
刊行物2の「接触部22B」は、先に述べたように、本件補正発明の「凹平面部内に収まる寸法」の「凸部」に相当する。

そして、刊行物2の「凸部」が「凹平面部内に収まる」ことは、段差となる周縁14によって両コネクタがロックされることであるから(前記2(2)カ)、「互の幅方向規制を行なう」機能を生じるといえる。

また、コネクタの端子となる帯状の金属板に、「端子の幅方向での側縁に対して間隔をもつような位置で部分的に」凸部を設けることは、周知技術(例えば、特開2004-111081号公報の「突起64」、特開平4-269478号公報の「リブ1f」参照、以下「周知技術3」という。)であり、凸部を接点として用いることも、前記周知の技術事項のとおり、一般的なことである。

そうしてみると、刊行物1に記載された発明の「被固定保持部の凸部」と刊行物2の「凸部」とが、平面部に接触して接点を構成する凸部であることで共通するから、刊行物1に記載された発明の「被固定保持部の凸部」に、刊行物2に記載された事項を適用し、「凹平面部内に収まる寸法となっていて、」「互の幅方向規制を行なう規制部を形成」することは、当業者が容易に想到し得ることである。
そして、その際、「凹平面部内に収まる寸法」とするために、前記周知の技術事項及び前記周知技術3を適用して、刊行物1に記載された発明の「被固定保持部の凸部」を「端子の幅方向での側縁に対して間隔をもつような位置で部分的に」突出させることは、当業者が容易に為し得る程度の設計変更である。

また、本件補正発明の奏する効果は、刊行物1に記載された発明、刊行物2に記載された事項、前記周知の技術事項及び前記周知技術1ないし3から、当業者が予測できる範囲内のものであって、格別なものでない。

したがって、本件補正発明は、刊行物1に記載された発明、刊行物2に記載された事項、前記周知の技術事項及び前記周知技術1ないし3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

5 むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成21年5月28日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記「第2〔理由〕1」に補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 刊行物
原査定の拒絶の理由に引用した刊行物の記載事項及び刊行物に記載された発明は、前記「第2〔理由〕2」に記載したとおりである。

3 対比及び当審の判断
本願発明は、前記「第2〔理由〕」で検討した本件補正発明において、「該自由端部の凸部に対応する一方のコネクタの端子の凹平面部内に収まる寸法となっていて、該自由端部の凸部と該凹平面部は互いに接触する接触部を形成しており、上記他方のコネクタの上記被固定保持部の凸部は、端子の幅方向での側縁に対して間隔をもつような位置で部分的に板面から板厚方向に突出していて、該被固定保持部の凸部に対応する一方のコネクタの端子の他の凹平面部内に収まる寸法となっていて、該被固定保持部の凸部と該他の凹平面部は、それぞれのハウジングの端子保持壁近傍に位置して、互の幅方向規制を行なう規制部を形成している」との限定を省き、「電気コネクタ組立体」を「電気コネクタ」と、「上記他方のコネクタの被固定保持部および自由端部」を「該被固定保持部および自由端部」と、「上記他方のコネクタの自由端部」を「上記自由端部」としたものである。

そうしてみると、実質的に本願発明の発明特定事項をすべて含んだものに相当する本件補正発明が、前記「第2〔理由〕3及び4」に記載したとおり、刊行物1に記載された発明、刊行物2に記載された事項、前記周知の技術事項及び前記周知技術1ないし3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、刊行物1に記載された発明、刊行物2に記載された事項、前記周知の技術事項及び前記周知技術1ないし3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、刊行物1に記載された発明、刊行物2に記載された事項、前記周知の技術事項及び前記周知技術1ないし3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本願のその他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-02-01 
結審通知日 2011-02-02 
審決日 2011-02-15 
出願番号 特願2005-212273(P2005-212273)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H01R)
P 1 8・ 121- Z (H01R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井上 哲男  
特許庁審判長 森川 元嗣
特許庁審判官 冨岡 和人
稲垣 浩司
発明の名称 電気コネクタ組立体  
代理人 藤岡 徹  

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