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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
審判 査定不服 特29条の2 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
管理番号 1237771
審判番号 不服2008-15410  
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-06-18 
確定日 2011-05-30 
事件の表示 特願2001-322499「サーバ、システム及びそれらの制御方法、プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 5月 9日出願公開、特開2003-132249〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願出願は,平成13年10月19日の出願であって,平成20年5月14日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年6月18日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに,同年7月18日付けで手続補正がなされ、平成21年10月9日付けの審尋に対して、同年12月14日付けで回答書が提出されたが、その後当審において、平成22年11月11日付けの拒絶理由通知が通知され、平成23年1月14日付けで手続補正がなされたものである。

第2 本願発明について
本願の請求項に係る発明は、平成23年1月14日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、請求項1に係る発明は次のとおりである。

「【請求項1】 ネットワークを介してクライアントから受信する情報に基づいて印刷画像の処理を実行するサーバであって、
複数種類の印刷媒体それぞれを示す印刷媒体画像を記憶する画像データベースと、
前記印刷媒体に印刷する印刷画像と、該印刷画像が印刷される印刷媒体を前記画像データベースに記憶された前記複数種類の印刷媒体画像の中から指定する指定情報と、合成画像に対する編集指示情報とを前記クライアントより受信する受信手段と、
印刷媒体を指定する前記指定情報により選択又は選択し直された印刷媒体画像を、前記クライアントのWEBブラウザ上で表示可能なWEBコンテンツの形態で該クライアントへ送信する第1送信手段と、
前記クライアントから受信した前記指定情報に対応して選択が確定された後の印刷媒体画像と、前記印刷媒体画像の確定後に前記クライアントから受信した前記印刷画像との合成画像を、該印刷画像を受信することに基づいて生成するとともに、前記合成画像を前記クライアントのWEBブラウザ上で表示可能なWEBコンテンツの形態で該クライアントへ送信する生成手段と、
前記生成手段で生成した合成画像を、前記受信手段により受信した前記編集指示情報に従って編集する編集手段と、
前記編集手段により編集又は編集し直した前記合成画像と、前記クライアントによる印刷発注指示が可能な操作部を構成する操作画面とを、前記クライアントのWEBブラウザ上で表示可能なWEBコンテンツの形態で該クライアントへ送信する第2送信手段と、
編集が確定された後の前記合成画像に基づく発注の指示を前記クライアントより受信した場合に、前記印刷画像の印刷に係る情報を保存する処理を実行する実行手段と
を備えること特徴とするサーバ。」

第3 当審の拒絶理由通知について
平成22年11月11日付け拒絶理由通知書に記載した拒絶理由の概要は次のとおりである。

「1)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・請求項1?12
・引用文献等 1(特開2001-197230号公報)

2)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願の日前の特許(実用新案登録)出願であって、その出願後に出願公告(特許掲載公報の発行又は実用新案掲載公報の発行)又は出願公開がされた下記の特許(実用新案登録)出願の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明(考案)と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許(実用新案登録)出願に係る上記の発明(考案)をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許(実用新案登録)出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。
・請求項1?12
・引用文献等 2(特願2000-385556号(特開2002-183538号公報))

3)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
・請求項12
・備考
請求項12には、クライアントが果たす「第1送信工程」という機能と、サーバが果たす「管理工程」、「第2送信工程」、「編集工程」、「第3送信工程」、「実行工程」という複数の機能とにより特定される「プログラム」が記載されている。
ところで、一般的には、クライアントとサーバは別個のコンピュータにより構成されていることから、クライアント用プログラムとサーバ用プログラムについても、それぞれ別個のプログラムと考えるのが普通である。
そうすると、クライアントとサーバの機能を混在させた「プログラム」として発明を特定した請求項12からは、一つのまとまった「プログラム」の発明を明確に把握することができない。 」

この拒絶理由通知に対して、平成23年1月14日付けの手続補正により請求項12が削除されて理由3が解消されたため、以下では理由1と理由2について検討する。

第4 理由2について(特許法第29条の2)

1 引用文献について
引用文献2 特願2000-385556号(特開2002-183538号公報)

平成22年11月11日付けの拒絶理由通知において引用文献2として引用された、本願の出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開された特願2000-385556号(特開2002-183538号公報)の願書に最初に添付された明細書又は図面には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付加したものである。

・【特許請求の範囲】
「【請求項1】 情報を入出力することができる消費者端末と、
画像提供者によって提供される提供画像の画像データを記憶する提供画像記憶手段と、
前記消費者端末及び前記提供画像記憶手段とインターネットを介して接続された処理サーバと、を備え、前記処理サーバは、
消費者によって提供されるユーザ画像の画像データを記憶するユーザ画像記憶手段と、
商品の画像データを記憶する商品画像記憶手段と、
前記消費者端末からの検索指示により、当該検索指示に合致する提供画像の画像データを前記提供画像記憶手段から検索する提供画像検索手段と、
前記提供画像検索手段によって検索された1つ又は複数の提供画像の画像データ、又は1つ又は複数のユーザ画像の画像データを、前記提供画像記憶手段又は前記ユーザ画像記憶手段から読み出し、当該画像データに基く1つ又は複数の画像を所定の形式で前記消費者端末に表示させる画像表示手段と、
前記画像表示手段によって前記消費者端末に表示された前記画像の中からの前記消費者による画像の選択を受け付ける画像選択手段と、
1つ又は複数の商品の一覧を前記消費者端末に表示させ、当該商品の中からの前記消費者による商品の選択を受け付ける商品選択手段と、
前記画像選択手段によって選択された画像の画像データと、前記商品選択手段によって選択された商品の画像データとを所定の方法で処理することにより、当該画像がプリントされた当該商品のイメージを表わす合成画像を生成する画像合成手段と、
当該画像合成手段によって生成された当該合成画像を前記消費者端末に表示させる合成画像表示手段と、
前記消費者端末に表示された前記合成画像が表わす商品についての注文を前記消費者端末を通じて受け付ける商品注文取得手段と、を有することを特徴とするカスタムメイド商品販売システム。
【請求項2】 前記処理サーバは、前記消費者によって提供されるユーザ画像の画像データを前記消費者端末を通じて取得するユーザ画像取得手段を更に有し、
前記ユーザ画像記憶手段は、当該ユーザ画像取得手段によって取得されるユーザ画像の画像データを記憶することを特徴とする請求項1に記載のカスタムメイド商品販売システム。
【請求項3】 前記処理サーバは、前記画像選択手段によって選択された画像の画像データを前記消費者端末を通じて編集させる画像編集手段を更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載のカスタムメイド商品販売システム。」

「【0001】本発明は、商品販売システムに関し、より詳しくは、消費者の所望の画像をプリントしたカスタムメイド商品をインターネットを通じて販売するカスタムメイド商品販売システムに関する。」

「【0002】近年の消費者のオリジナル志向の高まりにつれて、既製の商品にはないオリジナリティを有するカスタムメイド商品の人気が高まりつつある。カスタムメイド商品とは、広義には、その形・デザイン・機能のような基本的な設計要素を消費者が自己の設計又は選択によって製作させる商品をいう場合もあるが、ここで言うカスタムメイド商品は、原型となる既製の商品に、消費者が提供又は選択したデザインを施した商品、一般的には、消費者が提供又は選択した画像等をプリントした商品のことであり、商品の種類としては、Tシャツ、トレーナー、バッグ、タイル、マグカップ、皿、マウスパッド、タペストリーなどがある。従来より、このようなカスタムメイド商品を作成販売する商法は一部に存在していた。従来のカスタムメイド商品の販売方法は、消費者が持ち込んだ画像データ等を店頭で受け取り、それを店舗内の印刷機によって商品にプリントし、それをその場で販売するというスタイルによるものが大半であった。」

「【0013】処理サーバA 2は、商品販売者が管理する、カスタムメイド商品販売に関する各種の機能を実行するサーバである(請求項に記載の「処理サーバ」が該当する)。処理サーバA 2は、図示していないが、記憶手段(HDD、RAMなど)、プログラム実行手段(CPU、OSなど)、ネットワーク接続手段(LANアダプタ、ルータなど)を有している。本発明の各種の手段又はステップによる機能を実行するためのアプリケーションが、それを記憶しているHDDからRAMにロードされ、ネットワーク接続手段を通じて入力されたコマンドに基き、CPUによってOSを仲立ちとして実行される。処理サーバA 2は、LANアダプタによってDBサーバA3及び販売者端末9に接続され、ルータによって接続されたインターネットを介して処理サーバB 11及び消費者端末16に接続される。処理サーバA 2は、本発明の各種の手段又はステップによる機能を実行するためのWebページを提供するWebサイト(以下、「本Webサイト」と称する)をインターネットのWWW上に提供するWWWサーバとしても機能する。なお、処理サーバA 2と販売者端末9との間のネットワークは、インターネットであってもよい。」

「【0016】ユーザ画像データファイル5は、消費者から提供された画像データを含むデータファイルである(請求項に記載の「ユーザ画像記憶手段」が該当する)。消費者は、インターネット経由で画像データをカスタムメイド商品販売システム1に送信することができるし、また、画像データを記録したフロッピー(登録商標)ディスク、MOディスク等を商品販売者に郵送等で送付して、その画像データをユーザ画像データファイル5に記憶させることもできる。また消費者は、画像データにしたい写真・イラスト等を郵送などで商品販売者に送付し、商品販売者の有する画像読取装置A 10によって読み取らせることによって画像データを生成させることもできる。ユーザ画像データは、消費者端末16からの指定により、商品にプリントする画像を生成するために使用される。」

「【0039】消費者は、選択した画像を確認後、その画像を確定するためには、画面上の「PRINT」ボタン801を選択する。「PRINT」ボタン801が画面上で選択されると、消費者端末16は、その選択を処理サーバA 2に送信する(ステップS123)。処理サーバA 2は、その選択を受信すると、「商品選択」画面を消費者端末16に送信する(ステップS124)。消費者端末16は、「商品選択」画面を受信し、それを図9に示すように表示する(ステップS125)。「商品選択」画面には、選択された画像をプリントする商品の一覧が表示される。表示される商品には、Tシャツ、マグカップ、マウスパッド、タイルなどが含まれる。画面に表示されたそれぞれの商品の商品名は、それ自身を選択するためのボタン(「商品名」ボタン)にもなっており、例えばTシャツについては、Tシャツの「商品名」ボタン902が対応する。それぞれの「商品名」ボタンの右側には、「SAMPLE」ボタンが表示されている。「SAMPLE」ボタンは、それに対応する商品の画像イメージを表示させるためのボタンである。例えばTシャツの「商品名」ボタン902の右側には、それに対応する「SAMPLE」ボタン901が表示されている。消費者がTシャツの画像イメージを確認するために、Tシャツに対応する「SAMPLE」ボタン901を画面上で選択すると、消費者端末16はその選択を処理サーバA 2に送信する(ステップS126)。処理サーバA 2は、その選択を受信すると、「SAMPLE」ボタン901に対応する商品「Tシャツ」の商品画像データを商品情報データファイル6から検索する。処理サーバA 2は、検索された商品画像データが表わす画像を表示する「商品サンプル」画面を消費者端末16に送信する(ステップS127)。消費者端末16は、「商品サンプル」画面を受信し、それを図10に示すように別のウィンドウとして表示する(ステップS128)。「商品サンプル」画面には、商品の正面図、商品のサイズなどが表示される。「商品サンプル」画面には、図示していないが、画面上のボタン操作により、商品の他の角度からの図、例えば背面図などを表示させることもできる。消費者は、「商品サンプル」画面によって、商品の仕様の詳細を確認することができる。」

「【0040】商品の確認後、画面上の「閉じる」ボタンを選択することによって「商品サンプル」画面のウィンドウが閉じられ、今まで背面にあった、図9に示す「商品選択」画面が表示される。消費者が商品として「Tシャツ」を選択するために、Tシャツの「商品名」ボタン902を画面上で選択すると、消費者端末16はその選択を処理サーバA 2に送信する(ステップS129)。処理サーバA 2は、その選択を受信すると(この機能は請求項に記載の「商品選択手段」に該当する)、「画像組合わせ商品」画面を消費者端末16に送信する(ステップS130)。消費者端末16は、「画像組合わせ商品」画面を受信し、それを図11に示すように表示する(ステップS131)。「画像組合わせ商品」画面には、ステップS120で選択された画像見本の画像及びステップS129で選択された商品名の商品が画面中央部の表示領域802及び1103にそれぞれ表示される。「画像組合わせ商品」画面の上部には、引き続き、「商品名」ボタンが表示されている。ここで、他の商品の「商品名」ボタンを画面上で選択することによって、選択された商品を変更することができ、表示領域802に表示される商品の画像イメージもそれに合わせて変更される。消費者は、プリントする画像とプリントされる商品との組合わせをこの画面で確認することができる。その確認後、消費者が実際にプリントされた商品のイメージを確認するために、選択されている商品「Tシャツ」に対応する「SAMPLE」ボタン901を画面上で選択すると、消費者端末16はその選択を処理サーバA 2に送信する(ステップS132)。処理サーバA 2は、その選択を受信すると、「SAMPLE」ボタン901に対応する商品「Tシャツ」の商品画像データを商品情報データファイル6から検索する。処理サーバA 2は、ステップS120で選択された画像見本の画像を、ステップS129で選択された商品名の商品の画像の上に、適切な縮尺で重ね合わせることによって、画像のプリントされた商品の合成画像イメージを生成し(この機能は請求項に記載の「画像合成手段」に該当する)、それを含む「出来上がり予想図」画面を構成して消費者端末16に送信する(ステップS133)(この機能は請求項に記載の「合成画像表示手段」に該当する)。消費者端末16は、「出来上がり予想図」画面を受信し、それを図12に示すように別のウィンドウとして表示する(ステップS134)。「出来上がり予想図」画面には、選択された画像がプリントされた商品の画像イメージ及び商品のサイズ(寸法)の情報が表示され、また、商品上でのプリントされる画像の位置・大きさなどが実際の仕上がりを反映した状態で表示される。なお、商品にプリントされる画像の位置・大きさは、商品の属性データにデフォールトで定められているが、以下のようにして個別に変更することができる。商品上に表示された画像をマウス操作で選択すると、その画像が選択され、消費者端末16は、その画像の輪郭に沿ってハンドルを表示する。そのハンドルをドラグ&ドロップすると、画像の位置・大きさが画面上で自由に変更される。画面上で変更した画像の位置・大きさは、処理サーバA 2に送信される(この機能は請求項に記載の「画像編集手段」に該当する)。」

「【0041】出来上がり予想図の確認後、画面上の「閉じる」ボタンを選択することによって「出来上がり予想図」画面のウィンドウが閉じられ、今まで背面にあった、図11に示す「画像組合わせ商品」画面が表示される。消費者が商品を注文するためには、画面上の「注文データ入力欄」1101に注文データを入力する(ステップS135)。注文データとしては、サイズ、色、注文数などがある。図11の例では、サイズ及び注文数の入力欄が表示されている。注文データの入力後、「注文」ボタン1102が選択されると、消費者端末16は、入力された注文データを処理サーバA 2に送信する。処理サーバA 2は、注文データを受信し、それに基いて、DBサーバA 3が管理する受注情報データファイル8を更新する(この機能は請求項に記載の「商品注文取得手段」に該当する)。これによって、商品販売者は消費者からの注文の受け付けが完了する。処理サーバA 2は、注文の受付後、注文した消費者に確認のためのメールを送信する。更新された受注情報の内、商品の品番・サイズ・色・個数、注文をした消費者の氏名・住所などは商品の発送部門に伝えられ、それに基いて商品が発送される。また、商品の合計価格、注文をした消費者の氏名・住所などの受注情報は、代金請求部門に伝えられ、それに基いて代金の請求が行われる。なお、図示していないが、処理サーバA 2は、消費者端末16に代金の支払方法選択画面を表示させ、それを通じて支払方法の選択を受け付けることができる。支払方法としては、銀行振込、クレジットカード決済、代金引換などがある。クレジットカード決済が消費者によって選択された場合、処理サーバA 2は、注文の受付後、ネットワークを通じてクレジットカード会社のコンピュータに決済の要求を行うこともできる。以上で、消費者は、プリントする画像の選択、プリントする画像の変更、プリントされる商品の選択、出来上がり予想図の確認、注文数を指定しての注文という、カスタムメイド商品の選択から注文までの一連の操作が実行されたことになる。」

そうすると、引用文献2の上記摘記事項及び図面1?12から、引用文献2には次の発明(引用発明2)が記載されていると認められる。なお、括弧内のステップ番号は、引用文献2の図3に示されたフローチャートに示されたステップ番号を参考までに記載したものである。

「消費者端末とインターネットを介して接続された処理サーバであって、カスタムメイド商品販売に関する各種の機能を実行し、WWWサーバとしても機能する処理サーバにおいて、
上記処理サーバは、
商品の画像データを記憶する商品画像記憶手段(6)と、
前記消費者によって提供されるユーザ画像の画像データを前記消費者端末を通じて取得するユーザ画像取得手段(ステップS112)と、
画像表示手段によって前記消費者端末に表示された画像の中からの前記消費者による画像の選択を受け付ける画像選択手段(ステップS120)と、
1つ又は複数の商品の一覧を前記消費者端末に表示させ、当該商品の中からの前記消費者による商品の選択を受け付ける商品選択手段であって、消費者による「SAMPLE」ボタンの選択(S126)を受信すると前記商品画像記憶手段(6)を検索して、「商品サンプル」画面を消費者端末に送信する手段(ステップS127)を含み、
前記画像選択手段によって選択された画像の画像データと、前記商品選択手段によって選択された商品の画像データとを所定の方法で処理することにより、当該画像がプリントされた当該商品のイメージを表わす合成画像を生成する画像合成手段と、当該画像合成手段によって生成された当該合成画像イメージを含む「出来上がり予想図」を前記消費者端末に表示させる合成画像表示手段(ステップS133)と、
前記画像選択手段によって選択された画像の画像データを前記消費者端末を通じて編集させる画像編集手段であって、「出来上がり予想図」画面に選択された画像がプリントされた商品の画像イメージを表示し、画面上で変更した画像の位置・大きさが処理サーバに送信されるようにした手段と、
「出来上がり予想図」の確認後、「注文データ入力欄」を含む「画像組合わせ商品」画面を表示する手段と、
前記消費者端末に表示された前記合成画像が表わす商品についての注文を前記消費者端末を通じて受け付ける商品注文取得手段であって、注文データを受信し、それに基づいて受注情報データファイル8を更新する手段と、
を備えることを特徴とする処理サーバ。」

2 対比、判断
本願発明と引用発明2を対比する。

(ア)本願発明の「サーバ」について
引用発明2における「消費者端末とインターネットを介して接続された処理サーバ」は、「カスタムメイド商品販売に関する各種の機能を実行」するものであり、また、「カスタムメイド商品とは、原型となる既成の商品に、消費者が提供又は選択したデザインを施した商品、一般的には、消費者が提供又は選択した画像等をプリントした商品のこと」(引用文献2の【0002】段落)であることを考慮すると、引用発明2における上記「処理サーバ」は、印刷画像の処理を実行していることは明らかである。
そうすると、引用発明2における「消費者端末とインターネットを介して接続された処理サーバであって、カスタムメイド商品販売に関する各種の機能を実行し、WWWサーバとしても機能する処理サーバ」は、本願発明における「ネットワークを介してクライアントから受信する情報に基づいて印刷画像の処理を実行するサーバ」に対応している。

(イ)本願発明の「画像データベース」について
引用発明2における「商品」と「商品の画像データ」は、本願発明における「印刷媒体」と「印刷媒体画像」に対応している。
そうすると、引用発明2における「商品の画像データを記憶する商品画像記憶手段(6)」は、本願発明における「複数種類の印刷媒体それぞれを示す印刷媒体画像を記憶する画像データベース」に対応している。

(ウ)本願発明の「受信手段」について
引用発明2における「ユーザ画像取得手段」が取得する「ユーザ画像の画像データ」は、引用文献2【0016】段落に記載されるように、「消費者端末16からの指定により、商品にプリントする画像を生成するために使用される」ものであることから、本願発明における「印刷媒体に印刷する印刷画像」に対応している。
また、引用発明2における「商品選択手段」は、「消費者による「SAMPLE」ボタンの選択」を受信すると、商品画像記憶手段(6)を検索して、「商品サンプル」画面を消費者端末1に送信していることから、当該「消費者による「SAMPLE」ボタンの選択」は、本願発明における「印刷画像が印刷される印刷媒体を前記画像データベースに記憶された前記複数種類の印刷媒体画像の中から指定する指定情報」に対応している。
さらに、引用発明2における「画像編集手段」は、「画面上で変更した画像の位置・大きさが処理サーバに送信されるように」構成されており、当該「画像の位置・大きさ」により合成画像の編集が行われることから、当該「画像の位置・大きさ」は、本願発明における「合成画像に対する編集指示情報」に対応している。
そうすると、引用発明2において、上記「ユーザ画像取得手段」が「ユーザ画像の画像データ」を受信し、「商品選択手段」が「消費者による「SAMPLE」ボタンの選択」を受信し、「画像編集手段」が「画像の位置・大きさ」を受信するという事項は、本願発明における「前記印刷媒体に印刷する印刷画像と、該印刷画像が印刷される印刷媒体を前記画像データベースに記憶された前記複数種類の印刷媒体画像の中から指定する指定情報と、合成画像に対する編集指示情報とを前記クライアントより受信する受信手段」に対応している。

(エ)本願発明の「第1送信手段」について
引用発明2における「商品選択手段」は、「消費者が「SAMPLE」ボタンを画面上で選択すると「商品サンプル」画面を消費者端末に送信」しており、また、引用発明2における「処理サーバ」はWWWサーバとしても機能することから、引用発明2におけるこれら事項は、本願発明における「印刷媒体を指定する前記指定情報により選択又は選択し直された印刷媒体画像を、前記クライアントのWEBブラウザ上で表示可能なWEBコンテンツの形態で該クライアントへ送信する第1送信手段」に対応している。

(オ)本願発明の「生成手段」について
引用発明2では、「SAMPLE」ボタンの選択により商品が選択された後に「画像合成手段」による画像合成が行われることから、引用発明2の「画像合成手段」により処理される「前記商品選択手段によって選択された商品の画像データ」は、本願発明における「前記クライアントから受信した前記指定情報に対応して選択が確定された後の印刷媒体画像」に対応している。
また、引用発明2の「画像合成手段」により処理される「前記画像選択手段によって選択された画像の画像データ」は、「ユーザ画像取得手段」により取得された「消費者によって提供されたユーザ画像の画像データ」から選択されたものであるから、本願発明における「クライアントから受信した印刷画像」に対応している。
さらに、引用発明2における「当該画像合成手段によって生成された当該合成画像イメージを含む「出来上がり予想図」を前記消費者端末に表示させる合成画像表示手段(ステップS133)」は、本願発明における「前記合成画像を前記クライアントのWEBブラウザ上で表示可能なWEBコンテンツの形態で該クライアントへ送信する」という事項に対応している。
そうすると、引用発明2における「前記画像選択手段によって選択された画像の画像データと、前記商品選択手段によって選択された商品の画像データとを所定の方法で処理することにより、当該画像がプリントされた当該商品のイメージを表わす合成画像を生成する画像合成手段と、当該画像合成手段によって生成された当該合成画像イメージを含む「出来上がり予想図」を前記消費者端末に表示させる合成画像表示手段(ステップS133)」は、本願発明における「前記クライアントから受信した前記指定情報に対応して選択が確定された後の印刷媒体画像と、前記クライアントから受信した前記印刷画像との合成画像を、生成するとともに、前記合成画像を前記クライアントのWEBブラウザ上で表示可能なWEBコンテンツの形態で該クライアントへ送信する生成手段」に対応している。

(カ)本願発明の「編集手段」について
引用発明2における「前記画像選択手段によって選択された画像の画像データを前記消費者端末を通じて編集させる画像編集手段であって、「出来上がり予想図」画面に選択された画像がプリントされた商品の画像イメージを表示し、画面上で変更した画像の位置・大きさが処理サーバに送信されるようにした手段」は、上記(ウ)に示した「編集指示情報」についての対応関係も考慮すれば、本願発明における「前記生成手段で生成した合成画像を、前記受信手段により受信した前記編集指示情報に従って編集する編集手段」に対応している。

(キ)本願発明の「第2送信手段」について
引用発明2の「画像編集手段」における「「出来上がり予想図」画面に選択された画像がプリントされた商品の画像イメージを表示し、画面上で変更した画像の位置・大きさが処理サーバに送信される」との事項は、本願発明における「前記編集手段により編集又は編集し直した前記合成画像」を「前記クライアントのWEBブラウザ上で表示可能なWEBコンテンツの形態で該クライアントへ送信する」との事項を含んでいる。
また、引用発明2の「「出来上がり予想図」の確認後、「注文データ入力欄」を含む「画像組合わせ商品」画面を表示する手段」との事項は、本願発明における「前記クライアントによる印刷発注指示が可能な操作部を構成する操作画面を、前記クライアントのWEBブラウザ上で表示可能なWEBコンテンツの形態で該クライアントへ送信する」との事項を含んでいる。
そうすると、引用発明2における「前記画像選択手段によって選択された画像の画像データを前記消費者端末を通じて編集させる画像編集手段であって、「出来上がり予想図」画面に選択された画像がプリントされた商品の画像イメージを表示し、画面上で変更した画像の位置・大きさが処理サーバに送信されるようにした手段」と、「「出来上がり予想図」の確認後、「注文データ入力欄」を含む「画像組合わせ商品」画面を表示する手段」という事項は、本願発明における「前記編集手段により編集又は編集し直した前記合成画像と、前記クライアントによる印刷発注指示が可能な操作部を構成する操作画面とを、前記クライアントのWEBブラウザ上で表示可能なWEBコンテンツの形態で該クライアントへ送信する第2送信手段」を含んでいる。

(ク)本願発明の「実行手段」について
引用発明2における「前記消費者端末に表示された前記合成画像が表わす商品についての注文を前記消費者端末を通じて受け付ける商品注文取得手段であって、注文データを受信し、それに基づいて受注情報データファイル8を更新する手段」は、本願発明における「編集が確定された後の前記合成画像に基づく発注の指示を前記クライアントより受信した場合に、前記印刷画像の印刷に係る情報を保存する処理を実行する実行手段」に対応している。

以上によれば、本願発明と引用発明2とは、次の点で一致している。

「ネットワークを介してクライアントから受信する情報に基づいて印刷画像の処理を実行するサーバであって、
複数種類の印刷媒体それぞれを示す印刷媒体画像を記憶する画像データベースと、
前記印刷媒体に印刷する印刷画像と、該印刷画像が印刷される印刷媒体を前記画像データベースに記憶された前記複数種類の印刷媒体画像の中から指定する指定情報と、合成画像に対する編集指示情報とを前記クライアントより受信する受信手段と、
印刷媒体を指定する前記指定情報により選択又は選択し直された印刷媒体画像を、前記クライアントのWEBブラウザ上で表示可能なWEBコンテンツの形態で該クライアントへ送信する第1送信手段と、
前記クライアントから受信した前記指定情報に対応して選択が確定された後の印刷媒体画像と、前記クライアントから受信した前記印刷画像との合成画像を、生成するとともに、前記合成画像を前記クライアントのWEBブラウザ上で表示可能なWEBコンテンツの形態で該クライアントへ送信する生成手段と、
前記生成手段で生成した合成画像を、前記受信手段により受信した前記編集指示情報に従って編集する編集手段と、
前記編集手段により編集又は編集し直した前記合成画像と、前記クライアントによる印刷発注指示が可能な操作部を構成する操作画面とを、前記クライアントのWEBブラウザ上で表示可能なWEBコンテンツの形態で該クライアントへ送信する第2送信手段と、
編集が確定された後の前記合成画像に基づく発注の指示を前記クライアントより受信した場合に、前記印刷画像の印刷に係る情報を保存する処理を実行する実行手段と
を備えること特徴とするサーバ。」

一方、本願発明と引用発明2とは、次の点で一応相違している。

本願発明では、「前記印刷媒体画像の確定後に」前記クライアントから受信した前記印刷画像との合成画像を、「該印刷画像を受信することに基づいて生成」しているのに対し、引用発明では、「ユーザ画像の画像データ」の受信後に、「商品の画像データ」との合成画像を、該商品の画像データが確定したことに基づいて生成している点。

しかしながら、引用発明2において、「ユーザ画像の画像データ」と「商品の画像データ」から合成画像を生成するにあたり、これら画像データのいずれを先に準備しておくかは、上記合成画面を生成するための具体化手段を設計する際の微差にすぎず、この具体化手段における微差により新たな効果を奏するものでもない。

したがって、本願発明の発明特定事項と引用発明2の引用発明特定事項とに一応相違があるとしても、それらが課題解決のための具体化手段における微差であり、両者は実質的に同一である。

ところで、審判請求人は、平成23年1月14日付け意見書において、「これにより、本願発明で示される処理順序に従えば、例えば、サイズの異なるTシャツ(印刷媒体)があるならば、ユーザは自身が持っている色々な画像(印刷画像)を試すことができ、ユーザの選択肢を広げることが可能となります。すなわち、印刷媒体を確定後に印刷画像を受信することに基づいて、プリントサービスを利用するユーザの要望をより広範囲に受け付けることができる。という格別の効果を奏するものです。」と主張している。
しかしながら、「例えば、サイズの異なるTシャツ(印刷媒体)があるならば、ユーザは自身が持っている色々な画像(印刷画像)を試すこと」は、印刷媒体画像の確定後よりも、印刷媒体画像と印刷画像との合成画像を生成した後に行った方がより効果的なことは明らかであり、「印刷媒体を確定後に印刷画像を受信することに基づいて、プリントサービスを利用するユーザの要望をより広範囲に受け付けることができる。という格別の効果を奏する」という主張を採用することはできない。

また、審判請求人は、平成23年1月14日付け意見書において、「引用発明2は、合成対象となる画像(ユーザ画像)を受信しますが、これは予めすべてサーバ側で保持し、保持した画像をサムネイル形式でクライアントに表示して、クライアントがサムネイルの中から画像の選択をして合成するものであります。つまり、引用文献2は、本願発明の特徴的な構成(c)のように、サムネイルの中から選択して合成するものではなく合成の対象となる印刷画像を受信することに基づいて合成画像を生成するものとは異なります。」と主張している。
確かに、引用発明2では、「画像表示手段によって消費者端末に表示された画像の中からの前記消費者による画像の選択を受け付ける画像選択手段」を備えているが、上記(オ)でも示したように、引用発明2における「画像選択手段によって選択された画像の画像データ」は、本願発明における「クライアントから受信した印刷画像」に対応しており、合成の対象となる印刷画像を受信することに基づいて合成画像を生成しているという点では、本願発明と相違するものではない。

5 小括
よって、本願発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開された引用文献2の特許出願の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。


第5 理由1について(特許法第29条第2項)

1 引用文献について
引用文献1 特開2001-197230号公報(平成13年7月19日出願公開)

平成22年11月11日付けの拒絶理由通知において引用された上記引用文献1には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付加したものである。

・【発明の属する技術分野】
「【0001】本発明は、クライアントにおいて画像の編集指示を行い、この編集指示に基づいてサーバにおいて画像を編集する画像編集システム、画像編集方法および画像編集方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体に関するものである。」

・【課題を解決するための手段】
「【0006】本発明による画像編集方法は、画像データに対して編集指示を行うための編集指示装置を有するクライアントと、該クライアントとネットワークを介して接続され、前記編集指示装置による編集指示に基づいて、前記画像データの編集処理を行って処理済み画像データを得る編集処理装置を有し、前記画像データに関する所定画像データを前記クライアントに転送する画像サーバとを備えた画像編集システムにおいて行われる画像編集方法であって、前記所定画像データよりもデータ量の少ない低容量データを生成し、該低容量データを前記クライアントに転送することを特徴とするものである。」
「【0007】「編集処理」としては、画像データに対して施すことが可能な画像処理であり、具体的には赤目処理、シャープネス強調処理、色変換処理、トリミング処理、拡大縮小処理の他、画像に白縁を付ける処理、画像に波模様を形成する処理等が挙げられる。また、画像データがテンプレートデータやユーザ画像データとテンプレートデータとの合成データである場合には、上記画像処理に加えて、ユーザ画像やクリップアートなどの画像や文字をテンプレートに挿入する処理が挙げられる。」

・【発明の実施の形態】
「【0032】ラボ2は、画像サーバとしてプリント出力を実施するシステムであり、ユーザ1が持ち込んだフイルムから画像を読み取って高解像度の画像データS0を得る読取手段4と、読み取った画像データS0を保管するデータベース5と、パソコン10からの編集指示情報Hの受け付けおよびパソコン10への種々のデータの転送を行う入出力手段6と、編集指示情報Hに基づいて画像データS0を編集して処理済み画像データS1を得る編集処理手段7と、処理済み画像データS1をプリント出力する出力手段8と、後述するように低容量データMLを生成する低容量データ生成手段9とを備える。なお、データベース5にはユーザの画像と組み合わせてポストカードなどを作成するためのテンプレートを表すテンプレートデータT(以下テンプレートをTで表すこともある)、およびテンプレートTに挿入するクリップアートを表すデータが保管されている。」
「【0034】次いで、本実施形態の動作について説明する。図2は本実施形態の動作を示すフローチャートである。なお、ユーザの画像は読取手段4において既に読み取られてデータベース5に保管されているものとする。また、本実施形態においては、図3に示すテンプレートTの領域A1にユーザ画像を、領域A2にクリップアートを、領域A3に文字を挿入して処理済み画像を得る処理を行うものとし、ユーザ1のパソコン10には、データベース5に保管された複数のテンプレートデータTおよびクリップアートのデータを表すサムネイル画像、およびユーザ画像のサムネイル画像が既に転送されているものとする。まず、ユーザ1はパソコン10によりユーザ画像の編集開始の指示をラボ2に転送する(ステップS1)。ここで、パソコン10には予めデータベース5に保管された複数のテンプレートデータTのサムネイル画像が転送されているため、ユーザ1は所望とするテンプレートをサムネイル画像から選択して編集開始というコマンドをラボ2に送信することにより、編集開始の指示が行われる。
「【0035】ラボ2はこの編集開始指示を受けると、画像編集手段7がテンプレートTを表すテンプレートデータTをデータベース5から読出して(ステップS2)、これを低容量データ生成手段9に入力し、ここでテンプレートデータTの低容量データMLが生成される(ステップS3)。低容量データMLは低解像度のデータから順に入出力手段6を経てユーザ1のパソコン10に転送される(ステップS4)。ここで、図4に示すようにテンプレートTの領域A1?A3には、サンプル画像、サンプルクリップアートおよびサンプル文字がそれぞれ挿入されているものとする。パソコン10はテンプレートデータTの低容量データMLの転送を受けるとこれを低解像度側から順に表示する(ステップS5)。そして、ユーザ1は表示されたテンプレートを確認し、編集対象の1つをラボ2に問い合わせるとステップS6が肯定される。一方、問い合わせがない場合にはステップS6が否定され、ステップS4に戻って引き続き低容量データMLの転送がなされる。なお、編集対象の問い合わせは、パソコン10に表示されたテンプレートTの所望とする領域をクリックすることにより行う。まず、本実施形態においては領域A1がクリックされたものとする。」
「【0036】ラボ2は編集対象の問い合わせを受けると、全解像度のデータの転送が未了であっても低容量データMLの転送を中止し(ステップS7)、さらに転送の再開指示があったか否かを判断する(ステップS8)。ステップS8が肯定された場合にはステップS4に戻り、引き続き低容量データMLの転送を行う。ステップS8が否定された場合には、編集処理手段7が問い合わせのあった編集対象に対応した編集情報をパソコン10に転送する(ステップS9)。ここでは、編集情報として領域A1の範囲を表す座標値(例えば領域A1の左上隅および右下隅の座標値)が転送される。ユーザ1は編集情報の転送を受けると、領域A1の編集を開始する(ステップS10)。ここで、編集情報の転送を受けるとテンプレートTの領域A1には、図5に示すように領域A1を変形させるためのハンドル10A,10Bが表示される。ユーザ1はこのハンドル10A,10Bを操作することにより、領域A1を拡大、縮小および回転させることができる。なお、拡大および縮小する際にはアスペクト比を保存することが好ましい。本実施形態においては図6に示すように領域A1を傾斜させるものとする。一方、ユーザ画像のサムネイル画像が既にパソコン10に転送されていることから、ユーザ1は領域A1に挿入するユーザ画像を選択し、そのファイル名をパソコン10に入力し、リターンキーを押下する等により編集を終了する。」
「【0037】編集が終了すると編集指示情報Hが生成され(ステップS11)、これがラボ2に転送される(ステップS12)。ここで、編集指示情報Hには、変更後の領域A1の位置を表す情報および挿入するユーザ画像のファイル名が含まれる。なお、本実施形態においては領域A1が回転されていることから、編集指示情報Hには変更後の領域A1の4隅の座標値が領域A1の位置を表す情報として含まれる。」
「【0038】ラボ2は編集指示情報Hの転送を受けると、これに基づいて編集処理手段7において、テンプレートTの領域A1を変形するとともに、領域A1に指定されたユーザ画像を挿入する編集処理を行って(ステップS13)、中間処理済み画像データM0を生成する(ステップS14)。なお、中間処理済み画像データの符号としてはM0および後述するM1,M2を使用するが、図1においてはMで代表させるものとする。そして、低容量データ生成手段9において中間処理済み画像データM0の低容量データMLが生成され(ステップS15)、低解像度のデータから順にパソコン10に転送される(ステップS16)。これにより、ユーザ1のパソコン10には図7に示すように変形した領域A1にユーザ画像を挿入した中間処理済み画像M0が低解像度側から順に表示される(ステップS17)。そして、ユーザ1は表示された中間処理済み画像M0を確認し、他の編集対象の1つをラボ2に問い合わせるとステップS18が肯定される。
「【0043】そして、全ての編集対象について編集処理が終了するとステップS21が肯定され、さらに表示された画像がこれでOKであるという指示がなされるとステップS22が肯定され、ラボ2において中間処理済み画像データM2が処理済み画像データS1とされ、処理済み画像データS1がプリントされて(ステップS23)、処理を終了する。一方、ステップS22が否定された場合は、編集処理をやり直すべくステップS1に戻り、ステップS1からステップS22の処理を繰り返す。なお、ステップS17の後に、表示された中間処理済み画像に修正を加えたい場合には、ステップS6に戻りステップS6からステップS17の処理を繰り返すようにしてもよい。」
「【0051】なお、上記実施形態においてはユーザ1のパソコン10に編集指示情報Hを生成するためのソフトウェアが既にインストールされている場合について説明したが、編集開始指示によりこのソフトウェアをラボ2からユーザ1のパソコン10にダウンロードさせるようにしてもよい。この場合、このソフトウェアとしてはJavaアプレットを用いることができる。すなわち、ラボ2をWebサーバとし、ユーザ1が編集を行う際にはパソコン10のWebブラウザにより、ラボ2のhtmlファイルにアクセスするようにする。ここで、ラボ2には編集指示情報Hを生成するためのソフトウェアとしてのJavaアプレットを登録しておき、htmlファイルにはこのJavaアプレットを指定しておく。なお、WebブラウザはJava仮想マシンを内蔵したものとする。そして、ユーザ1がWebブラウザによりラボ2にアクセスしてhtmlファイルをダウンロードすると、これに記述されたJavaアプレットをラボ2からダウンロードし、このJavaアプレットに基づいて編集指示情報Hの生成を実行できる。」

そうすると、引用文献1には、次の発明(以下、引用発明1という。)が記載されている。なお、括弧内のステップ番号は、引用文献1の図2のフローチャートに示されたステップ番号を参考までに記載したものである。

「画像データに対して編集指示を行うための編集指示装置を有するクライアントと、該クライアントとネットワークを介して接続され、前記編集指示装置による編集指示に基づいて、前記画像データの編集処理を行って処理済み画像データを得る編集処理装置を有し、前記画像データに関する所定画像データを前記クライアントに転送する画像サーバとを備えた画像編集システムにおいて、
画像サーバとしてプリント出力を実施するシステムであるラボ2は、
ユーザの画像と組み合わせてポストカードなどを作成するためのテンプレートを表すテンプレートデータT等が保管されているデータベース5と、
ユーザ1が持ち込んだフイルムから画像を読み取って高解像度の画像データS0を得る読取手段4と、を備え、
ユーザ1は、所望とするテンプレートをサムネイル画像から選択して編集開始というコマンドをラボ2に送信することにより、編集開始の指示を行い(ステップS1)、
ラボ2は、ユーザ1からの編集開始指示を受けると、画像編集手段7がテンプレートTを表すテンプレートデータTをデータベース5から読出して(ステップS2)、低容量データMLを生成し(ステップS3)、入出力手段6を経てユーザ1のパソコン10に転送し(ステップS4)、
ユーザ1は、表示されたテンプレートを確認し、編集対象の1つをラボ2に問い合わせるとステップS6が肯定され(ステップS6)、
ラボ2では、編集処理手段7が問い合わせのあった編集対象に対応した編集情報をパソコン10に転送し(ステップS9)、
ユーザ1は、編集が終了すると、変更後の領域A1の位置を表す情報および挿入するユーザ画像のファイル名を含む編集指示情報Hを生成し(ステップS11)
ラボ2は、ユーザ1からの編集指示情報Hの転送(ステップS12)を受けると、これに基づいて編集処理手段7において、テンプレートTの領域A1を変形するとともに、領域A1に指定されたユーザ画像を挿入する編集処理を行って(ステップS13)、中間処理済み画像データM0の低容量データMLをパソコン10に転送し(ステップS14?S16)、
ラボ2では、全ての編集対象について編集処理が終了し(ステップS21)、表示された画像がこれでOKであるという指示がなされると(ステップS22)、中間処理済み画像データM2が処理済み画像データS1とされ、処理済み画像データS1がプリントされて(ステップS23)、処理を終了する
ことを特徴とする画像編集システム。」

2 対比
本願発明と引用発明1とを対比する。

(ア)本願発明の「サーバ」について
引用発明1における「画像サーバ(ラボ2)」は、「画像データの編集処理を行って処理済み画像データを得る編集処理装置を有し」ている。また、「編集処理」には、「画像データがテンプレートデータやユーザ画像データとテンプレートデータとの合成データである場合には、ユーザ画像やクリップアートなどの画像や文字をテンプレートに挿入する処理」(引用文献1【0007】段落)が含まれることから、引用発明1における「画像データの編集処理」は、本願発明における「印刷画像の処理」に対応している。
そうすると、引用発明1における「クライアントとネットワークを介して接続され、前記編集指示装置による編集指示に基づいて、前記画像データの編集処理を行って処理済み画像データを得る編集処理装置を有し、前記画像データに関する所定画像データを前記クライアントに転送する画像サーバ」は、本願発明における「ネットワークを介してクライアントから受信する情報に基づいて印刷画像の処理を実行するサーバ」に対応している。

(イ)本願発明の「画像データベース」について
引用発明1における「ユーザの画像と組み合わせてポストカードなどを作成するためのテンプレート」と当該テンプレートを表す「テンプレートデータT」は、本願発明における「印刷媒体」と「印刷媒体画像」に対応している。
そうすると、引用発明1における「ユーザの画像と組み合わせてポストカードなどを作成するためのテンプレートを表すテンプレートデータT等が保管されているデータベース5」は、本願発明における「複数種類の印刷媒体それぞれを示す印刷媒体画像を記憶する画像データベース」に対応している。

(ウ)本願発明の「受信手段」について
引用発明1における「テンプレート」は、上記(イ)で示したように本願発明における「印刷媒体」に対応しており、「サムネイル画像」はデータベース5に保管された複数のテンプレートデータTのサムネイル画像を意味している(引用文献1【0034】段落)ことから、引用発明1における「テンプレートをサムネイル画像から選択」という事項は、本願発明における「該印刷画像が印刷される印刷媒体を前記画像データベースに記憶された前記複数種類の印刷媒体画像の中から指定」という事項に対応している。
そうすると、引用発明1における「ユーザ1は、所望とするテンプレートをサムネイル画像から選択して編集開始というコマンドをラボ2に送信することにより、編集開始の指示を行い(ステップS1)」という事項において、「編集開始の指示」は、「テンプレートをサムネイル画像から選択」する情報を含んでいる点において、本願発明における「該印刷画像が印刷される印刷媒体を前記画像データベースに記憶された前記複数種類の印刷媒体画像の中から指定する指定情報」と共通している。
また、引用発明1における「編集指示情報H」は、「変更後の領域A1の位置を表す情報」を含んでいる点において、本願発明における「合成画像に対する編集指示情報」と共通している。
以上より、引用発明1において、ラボ2が「編集開始の指示」と「編集指示情報H」をユーザ1より受信するという事項は、本願発明における「該印刷画像が印刷される印刷媒体を前記画像データベースに記憶された前記複数種類の印刷媒体画像の中から指定する指定情報と、合成画像に対する編集指示情報とを前記クライアントより受信する受信手段」に対応している。

(エ)本願発明の「第1送信手段」について
引用発明1の「ユーザ1からの編集開始指示を受けると、画像編集手段7がテンプレートTを表すテンプレートデータTをデータベース5から読出して(ステップS2)、低容量データMLを生成し(ステップS3)、入出力手段6を経てユーザ1のパソコン10に転送し(ステップS4)」との事項において、上記(ウ)で示したように、「編集開始指示」は本願発明における「印刷媒体を指定する指定情報」に対応しており、また、「ラボ2をWebサーバとし、ユーザ1が編集を行う際にはパソコン10のWebブラウザにより、ラボ2のhtmlファイルにアクセスするようにする」(引用文献1【0051】段落)ことも想定されている。
そうすると、引用発明1における「ユーザ1からの編集開始指示を受けると、画像編集手段7がテンプレートTを表すテンプレートデータTをデータベース5から読出して(ステップS2)、低容量データMLを生成し(ステップS3)、入出力手段6を経てユーザ1のパソコン10に転送し(ステップS4)」との事項は、本願発明における「印刷媒体を指定する前記指定情報により選択又は選択し直された印刷媒体画像を、前記クライアントのWEBブラウザ上で表示可能なWEBコンテンツの形態で該クライアントへ送信する第1送信手段」に相当している。

(オ)本願発明の「生成手段」について
引用発明1における「ユーザ1は、表示されたテンプレートを確認し、編集対象の1つをラボ2に問い合わせるとステップS6が肯定され(ステップS6)」との事項は、本願発明における「前記クライアントから受信した前記指定情報に対応して選択が確定された後」に対応している。
また、引用発明1における「ラボ2は、ユーザ1からの編集指示情報Hの転送(ステップS12)を受けると、これに基づいて編集処理手段7において、テンプレートTの領域A1を変形するとともに、領域A1に指定されたユーザ画像を挿入する編集処理を行って(ステップS13)」との事項は、本願発明における「印刷媒体画像と、前記印刷画像との合成画像を、生成する」との事項に対応している。
さらに、引用発明1における「中間処理済み画像データM0の低容量データMLをパソコン10に転送し(ステップS14?S16)」との事項は、本願発明における「前記合成画像を該クライアントへ送信する」との事項に対応している。
そうすると、引用発明1における「ユーザ1は、表示されたテンプレートを確認し、編集対象の1つをラボ2に問い合わせるとステップS6が肯定され(ステップS6)」、「ユーザ1からの編集指示情報Hの転送(ステップS12)を受けると、テンプレートTの領域A1を変形するとともに、領域A1に指定されたユーザ画像を挿入する編集処理を行って(ステップS13)」、「中間処理済み画像データM0の低容量データMLをパソコン10に転送し(ステップS14?S16)」との事項は、本願発明における「前記クライアントから受信した前記指定情報に対応して選択が確定された後の印刷媒体画像と、前記印刷画像との合成画像を、生成するとともに、前記合成画像を前記クライアントのWEBブラウザ上で表示可能なWEBコンテンツの形態で該クライアントへ送信する生成手段」に対応している。

(カ)本願発明の「編集手段」について
引用発明1における「ラボ2は、ユーザ1からの編集指示情報Hの転送(ステップS12)を受けると、これに基づいて編集処理手段7において、テンプレートTの領域A1を変形するとともに、領域A1に指定されたユーザ画像を挿入する編集処理を行って(ステップS13)」との事項は、本願発明における「前記生成手段で生成した合成画像を、前記受信手段により受信した前記編集指示情報に従って編集する編集手段」に対応している。

(キ)本願発明の「第2送信手段」について
引用発明1における「ラボ2は、ユーザ1からの編集指示情報Hの転送(ステップS12)を受けると、これに基づいて編集処理手段7において、テンプレートTの領域A1を変形するとともに、領域A1に指定されたユーザ画像を挿入する編集処理を行って(ステップS13)、中間処理済み画像データM0の低容量データMLをパソコン10に転送し(ステップS14?S16)」との事項は、本願発明における「前記編集手段により編集又は編集し直した前記合成画像」を「前記クライアントのWEBブラウザ上で表示可能なWEBコンテンツの形態で該クライアントへ送信する第2送信手段」に相当している。

(ク)本願発明の「実行手段」について
引用発明1における「全ての編集対象について編集処理が終了し(ステップS21)、表示された画像がこれでOKであるという指示がなされると(ステップS22)、中間処理済み画像データM2が処理済み画像データS1とされ、処理済み画像データS1がプリントされて(ステップS23)、処理を終了する」との事項において、「表示された画像がこれでOK」は本願発明における「発注の指示」に相当しているから、引用発明1の前記事項は、本願発明における「編集が確定された後の前記合成画像に基づく発注の指示を前記クライアントより受信した場合に、処理を実行する実行手段」に対応している。

以上によれば、本願発明と引用発明1との一致点と相違点は、次のとおりと認められる。

(1)一致点
「ネットワークを介してクライアントから受信する情報に基づいて印刷画像の処理を実行するサーバであって、
複数種類の印刷媒体それぞれを示す印刷媒体画像を記憶する画像データベースと、
該印刷画像が印刷される印刷媒体を前記画像データベースに記憶された前記複数種類の印刷媒体画像の中から指定する指定情報と、合成画像に対する編集指示情報とを前記クライアントより受信する受信手段と、
印刷媒体を指定する前記指定情報により選択又は選択し直された印刷媒体画像を、前記クライアントのWEBブラウザ上で表示可能なWEBコンテンツの形態で該クライアントへ送信する第1送信手段と、
前記クライアントから受信した前記指定情報に対応して選択が確定された後の印刷媒体画像と、前記印刷画像との合成画像を、生成するとともに、前記合成画像を前記クライアントのWEBブラウザ上で表示可能なWEBコンテンツの形態で該クライアントへ送信する生成手段と、
前記生成手段で生成した合成画像を、前記受信手段により受信した前記編集指示情報に従って編集する編集手段と、
前記編集手段により編集又は編集し直した前記合成画像を、前記クライアントのWEBブラウザ上で表示可能なWEBコンテンツの形態で該クライアントへ送信する第2送信手段と、
編集が確定された後の前記合成画像に基づく発注の指示を前記クライアントより受信した場合に、処理を実行する実行手段と
を備えること特徴とするサーバ。」

(2)相違点
[相違点1]
本願発明では、第2送信手段が、「前記クライアントによる印刷発注指示が可能な操作部を構成する操作画面」を送信しているのに対し、引用発明1ではそのようになっていない点。

[相違点2]
本願発明では、編集が確定された後の前記合成画像に基づく発注の指示を前記クライアントより受信した場合に、「前記印刷画像の印刷に係る情報を保存する処理を実行する」実行手段を備えるのに対し、引用発明1ではそのようになっていない点。

[相違点3]
本願発明では、「前記印刷媒体に印刷する印刷画像をクライアントより受信する受信手段」を備えているのに対し、引用発明1では、「ユーザ1が持ち込んだフイルムから画像を読み取って高解像度の画像データS0を得る読取手段4」を備えている点。

[相違点4]
本願発明では、「前記クライアントから受信した印刷画像との合成画像を、該印刷画像を受信することに基づいて」生成しているのに対して、引用発明1では、テンプレートデータTとユーザ画像との合成画像を、該ユーザ画像のファイル名を含む編集指示情報Hを受信すること基づいて編集処理している点。

3 当審の判断
次に、上記相違点について判断する。

(1)相違点1について
クライアントとサーバ間で受発注システムを構築する場合、「クライアントによる発注指示が可能な操作部を構成する操作画面」をサーバが送信することは、一般的に行われていることである。
そうすると、引用発明1における「画像がこれでOKであるという指示がなされると(ステップS22)」とのステップにおいて、「OKであるという指示」を「印刷の発注指示」として受信できるように、「クライアントによる発注指示が可能な操作部を構成する操作画面」をサーバが送信するように構成することは、当業者であれば容易に設計できたものである。

(2)相違点2について
画像の編集作業の過程において、処理中あるいは処理済みの情報を保存するといったことは当業者が必要に応じてなし得るものであるから、引用発明1において、画像がこれでOKであるという指示がなされたときに、「印刷画像の印刷に係る情報を保存する処理を実行する」ことは、当業者が適宜なしうる設計的事項にすぎない。

(3)相違点3について
一般に、ネットワークを介して画像データを送受信することは普通に行われていたことであるから、引用発明1のように「読取手段4」によりユーザ画像を取得する手法に代えて、「前記印刷媒体に印刷する印刷画像をクライアントより受信する受信手段」を設けることは、ユーザ画像のデータサイズやネットワークの通信速度等を勘案しながら、当業者が適宜採択しうる設計的事項にすぎない。

(4)相違点4について
引用発明1において、テンプレートデータTにユーザ画像を挿入する編集処理を行うためには、これら2つのデータが編集処理時点までに取得されていればよいことは明らかである。
そうすると、引用発明1において、相違点3において示したように、「前記印刷媒体に印刷する印刷画像をクライアントより受信する受信手段」を設けた場合、引用発明1における編集指示情報Hに含まれていた「ユーザ画像のファイル名」に代えて、ユーザから「ユーザ画像」を受信するように構成し、相違点4に係る本願発明の構成とすることには、特段困難なことではない。

なお、審判請求人は、平成23年1月14日付け意見書において、次のように主張している。

「そもそも、引用文献1は、クライアントから合成のための画像を送信するものではないばかりか、ラボからクライアントへ長時間を要する画像データの転送を効率よく行うことを課題とするものであり、クライアントからオリジナルの画像をサーバに送信することを想定するものではありません。
むしろ、その課題を解決するために、複数のオリジナルの画像はサーバ上で予め用意しておき、クライアント側で編集対象の画像を選択する際には、その複数のオリジナルの画像のサムネイル画像をサーバからクライアントへ送信し、クライアントはそのサムネイル画像の中から選択した印刷画像に対して編集指示をし、クライアントから指示された編集指示情報に基づいて、サーバが対応するオリジナルの画像を編集するものであります。
従って、引用文献1では、その課題を考慮しましても、クライアントから本願発明に相当する印刷画像(オリジナルの画像)をサーバに送信する構成が導かれることはありません。
さらに、クライアントから印刷画像をサーバに送信する構成を導くことができない引用文献1から、本発明の特徴的な構成(c)のように、印刷画像を受信することに基づいて合成画像を生成するものでもありません。」

ここで、引用文献1【0004】?【0005】段落を参酌すると、引用発明1は、「中間段階まで処理がなされた中間処理済み画像データをユーザに転送しているため、転送するデータの容量が大きいと転送に長時間を要し、その結果、効率よく編集処理を行うことができない」という課題を解決するため、「所定画像よりもデータ量の少ない低容量データを生成し、該低容量データを前記クライアントに転送することを特徴とする」(【請求項1】より抜粋)発明であり、クライアントからオリジナルの画像をサーバに送信することについては、引用発明1の課題として挙げられていない。

そうすると、「クライアントから本願発明に相当する印刷画像(オリジナルの画像)をサーバに送信する構成が導かれることはありません。」とする審判請求人の主張は根拠がないものといわざるを得ない。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明1から当業者が容易に予測できるものである。

以上により、本願発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。

4 小括
よって、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

第6 まとめ
以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、特許法第29条の2及び第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-03-24 
結審通知日 2011-03-28 
審決日 2011-04-14 
出願番号 特願2001-322499(P2001-322499)
審決分類 P 1 8・ 16- WZ (G06Q)
P 1 8・ 121- WZ (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 貝塚 涼  
特許庁審判長 井上 正
特許庁審判官 清田 健一
須田 勝巳
発明の名称 サーバ、システム及びそれらの制御方法、プログラム  
代理人 木村 秀二  
代理人 大塚 康徳  
代理人 永川 行光  
代理人 下山 治  
代理人 大塚 康弘  
代理人 高柳 司郎  

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