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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1237007
審判番号 不服2009-5193  
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-03-09 
確定日 2011-05-11 
事件の表示 特願2002-550008「ビーム整形器」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 6月20日国際公開、WO02/48758、平成16年 8月19日国内公表、特表2004-525396〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2001年12月11日を出願日とする国際出願(パリ条約に基づく優先権主張 2000年12月13日 フィンランド)であり、平成20年12月2日付で拒絶査定され、平成21年3月9日付で拒絶査定に対する不服の審判が請求されるとともに同年4月8日付で手続補正書が提出されたものである。
その後、当審において審査官により作成された前置報告書について審尋したところ、平成22年9月13日付で回答書が提出されたものである。

2.平成21年4月8日付手続補正について
平成21年4月8日付手続補正(以下、「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1において、「バイナリな表面レリーフ型回折パターン」を「表面レリーフ型回折バイナリーパターン」と言い換え、入射した光を案内する用途を「これによって、前記表面レリーフ型回折ブラッグ格子パターンに入射した光ビームのみならず、前記回折ブラッグ格子パターン以外の伝達素子(3,3’)の部位に入射した光ビームを、円化、楕円化、平行化、発散、または集光の前記用途のために案内する」と詳しく明らかにしたものである。
したがって、上記補正は新規事項を追加するものではない。また、上記補正事項は、いずれも、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第4号の明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
したがって、本件補正は適法な補正であると認められる。

3.本願発明
本願の請求項1?11に係る発明は、平成21年4月8日付手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項丹より特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。

「準単色光源(1)とともに使用されるとともに、光ビーム(R)の円化、楕円化、平行化、発散、または集光の用途のために光の伝播を案内する伝達素子(3)として、実質的に透明な材料から製造されるビーム整形器において、表面レリーフ型回折バイナリパターンを部分的にのみ含む構造を備える光ビーム(R)を案内する伝達素子(3,3’)を有し、前記回折パターンは、最大の回折効率を供給するブラッグ回折幾何に従って縦方向および横方向、さらにまた光軸についても最適化された局所格子周期を有し、これによって、前記表面レリーフ型回折ブラッグ格子パターンに入射した光ビームのみならず、前記回折ブラッグ格子パターン以外の伝達素子(3,3’)の部位に入射した光ビームを、円化、楕円化、平行化、発散、または集光の前記用途のために案内することを特徴とするビーム整形器。」

4.引用例の記載
4-1.引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された、本願優先日前に日本国内または外国において頒布された刊行物である米国特許明細書第5986807号(原査定における引用文献1。以下、「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(以下、下線は当審にて付与。)

(1a)「Reference is now made toFfigure FIG. 4, wherein there is illustrated the homogenizing optical system 100 of the present invention. A laser light source 102 emits a coherent light beam 104 of a single wavelength which is incident upon a binary diffractive optical element beam homogenizer 106. The homogenizer 106 diffracts the beam 104 into multiple beams which overlap to recombine as a homogenized light beam 108 which is then incident upon the image plane 110.
The binary diffractive optical element 106 consists of an optical substrate 112 of SiO_(2) upon which is a binary surface relief phase grating structure 114.
Specifically, the binary diffractive optical element beam homogenizer 106 will reprofile diffractively by beam folding the Gaussian intensity profile of the emitted light beam 104 into a more uniform intensity profile of the homogenized light beam 108. More specifically, the bell-shape of the intensity profile will be reprofiled by beam folding into a more rectangular shape of the homogenized beam intensity profile.
訳:
(図4を参照すると、本願発明の均質化光学系100が描かれている。レーザー光源102は、バイナリ回折光学素子ビーム均質化器106に入射する、コヒーレントな単一波長の光ビーム104を発光する。均質化器106は、ビーム104を回折してマルチビームとし、像面110に入射する均質化光ビーム108として重ね合わせる。
バイナリー回折光学素子106は、バイナリー表面レリーフ位相格子構造を上部に持つSiO_(2)光学基板から成る。
特に、バイナリー回折光学素子ビーム均質化器106は、ガウシアン強度分布を有する発光光ビーム104を、ビーム畳み込みで、より整形された強度分布を持つ均質化光ビーム108とする。さらに、特に、釣り鐘状の強度分布は、ビーム畳み込みにより、長方形状の均質化ビーム強度分布に再整形される。)」(第6欄34行?54行)

(1b)「【図4】




以上の記載事項から、引用例1には以下の発明(以下、「引用例発明」という。)が記載されている。
「バイナリー表面レリーフ位相格子構造を上部に持つSiO_(2)光学基板から成るバイナリ回折光学素子ビーム均質化器106は、レーザー光源102が発光し入射したコヒーレントな単一波長のガウシアン強度分布を有する光ビーム104を、回折してマルチビームとし、ビーム畳み込みでより整形された強度分布を持つ均質化光ビーム108とするビーム均質化器」

4-2.引用例2
原査定の拒絶の理由に引用された、本願優先日前に日本国内または外国において頒布された刊行物である国際公開第98/36297号(原査定における引用文献3。以下「引用例2」という。)には、図面とともに以下の記載がある。

(2a)「DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
a) description of preferred embodiment of a phase mask according to the invention The present invention concerns a phase mask for modulating a collimated light beam passing therethrough. It is understood that the expression "light beam" is herein referring to electromagnetic radiation of any wavelength, and is not restricted to visible light. Ultra-violet light is a preferred type of radiation to be used with the present invention. The said light beam is devised to photoinduce a non-uniform refractive index profile in a photosensitive optical medium, more particularly to record Bragg gratings having an apodized profile in the core of optical fibers or other waveguides. It is also understood that in the present context, "apodized" refers to a spatially varying diffraction efficiency. Both the phase mask and the produced Bragg grating have a similar apodized profile.
In other words the said light beam is diffracted by the phase mask into a set of diffraction orders with spatially variable diffraction efficiencies to photoinduce a non-uniform refractive index profile in a photosensitive optical medium by self-interference, more particularly to record Bragg gratings in the core of optical fibers or other waveguides having an apodized profile.
Referring to figures 3 , 4 and 5 , the phase mask ( 15 ) according to the present invention comprises a substrate ( 17 ) having an outer surface provided with a plurality of parallel grating corrugations ( 19 ). The grating corrugations ( 19 ) have a non-uniform relief depth across the outer surface to generate variable diffractive efficiencies, which is necessary to photoinduce a non-uniform refractive index profile in the photosensitive optical medium. The non-uniform relief depth is defined by a variable thin film layer ( 21 ) of variable thickness overlaying the substrate ( 17 ).
According to a first preferred embodiment of the present invention, shown in figure 4 , the grating corrugations ( 19 ) of the phase mask ( 15 ) comprise a plurality of grooves ( 23 ) etched into the variable thin film layer ( 21 ). Optionally, in this embodiment the substrate ( 17 ) may comprise an etch stop layer ( 25 ) lying under the variable thin film layer ( 21 ). The purpose of this etch stop layer will be further explained below.
Figure 5 shows a second -preferred embodiment of the invention, wherein the grating corrugations ( 19 ) comprise a plurality of grooves ( 23 ) etched directly into the substrate ( 17 ) itself, and wherein the variable thin film layer ( 21 ) is deposited into said grooves ( 23 ).
The shape of the variable thin film layer ( 21 ) generates the desired local diffraction efficiency, and may be determined from a calibration curve based on electromagnetic grating diffraction theory such as shown in figure 9 . Preferably, the resulting refractive index profile photoinduced in the optical medium can for example have the shape of a Gaussian, Blackman or Hamming function, or one period of a squared cosine function. The calculated Bragg response of an apodized fiber grating with a Gaussian modulation profile is shown in figure 6 . The non-uniform relief depth of the grating corrugations ( 19 ) is preferably optimized in the center of the phase mask ( 15 ) for a minimization of a zero order of diffraction and a maximization of the self-interference of plus and minus first orders of diffraction of the collimated light beam, when said light beam passes through the phase mask ( 15 ) at a normal angle of incidence. Another variation could be to optimize the non-uniform relief depth of the grating corrugations ( 19 ) for a maximum contrast of the self-interference of a zero order and minus first order of diffraction of the collimated light beam, when said light beam passes through the phase mask ( 15 ) at an oblique angle of incidence.
訳:
(発明の詳細な説明
a)本発明によるフェーズマスクの実施例の説明
本発明は、通過する平行光線を変調するためのフェーズマスクにある。本願において、「光ビーム」ないしは「光線」という表現は、全ての波長の電磁波を指し、可視光に限定されるものではない。紫外光は、本発明で使用するのに望ましい種類の電磁波である。上記光ビームは、感光性光学媒体に非一様性屈折率プロファイルを光誘起するよう、より詳しく言うと、光ファイバあるいは他の導波路のコアにアポダイズ状プロファイルを有するブラッグ格子を記録するような工夫がなされる。また、本願明細書の記載において「アポダイズ型」あるいは「アポダイズ状」とは、空間的に変化する回折効率を持つことを意味するものである。フェーズマスクとこれによって製造されたブラッグ格子はどちらも類似したアポダイズ状プロファイルを有する。
言い換えると、上記光ビームはフェーズマスクによって回折させられて空間可変回折効率を有する一組の回折次数に分けられて、自己干渉によって感光性光学媒体に非一様性屈折率プロファイルを光誘起し、より詳しく言うと、アポダイズ状プロファイルを有する光ファイバあるいは他の導波路のコアにブラッグ格子を記録する。
図3、4及び5において、本発明のフェーズマスク(15)は、外面に複数の平行格子コルゲーション(19)が設けられた基板(17)を具備する。格子コルゲーション(19)は、外面を横切る方向に一様でないレリーフ深さを有して可変回折効率を生じさせ、この可変回折効率は感光性光学媒体に非一様性屈折率プロファイルを光誘起するために必要である。一様でないレリーフ深さは、基板(17)に被覆された可変厚さの可変薄膜層(21)によって決まる。
図4に示す本発明の第1の実施例によれば、フェーズマスク(15)の格子コルゲーション(19)は、可変薄膜層(21)中にエッチングで形成された複数の溝(23)を有する。任意の形態として、この実施例においては、基板(17)は可変薄膜層(21)の下層のエッチストップ層(25)を具備してもよい。このエッチストップ層の目的については、以下にさらに説明する。
図5は本発明の第2の実施例を示し、この実施例においては、格子コルゲーション(19)は、基板(17)自体中に直接エッチングで形成された複数の溝(23)を具備し、かつ可変薄膜層(21)が該溝(23)中にディポジションによって形成される。
可変薄膜層(21)の形状が所望の局部回折効率を生じさせ、この形状は図9に示すような電磁格子回折理論に基づく較正曲線から求めることができる。好ましくは、結果として得られる光学媒体に光誘起された屈折率プロファイルは、例えばガウス関数、ブラックマン関数またはハミング関数の形、あるいはコサイン2乗関数の1周期分の形を持つことができる。ガウス変調プロファイルを有するアポダイズ型光ファイバ格子の計算に基づくブラッグ応答を図6に示す。格子コルゲーション(19)の一様でないレリーフ深さは、好ましくは、平行光線が垂直入射角でフェーズマスク(15)を透過する時、該平行光線のゼロ次の回折が最小になり、プラス/マイナスの一次回折の自己干渉が最大となるように、フェーズマスク(15)の中心で最適化される。もう一つの態様としては、平行光線が斜入射角でフェーズマスク(15)を通過する時、該平行光線のゼロ次とマイナス一次回折の自己干渉の最大コントラストが得られるように、格子コルゲーション(19)の一様でないレリーフ深さを最適化することもできる。)」(12頁4行?14頁1行)

(2b)「【図4】【図5】


(2c)「【図6】



4-3.引用例3
原査定の拒絶の理由に引用された、本願優先日前に日本国内または外国において頒布された刊行物である特表平11-505023号公報(原査定における引用文献4。以下「引用例3」という。)には、図面とともに以下の記載がある。

(3a)「光源18は光ビーム15を提供して、センサ10を光学的に付勢する。光源18は、図3の実施形態に示すような光ファイバピグテール42等の受動素子であってもよい。光ファイバピグテール42は、基板の下側表面24に通じており、エポキシ43によって定位置に維持される。ピグテール42は光学的エネルギーの導管としてのみ機能し、それ故に受動素子なのである。あるいは、光源18は、図3Aに示すようなレーザーダイオード44等の能動素子であってもよい。レーザーダイオード44は、導管47を介して外部電流によって付勢され、これにより、センサ10を付勢する光ビーム15を発生する。別の実施形態において、光源18は、基板20の本体内に集積された、センサから延びるワイヤの電気的接点を持つレーザーダイオードであってもよい。このレーザーダイオードは、外部手段、または、センサ上に印刷され、外部電源の相手側接点(mating contacts)と電気的に接触するように配置される電気的接点によって付勢される。センサ製造分野の当業者には自明であるように、基板20は、センサ10を付勢するための所望の波長の光に対して光学的に透明であり、且つ、プレーナー型導波路22への光の結合を阻害しない分散または他の性質を持っていなければならない。また別の実施形態において、光源は、導波路22の上側表面上に直接製造され得る。この場合、内部結合素子(incoupling element)の必要が無くなる。本発明の目的において、プレーナー型導波路22内に光源18を集積すること、あるいは、光源18をプレーナー型導波路22に直接結合することは、光ビーム15の単一モードのみがプレーナー型導波路22内を伝搬するように光源18からプレーナー型導波路22内に光ビーム15を結合するための、格子32、プリズム27、レンズまたは他の手段と等価である。」(22頁6行?27行)

(3b)「【図3】


Fig.3A


5.対比
引用例発明の「レーザー光源102」「光ビーム104」「SiO_(2)光学基板」は、本願発明の「準単色光源(1)」「光ビーム(R)」「実質的に透明な材料」に相当する。
引用例発明の「バイナリー表面レリーフ位相格子構造」は、「光ビーム104を」「回折」させるのであるから、本願発明の「表面レリーフ型回折バイナリパターンを含む構造」に相当する。
引用例発明の「バイナリー表面レリーフ位相格子構造を上部に持つSiO_(2)光学基板から成るバイナリ回折光学素子ビーム均質化器106」は、「SiO_(2)光学基板」が「レーザー光源102が発光し入射したコヒーレントな単一波長のガウシアン強度分布を有する光ビーム104を」通し「バイナリー表面レリーフ位相格子構造」により「回折」させるのであるから、本願発明の「表面レリーフ型回折バイナリパターンを含む構造を備える光ビーム(R)を案内する伝達素子(3,3’)」「として、実質的に透明な材料から製造されるビーム整形器」に相当する。

したがって、両者は、
「準単色光源(1)を使用し、光ビーム(R)の光の伝播を案内する伝達素子(3)として、実質的に透明な材料から製造されるビーム整形器において、表面レリーフ型回折バイナリパターンを含む構造を備える光ビーム(R)を案内する伝達素子(3,3’)を有するビーム整形器。」で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本願発明では「伝達素子」の「備える構造」が「表面レリーフ型回折バイナリパターンを部分的にのみ含む」ものであって「回折パターンは、最大の回折効率を供給するブラッグ回折幾何に従って縦方向および横方向、さらにまた光軸についても最適化された局所格子周期を有し、これによって、前記表面レリーフ型回折ブラッグ格子パターンに入射した光ビームのみならず、前記回折ブラッグ格子パターン以外の伝達素子(3,3’)の部位に入射した光ビームを、円化、楕円化、平行化、発散、または集光の前記用途のために案内する」ものであるのに対して、引用例発明では、「ビーム均質化器106」の「上部に持つ」「バイナリー表面レリーフ位相格子構造」が部分的ではなく「回折」した光ビームは「マルチビームとし、ビーム畳み込みでより整形された強度分布を持つ均質化光ビーム108」となるに過ぎない点。

(相違点2)
本願発明では「ビーム整形器」が「準単色光源(1)とともに使用」されるのに対して、引用例発明では、「ビーム均質化器106」は「レーザー光源102」と離れている点。

6.判断
6-1.相違点1について
ブラック格子形状がその局部回折効率によって得られる光線が所望のものとなるように最適化されることは、本願優先日前周知(上記(2a)(2b)、引用例2参照。)である。
したがって、引用例発明における「ビーム均質化器106」の「上部に持つ」「バイナリー表面レリーフ位相格子構造」において、「ブラッグ格子パターン」を採用し、該「ブラッグ格子パターン」によって得られる光線が「円化、楕円化、平行化、発散、または集光」されるように、該「ブラック格子パターン」が「ブラッグ回折幾何に従って縦方向および横方向、さらにまた光軸についても最適化された局所格子周期」を有するようにしたことは、当業者にとって格別困難なことではない。

また、ブラック格子パターンを一部分のみに設け、他の部位に入射する光に作用させないようにすることは、当業者が適宜なし得た事項である。そして、他の部位に入射する光について、「円化、楕円化、平行化、発散、または集光」することは、当業者が適宜なし得た事項である。、

以上のことから、引用例発明における「ビーム均質化器106」の「上部に持つ」「バイナリー表面レリーフ位相格子構造」において、「ブラッグ格子パターン」を「部分的にのみ」採用し、「回折パターンは、最大の回折効率を供給するブラッグ回折幾何に従って縦方向および横方向、さらにまた光軸についても最適化された局所格子周期を有し、これによって、前記表面レリーフ型回折ブラッグ格子パターンに入射した光ビームのみならず、前記回折ブラッグ格子パターン以外の伝達素子(3,3’)の部位に入射した光ビームを、円化、楕円化、平行化、発散、または集光の前記用途のために案内する」ように構成することに、格別の困難性はない。

6-2.相違点2について
光を案内する透明材料とレーザー光源とをともに使用することは、本願優先日前に周知(上記(3a)(3b),引用例3参照。)である。
したがって、引用例発明の「レーザー光源102」において、相違点2に掛かる構成を採用することに、格別の困難性はない。

6-3.作用効果について
本願発明に係る効果は、引用例発明及び従来周知の事項から予測できる程度のものであって、格別のものではない。

6-4.まとめ
したがって、本願発明は、引用例発明と従来周知の技術とに基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定より、特許を受けることができない。

7.むすび
以上のとおりであるから、請求項1以外の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
なお、請求人は、平成21年4月8日付手続補正書のの請求の理由の中で「本件出願について、技術説明のために、審査官殿、審判官殿との電話によるインタビューをさせていただきたくお願い申し上げます。」と要請を提出しているが、これは、単に技術説明を希望することを表明したに過ぎず、電話によるインタビューの際に行う技術説明の具体的な内容が何ら記載されていないうえ、当審においても技術説明のための面接を行う必要性が特に認められないので、請求人の要請には応じられない。
さらに、請求人は、平成22年9月13日付回答書の中で、
「(1)下記の手続補正書(案)によって・・・。
このような手続補正書、意見書の機会を与えていただきたく、お願い致します。」と、主張している。しかし、本件においては、すでに十分に説明と補正の機会を与えてきたことから、特許法第17条の2で規定する補正の制限、行政効率及び行政の公平性などの観点からみて妥当でないので上記要望には応じられない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-12-16 
結審通知日 2010-12-21 
審決日 2010-12-27 
出願番号 特願2002-550008(P2002-550008)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 安久 司郎  
特許庁審判長 柏崎 康司
特許庁審判官 伏見 隆夫
木村 史郎
発明の名称 ビーム整形器  
代理人 西教 圭一郎  

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