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審決分類 審判 判定 判示事項別分類コード:なし 属する(申立て成立) E01F
管理番号 1236418
判定請求番号 判定2011-600004  
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2011-06-24 
種別 判定 
判定請求日 2011-01-26 
確定日 2011-04-14 
事件の表示 上記当事者間の特許第3409299号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号物件説明書に示す「コーナークッション」は,特許第3409299号発明の技術的範囲に属する。 
理由 第1.請求の趣旨と手続の経緯
請求人は,請求の趣旨として,判定請求書に添付したイ号物件説明書に示す「コーナークッション」(以下,「イ号物件」という。)は,特許第3409299号(以下,「本件特許」という。)の請求項1及び2に係る発明(以下,それぞれ「本件発明1」,「本件発明2」といい,それらを合わせて「本件発明」という。)の技術的範囲に属するとの判定を求めている。
これに対し,当審において,平成23年2月16日付けで被請求人に判定請求書副本を送達するとともに,期間を指定して答弁書を提出する機会を与えたところ,同年3月23日付けで判定請求答弁書が提出された。

なお,本件特許は請求人の所有する特許であり,イ号物件は,被請求人が販売していると請求人が主張しているものである。

第2.本件発明
本件発明1,2は,本件特許明細書及び図面の記載からみて,該明細書の特許請求の範囲の請求項1,2に記載された事項により特定されるとおりのものであり,これを,構成要件ごとに分説すると次のとおりである。

「【請求項1】
A.互いに若干の間隔をおいて長手方向に列設された複数の短尺クッション材と,
B.これら複数の短尺クッション材の表面側を被覆する長尺表面側シート部とこれら複数の短尺クッション材の裏面側の幅方向両側部をそれぞれ一定幅で被覆する長尺裏面側シート部とからなる帯状被覆部材と,
C.前記長尺表面側シート部の外面に設けられ,明度差をもつ色彩が交互に反復してなる斜め方向縞模様と,
D.前記長尺裏面側シート部の外面に設けられた粘着材層とを有してなり,
E.全体として帯状をなすとともに危険箇所のコーナー部に装着されるコーナークッションであって,
F.前記長尺裏面側シート部同士の間から,前記複数の短尺クッション材が露出している
G.ことを特徴とするコーナークッション。
【請求項2】
H.前記長尺表面側シート部と長尺裏面側シート部は,その長手方向において複数の独立空間を形成するように,複数箇所で幅方向に固着され,前記短尺クッション材はそれら複数の独立空間内に設けられており,
I.前記複数の固着部分で折り曲げ可能かつ切断可能とされている
G’ことを特徴とする請求項1に記載のコーナークッション。」
(以下,「構成要件A」?「構成要件I」,「構成要件G’」という。)

第3.当事者の主張
1.請求人の主張
(1)請求人によるイ号物件の特定
請求人は,判定請求書の「(4)イ号物件の説明(判定請求書4頁18行?5頁6行)」,及び,判定請求書に添付して提出したイ号物件説明書(別添参照)により,イ号物件を次のとおり特定している。
「a)互いに若干の間隔をおいて長手方向に列設された,スポンジに黒色の粘着フイルムが貼着されて一体となった,4枚の緩衝材と,
b)これら4枚の緩衝材の表面側を被覆する長尺表面側シート部とこれら4枚の緩衝材の裏面側の幅方向両側部をそれぞれ一定幅で被覆する長尺裏面側シート部とからなる帯状被覆部材と,
c)長尺表面側シート部の外面に設けられ,青色と白色(白部分反射)とが交互に反復してなる斜め方向縞模様と,
d)長尺裏面側シート部の外面に設けられた粘着材層とを有してなり,
e)全体として帯状をなすとともに,
f)長尺裏面側シート部同士の間から,4枚の緩衝材が,その粘着フイルムを露出させている
g)コーナークッションであって,
h)長尺表面側シート部と長尺裏面側シート部は,その長手方向において4つの独立空間を形成するように,3箇所で幅方向に固着され,緩衝材はそれら4つの独立空間内に設けられており,
i)3箇所の固着部分で折り曲げ可能かつ切断可能とされている。」

(2)請求人による本件発明とイ号物件の対比
請求人は,イ号物件を,上記第3.1.(1)のとおり特定したうえで,本件発明との対比を概略次のようにしている(判定請求書5頁7行?6頁末行を参照。)。
(本件発明1とイ号物件の対比)
(1a)本件発明1の短尺クッション材は,コーナークッションに,クッションとしての機能を持たせる部材であり,構成する材料は特に限定されるものではない。
一方,イ号物件の緩衝材は,スポンジに黒色の粘着フィルムが貼着されて一体となっているが,スポンジはクッション性を有するとともに,粘着フィルムはスポンジのクッション性を何ら妨げていない。つまり,イ号物件の緩衝材は,クッションとしての機能を保有している。
したがって,イ号物件の「緩衝材」は本件発明1の「短尺クッション材」に相当し,イ号物件の構成aは,本件発明1の構成要件Aを充足する。
(1b)イ号物件の構成b,c,d,eは,本件発明1の構成要件B,C,D,Eを充足する。
(1c) イ号物件のコーナークッションにおいては,露出しているのは緩衝材のうち粘着フィルム部分ではあるにせよ,長尺裏面側シート部同士の間から一体となった緩衝材自身が露出している。
したがって,イ号物件の構成fは,本件発明1の構成要件Fを充足する。
(1d)イ号物件の構成gは,本件発明1の構成要件Gを明らかに充足する。
(1e)したがって,イ号物件は,本件発明1の構成要件の全てを充足する。
(本件発明2とイ号物件の対比)
(1f)イ号物件の構成h,iは,本件発明2の構成要件H,Iを充足する。
(1g)イ号物件の構成gは,本件発明2の構成要件G’を明らかに充足する。
(1h)したがって,イ号物件は,本件発明2の構成要件の全てを充足する。

2.被請求人の主張
(1)被請求人によるイ号物件の特定
被請求人は,判定請求答弁書において,「判定請求人は,イ号物件の把握を誤っているので,少なくとも次のように訂正すべきである。」として,イ号物件を次のとおり特定している(判定請求答弁書5頁2?22行参照。)。
「a)互いに若干の間隔をおいて長手方向に列設された4枚の短尺クッション材と,
b)これら4枚の短尺クッション材の表面側を被覆する長尺表面側シート部とこれら4枚の短尺クッション材の裏面側の幅方向両側部をそれぞれ一定幅で被覆する長尺裏面側シート部とからなる帯状被覆部材と,
c)長尺表面側シート部の外面に設けられ,青色と白色(白部分反射)とが交互に反復してなる斜め方向縞模様と,
d)長尺裏面側シート部の外面に設けられた粘着材層とを有してなり,
e)全体として帯状をなすとともに危険箇所のコ-ナー部に装着されるコ-ナークッションであって,
f)長尺裏面側シート部同士の間から,4枚の短尺クッション材が露出しないように,短尺クッション材の中央部は,カバーフィルムで被覆されている
g)コーナークッションであって,
h)長尺表面側シート部と長尺裏面側シート部は,その長手方向において4つの独立空間を形成するように,3箇所で幅方向に固着され,短尺クッション材はそれら4つの独立空間内に設けられており,
i)3箇所の固着部分で折り曲げ可能かつ切断可能とされている。
(なお,下線は当審で付したもので,上記3.1.(1)の請求人による特定と異なる箇所である。)

(2)被請求人による本件発明とイ号物件の対比
(2a)判定請求人は,まず,スポンジに黒色の粘着フィルムが貼着されて一体となっているが,スポンジはクッション性を有するとともに,粘着フィルムはスポンジのクッション性を何ら妨げていないとの主張をするが,粘着フィルムはスポンジの一部ではなく,スポンジとは異なる追加部材であって,スポンジそのもの,すなわち緩衝材そのものを構成するものではない。(判定請求答弁書6頁13?17行参照。)
(2b)次に,判定請求人は「露出しているのは緩衝材のうち粘着フィルム部分ではあるにせよ,長尺裏面側シート部同士の間から一体となった緩衝材自身が露出している。」と主張するが,粘着フィルムが露出するのであって,スポンジそのものが露出するわけではなく,粘着フィルムはスポンジそのものが露出するのを妨げる被覆部材として機能していることが明らかである。
従って,緩衝材自身,すなわちスポンジ自身が露出しているものではない。(同6頁20?25行参照。)
(2c)以上の通り,イ号物件説明書に示すコーナークッションは,本件発明1における「前記長尺裏面側シート部同士の間から,前記複数の短尺クッション材が露出していること」という構成要件を具備しないものであり,本件発明1の技術的範囲には属さない。また,本件発明1に従属する本件発明2の技術的範囲にも属さない。(同8頁2?6行参照。)

第4.イ号物件の特定
イ号物件の特定について,上記第3.の1.(1)及び2.(1)のとおり,当事者間に争いがあるので,当審において,イ号物件をイ号物件説明書の図面及び写真に開示されたままの事項に基づいて次のとおり特定する。
「a)互いに若干の間隔をおいて長手方向に列設された,4枚の中央部分を粘着フィルムで被覆されたスポンジと,
b)これら4枚の中央部分を粘着フィルムで被覆されたスポンジの表面側を被覆する長尺表面側シート部とこれら4枚の中央部分を粘着フィルムで被覆されたスポンジの裏面側の幅方向両側部をそれぞれ一定幅で被覆する長尺裏面側シート部とからなる帯状被覆部材と,
c)長尺表面側シート部の外面に設けられ,青色と白色(白部分反射)とが交互に反復してなる斜め方向縞模様と,
d)長尺裏面側シート部の外面に設けられた粘着材層とを有してなり,
e)全体として帯状をなすとともに危険箇所のコ-ナー部に装着されるコ-ナークッションであって,
f)長尺裏面側シート部同士の間から,4枚のスポンジをそれぞれ被覆する前記粘着フィルムを露出させている
g)コーナークッションであって,
h)長尺表面側シート部と長尺裏面側シート部は,その長手方向において4つの独立空間を形成するように,3箇所で幅方向に固着され,中央部分を粘着フィルムで被覆されたスポンジはそれら4つの独立空間内に設けられており,
i)3箇所の固着部分で折り曲げ可能かつ切断可能とされている。」
(以下,「構成a」?「構成i」という。なお,下線は,当審が付した上記3.1.(1)の請求人の特定と異なる箇所を示す。)

第5.属否の判断
1.本件発明1とイ号物件の対比・判断
(1)構成要件A,Bについて
本件発明1の「短尺クッション材」に関する説明として,本件特許明細書には,「【0019】短尺クッション材(4)は,コーナークッション(1)に,クッションとしての機能を持たせる部材である。この短尺クッション材(4)を構成する材料は,特に限定されるものではない・・・」と記載されていることからみて,本件発明1の「短尺クッション材」は,材料及び構成に関わらず,クッションとしての機能を有すればよいものであると解される。
一方,イ号物件の「中央部分を粘着フィルムで被覆されたスポンジ」について,イ号物件説明書の写真5?8をみると,長方形状のスポンジ41は,その幅方向中央部に長手方向に沿って粘着フィルム42が粘着され,該粘着フィルム42は,スポンジ41の裏面の長手方向全長に沿って延びつつ,その両端はスポンジ41の表面に所定の長さ巻き反されて粘着されており,スポンジ41と粘着フィルム42は一体化され,まとまった一つの部材として機能していることが見てとれる。そして,粘着フィルム42は,極めて薄くかつ柔軟であることが見てとれるから,スポンジ41のクッションとしての機能を阻害するものではないので,イ号物件の「中央部分を粘着フィルムで被覆されたスポンジ」は,まとまった一つの部材としてクッションとしての機能を有するものである。
そうすると,イ号物件の「中央部分を粘着フィルムで被覆されたスポンジ」が,同様にクッションとしての機能を有する,本件発明1の「短尺クッション材」に相当するから,イ号物件の「4枚の中央部分を粘着フィルムで被覆されたスポンジ」が,本件発明1の「複数の短尺クッション材」に相当する。
したがって,イ号物件の構成a,bは,本件発明1の構成要件A,Bをそれぞれ充足している。

(2)構成要件Cについて
イ号物件の「青色と白色(白部分反射)とが交互に反復してなる斜め方向縞模様」が,本件発明1の「明度差をもつ色彩が交互に反復してなる斜め方向縞模様」に相当するから,イ号物件の構成cは,本件発明1の構成要件Cを充足している。

(3)構成要件D,Eについて
イ号物件の構成dは明らかに本件発明1の構成要件Dを充足している。同様に,構成eは構成要件Eを明らかに充足している。

(4)構成要件Fについて
上記第5.1.(1)で検討したとおり,イ号物件の「中央部分を粘着フィルムで被覆されたスポンジ」は,まとまった一つの部材としてクッションとしての機能を有するものであって,本件発明1の「短尺クッション材」に相当するから,イ号物件の「4枚のスポンジをそれぞれ被覆する粘着フィルムを露出させている」ことは,4枚の短尺クッション材の一部を構成する粘着フィルムを露出していることに外ならず,本件発明1の「複数の短尺クッション材が露出している」ことに相当する。

ところで,被請求人は,判定請求答弁書において,イ号物件は,粘着フィルムが露出するのであって,スポンジそのものが露出するわけではなく,粘着フィルムはスポンジそのものが露出するのを妨げる被覆部材として機能していることが明らかである。したがって,イ号物件は,緩衝材自身,すなわちスポンジ自身が露出しているものではなく,本件発明1の構成要件Fを充足しない旨の主張(上記第3.2.(2)の(2b),(2c)を参照。)をしている。
そこで,上記主張について検討するために,本件発明1の構成要件Fの「長尺裏面側シート部同士の間から,複数の短尺クッション材が露出している」ことついて,本件特許明細書をみると,
構成要件Fは,「【0005】・・・クッション材(14)が帯状表面材(12)と帯状裏面材(13)の間に形成された閉じられた空間内に充填されているため,夏場にはその閉じられた空間内の空気が膨張してコーナークッション(11)全体が膨張し,人や物が衝突したときのショックで帯状表面材(12)や帯状裏面材(13)が破れてしまうことがあった。この場合,雨天時にはその破れた箇所から雨水が浸入し,・・・水浸し状態となる恐れがあった。」,「【0007】また,・・・コーナー部に装着するために長手方向に折り曲げたとき,帯状裏面材(13)は帯状表面材(12)に対し,クッション材(14)の厚み分だけ曲率半径が小さくなってしまう。このため,帯状裏面材(13)とこれに塗布された粘着材(16)に,皺やたるみが生じていた。・・・」との課題に基づき,
「【0008】・・・夏場にコーナークッションが膨張せずこれによって帯状表面材や帯状裏面材が破れるのを防止し,・・・また折り曲げたときに帯状裏面材や粘着材に皺やたるみが生じずこれによってコーナー部への装着を容易かつ確実に行うことのできるコーナークッションの提供・・・」との目的を達成するための構成であることが知れ,
構成要件Fの技術的な意義は,帯状表面材(長尺表面側シート部)と帯状裏面材(長尺裏面側シート部)の間に形成される空間を閉じた空間とすることなく開放するとともに,コーナー部に当接する位置に帯状裏面材(長尺裏面側シート部)を配さないことにあって,構成要件Fが,短尺クッション材を露出することを直接の目的とするものではないことは明らかである。
そうすると,構成要件Fの「露出している短尺クッション材」とは,スポンジ等の緩衝材自身のみを意味するのではなく,長尺表面側シート部及び長尺裏面側シート部によって形成される空間内に収められ,上記目的を妨げない範囲のクッション機能を有する部材を意味するものであると解するべきであるから,イ号物件の構成fの「スポンジをそれぞれ被覆する粘着フィルムを露出させている」ことも,構成要件Fの「短尺クッション材が露出している」ことに相当すると解するのが妥当である。
また,仮に,イ号物件の「スポンジ」のみが「短尺クッション材」に相当し,粘着フィルムが「短尺クッション材」に相当するといえないとしても,粘着フィルムは構成要件Fの意義を滅却させるものではなく,これに付加された構成要素に過ぎないということができるから,イ号物件が構成要件Fに相当する構成を有しているといえることに変わりはない。
したがって,被請求人の上記主張は採用できない。

以上より,イ号物件の構成fは,本件発明1の構成要件Fを充足している。

(5)構成要件Gについて
イ号物件の構成gは構成要件Gを明らかに充足している。

(6)小括
したがって,イ号物件は,本件発明1の構成要件A?Gを全て充足するものである。

2.本件発明2とイ号物件との対比・判断
(1)構成要件Hについて
イ号物件の「4つの独立空間」が本件発明2の「複数の独立空間」に相当し,同様に,「3箇所で幅方向に固着」することが「複数箇所で幅方向に固着」することに相当する。また,上記第5.1.(1)で検討したとおり,イ号物件の「中央部分を粘着フィルムで被覆されたスポンジ」が本件発明2の「短尺クッション材」に相当する。そうすると,イ号物件の構成hは,本件発明2の構成要件Hを充足している。

(2)構成要件Iについて
イ号物件の「3箇所の固着部分」が本件発明2の「複数の固着部分」に相当するから,イ号物件の構成iは,本件発明2の構成要件Iを充足している。

(3)構成要件G’について
上記第5.1.で検討したとおり,イ号物件は,本件発明1の全ての構成要件を充足しているから,イ号物件の構成gが本件発明2の構成要件G’を充足していることは,明らかである。

(4)小括
したがって,イ号物件は,本件発明2の構成要件H,I,G’を全て充足するものである。

第6.むすび
以上のとおりであるから,イ号物件は,本件発明1及び2の技術的範囲に属する。
よって,結論のとおり判定する。
 
別掲
 
判定日 2011-04-06 
出願番号 特願平10-273930
審決分類 P 1 2・ - YA (E01F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中槙 利明  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 山本 忠博
宮崎 恭
登録日 2003-03-20 
登録番号 特許第3409299号(P3409299)
発明の名称 コーナークッション  
代理人 川崎 実夫  
代理人 福島 三雄  
代理人 川角 栄二  
代理人 向江 正幸  
代理人 高崎 真行  
代理人 稲岡 耕作  
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