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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する H01L
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する H01L
管理番号 1238552
審判番号 訂正2011-390033  
総通号数 140 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-08-26 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2011-03-30 
確定日 2011-06-02 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3427047号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3427047号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 請求の要旨
本件審判の請求の要旨は、本件特許第3427047号(出願日:平成12年9月22日、優先権主張:平成11年9月24日)の願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)を、本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおりに訂正することを求めるものである。

第2 訂正の内容
本件審判請求書によれば、本件審判の請求に係る訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項8及び20について
「【請求項8】基板の表面に2次元的に分散配置された複数の凹部または凸部を有する凹凸パターンを形成し、前記凹凸パターン上の凸部上面、凹部底面および凹部側面に該凹凸パターンと同様のパターンを表面に有するバッファ層を成長させ、前記バッファ層上に窒化物系半導体層を表面がほぼ平坦になるまで成長させることを特徴とする窒化物系半導体の形成方法。」
及び
「【請求項20】基板の表面に2次元的に分散配置された複数の凹部または凸部を有する凹凸パターンが形成され、前記凹凸パターンの凸部上面、凹部底面および凹部側面に該凹凸パターンと同様のパターンを表面に有するバッファ層が形成され、前記バッファ層上に少なくとも部分的にほぼ平坦な表面を有する第1の窒化物系半導体層が形成され、前記第1の窒化物系半導体層の前記平坦な表面に、素子領域を含む第2の窒化物系半導体層が形成されたことを特徴とする窒化物系半導体素子。」を、

「【請求項8】 基板の表面に2次元的に分散配置された、表面形状が六角形、円形あるいは三角形の形状を有する複数の凹部または凸部を有する凹凸パターンを形成し、前記凹凸パターン上の凸部上面、凹部底面および凹部側面に該凹凸パターンと同様のパターンを表面に有するバッファ層を成長させ、前記バッファ層上に窒化物系半導体層を表面がほぼ平坦になるまで成長させることを特徴とする窒化物系半導体の形成方法。」
及び
「【請求項20】基板の表面に2次元的に分散配置された、表面形状が六角形、円形あるいは三角形の形状を有する複数の凹部または凸部を有する凹凸パターンが形成され、前記凹凸パターンの凸部上面、凹部底面および凹部側面に該凹凸パターンと同様のパターンを表面に有するバッファ層が形成され、前記バッファ層上に少なくとも部分的にほぼ平坦な表面を有する第1の窒化物系半導体層が形成され、前記第1の窒化物系半導体層の前記平坦な表面に、素子領域を含む第2の窒化物系半導体層が形成されたことを特徴とする窒化物系半導体素子。」
と訂正するものである。


第3 当審の判断
1.訂正の目的について
上記訂正は、【請求項8】及び【請求項20】において、それぞれ「基板の表面に2次元的に分散配置された複数の凹部または凸部を有する凹凸パターン」を「基板の表面に2次元的に分散配置された、表面形状が六角形、円形あるいは三角形の形状を有する複数の凹部または凸部を有する凹凸パターン」と訂正するものであり、基板の表面に2次元的に分散配置された「複数の凹部または凸部を有する凹凸パターン」における「凹部または凸部」について、「表面形状が六角形、円形あるいは三角形の形状を有する」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

2.新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更について
上記訂正は、願書に最初に添付した明細書の記載内容(【0140】?【0142】、【0148】並びに図面の図6(b))に基づくものと認められるから、上記訂正は、願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

3.独立特許要件について
本件訂正後の請求項8及び20に係る発明(以下「本件訂正発明8及び20」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるかどうかについて検討する。

(1)刊行物とそれに記載された発明
本件審判の請求人は、特開平11-17272号公報(以下「刊行物1」という。)を提示した。

刊行物1の記載(【0022】?【0023】、【0028】、【0031】?【0037】、【0043】?【0048】、【0057】?【0060】並びに図1?図7)によると、刊行物1には、
「基板の表面に複数の凹部または凸部を有する凹凸溝を形成し、前記凹凸溝上の凸部上面、凹部底面および凹部側面に該凹凸溝と同様のパターンを表面に有するバッファ層を成長させ、前記バッファ層上にSiドープn型GaN層を表面がほぼ平坦になるまで成長させ、前記Siドープn型GaN層の前記平坦な表面に、ノンドープGaN層及びノンドープAl_(0.1)Ga_(0.9)Nクラッド層が形成された窒化ガリウム系化合物半導体の形成方法及び窒化ガリウム系化合物半導体素子。」の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されている。

(2)判断
刊行物1には、本件訂正発明8及び20に記載された事項である「基板の表面に2次元的に分散配置された、表面形状が六角形、円形あるいは三角形の形状を有する複数の凹部または凸部を有する凹凸パターンを形成」する工程は、記載されておらず、このことを示唆する記載もない。しかもその点は当業者が容易に想到することができたものとは認められない。
したがって、本件訂正発明8及び20は、刊行物1発明ではなく、また、刊行物1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
また、その他に本件訂発明8及び20が、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明とする理由も見当たらない。

第4 むすび
したがって、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項?第5項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
窒化物系半導体素子、窒化物系半導体の形成方法および窒化物系半導体素子の製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】基板のC面上に第1の窒化物系半導体層を成長させ、前記第1の窒化物系半導体層の表面を研磨することにより前記第1の窒化物系半導体層においてC面から所定の方向に所定の角度傾斜した面を露出させ、前記第1の窒化物系半導体層の前記傾斜した面上に前記第1の窒化物系半導体層よりも単結晶に近い第2の窒化物系半導体層を成長させることを特徴とする窒化物系半導体の形成方法。
【請求項2】基板のC面上に選択成長マスクを用いた選択横方向成長により第1の窒化物系半導体層を平坦化するまで成長させ、前記第1の窒化物系半導体層においてC面から所定の方向に所定の角度傾斜した面を露出させ、前記第1の窒化物系半導体層の前記傾斜した面上に前記第1の窒化物系半導体層よりも単結晶に近い第2の窒化物系半導体層を成長させることを特徴とする窒化物系半導体の形成方法。
【請求項3】前記第1の窒化物系半導体層の表面を研磨することにより前記C面から所定の方向に所定の角度傾斜した面を露出させることを特徴とする請求項2記載の窒化物系半導体の形成方法。
【請求項4】前記第1の窒化物系半導体層を成長させる過程で前記C面から所定の方向に所定の角度傾斜した面を露出させることを特徴とする請求項2記載の窒化物系半導体の形成方法。
【請求項5】半導体基板上に窒化物系半導体層を成長させる窒化物系半導体の形成方法において、前記半導体基板は、IV族半導体、IV-IV族半導体またはII-VI族半導体からなる半導体基板であり、前記半導体基板の表面に凹凸パターンを形成し、前記凹凸パターン上の凸部上面、凹部底面および凹部側面に該凹凸パターンと同様のパターンを表面に有するバッファ層を成長させ、前記バッファ層上に前記窒化物系半導体層を成長させることを特徴とする窒化物系半導体の形成方法。
【請求項6】半導体基板上に窒化物系半導体層を成長させる窒化物系半導体の形成方法において、前記半導体基板は、格子定数が前記窒化物系半導体層の格子定数と異なるIII-V族半導体からなる半導体基板であり、前記半導体基板の表面に2次元的に分散配置された複数の凹部または凸部を有する凹凸パターンを形成し、前記凹凸パターン上の凸部上面、凹部底面および凹部側面に該凹凸パターンと同様のパターンを表面に有するバッファ層を成長させ、前記バッファ層上に前記窒化物系半導体層を成長させることを特徴とする窒化物系半導体の形成方法。
【請求項7】絶縁体基板上に窒化物系半導体層を成長させる窒化物系半導体の形成方法において、前記絶縁体基板の表面に凹凸パターンを形成し、前記凹凸パターン上の凸部上面、凹部底面および凹部側面に該凹凸パターンと同様のパターンを表面に有するバッファ層を成長させ、前記バッファ層上に前記窒化物系半導体層を成長させることを特徴とする窒化物系半導体の形成方法。
【請求項8】基板の表面に2次元的に分散配置された、表面形状が六角形、円形あるいは三角形の形状を有する複数の凹部または凸部を有する凹凸パターンを形成し、前記凹凸パターン上の凸部上面、凹部底面および凹部側面に該凹凸パターンと同様のパターンを表面に有するバッファ層を成長させ、前記バッファ層上に窒化物系半導体層を表面がほぼ平坦になるまで成長させることを特徴とする窒化物系半導体の形成方法。
【請求項9】前記凹凸パターンは、ストライプ状に延びる凹部および凸部を有することを特徴とする請求項5又は請求項7のいずれかに記載の窒化物系半導体の形成方法。
【請求項10】前記凹凸パターンは、2次元的に分散配置された複数の凹部または凸部を有することを特徴とする請求項5又は請求項7のいずれかに記載の窒化物系半導体の形成方法。
【請求項11】半導体基板上に窒化物系半導体層を成長させ、該窒化物系半導体層上に素子領域を形成する窒化物系半導体素子の製造方法において、前記半導体基板は、IV族半導体、IV-IV族半導体、またはII-VI族半導体からなる半導体基板であり、前記半導体基板上にエッチングにより間隔Xで分散的に幅Yの複数のバッファ層を形成して該複数のバッファ層の間に前記半導体基板を露出させ、間隔X[μm]および幅Y[μm]がY[μm]≦-X[μm]+40[μm]かつY[μm]≧1[μm]かつX[μm]≧1[μm]の関係を満足し、前記半導体基板の露出した領域上および前記複数のバッファ層上に窒化物系半導体層を形成し、前記窒化物系半導体層上の前記半導体基板の露出した領域上のうち中央部を除く領域に素子領域を形成することを特徴とする窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項12】半導体基板上に窒化物系半導体層を成長させ、該窒化物系半導体層上に素子領域を形成する窒化物系半導体素子の製造方法において、前記半導体基板は、格子定数が前記窒化物系半導体層の格子定数と異なるIII-V族半導体からなる半導体基板であり、前記半導体基板上にエッチングにより間隔Xで分散的に幅Yの複数のバッファ層を形成して該複数のバッファ層の間に前記半導体基板を露出させ、間隔X[μm]および幅Y[μm]がY[μm]≦-X[μm]+40[μm]かつY[μm]≧1[μm]かつX[μm]≧1[μm]の関係を満足し、前記半導体基板の露出した領域上および前記複数のバッファ層上に窒化物系半導体層を形成し、前記窒化物系半導体層上の前記半導体基板の露出した領域上のうち中央部を除く領域に素子領域を形成することを特徴とする窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項13】絶縁体基板に窒化物系半導体層を成長させ、該窒化物系半導体層上に素子領域を形成する窒化物系半導体素子の製造方法において、前記絶縁体基板上にエッチングにより間隔Xで分散的に幅Yの複数のバッファ層を形成して該複数のバッファ層の間に前記絶縁体基板を露出させ、間隔X[μm]および幅Y[μm]がY[μm]≦-X[μm]+40[μm]かつY[μm]≧1[μm]かつX[μm]≧1[μm]の関係を満足し、前記絶縁体基板の露出した領域上および前記複数のバッファ層上に窒化物系半導体層を形成し、前記窒化物系半導体層上の前記絶縁体基板の露出した領域上のうち中央部を除く領域に素子領域を形成することを特徴とする窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項14】前記複数のバッファ層は、ストライプ状に配置されることを特徴とする請求項11?13のいずれかに記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項15】前記複数のバッファ層は、2次元的に分散配置されることを特徴とする請求項11?13のいずれかに記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項16】基板のC面上に選択成長マスクを用いた横方向成長により第1の窒化物系半導体層が形成され、前記第1の窒化物系半導体層のC面から所定の方向に所定の角度傾斜した面上に、前記第1の窒化物系半導体層よりも単結晶に近い第2の窒化物系半導体層が形成され、前記第2の窒化物系半導体層上に、素子領域を含む窒化物系半導体層が形成されたことを特徴とする窒化物系半導体素子。
【請求項17】半導体基板上に窒化物系半導体層が形成された窒化物系半導体素子において、前記半導体基板は、IV族半導体、IV-IV族半導体またはII-IV族半導体からなる半導体基板であり、前記半導体基板の表面に凹凸パターンが形成され、前記凹凸パターンの凸部上面、凹部底面および凹部側面に該凹凸パターンと同様のパターンを表面に有するバッファ層が形成され、前記バッファ層上に素子領域を含む窒化物系半導体層が形成されたことを特徴とする窒化物系半導体素子。
【請求項18】半導体基板上に窒化物系半導体層が形成された窒化物系半導体素子において、前記半導体基板は、格子定数が前記窒化物系半導体層の格子定数と異なるIII-V族半導体からなる半導体基板であり、前記半導体基板の表面に2次元的に分散配置された複数の凹部または凸部を有する凹凸パターンが形成され、前記凹凸パターンの凸部上面、凹部底面および凹部側面に該凹凸パターンと同様のパターンを表面に有するバッファ層が形成され、前記バッファ層上に素子領域を含む窒化物系半導体層が形成されたことを特徴とする窒化物系半導体素子。
【請求項19】絶縁体基板上に窒化物系半導体層が形成された窒化物系半導体素子において、前記絶縁体基板の表面に凹凸パターンが形成され、前記凹凸パターンの凸部上面、凹部底面および凹部側面に該凹凸パターンと同様のパターンを表面に有するバッファ層が形成され、前記バッファ層上に素子領域を含む窒化物系半導体層が形成されたことを特徴とする窒化物系半導体素子。
【請求項20】基板の表面に2次元的に分散配置された、表面形状が六角形、円形あるいは三角形の形状を有する複数の凹部または凸部を有する凹凸パターンが形成され、前記凹凸パターン上の凸部上面、凹部底面および凹部側面に該凹凸パターンと同様のパターンを表面に有するバッファ層が形成され、前記バッファ層上に少なくとも部分的にほぼ平坦な表面を有する第1の窒化物系半導体層が形成され、前記第1の窒化物系半導体層の前記平坦な表面に、素子領域を含む第2の窒化物系半導体層が形成されたことを特徴とする窒化物系半導体素子。
【請求項21】半導体基板上に窒化物系半導体層が形成された窒化物系半導体素子において、前記半導体基板は、IV族半導体、IV-IV族半導体またはII-VI族半導体からなる半導体基板であり、前記半導体基板上に間隔Xで分散的に幅Yの複数のバッファ層が形成され、該複数のバッファ層の間で前記半導体基板が露出され、間隔X[μm]および幅Y[μm]がY[μm]≦-X[μm]+40[μm]かつY[μm]≧1[μm]かつX[μm]≧1[μm]の関係を満足し、前記半導体基板の露出した領域上および前記複数のバッファ層上に窒化物系半導体層が形成され、前記窒化物系半導体層上の前記半導体基板の露出した領域上のうち中央部を除く領域に素子領域が形成されたことを特徴とする窒化物系半導体素子。
【請求項22】半導体基板上に窒化物系半導体層が形成された窒化物系半導体素子において、前記半導体基板は、格子定数が前記窒化物系半導体層の格子定数と異なるIII-V族半導体からなる半導体基板であり、前記半導体基板上に間隔Xで分散的に幅Yの複数のバッファ層が形成され、該複数のバッファ層の間で前記半導体基板が露出され、間隔X[μm]および幅Y[μm]がY[μm]≦-X[μm]+40[μm]かつY[μm]≧1[μm]かつX[μm]≧1[μm]の関係を満足し、前記半導体基板の露出した領域上および前記複数のバッファ層上に窒化物系半導体層が形成され、前記窒化物系半導体層上の前記半導体基板の露出した領域上のうち中央部を除く領域に素子領域が形成されたことを特徴とする窒化物系半導体素子。
【請求項23】絶縁体基板上に窒化物系半導体層が形成された窒化物系半導体素子において、前記絶縁体基板上に間隔Xで分散的に幅Yのバッファ層が形成され、該複数のバッファ層の間で前記半導体基板が露出され、間隔X[μm]および幅Y[μm]がY[μm]≦-X[μm]+40[μm]かつY[μm]≧1[μm]かつX[μm]≧1[μm]の関係を満足し、前記絶縁体基板の露出した領域上および前記複数のバッファ層上に窒化物系半導体層が形成され、前記窒化物系半導体層上の前記半導体基板の露出した領域上のうち中央部を除く領域に素子領域が形成されたことを特徴とする窒化物系半導体素子。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、GaN(窒化ガリウム)、AlN(窒化アルミニウム)、InN(窒化インジウム)、BN(窒化ホウ素)もしくはTlN(窒化タリウム)またはこれらの混晶等のIII-V族窒化物系半導体(以下、窒化物系半導体と呼ぶ)およびこれら混晶にAs、PおよびSbのうち少なくとも1つの元素を含む混晶等のIII-V族窒化物系半導体からなる化合物半導体層を有する窒化物系半導体素子、窒化物系半導体の形成方法および窒化物系半導体素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、GaN系半導体を利用した半導体素子、例えば、発光ダイオード素子等の半導体発光素子、あるいはトランジスタ等の電子素子の開発が盛んに行われている。このようなGaN系半導体素子の製造の際には、GaNからなる基板の製造が困難であるため、サファイア、SiC、Si等からなる基板上にGaN系半導体層をエピタキシャル成長させている。
【0003】この場合、サファイア等の基板とGaNとでは格子定数が異なるため、サファイア等の基板上に成長させたGaN系半導体層においては、基板から上下方向に延びる転位(格子欠陥)が存在しており、その転位密度は10^(9)cm^(-2)程度である。このようなGaN系半導体層における転位は、半導体素子の素子特性の劣化および信頼性の低下を招く。
【0004】上記のようなGaN系半導体層における転位を低減する方法として、応用電子物性分科会誌第4巻(1998)の第53頁?第58頁および第210頁?第215頁等に選択横方向成長(ELO:Epitaxial Lateral Overgrowth)が示されている。
【0005】図13は従来の選択横方向成長を用いた窒化物系半導体の形成方法の例を示す模式的な工程断面図である。
【0006】図13(a)に示すように、サファイア基板201のC(0001)面上に、MOVPE法(有機金属化学的気相成長法)により、膜厚約1μmのGaN層202を形成する。さらに、GaN層202上に、選択成長マスクとして複数のストライプ状SiO_(2)膜210を形成する。なお、GaN層202中にはc軸方向に伝播する転位が多数存在する。
【0007】図13(b)に示すように、SiO_(2)膜210の形成後、HVPE法(ハライド気相成長法)により、再成長GaN層203を成長させる。ここで、SiO_(2)膜210上においてはGaNが成長しにくいため、成長初期の再成長GaN層203は、ストライプ状SiO_(2)膜210の間で露出したGaN層202上に選択的に成長する。この場合、GaN層202上において、再成長GaN層203は、図中の矢印Yの方向(c軸方向)に成長する。このような成長においては、GaN層202からc軸方向に転位が伝播する。
【0008】以上のようにして、露出したGaN層202上に、三角形のファセット構造を有する再成長GaN層203を成長させる。
【0009】図13(c)に示すように、上記のGaN層202上における再成長GaN層203の成長が進むと、再成長GaN層203は、さらに図中の矢印Xの方向(横方向)にも成長する。このような再成長GaN層203の横方向成長により、SiO_(2)膜210上に再成長GaN層203が形成される。また、再成長GaN層203の表面のC面上の成長においては、ステップフローモードで成長が起こる。このため、再成長GaN層203の横方向成長に伴い、GaN層202からc軸方向に伝播した転位は、横方向すなわちサファイア基板201のC面と平行な方向に折れ曲がる。
【0010】それにより、再成長GaN層203において、c軸方向に伝播する転位を低減することが可能となる。
【0011】図13(d)に示すように、さらに再成長GaN層203を横方向成長させると、ファセット構造の各再成長GaN層203が合体して連続膜となる。このようにして、平坦な再成長GaN層203が形成される。この場合、平坦化された再成長GaN層203の表面付近においては転位が低減されている。
【0012】以上のように、上記の窒化物系半導体の形成方法においては、再成長GaN層203の選択横方向成長を行うことにより、再成長GaN層203において転位の低減を図ることが可能となる。このような転位が低減された再成長GaN層203上に窒化物系半導体層を形成することにより、サファイア基板201上に良好な結晶性を有する窒化物系半導体層を形成することができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記の窒化物系半導体の形成方法においては、再成長GaN層203を横方向成長させるため、選択成長マスクとして複数のストライプ状SiO_(2)膜210を形成する。
【0014】ここで、SiO_(2)膜210とGaNとでは熱膨張係数が異なる。このため、再成長GaN層203中に複数のSiO_(2)膜210を形成した場合、再成長GaN層203においてクラックが発生しやすくなる。なお、SiO_(2)膜210の代わりに、選択成長マスクとしてTiO_(2)膜等の絶縁膜やW等の高融点金属の薄膜を用いた場合においても、SiO_(2)膜210を用いた場合と同様、選択成長マスクとGaNとの熱膨張係数の違いから、再成長GaN層203においてクラックが発生しやすくなる。
【0015】また、上記の窒化物系半導体の形成方法においては、図13(d)に示すように、横方向成長したファセット構造の各再成長GaN層203が合体する際、合体部においてボイド215が発生し、このようなボイド215により、再成長GaN層203においてクラックが発生しやすくなる場合もある。
【0016】以上のことから、上記の窒化物系半導体の形成方法により形成した再成長GaN層203上に、素子領域を含む窒化物系半導体層を形成して半導体素子を製造する場合、素子を分離する工程等においてクラックが発生しやすくなる。このようなクラックの発生は、半導体素子において、素子特性の劣化および信頼性の低下を招くとともに、歩留りの低下を招く。
【0017】また、より良好な素子特性および高い信頼性を有する半導体素子を実現するためには、窒化物系半導体においてさらなる格子欠陥の低減を図ることが望まれる。
【0018】本発明の目的は、選択成長マスクを用いることなく、より転位の低減を図ることが可能な窒化物系半導体の形成方法を提供することである。
【0019】本発明の他の目的は、選択成長マスクを用いることなく、より転位の低減が図られかつクラックの発生が防止された半導体素子を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段および発明の効果】(1)第1の発明
第1の発明に係る窒化物系半導体の形成方法は、基板のC面上に第1の窒化物系半導体層を成長させ、第1の窒化物系半導体層においてC面から所定の方向に所定の角度傾斜した面を露出させ、第1の窒化物系半導体層の傾斜した面上に第1の窒化物系半導体層よりも単結晶に近い第2の窒化物系半導体層を成長させるものである。ここで、第2の窒化物系半導体層は略単結晶である。
【0021】第1の発明に係る窒化物系半導体の形成方法において、第1の窒化物系半導体層の傾斜した面においては、原子オーダの段差が形成されている。
【0022】このような原子オーダの段差を有する第1の窒化物系半導体層の傾斜した面に第2の窒化物系半導体層を成長させると、主として、ステップフローモードで成長が起こる。このため、第1の窒化物系半導体層から縦方向に伝播した転位は、第2の窒化物系半導体層のステップフロー成長に伴って横方向に折れ曲がる。それにより、第2の窒化物系半導体層において縦方向に伝播する転位を低減することが可能となる。したがって、第2の窒化物系半導体層の表面において良好な結晶性が実現される。
【0023】また、上記の窒化物系半導体の形成方法によれば、選択成長マスクを用いることなく第2の窒化物系半導体層をステップフロー成長させることができる。このため、第2の窒化物系半導体層においては、選択成長マスクと窒化物系半導体との熱膨張係数の差によるクラックの発生が防止されるとともに、ボイドの発生が防止される。
【0024】第1の窒化物系半導体層の表面を研磨することによりC面から所定の方向に所定の角度傾斜した面を露出させてもよい。この場合、研磨により露出させた第1の窒化物系半導体層の傾斜した面においては、所定の方向にストライプ状に延びる微小な階段状の段差が形成される。
【0025】また、基板上に第1の窒化物系半導体層を成長させる過程でC面から所定の方向に所定の角度傾斜した面を露出させてもよい。この場合、例えば膜厚の不均一な第1の窒化物系半導体層を成長させることにより、C面から所定の方向に所定の角度傾斜した面を第1の窒化物系半導体層において露出させることができる。このようにして露出させた第1の窒化物系半導体層の表面においては、所定の方向にストライプ状に延びる微小な階段状の段差が形成されている。
【0026】(2)第2の発明
第2の発明の一局面に係る窒化物系半導体の形成方法は、半導体基板上に窒化物系半導体層を成長させる窒化物系半導体の形成方法において、半導体基板は、IV族半導体、IV-IV族半導体またはII-VI族半導体からなる半導体基板であり、半導体基板の表面に凹凸パターンを形成し、凹凸パターン上に窒化物系半導体層を成長させるものである。ここで、窒化物系半導体層は略単結晶である。
【0027】第2の発明の他の局面に係る窒化物系半導体の形成方法は、半導体基板上に窒化物系半導体層を成長させる窒化物系半導体の形成方法において、半導体基板は、格子定数が窒化物系半導体層の格子定数と異なるIII-V族半導体からなる半導体基板であり、半導体基板の表面に凹凸パターンを形成し、凹凸パターン上に窒化物系半導体層を成長させるものである。ここで、窒化物系半導体層は略単結晶である。
【0028】第2の発明のさらに他の局面に係る窒化物系半導体の形成方法は、絶縁体基板上に窒化物系半導体層を成長させる窒化物系半導体の形成方法において、絶縁体基板の表面に凹凸パターンを形成し、凹凸パターン上に窒化物系半導体層を成長させるものである。ここで、窒化物系半導体層は略単結晶である。
【0029】第2の発明のさらに他の局面に係る窒化物系半導体の形成方法は、基板の表面に凹凸パターンを形成し、凹凸パターン上にバッファ層を成長させ、凹凸パターン上およびバッファ層上に窒化物系半導体層を表面がほぼ平坦になるまで成長させるものである。ここで、窒化物系半導体層は略単結晶であり、バッファ層は非単結晶である。
【0030】第2の発明に係る窒化物系半導体の形成方法においては、成長初期段階で、基板の段差を起源として、基板の段差の付近に窒化物系半導体層の段差が形成される。
【0031】さらに窒化物系半導体層の成長が進むと、段差側面の窒化物系半導体層における横方向の成長が支配的となる。それにより、窒化物系半導体層において凹部が徐々に埋められ、平坦な表面を有する窒化物系半導体層が形成される。なお、このような窒化物系半導体層の横方向成長においては、ボイドの発生を抑制することも可能である。
【0032】ここで、上記のように窒化物系半導体層が横方向に成長するため、基板付近で発生した縦方向に伝播する転位は、窒化物系半導体層の横方向成長に伴って横方向に折れ曲がる。それにより、窒化物系半導体層において、縦方向に伝播する転位を低減することが可能となる。したがって、窒化物系半導体層の表面において良好な結晶性が実現される。
【0033】また、上記の窒化物系半導体の形成方法によれば、選択成長マスクを用いることなく窒化物系半導体層を横方向成長させることができる。このため、窒化物系半導体層においては、選択成長マスクと窒化物系半導体との熱膨張係数の差によるクラックの発生が防止される。また、場合によってはボイドの発生を防止することも可能である。
【0034】さらに、上記の窒化物系半導体の形成方法によれば、1回の窒化物系半導体の成長により、転位が低減された窒化物系半導体層を容易に形成することができる。
【0035】特に、表面の加工が容易である基板を上記の窒化物系半導体の形成方法に用いた場合においては、基板の表面に容易に凹凸パターンを形成することができるため、転位が低減された窒化物系半導体層をさらに容易に形成することができる。
【0036】凹凸パターンは、ストライプ状に延びる凹部および凸部を有してもよい。この場合、基板に形成された凹部上の窒化物系半導体層において、横方向成長を行うことができる。
【0037】また、凹凸パターンは、2次元的に分散配置された複数の凹部または凸部を有してもよい。基板の表面に複数の凹部を分散配置した場合においては、基板の凹部上の窒化物系半導体層において、横方向成長を行うことができる。一方、基板の表面に複数の凸部を分散配置した場合においては、基板の凸部の間の領域上の窒化物系半導体層において、横方向成長を行うことができる。
【0038】
【0039】(3)第3の発明
第3の発明の一局面に係る窒化物系半導体の形成方法は、半導体基板上に窒化物系半導体層を成長させる窒化物系半導体の形成方法において、半導体基板は、IV族半導体、IV-IV族半導体、またはII-VI族半導体からなる半導体基板であり、半導体基板上にエッチングにより間隔Xで分散的に幅Yの複数のバッファ層を形成し、間隔X[μm]および幅Y[μm]がY[μm]≦-X[μm]+40[μm]かつY[μm]≧1[μm]かつX[μm]≧1[μm]の関係を満足し、半導体基板上および複数のバッファ層上に窒化物系半導体層を成長させるものである。ここで、窒化物系半導体層は略単結晶である。
【0040】第3の発明の他の局面に係る窒化物系半導体の形成方法は、半導体基板上に窒化物系半導体層を成長させる窒化物系半導体の形成方法において、半導体基板は、格子定数が窒化物系半導体層の格子定数と異なるIII-V族半導体からなる半導体基板であり、半導体基板上にエッチングにより間隔Xで分散的に幅Yの複数のバッファ層を形成し、間隔X[μm]および幅Y[μm]がY[μm]≦-X[μm]+40[μm]かつY[μm]≧1[μm]かつX[μm]≧1[μm]の関係を満足し、半導体基板上および複数のバッファ層上に窒化物系半導体層を成長させるものである。ここで、窒化物系半導体層は略単結晶である。
【0041】第3の発明のさらに他の局面に係る窒化物系半導体の形成方法は、絶縁体基板上に窒化物系半導体層を成長させる窒化物系半導体の形成方法において、絶縁体基板上にエッチングにより間隔Xで分散的に幅Yの複数のバッファ層を形成し、間隔X[μm]および幅Y[μm]がY[μm]≦-X[μm]+40[μm]かつY[μm]≧1[μm]かつX[μm]≧1[μm]の関係を満足し、絶縁体基板上および複数のバッファ層上に窒化物系半導体層を成長させるものである。ここで、窒化物系半導体層は略単結晶である。
【0042】第3の発明に係る窒化物系半導体の形成方法においては、基板と窒化物系半導体とでは格子定数が異なるため、バッファ層を介することなく窒化物系半導体層を基板上に成長させるのは困難である。このため、窒化物系半導体層は、成長初期において、複数のバッファ層上に選択的に成長する。この場合、窒化物系半導体層は、バッファ層上において縦方向に成長する。
【0043】上記の窒化物系半導体層の縦方向の成長が進むと、バッファ層上に成長した窒化物系半導体層はさらに横方向に成長する。それにより、複数のバッファ層の間で露出した基板上に、窒化物系半導体層が形成される。このような窒化物系半導体層の横方向成長により、平坦な表面を有する連続膜の窒化物系半導体層が形成される。なお、このような窒化物系半導体層の横方向成長においては、ボイドの発生を抑制することも可能である。
【0044】ここで、上記のように窒化物系半導体層が横方向に成長するため、基板付近で発生した縦方向に伝播する転位は、窒化物系半導体層の横方向成長に伴って横方向に折れ曲がる。それにより、窒化物系半導体層において、縦方向に伝播する転位を低減することが可能となる。したがって、窒化物系半導体層の表面において良好な結晶性が実現される。
【0045】また、上記の窒化物系半導体の形成方法によれば、選択成長マスクを用いることなく窒化物系半導体層を横方向成長させることができる。このため、窒化物系半導体層においては、選択成長マスクと窒化物系半導体との熱膨張係数の差によるクラックの発生が防止される。また、場合によってはボイドの発生を防止することも可能である。
【0046】さらに、上記の窒化物系半導体の形成方法によれば、1回の窒化物系半導体の成長により、転位の低減された窒化物系半導体層を容易に形成することができる。
【0047】また、非単結晶のバッファ層は加工が容易であることから、上記の窒化物系半導体の形成方法においては、複数のバッファ層を容易に形成することができる。したがって、転位の低減された窒化物系半導体層をさらに容易に形成することができる。
【0048】また、この場合、バッファ層の間隔Xおよび幅Yが上記の関係を満足するため、エッチングにより容易にバッファ層のパターニングを行うことができるとともに、バッファ層上に形成する窒化物系半導体層の平坦化を容易に行うことが可能となる。したがって、この場合においては、容易に窒化物系半導体層を形成することが可能となる。
【0049】複数のバッファ層は、ストライプ状に配置されてもよい。この場合、複数のストライプ状のバッファ層の間で露出した基板上の窒化物系半導体層において、横方向成長を行うことができる。
【0050】また、複数のバッファ層は、2次元的に分散配置されてもよい。この場合、2次元的に分散配置された複数のバッファ層の間で露出した基板上の窒化物系半導体層において、横方向成長を行うことができる。
【0051】(4)第4の発明
第4の発明に係る窒化物系半導体素子は、基板のC面上に第1の窒化物系半導体層が形成され、第1の窒化物系半導体層のC面から所定の方向に所定の角度傾斜した面上に、第1の窒化物系半導体層よりも単結晶に近い第2の窒化物系半導体層が形成され、第2の窒化物系半導体層上に、素子領域を含む窒化物系半導体層が形成されたものである。ここで、第2の窒化物系半導体層は略単結晶であり、素子領域を含む窒化物系半導体層は略単結晶である。
【0052】第4の発明に係る窒化物系半導体素子の第1の窒化物系半導体層の傾斜した面は、原子オーダの段差を有する。このような原子オーダの段差を有する第1の窒化物系半導体層の傾斜した面に第2の窒化物系半導体層を成長させると、主として、ステップフローモードで成長が起こる。このため、基板から縦方向に伝播した転位は、第2の窒化物系半導体層のステップフロー成長に伴って横方向に折れ曲がる。それにより、第2の窒化物系半導体層においては、縦方向に伝播する転位が低減される。したがって、第2の窒化物系半導体層の表面においては、良好な結晶性が実現される。
【0053】上記の窒化物系半導体素子においては、このように転位が低減された第2の窒化物系半導体層上に、素子領域を含む窒化物系半導体層が形成されている。このため、窒化物系半導体層においては、良好な結晶性が実現される。それにより、窒化物系半導体素子において、素子特性および信頼性の向上が図られる。
【0054】また、上記の窒化物系半導体素子の第2の窒化物系半導体層においては、選択成長マスクを用いることなくステップフロー成長が行われるため、選択成長マスクと窒化物系半導体との熱膨張係数の差によるクラックの発生が防止されるとともに、ボイドの発生が防止される。それにより、上記の窒化物系半導体素子においては、製造時の素子分離工程等におけるクラックの発生が防止され、高い歩留りが実現される。
【0055】(5)第5の発明
第5の発明の一局面に係る窒化物系半導体素子は、半導体基板上に窒化物系半導体層が形成された窒化物系半導体素子において、半導体基板は、IV族半導体、IV-IV族半導体またはII-IV族半導体からなる半導体基板であり、半導体基板の表面に凹凸パターンが形成され、凹凸パターン上に素子領域を含む窒化物系半導体層が形成されたものである。ここで、窒化物系半導体層は略単結晶である。
【0056】第5の発明の他の局面に係る窒化物系半導体素子は、半導体基板上に窒化物系半導体層が形成された窒化物系半導体素子において、半導体基板は、格子定数が窒化物系半導体層の格子定数と異なるIII-V族半導体からなる半導体基板であり、半導体基板の表面に凹凸パターンが形成され、凹凸パターン上に素子領域を含む窒化物系半導体層が形成されたものである。ここで、窒化物系半導体層は略単結晶である。
【0057】第5の発明のさらに他の局面に係る窒化物系半導体素子は、絶縁体基板上に窒化物系半導体層が形成された窒化物系半導体素子において、絶縁体基板の表面に凹凸パターンが形成され、凹凸パターン上に素子領域を含む窒化物系半導体層が形成されたものである。ここで、窒化物系半導体層は略単結晶である。
【0058】第5の発明のさらに他の局面に係る窒化物系半導体素子は、基板の表面に凹凸パターンが形成され、凹凸パターン上にバッファ層が形成され、凹凸パターン上およびバッファ層上に少なくとも部分的にほぼ平坦な表面を有する第1の窒化物系半導体層が形成され、第1の窒化物系半導体層の平坦な表面に、素子領域を含む第2の窒化物系半導体層が形成されたものである。ここで、第1の窒化物系半導体層および第2の窒化物系半導体層は略単結晶であり、バッファ層は非単結晶である。
【0059】第5の発明に係る窒化物系半導体素子においては、成長初期段階で、基板の段差を起源として、基板の段差の付近に窒化物系半導体層の段差が形成される。
【0060】さらに窒化物系半導体層の成長が進むと、段差側面の窒化物系半導体層における横方向の成長が支配的となる。それにより、窒化物系半導体層において凹部が徐々に埋められ、平坦な表面を有する窒化物系半導体層が形成される。
【0061】ここで、上記のように窒化物系半導体層が横方向に成長するため、基板付近で発生した縦方向に伝播する転位は、窒化物系半導体層の横方向成長に伴って横方向に折れ曲がる。それにより、窒化物系半導体層においては、縦方向に伝播する転位が低減される。したがって、窒化物系半導体層の表面においては、良好な結晶性が実現される。
【0062】上記の窒化物系半導体素子においては、このように転位が低減された窒化物系半導体層上に、素子領域を含む窒化物系半導体層が形成されている。このため、窒化物系半導体層においては、良好な結晶性が実現される。それにより、窒化物系半導体素子において、素子特性および信頼性の向上が図られる。
【0063】また、上記の窒化物系半導体素子の窒化物系半導体層においては、選択成長マスクを用いることなく横方向成長が行われるため、選択成長マスクと窒化物系半導体との熱膨張係数の差によるクラックの発生が防止される。また、場合によってはボイドの発生を防止することが可能である。それにより、上記の窒化物系半導体素子においては、製造時の素子分離工程等におけるクラックの発生が防止され、高い歩留りが実現される。
【0064】さらに、上記の窒化物系半導体素子においては、1回の窒化物系半導体の成長により転位の低減された窒化物系半導体層が容易に形成される。したがって、このような窒化物系半導体素子は製造が容易である。
【0065】特に、表面の加工が容易である基板が用いられている場合においては、基板の表面に容易に凹凸パターンが形成されるため、窒化物系半導体素子の製造はさらに容易である。
【0066】また、凹凸パターンの凹部の中央を除く領域に素子領域を含む第2の窒化物系半導体層が形成されることが好ましい。この場合においては、素子領域を含む第2の窒化物系半導体層において、より良好な結晶性が実現できる。それにより、窒化物系半導体素子において、素子特性および信頼性の向上がさらに図られる。
【0067】(6)第6の発明
第6の発明の一局面に係る窒化物系半導体素子は、半導体基板上に窒化物系半導体層が形成された窒化物系半導体素子において、半導体基板は、IV族半導体、IV-IV族半導体またはII-VI族半導体からなる半導体基板であり、半導体基板上に間隔Xで分散的に幅Yの複数のバッファ層が形成され、間隔X[μm]および幅Y[μm]がY[μm]≦-X[μm]+40[μm]かつY[μm]≧1[μm]かつX[μm]≧1[μm]の関係を満足し、半導体基板上および複数のバッファ層上に窒化物系半導体層が形成されたものである。ここで、窒化物系半導体層は略単結晶である。
【0068】第6の発明の他の局面に係る窒化物系半導体素子は、半導体基板上に窒化物系半導体層が形成された窒化物系半導体素子において、半導体基板は、格子定数が窒化物系半導体層の格子定数と異なるIII-V族半導体からなる半導体基板であり、半導体基板上に間隔Xで分散的に幅Yのバッファ層が形成され、間隔X[μm]および幅Y[μm]がY[μm]≦-X[μm]+40[μm]かつY[μm]≧1[μm]かつX[μm]≧1[μm]の関係を満足し、半導体基板上および複数のバッファ層上に窒化物系半導体層が形成されたものである。ここで、窒化物系半導体層は略単結晶である。
【0069】第6の発明のさらに他の局面に係る窒化物系半導体素子は、絶縁体基板上に窒化物系半導体層が形成された窒化物系半導体素子において、絶縁体基板上に間隔Xで分散的に幅Yのバッファ層が形成され、間隔X[μm]および幅Y[μm]がY[μm]≦-X[μm]+40[μm]かつY[μm]≧1[μm]かつX[μm]≧1[μm]の関係を満足し、絶縁体基板上および複数のバッファ層上に窒化物系半導体層が形成されたものである。ここで、窒化物系半導体層は略単結晶である。
【0070】第6の発明に係る窒化物系半導体素子においては、基板上に複数のバッファ層が分散配置されている。ここで、基板と窒化物系半導体とでは格子定数が異なるため、バッファ層の間で露出した基板上に窒化物系半導体を成長させることは困難である。このため、成長初期の窒化物系半導体層は、複数のバッファ層上に選択的に成長する。この場合、窒化物系半導体層は、バッファ層上において縦方向に成長する。
【0071】上記の窒化物系半導体層の縦方向の成長が進むと、バッファ層上に成長した窒化物系半導体層は、さらに横方向に成長する。それにより、バッファ層の間で露出した基板上に窒化物系半導体層が形成される。このようにして、平坦な表面を有する連続膜の窒化物系半導体層が形成される。なお、このような窒化物系半導体層の横方向成長においては、ボイドの発生を抑制することも可能である。
【0072】ここで、上記のように窒化物系半導体層が横方向に成長するため、基板付近で発生した縦方向に伝播する転位は、窒化物系半導体層の横方向成長に伴って横方向に折れ曲がる。それにより、窒化物系半導体層において、縦方向に伝播する転位が低減される。したがって、窒化物系半導体層の表面においては、良好な結晶性が実現される。
【0073】上記の窒化物系半導体素子においては、このように転位が低減された窒化物系半導体層上に、素子領域を含む窒化物系半導体層が形成されている。このため、窒化物系半導体層においては、良好な結晶性が実現される。それにより、窒化物系半導体素子において、素子特性および信頼性の向上が図られる。
【0074】また、上記の窒化物系半導体素子の窒化物系半導体層においては、選択成長マスクを用いることなく横方向成長が行われるため、選択成長マスクと窒化物系半導体との熱膨張係数の差によるクラックの発生が防止される。また、場合によってはボイドの発生を防止することも可能である。
【0075】それにより、上記の窒化物系半導体素子においては、製造時の素子分離工程等におけるクラックの発生が防止され、高い歩留りが実現される。
【0076】さらに、上記の窒化物系半導体素子においては、1回の窒化物系半導体の成長により転位の低減された窒化物系半導体層が容易に形成される。また、低温で成長した結晶性の悪いバッファ層の加工が容易であることから、複数のバッファ層は容易に形成される。したがって、このような窒化物系半導体素子は、製造が容易である。
【0077】また、この場合においては、バッファ層の間隔Xおよび幅Yが上記の関係を満足するため、バッファ層のパターニングの際にエッチングを容易に行うことができるとともに、バッファ層上に形成される窒化物系半導体層を容易に平坦化することが可能となる。したがって、このような窒化物系半導体素子は製造が容易である。
【0078】
【発明の実施の形態】図1および図2は、第1の発明の一実施例における窒化物系半導体の形成方法を示す模式的工程断面図である。
【0079】図1(a)に示すように、基板温度を600℃に保った状態でMOVPE法(有機金属化学的気相成長法)により、直径50.8mmのサファイア基板1のC面上に、アンドープのAlGaNからなる膜厚約15nmのAlGaN第1バッファ層2を形成する。さらに、基板温度を1150℃に保った状態でMOVPE法により、アンドープのGaNからなる膜厚約0.5μmのGaN第2バッファ層3を形成する。
【0080】続いて、図1(b)に示すように、基板温度を1150℃に保った状態でHVPE法(ハライド気相成長法)により、アンドープのGaNからなる膜厚約600μmの第1GaN層4を形成する。第1GaN層4の形成時においては、サファイア基板1を回転させながらアンドープのGaNを成長させる。それにより、全体にわたって均一な膜厚を有する第1GaN層4を形成することが可能となる。
【0081】上記のように第1GaN層4を成長させた後、図中のA-A線上の第1GaN層4を研磨して除去する。それにより、第1GaN層4において、サファイア基板1のC面から所定の方向(以下、オフ方向と呼ぶ)に所定の角度(以下、オフ角度と呼ぶ)Bだけ傾斜した面(以下、オフ面と呼ぶ)を露出させる。
【0082】以上のようにして、図1(c)に示すように、第1GaN層4にオフ面が形成されたGaNオフ基板25を作製する。この場合、GaNオフ基板25の表面、すなわち第1GaN層4のオフ面は、原子オーダの段差が形成されている。なお、図1(c)、図2(d),(e)は原子オーダの段差を高さ方向に誇張して描いた模式図である。また、GaN第2バッファ層3におけるサファイア基板1付近で発生した転位が、GaN第2バッファ層3と第1GaN層4をc軸方向に伝播している。
【0083】続いて、図2(d)から(e)に示すように、基板温度を1150℃に保った状態でMOVPE法により、第1GaN層4のオフ面に、アンドープのGaNからなる第2GaN層5を成長させる。この場合、主として、ステップフローモードで成長が起こる。このため、サファイア基板1からc軸方向に伝播した転位は、第2GaN層5のステップフロー成長に伴って、横方向(矢印Xの方向)すなわち第2GaN層5の(0001)面に平行な方向に折れ曲がる。それにより、第2GaN層5において、c軸方向に伝播する転位が低減される。
【0084】このようにして形成された第2GaN層5の表面においては、転位が低減されており、良好な結晶性が得られる。
【0085】以上のような窒化物系半導体の形成方法によれば、第1GaN層4のオフ面の原子オーダの段差を利用することにより、SiO_(2)膜等の選択成長マスクを用いることなく第2GaN層5を横方向成長させ、転位を低減することが可能となる。したがって、GaNオフ基板25上に、良好な結晶性を有する第2GaN層5を形成することができる。
【0086】上記の窒化物系半導体の形成方法においては、選択成長マスクを用いないため、選択成長マスクとGaNとの熱膨張係数の差によるクラックの発生を防止できる。また、第2GaN層5におけるボイドの発生を防止することができる。
【0087】以上のことから、第2GaN層5上に素子領域を含む窒化物系半導体層を形成して半導体素子を製造した場合、第2GaN層5上に形成した窒化物系半導体層において良好な結晶性が得られるとともに、素子の分離工程等におけるクラックの発生を防止することができる。それにより、良好な素子特性を有しかつ高い信頼性を有する半導体素子が得られる。
【0088】上記の窒化物系半導体の形成方法において、第1GaN層4のオフ面のオフ角度Bは、特に限定されるものではない。
【0089】ここで、例えば第1GaN層4のオフ面のオフ角度Bを、0.02°、0.05°、0.1°、0.2°、0.5°、1°、2°および5°とした場合の各第2GaN層5について、X線回折ロッキングカーブの半値幅等により結晶性を評価すると、第1GaN層4のオフ面のオフ角度Bが大きい程、オフ面に形成した第2GaN層5の結晶性が向上するという結果が示される。
【0090】また、第1GaN層4のオフ面の傾斜方向すなわちオフ方向は、特に限定されるものではない。
【0091】ここで、例えば第1GaN層4のオフ方向を、[1-100]方向、[1-100]方向から[1-210]方向側に10°ずれた方向、[1-210]方向から[1-100]方向側に10°ずれた方向、および[1-210]方向とした場合の各第2GaN層5について、上記と同様の方法により結晶性を評価すると、第1GaN層4のオフ方向が[1-100]方向に近い程、オフ面に形成した第2GaN層5の結晶性が向上するという結果が示される。
【0092】なお、上記においては、第1GaN層4の成長時に基板を回転させて均一な膜厚の第1GaN層4を形成した後、第1GaN層4を研磨してオフ面を形成しているが、成長時に基板を回転させずに第1GaN層4を成長させて膜厚の不均一な第1GaN層4を形成し、この膜厚の不均一な第1GaN層4の表面をオフ面としてもよい。
【0093】このようにして形成した第1GaN層4においては、最も厚い部分の膜厚が例えば約700μmとなり、最も薄い部分の膜厚が例えば約500μmとなる。したがって、このような第1GaN層4の表面は、第1GaN層4の(0001)面に対して平均して約0.2°傾斜している。それにより、第1GaN層4において、表面を研磨することなくオフ面を形成することができる。
【0094】また、この第1GaN層4上に、基板を回転させて均一な膜厚の窒化物系半導体層を形成することができるので、成長を中断することなく、1回の窒化物系半導体層の成長により、転位が低減された窒化物系半導体層を容易に形成することができる。
【0095】さらに、上記においてはサファイア基板1を用いているが、スピネル等の絶縁体の基板を用いてもよい。あるいはSi、Ge等のIV族半導体、SiC等のIV-IV族半導体あるいはZnSe等のII-VI族半導体からなる半導体基板や、半導体基板の格子定数が窒化物系半導体層の格子定数と異なる、GaAs、InP、GaP等のIII-V族半導体からなる半導体基板を用いてもよい。半導体基板としては、絶縁性、n型、p型のいずれの基板を用いてもよい。上記のように基板の格子定数が窒化物系半導体層の格子定数と異なる基板を用いた場合には、基板付近で窒化物系半導体層に転位が多数発生し、この転位を低減する本発明の効果は大きい。
【0096】さらに、上記の窒化物系半導体層の形成方法に、選択成長マスクを用いた従来の選択横方向成長を適用してもよい。この場合について以下に説明する。
【0097】図3は第1の発明の他の実施例における窒化物系半導体の形成方法を示す模式的工程断面図である。
【0098】この場合、図3(a)に示すように、図1および図2に示す窒化物系半導体の形成方法と同様の方法により、サファイア基板1のC面上に、膜厚15nmのAlGaN第1バッファ層2および膜厚0.5μmのGaN第2バッファ層3を順に成長させる。
【0099】その後、GaN第2バッファ層3上の所定領域に、GaNの[11-20]方向に延びる膜厚約0.5μmのストライプ状SiO_(2)膜15を選択成長マスクとして形成する。なお、この場合のSiO_(2)膜15の間隔は、後述するように、図12に示す従来の選択横方向成長におけるSiO_(2)膜210の間隔に比べて大きくしてもよい。したがって、GaN第2バッファ層3上に形成されるSiO_(2)膜15の数は、従来の選択横方向成長におけるSiO_(2)膜210の数に比べて少なくしてもよい。
【0100】続いて、図3(b)に示すように、基板温度を1150℃に保った状態でサファイア基板1を回転させながら、HVPE法により、GaN第2バッファ層3上およびSiO_(2)膜15上にアンドープのGaNからなる第1GaN層4を成長させる。
【0101】ここで、SiO_(2)膜15上においてはGaNが成長しにくいため、成長初期の第1GaN層4aは、SiO_(2)膜間で露出したGaN第2バッファ層3上に選択的に成長する。
このとき、第1GaN層4aは、図中の矢印Yの方向(c軸方向)に成長する。このような第1GaN層4aの成長においては、GaN第2バッファ層3からc軸方向に転位が伝播する。
【0102】上記のGaN第2バッファ層3上における第1GaN層4aの成長が進むにつれて、GaN第2バッファ層3上に形成した第1GaN層4aは、さらに矢印Xの方向(横方向)にも成長する。それにより、SiO_(2)膜15上に第1GaN層4aが形成される。
【0103】ここで、SiO_(2)膜15上における第1GaN層4aが横方向に成長するため、サファイア基板1付近で発生したc軸方向に伝播する転位は、第1GaN層4aの横方向成長に伴い、横方向(矢印Xの方向)すなわち第1GaN層4aの(0001)面に平行な方向に折れ曲がる。それにより、第1GaN層4aにおいて、c軸方向に伝播する転位の低減が図られる。
【0104】さらに、図3(c)に示すように、平坦化するまで第1GaN層4aを成長させ、膜厚600μmの第1GaN層4aを形成する。その後、図1および図2の窒化物系半導体層の形成方法と同様の方法により、図中のA-A線上の第1GaN層4aを研磨して除去する。
【0105】以上のようにして、図3(d)に示すように、所定のオフ方向で所定のオフ角度Bを有するオフ面が第1GaN層4aに形成されてなるGaNオフ基板26を作製する。
【0106】また、GaNオフ基板26においては、第1GaN層4aが選択横方向成長により形成されている。このため、GaNオフ基板26の第1GaN層4aは、GaNオフ基板25の第1GaN層4に比べて転位が低減されており、結晶性の向上が図られている。
【0107】上記の第1GaN層4aのオフ面に、GaNオフ基板25の場合と同様の方法により、アンドープのGaNからなる第2GaN層5aを成長させる。この場合、GaNオフ基板25の第1GaN層4上における第2GaN層5の成長過程と同様の過程を経て、第1GaN層4a上に第2GaN層5aが形成される。このようにして形成された第2GaN層5aの表面においては、さらに転位が低減されており、良好な結晶性が得られる。
【0108】以上のような窒化物系半導体の形成方法によれば、GaNオフ基板26のオフ面の原子オーダの段差を利用することにより、選択成長マスクを用いることなく第2GaN層5aを横方向成長させ、転位を低減することが可能となる。したがって、GaNオフ基板26上に、さらに良好な結晶性を有する第2GaN層5aを形成することができる。
【0109】また、このようにして形成した第2GaN層5aにおいては、選択成長マスクとGaNとの熱膨張係数の差によるクラックの発生が防止されるとともに、ボイドの発生が防止される。
【0110】ここで、GaNオフ基板26においては、前述のようなSiO_(2)膜15を用いた選択横方向成長により、第1GaN層4aの転位が低減されている。このため、このような第1GaN層4a上に形成した第2GaN層5aにおいては、GaNオフ基板25の第1GaN層4上に形成した第2GaN層5に比べて、より転位が低減されており、より良好な結晶性が実現される。
【0111】上記の窒化物系半導体の形成方法においては、SiO_(2)膜15を用いた第1GaN層4aの選択横方向成長、および第1GaN層4aにおけるオフ面の形成の2段階により、第2GaN層5aにおいて転位の低減が図られる。このため、上記の窒化物系半導体の形成方法においては、第1GaN層4aの選択横方向成長による転位の低減効果が小さくてもよい。したがって、前述のように、本例においてはSiO_(2)膜15の数を、従来の選択横方向成長時に形成するSiO_(2)膜の数よりも少なくすることが可能となる。それにより、第1GaN層4aにおいて、SiO_(2)膜15とGaNとの熱膨張係数の差によるクラックの発生を防止できるとともに、SiO_(2)膜15上におけるボイドの発生を防止することができる。
【0112】以上のことから、第2GaN層5a上に素子領域を含む窒化物系半導体層を形成して半導体素子を製造した場合、第2GaN層5a上に形成した窒化物系半導体層においてより良好な結晶性が得られるとともに、素子の分離工程等におけるクラックの発生を防止することができる。それにより、より良好な素子特性および高い信頼性を有する半導体素子が得られる。
【0113】なお、上記においては、選択成長マスクとしてSiO_(2)膜15を用いているが、TiO_(2)膜等の絶縁膜、またはW等の高融点金属からなる薄膜を選択成長マスクとして用いてもよい。
【0114】また、上記においては、GaNオフ基板26として選択成長により、転位を低減した基板を用いたが、転位の少ないバルクのGaN基板を研磨等によりオフ基板とし、これを基板として用いた場合においても、さらなる結晶性の向上が図れる。
【0115】加えて、第1の発明において、窒化物系半導体のオフ基板の裏面のサファイア等の基板は、オフ基板上に窒化物系半導体を形成する前に、除去してももちろんよく、同様の効果が得られる。
【0116】図4および図5は、第2の発明の一実施例における窒化物系半導体の形成方法を示す模式的工程断面図である。
【0117】まず、図4(a)に示すように、C面を基板表面とするサファイア基板11の所定領域を、RIE法(反応性イオンエッチング法)等によりエッチングする。このようにして、所定の方向に延びる複数のストライプ状の凹部が形成されたサファイア基板11を作製する。
【0118】この場合、凹部の幅wは、数μm?数十μmとするのが好ましく、凸部の幅bは数百nm?数十μmとするのが好ましく、凹部の深さdは、数nm?数μmとするのが好ましい。例えば、本例においては凹部の幅wを約29μmとし、凸部の幅bを2μmとし、凹部の深さdを約1μmとしている。
【0119】また、サファイア基板11のC面に対する凹部側面の角度は、特に限定されるものではない。例えば、本例においては凹部側面がサファイア基板11のC面に対してほぼ垂直である。
【0120】さらに、ストライプ状の凹部を形成する方向は、特に限定されるものではない。例えば、本例においては[1-100]方向にストライプ状の凹部を形成する。なお、これ以外に、例えば[11-20]方向にストライプ状の凹部を形成してもよい。
【0121】続いて、図4(b)に示すように、基板温度を600℃に保った状態でMOVPE法により、サファイア基板11の凸部上面、凹部底面および凹部側面に、アンドープのAlGaNからなる膜厚約15nmのAlGaNバッファ層12を成長させる。この場合、AlGaNバッファ層12は、サファイア基板11の凸部上面、凹部底面および凹部側面において、図中の矢印Yの方向(c軸方向)および矢印Xの方向(横方向)に成長する。このようにして形成されたAlGaNバッファ層12の表面には、サファイア基板11と同様の凹凸パターンが形成される。
【0122】続いて、図5(c)に示すように、基板温度を1150℃に保った状態でMOVPE法により、AlGaNバッファ層12上に、アンドープのGaNからなるGaN層13を成長させる。この場合、成長初期のGaN層13は、AlGaNバッファ層12の凸部上面、凹部底面および凹部側面において、図中の矢印Yの方向(c軸方向)に成長し、その後矢印Xの方向(横方向)にも成長する。このような成長初期のGaN層13の表面には、AlGaNバッファ層12と同様の凹凸パターンが形成される。
【0123】図5(d)に示すように、矢印Yの方向におけるGaN層13の成長が進むにつれて、矢印Xの方向におけるGaN層13の成長が支配的となる。この場合、凹部底面のGaN層13上において、凸部上面および凹部側面のGaN層13がさらに横方向に成長する。それにより、GaN層13の凹部が徐々に埋められていく。
【0124】ここで、上記のようなGaN層13が横方向に成長するため、サファイア基板11付近で発生したc軸方向に伝播した転位は、GaN層13の横方向成長に伴って、横方向(矢印Xの方向)すなわちサファイア基板11のC面に平行な方向に折れ曲がる。それにより、GaN層13において、c軸方向に伝播する転位が一様に低減される。さらに、中央部を除く凹部上に転位密度の特に低減された領域が形成される。なお、この場合においては、サファイア基板11の凹部上に形成されたGaN層13の中央部の領域において、転位が集中する部分が線状に発生し、比較的転位密度の高い領域が形成される。
【0125】図5(e)に示すように、平坦化するまでGaN層13を成長させ、膜厚10μmのGaN層13を形成する。このようにして形成したGaN層13の表面においては、転位が低減されており、良好な結晶性が得られる。また、このようなGaN層13においてはボイドが発生しにくい。
【0126】以上のような窒化物系半導体の形成方法によれば、ストライプ状の凹部が形成されたサファイア基板11を用いることにより、選択成長マスクを用いることなくGaN層13を横方向成長させ、転位を低減することが可能となる。したがって、良好な結晶性を有するGaN層13を形成することができる。
【0127】この場合、GaNを成長させる工程は、GaN層13を形成する際の1回のみである。このように、上記の窒化物系半導体の形成方法によれば、1回のGaNの成長により、転位が低減されたGaN層13が容易に得られる。
【0128】上記の窒化物系半導体の形成方法においては、選択成長マスクを用いないため、GaN層13において、選択成長マスクとGaNとの熱膨張係数の差によるクラックの発生を防止できる。また、GaN層13におけるボイドの発生を防止することができる。なお、ボイドが残っていてもよい。
【0129】以上のことから、GaN層13上に素子領域を含む窒化物系半導体層を形成して半導体素子を製造した場合、GaN層13上に形成した窒化物系半導体層において良好な結晶性が得られるとともに、素子の分離工程等におけるクラックの発生を防止することができる。それにより、良好な素子特性および高い信頼性を有する半導体素子が得られる。
【0130】なお、前述のように、GaN層13の転位は一様に低減されるが、サファイア基板11の凹部上のGaN層13の中央部の領域において、比較的転位密度の高い領域が形成される。このため半導体素子の製造の際には、サファイア基板11の凹部上の中央部を除く領域に素子領域を形成することが好ましい。さらに、中央部を除く凹部上に転位密度の特に低減された領域が形成されるため、サファイア基板11の凹部上の中央部を除く凹部上の領域に素子領域を形成することがさらに好ましい。
【0131】また、上記においてはサファイア基板11を用いているが、スピネル等の絶縁体の基板を用いてもよい。あるいはSi、Ge等のIV族半導体、SiC等のIV-IV族半導体あるいはZnSe等のII-VI族半導体からなる半導体基板や、半導体基板の格子定数が窒化物系半導体層の格子定数と異なる、GaAs、InP、GaP等のIII-V族半導体からなる半導体基板を用いてもよい。半導体基板としては、絶縁性、n型、p型のいずれの基板を用いてもよい。特に、Si、GaAsまたはSiCからなる基板は、GaNに比べてエッチングが容易である。したがって、Si、GaAsまたはSiCからなる基板を用いた場合、エッチングにより基板に容易にストライプ状の凹部を形成することができる。それにより、転位が低減されたGaN層13を容易に形成することが可能となる。
【0132】例えば、(0001)面を基板表面とするn型6H-SiC基板の表面の所定領域をRIE法等によりエッチングし、幅が約14μm、高さが約1μmでありかつ[11-20]方向に延びるストライプ状の凹部を形成する。それにより、表面にストライプ状の凹部を有するn型6H-SiC基板を作製する。あるいは、(111)面を基板表面とするn型Si基板の表面の所定領域をウエットエッチング等により除去し、幅が約22μm、高さが約2μmでありかつ[1-10]方向に延びるストライプ状の凹部を形成する。この場合、凹部側面は、(110)面および(001)面から構成される。それにより、表面にストライプ状凹部を有するn型Si基板を作製する。
【0133】さらに、上記においては基板上にストライプ状の凹凸パターンを形成しているが、基板上に形成する凹凸パターンは、ストライプ状以外であってもよい。
【0134】上記のようなストライプ状の凹部を有するn型6H-SiC基板またはn型Si基板上に、図4および図5に示す窒化物系半導体の形成方法によりAlGaNバッファ層12およびGaN層13を形成する場合、まず、基板温度1150℃に保った状態でMOVPE法により、基板上にn-Al_(0.09)Ga_(0.91)Nからなる膜厚約0.05μmの単結晶のAlGaNバッファ層12を形成する。さらに、基板温度を1150℃に保った状態でMOVPE法により、AlGaNバッファ層12上にn-GaNからなる膜厚約10μmのGaN層13を形成する。
【0135】以上のように、図4および図5に示す窒化物系半導体の形成方法においてn型6H-Si基板またはn型Si基板を用いた場合、サファイア基板11を用いた場合において前述した効果と同様の効果が得られる。
【0136】なお、Si、Ge等のIV族半導体、SiC等のIV-IV族半導体あるいはZnSe等のII-VI族半導体からなる半導体基板や、半導体基板の格子定数が窒化物系半導体層の格子定数と異なる、GaAs、InP、GaP等のIII-V族半導体からなる半導体基板の場合、上記のようにAlGaNバッファ層12として単結晶のバッファ層を形成してもよいが、例えば、約600℃で非単結晶のバッファ層を形成しても同様の効果がある。
【0137】さらに、凹凸の形状は上記の形状に限られるものではない。図6(a)は、図4および図5に示す窒化物系半導体の形成方法に用いる基板の他の例を示す模式的断面図である。
【0138】図6(a)に示すように、基板21においては、表面に鋸歯状の凹凸パターンが形成されている。例えば、鋸歯状の凹凸パターンを有するサファイアからなる基板21においては、凹部側面がR面すなわち(1-101)面と等価な面から構成される。
【0139】このような基板21を用いた場合においては、前述のストライプ状の凹凸パターンを有するサファイア基板11を用いた場合と同様の効果が得られる。なお、この場合において、基板21の凹部上に形成されたGaN層13の領域において、転位が集中する部分が線状に発生する。
【0140】また、円形、六角形、三角形等の形状を有する複数の凹部または凸部が分散配置された基板であってもよい。この場合について、以下に説明する。
【0141】図6(b)は、図4および図5に示す窒化物系半導体の形成方法に用いる基板のさらに他の例を示す平面図である。
【0142】図6(b)に示すように、基板31においては、表面に六角形の凹部または凸部が形成されている。
【0143】このような基板31を用いた場合においては、前述のストライプ状の凹凸パターンを有するサファイア基板11を用いた場合と同様に、GaN層の転位が一様に低減されるという効果が得られる。
【0144】さらに、六角形の凹部が形成された基板31を用いた場合においては、中央部を除く凹部上に転位密度の特に低減された領域が形成される。なお、この場合においては、基板31の六角形の凹部上に形成されたGaN層の中央部において、転位が集中する部分が発生し、比較的転位密度の高い領域が形成される。
【0145】一方、六角形の凸部が形成された基板31を用いた場合においては、凸部間の凹部上の中央部を除いて、凹部上に転位密度の特に低減された領域が形成される。なお、この場合においては、基板31の六角形の凸部の間の凹部上に形成されたGaN層の中心部の領域において、転位が集中する部分が線状に発生し、比較的転位密度の高い領域が形成される。
【0146】なお、前述のように、GaN層の転位は一様に低減されるが、基板31の六角形の凹部上に形成されたGaN層の中央部の領域または基板31の六角形の凸部間の凹部上に形成されたGaN層の中心部の領域において、比較的転位密度の高い領域が形成される。このため、半導体素子の製造の際には、基板31の六角形の凹部上の中央部を除く領域または基板31の六角形の凸部間の凹部上の中心部を除く領域に素子領域を形成することが好ましい。さらに、中央部を除く六角形の凹部上または六角形の凸部間の中心部を除く凹部上に転位密度の特に低減された領域が形成されるため、基板31の六角形の凹部上の中央部を除く凹部上の領域または基板31の六角形の凸部間の凹部上の中心部を除く凹部上の領域に素子領域を形成することがさらに好ましい。
【0147】また、基板31としては、サファイア基板を用いてもよいが、スピネル等の絶縁体の基板を用いてもよい。あるいはSi、Ge等のIV族半導体、SiC等のIV-IV族半導体あるいはZnSe等のII-VI族半導体からなる半導体基板や、半導体基板の格子定数が窒化物系半導体層の格子定数と異なる、GaAs、InP、GaP等のIII-V族半導体からなる半導体基板を用いてもよい。半導体基板としては、絶縁性、n型、p型のいずれの基板を用いてもよい。特に、Si、GaAsまたはSiCからなる基板は、GaNに比べてエッチングが容易である。したがって、Si、GaAsまたはSiCからなる基板を用いた場合、エッチングにより基板に容易にストライプ状の凹部を形成することができる。それにより、転位が低減されたGaN層13を容易に形成することが可能となる。
【0148】なお、円形、三角形等の六角形以外の凹部または凸部が形成された基板を用いた場合においても、六角形の凹部または凸部を有する基板31を用いた場合と同様に、転位の集中する部分がGaN層において発生する。
【0149】なお、図6(b)に示すような六角形の凹凸パターンを有する基板31を作製する場合、あるいは三角形の凹凸パターンを有する基板を作製する場合において、六角形または三角形の各辺を形成する方向は、基板のいかなる結晶方位と一致してもよい。
【0150】なお、(0001)面を基板表面とするサファイア基板またはSiC基板に六角形または三角形の凹凸パターンを形成する場合、各辺が[1-100]方向または[11-20]方向と等価な方向に一致するように六角形または三角形の凹凸パターンを形成することが好ましい。一方、(111)面を基板表面とするSi基板に六角形または三角形の凹凸パターンを形成する場合、各辺が[1-10]方向または[11-2]方向と等価な方向に一致するように六角形または三角形の凹凸パターンを形成することが好ましい。
【0151】図7および図8は、第2の発明の参考例を示す窒化物系半導体の形成方法を示す模式的工程断面図である。
【0152】図7(a)に示すように、サファイア基板41のC面から所定の方向に所定の角度傾斜したオフ面を、RIE法等によりエッチングする。それにより、サファイア基板41のオフ面に所定の方向にストライプ状に延びる階段状の段差を形成する。この場合、サファイア基板41の段差の底面においては、C面が露出している。
【0153】エッチングにより形成された段差は、サファイア基板41のオフ面に本来的に存在する原子オーダの段差に比べて大きなサイズを有する。サファイア基板41において、段差の底面の幅は数μm?数十μmとすることが好ましく、段差の高さは数nm?数μmとすることが好ましい。例えば、本例においては段差の底面の幅を約29μmとし、段差の高さを約1μmとする。
【0154】また、段差を形成する方向は、特に限定されるものではない。例えば、本例においては、C面から[11-20]方向に2°傾斜したサファイア基板のオフ面をエッチングすることにより、[1-100]方向にストライプ状に延びる階段状の段差を形成する。なお、これ以外に、例えば[11-20]方向にストライプ状に延びる階段状の段差を形成してもよい。
【0155】図7(b)に示すように、サファイア基板41の段差の底面および側面に、基板温度を600℃に保った状態でMOVPE法により、アンドープのAlGaNからなる膜厚15nmのAlGaNバッファ層42を形成する。この場合、AlGaNバッファ層42は、サファイア基板41の段差の底面および側面において、図中の矢印Yの方向(c軸方向)および矢印Xの方向(横方向)に成長する。このようにして成長したAlGaNバッファ層42の表面は、サファイア基板41と同様のストライプ状に延びる階段状の段差を有する。
【0156】続いて、図7(c)に示すように、基板温度1150℃に保った状態でMOVPE法により、AlGaNバッファ層42の段差の底面および側面に、アンドープのGaNからなるGaN層43を成長させる。この場合、成長初期のGaN層43は、AlGaNバッファ層42の段差の底面および側面において、矢印Yの方向に成長し、その後矢印Xの方向にも成長する。このような成長初期のGaN層43の表面は、AlGaNバッファ層42と同様のストライプ状に延びる階段状の段差を有する。
【0157】図8(d)に示すように、図中の矢印Yの方向におけるGaN層43の成長が進むにつれて、矢印Xの方向におけるGaN層43の成長が支配的となる。この場合、段差の各段の底面のGaN層43上において、上段の底面および上段の側面のGaN層43が横方向成長する。それにより、GaN層43の表面の段差は徐々に埋められていく。なお、このようなGaN層43の成長においては、ボイドが発生しにくい。なお、ボイドが残っていてもよい。
【0158】ここで、上記のGaN層43が横方向に成長するため、サファイア基板41付近で発生したc軸方向に伝播した転位は、GaN層43の横方向成長に伴って、横方向(矢印Xの方向)すなわちGaN層43の(0001)面に平行な方向に折れ曲がる。それにより、GaN層43において、c軸方向に伝播する転位が低減される。
【0159】図8(e)に示すように、さらにGaN層43の成長が進むと、GaN層43の表面が平坦化される。このようにして形成されたGaN層43の表面においては、転位が低減され、良好な結晶性が得られる。
【0160】以上のような窒化物系半導体の形成方法によれば、サファイア基板41に形成した階段状の段差を利用することにより、選択成長マスクを用いることなくGaN層43を横方向成長させ、転位を低減することが可能となる。したがって、良好な結晶性を有するGaN層43を形成することができる。
【0161】上記の窒化物系半導体の形成方法においては、選択成長マスクを用いないため、GaN層43において、選択成長マスクとGaNとの熱膨張係数の差によるクラックの発生を防止することができる。また、場合によってはボイドの発生を防止することも可能である。
【0162】以上のことから、GaN層43上に素子領域を含む窒化物系半導体層を形成して半導体素子を製造した場合、GaN層43上に形成した窒化物系半導体層において良好な結晶性が得られるとともに、素子の分離工程等におけるクラックの発生を防止することができる。それにより、良好な素子特性および高い信頼性を有する半導体素子が得られる。
【0163】なお、上記においては、サファイア基板41を用いているが、スピネル等の絶縁体の基板を用いてもよい。あるいはSi、Ge等のIV族半導体、SiC等のIV-IV族半導体あるいはZnSe等のII-VI族半導体からなる半導体基板や、半導体基板の格子定数が窒化物系半導体層の格子定数と異なる、GaAs、InP、GaP等のIII-V族半導体からなる半導体基板を用いてもよい。半導体基板としては、絶縁性、n型、p型のいずれの基板を用いてもよい。特にSi、GaAs、SiCからなる基板は、GaNに比べて容易にエッチングされる。したがって、上記のような階段状の段差を有する基板を容易に作製することができる。
【0164】例えば、n型6H-SiC基板の(0001)面から[1-100]方向に4°傾斜したオフ面をRIE法によりエッチングする。このようにして、n型6H-SiC基板のオフ面に、底面の幅が約14μmであり段差の高さが約1μmでありかつ[11-20]方向にストライプ状に延びる階段状の段差を形成してもよい。あるいは、[11-00]方向にストライプ状に延びる階段状の段差をn型6H-SiC基板に形成してもよい。
【0165】さらに、n型Si基板の(111)面から[11-2]方向に5°傾斜したオフ面をウェットエッチングする。このようにして、n型SiC基板のオフ面に、底面の幅が約22μmであり段差の高さが約2μmでありかつ[1-10]方向にストライプ状に延びる階段状の段差を形成してもよい。あるいは、[11-2]方向にストライプ状に延びる階段状の段差をn型Si基板に形成してもよい。
【0166】上記のようなストライプ状の凹部を有するn型6H-SiC基板またはn型Si基板上に、図7および図8に示す窒化物系半導体の形成方法によりAlGaNバッファ層42およびGaN層43を形成する場合、まず、基板温度1150℃に保った状態でMOVPE法により、基板上にn-Al_(0.09)Ga_(0.91)Nからなる膜厚約0.05μmのAlGaNバッファ層42を形成する。さらに、基板温度を1150℃に保った状態でMOVPE法により、AlGaNバッファ層42上にn-GaNからなる膜厚約10μmのGaN層43を形成する。
【0167】このようにn型6H-SiC基板またはn型SiC基板を図7および図8に示す窒化物系半導体の形成方法に用いた場合、サファイア基板41を用いた場合において前述した効果と同様の効果が得られる。
【0168】図9は第3の発明の一実施例における窒化物系半導体の形成方法を示す模式的工程断面図である。
【0169】図9(a)に示すように、サファイア基板51のC面上に、基板温度を600℃に保った状態でMOVPE法により、アンドープのAlGaNからなる膜厚15nmのAlGaNバッファ層52を形成する。
【0170】続いて、図9(b)に示すように、AlGaNバッファ層52の所定領域をRIE法等によりエッチングする。AlGaNバッファ層52をエッチングする幅w[μm]は1?40μm程度が好ましく、エッチングをぜすに残すAlGaNバッファ層52の幅b[μm]は1?40μm程度が好ましい。例えば、本実施例においてはw[μm]=8μm、b[μm]=4μmとする。それにより、所定間隔で複数のストライプ状のAlGaNバッファ層52aを形成するとともに、AlGaNバッファ層52aの間にサファイア基板51を露出させる。
【0171】ここで、特に図10に示すように、エッチングするAlGaNバッファ層52の幅wおよび残すAlGaNバッファ層52の幅b[μm]はb[μm]≦-w[μm]+40[μm]とb[μm]≧1[μm]とw[μm]≧1[μm]とで囲まれた範囲内の値であることが好ましい。エッチングするAlGaNバッファ層52の幅w[μm]が1μmより小さい場合および残すAlGaNバッファ層52の幅b[μm]が1μmより小さい場合においては、エッチングによるAlGaNバッファ層52のパターニングが困難となる。一方、エッチングするAlGaNバッファ層52の幅w[μm]および残すAlGaNバッファ層52の幅b[μm]がb[μm]>-w[μm]+40[μm]の関係を満足する場合においては、パターニングにより形成されたAlGaNバッファ層52a上に成長させる後述のGaN層53の平坦化が困難となる傾向にある。
【0172】上記のようにAlGaNバッファ層52aを形成した後、図9(c)に示すように、基板温度を1150℃に保った状態でMOVPE法により、アンドープのGaNからなるGaN層53を成長させる。ここで、GaNとサファイア基板51とでは格子定数が異なるため、AlGaNバッファ層52aを介さなければ、GaNはサファイア基板51上に成長しにくい。したがって、成長初期において、GaN層53はAlGaNバッファ層52a上に選択的に成長する。この場合、GaN層53は図中の矢印Yの方向(c軸方向)に成長し、ファセット構造となる。この部分には、サファイア基板51の付近で発生した転位が多数存在する。
【0173】図9(d)に示すように、矢印Yの方向のGaN層53の成長が進むにつれて、AlGaNバッファ層52a上に成長したGaN層53は、矢印Xの方向(横方向)にも成長する。それにより、AlGaNバッファ層52aの間で露出したサファイア基板51上に、GaN層53が形成される。
【0174】ここで、上記のようなGaN層53が横方向に成長するため、図9(c)のAlGaNバッファ層52a上に発生したGaN層53中の転位は、GaN層53の横方向に伴って、横方向(矢印Xの方向)すなわちGaN層53の(0001)面に平行な方向に折れ曲がる。それにより、GaN層53において、c軸方向に伝播する転位が一様に低減される。さらに、露出したサファイア基板51上に形成されたGaN層53の中央部を除く領域において転位密度の特に低減された領域が形成される。なお、この場合においては、露出したサファイア基板51上に形成されたGaN層53の中央部の領域において、転位が集中する部分が線状に発生し、比較的転位密度の高い領域が形成される。
【0175】図9(e)に示すように、GaN層53がさらに成長すると、ファセット構造の各GaN層53が合体して連続膜となり、平坦化された膜厚約10μmのGaN層53が形成される。このようにして形成されたGaN層53の表面においては、転位が低減されており、良好な結晶性が得られる。また、この場合においては、横方向から成長してきたGaN層53の合体部においてボイドが発生しにくい。なお、ボイドが残っていてもよい。
【0176】以上のような窒化物系半導体の形成方法によれば、サファイア基板51上に形成した複数のストライプ状のAlGaNバッファ層52aを用いることにより、選択成長マスクを用いることなくGaN層53を横方向成長させ、転位を低減することが可能となる。したがって、良好な結晶性を有するGaN層53を形成することができる。
【0177】この場合、AlGaNバッファ層52は低温で成長するため非単結晶である。したがって、AlGaNバッファ層52は、GaNに比べて容易にエッチングできる。また、上記の窒化物系半導体の形成方法においては、GaNを成長させる工程はGaN層53を形成する際の1回のみである。したがって、上記の窒化物系半導体の形成方法によれば、転位が低減されたGaN層53を容易に形成することができる。
【0178】また、上記の窒化物系半導体の形成方法においては、選択成長マスクを用いないため、GaN層53において、選択成長マスクとGaNとの熱膨張係数の差によるクラックの発生を防止することができるとともに、ボイドの発生を防止することができる。なお、ボイドが残っていてもよい。
【0179】以上のことから、GaN層53上に素子領域を含む窒化物系半導体層を形成して半導体素子を製造した場合、GaN層53上に形成した窒化物系半導体層において良好な結晶性が得られるとともに、素子の分離工程等におけるクラックの発生を防止することができる。それにより、良好な素子特性および高い信頼性を有する半導体素子が得られる。
【0180】なお、前述のように、GaN層53の転位は一様に低減されるが、サファイア基板51の露出した領域上のGaN層53の中央部の領域において、比較的転位密度の高い領域が形成される。このため半導体素子の製造の際には、サファイア基板51の露出した領域上の中央部を除く領域に素子領域を形成することが好ましい。さらに、サファイア基板51の露出した領域のうち中央部を除く領域上に転位密度の特に低減された領域が形成されるため、サファイア基板11の露出した領域上の領域のうち中央部を除く領域に素子領域を形成することがさらに好ましい。
【0181】また、上記においてはサファイア基板51を用いているが、スピネル等の絶縁体の基板を用いてもよい。あるいはSi、Ge等のIV族半導体、SiC等のIV-IV族半導体あるいはZnSe等のII-VI族半導体からなる半導体基板や、半導体基板の格子定数が窒化物系半導体層の格子定数と異なる、GaAs、InP、GaP等のIII-V族半導体からなる半導体基板を用いてもよい。半導体基板としては、絶縁性、n型、p型のいずれの基板を用いてもよい。
【0182】例えば、SiC基板またはSi基板を図9に示す窒化物系半導体の形成方法に用いた場合、基板温度1150℃に保った状態でMOVPE法により、SiC基板またはSi基板上にn-Al_(0.09)Ga_(0.91)Nからなる膜厚約0.05μmのAlGaNバッファ層52を形成する。続いて、サファイア基板51を用いた場合と同様の方法によりAlGaNバッファ層52をエッチングし、複数のストライプ状のAlGaNバッファ層52aを形成する。そして、基板温度を1150℃に保った状態でMOVPE法により、n-GaN層からなるGaN層53をAlGaNバッファ層52a上に成長させるとともに、GaN層53を横方向成長させて露出したSiC基板またはSi基板上にGaN層53を成長させる。このようにして、平坦化された膜厚約10μmのGaN層53を形成する。
【0183】このようにSiC基板またはSi基板を図9に示す窒化物系半導体の形成方法に用いた場合、サファイア基板51を用いた場合において前述した効果と同様の効果が得られる。
【0184】なお、Si、Ge等のIV族半導体、SiC等のIV-IV族半導体あるいはZnSe等のII-VI族半導体からなる半導体基板や、半導体基板の格子定数が窒化物系半導体層の格子定数と異なる、GaAs、InP、GaP等のIII-V族半導体からなる半導体基板の場合、上記のようにAlGaNバッファ層52として単結晶のバッファ層を形成してもよいが、例えば、約600℃で非単結晶のバッファ層を形成しても同様の効果がある。
【0185】また、上記においては基板上に所定間隔で複数のストライプ状のAlGaNバッファ層52aを形成しているが、基板上に形成するAlGaNバッファ層52aのパターンは、ストライプ状に限定されるものではない。
【0186】例えば、基板上に、円形、六角形、三角形等の形状を有する複数のAlGaNバッファ層52aを形成してもよい。それにより、GaN層53において、c軸方向に伝播する転位が一様に低減される。さらに、AlGaNバッファ層52a間の露出した基板上の中央部を除いて、露出した基板上に転位密度の特に低減された領域が形成される。なお、この場合、AlGaNバッファ層52a間の露出した基板上の中央部上に形成されたGaN層53の領域において、転位が集中する部分が線状に発生し、比較的転位密度の高い領域が形成される。
【0187】なお、前述のように、GaN層53の転位は一様に低減されるが、AlGaNバッファ層52a間の露出した基板上の中央部上に形成されたGaN層53の領域において、比較的転位密度の高い領域が形成される。このため、半導体素子製造の際には、AlGaNバッファ層52a間の露出した基板上の中央部を除く領域に素子領域を形成することが好ましい。さらに、AlGaNバッファ層52a間の露出した基板上の中央部を除いて、露出した基板上に転位密度の特に低減された領域が形成されるため、AlGaNバッファ層52a間の露出した基板上の中央部を除いた、露出した基板上の領域に素子領域を形成することが好ましい。
【0188】あるいは、基板上に形成したAlGaNバッファ層52において、円形、六角形、三角形等の形状を有する複数の領域をエッチングにより除去し、円形、六角形、三角形等の形状を有する複数の開口部をAlGaNバッファ層52に形成してもよい。なお、この場合、円形、六角形、三角形等の形状を有する複数の開口部内で露出した基板の中央部上に形成したGaN層53の領域において、転位が集中する部分が発生し、比較的転位密度の高い領域が形成される。
【0189】なお、前述のように、GaN層53の転位は一様に低減されるが、基板の露出した領域上のGaN層53の中央部の領域において、比較的転位密度の高い領域が形成される。このため半導体素子の製造の際には、基板の露出した領域上の中央部を除く領域に素子領域を形成することが好ましい。
さらに、基板の露出した領域のうち中央部を除く領域上に転位密度の特に低減された領域が形成されるため、基板の露出した領域上の領域のうち中央部を除く領域に素子領域を形成することがさらに好ましい。
【0190】また、基板としてサファイア基板を用いることができるが、スピネル等の絶縁体の基板を用いてもよい。あるいはSi、Ge等のIV族半導体、SiC等のIV-IV族半導体あるいはZnSe等のII-VI族半導体からなる半導体基板や、半導体基板の格子定数が窒化物系半導体層の格子定数と異なる、GaAs、InP、GaP等のIII-V族半導体からなる半導体基板を用いてもよい。半導体基板としては、絶縁性、n型、p型のいずれの基板を用いてもよい。
【0191】続いて、第1?第3の発明に係る窒化物系半導体の形成方法を用いて製造した半導体素子について説明する。なお、この場合においては、半導体素子の例として半導体レーザ素子について説明する。
【0192】第4の発明に係る半導体レーザ素子は、第1の発明に係る窒化物系半導体の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子である。
【0193】図11は第4の発明の一実施例における半導体レーザ素子を示す模式的斜視図である。
【0194】図11に示すように、半導体レーザ素子500においては、図1および図2に示す窒化物系半導体の形成方法により、サファイア基板1上にAlGaN第1バッファ層2、アンドープのGaNからなるGaN第2バッファ層3、アンドープのGaNからなる第1GaN層4およびアンドープのGaNからなる第2GaN層5が順に形成されている。
【0195】さらに、MOVPE法、HVPE法、またはトリメチルアルミニウム、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、NH_(3)、SiH_(4)(シランガス)、CpMg(シクロペンタジエニルマグネシウム)を原料ガスとして用いるガスソースMBE法等により、第2GaN層5上に、n-GaNからなる膜厚4μmのn-GaNコンタクト層104、n-AlGaInNからなる膜厚約0.1μmのn-AlGaInNクラック防止層105、n-AlGaNからなる膜厚0.45μmのn-AlGaN第2クラッド層106、n-GaNからなる膜厚約50nmのn-GaN第1クラッド層107、InGaNからなる多重量子井戸(MQW)発光層108、p-GaNからなる膜厚約40nmのp-GaN第1クラッド層109が順に積層されている。p-GaN第1クラッド層109上のストライプ状の領域にp-AlGaNからなる膜厚0.45μmのp-AlGaN第2クラッド層110が形成されている。それにより、p-AlGaN第2クラッド層110からなるリッジ部が形成されるとともに、p-GaN第1クラッド層109からなる平坦部が形成される。
【0196】なお、リッジの延伸する方向は、第1GaN層4のオフ方向と垂直方向に形成することが好ましい。
【0197】なお、この場合のMQW発光層108は、膜厚約4nmの5つのアンドープGaN障壁層と膜厚約4nmの4つの圧縮歪みのアンドープInGaN井戸層とが交互に積層された多重量子井戸構造を有する。
【0198】p-GaN第1クラッド層109上およびp-AlGaN第2クラッド層110の側面に、n-GaNからなる膜厚約0.2μmのn-GaN電流狭窄層111が形成されている。この場合、p-AlGaN第2クラッド層110の上面にn-GaN電流狭窄層111のストライプ状の開口部が形成されている。n-GaN電流狭窄層111の上面および側面、ならびにp-AlGaN第2クラッド層110上に、p-GaNからなる膜厚3?5μmのp-GaNコンタクト層112が形成されている。
【0199】p-GaNコンタクト層112からn-GaNコンタクト層104までの一部領域がエッチングされ、n-GaNコンタクト層104の所定領域が露出している。この露出したn-GaNコンタクト層4の所定領域上にn電極113が形成されている。また、p-GaNコンタクト層112上の所定領域にp電極114が形成されている。なお、露出したp-GaNコンタクト層112からn-GaN第1コンタクト層104までの側面およびn-GaNコンタクト層104の上面に、SiO_(2)膜115が形成されている。
【0200】上記の半導体レーザ素子500においては、図1および図2に示す窒化物系半導体の形成方法により形成された第2GaN層5上に、各層104?112が形成されている。ここで、図1および図2において前述したように、第2GaN層5の表面においては転位が低減されているため、第2GaN層5上に形成された各層104?115においては、良好な結晶性が実現される。それにより、半導体レーザ素子500は、良好な素子特性を有するとともに高い信頼性を有する。
【0201】また、この場合においては、前述のように選択成長マスクを用いることなく第2GaN層5において転位の低減を図ることができるため、第2GaN層5において、選択成長マスクとGaNとの熱膨張係数の差によるクラックの発生が防止されるとともに、ボイドの発生が防止される。
【0202】したがって、半導体レーザ素子500の製造時において、素子の分離工程等におけるクラックの発生が防止される。それにより、高い歩留りが実現できる。
【0203】なお、上記において、サファイア基板1の代わりに、サファイア以外の絶縁体からなる基板を用いてもよい。
【0204】図12は第4の発明の他の実施例における半導体レーザ素子を示す模式的斜視図である。
【0205】図12に示すように、半導体レーザ素子501は、以下の点を除いて、図11の半導体レーザ素子500と同様の構造を有する。
【0206】この場合においては、サファイア基板1に代えて、n-Si基板1A上に、図1および図2に示す窒化物系半導体の形成方法により、n-AlGaNからなるAlGaN第1バッファ層2、n-GaNからなるGaN第2バッファ層3、n-GaNからなる第1GaN層4およびn-GaNからなる第2GaN層5が順に形成されている。
【0207】また、この場合においては、p-GaNコンタクト層112がn-GaN電流狭窄層111およびp-AlGaN第2クラッド層110上に形成されている。n-Si基板1Aの裏面にn電極113が形成され、p-GaNコンタクト層112のリッジ部の上面にp電極114が形成されている。
【0208】このような半導体レーザ素子501においては、図1および図2に示す窒化物系半導体の形成方法により形成された第2GaN層5において、転位の低減が図られるとともに、クラックの発生およびボイドの発生が防止される。このため、半導体レーザ素子501においては、半導体レーザ素子500において前述した効果と同様の効果が得られる。
【0209】なお、上記において、n-Si基板1Aの代わりに、Si以外の半導体からなる基板を用いてもよい。
【0210】さらに、半導体レーザ素子500,501においては、基板1,1A上にn型半導体層およびp型半導体層が順に形成されているが、基板1,1A上にp型半導体層およびn型半導体層を順に形成してもよい。
【0211】さらに、半導体レーザ素子500,501においては、図1および図2に示す窒化物系半導体の形成方法により基板1,1A上に各層2?5を形成しているが、図3に示す窒化物系半導体の形成方法により基板1,1A上に各層2,3,4a,5aを形成してもよい。この場合、製造された半導体レーザ素子においては、半導体レーザ素子500,501において前述した効果と同様の効果が得られる。
【0212】ここで、図3に示す窒化物系半導体の形成方法により形成された図3の第2GaN層5aにおいては、SiO_(2)膜15を用いた図3の第1GaN層4aの選択横方向成長により、さらに転位の低減が図られている。したがって、このような図3の第2GaN層5a上に形成された図11または図12の各層104?112においては、より結晶性の向上が図られる。それにより、この場合の半導体レーザ素子においては、さらに素子特性および信頼性の向上が図られる。
【0213】第5の発明に係る半導体レーザ素子は、第2の発明に係る窒化物系半導体の形成方法を用いて製造された半導体レーザ素子である。この場合について以下に説明する。
【0214】第5の発明の一実施例における半導体レーザ素子は、以下の点を除いて、図11の半導体レーザ素子500と同様の構造を有する。
【0215】この場合、図4および図5に示す窒化物系半導体の形成方法により、図4および図5に示すように、サファイア基板11上に、アンドープのAlGaNからなるAlGaNバッファ層12およびアンドープのGaNからなるGaN層13が順に形成されている。このGaN層13上に、図11の各層104?112が形成されている。なお、サファイア基板11の代わりに、サファイア以外の絶縁体からなる基板を用いてもよい。
【0216】本例の半導体レーザ素子において、図4および図5に示す窒化物系半導体の形成方法により形成された図5のGaN層13は、転位の低減が図られておりかつクラックの発生およびボイドの発生が防止されている。このため、図5のGaN層13上に図11の各層104?112が形成された本例の半導体素子においては、半導体レーザ素子500において前述した効果と同様の効果が得られる。なお、ボイドが残っていてもよい。
【0217】ここで、本例においては、図4および図5に示すように、AlGaNバッファ層12上に1回GaNを成長させることにより、転位の低減されたGaN層13が形成される。したがって、本例の半導体レーザ素子は製造が容易である。
【0218】第5の発明の他の実施例における半導体レーザ素子は、以下の点を除いて、図12の半導体レーザ素子501と同様の構造を有する。
【0219】この場合、図4および図5に示す窒化物系半導体の形成方法により、n-Si基板上に、図4および図5に示すように、n-AlGaNからなるAlGaNバッファ層12およびn-GaNからなるGaN層13が形成されている。この図5のGaN層13上に図12の各層105?112が形成されている。なお、n-Si基板の代わりに、Si以外の半導体からなる基板を用いてもよい。
【0220】本例の半導体レーザ素子において、図4および図5に示す窒化物系半導体の形成方法により形成された図5のGaN層13は、転位の低減が図られておりかつクラックの発生およびボイドの発生が防止されている。このため、図5のGaN層13上に図12の各層105?112が形成された本例の半導体レーザ素子においては、半導体レーザ素子501において前述した効果と同様の効果が得られる。なお、ボイドが残っていてもよい。
【0221】ここで、本例においては、図4および図5に示すように、AlGaNバッファ層12上に1回GaNを成長させることにより、転位の低減されたGaN層13が形成される。したがって、本例の半導体レーザ素子は製造が容易である。
【0222】特に、本例においては、エッチングの容易なn-Si基板が用いられているため、図4に示すような凹部をエッチングにより容易に形成することができる。したがって、本例の半導体レーザ素子は、より製造が容易である。
【0223】上記の第5の発明の2つの実施例における半導体レーザ素子においては、図4および図5で前述したように、転位が一様に低減されるので、基板上の窒化物系半導体層のいかなる部分に素子領域(発光部)を形成しても前述した効果が得られる。しかしながら、基板の凹部上の窒化物系半導体層の中央部の領域において、比較的転位密度の高い領域が形成される。このため、半導体レーザ素子において、基板の凹部上の中央部を除く領域に素子領域(発光部)を形成することが好ましい。さらに、中央部を除く凹部上に転位密度の特に低減された領域が形成されるため、基板の凹部上の中央部を除いた、凹部上の領域に素子領域(発光部)を形成することが好ましい。
【0224】また、上記の第5の発明のさらに他の実施例における半導体レーザ素子として、図7および図8に示す窒化物系半導体の形成方法により、図7および図8に示すように基板上にAlGaNバッファ層42およびGaN層43が順に形成され、この図8のGaN層43上に図11または図12の各層104?112が形成された半導体レーザ素子であってもよい。このような半導体レーザ素子においても、図4および図5に示す窒化物系半導体の形成方法により図4および図5に示すAlGaNバッファ層12およびGaN層13が形成された上記の2つの実施例の半導体レーザ素子において前述した効果と同様の効果が得られる。
【0225】第6の発明に係る半導体レーザ素子は、第3の発明に係る窒化物系半導体の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子である。この場合について以下に説明する。
【0226】第6の発明の一実施例における半導体レーザ素子は、以下の点を除いて、図11の半導体レーザ素子500と同様の構造を有する。
【0227】この場合、図9に示す窒化物系半導体の形成方法により、図9に示すように、サファイア基板51上に、アンドープのAlGaNからなる複数のストライプ状のAlGaNバッファ層52aが形成されている。さらに、AlGaNバッファ層52a上およびAlGaNバッファ層52aの間で露出したサファイア基板51上に、アンドープのGaNからなるGaN層53が形成されている。この図9のGaN層53上に、図10の各層104?112が形成されている。なお、サファイア基板51の代わりに、サファイア以外の絶縁体からなる基板を用いてもよい。
【0228】本例の半導体レーザ素子において、図9に示す窒化物系半導体の形成方法により形成された図9のGaN層53は、転位の低減が図られるとともにクラックの発生およびボイドの発生が防止されている。このため、図9のGaN層53上に図11の各層104?112が形成された本例の半導体レーザ素子においては、半導体レーザ素子500において前述した効果と同様の効果が得られる。なお、ボイドが残っていてもよい。
【0229】ここで、本例においては、図9に示すように、AlGaNバッファ層52a上に1回GaNを成長させることにより、転位の低減されたGaN層53が得られる。また、本例においては、低温で成長させたAlGaNバッファ層52のエッチングが容易であることから、複数のストライプ状のAlGaNバッファ層52aを容易に形成することができる。したがって、本例の半導体レーザ素子は、製造が容易である。
【0230】第6の発明の他の実施例における半導体レーザ素子は、以下の点を除いて、図12の半導体レーザ素子501と同様の構造を有する。
【0231】この場合、図9に示す窒化物系半導体の形成方法により、図9に示すように、n-Si基板上に、n-AlGaNからなる複数のストライプ状のAlGaNバッファ層52aが形成されている。さらに、AlGaNバッファ層52a上およびAlGaNバッファ層52aの間で露出したn-Si基板上に、n-GaNからなるGaN層53が形成されている。この図9のGaN層53上に、図12の各層105?112が形成されている。なお、Si基板の代わりに、Si以外の半導体からなる基板を用いてもよい。
【0232】本例の半導体レーザ素子において、図9に示す窒化物系半導体の形成方法により形成された図9のGaN層53は、転位の低減が図られるとともにクラックの発生およびボイドの発生が防止されている。このため、図9のGaN層53上に図12の各層105?112が形成された本例の半導体レーザ素子においては、半導体レーザ素子501において前述した効果と同様の効果が得られる。なお、ボイドが残っていてもよい。
【0233】ここで、本例においては、図9に示すように、AlGaNバッファ層52a上に1回GaNを成長させることにより、転位の低減されたGaN層53が得られる。また、本例においては、低温で成長させたAlGaNバッファ層52のエッチングが容易であることから、複数のストライプ状のAlGaNバッファ層52aを容易に形成することができる。したがって、本例の半導体レーザ素子は、製造が容易である。
【0234】上記の第6の発明の2つの実施例における半導体レーザ素子においては、図9で前述したように、転位は一様に低減されるので、基板上の窒化物系半導体層のいかなる部分に素子領域(発光部)を形成しても前述した効果が得られる。しかしながら、基板の露出した領域上の窒化物系半導体層の中央部の領域において、比較的転位密度の高い領域が形成される。このため、半導体レーザ素子において、基板の露出した領域上の中央部を除く領域に素子領域(発光部)を形成することが好ましい。さらに、中央部を除く基板の露出した領域上に転位密度の特に低減された領域が形成されるため、基板の露出した領域上の中央部を除いた、基板の露出した領域上の領域に素子領域(発光部)を形成することが好ましい。
【0235】上記においては、第1?第3の発明に係る窒化物系半導体の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子について説明したが、第1?第3の発明に係る窒化物系半導体の形成方法は、半導体レーザ素子以外の半導体素子、例えば発光ダイオード等の半導体発素子、フォトダイオード等の受光素子、トランジスタ等の電子素子の製造に適用することも可能である。
【0236】第1?第6の発明において、各層は、GaN(窒化ガリウム)、AlN(窒化アルミニウム)、InN(窒化インジウム)、BN(窒化ホウ素)もしくはTlN(窒化タリウム)またはこれらの混晶等のIII-V族窒化物系半導体およびこれら混晶にAs、PおよびSbのうち少なくとも1つの元素を含む混晶等のIII-V族窒化物系半導体から構成されていればよい。
【0237】また、第2、3、5および6の発明において、半導体の結晶構造はウルツ鉱型であってもよく、あるいは閃亜鉛鉱型であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明の一実施例における窒化物系半導体の形成方法を示す模式的工程断面図である。
【図2】第1の発明の一実施例における窒化物系半導体の形成方法を示す模式的工程断面図である。
【図3】第1の発明の他の実施例における窒化物系半導体の形成方法を示す模式的工程断面図である。
【図4】第2の発明の一実施例における窒化物系半導体の形成方法を示す模式的工程断面図である。
【図5】第2の発明の一実施例における窒化物系半導体の形成方法を示す模式的工程断面図である。
【図6】図4および図5に示す窒化物系半導体の形成方法に用いる基板の他の例を示す図である。
【図7】第2の発明の参考例における窒化物系半導体の形成方法を示す模式的工程断面図である。
【図8】第2の発明の参考例における窒化物系半導体の形成方法を示す模式的工程断面図である。
【図9】第3の発明の一実施例における窒化物系半導体の形成方法を示す模式的工程断面図である。
【図10】図9の実施例におけるエッチングするバッファ層の幅wと残すバッファ層の幅bとの好ましい範囲を示す図である。
【図11】第4の発明の一実施例における半導体レーザ素子を示す模式的斜視図である。
【図12】第4の発明の他の実施例における半導体レーザ素子を示す模式的斜視図である。
【図13】従来の選択横方向成長を用いた窒化物系半導体の形成方法を示す模式的工程断面図である。
【符号の説明】
1,11,21,31,51,201 サファイア基板
2,12,42,52,52a AlGaNバッファ層
4,4a 第1GaN層
5,5a 第2GaN層
13,43,53 GaN層
104 n-GaNコンタクト層
105 n-AlGaInNクラック防止層
106 n-AlGaN第2クラッド層
107 n-GaN第1クラッド層
108 MQW発光層
109 p-GaN第1クラッド層
110 p-AlGaN第2クラッド層
111 n-GaN電流狭窄層
112 p-GaNコンタクト層
500,501 半導体レーザ素子
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2011-05-23 
出願番号 特願2000-288155(P2000-288155)
審決分類 P 1 41・ 856- Y (H01L)
P 1 41・ 851- Y (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 加藤 浩一  
特許庁審判長 北村 明弘
特許庁審判官 田中 永一
鈴木 正紀
登録日 2003-05-09 
登録番号 特許第3427047号(P3427047)
発明の名称 窒化物系半導体素子、窒化物系半導体の形成方法および窒化物系半導体素子の製造方法  
代理人 特許業務法人YKI国際特許事務所  
代理人 特許業務法人YKI国際特許事務所  
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