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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1235407
審判番号 不服2008-10807  
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-04-28 
確定日 2011-04-13 
事件の表示 特願2003-416625「トランジスタ」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 6月30日出願公開、特開2005-175379〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成15年12月15日の出願であって、平成19年10月31日付けで手続補正がなされ、平成20年1月22日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、同年4月28日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされ、その後当審において平成22年6月10日付けで審尋がなされ、同年8月23日付けで回答書が提出されたものである。

2.平成20年4月28日付けの手続補正について
【補正の却下の決定の結論】
平成20年4月28日付けの手続補正を却下する。

【理由】
(1)補正の内容
平成20年4月28日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲及び明細書を補正するものであり、そのうちの特許請求の範囲についての補正は、以下のとおりである。

(補正事項a)補正前の請求項1を、補正後の請求項1の
「【請求項1】
第1から第5導体構造を具え、
第1導体構造は、データ導線を具備し、基板の上に位置し、
第2導体構造は、ゲートを具備し、該基板の上に位置し、並びに第2導体構造の基板上の投影が第1導体構造の基板上の投影と相互に交叉し、
第3導体構造は、ソースを具備し、基板の上に位置し、並びに第1導体構造と接触し、
第3導体構造の基板上の投影は第2導体構造の基板上の投影と相互に離間し、
第4導体構造は、ドレインを具備し、基板の上に位置し、第4導体構造の基板上の投影が大部分或いは完全に該第2導体構造の基板上の投影の内部に位置することを特徴とする、トランジスタ。」
と補正すること。

(補正事項b)補正前の請求項2を、補正後の請求項2の
「【請求項2】
請求項1記載のトランジスタにおいて、該第4導体構造の基板上の投影は第3導体構造及び第1導体構造の基板上の投影と相互に離間していることを特徴とする、トランジスタ。」
と補正すること。

(補正事項c)補正前の請求項3を、補正後の請求項3の
「【請求項3】
請求項1記載のトランジスタにおいて、該第4導体構造の基板上の投影が第3導体構造の基板上の投影と大抵平行していることを特徴とする、トランジスタ。」
と補正すること。

(補正事項d)補正前の請求項4を、補正後の請求項4の
「【請求項4】
請求項1記載のトランジスタにおいて、該第1導体構造、該第3導体構造、該第4導体構造が同一層上に位置し、且つ該第1導体構造、該第3導体構造、該第4導体構造の位置が該第2導体構造の上であることを特徴とする、トランジスタ。」
と補正すること。

(2)補正の目的の適否についての検討
補正事項aは、補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項である「第4導体構造は、ゲートを具備し、基板の上に位置し、並びに第2導体構造と接触し、第4導体構造の基板上の投影は第1導体構造の基板上の投影と相互に離間しているが、第4導体構造の基板上の投影と第3導体構造の基板上の投影は相互に交叉し、」及び「第5導体構造の基板上の投影の一部は第4導体構造の基板上の投影と相互に重畳し、その重畳する面積は、ゲートマスクとドレインマスクの間のアライメント偏差量に伴い変化せず、」を削除する補正を含むものであって、補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項を限定したものとはいえず、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項(以下「特許法第17条の2第4項」という。)第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮に該当せず、さらに、同法同条同項第1号、第3号、第4号に掲げる請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれの事項をも目的とするものではないので、補正事項aは、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たしていない。

(3)むすび
したがって、補正事項aの他の補正内容並びに補正事項b、補正事項c及び補正事項dの補正内容について検討するまでもなく、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明
平成20年4月28日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし6に係る発明は、平成19年10月31日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載されている事項により特定されるとおりのものであって、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載されている事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
第1から第5導体構造を具え、
第1導体構造は、データ導線を具備し、基板の上に位置し、
第2導体構造は、ゲート導線を具備し、該基板の上に位置し、並びに第2導体構造の基板上の投影が第1導体構造の基板上の投影と相互に交叉し、
第3導体構造は、ソースを具備し、基板の上に位置し、並びに第1導体構造と接触し、
第3導体構造の基板上の投影は第2導体構造の基板上の投影と相互に離間し、
第4導体構造は、ゲートを具備し、基板の上に位置し、並びに第2導体構造と接触し、
第4導体構造の基板上の投影は第1導体構造の基板上の投影と相互に離間しているが、第4導体構造の基板上の投影と第3導体構造の基板上の投影は相互に交叉し、
第5導体構造は、ドレインを具備し、基板の上に位置し、第5導体構造の基板上の投影の一部は第4導体構造の基板上の投影と相互に重畳し、その重畳する面積は、ゲートマスクとドレインマスクの間のアライメント偏差量に伴い変化せず、且つ、第5導体構造の基板上の投影は、第1導体構造、第2導体構造及び第3導体構造の基板上の投影といずれも相互に離間していることを特徴とする、トランジスタ。」

4.引用刊行物に記載された発明
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前である平成13年2月23日に頒布された刊行物である特開2001-51293号公報(以下「引用刊行物」という。)には、図1、図2及び図6とともに、以下の事項が記載されている(ここにおいて、下線は、当合議体にて付加したものである。)。

「【0024】
【発明の実施の形態】
◎ 実施の形態1
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。 図1は、本実施の形態における薄膜トランジスタ構造を示す上視図、図2は、図1におけるAA'の断面図である。本実施の形態における薄膜トランジスタは、図2に示すように、無アルカリガラスや石英等の絶縁基板21上に、MoやMoCr等のMo合金からなる遮光膜(ライトシールド)22が設けられ、その上部を覆うように酸化シリコンSiOxや窒化シリコンSiNx等からなるアンダーコート層としての絶縁膜23が備えられている。その上に、透明導電膜であるインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる画素電極(表示電極)24が形成され、更にこの画素電極24と一体的に形成され、ITO膜の上層にMoやTi,Ta、Cr、Nb、W、Ag等を用いたモリブデン・タングステン(Mo-W)合金等の金属膜が積層されてなるソース電極25とドレイン電極26がパターン形成されている。また、このパターン形成されたソース電極25とドレイン電極26の上層には、半導体層を形成するa-Si膜27が着膜され、更にその上層にはゲート絶縁膜としての第1の窒化シリコン膜(第1SiNx膜)28、及びTFTチャネルのパシベーション膜としてのゲート絶縁膜である第2の窒化シリコン膜(第2SiNx膜)29とが着膜されている。更にこれらのゲート絶縁膜の上層には、CrやAl等の金属からなるゲート電極30が形成されている。
【0025】更に、図1に示すように、ソース電極25とドレイン電極26は所定の線幅で所定の間隔を隔て、かつ互いに略平行となるように配設されている。このドレイン電極26は信号線(データ線)32と一体的にパターン形成され、また、このソース電極25は画素電極24に接するように形成されている。一方、ゲート電極30はゲート線31から突き出た部分によって構成され、ゲート電極をそのままゲート配線として使用している。本実施の形態では、このゲート線31から突き出た部分であるゲート電極30に対して略直交する形でソース電極25とドレイン電極26が配設されることで、薄膜トランジスタ(TFT)の所謂a-Siアイランドを形成している。このドレイン電極26は、図1に示すようにソース電極25よりもゲート線31に近い位置にてゲート電極30に直交しており、ゲート線31からa-Siアイランドを形成するゲート電極30を分断できるように構成されている。また、符号32b、32cは隣接するデータ線を示している。」
「【0035】以上説明したように、本実施の形態によるTFTの構造及びTFTの製造工程によれば、上述の優れた作用効果を得ることができるが、本実施の形態では、副次的効果としてアライメントずれの影響を最小限に留めることができる点が挙げられる。図6(a)、(b)は、このアライメントずれが生じた場合のTFT構造を示す上視図であり、図6(a)はゲート電極30とゲート線31が大きく右にずれた状態を示し、図6(b)は、ゲート電極30とゲート線31が大きく左にずれた状態を示している。Printing/Plating技術を用いたTFTにおいては、パターニングの際に熱圧縮、化学圧縮、合わせズレが生じる為に、図6(a)、(b)に示すようにゲート線31とデータ線32とにズレが生じる。このようなズレは、ゲート・ソース間の容量(Cgs)の変化を生じさせるために、フリッカや焼き付けを生じさせてしまう。また、ソース電極25やドレイン電極26がゲート電極30から外れた場合には、画素電極24に全く電荷が書き込まれないので、パネルが全く駆動されなくなることから、大きな歩留まりの低下を招くこととなる。本実施の形態では、ソース電極25やドレイン電極26を略平行とし、ゲート電極30が形成された突出部に対して略直交するように構成することにより、図6(a)、(b)に示すようなアライメントエラーが生じた場合においてもCgsの値が全く変わらないことから、表示品位の劣化を防止することができる。また更に、アライメントエラーが生じた場合にあっても、ドレイン電極26により隣接するデータ線からのクロストークを防止することが可能であり、安定した表示イメージを得ることが可能となる。」

(2)図1、段落【0024】の「絶縁基板21上に、・・・ソース電極25とドレイン電極26がパターン形成されている。また、このパターン形成されたソース電極25とドレイン電極26の上層には、・・・ゲート絶縁膜・・・が着膜されている。更にこれらのゲート絶縁膜の上層には、・・・ゲート電極30が形成されている。」及び段落【0025】の「ドレイン電極26は信号線(データ線)32と一体的にパターン形成され」及び「ゲート電極30はゲート線31から突き出た部分によって構成され、ゲート電極をそのままゲート配線として使用している」という記載から、「信号線(データ線)32」及び「ゲート線31」は、「絶縁基板21」上に形成されていることが、明らかである。

(3)したがって、引用刊行物には、以下の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されているものと認められる。

「ソース電極25、ドレイン電極26、ゲート電極30、ゲート線31及び信号線(データ線)32が絶縁基板21上に形成されており、
ドレイン電極26は信号線(データ線)32と一体的にパターン形成され、
ゲート電極30はゲート線31から突き出た部分によって構成され、ゲート電極をそのままゲート配線として使用し、
ゲート電極30に対して略直交する形でソース電極25とドレイン電極26が配設され、
ソース電極25とドレイン電極26は所定の線幅で所定の間隔を隔て、かつ互いに略平行となるように配設されている、
薄膜トランジスタ。」

5.対比
(1)刊行物発明における「ゲート電極30」、「ゲート線31」、「信号線(データ線)32」、「絶縁基板21」及び「薄膜トランジスタ」は、各々本願発明における「ゲートを具備し」た「第4導体構造」、「ゲート導線を具備し」た「第2導体構造」、「データ導線を具備し」た「第1導体構造」、「基板」及び「トランジスタ」に相当する。

(2)刊行物発明の「ソース電極25」と本願発明の「ドレインを具備し」た「第5導体構造」とは、「導体構造」(以下「第5導体構造」という。)という点で共通する。

(3)刊行物発明の「ドレイン電極26」と本願発明の「ソースを具備し」た「第3導体構造」とは、「導体構造」(以下「第3導体構造」という。)である点で共通する。

(4)引用刊行物の図1及び段落【0025】の「このドレイン電極26は、図1に示すようにソース電極25よりもゲート線31に近い位置にてゲート電極30に直交しており」という記載から、刊行物発明の「ドレイン電極26」の「絶縁基板21上」の投影が、「ゲート線31」の「絶縁基板21上」の投影と相互に離間していることは明らかである。

(5)引用刊行物の図1及び段落【0025】の「このゲート線31から突き出た部分であるゲート電極30に対して略直交する形でソース電極25とドレイン電極26が配設される」という記載から、刊行物発明の「ドレイン電極26」の「絶縁基板21上」の投影が、「ゲート線31」の「絶縁基板21上」の投影と相互に離間していることは明らかである。

(6)引用刊行物の図6及び段落【0035】の「Printing/Plating技術を用いたTFTにおいては、パターニングの際に熱圧縮、化学圧縮、合わせズレが生じる為に、図6(a)、(b)に示すようにゲート線31とデータ線32とにズレが生じる。このようなズレは、ゲート・ソース間の容量(Cgs)の変化を生じさせるために、フリッカや焼き付けを生じさせてしまう。」及び「本実施の形態では、ソース電極25やドレイン電極26を略平行とし、ゲート電極30が形成された突出部に対して略直交するように構成することにより、図6(a)、(b)に示すようなアライメントエラーが生じた場合においてもCgsの値が全く変わらない」という記載から、刊行物発明の「ソース電極25」の「絶縁基板21上」の投影の一部は、「ゲート電極30」の「絶縁基板21上」の投影と相互に重畳し、「Cgsの値」は、「ソース電極25」及び「ゲート電極30」をパターニングする際に用いられるマスク間のアライメント偏差量に伴い変化しないことは明らかである。そして、「Cgsの値」が「ソース電極25」の「絶縁基板21上」の投影と「ゲート電極30」の「絶縁基板21上」の投影とが重畳する面積に応じて変化することは、当業者における技術常識であるから、刊行物発明においては、「ソース電極25」の「絶縁基板21上」の投影と「ゲート電極30」の「絶縁基板21上」の投影とが重畳する面積が「ソース電極25」及び「ゲート電極30」をパターニングする際に用いられるマスク間のアライメント偏差量に伴い変化しないものと認められる。ここで、刊行物発明の「ゲート電極30」をパターニングする用いられるマスクは、本願発明の「ゲートマスク」に相当し、刊行物発明の「ソース電極25」をパターニングするために用いられるマスクと本願発明の「ドレインマスク」とは、「第5導電構造」をパターニングするための「マスク」という点で共通する。

(7)刊行物発明において、「ドレイン電極26」の「絶縁基板21上」の投影及び「ドレイン電極26」「と一体的にパターン形成され」た「信号線(データ線)32」の「絶縁基板21上」の投影が、いずれも「ソース電極24」の「絶縁基板21上」の投影と相互に離間していることは明らかである。また、引用刊行物の図1及び段落【0025】の「このドレイン電極26は、図1に示すようにソース電極25よりもゲート線31に近い位置にてゲート電極30に直交しており」という記載から、刊行物発明において、「ソース電極25」の「絶縁基板21上」の投影が「ゲート線31」の「絶縁基板21上」の投影と相互に離間していることも明らかである。

(8)以上を勘案すると、本願発明と刊行物発明とは、
「第1から第5導体構造を具え、
第1導体構造は、データ導線を具備し、基板の上に位置し、
第2導体構造は、ゲート導線を具備し、該基板の上に位置し、並びに第2導体構造の基板上の投影が第1導体構造の基板上の投影と相互に交叉し、
第3導体構造は、基板の上に位置し、並びに第1導体構造と接触し、
第3導体構造の基板上の投影は第2導体構造の基板上の投影と相互に離間し、
第4導体構造は、ゲートを具備し、基板の上に位置し、並びに第2導体構造と接触し、
第4導体構造の基板上の投影は第1導体構造の基板上の投影と相互に離間しているが、第4導体構造の基板上の投影と第3導体構造の基板上の投影は相互に交叉し、
第5導体構造は、基板の上に位置し、第5導体構造の基板上の投影の一部は第4導体構造の基板上の投影と相互に重畳し、その重畳する面積は、ゲートマスクと第5導体構造をパターニングするためのマスクの間のアライメント偏差量に伴い変化せず、且つ、第5導体構造の基板上の投影は、第1導体構造、第2導体構造及び第3導体構造の基板上の投影といずれも相互に離間していることを特徴とする、トランジスタ。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
本願発明では、「第3導体構造」が「ソースを具備し」、「第5導体構造」が「ドレインを具備し」ているのに対し、刊行物発明では、本願発明の「第3導体構造」に対応する導体構造が「ドレイン電極26」であり、本願発明の「第5導体構造」に対応する導体構造が「ソース電極25」である点。

6.判断
(1)以下、上記相違点について検討する。
薄膜トランジスタにおいて、ソース電極とドレイン電極とが相互に置換可能であることは、例えば、以下の周知例に記載されるように、従来から周知の技術である。
(周知例):特開平8-8432号公報には、アクティブマトリックス液晶ディスプレイに用いられる薄膜トランジスタの構成に関して、以下の記載がなされている。
「【0037】また、薄膜トランジスタのチャンネル領域下部に走査電極を形成するようにパターンニングされたゲート電極と、液晶を駆動するため透明導電膜より成る画素電極に画像信号を伝達する前記ソース電極(あるいはドレイン電極)と、前記画素電極と接続されたドレイン電極(あるいはソース電極)とを有し、前記チャンネル領域を形成する半導体層が絶縁性基板の裏面からの露光により前記ゲート電極上に自己整合的に形成される薄膜トランジスタにおいて、前記ソース電極およびドレイン電極がともに前記チャンネル領域上で十字型にクロスオーバーとなる構造を有するように構成したものである。」

したがって、刊行物発明において、「ソース電極25」と「ドレイン電極26」を置き換えることにより、本願発明のように、「第3導体構造は、ソースを具備し」、「第5導体構造は、ドレインを具備」する構成とすることは、当業者が必要に応じて適宜なし得たことである。
よって、上記相違点は、当業者が容易に想到し得る範囲に含まれる程度のものである。

(2)以上、検討したとおり、本願発明と刊行物発明との相違点は、当業者が、周知技術を勘案することにより容易に想到し得た範囲に含まれる程度のものにすぎず、本願発明は、引用刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

7.むすび
以上のとおりであるから、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-11-12 
結審通知日 2010-11-16 
審決日 2010-11-29 
出願番号 特願2003-416625(P2003-416625)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 57- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 河本 充雄小出 輝  
特許庁審判長 北島 健次
特許庁審判官 近藤 幸浩
小野田 誠
発明の名称 トランジスタ  
代理人 白石 光男  
代理人 魚住 高博  
代理人 竹本 松司  
代理人 湯田 浩一  
代理人 手島 直彦  
代理人 杉山 秀雄  

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