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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B29C |
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管理番号 | 1238601 |
審判番号 | 不服2008-12362 |
総通号数 | 140 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-08-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-05-15 |
確定日 | 2011-06-17 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第216065号「型締装置及びその型締方法」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 3月 2日出願公開、特開平11- 58471〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は,平成9年8月11日の出願であって,平成20年4月1日付けで拒絶査定がなされたのに対し,同年5月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされた。 その後,当審において,平成22年12月2日付けで拒絶理由を通知したところ,平成23年2月7日付けで明細書を対象とする手続補正がなされた。 第2.当審で通知した拒絶理由 平成22年12月2日付けで通知した拒絶理由の一つは,以下のとおりである。 「本件出願の請求項に係る発明は,その出願前日本国内または外国において頒布された特開平5-237893号公報に記載された発明及び周知の事項に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」 第3.本願発明 平成23年2月7日付けでなされた手続補正は,特許請求の範囲を補正する事項を含むもので,請求項1については,次のとおりに補正するものである。 「(a)固定プラテンと, (b)該固定プラテンに取り付けられた固定金型と, (c)前記固定プラテンと所定の間隔を置いて配設されたフレームと, (d)該フレームに配設され,励磁されて起磁力を発生させる電磁ユニットと, (e)前記固定プラテンに対して進退自在に配設され,進退に伴って型閉じ及び型開きが行われ,前記電磁ユニットによって発生させられる起磁力が型締力として伝達されて型締めが行われる可動プラテンと, (f)該可動プラテンに取り付けられた可動金型と, (g)前記型締力を前記可動プラテンに伝達する力伝達手段と, (h)前記型締力を検出する型締力検出手段と, (i)オペレータによって操作され,所定の関数パターンから成り,型締力目標値を発生させるためのパラメータを発生させる型締力設定器と, (j)該型締力設定器によって発生させられたパラメータに基づいて,前記型締力目標値を所定の波形で発生させる型締力目標値発生器と, (k)該型締力目標値発生器によって発生させられた型締力目標値,及び前記型締力検出手段によって検出された型締力に基づいて,フィードバック制御を行う型締力コントローラとを有することを特徴とする型締装置。」 上記請求項1に係る発明を,以下「本願発明」という。 第4.当審の判断 1.刊行物記載事項 (1)当審で通知した拒絶理由に引用された,本願の出願前に頒布された刊行物である特開平5-237893号公報(以下「引用例」という。)には,図面とともに,次の事項が記載されている。 a)「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は,射出成形機の型締装置に係り,特に磁気吸引力を用いて金型の型締めを行なう型締装置に関する。」 b)「【0012】図1は,本発明に係る射出成形機の一例を示すもので,この射出成形機1は,射出装置2と型締装置3とから構成されており,これら両装置2,3は,図示しないフレーム上に搭載されている。」 c)「【0014】一方,型締装置3は,固定側金型4を着脱可能に保持する固定ダイプレート5と,移動側金型6を着脱可能に保持する移動ダイプレート7とを備えており,固定ダイプレート5は,図示しないフレーム上に固設されているとともに,移動ダイプレート7は,固定ダイプレート5に対し直線移動して,両金型4,6の型閉じおよび型開きを行なうようになっている。 【0015】移動ダイプレート7の固定ダイプレート5とは逆の側には,固定電磁プレート8が配設されており,この固定電磁プレート8は,図示しないフレーム上に固設されている。そして,この固定電磁プレート8の移動ダイプレート7とは逆の側には,移動電磁プレート9が対向配置されている。 【0016】この移動電磁プレート9は,固定電磁プレート8との間に装架したストッパ10により,固定電磁プレート8に対し所定の範囲で遠近方向にスライド可能となっており,これら両電磁プレート8,9の間には,最も離れた状態において,1mm以下のエアギャップGが形成されるようになっている。 【0017】これら両電磁プレート8,9の各対向面には,図1ないし図3に示すように,例えば八角形をなす環状溝11がそれぞれ設けられており,これら各環状溝11内には,磁気吸引力を発生させるための電磁石コイル12がそれぞれ配設されている。」 d)「【0019】移動電磁プレート9の中央部には,図1および図3に示すように,内周部にナット部材13を固設した歯付き小プーリ14が,軸受15を介して回転自在に取付けられており,ナット部材13には,ほぼ全長に亘って雄ねじ部17を有する例えばボールねじ等の送りねじ軸16が螺装されている。そして,この送りねじ軸16は,図1および図2に示すように,固定電磁プレート8の中央部に設けた開口18を遊貫通し,その先端部が移動ダイプレート7に固定されている。 【0020】一方,移動電磁プレート9には,図1に示すように,ブラケット19を介して送り用モータ20が設置されており,この送り用モータ20の出力軸20aに取付けた歯付きプーリ21と歯付き小プーリ14とは,無端状のタイミングベルト22を介して連動連結されている。そして,移動ダイプレート7は,送り用モータ20の駆動でナット部材13を正逆回転させることにより,固定ダイプレート5に対し直線移動し,両金型4,6の型閉じおよび型開きを行なうようになっている。送り用モータ20には,型閉じ状態で移動電磁プレート9を送りねじ軸16にロックするためのブレーキ(図示せず)が内蔵されている。 【0021】固定ダイプレート5と固定電磁プレート8との間には,例えば4本のタイバー23が設置されており,移動ダイプレート7は,これら各タイバー23にガイドされてスライドするようになっている。」 e)「【0023】両金型4,6の型閉じに際しては,まず送り用モータ20を起動し,歯付きプーリ21,タイミングベルト22および歯付き小プーリ14を介してナット部材13を回転させる。ところで,送りねじ軸16は,その先端が移動ダイプレート7に固定されて回転不能となっているので,ナット部材13の回転により,移動ダイプレート7がタイバー23にガイドされて直線移動し,移動側金型6が固定側金型4に接近して型閉じがなされる。 【0024】両金型4,6が型閉じ状態になると,送り用モータ20のブレーキが作動し,ナット部材13の回転が阻止されて移動電磁プレート9が送りねじ軸16にロックされる。この際,送りねじ軸16には,型閉じ時の反力により,図1において左方に押す力が作用するので,移動電磁プレート9は,ストッパ10で規制される位置まで固定電磁プレート8から離間する。 【0025】この状態で,電磁コイル12に給電すると,両電磁石コイル12間に磁気吸引力が発生する。このため,移動電磁プレート9が固定電磁プレート8に吸引される。この移動電磁プレート9は,送りねじ軸16を介して移動ダイプレート7に連結され,一方固定電磁プレート8は,タイバー23を介して固定ダイプレート5に連結されているので,両電磁プレート8,9間の磁気吸引力は,両ダイプレート5,7の型締力として作用する。この型締力は,両電磁石コイル12への供給電流値を制御して磁気吸引力を制御することにより調整される。 【0026】両金型4,6の型締作業が完了したならば,射出装置2を固定ダイプレート5に接近させ,そのノズルを金型内のキャビティ入口に当接させる。そして,溶融した原料,例えば溶融樹脂を,金型内に充填する。 【0027】射出成形作業が完了したならば,両電磁石コイル12への給電を停止して磁気吸引力を解消するとともに,両電磁石コイル12に消磁電流を供給し,電磁石極の残留磁束による磁気吸引力を消滅させる。 【0028】次いで,送り用モータ20を,型閉じ時とは逆方向に回転駆動し,ナット部材13を逆転させる。これにより,移動ダイプレート7が,固定ダイプレート5から離間する方向に直線移動し,両金型4,6の型開きが行なわれる。」 上記記載事項a)ないしe),及び図面の記載によれば,引用例には,次の発明が記載されているといえる(以下「引用発明」という。)。 「磁気吸引力を用いて金型の型締めを行なう射出成形機の型締装置であって,固定側金型4を保持する固定ダイプレート5,移動側金型6を保持する移動ダイプレート7,固定電磁プレート8及び移動電磁プレート9を備え,固定電磁プレート8と移動電磁プレート9には磁気吸引力を発生させるための電磁石コイル12が配設され,移動電磁プレート9の中央には,送り用モータ20の出力軸に取付けた歯付きプーリ21と連動連結される歯付き小プーリ14が回転自在に取付けられ,歯付き小プーリ14に固設されたナット部材13には送りねじ軸16が螺装され,送りねじ軸16は,固定電磁プレート8を遊貫通して移動ダイプレート7に固定され,移動ダイプレート7は固定ダイプレート5と固定電磁プレート8との間に設置されたタイバー23にガイドされてスライドするように構成されており,送り用モータ20を起動してナット部材13を回転させると,移動ダイプレート7が直線移動し,移動側金型6が固定側金型4に接近して型閉じがなされ,次に,送り用モータ20のブレーキが作動して移動電磁プレート9が送りねじ軸16にロックされると,型閉じ時の反力により,移動電磁プレート9がストッパ10で規制される位置まで固定電磁プレート8から離間し,その後,電磁石コイル12に給電すると,移動電磁プレート9が固定電磁プレート8に吸引され,該磁気吸引力が固定ダイプレート5と移動ダイプレート7の型締力として作用するようにした射出成形機の型締装置。」 (2)当審で通知した拒絶理由において周知の事項を示すために引用された,本願の出願前に頒布された刊行物である特開平6-852号公報(以下「引用例2」という。)には,図面とともに,次の事項が記載されている。 「【0031】次に,本発明が特徴とする射出成形機における多段ガス及びエア抜き制御方法を,図2に示す一実施例のタイムチャートを参照して説明する。 【0032】横軸が経過時間を,縦軸の上半部が型締度を,縦軸の下半部が射出工程又は圧力切換を,それぞれ示す。 【0033】射出工程(又は圧力切換)S0?S4においては,S2位置にて型締力1の設定が最高圧でない場合(ガス及びエア抜き中の場合),T1の時間型締力1にて設定された圧力に型締力を制御する。これにより若干金型が開くことになり,ガス及びエアが抜ける。 【0034】T1時間がタイムアップして,最高圧まで再型締を行ない,射出を再開する。さらに,S3位置にて前記と同様に型締力にてT2時間ガス及びエア抜きを行ない,タイムアップして型締及び射出を再開する。この場合も,型締力2の設定が最高圧のとき,ガス及びエア抜き制御を行なわない。 【0035】続いて,S4位置にて各保圧時間T3?T6に対応した型締力3?6にて設定された圧力に型締力を制御することにより,バリの発生を防止しながらガス及びエア抜きを行なう。 【0036】この保圧工程では中断せずに保圧と同時に型締力を制御する。 【0037】以上のようにして,本実施例では6段のガス及びエア抜き制御を行なうことができ,種々の樹脂の種類並びに温度及び圧力の成形条件に対応することができる。」 (3)同じく,当審で通知した拒絶理由において周知の事項を示すために引用された,本願の出願前に頒布された刊行物である特開昭63-13727号公報(以下「引用例3」という。)には,図面とともに,次の事項が記載されている。 「最後の冷却工程においては,保圧工程の最終時点で型締圧力検出器35により検出された型締圧力P_(H)をシーケンサ37を介して型締圧力指令器30へ指令して,この型締圧力P_(H)の指令を出力させると同時に,切換スイッチング回路32の接点を型内圧制御回路側の接点32aから型締圧制御回路側の接点32bに切換える。 これ以後,冷却完了時間までは型締圧力P_(H)が一定になる様に,型締圧の制御器33により閉ループ制御される。 このとき,第2図の2点鎖線に示す様に,型締圧力曲線を指数関数,折線等からなる関数として,同関数によるパターンに沿って漸減する様に型締圧力を制御するようにしても良い。この方法は樹脂収縮時での過大圧の防止,金型の型締力による弾性変形の繰返し安定性,離形時の成形品変形防止に一段と効果がある。」(第5頁左下欄第13行?右下欄第9行) (4)同じく,当審で通知した拒絶理由において周知の事項を示すために引用された,本願の出願前に頒布された刊行物である特開平8-281742号公報(以下「引用例4」という。)には,図面とともに,次の事項が記載されている。 「【0044】図9,図10は図7のステップS16以降の変形例を示す。図9の例では,図7のステップS16に代えて型締力の増加分ΔPを監視し,型締力がピーク値に達してから負になる点を検出する。ΔPが負になったことが検出されると,その時点の型締力P3´を測定してメモリ44に記憶し,型締力P3´を目標値として圧力制御弁42を制御することにより,型締力を所定時間t2だけP3´に維持する制御動作を実行する。この時,プラテン間距離Lは徐々に減少する。続いて,マイクロプロセッシングユニット43は,ΔP<0を検出してから所定時間t2が経過したかどうかを監視し,所定時間t2経過した時点で型締力を上げて射出圧縮を開始する。すなわち,マイクロプロセッシングユニット43が現在の型締力P3´からあらかじめ設定された最大型締力Pm までを目標とする一時遅れ関数パターンPp を発生し,型締力がこの関数パターンPp に追従するように圧力制御弁42を制御する。この関数パターンPp も,前述した関数パターンLP1と同様に,これを規定している時定数Tp をオペレータが変更することで任意に設定することができるし,時定数Tp の設定値を複数個固定値としてメモリ44に記憶させておき,オペレータが樹脂の固化強度,成形品の形状等に応じて最適なパターンとなるように選定できるようにしても良い。あるいは,この関数パターンPp は,マイクロプロセッシングユニット43の処理能力次第では,もっと単純な関数,例えば一次関数でも良い。続いて,マイクロプロセッシングユニット43は,型締力Pが関数パターンPp で規定された値Pm と一致するかどうか監視し,一致すると,型締力Pm を目標値として圧力制御弁42を制御することにより,保圧工程,冷却工程が終了するまで型締力をPm に維持する制御動作を実行する。 【0045】また,図10に示すように,図9において型締力の増加分ΔPがピーク値に達してから負になったことを検出した後,型締力を監視しながら制御終了プラテン間距離Le を維持する動作を続け,型締力がP3よりも低いP4まで低下した時にこの型締力P4を保持する制御動作を実行して終了するようにしても良い。」 (5)同じく,当審で通知した拒絶理由において周知の事項を示すために引用された,本願の出願前に頒布された刊行物である特開平7-68610号公報(以下「引用例5」という。)には,図面とともに,次の事項が記載されている。 「【0018】次に本発明の射出成形機における型締方法を上記構成とされた型締装置の作用とともに図3の流れ図にしたがって説明する。射出成形が開始されると,設定部27に設定された設定(目標)型締力が比較部28に入力され(ステップS1),型締シリンダ9の伸長作動で移動盤5が固定盤1に向かって前進する(ステップS2)。 【0019】型締めが開始されると型締力測定装置20は金型6,7の型締力を測定して比較部28に出力する。比較部28は,型締力測定装置20で測定された実型締力と設定部27の設定型締力とを比較し,実型締力が設定型締力に一致した場合に(ステップS3のYES)制御部29に信号を出力する。制御部29は比較部28から信号が出力されると,制御信号を油圧装置11に出力して型締シリンダ9の伸長作動を停止させる(ステップS4)。これによって型締完了となるが,この状態はパイロットチェック弁機構30によって保持される(図1参照)。」 2.対比・判断 本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「固定ダイプレート5」,「固定側金型4」,「移動ダイプレート7」,「移動側金型6」,「電磁石コイル12」は,それぞれ本願発明の「固定プラテン」,「固定金型」,「可動プラテン」,「可動金型」,「電磁ユニット」に相当し,引用発明の「固定電磁プレート8」及び「移動電磁プレート9」は,本願発明の「フレーム」に相当する。 引用発明は,固定ダイプレート5と固定電磁プレート8との間にタイバー23が設置されるものであるから,本願発明における「固定プラテンと所定の間隔を置いて配設されたフレーム」との要件を備える。 引用発明は,電磁石コイル12に給電すると,移動電磁プレート9が固定電磁プレート8に吸引され,該磁気吸引力が固定ダイプレート5と移動ダイプレート7の型締力として作用するものであるから,本願発明における「電磁ユニットによって発生させられる起磁力が型締力として伝達されて型締めが行われる可動プラテン」との要件を備え,引用発明の「送りねじ軸16」は,本願発明の「型締力を可動プラテンに伝達する力伝達手段」に相当するといえる。 引用発明が本願発明における「進退に伴って型閉じ及び型開きが行われ」る「可動プラテン」との要件を備えることは明らかである。 したがって,本願発明と引用発明は,本願発明の表記にしたがえば, 「固定プラテンと,該固定プラテンに取り付けられた固定金型と,前記固定プラテンと所定の間隔を置いて配設されたフレームと,該フレームに配設され,励磁されて起磁力を発生させる電磁ユニットと,前記固定プラテンに対して進退自在に配設され,進退に伴って型閉じ及び型開きが行われ,前記電磁ユニットによって発生させられる起磁力が型締力として伝達されて型締めが行われる可動プラテンと,該可動プラテンに取り付けられた可動金型と,前記型締力を前記可動プラテンに伝達する力伝達手段とを有する型締装置。」の点で一致し,次の点で相違する。 [相違点] 本願発明は,型締力を検出する型締力検出手段と,オペレータによって操作され,所定の関数パターンから成り,型締力目標値を発生させるためのパラメータを発生させる型締力設定器と,該型締力設定器によって発生させられたパラメータに基づいて,前記型締力目標値を所定の波形で発生させる型締力目標値発生器と,該型締力目標値発生器によって発生させられた型締力目標値,及び前記型締力検出手段によって検出された型締力に基づいて,フィードバック制御を行う型締力コントローラを有するのに対して,引用発明は,そのような構成を備えていない点。 上記相違点について検討する。 射出成形機において,以下の事項はいずれも周知である。 (イ)型締力を多段階に変化させる等,型締力の経時的変化が所定の波形(関数パターン)となるように制御すること (ロ)型締力が設定された値(目標値)となるように型締力を検出しながらフィードバック制御(閉ループ制御)を行うこと (ハ)型締力の波形(関数パターン)をオペレータが任意に設定できるようにすること (イ)については引用例2ないし引用例4に,(ロ)については引用例3及び引用例5に,(ハ)については引用例4にそれぞれ開示されている。また,(ハ)のように,型締力の波形(関数パターン)をオペレータが任意に設定できるようにする場合,所要のパラメータを設定・発生させることになるのは必然の事項である。 上記相違点に係る本願発明の構成は,これらの周知技術に基づいて,当業者が容易に想到し得たことである。 そして,作用効果についても,引用発明及び周知技術から予測できるものであって,格別なものとはいえない。 以上のことから,本願発明は,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 3.むすび 以上のとおり,本願発明は,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから,本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-04-05 |
結審通知日 | 2011-04-12 |
審決日 | 2011-04-25 |
出願番号 | 特願平9-216065 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(B29C)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 上坊寺 宏枝 |
特許庁審判長 |
千馬 隆之 |
特許庁審判官 |
川向 和実 田口 傑 |
発明の名称 | 型締装置及びその型締方法 |
代理人 | 川合 誠 |
代理人 | 清水 守 |