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審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1235611 |
審判番号 | 不服2008-12098 |
総通号数 | 138 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-06-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-05-12 |
確定日 | 2011-04-18 |
事件の表示 | 特願2003- 29668「画像検索装置及び画像検索方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 8月26日出願公開、特開2004-240750〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成15年2月6日の出願であって、平成18年1月25日付けで手続補正(以下、「第1補正」と呼ぶ。)がなされ、平成19年10月11日付けで拒絶理由通知がなされ、同年12月18日付けで手続補正(以下、「第2補正」と呼ぶ。)がなされ、平成20年1月11日付けで最後の拒絶理由通知がなされ、同年3月17日付けで手続補正(以下、「第3補正」と呼ぶ。)がなされたが、同年4月3日付けで第3補正についての却下の決定がなされるとともに拒絶査定がなされ、同年5月12日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同年5月21日付けで手続補正(以下、「第4補正」と呼ぶ。)がなされたものである。 第2 第4補正(平成20年5月21日付けの手続補正)についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 第4補正(平成20年5月21日付けの手続補正)を却下する。 [理由] 1.補正内容 第4補正は、特許請求の範囲の補正を含むものであって、請求項1を、 「【請求項1】 複数の画像について、各画像と該画像の部分領域と該部分領域の特徴量とを関連付けて記憶する記憶手段と、 検索条件の入力を受け付ける受付手段と、 前記検索条件に対応する候補特徴量を前記記憶手段に記憶された特徴量から検索し、該候補特徴量に関連する候補部分領域に関連付けられた画像を候補画像として取得する検索手段と、 前記候補部分領域を前記候補画像に対して拡大させ、前記候補画像と一緒に表示する表示手段と、を有することを特徴とする画像検索装置。」 から、 「【請求項1】 複数の画像について、各画像と該画像の部分領域と該部分領域の特徴量とを関連付けて記憶する記憶手段と、 検索条件の入力を受け付ける受付手段と、 前記記憶手段に記憶された特徴量から検索された候補特徴量と前記検索条件との類似度を画像毎に正規化し、この正規化された値を用いて候補画像を取得する検索手段と、 前記候補特徴量に関連する候補部分領域を前記候補画像に対して拡大させ、前記候補画像と一緒に表示する表示手段と、を有することを特徴とする画像検索装置。」 に変更する補正事項を含むものである。 2.補正の目的の適否について 第4補正の目的が、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に適合するか否かを検討するに、当審は、以下の理由で、本件補正の目的は、同改正前の特許法第17条の2第4項の規定に適合するものではないと判断する。 (1)上記補正事項が、上記改正前の特許法第17条の2第4項でいう「請求項の削除」(第1号)、「誤記の訂正」(第3号)、「明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」(第4号)、のいずれかを目的とするものに該当しないことは明らかである。 (2)上記補正事項が、上記改正前の特許法第17条の2第4項でいう「特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」(第2号)(以下、「限定的減縮」と呼ぶ。)を目的とするものに該当するか否かについて検討するに、上記補正事項は、以下の理由で、限定的減縮を目的とするものにも該当しないというべきである。 ア.上記改正前の特許法第17条の2第4項第2号でいう「発明を特定するための事項」を「限定する」補正とは、以下のことをいうものと解するのが相当である。 (ア)補正前の請求項における「発明を特定するための事項」の一つ以上を、概念的により下位の「発明を特定するための事項」とする補正。 (イ)マーカッシュクレーム等、発明を特定するための事項が選択肢として表現されている請求項においては、その選択肢の一部を削除する補正。 イ.以上を前提に、上記補正事項の内の、「前記検索条件に対応する候補特徴量を前記記憶手段に記憶された特徴量から検索し、該候補特徴量に関連する候補部分領域に関連付けられた画像を候補画像として取得する検索手段」なる記載を「前記記憶手段に記憶された特徴量から検索された候補特徴量と前記検索条件との類似度を画像毎に正規化し、この正規化された値を用いて候補画像を取得する検索手段」なる記載に変更する補正事項(以下、「問題補正事項」と呼ぶ。)についてみるに、該問題補正事項が上記「ア.」の「(イ)」に該当しないことは明らかである。 ウ.上記問題補正事項が上記「ア.」の「(ア)」に該当するか否かを検討するに、上記問題補正事項における補正後の「候補特徴量と前記検索条件との類似度を画像毎に正規化し、この正規化された値を用いて候補画像を取得する」処理が、同補正前の「候補特徴量に関連する候補部分領域に関連付けられた画像を候補画像として取得する」処理に対して概念的に下位のものでないことは明らかであるから、上記問題補正事項は、上記「ア.」の「(ア)」にも該当しない。 エ.以上のことは、取りも直さず、上記補正事項が限定的減縮を目的とするものに該当しないことを意味している。 3.むすび よって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 第3 本願について 1.本願発明 第4補正(平成20年5月21日付けの手続補正)は上記のとおり却下され、第3補正(平成20年3月17日付けの手続補正)は上記したように平成20年4月3日付けで却下されているので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」と呼ぶ。)は、第2補正(平成19年12月18日付け手続補正書)により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであり、上記「第2」の「1.」の欄に補正前の請求項1として転記したとおりのものである。 2.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開平3-25676号公報(以下、「引用例」と呼ぶ。)には、以下の記載がある。 「〔産業上の利用分野〕 この発明は、検索キー管理・照合方式による画像データベース検索システムにおいて、効率的な画像データベース検索方法に関するものである。 〔従来の技術〕 画像データベースの検索方法として、テキストデータベース検索方法と同様、画像の内容を表すキーワードのみを管理しておき、キーワード検索式を入力することにより所望の画像データを検索する検索キー管埋・照合方式と、数個の代表画像の表示とユーザからの指示を繰り返すことにより所望の画像データを探索・絞り込む方法がある。 前者の方法は、ユーザが想起した内容を陽な形に表現・記述できる画像に向いている。後者の方法では、ユーザイメージを陽な形に表現することが困難な画像に向いている。 前者の検索キー管理・照合方式による画像データベース検索システムの従来例を第5図に示す。図中、11はスキャナ部、12はキーワード情報入力部、13は画像データ蓄積部、14はキーワード蓄積部、15は前記画像データ蓄積部13とキーワード蓄積部14からなる画像データベース部、16は検索操作部、17は検索照合部、18は階層的画像符号化部、19は復号化部である。このシステムの動作概要を以下に示す。 画像データを登録するには、まず、スキャナ部11より原画像を取り込み、種々の符号化方式により階層的画像符号化部18において圧縮し、画像データ蓄積部13に蓄積する。次に、キーワード情報入力部12より原画像の特徴を表す言葉(キーワード)をキーワード蓄積部14に登録し、前記蓄積した画像データとの対応関係を明記する。 次に、以上の方法で登録された画像データベース部15より、オペレータが画像データを検索するには、検索操作部16より検索したい画像データに対応して想起した適当なキーワード検索式を入力する。入力されたキーワードに対して検索照合部17では、キーワード蓄積部14内のキーワード情報と照合し、入力されたキーワード検索式に適合する画像データ(複数適合する場合もある)を検索する。検索された画像データは、前記階層的画像符号化部18に対応する復号化方式により階層的画像復号化部19で復号化され検索操作部16に表示される。オペレータはこの画像を順次見て、検索意図を満足する画像かどうか判断する。 〔発明が解決しようとする課題〕 以上に示した従来の画像データベース検索方法の場合、オペレータが複数の検索候補画像データから目視で検索意図を満足する画像を識別するとき、指定キーワードに関連する最も重要な部分領域の画像が、その他の部分と同等の精細度で表示(復号化)されているため、意図した画像を効果的に識別ができないという欠点があった。 この発明は上記の欠点を解消するためになされたもので、必要な部分を高精細に表示することができる画像データベース検索方法を提供することを目的とする。 〔課題を解決するための手段〕 この発明にかかる画像データベース検索方法は、画像データをスキャナ部より入力し、階層的画像符号化部で階層的に符号化して画像データ蓄積部に蓄積すると同時に、キーワード情報入力部より検索用キーワードとキーワードに対応する画像データ内部分領域の位置情報を入力し両者対応させてキーワード蓄積部に蓄積した後、キーワードの検索により検索された画像データを表示する際、画像データの指定キーワードに対応する画像データ内部分領域の位置情報をもとに、キーワード近傍画像復号化部で前記画像データ内部分領域のみ原画像の精細度まで復号化して表示し、残りの領域を階層的画像復号化部で最も粗い階層符号で復号化して表示するようにしたものである。 〔作用〕 この発明においては、階層的画像符号化により入力された画像データに対し、検索キーワードとキーワードに対応する画像データ内部分領域の位置情報を登録した後、検索候補画像を表示する際に前記画像データ内部分領域のみを先に高精細に表示し、前記画像データ内部分領域以外は、最も粗い階層符号で復号化して表示することにより、画像データベース検索の能率が向上する。」(第1ページ右下欄第13行?第2ページ右下欄第15行) 以上の記載事項を技術常識に照らせば、引用例には、 「複数の画像について、各画像と該画像の部分領域と該部分領域のキーワードとを関連付けて記憶する記憶手段と、 キーワード検索式の入力を受け付ける受付手段と、 前記キーワード検索式に対応するキーワードを前記記憶手段に記憶されたキーワードから検索し、該キーワード検索式に対応するキーワードに関連する部分領域に関連付けられた画像を候補画像として取得する検索手段と、 前記候補画像を表示する際、前記キーワード検索式に対応するキーワードに関連する部分領域を先に高精細に表示し、前記キーワード検索式に対応するキーワードに関連する部分領域以外は、最も粗い階層符号で復号化して表示する表示手段と、を有する画像検索装置。」 の発明(以下、「引用例記載発明」と呼ぶ。)が記載されているといえる。 3.対比 本願発明と引用例記載発明とを対比すると、次のことがいえる。 (1)引用例記載発明の「部分領域のキーワード」と本願発明の「部分領域の特徴量」とは、「部分領域を特徴付ける情報」である点で共通する。 (2)引用例記載発明の「キーワード検索式」と本願発明の「検索条件」とは、「検索条件」である点で共通する。 (3)引用例記載発明の「キーワード検索式に対応するキーワード」と本願発明の「候補特徴量」とは、「検索条件に対応する部分領域を特徴付ける情報」である点で共通する。 (4)引用例記載発明の「キーワード検索式に対応するキーワードに関連する部分領域」と本願発明の「候補部分領域」とは、「検索条件に対応する部分領域を特徴付ける情報に関連する部分領域」である点で共通する。 (5)引用例記載発明の「表示手段」と本願発明の「表示手段」とは、候補画像を表示する際に「検索条件に対応する部分領域を特徴付ける情報に関連する部分領域」を区別可能に表示する手段である点で共通する。 したがって、本願発明と引用例記載発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「複数の画像について、各画像と該画像の部分領域と該部分領域を特徴付ける情報とを関連付けて記憶する記憶手段と、 検索条件の入力を受け付ける受付手段と、 前記検索条件に対応する部分領域を特徴付ける情報を前記記憶手段に記憶された部分領域を特徴付ける情報から検索し、該検索条件に対応する部分領域を特徴付ける情報に関連する部分領域に関連付けられた画像を候補画像として取得する検索手段と、 候補画像を表示する際に、検索条件に対応する部分領域を特徴付ける情報に関連する部分領域を区別可能に表示する表示手段と、を有することを特徴とする画像検索装置。」である点。 (相違点1) 本願発明においては、「部分領域を特徴付ける情報」は「部分領域の特徴量」であり、それに伴い「検索条件」は当然に「部分領域の特徴量」に対応したものであると解され、また、「検索条件に対応する部分領域を特徴付ける情報」は「検索条件に対応する候補特徴量」であり、「検索条件に対応する部分領域を特徴付ける情報に関連する部分領域」は「候補特徴量に関連する候補部分領域」であるのに対し、引用例記載発明においては、「部分領域を特徴付ける情報」は「部分領域の特徴量」ではなく、「検索条件」は「部分領域の特徴量」に対応したものではなく、「検索条件に対応する部分領域を特徴付ける情報」は「検索条件に対応する候補特徴量」ではなく、「検索条件に対応する部分領域を特徴付ける情報に関連する部分領域」は「候補特徴量に関連する候補部分領域」ではない点。 (相違点2) 本願発明の「表示手段」は、「候補部分領域を候補画像に対して拡大させ、前記候補画像と一緒に表示するもの」であるのに対し、引用例記載発明の「表示手段」は「候補部分領域を候補画像に対して拡大させ、前記候補画像と一緒に表示するもの」ではない点。 4.判断 (1)(相違点1)について 以下の事情を勘案すると、引用例記載発明において、「部分領域のキーワード」(部分領域を特徴付ける情報)を「部分領域の特徴量」とし、「キーワード検索式」(検索条件)を「部分領域の特徴量」に対応したものとし、「検索条件に対応する部分領域を特徴付ける情報」を「検索条件に対応する候補特徴量」とし、「検索条件に対応する部分領域を特徴付ける情報に関連する部分領域」を「候補特徴量に関連する候補部分領域」とすることは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。 ア.特徴量を画像の検索に用いることは、引用例の〔従来の技術〕の欄に記載された「数個の代表画像の表示とユーザからの指示を繰り返すことにより所望の画像データを探索・絞り込む方法」等において広く行われていることである(このことを示す文献として、特開平9-101970号公報や特開2000-132554号公報を挙げることができる。)。 イ.引用例記載発明も画像の検索を目的とするものであり、引用例記載発明で検索に使用しているキーワードの代わりに特徴量を用いることが有用な場合があることは当業者に自明である。また、引用例記載発明の「部分領域のキーワード」に代えて「部分領域の特徴量」を使用できない理由はない。 ウ.引用例記載発明において、「部分領域のキーワード」に代えて「部分領域の特徴量」を使用する場合に、「キーワード検索式」(検索条件)を「部分領域の特徴量」に対応したものに換える必要があることは、当業者に自明である。 エ.引用例記載発明において、「部分領域のキーワード」に代えて「部分領域の特徴量」を使用し、「キーワード検索式」(検索条件)を「部分領域の特徴量」に対応したものに換えた場合には、当然に、「検索条件に対応する部分領域を特徴付ける情報」は「検索条件に対応する候補特徴量」となり、「検索条件に対応する部分領域を特徴付ける情報に関連する部分領域」は「候補特徴量に関連する候補部分領域」となる。 (2)(相違点2)について 以下の事情を勘案すると、引用例記載発明の「表示手段」を「候補部分領域を候補画像に対して拡大させ、前記候補画像と一緒に表示するもの」とすることも、当業者が容易に推考し得たことというべきである。 ア.重要な部分の画像を拡大表示することは、広範な分野でごく普通に行われていることである。 イ.上記「2.」に摘記した引用例の記載からも明らかなように、引用例記載発明は、複数の検索候補画像データから目視で検索意図を満足する画像を識別する際に、指定キーワードに関連する最も重要な部分領域の画像をオペレータが容易に区別できるようにすることで、意図した画像の識別の容易化を図ったものといえるが、そのような目的達成のために、表示手段を「候補部分領域を候補画像に対して拡大させ、前記候補画像と一緒に表示するもの」とすることが有用な場合があることは当業者に自明であるし、そのようにできない理由はない。 (3)本願発明の効果について 本願発明の構成によってもたらされる効果は、引用例記載発明、及び周知の事項から当業者が容易に予測し得る程度のものであって、本願発明の進歩性を肯定する根拠となり得るものではない。 (4)まとめ 以上のとおりであるから、本願発明は、引用例記載発明、及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 5.むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-02-21 |
結審通知日 | 2011-02-25 |
審決日 | 2011-03-08 |
出願番号 | 特願2003-29668(P2003-29668) |
審決分類 |
P
1
8・
572-
Z
(G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 紀田 馨 |
特許庁審判長 |
小曳 満昭 |
特許庁審判官 |
長島 孝志 加内 慎也 |
発明の名称 | 画像検索装置及び画像検索方法 |
代理人 | 永川 行光 |
代理人 | 大塚 康徳 |
代理人 | 大塚 康弘 |
代理人 | 下山 治 |
代理人 | 木村 秀二 |
代理人 | 高柳 司郎 |