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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1237396
審判番号 不服2009-21913  
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-11-10 
確定日 2011-05-25 
事件の表示 特願2000-216263「データ処理装置及びその制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 4月13日出願公開、特開2001-103232〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成12年7月17日(国内優先権主張 平成11年7月26日)の出願であって、平成21年5月19日付けの拒絶理由の通知に対し、同年7月17日付けで手続補正がなされたが、同年8月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月10日に審判請求とともに手続補正がなされたものである。

第2.平成21年11月10日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成21年11月10日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1.補正の内容
この手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「データ処理装置であって、
ネットワークに接続する接続手段と、
画像データを処理するジョブを実行する処理手段と、
前記処理手段によるジョブの実行の指示を受け付けるための操作部と、
前記処理手段により実行したジョブの履歴情報と前記ジョブで処理された画像データとを、前記データ処理装置が前記接続手段を介してネットワーク上の端末へ転送するか否かをユーザ毎に設定する設定手段と、
前記操作部によりジョブの実行を指示したユーザを判定する判定手段と、
前記設定手段による設定に応じて、前記判定手段が判定したユーザにより実行を指示され前記処理手段で処理したジョブの履歴情報と当該ジョブで処理された画像データとを、前記データ処理装置が前記接続手段を介して前記ネットワーク上の端末へ転送するか否かを制御する制御手段と
を備えることを特徴とするデータ処理装置。」

2.補正の適否
上記補正後の請求項1は、補正前の請求項1における「設定手段」及び「制御手段」の設定、制御を行う主体が「データ処理装置」であることを限定するものである。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、平成18年改正前特許法という)第17条の2第4項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という)が平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定された特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記「第2.1.」に記載した事項により特定されるとおりのものである。

(2)刊行物
これに対して、原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開平10-243151号公報(以下、「刊行物1」という)には、図面とともに、次のア?ウの事項が記載されている。
ア.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、データ処理端末と接続可能なデータ通信装置、そのデータ処理端末の制御方法及びプログラムを格納した記憶媒体に関するものである。」

イ.「【0026】図3は図2のステップS8における送信情報通知処理の流れを示すフローチャートである。
【0027】通知のタイミングはRAM103に予め設定しておくものとし、送信終了後に一括して通知するよう設定されている場合は全ての送信情報を一度にPC118に通知し、送信状態が変化する毎に逐時通知するよう設定されている場合は通知すべき送信情報が一つ確定する毎に一つずつPC118に通知する。
【0028】まず、送信宛先に関する情報、送信開始時刻および終了時刻、通信時間、通信結果(OKまたはNG)、送信ページ数などの通知すべき送信情報のうち確定しているものをRAM103内の通知データバッファにセットする(ステップS11)。送信情報に送信画像データを含めるか否かの設定をチェックする(ステップS12)。送信画像データも通知(転送)する設定である時は通知データバッファに送信画像データの識別【0029】次にPC118がデータ授受可能な状態であるかどうかをチェックし(ステップS14)、可能な状態であれば、通知データバッファにセットされた情報をもとにデータを転送する(ステップS15)。」

ウ.「【0052】図8は図5のファクシミリ装置201の操作部112からの操作により画像データを送信する際の処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートはROM102に格納されたプログラムデータに基づきCPU101が行う制御の流れを示すものである。
【0053】操作部112上の宛先指示キー、例えばワンタッチダイヤルキーや短縮ダイヤルキーなどがオペレータにより押下されたことを検出すると(ステップS31)、押下された宛先指示キーに対応するRAM103内の宛先情報をチェックし(ステップS32)、内容が無効または該当データがない場合はエラー終了する。
【0054】内容が有効なデータであれば該当する宛先情報を外部表示部113に表示する(ステップS33)。その後、操作者(ユーザ名)を指定するキー入力(ステップS34)と宛先を確定するキー操作または所定の時間経過を持つ(ステップS35)。操作者を指定するキーが押下された場合は、該当する操作者情報がRAM103内にあるかをチェックし(ステップS41)、情報があれば表示する(ステップS42)。確定条件成立後、宛先情報と操作者情報を確定する(ステップS36)。
【0055】各通信毎に固有の送信受付番号と送信受付時刻を設定した後(ステップS37)、スキャナ111の原稿台上の原稿の画像を読み取り、通信回線119または129を介してITU-TのT.30に従い、ステップS36で確定した宛先にファクシミリデータスキャナ111で読み取った画像データの送信を行う(ステップS38)。送信終了後、操作者情報が指定されていたかどうかをチェックし(ステップS39)、指定されている場合は、送信情報を操作者情報とともに有線LANインターフェース122を経由してサーバマシン202に通知する(ステップS40)。
【0056】送信情報通知は、前述のように送信後に一括して通知しても良いし、送信状態が変化する毎に、例えばダイヤル開始、前手順開始、各ページの画像データ送信開始、通信終了などのタイミングで逐次、必要な情報を通知する方法でも良い。また、操作者情報が指定されていない場合に、操作者不明を示すデータとともに送信情報を通知しても良い。
【0057】図9はステップS40における送信情報通知処理の流れを示すフローチャートである。処理の流れは図3に示したフローチャートとほぼ同様でありステップS51において図3のステップS11でセットした情報にステップS36で確定した操作者情報を加えてセットし、ステップS54では図3のステップS14のPCをサーバマシン202と読み替え、操作者情報を含む送信情報を転送する点が異なる。また、ステップS55では相手先へ送信した画像データの転送も行う。」

以上の記載から、刊行物1には次の発明(以下、「刊行物1発明」という)が記載されている。

ファクシミリ装置であって、
LANに接続するLANインターフェースと、
読み取った画像データの送信を行う手段と、
操作部と、
前記操作部上の宛先指示キーがオペレータにより押下されたことを検出すると、押下された宛先指示キーに対応する宛先情報をチェックし、内容が有効なデータであれば該当する宛先情報を外部表示部に表示し、その後、操作者(ユーザ名)を指定するキー入力と宛先を確定するキー操作を待ち、操作者を指定するキーが押下された場合は、該当する操作者情報がRAM内にあるかをチェックし、情報があれば表示し、確定条件成立後、宛先情報と操作者情報を確定し、確定した宛先に読み取った画像データの送信を行い、送信終了後、操作者情報が指定されていたかどうかをチェックし、指定されている場合は、送信宛先に関する情報、送信開始時刻および終了時刻、通信時間、通信結果、送信ページ数などの通知すべき送信情報を操作者情報とともに前記LANインターフェースを経由して前記LAN上のサーバマシンに通知し、また、相手先へ送信した画像データの転送も行う手段と、
を備えるファクシミリ装置。

(3)対比
本願補正発明と刊行物1発明とを対比する。

刊行物1発明の「ファクシミリ装置」は、「データ処理装置」といえるものである。

刊行物1発明の「LANに接続するLANインターフェース」は、本願補正発明の「ネットワークに接続する接続手段」に相当する。

刊行物1発明の「読み取った画像データの送信を行う手段」は、画像データの送信はジョブの実行といえるから、本願補正発明の「画像データを処理するジョブを実行する処理手段」に相当する。

刊行物1発明の「操作部」は、宛先を確定するキー操作を検出すると、確定条件成立後、宛先情報と操作者情報を確定し、確定した宛先に読み取った画像データの送信を行うのであるから、本願補正発明の「前記処理手段によるジョブの実行の指示を受け付けるための操作部」に相当する。

刊行物1発明は、「操作者(ユーザ名)を指定するキー入力と宛先を確定するキー操作を待ち、操作者を指定するキーが押下された場合は、該当する操作者情報がRAM内にあるかをチェックし、情報があれば表示し、確定条件成立後、宛先情報と操作者情報を確定し、確定した宛先に読み取った画像データの送信を行」う手段を備えるものであり、この手段により確定される操作者情報は、操作部によりジョブの実行を指示したユーザの情報といえるから、この手段は、本願補正発明の「前記操作部によりジョブの実行を指示したユーザを判定する判定手段」に相当する。

刊行物1発明の「送信宛先に関する情報、送信開始時刻および終了時刻、通信時間、通信結果、送信ページ数などの通知すべき送信情報」と「相手先へ送信した画像データ」は、それぞれ、本願補正発明の「前記判定手段が判定したユーザにより実行を指示され前記処理手段で処理したジョブの履歴情報」と「当該ジョブで処理された画像データ」に相当し、これら送信情報と画像データは、ファクシミリ装置がLANインターフェースを介してLAN上のサーバマシンに通知、転送(本願補正発明の「前記データ処理装置が前記接続手段を介して前記ネットワーク上の端末へ転送する」ことに相当)するものであり、また、このサーバマシンへの通知、転送は、操作者情報が指定されている場合のみ行われ、操作者情報が指定されていない場合は行われないものである(これは、図8のフローチャートのS39、S40の記載からも明らかである)。
したがって、本願補正発明と刊行物1発明とは、「前記設定手段による設定に応じて」いる点を除いて、「前記判定手段が判定したユーザにより実行を指示され前記処理手段で処理したジョブの履歴情報と当該ジョブで処理された画像データとを、前記データ処理装置が前記接続手段を介して前記ネットワーク上の端末へ転送するか否かを制御する制御手段とを備える」点で共通するものである。

以上をまとめると、本願補正発明と刊行物1発明の一致点及び相違点は次のとおりである。

[一致点]
「データ処理装置であって、
ネットワークに接続する接続手段と、
画像データを処理するジョブを実行する処理手段と、
前記処理手段によるジョブの実行の指示を受け付けるための操作部と、
前記操作部によりジョブの実行を指示したユーザを判定する判定手段と、
前記判定手段が判定したユーザにより実行を指示され前記処理手段で処理したジョブの履歴情報と当該ジョブで処理された画像データとを、前記データ処理装置が前記接続手段を介して前記ネットワーク上の端末へ転送するか否かを制御する制御手段と
を備えることを特徴とするデータ処理装置。」

[相違点]
「前記判定手段が判定したユーザにより実行を指示され前記処理手段で処理したジョブの履歴情報と当該ジョブで処理された画像データとを、前記データ処理装置が前記接続手段を介して前記ネットワーク上の端末へ転送するか否かを制御する制御手段」が、本願補正発明では、転送するか否かを「ユーザ毎に設定する設定手段」を備えて該設定に応じて転送するか否かを制御するのに対し、刊行物1発明ではそうではない点。

(4)当審の判断
相違点について検討する。
上述したように、刊行物1発明において、送信情報等をサーバマシンに通知(転送)するのは、操作者情報が指定されている場合のみであり、また、該操作者情報の指定は、操作者が操作者を指定するキー入力をするか否かにより選択できるものである。すなわち、刊行物1発明は、操作者が、操作者を指定するキー入力をすれば送信情報等がサーバマシンに通知(転送)され、操作者を指定するキー入力をしなければ送信情報等がサーバマシンに通知(転送)されないものである。
一方、ファクシミリ装置において、該装置が備えるある機能を実行可能とするか否かを、設定手段によりユーザ毎に設定すること自体は周知の技術(例えば、特開平10-327288号公報の【0007】には、「メールの自動受信を行うか否か、受信メールの自動プリントを行うか否か、親展受信メールの保存期間等のユーザ毎の設定を記憶しておくことにより、電子メール通信に関する機能をユーザ毎に設定することができるファクシミリ装置」が、特開平11-68829号公報の【0022】には、「それぞれがネットワークにアカウント、メールアドレスを有する複数のユーザが装置を共用することが可能であり、またテキストメールの受信を行うか否か(ON/OFF)をユーザ毎に設定することが可能である。」と記載されている)である。
したがって、刊行物1発明において、該周知技術を適用し、操作者情報がキー入力された際に、キー入力された操作者情報(ユーザ情報)に応じて、通知(転送)するか否かをユーザ毎に設定する設定手段を備えて、該設定に応じて通知(転送)するか否かを制御することは当業者が容易に想到できることである。

(5)まとめ
以上により、本願補正発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反してなされたものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
平成21年11月10日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成21年7月17日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、次のとおりのものである。

「ネットワークに接続する接続手段と、
画像データを処理するジョブを実行する処理手段と、
前記処理手段によるジョブの実行の指示を受け付けるための操作部と、
前記処理手段により実行したジョブの履歴情報と前記ジョブで処理された画像データとを前記接続手段を介してネットワーク上の端末に転送するか否かをユーザ毎に設定する設定手段と、
前記操作部によりジョブの実行を指示したユーザを判定する判定手段と、
前記設定手段による設定に応じて、前記判定手段が判定したユーザにより実行を指示され前記処理手段で処理したジョブの履歴情報と当該ジョブで処理された画像データとを、前記接続手段を介して前記ネットワーク上の端末に転送するか否かを制御する制御手段とを備えることを特徴とするデータ処理装置。」

2.刊行物
原査定の拒絶の理由で引用された刊行物、及び、その記載事項は、前記第2.2.(2)に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2.2.」で検討した本願補正発明の「設定手段」及び「制御手段」に対する限定を行わないものである。
そうすると、本願発明をさらに限定した本願補正発明が上記「第2.2.(5)」に記載したとおり、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-03-28 
結審通知日 2011-04-01 
審決日 2011-04-12 
出願番号 特願2000-216263(P2000-216263)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松尾 淳一  
特許庁審判長 吉村 博之
特許庁審判官 古川 哲也
千葉 輝久
発明の名称 データ処理装置及びその制御方法  
代理人 木村 秀二  
代理人 下山 治  
代理人 高柳 司郎  
代理人 大塚 康徳  
代理人 大塚 康弘  
代理人 永川 行光  
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