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審決分類 審判 判定 同一 属さない(申立て不成立) F04B
管理番号 1236419
判定請求番号 判定2010-600053  
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2011-06-24 
種別 判定 
判定請求日 2010-09-06 
確定日 2011-05-12 
事件の表示 上記当事者間の特許第2786214号の判定請求事件について,次のとおり判定する。 
結論 イ号物件説明書に示される「スクリュー圧縮機」は,特許第2786214号発明の技術的範囲に属しない。 
理由 1.請求の趣旨
本件判定請求の趣旨は,イ号物件説明書に示されるスクリュー圧縮機(以下「イ号物件」という。)が,特許第2786214号の請求項1に係る発明(以下「本件特許発明」という。)の技術的範囲に属する,との判定を求めるものである。

2.本件特許の手続の経緯
本件特許は昭和63年12月12日に特許出願され,平成10年5月29日に設定登録がなされ,平成21年8月10日に無効審判が請求され(無効2009-800173号),平成22年4月1日に上申書とともに全文訂正明細書(以下「全文訂正明細書」という。)が提出され,平成22年6月10日に「訂正を認める。請求は成り立たない。」との審決がなされ,同年7月10日にこの審決が確定したものである。
そして,平成22年9月6日に本件判定の請求がなされ,同年11月4日に請求人から判定請求書についての補正書が提出され,同年12月10日に被請求人から答弁書が提出され,さらに,平成23年1月31日に請求人から上申書が提出され,このとき「KOBELION-AG」の取扱説明書及びITCSコントローラの取扱説明書が添付して提出された。
さらに,平成23年2月18日に被請求人から上申書が提出されている。

3.本件特許発明
本件特許発明は,無効2009-800173号事件において,平成22年4月1日付け上申書に添付された全文訂正明細書(以下「全文訂正明細書」という。)の明細書及び図面の記載からみて,特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであって,その構成要件を分説すると以下のとおりである。

A.圧縮室内に収納されたスクリューをモータで回転駆動して圧縮空気を発生するスクリュー圧縮機において,
B1.エアフィルタの目詰まりを検出するエアフィルタ検出手段と,
B2.吐出空気温度を検出する吐出温度検出手段と,
B3.吐出空気圧力を検出する吐出圧力検出手段と,
B4.オイルフィルタの目詰まりを検出するオイルフィルタ検出手段と,
B5.モータ電流を検出する電流検出手段と,
C.このスクリュー圧縮機に故障が発生したときに前記各検出手段が検出したデータと故障原因とを記憶する記憶装置と,
D.圧縮機の運転を制御する制御装置と,
E.この制御装置に操作信号を入力する入力手段と,
F.この制御装置の出力を表示する表示手段とを備え,
G.前記記憶装置は圧縮機の操作手順フローを記憶しており,
H.前記制御装置は,トラブルシューティング時には前記記憶装置(注:記憶手段は誤記)に記憶した故障データと操作手順のフローとが表示された表示手段の出力に基づいて前記入力手段から対話形式で入力された操作信号により制御を進めること
I.を特徴とするスクリュー圧縮機。

4.イ号物件
イ号物件説明書に記載された製品名は,KOBELION?VS,KOBELION?VX,KOBELION?AGの3種類である(以下,それぞれを単に[VS],[VX],[AG]という場合がある。)
このうち,[VS],[AG]については,取扱説明書及びITCSコントローラ取扱説明書が提出されているが,[VX]については,[VS]と共通のITCSコントローラ取扱説明書は提出されているが,取扱説明書は提出されていない。
請求人は,[VX],[VS],[AG]は,イ号物件として把握される範囲内で違いはないと主張するが,[VX]については,ITCSコントローラ取扱説明書が[VS]と[VX]とで共通であり,当該説明書の記載から両型式に共通すると解される部分については[VS]説明書も参照しつつ,ITCSコントローラ取扱説明書から把握される範囲内で[VX]の構成を認定することとする。

4-1 請求人が主張するイ号物件
請求人は,イ号物件の構成を以下のとおりのものであると主張している。
a.パッケージ1内に,ケーシングに形成された圧縮室内に回転可能に収納されたスクリューロータをモータで駆動して圧縮空気を発生する圧縮機本体2や他の構成を収容したパッケージ型スクリューコンプレッサにおいて,
b1.所定条件[1](注:丸付き数字を[]で記載した。以下,同様。)によりダストフィルタ(9)の目詰まりを検出する検出手段と,
b2.吐出空気温度を検出する吐出温度センサTd(10)と,
b3.吐出空気圧力を検出する圧力センサPd(13)と,
b4.所定条件[2]によりオイルフィルタの目詰まりを検出する検出手段と,
b5.モータ電流を検出する電流検知手段CT(14)と,
c.このパッケージ型スクリューコンプレッサに異常停止が発生したとき各検出手段が検出したデータ及び故障原因(要因表示画面にて表示される,異常停止を発生させた要因)を記憶する記憶装置(ROM(4)及びRAM(5))と,
d.パッケージ型スクリューコンプレッサの運転を制御するITCSコントローラ(3)と,
e.このITCSコントローラ(3)に操作信号を入力するスイッチ類(7)と,
f.このITCSコントローラ(3)の出力を表示する液晶画面(6)とを備え,
g.記憶装置(ROM(4)及びRAM(5))は,操作手順のフロー(例えば「→対策 1」のように表示されるもの)を記憶しており,
h.ITCSコントローラ(3)は,異常停止が発生したときには,記憶装置(RAM(4)及びROM(5))に記憶した故障に関係するデータ(吐出空気温度と要因)と操作手順のフロー(例えば「→対策 1」のように表示されるもの)が表示された液晶画面(6)に基づいて,スイッチ類(7)から入力された操作信号により,制御を進めること
i.を特徴とするパッケージ型スクリューコンプレッサ。

4-2 各説明書の記載事項
以下においては,本件特許発明の構成要件A?Iに対応するイ号物件の各構成を認定するに際し,[VS]・[VX]と[AG]の型式毎に各説明書から関係する記載事項を抽出し,その後,イ号物件の構成a?iを認定することとする。
また,以下においては,[VS],[AG]各々の取扱説明書を「VS説明書」,「AG説明書」といい,[VS]・[VX],及び[AG]のITCSコントローラ取扱説明書を「IVS/VX説明書」,「IAG説明書」という。

(1)スクリュコンプレッサの全体構成
(1-1)[VS]及び[VX]について
・VS説明書の表紙に,「パッケージ形スクリュコンプレッサKobelion」と記載され,2-2頁に「圧縮機本体/振動・騒音を抑えつつ,性能を向上させる形状(プロフィール)を採用したロータを搭載しています。」,「メインモータ/(KOBELION専用高速IPMモータ)コベルコ独自技術「ワイドレンジ制御」を実現する高効率高速永久磁石モータです。」と記載されている。
・IVS/VX説明書の6頁の「6.初期メニュー画面」に,「KOBELCO SCREW COMPRESSOR」と記載されている。
・IVS/VX説明書の5頁の「5.画面ツリー」に,「メンテナンス/警報/異常停止」のうちの「異常停止」の下位の階層に「メインモータ過電流」と記載されている。

(1-2)[AG]について
・AG説明書の表紙に,「パッケージ形スクリュコンプレッサKobelion」と記載され,2-2頁に,「圧縮機本体/振動・騒音を抑えつつ,性能を向上させる形状(プロフィール)を採用したロータを搭載しています。」,「メインモータ/圧縮機・冷却ファンを駆動するためのモータです。」と記載されている。

(1-3)
・上記(1-1),(1-2)の記載から,[VS][VX][AG]の3種ともに「圧縮機本体に組み込まれたロータをメインモータで駆動して圧縮空気を発生するスクリュコンプレッサ」を備えていると認められる。

(2)吸込フィルタと目詰まり検出手段
(2-1)[VS]及び[VX]について
・VS説明書の11-12頁の「系統図」に,圧縮機本体の上流側に「吸込フィルタ」が配置された態様が示されている。
・VS説明書の2-2頁に,「吸込フィルタ/異物吸入を防止します。」と記載されている。
・VS説明書の6-8頁に,「メンテナンス」の項目として,「吸込フィルタ清掃周期」があり,対応する検出位置として「運転時間,差圧」,条件1として「運転時間3000Hr」,条件2として「-635Aq」と記載されている。
・VS説明書の6-8頁に,「メンテナンス」の項目として,「センサ異常」があり,対応する検出位置として「吸込圧力センサ」と記載されている。
・IVS/VX説明書の12頁の「(1)運転データ(5秒毎)の表示」に「・吸込圧力(VXのみ)」と記載され,同じく13頁の「(3)日報データの表示」に「・吸込圧力(1日の平均値)(VXのみ)」と記載され,同じく「(5)異常・警報データの表示」に,「Ps:吸込圧力 (単位)×0.1kPa(VXのみ)」と記載されている。

・VS説明書の7-1頁に,点検・整備基準として,「点検の頻度および点検個所については,それぞれ現地状況や運転状況などによって一律に規定するわけにはいきませんが,およその目安を示します。」と記載され,「吸込フィルタ(エレメント)」の備考欄に「(3000hにてメンテナンスランプ点灯)」と記載されている。
・VS説明書の5-3頁には,ITCSコントローラ初期設定値として,「スイコミフィルタセイソウジカン(*1)」の初期設定に「3000h/経過時間ゼロ」と記載されている。
・IVS/VX説明書の14頁の「※接点状態表示の見方」に,「吸込フィルタ目詰まり(XB端子)」,「例えば,接点状態表示が上図の様になっておれば,メインインバータが運転中であり,吸込フィルタが目詰まりしていることが分かります。」と記載されている。

・VS説明書の7-3頁に,「ダストフィルタの清掃」として,「・ダストフィルタカバーをはずし,フィルタを取り出してください。/・フィルタは掃除機でほこりを吸いとるか,水で洗ってください。」と記載され,ダストフィルタをケーシングの側面(側面カバー)に取り付ける態様が図示されている。
・VS説明書の11-11頁の「系統図」において,装置全体を囲む一点鎖線で示される装置のケーシングの上部の左右両端と下部の左端に,それぞれ「ダストフィルタ」が記載されている。
・VS説明書の6-1頁に,「異常停止が発生した場合」の「メッセージモニタ表示」の「要因/メインモータ過電流」に対応する一つの「考えられる原因」として,「ダストフィルタの目詰まり」が記載されている。

・IVS/VX説明書の5頁の「画面ツリー」において,「メンテナンス/警報/異常停止」のうちの「メンテナンス」の下位の「メンテナンス情報表示画面」の一つとして「吸込フィルタ交換」,「ダストフィルタ清掃」があり,その下位の階層としてそれぞれ「対策表示画面D-2」,「対策表示画面D-1」が表示される。
・IVS/VX説明書の15頁に,メンテナンスのコードとして,「コード0002/吸込フィルタ交換周期」,「コード0001/ダストフィルタ清掃周期」が表形式で記載されている。

(2-2)[AG]について
・AG説明書の11-11頁の「系統図」において,圧縮機本体の上流側に「吸込フィルタ」が配置され,吸込フィルタの下流側に「吸込圧力センサPs」が配置された態様が示されている。
・AG説明書の2-2頁に,「吸込フィルタ/異物吸入を防止します。」と記載されている。
・AG説明書の6-3頁に,「メンテナンス」の項目として,「吸込フィルタ清掃周期」があり,対応する検出位置として「運転時間,差圧」,条件1として「運転時間3000Hr」,条件2として「-6.2kPa」と記載されている。
・AG説明書の7-1頁に,点検・整備基準として,「点検の頻度および点検個所については,それぞれ現地状況や運転状況などによって一律に規定するわけにはいきませんが,およその目安を示します。」と記載され,「吸込フィルタ(エレメント)」の備考欄に「(3000hにてメンテナンスランプ点灯)」と記載されている。
・AG説明書の5-3頁には,ITCSコントローラ初期設定値として,「スイコミフィルタセイソウジカン(*1)」の初期設定に「3000h/経過時間ゼロ」と記載されている。
・IAG説明書の14頁の「※接点状態表示の見方」に,「吸込フィルタ目詰まり(XB端子)」,「例えば,接点状態表示が上図の様になっておれば,メインインバータが運転中であり,吸込フィルタが目詰まりしていることが分かります。」と記載されている。

・AG説明書の11-11頁の「系統図」において,装置全体を囲む一点鎖線で示される装置のケーシングの上部の左端と下部の左右両端に,それぞれ「ダストフィルタ」が記載されている。
・AG説明書の7-3頁に,「ダストフィルタの清掃」として,「・ダストフィルタカバーをはずし,フィルタを取り出してください。/・フィルタは掃除機でほこりを吸いとるか,水で洗ってください。」と記載され,ダストフィルタをケーシングの側面(側面カバー)に取り付ける態様が図示されている。
・AG説明書の6-1頁に,「異常停止が発生した場合」の「メッセージモニタ表示」の「要因/メインモータ過電流」に対応する一つの「考えられる原因」として,「ダストフィルタの目詰まり」が記載されている。
・AG説明書の15頁に,メンテナンスのコードとして,「コード0002/吸込フィルタ交換周期」,「コード0001/ダストフィルタ清掃周期」が表形式で記載されている。

・IAG説明書の5頁の「画面ツリー」において,「メンテナンス/警報/異常停止」のうちの「メンテナンス」の下位の「メンテナンス情報表示画面」の一つとして「吸込フィルタ交換」,「ダストフィルタ清掃」があり,その下位の階層としてそれぞれ「対策表示画面D-2」,「対策表示画面D-1」が表示される。
・IAG説明書の15頁に,メンテナンスのコードとして,「コード0002/吸込フィルタ交換周期」,「コード0001/ダストフィルタ清掃周期」が表形式で記載されている。

(2-3)
・本件特許発明のエアフィルタに関し,全文訂正明細書の〔実施例〕には,「圧縮室1には,エアフィルタ4でフィルタリングされた空気・・・が供給される。」と記載されており,圧縮室に供給する空気をフィルタリングするのがエアフィルタであると認められる。
・上記(2-1),(2-2)の記載から,吸込フィルタとダストフィルタとは別体であると認められる。
そして,[VX],[AG]は「吸込フィルタの目詰まりを検出する吸込圧力センサ」を備えていると認められる。
また,[VS]は「吸込フィルタ」を備えているが,「吸込圧力センサ」は備えていないと認められる。

(3)吐出温度センサ
(3-1)[VS]及び[VX]について
・VS説明書の11-11頁の「4 系統図」に,オイルセパレータの下部付近に線で結ばれた「Td」が記載され,その下段の表には記号「Td」の名称として「吐出温度センサ」と記載されている。
・VS説明書の6-1頁の「1 異常停止が発生した場合」に,要因として「吐出温度上昇」,考えられる原因として,「ダストフィルタの目詰まり」,「周囲温度が高い」,「圧力設定の不良」,「オイルクーラの目詰まり」,「オイルフィルタの目詰まり」と記載され,対処方法として,「ダストフィルタの目詰まり」に対して「K-1」,「周囲温度が高い」に対して「K-3」,「圧力設定の不良」に対して「K-13」,「オイルクーラの目詰まり」に対して「K-2」,「オイルフィルタの目詰まり」に対して「K-4」と記載されている。
・VS説明書の6-3頁の「2 警報が発生した場合」に,要因として「吐出温度が高くなっています。」,考えられる原因として,「ダストフィルタの目詰まり」,「周囲温度が高い」,「圧力設定の不良」,「オイルクーラの目詰まり」,「オイルフィルタの目詰まり」と記載され,対処方法として,「ダストフィルタの目詰まり」に対して「K-1」,「周囲温度が高い」に対して「K-3」,「圧力設定の不良」に対して「K-13」,「オイルクーラの目詰まり」に対して「K-2」,「オイルフィルタの目詰まり」に対して「K-4」と記載されている。
・VS説明書の6-4頁の「3 対処方法」の「K-01」に対応して,考えられる要因として「ダストフィルタの目詰まり」,対処方法として「ダストフィルタの清掃が必要です。ダストフィルタを外してエアブローし,清掃をしてください。」と記載されている。
・VS説明書の6-4頁の「3 対処方法」の「K-03」に対応して,考えられる要因として「周辺温度が高い」,対処方法として「周囲温度を40℃以下にしてください。換気などにより,周囲温度を改善してください。」と記載されている。
・VS説明書の6-4頁の「3 対処方法」の「K-13」に対応して,考えられる要因として「圧力設定不良」,対処方法として「運転2分以上,停止3分以上の運転及び停止時間を確保してください。」と記載されている。
・VS説明書の6-4頁の「3 対処方法」の「K-02」に対応して,考えられる要因として「オイルクーラの目詰まり」,対処方法として「クーラの清掃が必要です。コンプレッサを停止させて,ファンが停止しているのを確認した後,クーラを清掃してください。」と記載されている。
・VS説明書の6-4頁の「3 対処方法」の「K-04」に対応して,考えられる要因として「オイルフィルタの目詰まり」,対処方法として「オイルフィルタの交換が必要です。コンプレッサを停止させて,オイルセパレータ内圧が0[MPa]になった後,オイルフィルタを交換してくさい。」と記載されている。
・VS説明書の6-7頁の「警報検出」の項目として「吐出温度上昇」,検出位置として「圧縮機吐出」,検出器として「熱電対」,条件1として「105℃以上」と記載されている。

・IVS/VX説明書の5頁の「5.画面ツリー」において,「メンテナンス/警報/異常停止」のうちの警報の一対象として「吐出温度上昇」があり,その下位の階層として「要因表示画面F-5/F-6,要因1?5」があり,さらにその下位の階層として「対策1?5表示画面」と記載されている。
・IVS/VX説明書の12頁の「(2)運転データ(1時間毎)の表示」に「・吐出温度」と記載され,同じく13頁の「(5)異常・警報データの表示」に,「Td:吐出温度 (単位)℃」と記載されている。

(3-2)[AG]について
・AG説明書の11-11頁の「4 系統図」に,オイルセパレータの下部付近に線で結ばれた「Td」が記載され,その下段の表には記号「Td」の名称として「吐出温度センサ」と記載されている。
・AG説明書の6-1頁の「1 異常停止が発生した場合」に,要因として「吐出温度上昇」,考えられる原因として,「ダストフィルタの目詰まり」,「周囲温度が高い」,「圧力設定の不良」,「オイルクーラの目詰まり」,「オイルフィルタの目詰まり」と記載され,対処方法として,「ダストフィルタの目詰まり」に対して「K-1」,「周囲温度が高い」に対して「K-3」,「圧力設定の不良」に対して「K-13」,「オイルクーラの目詰まり」に対して「K-2」,「オイルフィルタの目詰まり」に対して「K-4」と記載されている。

・AG説明書の6-2頁の「2 対処方法」の「K-01」に対応して,考えられる要因として「ダストフィルタの目詰まり」,対処方法として「ダストフィルタの清掃が必要です。ダストフィルタを外してエアブローし,清掃をしてください。」と記載されている。
・AG説明書の6-2頁の「2 対処方法」の「K-03」に対応して,考えられる要因として「周辺温度が高い」,対処方法として「周囲温度を40℃以下にしてください。換気などにより,周囲温度を改善してください。」と記載されている。
・AG説明書の6-2頁の「2 対処方法」の「K-13」に対応して,考えられる要因として「圧力設定不良」,対処方法として「運転2分以上,停止3分以上の運転及び停止時間を確保してください。」と記載されている。
・AG説明書の6-2頁の「2 対処方法」の「K-02」に対応して,考えられる要因として「オイルクーラの目詰まり」,対処方法として「クーラの清掃が必要です。コンプレッサを停止させて,ファンが停止しているのを確認した後,クーラを清掃してください。」と記載されている。
・AG説明書の6-2頁の「2 対処方法」の「K-04」に対応して,考えられる要因として「オイルフィルタの目詰まり」,対処方法として「オイルフィルタの交換が必要です。コンプレッサを停止させて,オイルセパレータ内圧が0[MPa]になった後,オイルフィルタを交換してくさい。」と記載されている。
・AG説明書の6-3頁の「警報検出」の項目として「吐出温度上昇」,検出位置として「圧縮機吐出」,検出器として「熱電対」,条件1として「105℃以上」と記載されている。

・IAG説明書の5頁の「5.画面ツリー」において,「メンテナンス/警報/異常停止」のうちの警報の一対象として「吐出温度上昇」があり,その下位の階層として「要因表示画面E-1/E-2,要因1?6」があり,さらにその下位の階層として「対策1?6表示画面」と記載されている。

(3-3)
・上記(3-1),(3-2)の記載から,3種ともに「吐出空気温度を検出する吐出温度センサ」を備えていると認められる。

(4)吐出圧力センサ(オイルセパレータエレメント後)
(4-1)[VS]及び[VX]について
・VS説明書の11-11頁の「4 系統図」に,オイルセパレータエレメントの下流側の配管に線で結ばれた「Pd」が記載され,その下段の表には記号「Pd」の名称として「圧力センサ(オイルセパレータエレメント後)」と記載されている。

・IVS/VX説明書の12頁の「(1)運転データ(5秒毎)の表示」に「・吐出圧力」と記載され,同じく13頁の「(5)異常・警報データの表示」に,「Pd:吐出圧力 (単位)×0.1MPa」と記載されている。
・IVS/VX説明書の22頁の「14.センサ異常」に,センサ種類として「吐出圧力センサ(Pd)」と記載されている。

(4-2)[AG]について
・AG説明書の11-11頁の「4 系統図」に,オイルセパレータエレメントの下流側の配管に線で結ばれた「Pd」が記載され,その下段の表には記号「Pd」の名称として「圧力センサ(オイルセパレータエレメント後)」と記載されている。

・IAG説明書の21頁の「14.センサ異常」に,センサ種類として「吐出圧力センサ(Pd)」と記載されている。

(4-3)
・上記(4-1),(4-2)の記載から,3種ともに「吐出空気圧力を検出する吐出圧力センサ」を備えていると認められる。

(5)オイルフィルタ
(5-1)[VS]及び[VX]について
・VS説明書の2-2頁の「内部構造図」に,「オイルフィルタ/潤滑油中の異物を分離除去します。」と記載されている。
・VS説明書の6-4頁の「3 対処方法」に,考えられる原因として「オイルフィルタの目詰まり」,対処方法として「オイルフィルタの交換が必要です。コンプレッサを停止させて,オイルセパレータ内圧が0[MPa]になった後,オイルフィルタを交換してくさい。」と記載されている。
・VS説明書の6-8頁の「メンテナンス」に,項目として「オイルフィルタ清掃周期」,検出位置として「運転時間」,検出器として「コントローラ」,条件1として「6000Hr」と記載されている。
・VS説明書の7-1頁の「1 点検・整備基準」に,部品名称として「オイルフィルタ(カートリッジ)」,整備間隔(使用年月または運転時間のいずれか早い方)として「1年ごと/6000h」,備考として「オイルセパレータエレメント交換時には,同時に交換してください。」と記載されている。

・IVS/VX説明書の5頁の「5.画面ツリー」に,「メンテナンス/警報/異常停止」のうちのメンテナンスの下位の階層に「オイルフィルタ交換」,その下位の階層に「対策表示画面D-3」と記載されている。
・IVS/VX説明書の17頁の「メンテナンス検出」に,項目として「オイルフィルタ清掃周期」,検出位置として「運転時間」,検出器として「コントローラ」,条件1として「6000Hr」と記載されている。

(5-2)[AG]について
・AG説明書の2-2頁の「内部構造図」に,「オイルフィルタ/潤滑油中の異物を分離除去します。」と記載されている。
・AG説明書の6-2頁の「2 対処方法」に,考えられる原因として「オイルフィルタの目詰まり」,対処方法として「オイルフィルタの交換が必要です。コンプレッサを停止させて,オイルセパレータ内圧が0[MPa]になった後,オイルフィルタを交換してくさい。」と記載されている。
・AG説明書の6-3頁の「メンテナンス」に,項目として「オイルフィルタ清掃周期」,検出位置として「運転時間」,検出器として「コントローラ」,条件1として「6000Hr」と記載されている。
・AG説明書の7-1頁の「1 点検・整備基準」に,部品名称として「オイルフィルタ(カートリッジ)」,整備間隔(使用年月または運転時間のいずれか早い方)として「1年ごと/6000h」,備考として「オイルセパレータエレメント交換時には,同時に交換してください。」と記載されている。

・IVS/VX説明書の5頁の「5.画面ツリー」に,「メンテナンス/警報/異常停止」のうちのメンテナンスの下位の階層に「オイルフィルタ交換」,その下位の階層に「対策表示画面D-3」と記載されている。
・IVS/VX説明書の17頁のメンテナンス検出に,項目として「オイルフィルタ清掃周期」,検出位置として「運転時間」,検出器として「コントローラ」,条件1として「6000Hr」と記載されている。
IAG説明書の5頁の「5.画面ツリー」に,「メンテナンス/警報/異常停止」のうちのメンテナンスの下位の階層に「オイルフィルタ交換」,その下位の階層に「対策表示画面D-3」と記載されている。
・IAG説明書の16頁のメンテナンス検出に,項目として「オイルフィルタ清掃周期」,検出位置として「運転時間」,検出器として「コントローラ」,条件1として「6000Hr」と記載されている。

(5-3)
・上記(5-1),(5-2)の記載から,3種ともに「6000時間経過の検出をもってオイルフィルタの目詰まりとするコントローラ」を備えていると認められる。

(6)モータ電流
(6-1)[VS]及び[VX]について
・VS説明書の11-5頁の電気結線図において,AC電源と,メインモータに接続されたメインインバータ及び他の負荷とを結ぶ結線の途中に「CT/0?300A/0?5A」が設けられた態様が示されている。
・VS説明書の11-10頁には「電流センサ(CT)」と記載されている。
・VS説明書の4-7頁の「ケーブルの接続」に,「S相については,CT(内径32mm)を通したのち端子へ接続してください。CTを通していただかないと,電流値をITCSコントローラに表示することが出来ません。」と記載されている。
・VS説明書の6-1頁の「1 異常停止が発生した場合」に,要因として「メインモータ過電流」,考えられる原因として「ダストフィルタの目詰まり」,「圧力設定の不良」,「起動発停の頻度大」,「電源供給不良」,「モータ異常」と記載され,対処方法として,「「ダストフィルタの目詰まり」に対して「K-1」,「圧力設定の不良」に対して「K-13」,「起動発停の頻度大」に対して「K-11」,「電源供給不良」に対して「K-6」,「モータ異常」に対して「K-9」と記載されている。
・VS説明書の6-6頁の(異常検出の続き)に,表示として「モータ過負荷」,内容として「電子サーマルによりモータ過負荷保護が作動した」,対策として「負荷を低減してください。」と記載されている。
・VS説明書の6-7頁の「異常検出」に,項目として「インバータ過電流(「OC」)」,検出位置として「インバータ」,検出器として「インバータ」,条件1として「定格電流*200%以上」と記載されている。同頁には,また,項目として「インバータモータ過負荷(「OL1」)」,検出位置として「インバータ」,検出器として「インバータ」,条件1として「過負荷」と記載されている。

・IVS/VX説明書の7頁の「7.運転状況の表示」に「『運転状況1』画面では,現在の ・電流(装置の入力電流)がリアルタイムでモニタ出来ます。」と記載されている。
・IVS/VX説明書の16頁の「異常検出」に,項目として「インバータ過電流(「OC」)」,検出位置として「インバータ」,検出器として「インバータ」,条件1として「定格電流*200%以上」と記載されている。同頁には,また,項目として「インバータモータ過負荷(「OL1」)」,検出位置として「インバータ」,検出器として「インバータ」,条件1として「過負荷」と記載されている。(上記に摘記したVS説明書の6-7頁の記載内容と同一)
・IVS/VX説明書の22頁の「14.センサ異常」に,センサ種類として「電流センサ(A)」と記載されている。
・IVS/VX説明書の5頁の「5.画面ツリー」において,「メンテナンス/警報/異常停止」のうちの異常停止の下位の階層に「メインモータ過電流」,その下位の階層に「要因表示画面F-1」,その下位の階層に要因1?5に対応して「対策1?5表示画面」と記載されている。

(6-2)[AG]について
・AG説明書の11-5頁の電気結線図において,AC電源とメインモータ及びファンモータ等の他のモータとを結ぶ結線の途中に「CT/0?300A/0?5A」が設けられ,AC電源とメインモータとを結ぶ結線の途中に「OL1」が設けられ,コントローラの端子3,4間に「モータ過電流」を検出して動作するリレー接点「OL1」が設けられた態様が示されている。
・AG説明書の11-11頁の「4 系統図」に,記号「OL」の名称として「過電流リレー」と記載されている。
・AG説明書の6-3頁の「異常検出」に,項目として「メインモータ過負荷」,検出器として「サーマル」,条件1として「SW作動」と記載されている。
・AG説明書の6-1頁の「1 異常停止が発生した場合」に,要因として「メインモータ過電流」,考えられる原因として「ダストフィルタの目詰まり」,「圧力設定の不良」,「起動発停の頻度大」,「電源供給不良」,「モータ異常」と記載され,対処方法として,「「ダストフィルタの目詰まり」に対して「K-1」,「圧力設定の不良」に対して「K-13」,「起動発停の頻度大」に対して「K-11」,「電源供給不良」に対して「K-6」,「モータ異常」に対して「K-9」と記載されている。

・IAG説明書の7頁の「7.運転状況の表示」に「『運転状況1』画面では,現在の ・電流(装置の入力電流)がリアルタイムでモニタ出来ます。」と記載されている。
・IAG説明書の2頁の「14.センサ異常」に,センサ種類として「電流センサ(A)」と記載されている。
・IAG説明書の5頁の「5.画面ツリー」において,「メンテナンス/警報/異常停止」のうちの異常停止の下位の階層に「メインモータ過電流」,その下位の階層に「要因表示画面F-1」,その下位の階層に要因1?5に対応して「対策1?5表示画面」と記載されている。
・IAG説明書の16頁の「異常検出」に,項目として「メインモータ過負荷」,検出位置として「サーマル」,検出器として「サーマル」,条件1として「SW作動」と記載されている。

(6-3)
・上記(6-1),(6-2)の記載から,CTは,装置の入力電流を検出するがメインモータの電流を検出するものではないと認められる。
・そして,[VX][VS]は,「メインモータの過電流(過負荷)を検出する電子サーマル」を備えていると認められる。
・また,[AG]は,「メインモータの過電流を検出する過電流リレー」を備えていると認められる。
・したがって,3種とも「メインモータの過電流を検出する手段」を備えていると認められる。

(7)記憶手段
(7-1)[VS]及び[VX]について
・IVS/VX説明書の13頁の「(5)異常・警報データの表示」に,「異常停止した時にその直前の2分間5秒毎の詳細データを保存しています。過去4回分の異常停止時データを見ることができます。」,「Ps:吸込圧力 (単位)×0.1kPa(VXのみ)」,「Pd:吐出圧力 (単位)×0.1MPa」,「Td:吐出温度 (単位)℃」,「A:電流 (単位)A」と記載されている。
・VS説明書の6-1頁の「6 異常が発生した場合」に「ITCSコントローラは最新の故障履歴を4件まで記憶しています。」と記載され,「1 異常停止が発生した場合」に,「ITCSコントローラの「EMERGENCY」LEDが点灯し,メッセージモニタに要因が表示されます。」と記載されている。
・VS説明書の6-1頁の「1 異常停止が発生した場合」に,要因として「吐出温度上昇」,「メインモータ過電流」が記載されている。
・VS説明書の6-3頁の「2 警報が発生した場合」に,要因として「吐出温度が高くなっています。」と記載されている。

・VS説明書の 6-1?6-2頁の「1 異常停止が発生した場合」,6-3頁の「2 警報が発生した場合」の要因として,吸込フィルタの目詰まり,吐出圧力の上昇・低下,オイルフィルタの目詰まりはメッセージモニタに表示されない。
・なお,IVS/VX説明書の19頁の「(1)メンテナンス情報の表示」に,「・ダストフィルタ清掃/・吸込フィルタ交換/・オイルフィルタ交換・・・に関して,メンテナンスまでの時間を表示します。・・・但し,実際にメンテナンス時期が来るとこの画面に自動的に切り替わります。」と記載されているが,通常メンテナンス必要時を故障とは言わないので,ダストフィルタ清掃,吸込フィルタ交換,オイルフィルタ交換は故障原因とは認められない。

(7-2)[AG]について
・IAG説明書の13頁の「(5)異常・警報データの表示」に,「異常停止した時にその直前の2分間5秒毎の詳細データを保存しています。過去4回分の異常停止時データを見ることができます。」,「Ps:吸込圧力 (単位)×0.1kPa」,「Pd:吐出圧力 (単位)×0.1MPa」,「Td:吐出温度 (単位)℃」,「A:電流 (単位)A」と記載されている。
・AG説明書の6-1頁の「6 異常が発生した場合」に「ITCSコントローラは最新の故障履歴を4件まで記憶しています。」と記載され,「1 異常停止が発生した場合」に,「ITCSコントローラの「EMERGENCY」LEDが点灯し,メッセージモニタに要因が表示されます。」と記載されている。
・AG説明書の6-1頁の「1 異常停止が発生した場合」に,要因として「吐出温度上昇」,「メインモータ過電流」が記載されている。

・AG説明書の6-1頁の「1 異常停止が発生した場合」の要因として,吸込フィルタの目詰まり,吐出圧力の上昇・低下,オイルフィルタの目詰まりはメッセージモニタに表示されない。
・IAG説明書の18頁の「(1)メンテナンス情報の表示」に,「・ダストフィルタ清掃/・吸込フィルタ交換/・オイルフィルタ交換・・・に関して,メンテナンスまでの時間を表示します。・・・但し,実際にメンテナンス時期が来るとこの画面に自動的に切り替わります。」と記載されているが,通常メンテナンス必要時を故障とは言わないので,ダストフィルタ清掃,吸込フィルタ交換,オイルフィルタ交換は故障原因とは認められない。

(7-3)
・上記(7-1),(7-2)の記載から,3種ともにデータ及び要因が表示されることから,データ及び要因が記憶手段に記憶されていることになる。

・本件特許明細書の記憶装置に関し,全文訂正明細書の[実施例]には,「制御装置11は各センサ10a?10eからのデータにより故障が発生したと判断した場合には,モートル始動盤16に対し停止信号を送出してモートル3を緊急停止させると共に,操作者に対し故障発生を知らせるべく図示しない警報装置を作動させ,更に,故障発生時の各種データと停止させた理由及び圧縮機の操作手順フローチャートを記憶装置12から読み出してCRT19に表示する。操作者は,選択及び承認キースイッチ21,22の操作によりトラブルシューティングの手順に入り,制御装置11との間で前述したと同様に対話形式で故障の最終的原因を追及し,対策を講じる。」とあり,各検出手段が検出したデータは故障の直接的原因とは区別されている。

・[VX]及び[AG]は,スクリュコンプレッサに異常停止・警報が発生したときに,吸込圧力センサ,吐出温度センサ,吐出圧力センサが検出したデータと,吐出温度上昇,メインモータ過電流との要因を記憶する記憶手段を備えていると認められる。
・[VS]は,スクリュコンプレッサに異常停止・警報が発生したときに,吐出温度センサ,吐出圧力センサが検出したデータと,吐出温度上昇,メインモータ過電流との要因を記憶する記憶手段を備えていると認められる。
・なお,3種ともメインモータ過電流を検出することはできるが,メインモータ電流を検出して記憶する手段を備えていると認めることはできない。

(8)ITCSコントローラ
(8-1)[VS]及び[VX]について
・IVS/VX説明書の8頁の「8.コンプレッサの設定」として「制御圧力(吐出圧力)の設定」,「自動停止圧力の設定」,「自動復帰圧力の設定」と記載されている。

(8-2)[AG]について
・IAG説明書の8頁の「8.コンプレッサの設定」として「制御タイプの設定」,「パージ開始圧力の設定」,「自動復帰圧力の設定」,「配管容量(MCモード用)」と記載されている。

(8-3)
・上記(8-1),(8-2)の記載から,3種とも「スクリュコンプレッサの運転を制御するITCSコントローラ」を備えていると認められる。

(9)オペレーションスイッチ
(9-1)[VS]及び[VX]について
・VS説明書の2-5頁に,モニタや各種スイッチ等を備えたITCSコントローラが図示されるとともに,「ITCSコントローラの構成」として,「オペレーションスイッチ」と記載され,その説明として「[2]矢印キー,[3]「Enter」キー,[4]「Reset」キー」等が記載されている。
・IVS/VX説明書の2頁に,VS説明書の2-5頁に記載された上記ITCSコントローラと同一の図面と,各種キーの説明として「[2]矢印キー,[3]「Enter」キー,[4]「Reset」キー」等が記載されている。

(9-2)[AG]について
・IAG説明書の2-5頁に,モニタや各種スイッチ等を備えたITCSコントローラが図示されるとともに,「ITCSコントローラの構成」として,「オペレーションスイッチ」と記載され,その説明として「[2]矢印キー,[3]「Enter」キー,[4]「Reset」キー」等が記載されている。
・IVS/VX説明書の2頁に,VS説明書の2-5頁に記載された上記ITCSコントローラと同一の図面と,各種キーの説明として「[2]矢印キー,[3]「Enter」キー,[4]「Reset」キー」等が記載されている。

(9-3)
・上記(9-1),(9-2)の記載から,3種とも「ITCSコントローラに操作信号を入力するオペレーションスイッチ」を備えていると認められる。

(10)メッセージモニタ
(10-1)[VS]及び[VX]について
・VS説明書の2-5頁に,「ITCSコントローラの構成」として「メッセージモニタ/運転時の設定,異常,警報,メンテナンス時の要因を表示します。」と記載されている。
・IVS/VX説明書の2頁に,「1.操作パネルの説明」として「LCD画面(液晶画面)/運転状態,条件設定,装置の異常などを表示します。」と記載されている。

(10-2)[AG]について
・IAG説明書の2-5頁に,「ITCSコントローラの構成」として「メッセージモニタ/運転時の設定,異常,警報,メンテナンス時の要因を表示します。」と記載されている。
・IAG説明書の「1.操作パネルの説明」として「LCD画面(液晶画面)/運転状態,条件設定,装置の異常などを表示します。」と記載されている。

(10-3)
・上記(10-1),(10-2)の記載から,3種とも「ITCSコントローラの出力を表示するメッセージモニタ」を備えていると認められる。

(11)操作手順
(11-1)[VS]及び[VX]について
・IVS/VX説明書の5頁の「5.画面ツリー」において,運転状況,メンテナンス/警報/異常情報,コンプレッサの設定等が階層化されており,「矢印キーとEnterキーを用いて画面を移動していきます。」と記載されている。

(11-2)[AG]について
・IAG説明書の5頁の「5.画面ツリー」において,運転状況,メンテナンス/警報/異常情報,コンプレッサの設定等が階層化されており,「矢印キーとEnterキーを用いて画面を移動していきます。」と記載されている。

(11-3)
・上記(11-1),(11-2)の記載から,画面ツリーが順に表示されることは,画面ツリーが記憶手段に記憶されていることとなる。
したがって,3種とも「記憶手段はスクリュコンプレッサの操作手順を記憶している」と認められる。

(12)異常が発生した場合
(12-1)[VS]及び[VX]について
・VS説明書の6-1頁の「6 異常が発生した場合」に,「異常停止および警報が警報が発生した場合には,対処方法(P6-4参照)に従って異常要因を取り除いてから再運転してください。」と記載され,また,「1 異常停止が発生した場合/ITCSコントローラの「EMERGENCY」LEDが点灯し,メッセージモニタに要因が表示されます。」と記載されている。

上記のように,故障データと操作手順は,記憶手段に記憶されているとともに,メッセージモニタに表示される。

・IVS/VX説明書の21頁の「(3)異常情報の表示」に,「本画面は,異常停止の種類を一覧にしたメニュー画面です。本画面でさらに「↑」または「↓」キーを用いて項目を選び,「Enter」キーを押すと,具体的な異常停止情報の画面が表示されます。」,「上の異常停止一覧の画面で,項目「吐出温度上昇」にカーソルがある状態で「Enter」キーを押すと,右の様な異常停止の要因が表示されます。要因が複数あってそれぞれ対策が異なる場合はここからさらに対策表示画面に移動することが出来ます。」,「但し,実際に異常停止が発生するとこの画面に自動的に切り替わります。この画面が自動的に表示された場合は,画面に示された要因を吟味し,適切な対策を行って下さい。」と記載されている。

・同書の同頁によると,メインモータ過電流による異常停止が発生したとき,上記したように,「異常停止」,「メインモータ過電流」と画面に表示されるとともに,考えられる原因として,「ダストフィルタの目詰まり」,「圧力設定の不良」,「起動発停の頻度大」,「電源供給不良」,「モータ異常」の5つが画面に示され,対処方法として,「ダストフィルタの目詰まり」に対して「対策1」,「圧力設定の不良」に対して「対策2」と表示される。
そこで,対策1を選択すると,考えられる要因として「ダストフィルタの目詰まり」と画面に表示され,対処方法として「ダストフィルタの清掃が必要です。ダストフィルタを外してエアブローし,清掃をしてください。」と画面に表示される。
また,対策2を選択すると,考えられる原因として「圧力設定不良」と画面に表示され,対処方法として「運転2分以上,停止3分以上の運転及び停止時間を確保してください。」と画面に表示される。
上記した,「ダストフィルタの清掃が必要です。ダストフィルタを外してエアブローし,清掃をしてください。」とのメッセージ,及び,「運転2分以上,停止3分以上の運転及び停止時間を確保してください。」とのメッセージに対して対処するのは,何れもITCSコントローラが発する信号ではなく,当該メッセージを見た使用者である。
したがって,異常停止が発生したとき,ITCSコントローラのオペレーションスイッチから故障解決のための対話形式による信号が出力されておらず,ITCSコントローラ自体が制御を進めていない。

(12-2)[AG]について
・AG説明書の6-1頁の「6 異常が発生した場合」に,「異常停止および警報が警報が発生した場合には,対処方法(P6-2参照)に従って異常要因を取り除いてから再運転してください。」と記載されている。

上記のように,故障データと操作手順は,記憶手段に記憶されているとともに,メッセージモニタに表示される。

・IAG説明書の20頁の「(3)異常情報の表示」に,「本画面は,異常停止の種類を一覧にしたメニュー画面です。本画面でさらに「↑」または「↓」キーを用いて項目を選び,「Enter」キーを押すと,具体的な異常停止情報の画面が表示されます。」,「上の異常停止一覧の画面で,項目「吐出温度上昇」にカーソルがある状態で「Enter」キーを押すと,右の様な異常停止の要因が表示されます。要因が複数あってそれぞれ対策が異なる場合はここからさらに対策表示画面に移動することが出来ます。」,「但し,実際に異常停止が発生するとこの画面に自動的に切り替わります。この画面が自動的に表示された場合は,画面に示された要因を吟味し,適切な対策を行って下さい。」と記載されている。

・同書の同頁によると,メインモータ過電流による異常停止が発生したとき,上記したように,「異常停止」,「メインモータ過電流」と画面に表示されるとともに,考えられる原因として,「ダストフィルタの目詰まり」,「圧力設定の不良」,「起動発停の頻度大」,「電源供給不良」,「モータ異常」の5つが画面に示され,対処方法として,「ダストフィルタの目詰まり」に対して「対策1」,「圧力設定の不良」に対して「対策2」と表示される。
そこで,対策1を選択すると,考えられる要因として「ダストフィルタの目詰まり」と画面に表示され,対処方法として「ダストフィルタの清掃が必要です。ダストフィルタを外してエアブローし,清掃をしてください。」と画面に表示される。
また,対策2を選択すると,考えられる原因として「圧力設定不良」と画面に表示され,対処方法として「運転2分以上,停止3分以上の運転及び停止時間を確保してください。」と画面に表示される。
上記した,「ダストフィルタの清掃が必要です。ダストフィルタを外してエアブローし,清掃をしてください。」とのメッセージ,及び,「運転2分以上,停止3分以上の運転及び停止時間を確保してください。」とのメッセージに対して対処するのは,何れもITCSコントローラが発する信号ではなく,当該メッセージを見た使用者である。
したがって,異常停止が発生したとき,ITCSコントローラのオペレーションスイッチから故障解決のための対話形式による信号が出力されておらず,ITCSコントローラ自体が制御を進めていない。

(12-3)
・上記(12-1),(12-2)の記載から,3種とも,「ITCSコントローラは,異常発生時には記憶手段に記憶した故障データと操作手順とをメッセージモニタに表示し,その表示に基づいて使用者が対処する」ものであると認められる。

4-3
上記4-2の(2),(6)のとおり,[VX]と[AG]は,「吸込フィルタの目詰まりを検出する吸込圧力センサ」を備えているのに対し,[VS]は吸込圧力センサを備えておらず,[VX]・[AG]と[VS]とで一部の構成が異なっている。
したがって,このような3種の型式をまとめてイ号物件として認定することはできない。
そこで,ここでは,[VX]と[AG]のみをイ号物件として認定することとする。
ただし,請求人は,これら3種の型式はイ号物件としては共通の構成を備えていると主張するので,[VS]についても,最後にその充足性について触れることとする。

以上を総合すると,イ号物件は次のとおりのものである。
a.圧縮機本体に組み込まれたロータをメインモータで駆動して圧縮空気を発生するスクリュコンプレッサにおいて,
b1.吸込フィルタの目詰まりを検出する吸込圧力センサと,
b2.吐出空気温度を検出する吐出温度センサと,
b3.吐出空気圧力を検出する吐出圧力センサと,
b4.6000時間経過の検出をもってオイルフィルタの目詰まりとするコントローラと,
b5.メインモータの過電流を検出する手段と,
c.このスクリュコンプレッサに異常停止・警報が発生したときに,前記吸込圧力センサ,吐出温度センサ,吐出圧力センサ,メインモータの過電流を検出する手段が検出したデータと,吐出温度上昇,メインモータ過電流との要因を記憶する記憶手段と,
d.スクリュコンプレッサの運転を制御するITCSコントローラと,
e.このITCSコントローラに操作信号を入力するオペレーションスイッチと,
f.このITCSコントローラの出力を表示するメッセージモニタとを備え,
g.前記記憶手段はスクリュコンプレッサの操作手順を記憶しており,
h.前記ITCSコントローラは,異常発生時には前記記憶手段に記憶した故障データと操作手順とをメッセージモニタに表示し,その表示に基づいて使用者が対処する
i.スクリュコンプレッサ。

5.対比・判断
5-1 充足関係
そこで,イ号物件の各構成a?iがそれぞれ本件特許発明の各構成要件A?Iを充足するものであるか否かについて検討する。

構成要件A
イ号物件の構成aと本件特許発明の構成要件Aとを比較すると,aの「圧縮機本体に組み込まれたロータ」,「メインモータ」,「スクリュコンプレッサ」が,それぞれAの「圧縮室内に収納されたスクリュー」,「モータ」,「スクリュー圧縮機」に相当する。
したがって,イ号物件の構成aは,本件特許発明の構成要件Aを充足している。

構成要件B1
イ号物件の構成b1と本件特許発明の構成要件B1とを比較すると,b1の「吸込フィルタ」,「吸込圧力センサ」が,本件特許発明の「エアフィルタ」,「エアフィルタ検出手段」に相当する。
したがって,イ号物件の構成b1は,本件特許発明の構成要件B1を充足している。

構成要件B2
イ号物件の構成b2と本件特許発明の構成要件B2とを比較すると,b2の「吐出温度センサ」がB2の「吐出温度検出手段」に相当する。
したがって,イ号物件の構成b2は,本件特許発明の構成要件B2を充足している。

構成要件B3
イ号物件の構成b3と本件特許発明の構成要件B3とを比較すると,b3の「吐出圧力センサ」がB3の「吐出圧力検出手段」に相当する。
したがって,イ号物件の構成b3は,本件特許発明の構成要件B3を充足している。

構成要件B4
イ号物件の構成b4と本件特許発明の構成要件B4とを比較すると,b4の「コントローラ」は計時機能をもち,6000時間経過後にオイルフィルタの目詰まりとしてはいるが,このとき必ずしもオイルフィルタの目詰まりが発生しているわけではない。
すなわち,コントローラは,[VS][VX][AG]において,過去の経験から6000時間でオイルフィルタの目詰まりが発生しているであろうとの推測の基に,6000時間を計時してはいるが,オイルフィルタの目詰まりを検出してはいない。
したがって,イ号物件の構成b4は,本件特許発明の構成要件B4を充足しない。

構成要件B5
イ号物件の構成b5と本件特許発明の構成要件B5とを比較すると,b5の「メインモータの過電流」は,構成要件B5の「モータ電流」に相当するから,b5の「メインモータの過電流を検出する手段」は,B5の「モータ電流を検出する電流検出手段」に相当する。
したがって,イ号物件の構成b5は,本件特許発明の構成要件B5を充足している。

構成要件C
イ号物件の構成cと本件特許発明の構成要件Cとを比較すると,cの「スクリュコンプレッサ」,「異常停止・警報」は,それぞれCの「スクリュー圧縮機」,「故障」に相当する。
構成要件Cには,「各検出手段が検出したデータと故障原因」とあり,各検出手段とはB1?B5に示される検出手段であり,また,データと故障原因が無関係に記憶されれば故障を回復することができないから,故障原因はB1?B5に示される検出手段が検出したデータに対応した故障原因でなければならない。
そうすると,イ号物件の「吸込圧力センサ,吐出温度センサ,吐出圧力センサ,メインモータの過電流を検出する手段が検出したデータ」には,構成b4の「コントローラが検出したデータ」が含まれておらず,また,イ号物件の「吐出温度上昇,メインモータ過電流」は,構成b1,b3,b4に対応する故障原因を有していない。
したがって,イ号物件の構成cは,本件特許発明の構成要件Cを充足しない。

構成要件D
イ号物件の構成dと本件特許発明の構成要件Dとを比較すると,dの「スクリュコンプレッサ」,「ITCSコントローラ」は,それぞれDの「圧縮機」,「制御装置」に相当する。
したがって,イ号物件の構成dは,本件特許発明の構成要件Dを充足している。

構成要件E
イ号物件の構成eと本件特許発明の構成要件Eとを比較すると,eの「ITCSコントローラ」,「オペレーションスイッチ」は,それぞれEの「制御装置」,「入力手段」に相当する。
したがって,イ号物件の構成eは,本件特許発明の構成要件Eを充足している。

構成要件F
イ号物件の構成fと本件特許発明の構成要件Fとを比較すると,fの「ITCSコントローラ」,「メッセージモニタ」は,それぞれFの「制御装置」,「表示手段」に相当する。
したがって,イ号物件の構成fは,本件特許発明の構成要件Fを充足している。

構成要件G
イ号物件の構成gと本件特許発明の構成要件Gとを比較すると,gの「記憶手段」,「スクリュコンプレッサ」,「操作手順」は,それぞれGの「記憶装置」,「圧縮機」,「操作手順フロー」に相当する。
したがって,イ号物件の構成gは,本件特許発明の構成要件Gを充足している。

構成要件H
イ号物件の構成hと本件特許発明の構成要件Hとを比較すると,hの「ITCSコントローラ」,「異常発生時」,「記憶手段」,「操作手順」,「メッセージモニタ」は,それぞれHの「制御装置」,「トラブルシューティング時」,「記憶装置」,「操作手順のフロー」,「表示手段」に相当する。
構成要件Hには,「記憶装置に記憶した故障データと操作手順のフロー」とあり,これに対応する全文訂正明細書の〔実施例〕には,「更に,故障発生時の各種データと停止させた理由及び圧縮機の操作手順フローチャートを記憶装置12から読み出してCRT19に表示する。」とあるから,故障データとは構成要件Cにおいて記憶装置が記憶したデータと故障原因であるが,上記したように,イ号物件のデータと故障原因は本件特許発明の構成要件Cを充足しないから,イ号物件の「故障データ」は,本件特許発明の「故障データ」を有していない。
また,構成要件Hには,「制御装置は,・・・入力手段から対話形式で入力された操作信号により制御を進める」とあり,これに対応する全文訂正明細書の〔実施例〕には,「操作者は,選択及び承認キースイッチ21,22の操作によりトラブルシューティングの手順に入り,制御装置11との間で前述したと同様に対話形式で故障の最終的原因を追及し,対策を講じる。」とあり,このうち,「前述したと同様に対話形式」に対応する全文訂正明細書の〔実施例〕には,「操作者は,このメニュー画面を見て,次に何をするかを,選択キースイッチ21を操作しカーソルを動かして選択し,承認キースイッチ22を押下して表示画面と制御とを次の段階に進める。
ここでは,試運転を例に説明する。試運転を選択した場合,制御装置11は,CRT19に「運転前に何をなすべきか」,「いままで何を実施したか」のデータを操作手順を進めるのに従いその都度表示する。この表示の都度,操作者は承認キースイッチ22を押下し,対話形式で制御を進める。」とあり,これらの点は,本件特許の無効審判事件において請求人が提出した上申書(乙第3号証)の(4-3)にも記載されているから,トラブルシューティング時の制御は制御装置が進めるが,イ号物件は「前記ITCSコントローラは・・・使用者が対処する」とあり,対処は人間が行っており,したがって,イ号物件はトラブルシューティング時の対話形式で入力された操作信号を有していない。
さらに,この点に関し,本件特許の審査段階で請求人が提出した意見書(乙第5号証)の第3頁(3)に「この引用文献1及び2は何れも機器の故障に関するものであるが,本願発明とは異なり圧縮機の実際の運転において,トラブルが発生したときにどのように圧縮機を再運転(注:「際運転」は誤記)するかという点については何等考慮されていない。つまり,これら引用文献では,圧縮機運転に不慣れな現場作業者が工場空気源として運転されている圧縮機に不具合が生じたときに,専門のメンテナンス員を呼ばずに,現場でそのまま対処できるようにすることについては記載が無い。」とあるが,イ号物件は,圧縮機に不具合が生じたときに,専門のメンテナンス員を呼ばずに,現場でそのまま対処できるようにするための構成を有していない。
したがって,イ号物件の構成hは,本件特許発明の構成要件Hを充足しない。

構成要件I
イ号物件の構成iと本件特許発明の構成要件Iとを比較すると,iの「スクリュコンプレッサ」は,Iの「スクリュー圧縮機」に相当する。
したがって,イ号物件の構成iは,本件特許発明の構成要件Iを充足している。

以上によれば,イ号物件の構成は,本件特許発明の構成要件B4,C及びHを充足しない。
よって,イ号物件の構成は,少なくとも文言上,本件特許発明の構成要件を充足しない。

5-2 均等の判断
次に,イ号物件の構成が充足しない本件特許発明の構成要件B4,C及びHが本質的部分であるか否かについて検討する。

本件特許発明の目的は,全文訂正明細書の〔発明が解決しようとする課題〕に,「本発明の目的は,圧縮機の非熟練者・一般作業者でも圧縮機の操作や故障対策を行うことができるSクリュー圧縮機を提供することにある。」とあり,圧縮機の構成を熟知しない者でも圧縮機の操作や故障対策を行うことができるようにすることである。
構成要件Hには,「制御装置は・・・入力手段から対話形式で入力された操作信号により制御を進める」とあり,トラブルシューティング時の制御は制御装置が進めるので不慣れな作業者でも故障に対応ができるところ,イ号物件は当該操作を人手で行うこととなっており,不慣れな作業者・圧縮機の構成を熟知しない者では,故障に対処することができない。
そうすると,少なくとも本件特許発明の構成要件Hは,本件特許発明の構成のうちで,当該特許発明特有の作用効果を生じるための部分,換言すれば,右部分が他の構成に置き換えられるならば,全体としての当該発明の技術的思想とは別個のものと評価されるような部分である,本件特許発明の本質的部分に関するものといえる。
したがって,本件特許発明とイ号物件とは,発明の本質的な部分において相違する。
以上のとおりであるから,イ号物件は,本件特許発明と発明の本質的な部分において構成が異なるものであり,均等を判断するための他の要件を判断するまでもなく,イ号物件の構成が,本件特許発明の構成要件と均等なものであるということはできない。

5-3
なお,[VS]についても,本件特許発明の充足性について検討しておく。
上記4-3に記載したとおり,[VX]と[AG]は,「吸込フィルタの目詰まりを検出する吸込圧力センサ」を備えているのに対し,[VS]は吸込圧力センサを備えておらず,イ号物件と[VS]とは,イ号物件の構成b1及びcの点で相違する。すなわち,[VS]の構成b1’,c’は,以下のとおりとなる。
「b1’.吸込フィルタと,
c’.このスクリュコンプレッサに異常停止・警報が発生したときに,前記吐出温度センサ,吐出圧力センサ,メインモータの過電流を検出する手段が検出したデータと,吐出温度上昇,メインモータ過電流との要因を記憶する記憶手段と,」
そこで,これらの構成b1’,c’の充足性を検討する。
構成b1’と構成要件B1とを比較すると,b1の「吸込フィルタ」がB1の「エアフィルタ」に相当するが,b1’は,吸込フィルタの目詰まりを検出する手段を備えていない。
したがって,構成b1’は,本件特許発明の構成要件B1を充足しない。
次に,構成c’と構成要件Cとを比較すると,先に構成cについて検討したのと同様の理由により,構成c’は,本件特許発明の構成要件Cを充足していない。
その他の構成については,イ号物件について検討したとおりである。
そうすると,[VS]の構成は,本件特許発明の構成要件のB1,B4,C及びHを充足しない。
よって,[VS]の構成は,本件特許発明の構成要件を充足しない。また,[VS]の構成が,本件特許発明の構成要件と均等といえないことは,上記の検討から明らかである。

6.むすび
以上のとおり,イ号物件は,本件特許発明の技術的範囲に属しない。
よって,結論のとおり判定する。
 
判定日 2011-05-02 
出願番号 特願昭63-312028
審決分類 P 1 2・ 1- ZB (F04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩崎 晋  
特許庁審判長 大河原 裕
特許庁審判官 仁木 浩
堀川 一郎
登録日 1998-05-29 
登録番号 特許第2786214号(P2786214)
発明の名称 スクリュー圧縮機  
代理人 小谷 悦司  
代理人 村松 敏郎  
代理人 岩坪 哲  
代理人 速見 禎祥  
代理人 特許業務法人第一国際特許事務所  
代理人 古城 春実  
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